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ギャルゲ・ロワイヤル 作品投下スレ9

1 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:27:34 ID:PcPhokgE
ここは、「ギャルゲーキャラでバトルロワイヤルをしよう」というテーマの下、
リレー形式で書かれた作品を投下するための専用スレです。

前スレ
ギャルゲ・ロワイヤル 作品投下スレ8
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1189261184/

投下前の予約はしたらば掲示板の予約スレで行なってください。
ギャルゲロワ専用したらば掲示板
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8775/

作品に対する批評感想、投下宣言は雑談感想スレで行なってください。
ギャルゲ・ロワイアル感想雑談スレ5
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1189180321/

基本ルールその他は>>2以降を参照してください。
sage進行でお願いします。

2 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:32:03 ID:mc68CEOM
 

3 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:33:42 ID:mc68CEOM
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → 舞台である島の地図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。

【禁止エリアについて】
放送から2時間後、4時間後に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。


4 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:34:16 ID:mc68CEOM
【舞台】
http://www29.atwiki.jp/galgerowa?cmd=upload&act=open&pageid=68&file=MAP.png

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述する。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。


5 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:35:12 ID:mc68CEOM
【首輪】
参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
放送時に発表される『禁止エリア』に入ってしまうと、爆発する。
無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても(盗聴されても)爆発する。
なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
たとえ首輪を外しても会場からは脱出できない。

【デイパック】
魔法のデイパックであるため、支給品がもの凄く大きかったりしても質量を無視して無限に入れることができる。
そこらの石や町で集めた雑貨、形見なども同様に入れることができる。
ただし水・土など不定形のもの、建物や大木など常識はずれのもの、参加者は入らない。

【支給品】
参加作品か、もしくは現実のアイテムの中から選ばれた1〜3つのアイテム。
基本的に通常以上の力を持つものは能力制限がかかり、あまりに強力なアイテムは制限が難しいため出すべきではない。
また、自分の意思を持ち自立行動ができるものはただの参加者の水増しにしかならないので支給品にするのは禁止。

【予約】
したらばの予約専用スレにて予約後(ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8775/1173505670/l50)、三日間以内に投下すること。
原則三作以上投下した書き手のみ、二日間の予約延長が認められる。

6 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:38:13 ID:mc68CEOM
1/6【うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
  ○ハクオロ/●エルルゥ/●アルルゥ/●オボロ/●トウカ/●カルラ
2/3【AIR】
  ○国崎往人/●神尾観鈴/○遠野美凪
2/3【永遠のアセリア −この大地の果てで−】
  ○高嶺悠人/○アセリア/●エスペリア
2/2【Ever17 -the out of infinity-】
  ○倉成武/○小町つぐみ
1/2【乙女はお姉さまに恋してる】
  ○宮小路瑞穂/●厳島貴子
4/6【Kanon】
  ●相沢祐一/○月宮あゆ/○水瀬名雪/○川澄舞/●倉田佐祐理/○北川潤
1/4【君が望む永遠】
  ●鳴海孝之/●涼宮遙/●涼宮茜/○大空寺あゆ
1/2【キミキス】
  ●水澤摩央/○二見瑛理子
3/6【CLANNAD】
  ●岡崎朋也/○一ノ瀬ことみ/○坂上智代/○伊吹風子/●藤林杏/●春原陽平
2/4【Sister Princess】
  ○衛/●咲耶/○千影/●四葉
0/4【SHUFFLE! ON THE STAGE】
  ●土見稟/●ネリネ/●芙蓉楓/●時雨亜沙 
2/5【D.C.P.S.】
  ○朝倉純一/●朝倉音夢/●芳乃さくら/○白河ことり/●杉並
3/7【つよきす -Mighty Heart-】
  ●対馬レオ/●鉄乙女/○蟹沢きぬ/●霧夜エリカ/○佐藤良美/●伊達スバル/○土永さん
2/6【ひぐらしのなく頃に 祭】
  ○前原圭一/●竜宮レナ/○古手梨花/●園崎詩音/●大石蔵人/●赤坂衛
1/3【フタコイ オルタナティブ 恋と少女とマシンガン】
  ●双葉恋太郎/○白鐘沙羅/●白鐘双樹
【残り27/63名】 (○=生存 ●=死亡)


7 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:38:34 ID:PcPhokgE
自嘲気味に呟く。独り言なんて柄でもない。
だけどこうやって声に出してしまった方が考えがまとまる気がした。
そして胸の奥に隠していた感情を吐露する。


「次の放送で月宮あゆの名前が呼ばれたら、あたしはゲームには金輪際乗らない。
 殺すのは佐藤良美と一ノ瀬ことみ――あと諸々の襲い掛かってくる人間だけ」

続ける。

「だけどもしも、もしもの話だけどさ。"月宮あゆの名前が呼ばれなかったら"――あたしはゲームに乗ろうと思う」


まるで隣にいる誰かに語りかけるように。
そうだ、月宮あゆが生きている可能性なんて百万分の一も無い。

ワープ、という非現時的な説を採用してあいつは何処かに飛ばされたとする。
だけどそれで終わりだ。
あれだけの傷がどうにかなる訳が無い。
どんなに腕利きの医者だろうが、たとえ亜沙が使ったような魔法があったとしても完治するはずがないのだ。

亜沙はあたしの傷を治すために命を消費した。
命を賭してもアレが限界。
月宮あゆの命を救うために、何人の命が必要かは勘定も出来ない。


つまりコレはある種、ゲームからの逃避だった。
すぐ側に人殺しがいる。だけどあたしの武器は拳銃一つ、体調も思わしくない。


8 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:39:09 ID:PcPhokgE
身体が正常だったら確実にこんな馬鹿げた思考は浮かびすらしなかっただろう。
だけどこの生理特有の倦怠感、気だるさ、そして内臓から浮かび上がる苦痛。
そんな感覚があたしを弱くした。
知り合いの男が一人勝手にのたれ死んだ程度で、悲しくて泣き出しそうになってしまう女を作り出した。


今のあたしはこんなやり方しか出来ない。遠巻きな逃避。
世界中を斜めに見て蹴飛ばして突き進んでいったあたしは何処に行ってしまったんだろう。

空を見上げる。
ああ本当に、ムカつくくらいに今日は月が綺麗だ。




【F-5 平原・トロッコ付近(マップ左)/1日目 真夜中】

【大空寺あゆ@君が望む永遠】
【装備:S&W M10 (6/6) 防弾チョッキ 生理用品、洋服】
【所持品:予備弾丸11発・支給品一式 閃光弾セット(催涙弾x1)ホテル最上階の客室キー(全室分) ライター 懐中電灯】
【状態:生理(軽度)、肋骨左右各1本亀裂骨折、強い意志】
【思考・行動】
行動方針:殺し合いに乗るつもりは今のところ無い。しかし、亜沙を殺した一ノ瀬ことみと佐藤良美は絶対に殺す。
0:放送を待つ(月宮あゆの生死を確かめる)
1:あだ討ちに他の参加者を利用できないかと模索
2:二人を殺す為の作戦・手順を練る
3:ことみと良美を警戒
4:ハクオロとその仲間も警戒、信用するに値しない
5:殺し合いに乗った人間を殺す
6:脱出の手段が優勝しかないなら、優勝を目指す


9 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:39:40 ID:PcPhokgE

【備考】
※ことみが人殺しと断定しました。良美も危険人物として警戒。二人が手を組んで人を殺して回っていると判断しています。
※ハクオロを危険人物と認識。ついでその仲間も危険と判断。
※魔法の存在を信じました。
※支給品一式はランタンが欠品 。
※生理はそれほど重くありません。ただ無理をすると体調が悪化します。例は発熱、腹痛、体のだるさなど。
※第四回定時放送で【月宮あゆ】の名前が呼ばれなかった場合、ゲームに乗るつもり(と作者は考えておりますが、詳しくは次の書き手さんにお任せします)





 ■


今、ボクは歩いていた。
どこに通じているかも分からない道を一人で。
まるで何かに脅えるように、肩を震わせながら。


傷が治ってから、目の前からディーさんが消えてから少しの間ボンヤリしていた。
でもどれくらい経ったのだろうか。

『行かなくちゃ』

突如、そんな危機感にも似た衝動に突き動かされボクは重い腰を上げた。




10 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:40:39 ID:mc68CEOM
  

11 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:42:14 ID:mc68CEOM
 

12 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:42:20 ID:PcPhokgE
まっすぐ歩く。ただひたすら歩く。
いつの間にか草と大地に覆われた世界は幕を閉じ、家やビルがちらほらと視界に増えて来た。
そういえばボクは今、一体何処にいるのだろう。
海の家で男の人に追われながら、真っ暗な空間に飛ばされて……。

太陽の下に戻ってきた時、目の前に誰かが居たような気もするけどよく思い出せない。


「往人、本当に大丈夫ですか?」
「ああ、心配するな。それより――」
「え?」


カーブを曲がり、突然目の前に三つの人影が飛び込んで来た。

一人は女性。
夜の闇によく映える漆黒のロングヘアーを靡かせる理知的な眼をしたセーラー服を着た女の人。
一人は女性。
青いリボンと黒、と言うよりも若干灰色が掛かった特徴的な髪の毛。そして凄く背の高い、優しそうな女の人。美凪さんだ。

そして最後の一人は――

「往人……さん?」
「あゆ、か? どうしたんだ、お前その格好は……ッ!!」
「あ、あ、あ、」

銀色の髪。特徴的な真っ黒のインナー。
鋭い眼光。高い背。少し渋みの掛かったカッコいい声。
そして――

ボクがこの島で一番最初に出会った人殺し。

13 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:42:57 ID:mc68CEOM
 

14 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:42:57 ID:PcPhokgE
「やだぁぁああああああ!!! 殺される、助けてええええええ!!!!」
「おい、あゆ!! 待て!! 逃げるんじゃない!!」

往人さんの存在に気付いた途端、ボクは駆け出していた。
急激なターン。来た道を全速力で。


ずっと考えていた。
『往人さんを説得したい』と。
だけど本人を目の前にした時、そんな考えは陽炎のように頼りの無いものだったことに気付かされる。


怖い。
一度ボクにはっきりとした敵意を向け、命を奪おうとした彼が。


走り去るボクの背後から往人さんの叫び声が聞こえる。

「二人とも、先に港に行っていてくれ!! 俺もあゆを説得してすぐに向かう」
「往人さん、私達も行かなくてよろしいのですか?」
「ああ、大丈夫だ。こんな身体でも何とか追いつけるはずだ。逆に三人で固まって不用意な行動を取る方がマズイ」
「――ッ、分かったわ。しばらく港に留まるから出来るだけ早く帰ってくるように」
「……そう言ってくれると助かる」


そして誰かがコチラに向かって走ってくる足音。
ボクは死に物狂いになって逃げた。


 ■



15 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:43:46 ID:PcPhokgE
「うぐぅぅぅぅ!!! やだぁ!! 助けてッ!!」
「あーもう、落ち着けって!! な、頼むよ」

両肩を掴まれてジタバタするボクと一生懸命ボクをなだめようとする往人さん。
静けさに満ちた住宅街でそれは中々不思議な光景だった。


結局、ボクは数分のうちに往人さんに捕まってしまったのだ。
何一つ身体的な問題は無いはずなのに、ボロボロの往人さんにも簡単に追いつかれるボク。
男と女の身体的な差はあるけれど、やっぱり少しだけやり切れない気持ちになった。

ボクが捕まったのが住宅街にポツンと出来た空き地。
『売り出し中』と書かれた看板といくつか積み重なった土管。
きっと子供達の遊び場になっていたのだろう不思議な空間。

「な、俺を信じてくれ、頼むから。俺はもうゲームには乗っていないんだ」
「で、でも往人さん。じゅ……」
「じゅ?」
「銃持ってるんだもん!! その……腰に……」

往人さんがしまった、という顔付きになる。
遅過ぎだよ、いくらなんでも。
そんなものを腰にぶら下げながら『信じてくれ』なんて台詞、あまりにも似合わない。

「こ、これは……そうだッ。じゃあ、お前が持ってろ。ほら、これで安全だ」
「え、ちょ、ボク!? わわわ……お、重いよ」

16 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:44:30 ID:mc68CEOM
 

17 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:45:24 ID:PcPhokgE


なんといきなり往人さんは腰のホルダーから拳銃を取り出すと、ボクに無理やりソレを手渡した。
初めて持つ銃の感触は奇妙だった。
とにかく重い。玩具の拳銃型ライターなんかとは比べ物にならない。

「あと……そうだ、コレもやる。どうだ甘いぞ、美味しいぞ?」
「え……そ、それは――ッ!!!」

往人さんの手に握られていたもの。それはボクの大好物。
ディーさんに会う前からずっとずっと焦がれていた――

「たい焼き!!」

ボクの心の中から往人さんを疑う心がすーっと消えていった。
……うん、食べ物に釣られるなんてどこの動物だよっ、って祐一くんに突っ込まれちゃいそうだ。
でも仕方ないもん。
たい焼き、ずっと食べたかったんだから。


 ■


その後、土管を背にして往人さんといっぱいお話した。
何故殺し合いに乗ろうとしたのか、何故止めたのか、今どんな人達と一緒にいるのか、色々と沢山。
聞いた感じだと前原さん達に会ってはいるものの、大石さん達について知っているかどうかは分からなかった。
意図的にその部分には触れないようにしているのだろうか、ソレは分からない。

中でも往人さんが殺した五人の女性の話は耳を塞いでしまいたくなった。
だけどしっかりと聞いた。
ボクも……同じ罪人だから。受け止めてあげられると思ったから。

18 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:46:01 ID:mc68CEOM
 

19 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:46:40 ID:mc68CEOM
 

20 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:47:25 ID:PcPhokgE


大丈夫、往人さんなら信用出来る。ボクに対して親身になってくれる。
工場に行きたい、というボクの考えにもちゃんと耳を傾けてくれるはず。
そして……ボクが人殺しだって知っても責めたりしないはず。

「あのねっ、往人さん――」
「本当はな、俺は死んでしまいたかったんだ」

……え?

「でも……今は生きなきゃならない。アイツと約束したんだ。アイツの分も俺が生きるって。幸せになるって」

一瞬胸に宿った期待は脆くも崩れ去った。
往人さんのその一言によって。



"死んでしまいたかった"



十文字。たった十文字の言葉が深く、深くボクの心に突き刺さった。
ううん、言葉じゃない。
本当にボクをズタズタに引き裂いたのは往人さんの表情だった。
キラキラと輝く、太陽のような横顔。誇りに、優しさに、愛情に満ちたそのはにかんだ笑顔だった。

ああ、この人はボクと全然違う人間なんだな、って心の底から思った。

21 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:48:03 ID:mc68CEOM
 

22 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:48:26 ID:PcPhokgE


生きる理由を自分以外のものに見出す人殺しと自分以外の誰一人として頼れない人殺し。
生きる力を貰った男と生かされている女。


あなたに今、"生への執着"を与えているのは観鈴さんが残した意志。
その意志はやがて種となり、芽を育み、最終的には大樹となる。
そしてソレが往人さんの根幹を形作ることだろう。

だけどボクには何もない。未来も残された想いも。
背中には翼なんて生えていない。圧し掛かるのは重く、辛い十字架。
二人の人間を殺した罪。そしてディーさんとの契約を遂行するという命題。
苦くて、何の希望もない絶望に満ち溢れた世界だけだ。

ボクは思ってしまった。
ソレはこのゲームに参加する前のボクからすると、絶対に考えられないような感情だった。
その想いは酷くどす黒くて、薄汚れていて――何よりも狂おしいほどの嫉妬に満ちていた。


 自分が生きていることの意味、大切さが分からないのなら、

 そんなに死にたかったのなら、
 
 その時いっそ死んでしまえば良かったのに。

 あの男の人みたいに喉を掻き毟って死んでしまえば良かったのに。
 
 あなたは恵まれているのに。今だって十分幸せなはずなのに。

 それじゃあボクいったいどうすればいいんだろう。

23 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:48:56 ID:PcPhokgE
 ■


ボクの中に形容し難い不思議な感情が湧き出した。
それは怒り、言葉に出来ないくらいの強い憤怒。そして相手を妬ましく、羨ましく思う心。
捉えようの無い感情、抑えようの無いマグマのように沸き立つ感情。

何人もの人間の命を奪っておいて、怖い思いをさせておいて、ソレでもアナタは生きている。
その生は何人もの亡骸の上で成り立つ命。
ボク以上に重い罪を抱えて行かなければならないのだろう。
そして殺した人間の全てを背負い、それでもなお"生き続ける"アナタはきっと立派な人間なのかもしれない。
――でも。


ボクはちっとも納得出来ない。


殺した人間の分も自分が生きる? 
そんなの思い上がりだ。エゴだ。汚らしい生への執着だ。

まさか殺した相手が自分を赦してくれると本気で思っているのだろうか。
確かに、そんな人間だっているかもしれない。
笑って全ての罪を受け止めてくれる聖母のような人間と実際に出会っているから、こんなフザケタことを言っているのかもしれない。

だけど全員が全員、そんな人間な訳がない。
苦しんで死んだ。
泣きながら死んだ。
恨みながら、呪いながら、悔しさと自分の不甲斐なさに溺れながら死んで行った人間もいるはずなんだ。
死にたくない、もっと生きていたいって強く願いながら死んでいった人間もいるはずなんだ。
そう、さっきまでのボクみたいに。

24 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:49:22 ID:mc68CEOM
 

25 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:49:43 ID:PcPhokgE
 ■


ボクの中に形容し難い不思議な感情が湧き出した。
それは怒り、言葉に出来ないくらいの強い憤怒。そして相手を妬ましく、羨ましく思う心。
捉えようの無い感情、抑えようの無いマグマのように沸き立つ感情。

何人もの人間の命を奪っておいて、怖い思いをさせておいて、ソレでもアナタは生きている。
その生は何人もの亡骸の上で成り立つ命。
ボク以上に重い罪を抱えて行かなければならないのだろう。
そして殺した人間の全てを背負い、それでもなお"生き続ける"アナタはきっと立派な人間なのかもしれない。
――でも。


ボクはちっとも納得出来ない。


殺した人間の分も自分が生きる? 
そんなの思い上がりだ。エゴだ。汚らしい生への固執だ。

まさか殺した相手が自分を赦してくれると本気で思っているのだろうか。
確かに、そんな人間だっているかもしれない。
笑って全ての罪を受け止めてくれる聖母のような人間と実際に出会っているから、こんなフザケタことを言っているのかもしれない。

だけど全員が全員、そんな人間な訳がない。
苦しんで死んだ。
泣きながら死んだ。
恨みながら、呪いながら、悔しさと自分の不甲斐なさに溺れながら死んで行った人間もいるはずなんだ。
死にたくない、もっと生きていたいって強く願いながら死んでいった人間もいるはずなんだ。
そう、さっきまでのボクみたいに。

26 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:50:13 ID:PcPhokgE


そしてボクは――その瞬間、全てを否定された。



だからボクも――アナタの全てを否定したくなった。




「……一つ、お願いを……聞いてもらってもいいですか」
「お願い……? ああ、いいぞ。俺に出来る事ならなんだって言ってみろ」
「……ください」
「……スマン、よく聞き取れなかった。もう一度、言って貰えるか?」

聞こえなかった?
もう一度?

いいよ、何回でも言ってあげる。
この感情は消せない。何回ピリオドやコンマを打とうが途切れることは無い。

だからこの程度で気分を悪くしたりしない。ムカついたりもしない。
これくらいは問題のうちに入らないんだ。

ボクはスッと立ち上がり往人さんから数メートル距離を取った。
往人さんは不思議そうな顔をしながらボクを見ている。


27 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:50:20 ID:mc68CEOM
 

28 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:50:44 ID:PcPhokgE


「……んでください」
「え?」

息を、吸い込む。
強く。
大きく。
そして深く。



「死んでください、ユキトさん」





 ■



29 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:51:04 ID:mc68CEOM
 

30 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:51:40 ID:mc68CEOM
 

31 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:52:00 ID:PcPhokgE
冷たい風がボク達の間を通り過ぎた。
頬を撫でる冷たい空気と草笛を鳴らしたみたいな音。
ビュウビュウ産声をあげながらこの地に生まれた突風。
パタパタと、血に塗れて変色したダッフルコートが不快なリズムを奏でる。

何を言われたのかまるで意味が分からない、そんな顔をしながら彼はボクをじっと見つめていた。
狐に摘まれた顔、コレって今のアナタみたいな顔を差すのかもしれない。

これって凄く対照的だな、そんなことを思った。
だってボクは今――本当に良い笑顔をしているはずだから。


沈黙はたっぷりと十二秒。
ボクにとってはいつも通りの十二秒。
だけど彼にとっては一分にも、十分にも、一時間にも感じたんじゃないかな。

彼は動かない。未だボクを見詰め続けている。
……違う、訂正。動かないんじゃない、"動けない"んだ。
うん、多分そう。
だってそういう顔をしているもの。


「な……にを、言って……いるんだ、あゆ」


やっぱり。凄く狼狽している。
ボクはそんな彼の反応をじっと観察しながら、にっこりと彼に微笑みかけた。

彼が一瞬たじろいだ。
もしかして逃げちゃうのかな、そうしたらどうしよう。……うん、でも多分そんなことはしないはず。
何故かボクは冷静だった。物凄く怒っていたはずなのに。本心を口に出してお願いをした途端、頭の中が急に冷却された感じ。
凄く、クールだ。

32 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:52:25 ID:mc68CEOM
 

33 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:53:20 ID:PcPhokgE

彼の瞳を覗き込む。

『嘘だと言ってくれ』

『冗談だと言ってくれ』

その眼はそんなことを訴え掛けているように見えた。


ううん……でもダメ。そんなお願いは聞いてあげられない。
分かるよ、アナタは逃げたいんだ。自分の常識や感覚と酷く乖離したこの"イマ"から。
そう、心の眼を逸らしちゃダメなんだ。
だってアナタはボクが本気だって十分に分かっているはずなんだもの。そして心の中でソレを痛いほど噛み締めている。
だからそんな顔でボクを見ているんでしょ? ね?

「……簡単、ほらコレがあるから」
「な……ッ!?」

銃、正式な名前も分からない黒光りする鉄の塊。
無用心にもボクに直接手渡されたその凶器。
ボクはそして自分でも不思議なくらい淀みの無い動作で銃を彼に向けた。


「観鈴さんを殺した銃でしょ、コレって。
 佐祐理さんを殺したのもコレ……なのかな?
 ……ああ、ボクを殺そうとした時に持ってたのも、この銃だと思うんだけど……あってる? ユキトさん」

この島に来てから初めてだった。
守られる側、奪われる側、傷付けられる側……そのドレとも違う。
『攻める側』に回ったのは。

34 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:53:49 ID:mc68CEOM
 

35 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:53:50 ID:PcPhokgE

「返、せッ……あゆ!! ソレは……ソレは、お前が持っていてもいいものじゃない!!」

不思議なことを言う人だと思った。
だから言い返してやった。

「…………? だってこれは『人間を殺すための道具』でしょう? アナタだって持っている必要は無いんじゃないかな?」
「ッ!?」

彼は自分の中の禁忌、そしてジレンマに触れられたのか、何も言えなかった。
悔しそうに唇を噛み、下を向くだけ。
彼はさっき、ボクに確かに言ったのだ。
もう誰も殺したりはしないって。

でもおかしいよね。
銃は誰かを守るための道具なんかじゃない。
『殺すため』の道具なんだ。
詭弁で覆い隠しでも無駄。
そしてボクの目の前に居る彼は、そのことを嫌と言うほど理解しているはず。


「……ねぇ、ユキトさん覚えてる? 初めてボクと会った時のこと……」
「……ああ」
「人形劇、すっごく面白かったなぁ。バカみたいに取り乱していたボクも大分あれで落ち着けたもん」
「ああ……そう、だったな」


銃を向けたまま語りかける。
少し前の出来事。ほんの数十時間前、まだボクが元気だった頃の話。
彼は曖昧に頷いた。
視線は銃口をじっと眺めたまま、動かさず、ぼんやりと。

36 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:54:23 ID:PcPhokgE

「でも、そこからは……あまり、思い出したくないかも。人形劇の代金はボクの命で払って貰う、とか。
 ユキトさん。ボクあの時、凄く悲しかった。胸が張り裂けそうだった」
「すま……ないッ!!」

悩んでいるのだろうか。彼はまた頭を下げた。
自責の念に押し潰されそうなのかもしれない。酷い顔をしている。
でも、どちらでもいい。もうボクには関係の無いことだ。


「――お礼、まだしてなかったよね」
「お……れい?」
「たい焼き、ありがとう。本当に、本当に美味しかったよ」

これは嘘偽りのない本心。
ほとんど毎日のように食べていたはずなのに、さっき食べたのが今までで一番美味しく感じた。
一人で三つとも全部、ペロリと平らげてしまったくらいだ。

「ユキトさん言ったよね、『俺は死んでしまいたかった』って」

引き金に力を込める。

「だからボクが叶えてあげる、ユキトさんの願いを。死にたいって願いを」
「――ッ!!!!」


彼は今、何を考えているんだろう。
ここから逃げる算段? 仲間を呼ぶ方法?
それとも大人しくボクに殺されても構わない、と覚悟を決めたのだろうか。

37 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:54:25 ID:fu1xkowB
支援

38 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:54:43 ID:mc68CEOM
 

39 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:54:53 ID:PcPhokgE


「ねぇ、ユキトさん。どうするつもり? ここから、逃げ出してしまいたい?
 でも逃がさないよ。ボクはグズでドジだけど、一度決めたことを簡単に捻じ曲げたりはしない。――ユキトさんとは違う。
 それとも……ボクから銃を奪って、ボクを……"今度こそ"殺す?」
「それだけは……絶対に、無い」
「……ううん、やろうと思えば出来るはずだよ。というかソレが推奨かな。
 傷付けたくないとか、武器だけ奪って拘束する……そんな温い心じゃさすがのボクだってユキトさんを殺せる。
 でも殺すつもりでやる、って言うなら話は別なんじゃないかな。
 いくら酷い怪我をしているからって相手は所詮ボクだもん。簡単だよ、それに……乙女さんはもういないんだから」


ボクが発する言葉、一つ一つが彼の心臓を抉っていく感触。
だけど別に身体が高ぶって来るとか、そんな感じはしない。
彼の痛みが伝わって来る。そして同じくらいボクだって痛い。

分かってる。彼は立派な人間だ。立派過ぎる人間だ。
逃げることも、傷付けることも、殺すことも、銃を奪うことも、命乞いをすることもどれ一つとしてやる訳がない。
破れた血だらけの服。半分折れたカチューシャ。涙目の女。
分かってる。こんなシチュエーションを前にして、彼が取れる行動が一つしかないことも十分過ぎるくらい。
心の中は分からなくても、

ああ、ボクは卑怯だ。

40 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:55:26 ID:PcPhokgE


「……ねぇ、ユキトさん」

「あ……ゆ……?」

「――たい焼きの代金って、ユキトさんの願いを叶えれば足りるかなぁ」


ボクはその瞬間、彼の瞳に絶望の螺旋を垣間見た。
螺旋。
抜け出すことの出来ない連鎖の世界を。


初めて撃った銃。鉛玉はまっすぐと彼の眉間を射抜いた。
彼は、抵抗しなかった。



 ■


鼓膜にこびりついた銃声。
ツンと匂う硝煙のキツイ匂い。
そして何より、今もガクガクと震えの止まらない両手。
死んだ人が痙攣して固まってしまうみたいに、ボクの手は銃のトリガーに固定されてしまった。


41 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:55:33 ID:mc68CEOM
 

42 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:55:49 ID:fu1xkowB
wktkしつつ支援

43 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:56:25 ID:mc68CEOM
 

44 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:56:43 ID:PcPhokgE
怖い。

歯がカチカチと馬鹿なカスタネットのように鳴動する。
ああ、ボクはイマ、自分の意志で他の人間の命を刈り取ったんだ。
そう思うともう溢れ出る感情を制御出来なかった。
涙。
少し生暖かい液体が両目から止め処なく零れ落ちる。
だから泣いた。
声を押し殺して、必死に泣いた。







少しして、ようやくある程度の落ち着きを取り戻す。
それでも恐怖感が完全に拭えたわけじゃない。
まだお腹の中に空洞が出来たみたいな浮遊感は消えないし、心臓も早鐘を打っている。

ふと時計に目を落とす。
……あれ、時計が、ない。どうしたんだろう。何処かで落としたのかな。
仕方ないから彼の左腕にくっついていたソレを拝借。うん、壊れてはいないようだ。

丁度文字盤は短針と長針が「12」の所で重なりそうな時間を示していた。

一日。

この一日の中で色々なことがあった。
色々な人と出会って、そして――人を殺してしまった。

45 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:56:59 ID:fu1xkowB
って、往人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!

46 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:57:15 ID:mc68CEOM
 

47 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:58:05 ID:PcPhokgE
確かにアレは事故だった。今更言い訳をするつもりも無いけど、ボクに二人を殺す意志は無かった。
そしてボクは確かに一度死にかけた。
腕がもがれて、骨が剥き出しになって、血だらけになって――

うん。今までの『月宮あゆ』はもう、あの時死んでしまったのかもしれない。


涙でふやけてしまったような頬。
グシャグシャに乱れた髪。
ボロボロの服の間から吹き込んでくる風が少し冷たかった。
気付けば夜も深く暗くなって来た。
何となく、足元に寝転ぶ"彼"だったものに眼が行く。

どうしてあなたはこんなことを自分から率先して行うことが出来たのだろう。
湧き上がって来たのは純粋な疑問。そして、更なる怒りだった。

もう一発、銃弾をお見舞いしてやろうかと彼の死体に向けて拳銃を構える。
でも、ボクには出来なかった。
だってボクの目的は『誰彼構わず殺して回る』ではなくて『生き残ること』なのだから。


――そうだ、生き残ること。
ボクはハッとした、それは目の前が開けた感覚。
そして何か大切にしていたものが崩れ、新しい何かが誕生した感覚。

決定的な、分岐点と言えるかもしれない。


「いか……なくちゃ。あの人の……いる、所へ」

48 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:58:10 ID:mc68CEOM
 

49 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:59:05 ID:PcPhokgE
涙が止まった。不思議と、ピタリと。
生き残ってあの人の下に到達する、ソノ条件さえ満たせばボクは死ななくて済む。
あんな眼に合うのはゴメンだ。絶対嫌だ。
もう、襲われる恐怖に怯えたくない。
骨が砕ける感触も、肉が弾ける感覚も、皮が引き裂かれる苦痛も二度と味わいたくない。
殺す恐怖のほうが、殺される恐怖よりずっとずっとマシだ。


やっと、気付いた。


今までのボクは臆病だった。
足を引っ張って、涙を流して、逃げ回って、そんな他の人間に頼ることしか出来ない役立たずだった。
でも、それじゃあダメなんだ。
確かにその方法でも生き残ることは出来る。
ただそれは手段にすぎない。
それは選択肢の一つに留めて置くべきものなんだ。

生き残るためにボクが取るべきやり方。
それは『誰かに頼る』でも『何も出来ずに泣き喚く』でも無かった。

生き残るため、死なないため、ボクが選ぶべき第三の流儀――それは。




「こ……ろす?」




50 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:59:24 ID:mc68CEOM
 

51 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 22:59:35 ID:fu1xkowB
つДT)往人……

とりあえず私怨

52 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 22:59:53 ID:PcPhokgE
その呟きはいわば、真っ白な紙にぽたりと一滴垂らした墨汁のようなものだった。
黒は浸食する。穢れのない、無垢な大地を。そして、塗り潰す。
じわじわと広がる明度の無いその色が、未踏の処女地に近いソレを変えてしまうのに多くの時間はいらない。

ああ、土石流のように溢れ出すこの感情は何だ。
全部、全部吐き出してしまえ。


「――殺す。佐藤さんも名雪さんも全部全部全部ッ!!!」


天使様も言っていた。

『他者を殺すか、協力するか、従えるか、従うか、欺くか、いかなる方法でも構わない』

誰かを利用して殺す。
誰かに頼って殺す。
誰かと一緒に殺す。
誰でもいい、殺す。

そして何が何でも生き残る。

どんなことをしてもいい、構わない。
それがボクの流儀。
イマの『ツキミヤアユ』が取るべきやり方なのかもしれない。


53 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 23:00:26 ID:PcPhokgE


「そうだ、ボクは……絶対に生き残る。そう決めたんだ……うぐぅ」


最後にユキトさんの死体を一瞥するとボクは歩き出した。
拳銃はデイパックの中へ。
純粋無垢な月宮あゆへと擬態しながら。





【国崎往人@Air 死亡】


【F-4 住宅街/1日目 真夜中】

【月宮あゆ@Kanon】
【装備:背中と腕がボロボロで血まみれの服】
【所持品:支給品一式x3、コルトM1917(残り6/6発)、コルトM1917の予備弾31、情報を纏めた紙×2】
【状態:健康体、ディーと契約、満腹、明確な殺意、生への異常な渇望、眠気は皆無】
【思考・行動】
行動方針:他の参加者を利用してでも、生き残る
0:人を殺してでも、どんな事をしてでも生き残る
1:工場に行く(北上)
2:死にたくない

54 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 23:00:57 ID:PcPhokgE

【備考】
※契約によって傷は完治。 契約内容はディーの下にたどり着くこと。
※悲劇のきっかけが佐藤良美だと思い込んでいます
※契約によって、あゆが工場にたどり着いた場合、何らかの力が手に入る。
(アブ・カムゥと考えていますが、変えていただいてかまいません)
※ディーとの契約について
 契約した人間は、内容を話す、内容に背くことは出来ない、またディーについて話すことも禁止されている。(破ると死)
※情報を纏めた紙にはまだ眼を通していません。
※あゆは自分の命を最優先に考えて行動します。
 そのためには他人の足を引っ張ろうが、泣こうが、頼ろうが、嘘をつこうが逃げようがお構い無しです。
 ばれると困るので極力自分の手で殺したくはないと思っています。
※あゆの付けていた時計(自動巻き、十時を刻んだまま停止中)はトロッコの側に落ちています。
※F-4にて銃声が響きました。周囲のエリアにいる人間がこの音を聞いた可能性があります。

【たいやき@Kanon】はあゆが全部完食しました。



【G-4 港付近/1日目 真夜中】
【女子二人】
0:港で往人とあゆが帰ってくるのを待つ。
1:港を経由して病院へ。出来ればその前に車が欲しい
2:放送後、図書館に電話して情報交換。

55 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 23:01:25 ID:mc68CEOM
>>51
そういうのは感想スレでやってくれ
スペースキーを押して書き込みボタンをクリックすれば書き込めるから

56 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 23:01:28 ID:PcPhokgE

【二見瑛理子@キミキス】
【装備:トカレフTT33 7/8+1】
【所持品:支給品一式、ブロッコリー&カリフラワー@ひぐらしのなく頃に祭、空鍋&おたまセット@SHUFFLE! ON THE STAGE
     エスペリアの首輪、映画館にあったメモ、家庭用工具セット情報を纏めた紙×10】
【状態:強い決意、左足首捻挫(処置済み)】
【思考・行動】
基本:殺し合いに乗らず、首輪解除とタカノの情報を集める。
0:往人が心配。
1:港を経由して病院へ。
2:圭一達の参入を歓迎。
3:陽平のように錯乱している者や、足手まといになりそうな者とは出来れば行動したくない。
4:陽平には出来れば二度と出会いたくない。
5:例の音声が頭から離れない。

【備考】
※往人を信頼していますが、罪は赦してません。
※鳴海孝之に対して僅かに罪悪感を抱いています。
※パソコンで挙がっていた人物は、この殺し合いで有益な力を持っているのでは? と考えています。
※首輪が爆発しなかった理由について、
1:監視体制は完全ではない
2:筆談も監視されている(方法は不明)
のどちらかだと思っています。

※家庭用工具セットについて
観鈴が衛から受け取った日用品の一つです。
ドライバー、ニッパー、ペンチ、ピンセットなどの基本的な工具の詰め合わせである。
なお全体的に小型なので武器には向いていないと思われます。


57 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 23:01:37 ID:64+J+diV
 

58 :彼女たちの流儀 ◆tu4bghlMIw :2007/09/21(金) 23:02:22 ID:PcPhokgE


【遠野美凪@AIR】
【状態:軽度の疲労】
【装備:包丁】
【所持品:支給品一式×2、救急箱、人形(詳細不明)、服(詳細不明)、顔写真付き名簿(圭一と美凪の写真は切り抜かれています)情報を纏めた紙×2】
1:病院へ行く。ハクオロと会う。
2:知り合いと合流する
3:佐藤良美を警戒
4:例の音声が頭から離れない。
※春原陽平、小町つぐみの情報を得ました
※武がH173に感染していることに気が付きました

59 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/21(金) 23:02:29 ID:mc68CEOM
 

60 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 00:49:36 ID:J0/YEsBf
「つぐみ、ちょっといいか?」

鷹野の介入が終わった後、つぐみは車を詳しく見てすぐに直ることがわかったので修理をした。
その後すぐに出発したがC−8を出ようかとした時、また車が止まってしまった。
最初は車を置いていこうとしたが(また、主にカニから)つぐみの主張で修理する事になった。
その修理している間、ほとんど喋らなかった。
行き先も決めずただ東に進んでいた。
鷹野の介入があった前にあったじゃれあいなど全く無かった。

つぐみが修理して間もほとんど会話は無かった。
その均衡を破ったのは純一。
つぐみに聞きたいことがあって喋り始めた。

つぐみは面倒臭そうに
「何?」
「ああ、この後何処に行くんだ? 勿論ホテルに行くんだよな?」

だがつぐみの答えは純一にとって予想外の答えだった。
「いえ、今は行かないわ」

純一は驚き怒り
「どうしてだよ!? あそこにことりがいるんだぞ!? 今だってどうなってるか分からないんだぞ!」
「落ち着きなさい、純一。焦ったって何も無いわ。それにあの話が本当かどうかも分からないのよ?」

純一はさらに怒りつぐみに掴みかかり
「そんなの行って見なきゃ分からないだろ!? 何でそんなにのんびりしてんだよ!?」
そう言い放った。


61 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:53:02 ID:MC98zB1P
,

62 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 00:53:42 ID:J0/YEsBf
今の純一では鷹野の言葉が真実かどうかを判断する事はできなかった。
ただことりが襲われるのがずっと頭の中に繰り返されていた。
そんな考えを振り払うかの様に感情をただ爆発させていた。

つぐみはそれでも冷静に
「冷静なりなさい、純一。あなた、今、本当に人を殺しそうな目をしているわよ?」

純一はハッとし、顔を逸らした。
そんな純一見てつぐみはため息をつき
「少なくとも今の状態の貴方をホテル行かせることは出来ないわ」

純一は不機嫌そうに
「……畜生、なんだよ。つぐみはことりを見捨てるというのかよ!?」
「そうはいってないわ。だから純一、冷静に……」
「いってるのも一緒だろ!? もういい、俺独りで行く」

純一は怒りながら荷物を持ち走り去っていった。
そんな純一は見ながら
「……カニ。純一をすぐに追って止めて。今のままでは危険すぎる」

今のままの純一ではゲームに乗った人間にあったらすぐに殺されるだろう。
まして彼は戦闘経験が無いのだ。
余りにも危険すぎた。


63 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:54:16 ID:gJwnuSzI




64 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 00:54:38 ID:J0/YEsBf

きぬは
「いいけど……お前が行かないのかよ? ボクが行っても……」
「私が行っても純一を止める事はできないわ。私はそこまで口が上手くないし……お願い」

きぬは考えて出した結論は
「わかったよ。必ずあのヘタレを連れて帰る」
「頼んだわ」
「まかせとけ」
そんな言葉を交わした後きぬは純一が去った方向へ走っていった。


確かにことりは男とホテルに向かっている。
だがその男は安全な高嶺悠人だということはまだ誰も知る由が無かった。




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・





きぬ行ったわね。

多分彼女なら純一を止める事ができるだろう。
だって彼女がやろうとしている事は多少の差異あろうとも純一の考えとほとんど一緒なんだから。
私には気の聞いた言葉をかける事はできない。だからきぬが適任だろう。


65 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:54:53 ID:OTdb5eR2
 

66 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:55:11 ID:MC98zB1P
,

67 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:55:30 ID:OTdb5eR2
 

68 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 00:55:42 ID:J0/YEsBf
今の純一は危険すぎる。
ただ感情を爆発させているだけだ。大切な友人を助けたい一心で。
もっともそれが彼の良い所でもあるのだけど。

これは私のエゴだけど純一やきぬには理想を捨てて欲しくない。
彼らの理想はとても甘く理想論ではあるけど鷹野と対峙するに当たって大きな力となる。
この狂った空間の中で彼らの純粋すぎる理想は貴重で大きな武器となるだろう。

それを今、純一は大切な人と天秤にかけ捨てようとしている。
本来かける必要などないのに。

だから私は拒否をした。
エゴであるのだけど。

元々ホテルには行くつもりだった。
潤たちがここを拠点にするはずだし、他の対主催が拠点にしている可能性が高い。

だから純一が自分を失わなかった時、ホテルに行く予定だ。
それまで私がすべき事それは現状分析。

そう鷹野の介入があったから、これ以上ミスは許されない。
もうあんな出来事は起こしてはならない。

今まで私が犯してきたミス。
それは言葉だ。
塔の事以外でも心当たりが多い。
それゆえの処置だったのだろう。


69 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:55:43 ID:MC98zB1P
,

70 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:55:59 ID:gJwnuSzI




71 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:56:10 ID:OTdb5eR2
 

72 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 00:56:25 ID:J0/YEsBf
だからこれからは重要な事は絶対に喋らない。
それに備えて車に盗聴器がないか修理のついで調べたが今の所それに近いものはなかった。

しかし鷹野の介入があったことで私自身緊張感を持ったの事実だ。
もう残り人数も半分なのだ。
のらりくらりとしてる余裕はないって事なのだ。

それにしてもあの塔は鷹野が介入するほどとても重要なものなのであろう。
首輪に関することか、それとも脱出の妨害するためのものなのだろうか?
調べようにも今のままでは人が足りなすぎる。

現在判明している対主催グループは私達と潤達。計6人。
鷹野の話が事実なら他にも大きな対主催チームがあるという。
できる事なら他の対主催チームと合流したい。

私は思い描くプランはこうだ。
まず拠点を作る。
候補は、ホテル、病院、学校、図書館。
実際もう拠点にしてるチームあるだろう。

その後首輪解析、脱出、というチームに別け行動した方がいいだろう。

だが今のままでは人材が不足しすぎている。
せめて後5人くらいは欲しいのだが……特に現状、知っているメンバーでは戦闘要員が少ないので欲しい所だが
まあ無い物をねだっても仕方ないか。

とりあえずの目的は
一時的な拠点の確保。
そして人材を集める事。
このふたつだ。

73 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:56:59 ID:OTdb5eR2
 

74 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:57:08 ID:MC98zB1P
,

75 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 00:57:35 ID:J0/YEsBf

そして私には、もう一つ考えなければならない事がある。
それは鷹野の話がどこまで真実か嘘か見抜かなければならない。

まずは姉妹の話だが……これはおそらく事実だと思う。
なぜなら鷹野の話があまりにも具体的すぎる事だ。
もう既に死んだという二人の姉妹の死に方などがあまりにも現実的なのだ

が、一番上の姉を殺したものが武だというが、これは絶対嘘だ。
あの武がとてもこのゲームに乗るとは思えない。
乗るぐらいだったら自決でもしてるだろう。
武は元々自己犠牲が強い性格だ。
だから到底人殺しなどしないだろう。

たぶん……これは鷹野が私に仕掛けた罠。
今だ武の足取りをつかめない私を貶めようとするために。

だが……そんなもの無駄よ。
こんな罠にはまるものか。
武は乗らない確信がある。
だから多分その姉を殺した人間を鷹野が武に置き換え私に伝えたと考えたのが妥当だろう。

次に鷹野が純一にいった事。
今後の私達の行動方針を決めるきっかけにもなったものでもある。
そうことりという人が男に襲われ今はホテルに向かっているという事。

76 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:58:04 ID:OTdb5eR2
 

77 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:58:21 ID:MC98zB1P
,

78 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 00:58:32 ID:J0/YEsBf
なんとまあ愚劣な事を。
これが全部嘘だとしても純一に与える影響は大きい。
唯一の大切な友人が強姦されたといわれて平気で居られる方がおかしい。
そして純一はそのせいで自らの正義と理想を捨てようとしてる。
おそらく純一はその襲った男に確実な殺意を持っているだろう。

だがこれは罠ではないだろうか?
確かに今男とホテルに向かっている事が事実としよう。
しかしその男が「安全」な男だったら。
結果、対主催同士の仲違いというもっとも鷹野が望んだ結果になる。

これはとても乱暴な仮定だ。
だから私はあまり信じてはいない。
でも純一が勘違いで殺してしまったら本当に取り返しのつかない事になる。
それゆえに純一に冷静になってほしい。
まあこれはきぬに任せるしかないのだが。

ともあれホテルに行く事は決定事項だ。
だから今は思考を止め車の修理に専念しよう。
これは私にしかできない事なんだから
純一達が帰ってくるまで終えることにしよう。


79 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:58:44 ID:i3JH8RBz


80 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:58:58 ID:OTdb5eR2
 

81 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:59:42 ID:MC98zB1P
,

82 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 00:59:43 ID:J0/YEsBf






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








(なんでだよ……どうして解ってくれないんだよ!)
純一は不機嫌そうに道を進んでいた。
これは今まで傍にいてくれたつぐみが自分の気持ちを理解してくれなかったのも影響していた。

そんな時
「やっと追いついた、おい! こら、ヘタレ! テメー! 何独りで行ってんだよ!」
きぬが追ってきた。
純一はやはり不機嫌そうに
「蟹沢……どうしてお前も止める?」
「そりゃ今のお前普通じゃねーんだよ! ちっとは落ち着けよ!」


83 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 00:59:57 ID:i3JH8RBz


84 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:00:01 ID:OTdb5eR2
 

85 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:00:28 ID:MC98zB1P
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86 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:00:46 ID:J0/YEsBf

純一は激昂し
「落ち着いてられれるか! 俺はことりを襲った奴を許さない!」
「おい……ヘタレ、お前、怖いぞ。まさか襲った人間殺す気じゃないだろうな?」
きぬが恐る恐る言うと

「ああ。もしかすると殺してしまうかもしれない」
と純一は言ってのけた。
「お、おい、嘘だろ?」
「嘘じゃない、結局大切な人守るな為なら俺は理想捨てる」

純一はことりと己の理想を天秤にかけた。
結果、ことりを助けるためなら理想を捨てる覚悟をした。
そして思ってしまった。
「結局さ、大切な人を守るに為には誰かを殺したり傷つけるしかないんだ」
そう思い理想を捨てた。


だがここにそれを赦さないものが1人。

そう

「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

同じ決意をしたきぬだった。

きぬは怒りに任せて純一を殴り飛ばした。

不意をつかれた純一はそのまま倒れた。
きぬはそのままマウントポジションをとり殴り続けた

87 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:01:14 ID:OTdb5eR2
 

88 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:01:17 ID:i3JH8RBz


89 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:01:36 ID:J0/YEsBf

「おい、やめろ、かに……さわ!」
純一は止めるように言うが
「いーや、止めるもんか」
そしてきぬは言葉を続け

「テメー! ふざんけんなよ!」
「何が『大切な人を守るに為には誰かを殺したり傷つけるしかない』だよ! そんな事考えてるから殺し合いは止まらないんじゃないかよ!」
「テメーボクに言ったよな! 『殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出する』って言ったよな! 何自分からその理想捨ててんだよ!」
「ボク、そうお前が言って嬉しかった。ボク以外にも同じ考え持ってる人間がいるんだって! なのになんでそう言ったお前が捨ててんだよ!」
「テメーだって生半可な気持ちで言ったんじゃないんだろ! なら捨てるじゃねー! 大切な人護ってその理想叶えろや! ボクも叶えてお前が叶えるの見届けてやる! 」

きぬの純粋な気持ちが繰り出される拳ともに吐き出された。
それは純一に痛みを伴って確かに伝わっていった。

(いてえ、でも俺は何でこんな簡単に捨てようとしてたんだ? 理想とことり両方叶える事ができないから? 違う俺はただ感情に任せただけだ)
(俺は簡単に理想捨てちゃいけないんだ。だってここに必要としてくれる人がいるから)

きぬの叫びは続き
「いいか? もう二度と『大切な人を守るに為には誰かを殺したり傷つけるしかない』なんてすんじゃねー!」
「皆がそんな考えするから殺し合いは止まらないんだよ! そんな考えのせいで」

90 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:01:50 ID:MC98zB1P
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91 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:02:18 ID:J0/YEsBf

そして純一にさらに強い一撃が加わる
「姫が!」
さらに1発。
「乙女さんが!」
その拳にはもう怒りだけではない
「フカヒレが!」
悲しみが乗せれていた。
そう
「スバルが!」
大切な仲間を失った悲しみ。
次第に殴る力が弱くなり
「土見が……」
知らないうち目に涙が溜まり
「レ……オが……犠牲に……なっちまった」
泣いていた。

いくら自分で仲間の死を乗り越えたと思ってもそんな簡単にわりきれることでない。
それが今悲しみがぶり返してしまった。
でもその悲しみに耐え

「泣いてない、泣いてないもんねっ!」

自分を励まし

「だから、おめーは最後までそんな考えをするんじゃねー! 純一! 鷹野なんかに負けんな!」
「理想を貫けや! 純一! 人殺しなんかせずに大切な人間助けろや! ボクの知ってる男は皆そうだったぞ!」
「だから! 諦めるんじゃねー! 最後までお前は理想を叶えろ! たとえ理想論でもさ!」
「だから、貫けーー!! 純一! テメーの信じた正義をさーーーーー!」

純一にその思いを伝えきった。

92 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:02:24 ID:i3JH8RBz


93 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:02:30 ID:OTdb5eR2
 

94 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:02:47 ID:MC98zB1P
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95 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:03:08 ID:J0/YEsBf

「わかったか? このダボが!」


純一にももう迷いはなかった。
「ああ。俺はもう迷わない! もう誰も殺したり傷つけない!俺はたとえ理想論だとしても最後まで自分が信じた理想を貫く! 俺のためにもお前の為にも!」
「ことりを助け、絶対理想を曲げない!」
「だから俺は殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出する! 絶対にだ!」
そう言い切った。
純一はことりと正義を天秤にかけることはもうしない。
その二つをやり遂げる
そう決めた。

きぬ満足そうに
「ようやく解ったな! このヘタレが!」
「ああ、だから蟹沢泣いていいんだぞ?」
きぬは目を丸くし
「は? 何言ってんだ?」
「だからもう耐えなくていいんだ。いらないと思うけど胸かしてやるよ」
「ボクは別に耐えてなんか……」
「悲しい時は泣けばいい、そうおしえてもらったからつぐみに」
そういった純一はとても優しそうできぬは
「そうか……ごめんちょっとボク泣くわ」

そして
「うあ……あ……ああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ…………!!」
きぬは泣き出した。
今まで溜めていた分全てを吐き出した。
それを純一が傍にいた。


96 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:03:18 ID:MC98zB1P
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97 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:03:26 ID:OTdb5eR2
 

98 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:03:38 ID:i3JH8RBz


99 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:03:39 ID:J0/YEsBf



きぬの大きな泣き声。
それはきっときぬが送る

散ってった仲間への子守唄。








 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・









100 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:04:02 ID:OTdb5eR2
 

101 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:04:17 ID:i3JH8RBz


102 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:04:21 ID:MC98zB1P
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103 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:04:49 ID:J0/YEsBf
「落ち着いたか? 蟹沢?」
「ああ、もう大丈夫」
きぬが泣き終わったのはそれから10分くらいだった。

「よし、つぐみの所いくぞ。俺は今度こそ行くのを許して貰う。もうあの時は違う」
「俺はもう諦めない。最後まで理想を貫く」

そうきぬにつたえるがきぬは一向に立ち上がらなかった。
純一は不審に思い
「蟹沢?」
「んあ? い、いやなんでもないぞ」
「そっかじゃあ行こう。待たせるのも悪い」
「ああ」
(何でボクは今一瞬ヘタレの事かっこいいと思った。何で? それになんか胸がモヤモヤする……)
きぬはそれを振り払うように純一の手を引っ張り
「うし、さっさといくぞ、ヘタレ!」
「おい! 引っ張るな蟹沢!」
そしてつぐみのところへ駆け出した

104 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:04:59 ID:i3JH8RBz


105 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:05:33 ID:MC98zB1P
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106 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:05:44 ID:OTdb5eR2
 

107 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:05:57 ID:J0/YEsBf







 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







(これで……だいたいはOKね。後は動くかどうかね……ん、あれは?)
車の修理をだいたい終えたつぐみの目に見えたのは

「おーい! クラゲ! ヘタレ連れてきたぞー!」
「だから、ひっぱるな! それとヘタレじゃないって」

純一を引っ張ってきたきぬだった。
どうやら予想通り説得は成功したらしい。
つぐみは笑みをたたえて

「お帰り、カニ……それと純一」
「おう、帰ってきたぞ」
「ああ、ただいま」


108 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:06:27 ID:i3JH8RBz


109 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:06:59 ID:J0/YEsBf
そして純一はつぐみの方を向いた。
その顔にはもう殺気はなかった。
「つぐみ、もう一度頼む。ホテル連れてっていってくれ。力を貸してくれ」
「俺はもう信念を曲げない。だから頼む!」

つぐみは目を閉じ考えながら
「もう勝手な行動しない? どんな事でも迷わない?」
「ああ。約束する」

つぐみは目を開け
「どうやら、元に戻ったみたいね、貴方はそうやって理想を貫きなさい。どんな事を言われても、どんな事があっても」
「行きましょう、ホテルへ。貴方がそうならば大丈夫ね。元々いくつもりだったし」

純一は嬉しそうに
「いいのか?」
「ええ、もちろんよ」


110 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:07:30 ID:OTdb5eR2
 

111 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:07:55 ID:J0/YEsBf
そういってつぐみはペンと紙を出した。
そして見られないところに移動し
『これからのプランを説明するわ。』
と書き出した。それと同時に
「それにしても純一凄く顔腫れてるわよ?」
『いい? これからすぐ出発するわ。襲われてるのならゆっくり出来ない。それでフェリー、教会、病院についていくかどうかは近くを通る時に決めるわ。船着場については今回は行かない事にするわ。ここまでOK?』
「まあ、色々あったんだよ」
『わかったそれでいいぜ』
「色々ねぇ・・・・・・まあいいわ」
『じゃあ……これでいいわね。とりあえず目標は白河ことりの救出。その後はホテルを拠点に潤たちを待ちつつ仲間を集めるということよ。異論はない? いいなら出発するわよ』
『ボクはそれでいいぜ』
『俺もだ』

そこでつぐみはペンを置き
「じゃあ行きましょうか」
「ああ、行こう」

三人が立ち上がり行こうとするも、つぐみがそれを止めた
「あ、ちょっと待って純一」
「何だ?」
「白河ことりはどんな特徴をしてるの? 教えてくれる?」
そうつぐみが聞きたかったのはことりの特徴。
助け出す人間の特徴がわからなきゃどうしようもないからだ。

112 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:08:14 ID:i3JH8RBz


113 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:08:24 ID:OTdb5eR2
 

114 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:08:44 ID:MC98zB1P
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115 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:09:15 ID:J0/YEsBf

「そうだな……赤い髪をして、美人だな、それと性格もよくて、誰からも好かれてたな」
純一のことりの特徴の話が続く。
だんだん脱線してきたのだが。

だが純一はきぬがプルプルと震えてたのに気付かなかった。
「歌が上手くて後は料理が断然上手かったな。他には……ぎゃは!?」
隙ができてた純一にきぬが放った裏拳1発。
それは気持ちよく鳩尾に決まっていた。

「が……は……蟹……沢?」
「なんか、すっげーむかつくんだよ、あーむしゃくしゃする! このヘタレが! いこクラゲ」
「え、ええ」
そうしてきぬはつぐみを引っ張り車の所まで行った。

「おーい、待てよ! 何で蟹沢に殴られないといけないんだよ」
純一も慌てて付いていった。

その後無事車もかどうし純一たちは出発した。

だけどきぬが抱いた不思議な感情は消える事はなかった。






116 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:09:18 ID:MC98zB1P
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117 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:09:48 ID:J0/YEsBf
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







あれ? なんだここ?
何で俺は今教室にいる?
ああそうか俺は寝てしまったのか。

そうこれはきっと誰かの夢の世界。
俺の能力で紛れ込んだのか。

俺に見えるのは沢山の学生が笑ってる姿。
とても幸せな風景。

その一人に目がいった。
あれは蟹沢?

そうかこれは蟹沢の夢。
蟹沢の日常だった風景。
もう二度と戻れない風景。

俺は目を逸らしたいけど逸らせなかった。

が、その瞬間、世界が変わった。

118 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:09:53 ID:OTdb5eR2
 

119 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:10:06 ID:i3JH8RBz


120 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:10:07 ID:MC98zB1P
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121 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:10:31 ID:J0/YEsBf



多分別の人の夢に行ったんだろう。


これは原っぱか
6人の男女が絶望していた。

一人の男が喋る
「どうやら……完璧に脱出は無理のようだ」

一人の小柄の少女が反論した。

あれ?
何処かで見たような?

「まだ、諦めちゃダメです! まだきっときっと出来ます!」
「いや無理だ。なら皆やる事はわかるかい?」

他の4人の人達がうなずいた。
そして銃を取り出し

自決を始めた。

銃の音が空しく響く。


122 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:10:49 ID:i3JH8RBz


123 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:10:55 ID:OTdb5eR2
 

124 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:11:10 ID:J0/YEsBf
それはなんて悲しい光景。

少女が叫ぶ
「どうしてですか! やめてください!」
「これは皆で約束した事なんだ。脱出が無理ならお前を優勝させようって」
「え?」
「だから」
男が銃を頭に向け

「さよなら。君はいきぬいて。世界は君を拒絶などしない」

トリガーを引いた。

その瞬間少女に血がかかる

「どうしてですか? 一度はゲームに乗ったのに……他の人が生きた方がいいのに……どうして――子を生かすんですかぁぁぁぁぁぁぁ!」

少女のがなく声がひびく
5つの死体に囲まれて。
空にはまん丸の月。沢山の星

ずっと響く彼女の声。

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」

そんな残酷な風景を後にして俺はまた違う夢に飛んだ。


125 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:11:15 ID:MC98zB1P
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126 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:11:44 ID:OTdb5eR2
 

127 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:11:45 ID:i3JH8RBz


128 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:11:45 ID:MC98zB1P
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129 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:11:53 ID:J0/YEsBf







 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・












【C-8 平原/1日目 夜中】



130 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:12:23 ID:MC98zB1P
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131 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:12:35 ID:J0/YEsBf
【カニとクラゲと暫定ヘタレ】
基本思考:ゲームを止める
基本方針1; ホテルに行き白河ことりの救出。座礁したフェリーを確、教会、病院、行く稼動かは保留。船着場は行かない。その後はホテルで潤を待つ
基本方針2;その最中でゲームに乗ってないものと合流できたら合流する。
基本方針3;またそのなかで暗号文、廃抗別入り口、禁止エリアでカモフラージュされた何か、電力の供給源、首輪の解除方法、の手がかりも見つける



【備考】
※佐藤良美とネリネをマーダーとして警戒しています。 鳥も参加してる事も知りました。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※つぐみ達の車にキーは刺さっていません。燃料は軽油で、現在は約三分の二程消費した状態です。
※山頂に首輪・脱出に関する重要な建物が存在する事を確認。参加者に暗示がかけられている事は半信半疑。
※山頂へは行くとしてももう少し戦力が整ってから向かうつもり。





132 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:12:42 ID:OTdb5eR2
 

133 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:12:46 ID:i3JH8RBz


134 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:13:07 ID:J0/YEsBf
【小町つぐみ@Ever17 -the out of infinity-】
【装備:スタングレネード×9、ミニウージー(16/25)】
【所持品:支給品一式x2 天使の人形@Kanon、バール、工具一式、暗号文が書いてあるメモ】
【状態:健康、】
【思考・行動】
基本:武と合流して元の世界に戻る方法を見つける。 ゲームを終わらせる。
1:ホテルに行きことりを救出。
2:武を探す。
3:ゲームに進んで乗らないが、自分達と武を襲う者は容赦しない
4:圭一を探す(見つければ梨花達の事を教える)
5:四姉妹の話が真実か確かめる



【備考】
赤外線視力のためある程度夜目が効きます。紫外線に弱いため日中はさらに身体能力が低下。
参加時期はEver17グランドフィナーレ後。



※純一 とは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※音夢とネリネの知り合いに関する情報を知っています。
※北川、風子、梨花をある程度信用しました。
※投票サイトの順位は信憑性に欠けると判断しました。
※きぬを完全に信用しました。
※鷹野の発言は所々に真実はあっても大半は嘘だと思っています。


135 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:13:46 ID:i3JH8RBz


136 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:13:48 ID:MC98zB1P
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137 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:13:49 ID:OTdb5eR2
 

138 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:14:27 ID:MC98zB1P
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139 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:14:41 ID:J0/YEsBf


【蟹沢きぬ@つよきす-Mighty Heart-】
【装備:拡声器】
【所持品:竜鳴館の血濡れのセーラー服@つよきす-Mighty Heart-、地図、時計、コンパス
     支給品一式x3、投げナイフ一本、ハクオロの鉄扇@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、
     麻酔薬入り注射器×2 H173入り注射器×2、炭酸飲料水、食料品沢山(刺激物多し)】
【状態:強い決意、両肘と両膝に擦り傷、左手指先に切り傷、数箇所ほど蜂に刺された形跡、首に麻酔の跡、疲労小】
【思考・行動】
基本:ゲームに乗らない人間を助ける。ただし乗っている相手はぶっ潰す。
0;睡眠中
1:ホテルに行きことりを救出
2:圭一、武を探す
3:病院に行った後、宮小路瑞穂達を探す。
4:ゲームをぶっ潰す。
5:よっぴーに不信感。
6:純一への不思議な感情
7:ことりへの微妙な嫉妬


【備考】
※仲間の死を乗り越えました
※アセリアに対する警戒は小さくなっています
※宣戦布告は「佐藤」ではなく「よっぴー」と叫びました。
※つぐみを完全に信用しました。つぐみを椰子(ロワ不参加)に似てると思ってます。
※鷹野の発言は所々に真実はあっても大半は嘘だと思っています。
※純一と絆が深まりました。純一への不思議な感情を持ち始めました。ことりへの微妙な嫉妬をいだいだいてます

140 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:14:49 ID:OTdb5eR2
 

141 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:15:03 ID:i3JH8RBz


142 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/22(土) 01:16:20 ID:J0/YEsBf



【朝倉純一@D.C.P.S.】
【装備:釘撃ち機(20/20)、大型レンチ】
【所持品:支給品一式 エルルゥの傷薬@うたわれるもの オオアリクイのヌイグルミ@Kanon】
【状態:精神疲労・強い決意・血が服についている、顔がボコボコ、口の中から出血、頬に青痣】
【思考・行動】
基本行動方針:人を殺さない 、殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出
0:夢の世界に旅立っています。
1:ホテルにいきことりを救出。
2:つぐみと蟹沢で武を探す。
3:つぐみと蟹沢を守り通す
4:ことり、圭一を探す。
5:さくらをちゃんと埋葬したい。
6:理想を貫き通す。


純一の参加時期は、音夢シナリオの初キス直後の時期に設定。
※つぐみとは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※北川、梨花、風子をかなり信用しました。
※蟹沢と絆が深まりました。
※自分自身をヘタレかと疑ってます。
※鷹野の発言は所々に真実はあっても大半は嘘だと思いたい。

143 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:16:37 ID:OTdb5eR2
 

144 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:16:46 ID:i3JH8RBz


145 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 01:17:03 ID:MC98zB1P
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146 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/22(土) 21:58:49 ID:NQVvINpE
【伝説のネトゲ】THE-0-BLADE【第4期開始!】
よろしくです!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1116606

147 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:50:16 ID:yjLmRMhA
林の中を一台の自動車がゆっくりと走っていた。
否、走っているというよりは暴れていると取ったほうが正しいだろう。
道なき道を走る車を止めてやろうと言わんばかりに木々が視界を塞ぎ進行を邪魔している。
そして舗装されていないでこぼこな地面が車体を大きく車を揺らしていた。

迫り来る木々を交わしながら走行を続けていた車ではあったが、おもむろに速度を落とし呼吸を止めるようにエンジン音を落とした。
おとなしくなった車のドアが勢いよく開き、降りてきたのは二人の子供の姿――北川潤と古手梨花だった。

「……さすがにこれ以上は車だと危険だな」
「そうね……むしろよく今まで生きていられたと思ったほうが正しいわ」

皮肉を込めながら、梨花は車の前面を見やりながら言う。
元々が無事とは言いがたかったその車体はすでに細かい傷だらけで、動いていなければ廃車と見間違うくらいなほどにボロボロになっていた。

「しょうがない、こっからは歩きで行くしかないか」
「車は? こんな所に置いて行くの?」
「どうしようもないだろ? 免許も持ってない俺がこんな山の中をここまで進んで来れただけでも奇跡に近いんだぜ?
 まさか同じ道をまた戻れって言われても、それこそ奇跡でも起きないと無理に決まってるさ」
「…………はぁ」

必死に反論する北川を見ながら、呆れ果てた様に梨花はため息をつく。

「奇跡奇跡ってバーゲンセールでもしてるの? そんなくだらないことに奇跡なんて使って欲しくないもんだわ」
「ぐ……」
「まあそれでも言ってることは正論ね。確かに戻るよりは歩きでも進んだほうが現実的」
「だ、だろ?」
「それじゃそう言うことで、潤。風子を起こしてきて頂戴」

そう言って梨花は視線を後部座席に移す。
先には、車の後部座席ですやすやと眠っている風子の姿があった。


148 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:50:58 ID:CC9SsTKz
 

149 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:51:15 ID:yjLmRMhA

――それでは風子は一眠りしますので、着いたら起こしてください。
――置いて行ったりなんかしたら後でひどいですよ。

車に乗り込んで早々二人に言い放つと、それから今までずっと眠りこけていたのだ。

「まったく……あの揺れで一回も目を覚まさないものだからたいしたものだわ」

自分は車酔いで気分は悪いし、それにあの運転のせいで生きた心地なんてしなかったというのに……。
やれやれと肩をすくめそんな事を考えながらも、小さく笑みをこぼしながら梨花は言った。

「――潤?」

一方の北川はと言えば、今の梨花の言葉を聞いていなかった様な、どこか遠くを見ながら呆けていた。
その不思議な態度に思わず梨花は「どうしたの?」と尋ねていた。

「……あ、いや、なんでも……ない」
「そう? なら良いのだけれど」
「それより梨花ちゃん、ちょっと危険が無いかその辺見てくるから、風子のこと頼んでいいか?」
「え、別に構わないけど……で――」

どこか様子のおかしい北川の態度に訝しげな表情を浮かべながらも梨花が答えると

「さんきゅ! じゃ行って来る。なに、すぐ戻ってくるよ」

と、梨花の言葉を最後まで待たずに北川は駆け出していった。

「――も、って……ねえ、ちょっと! 潤!? ……もう。何なのかしら。別にこれがあるからそこまで気を入れなくてもいいと思うのだけれどね」



150 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:51:35 ID:CC9SsTKz
 

151 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:52:16 ID:yjLmRMhA
梨花の手に握られていたのは、杉並、鳴海孝之と持ち主を転々としながら渡り歩いている首輪探知レーダーの姿だった。
見れば北川のものと思しき光点がどんどん離れていっているのがわかる。
そしてほんの数十メートルほど進んだあたりでピタリとその動きが止まっていた。
その光を見ながら梨花はくすりと笑い

「トイレならそう言えばいいのに――」

梨花はゆっくりと車体に近づき、後部座席のドアへと手をかけると一気に開け放った。

「風子、起きなさい」
「……Zzz」
「ほら、ついたわよ」
「…………Zzz」
「おいてくわよ?」
「………………Zzz」
「……しょうがないわね、もう」

困り果てた表情を浮かべながらも梨花は車の中へと入り込み、風子の身体を揺らしては声をかける。
その表情は、日常の北条沙都子に対する表情となんら遜色ない穏やかなものであった。



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 



梨花が風子を起こそうと奮闘している中、一方の北川と言えば――


152 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:52:31 ID:CC9SsTKz
 

153 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:53:03 ID:yjLmRMhA

「はあはあはあ……」

全力疾走で車から離れ、そして一本の大木に寄り添いながら荒く肩で呼吸を繰り返していた。

(風子……)

出発してからすぐ眠りに入り、そして今まで生死のかかったドライブをしていたせいもあり完全に失念していた事。
鷹野の言葉を聞いて以来、北川は風子の顔がまともに見れなくなっていた。
風子が眠りについた時なんて安堵のため息さえ漏らしていた。
もやもやとした感情の中で、風子が北川に見せたのは初めて出会った時と何も変わらない笑顔。
やっている事だって何も変わってないし、むしろ接していた時間が距離を近づけてくれたのだろう、内容を濃くしてくれている。

だが、それら全てが演技かもしれない。
信用させるだけさせて、気を抜いたところで自分は――

「そんなわけ、あるかっ!」

沸きあがる疑念を必死に振り払おうと頭を振る。

(風子は、風子だ――)

心の中で必死に否定の言葉を繰り返す。

――全員殺したわ

だがそれと同時に鷹野の言葉が心の中で反響する。

――殺したわ



154 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:53:12 ID:CC9SsTKz
 

155 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:53:44 ID:yjLmRMhA
何を考えても一度沸いた疑念は消えようとはしてくれない。

――殺……

「うるせえええええっっ!」

幻惑をかき消すように目の前の幹に全力で頭を叩きつけた。
ドンッと鈍い音が響き、木の葉が北川の身体へと舞い落ちていく。
痛む頭を抑えながら思い出したように時計を見ると、気付けば十分も立っていた。

「やべっ!」

帰りが遅い自分を何事かと思うだろう。
梨花ちゃんも……勿論風子も。
こんなことで心配かけてもしょうがないことだ。
そう、だって風子は風子なんだから。

そう思い込もうとしながら北川は来た道を引き返し走り出した。

(大丈夫、大丈夫だ)

それは虚構に捻じ曲げられた事実を否定する北川の願い。

(風子は仲間だ!)

その願いは叶っている。

(なあそうだろ!?)

元々願う必要なんかない事を北川は知らず、無意味な思考だけを繰り返しながらひた走る。


156 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:54:09 ID:CC9SsTKz
 

157 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:54:19 ID:yjLmRMhA


―――――そして


「――北川さん。どこ行ってたんですか!? 風子待ちくたびれちゃいました」


何も変わらない声を聞いて。

何も変わらない顔を見て。

それでも襲い来る不安に北川は平常心を保つのに必死だった。




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 




ここで時間と場所は少し移る。
大木の上部に生えた枝の上と言う一見では誰も気付かないような場所。
そこには身動き一つせずじっと身体を休めている小さな影があった。
鋭い鉤爪で木の枝を握り締めながら、異端の参加者であるオウム……土永さんは機をうかがいながら休息を取っていた。
丸く大きな瞳を二度三度と瞬かせながら辺りを確認する。
「うむ……もう問題ないようだ」



158 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:54:49 ID:CC9SsTKz
 

159 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:55:21 ID:yjLmRMhA
一般的に『鳥目』と言う言葉があるがこれによって鳥が夜は前が見えないと思ってる人も多いかもしれない。
だがそれは大きな間違いである。
確かに幹体の発達した哺乳類には劣るもののまったく見えなくなるわけではない。
暗闇に順応する為に費やす時間が哺乳類よりも時間がかかるのは間違いないが、突然の暗闇でもなければまったく見えなくなることもないし
哺乳類に比べてそこまで視力が劣るわけでもないのである。

だが、月明かりの中疲労も気にせず飛び回っていた土永さんには予想外の事実が起きた。
いつの間にか上空には厚い雲が広がり、辺りを照らしていた月明かりが徐々に隠されていったのだから。
薄暗くなっていく景色に動揺の色を隠しきれない。
実際どんどんと視界が狭くなっていくのがわかった。
苦渋に満ちた表情を浮かべながら、そばにあった木へと降り立ったのが少し前の出来事だった。

そして今、昼間とは遜色無いほどに目の前の様子がクリアに映し出されている状況を確認し――

「――すまない祈……無駄な時間を取ってしまった」

折りたたまれた翼を大きく広げ、捕まっていた枝を全力で蹴り上げると再び闇に包まれた大空へと飛び立った。

時間にしては三十分にも満たない休息だった。
だが、土永さんにとってはそれは自分の帰りを待ち続けているものへの裏切り行為に他ならない。

心の中で何度も何度も謝罪の念を込めながら彼は翼を羽ばたき続ける。
これから先、目の前の状況何一つ見逃してはいけない。
一つの慢心が死を招く。
一つの油断が機を逃す。
それは――生き延びる為。
それは――愛するのものの元へと帰る為。
それは――その手段を探す為。

注意深く辺りを見渡し、そして明らかに異となるものはすぐに見つかった。


160 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:55:37 ID:CC9SsTKz
 

161 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:56:08 ID:yjLmRMhA
暗闇の中を動く小さな光が三つ。
上空は雲で覆いつくされ僅かな月明かりも指さぬ闇の中、その光は不自然さを際立たせるほどに辺りを照らしていた。

恐らくは支給品であるランタンであろう。
すぐに土永さんはそう結論付けながら……ある疑問が生じた。

いつ誰が襲ってくるかもわからない状況で自分の居場所を教える行為をするのは何故なのか?

まさか開始からこれだけ時間が立ちながらいまだに鷹野という女の言葉を信じてないということはあるまい。
なれば誰かに襲われても問題は無いと言う事なのか。
そうだとするとそれの意味するところは?
簡単だ、撃退するべき手段があるという事。
この殺し合いに乗ったものなのかそうでないものかはそれだけでは判断することは出来ない。
だが少なくとも武器らしいものは持っているはずだ。

光をじっと見つめながら、土永さんは思考をめぐらせる。
この暗闇なら見つかることは間違っても見つかることはないだろう。
だが、自分の保身の事を考えるならばあの光は自分にとっての凶星でしかない。
ならば長居は無用だろう――土永さんがそう考えるとほぼ同時に、三つあった光のうち二つが唐突に闇と同化する様に消えていた。
そしてなにやら下のほうが騒がしい声が聞こえてきた。
が、この距離ではさすがに内容までは聞き取ることが出来ない。

「む?」

土永さんは一つになった光を見下ろしながら、話の内容を聞き取ろうと神経を耳へと集中させはじめ、そして――



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 




162 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:56:30 ID:CC9SsTKz
 

163 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:58:10 ID:yjLmRMhA


時は土永さんが休息を終え、飛び立った直後まで遡る。
上空は雲に覆われ、さらに深く茂った木々により完全な闇となった森の中を歩く三名の姿があった。
北川潤、伊吹風子、古手梨花……彼らのその手には、目の前を闇を邪魔だと言わんばかりに排除する光。
支給品でもあるランタンが握り締められていた。
確かに光無しでは足元ですらまったく見えない森の中を彼らは歩いていた。
だがここで、土永さんが抱いていた疑問が浮上する。
何故彼らは自分達の位置を教える事になるであろうランタンをつけて動いているのか。

「潤、どう?」
「ん……なーんにもも変わらず。まったく問題なし。ノーブロブレムさ」

レーダーをちらりと確認しながら潤は尋ねた梨花へと言葉を返す。
画面上には光点が三つ。
つまりここにいる自分たちだけと言う事だ。
これなら誰かが近づけばすぐにわかる。
もし誰かに見つかったとしてもすぐにランタンを消せばこの暗闇ならすぐ自分達を追う事は難しいだろう。
分断して逃げる事になったとしても合流は簡単だ。
そうなった場合のことも綿密に打ち合わせをし、実際今まで誰とも遭遇することなくホテルまでもうすぐと言う位置までに来ているのだから。

「北川さんは少し能天気すぎなのです。もう少し緊張感を持ったほうがいいです」

どこかふざけたような北川の返事に小さくため息を漏らしながら風子が毒づく。

「そうね……さっきも言ったけどレーダーがあるとは言え光を灯して自分達の位置をこんなあからさまにするなんて私はやっぱり賛成できないわ」
「本当です」


164 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 19:58:38 ID:CC9SsTKz
 

165 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 19:59:29 ID:yjLmRMhA

狼狽する北川を尻目に二人の少女は

「「……はあ」」

と再びため息をついた。




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 




――俺だってこんな危険な真似したくねえよ
口からその言葉が飛び出しそうになるのを北川は慌ててこらえていた。
……確かに二人の言うことは正しい。
むしろ自分だって出来るものならそうしたい。
こんなランタンなんて危険なもの消せるものなら消したかった。

――教えてあげるのはある一人の参加者の事よ。その人は実はこのゲームの前に同じような殺し合いゲーム参加していたのよ。

鷹野の言葉を信じているわけじゃない。

――残りグループの人間を全員殺したわ。そして優勝。無垢な笑顔してその実態は鬼のその者だったわ。

今だって鷹野の言葉なんかより、目の前にいる少女自身のことを信じている。

――その人の名は、伊吹風子よ。


166 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:00:01 ID:CC9SsTKz
 

167 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:00:19 ID:yjLmRMhA

なのに、自分に向けるその無垢な笑顔を見るたびに、今はもう戦慄を覚えていた。
ランタンをつけようと提案したのもこれのせいだ。
もしも真っ暗闇になって、風子が襲い掛かかってきたらどうすればいいんだ!
そんなことはあるはずがないのに。
でもその可能性を絶対否定しきれない自分もいて。
そんな自分が嫌になりながら、少しでも能天気に振舞って。

(お前は何を考えているんだ?)

(その笑顔は本物なのか?)

何度も頭の中で反芻した疑問。
勿論そんな事は聞けるわけが無い。

自分がそんなことを考えているなんて知られたら風子は間違いなく傷つくだろう。
だって、そんな事はあるはずが無いんだから。
でももしも……もしもだ。首を縦に振られたら?
正体がばれたと襲い掛かってきたら?
自分の身を、そして梨花ちゃんを守る為に風子と戦う?
戦うって事は殺すって事か?

「……ん」

俺が?

「……潤」

風子を?



168 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:00:54 ID:CC9SsTKz
 

169 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:01:26 ID:yjLmRMhA
「潤!!」

突如耳に響いた梨花ちゃんの声に俺の思考はそこで停止されていた。
いや突如でもないか。
なんとなく聞こえていたけど気にも留めてなかってことだ。
俺はどうやらまた思考の迷路に入り込んでたらしい。
歩きながら何度も何度もこのことばかりを考えてしょうがない。

「ぼーっとしてないで潤!」

言いながら梨花ちゃんが俺の手からランタンをひったくっていた。

「えっ?」

気付けば二人ともランタンを消しており、そして今まさに俺のものをも消そうとしていた。

「レーダー!」

その言葉に視線をレーダーへと移す。
光の数が1、2、3、4……4!?
ほんの少し目を離しただけ……にもかかわらずいきなり現れた光点。
それはありえない事に自分達とぴったり重なって映っていた。

慌てて俺はコルトパイソンを取り出し、レーダーと辺りを交互に見渡す。
だがいくら見渡しても目の前には風子と梨花ちゃんの姿しか見えない。

「なんだこりゃ!」
「私に聞かれたって知らないわよ!」

梨花ちゃんもわけがわからない様子で俺に叫び返す。

170 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:01:39 ID:CC9SsTKz
 

171 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:03:56 ID:yjLmRMhA

「それよりも早くランタンをです!」

……それは至極当然のこと。
レーダーに自分達以外の光が映ったら即座にランタンは消すという打ち合わせ。
そう叫んだのも打ち合わせ通りのことをしようとしただけに違いない。
だからその言葉自体になんら疑問に思う必要なんてないのだ。

そう、ないはずなのに――




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 





何が起きたかわからない。
ここにいるのは私と、潤と、風子の三人。
でもレーダーに映っていた光点は四つ。
表示される範囲を調べてみた事を頭に入れて考えても、これだけ近くで光ってるならすぐ隣にでもいなければおかしいはず。
でも誰もいない……。
そんな疑問を整理させる時間を拒絶するように、さらにありえない現実が私に襲い掛かってきた。

「うわああぁぁぁぁっっっ」

聞きなれていた声。
でも私の耳に届いたそれはいつもおちゃらけていた声とはまったく違う、搾り出したような怯えた声。


172 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:04:08 ID:CC9SsTKz
 

173 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:05:05 ID:yjLmRMhA
顔をその主――潤へと向ける。
潤はいつの間にか銃を構えて全身を震わせて……やっぱり誰かがいた!?
身構えながら視線を銃口の指示す先に移すも、そこにはやはり四人目の姿は見受けられない。
でも代わりにそこにいたのは……。
手を震わせがらもしっかりと向けた銃口の先には――風子の姿があった。

風子は何がなにやらわからない様子で、首を振りながら私と潤の顔を交互に見ている。

「潤! なにをしているの!?」
「なにって! こいつがランタンを消せってっっ!」
「……え?」

潤の答えの意味するところがわからない。
レーダーに反応があったから私も風子も打ち合わせどおりランタンを消した。
そしていまだ付けっぱなしだった潤のランタンを風子は消すように示唆した。
それがなぜあんな表情で風子に対して銃を向ける理由になるというのか?

「潤! 何を言っているの!?」
「何を言ってるって、今言ったとおりだよ! 消させたところを暗闇に乗じて俺らを殺そうとしてるに違いないんだ!」
「……は?」

おかしい……明らかに今の潤の言動は支離滅裂だ。
そして表情も、狼狽振りも、一目でわかるほどに冷静さを欠いていた。
雛見沢症候群を嫌と言うほど見てきた私だからわかった。
あの目は疑心暗鬼にとらわれていたあの頃の圭一と同じだ。
勿論、雛見沢と関係の無い彼があれに感染しているわけではないだろう。
だからと言って感染してなければ疑心暗鬼に陥らないわけではないのだ。
間違いなく彼は風子にたいして何らかの疑心を抱いている。
でも今までそんなそぶりは一つも無かったのに……急に何故?

174 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:05:35 ID:K5uscNNd


175 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:05:36 ID:CC9SsTKz
 

176 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:05:40 ID:uZvGeAZn


177 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:06:08 ID:yjLmRMhA

「北川さん……急にどうしたんですか? 風子、何か悪いことしましたか?」

風子の様子にしたっていつも通りだった。
今だって何かをしたわけじゃない。
それなのにどうしていいかわからないと涙をこぼしながら潤の顔をじっと見つめていた。

「そ、そんな顔に騙されるかよ!」

潤は風子の顔を見据えながら強い口調で言い返すと

「俺は知ってるんだぞ……! お前、前もこんな殺し合いに参加した事があるらしいじゃないかっ!!」

「「!!??」」

潤の言葉に反応して、思わず私は風子の方へと顔を向けた。
同じように風子もこちらを見て……そして目が合った瞬間気まずそうに視線を逸らしたのが見て取れた。

「…………本当なの……風子?」

言葉がすぐには出てこなかったが、搾り出すように私は唇を動かす。
でも、風子は何も答えない。
代わりに潤が、おおよそ彼らしくない声で答えていた。

「その様子だと本当かよ……くそっ! くそっ!!
 そうやって前でも騙して人を殺して帰ったってわけか!」

潤の手は震えながら、それでも握り締めた銃をはなさまいと再び力を込めているのがわかった。



178 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:06:21 ID:CC9SsTKz
 

179 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:06:30 ID:K5uscNNd


180 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:07:01 ID:yjLmRMhA

「潤……どうしたの!? なにがあったの!? さっきまでずっと三人で笑ってて、一緒に頑張ろうって言ってくれてたじゃない!」
「教えてくれたんだよ、親切な主催者さんがこいつは人殺しだって!
 同じような殺し合いに参加して! 俺たちみたいな脱出をしようとする人間と組んで!
 そして最後に脱出できないことがわかってみんな殺して一人生き残って優勝だそうだ!」
「違いますっ!」
「何が違うってんだよ!」

何度「信じられない」と言う言葉を使えばいいのかわからない。
それぐらいさっきから私の目の前で起きている事は「信じられない」ことばかりだった。
呆然としてしまいそうになるのを必死に思いとどまる。
動かなければ何も変わらない事はもう嫌と言うほどわかったではないか。
だから私は潤の身体へと駆け寄り、銃を支えるその腕を思いっきり引っ張りながらあらん限り叫んでいた。

「落ち着きなさいっ! 潤!!」
「これが落ち着いてられるかよ!」
「いいからっ!」
「うるせえっ!」

潤は私の身体を思い切り跳ね除け、私の身体は衝撃と重力に逆らうことも出来ずに後ろへと倒れこんだ。

「梨花ちゃん!」
「動くなっ!」

私に駆け寄ろうとした風子だったが、潤がそれを許さなかった。

「梨花ちゃんを人質にしようったってそうはいかねーぞ。もう騙されるもんか、この悪魔め!」
「……違います、本当に違うんです……風子は…………風子は…………」

181 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:07:26 ID:K5uscNNd


182 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:07:27 ID:CC9SsTKz
 

183 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:07:45 ID:w35HCiSH


184 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:09:47 ID:yjLmRMhA
大粒の涙を流しながら、風子がかぶりを振っている。
いつも猫をかぶっている自分だから直感した。
あれは絶対に演技ではない!

「じゃあ鷹野が嘘を言ってるのか!? お前は俺たちに何も隠してないのか!?」
「…………それは」

場に沈黙が訪れる。
それはほんの数秒だったはずなのに、私には何十分にも何時間にも感じられた。
そして――冷たい風が私の首元をなでるように吹きつける。
同時にずっと項垂れたままだった風子が顔を上げた。
どこか悲壮に感じられるその表情。
零れる涙を拭おうともせず小さな口を開こうとしているのが見えた。

「…………私が」

その先を言わせてはいけないと直感した。
私達にとって良い結果であれ悪い結果であれ、今の潤にはおそらく彼女の言葉は届かない。

「…………同じような殺し合いに参加していたのは本当です」

そこから先は何かを考る前に身体が動いていた。

「でも――」



185 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:09:58 ID:K5uscNNd


186 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:10:13 ID:CC9SsTKz
 

187 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:10:51 ID:yjLmRMhA

立ち上がった私は必死に腕を伸ばす。
目の前にある潤の身体。
ほんの少しだけ伸ばせば届く距離。


でもその距離は永遠に感じるほど遠く……風子の言葉をかき消すように銃声が鳴り響いた。





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 





188 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:11:03 ID:CC9SsTKz
 

189 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:11:22 ID:K5uscNNd


190 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:11:41 ID:yjLmRMhA


たった今聞こえた音……それは昔祈と見に行った花火の音によく似ていた。
だが辺りの暗闇のまま。自分の知っている花火とは光と共にあるはずだ。
ならばなんだ?

それを考えた瞬間背筋に冷たいものが走っていた。
いまさら我輩は何を言っている。
この島で花火などと言う平和を象徴するものがあるはずがないではないか。
自分はもう何度も同じような音を聞いている。
――銃。
指先一本で命を奪うことの出来る人間の作り出した兵器。
一体誰が?
そんな事は考える必要は無い。
わかっている事はただ一つ、ここに留まるのは危険だと言うこと。
そうだ、何よりも早くここを離れなければ。
どこでもいい。
今ははただ遠くへ!


【D-5北西 森/1日目 真夜中】




191 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:11:54 ID:CC9SsTKz
 

192 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:12:27 ID:yjLmRMhA

【土永さん@つよきす−Mighty Heart−】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:健康 動揺・混乱】
【思考・行動】
基本:最後まで生き残り、祈の元へ帰る
0:自分の保身を絶対の第一に考える
1:もっとまともな操り人形(銀髪の少女(智代)を候補に考えている)を探す。争いの種をまく。
2:自分でも扱える優秀な武器が欲しい、爆弾とか少量で効果を発揮する猛毒とか。
3:少し冒険してでも参加者たちを扇動したい
4:基本的に銃器を持った相手には近づかない
5:川澄舞を強く警戒、出来ればもう会いたくはない
6:もしも予測が真実なら、生徒会メンバーを生き返らせて日常に帰りたい


【備考】
土永さんの生徒会メンバー警戒順位は以下の通り
よっぴー>>>>(越えられない壁)>カニ
銀髪の少女(智代)を捜すため北上していましたが、今はその事よりもこの場から離れることを優先しています
どちらへ向かったかは次の書き手にお任せ





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 






193 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:12:31 ID:K5uscNNd


194 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:12:53 ID:CC9SsTKz
 

195 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:13:33 ID:yjLmRMhA

目の前で鮮血が舞っていた。
風子は迫る地面から身を庇おうともせずに前のめりに崩れ落ちていった。
ゆっくりとゆっくりと。
映画のワンシーンでも見るような、そんな光景をまるで他人事のように眺めていた。

それを邪魔するように俺の身体に軽い衝撃が走る。
だが、それも最初は何が起こったのかわからなかった。
反射的に下を見下ろすと、梨花ちゃんが俺の身体へとぶつかってきていたのだ。
その顔は俺のほうは見ておらず、青ざめながらある一点……倒れこんだ風子に向かっていた。

「ふうこーーーっっ!!!」

梨花ちゃんは俺の身体を突き飛ばすと、大声を上げながら風子の元へと向かい駆け出していた。
そこでようやく意識がはっきりとする。
そうだ、俺は風子を撃ったんだ。
俺らを裏切ろうとしたあいつを!

「だめだっ!」

崩された体勢を立て直し、風子に駆け寄ろうとする梨花ちゃんの細い腕を掴み取るその身体を勢いよく引き寄せる。
まだ生きてるかもしれないんだ、迂闊に近づいたら危険だ。
だが、梨花ちゃんは俺の腕を振り払うように強く暴れ、そして俺のほうに向き直りながら勢いよくまくし立て始める。

「何を言ってるの!? 潤! あなた自分が何をやったかわかっているの!?」
「ああ、わかってるさ。俺たちの敵を撃ったんだ」
「――っ! わかってないわ! 敵? 馬鹿げた事を言わないで! あなたは仲間を撃ったのよ?」
「仲間なもんか。俺らを騙してたような奴なんか、仲間じゃねえ!」



196 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:13:53 ID:K5uscNNd


197 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:14:05 ID:CC9SsTKz
 

198 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:14:46 ID:yjLmRMhA

パシッと小気味いい音が俺の耳に届くと同時に、俺の視界は誰もいない明後日の方向へと移っていた。
いや、視界を移したんじゃない。
俺の意思とは関係なく顔が右へと動かされたのだ。
何が起こったのかもわからず視線を元に戻すと……梨花ちゃんが大粒の涙をこぼしながら俺を睨み付けていた。
目の前には梨花ちゃんの小さな白い手、遅れて襲ってきた左頬に広がる痺れる様な痛み。
――ぶたれた……のか。

「……だったら私もあなた達に嘘をついた。出会った時から嘘だらけだったものね」

梨花ちゃんは腕を降ろし、くるりと背を向けると小声でそう呟いた。

「だから私ももう潤の仲間じゃないって事ね」
「ち、ちがっ……」

いまだ彼女の腕を掴んでいた手に力が篭り、梨花ちゃんの言葉を否定しようと声を荒げて叫んだ。

「何が違うのっ!」

だが、梨花ちゃんは振り返ろうともせずに言葉を続ける。

「撃てば良いじゃない。風子と同じように私も撃てばいいじゃない。
 こんな気持ちを味わうぐらいならむしろ最初に出会ったとき殺されたほうがまだ良かったわよ!」
「梨花ちゃんは俺の仲間だ! 信じてるさ! 今だって、これからだって!」
「ならどうして風子の言葉を聞こうとはしないの? 信じようとはしないの!?」

梨花ちゃんは俺の手を跳ね除けながら、今度こそ一直線に風子の元へと駆け寄ってた。
止める事もできず、俺は頭に響く梨花ちゃんの言葉を整理するのでいっぱいになりながら立ち尽くしていた。


199 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:15:08 ID:CC9SsTKz
 

200 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:15:42 ID:uZvGeAZn


201 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:15:45 ID:yjLmRMhA
信じる……?
人殺しの言葉を信じろって?
いやまてよ……風子が一度でもそんな事を言ったか?
風子の事を言ったのは鷹野だ。
もしあれが嘘だったら?
仲間割れをさせるためだったとしたら?
そうだ、風子は言いかけてたじゃないか。
『でも』って言葉を。
否定に繋がるその先の言葉を聞こうともせずに、俺は何の罪も無いかもしれない風子を……撃った?

「風子! しっかりして! 風子っっ!!」

梨花ちゃんの声。
風子を呼ぶその言葉――まだ生きてる!?

その瞬間俺は駆け出していた。
もしも俺の勘違いだったら……俺はなんて事を!

「風子ーーーっ!!」

駆け寄ったそこには、顔から血の気が完全に引き真っ青になりながら荒く呼吸をしている風子の姿。
風子を抱き寄せる梨花ちゃんの服は、風子の腹部から流れ落ちる血によって真っ赤に染まっていた。

「まだ生きてる……でも意識が無いの! 目を覚まさないの!」

見たくなかった。
犯してしまった罪から逃げ出してしまいたかった。

「嘘だろ……」


202 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:16:00 ID:CC9SsTKz
 

203 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:16:45 ID:yjLmRMhA
でも逃げることなんて出来ない。
謝らなくちゃいけない。
風子にも。そして梨花ちゃんにも。

「まだ生きてるんだ……どこかで手当てをすれば!」
「どこで!? まだホテルだって遠い。それより近い建物なんて地図になんて無い!
 このままじゃ……このままじゃ……」
バックから地図を取り出そうとした俺の腕を掴んだ梨花ちゃんの手。
そこにはさっきまで感じていた柔らかい感触はなく、代わりにぬるっとした生暖かい感触が俺を襲う。
風子の傷口から止め処なく溢れ続ける赤い液体。それが梨花ちゃんの手を汚していたのがすぐにわかった。

「くそっ! どうすれば!!!」
「――北川さん……少し五月蝿……いです。もう少……し……静かにし……てく……ださい」
「「風子っ!!」」

絶え絶えな言葉ではあるが、風子が薄く瞼を開いて俺を見ながら悪態をつく。

「……夢を見ていました……ずっと……昔の夢です…………ゴッ」
「喋るな風子!」

風子が咳き込むと同時に口から吐き出された塊。
まだ綺麗な部分が残っていた風子の服を、それは無残に赤く染める。

「忘れ……たくて……も忘れら……れない……風子の……犯してしま……った罪」
「風子っ! 俺はお前に……くそっ! ごめん! ごめん! ごめんっっ!!」
「潤……」

謝ったからって風子の傷が治るわけじゃない。
両目から零れる涙。
今は泣いてる場合じゃないだろう。
まずは傷を何とかしないと。

204 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:17:00 ID:CC9SsTKz
 

205 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:18:06 ID:yjLmRMhA

「とりあえず後だ! ほら風子、俺に掴まれ! すぐ手当て出来る場所へつれていくから!」

言いながら背中を差し出す。
梨花ちゃんも俺のやろうとしていることを理解してくれたのか、必死に風子の身体の下へ手をもぐりこませようとしていた。

でも風子は動こうとはせず、首を横に振りながら小さな微笑を浮かべるだけだった。

「北……川さん……。梨花……ちゃん。……ごめ……んなさ……い。風子は話さな……ければいけないことが……あります」
「話なら後で聞くから! だから今はっ!」

梨花ちゃんの制止にも風子は耳を貸さず、たどたどしく言葉を発し続ける。

「少し……長いお話に……なるかもしれま……せんが……黙って聞いて……欲しいです。
 風子が……今回のとは違う、別の……殺し合いに……参……加させられ……たときの…………話です」

風子の言葉に俺の身体に緊張が走るのがわかった。
それは梨花ちゃんも同じで。
抱き上げようとしていた二人の身体がその場でぴたりと止まる。
俺たちのその反応を見ながら、風子は自嘲したような寂しげな表情を浮かべると、ポツリポツリと語りだした。




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 







206 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:18:50 ID:CC9SsTKz
 

207 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:19:44 ID:yjLmRMhA
  あの時の私は……一人で……怖くて……誰も信じられなくて……ただお姉ちゃんのところに帰りたくて

  ……私の通る道にはいつも死体ばかりが転がっていました

  ……私の出会う人はみんな殺し合いに乗っていました

  ……私は何も考えずただただ必死に逃げ続けていました

  でもある時、逃げられずに風子は追い詰められてしまいました

  死にたくない……死にたくない……ただそれだけを考えて

  私に支給されていたのは一丁の拳銃でした

  死にたくない一心でその銃の引き金を引いて……

  そして……気付いたら私を襲っていた人は死んでいました

  呆然としながら泣いて……泣いて……泣いて……

  思ったんです

  みんな殺せばお姉ちゃんの元へ戻れる。だたそれだけを思うようになったんです

  あの頃の風子はどうかしちゃってたんですね

  そして……自分の意思で人を殺しました

  無害な子供の振りをして……近づいて……騙して……

208 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:20:08 ID:CC9SsTKz
 

209 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:20:22 ID:yjLmRMhA

  私は怪我を負い……もう一人で動くこともままならない状況で

  一人の男性に出会ったんです

  彼は脱出を目指している人でした

  仲間を集めてこんなところから逃げ出そうと

  その言葉は私にどんなに衝撃を与えたでしょうか

  もう人を殺さなくてすむんだ

  帰れるんだ

  ただ涙だけが溢れていました

  そして、私は彼と共に行動を共にするようになりました

  彼は優しく、時には厳しく、とても素敵な人でした

  どことなく北川さんに似てるかも……すいません。今のは無しです

  北川さんなんかより百倍格好いいです

  ……話がそれました。今は北川さんのことはどうでも良かったです

  時間は過ぎてゆき……仲間は増えていくものの参加者の人数もどんどん減っていきました

  そしてある時現れた一人の殺し合いに乗った女性


210 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:20:24 ID:uZvGeAZn


211 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:20:45 ID:CC9SsTKz
 

212 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:21:24 ID:yjLmRMhA

  彼女は私が人を殺す現場を見ていたんです

  ……私の罪はばれてしまいました

  当然のごとく糾弾されました

  いえ、それだけじゃすみませんでした

  仲間のみんなが激昂しながら言ったんです

  『こんな奴信用できるわけがない』と

  当然です。風子だって信用できないです

  泣きながら。謝りながら。でも私はきっとここで殺される

  殺されなくても、もう一緒には連れて行ってなんかもらえない……そう覚悟したんです

  でも、彼は違いました

  過去がどうあれ私は仲間であると

  信じられませんでした

  勿論彼以外の人はそんなことを最初は聞き入れようとはしませんでした

  私も、もういいですと言ったんです

  でも彼は諦めず……一人一人と話し合って……そして……


213 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:21:36 ID:CC9SsTKz
 

214 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:21:39 ID:K5uscNNd


215 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:22:12 ID:yjLmRMhA

  なんで彼が私の罪を赦してくれたのか……今でもわかりません

  それでも、私は本当にその時仲間として迎え入れられたんです

  嬉しかったです……言葉になんか出来ないほどに

  そして島内に残る人間は私たちだけになり、脱出の方法を模索しながらも何も成果が見つからないまま時だけが過ぎていきました

  誰も死人が出ずに二十四時間が経過すると首輪が爆発するルール

  そして私達のいるエリア以外は全て禁止エリアに

  チェックメイト……完全な手詰まり

  もうどうしようもない状況で彼は……みんなは……





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 





216 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:22:31 ID:CC9SsTKz
 

217 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:23:01 ID:K5uscNNd


218 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:23:07 ID:muwtQgZA
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219 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:23:43 ID:muwtQgZA
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220 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:24:12 ID:yjLmRMhA

北川さんも梨花ちゃんも、詰まりながら語る私の昔話を黙って聞いていてくれました。
時折見せる信じられないといった表情。
そして人を殺した経験を告げたときの表情。
……話したくなんかなかったです。
自分が人殺しだなんて知られたくなかったです。
でもこれは風子の業だから。
過去の罪が風子を追いかけてきて、そしてそのせいで北川さんを苦しめることになったんです。
風子を撃つなんて選択を取らせてしまったんです。
甘んじて受け入れなければいけないと覚悟しました。
どんなに辛くても。

「……理由はわかりません。でも風子はまたこの島に連れて来られていました。二度と来たくもなかった島に……」

お腹が焼けるように熱いです。
北川さんに撃たれた場所からは、確認するのも馬鹿らしいほどに血が流れ続けていました。
不思議と痛くはありませんでした。
ただ漠然と風子は死ぬんだなと思いました。

死ぬのが怖いとは思いませんでした。
だって、風子はすでにあの時死んでいたはずの人間だから。
怖かったのは、二人に何も伝えることが出来ない事。
前回と今回の奇妙な類似点と言う私だけが知っている唯一のアドバンテージ。
それだけは告げないといけないです。



221 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:24:14 ID:muwtQgZA
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222 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:24:21 ID:K5uscNNd


223 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:24:39 ID:CC9SsTKz
 

224 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:25:10 ID:muwtQgZA
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225 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:25:13 ID:yjLmRMhA
「前に話した廃坑のお話を覚えていますか?」
「風子、もういいよ。わかったから。だから今は無理しちゃダメだ」

北川さん何もわかってないです。
もう風子は喋れなくなっちゃうんです。
零れる涙を隠そうともしない北川さん。
泣かせてごめんなさい。
でも風子の最後の我侭、許してください。

「朝倉さんとつぐみさんが来たときに話した、もう一つの入り口の可能性の話。あれは間違いじゃないです。
 でも、それだけじゃ前回はダメだったんです。まだ何か足りなかったんです。
 それに気付いた時、私たちはもう禁止エリアに囲まれて動くことが出来ませんでした。そうなってからじゃ遅いんです」

時が立てば立つほど、脱出は困難になると言うのに何故風子は演じるなんて愚考をしてしまったんでしょう……。
自分で言ってておかしいですね、そんなの決まってます。
――怖かったから。
ただそれだけ。
本当の自分を知られることも。
信じた人間に裏切られるのも。
二人の事を信用したと思い込んで、でも心の奥底ではやっぱり信用しきれてなかったんですね。

本当に風子はお馬鹿さんでした。
目の前の二人はこんなにも風子の事を思ってくれているのがわかるのに。
今更わかってももう遅いのに……。


ああ、眠くなってきました。
まだ全てを告げていないのに。




226 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:25:51 ID:K5uscNNd


227 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:26:14 ID:CC9SsTKz
 

228 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:26:16 ID:muwtQgZA
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229 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:26:29 ID:yjLmRMhA
「「――――風子っ!!」」



二人の呼ぶ声がとても遠く感じます。

北川さんの地図に気付かれないようにつけておいた印の意味を教えなければいけないのに。
同じ島であるはずなのに、配置されているものは炭鉱を除き全て挿げ替えられていた事実。
それがこの島から脱出する大きな鍵かもしれないと言う事を。


でも目の前が白くなって、凄い眩しくてもう何も見えなくて――――え?


白い光の中に、私に向かって伸ばされた一本の大きな大きな手。
その先には……忘れることなんて出来ない、あの人のはにかんだ笑顔。


(――よく頑張ったね……風子)

(――私は……頑張れたんでしょうか? 生きろと言われたんですよ? ……でも!)


伸ばされた手を掴むことなんて出来なかった。
でも彼は戸惑う私の腕を掴み引き寄せると――


(――――ああ)




230 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:26:44 ID:CC9SsTKz
 

231 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:26:51 ID:muwtQgZA
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232 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:27:11 ID:yjLmRMhA


言いながら私の頭を優しく撫でてくれていました。


(――――行こう、みんなが待ってるよ)


そう言った彼の視線の先には、忘れることなんか出来ないあの頃の四人の姿。
何故かその横には岡崎さんの姿も――なんかぶち壊しです。
みんなは笑顔で手を振ってくれています。


コクリと頷いて彼の手をぎゅっと握り締め、そしてゆっくりと歩き出しました。
大丈夫。彼ならきっと私が残したメッセージの意味に気付いてくれる。
だから――


233 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:27:16 ID:K5uscNNd


234 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:27:23 ID:muwtQgZA
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235 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:27:56 ID:muwtQgZA
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236 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:28:28 ID:muwtQgZA
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237 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:29:00 ID:muwtQgZA
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238 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:29:15 ID:yjLmRMhA


  北川さん。


  梨花ちゃん。


  風子はここでお別れです。


  騙していて本当にごめんなさい。


  でも泣かないで下さい。苦しまないで下さい。


  風子は怒ってなんかないです。


  二人が私たちとは違う未来に進めると……信じてます。






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


239 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:29:24 ID:CC9SsTKz
 

240 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:29:53 ID:K5uscNNd


241 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:30:41 ID:muwtQgZA
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242 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:30:43 ID:yjLmRMhA

「風子……」
……もう何度名前を呼んだかわからない。
叫んでも叫んでも風子の目を再び開くことはなかった。

風子は死んだ……俺が……殺した……。
罪悪感とかそんなちっぽけな感情じゃない。
自分自身が許せなくて、ぶん殴ってやりたくて。
でも身体はまったく動こうとはしてくれない。
顔中の穴と言う穴から水が流れ出して、出る言葉も声にはならない。
きっと見るに絶えない顔なんだろう。
でも、そんなのはどうでもいい。
顔を拭う力なんかあったら、そんな事をする前に自分自身を殴りつけたいからだ。

「――潤……」

ずっと黙って風子の手を握っていた梨花ちゃんが、不意に立ち上がり口を開いた。
目の周りは真っ赤に晴れ上がりながらもその視線は強く俺を見下ろしている。
目と目が交差した瞬間、俺は思わず視線を逸らしていた。

「俺は……俺は……」

言葉なんか出てこない。
なんて言えばいいんだ。
風子の話も聞かず、梨花ちゃんの話も聞かず、そして最低な結果を引き起こしたこの俺が。
どの面下げて答えればいいんだ!



243 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:30:54 ID:CC9SsTKz
 

244 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:30:55 ID:K5uscNNd


245 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:31:16 ID:muwtQgZA
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246 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:32:34 ID:yjLmRMhA

顔をまともに見れない。
合わす顔なんかない。
目の前には地面が広がっていた。
ポタポタと目から零れる涙が土を打ち湿らせていく。

「――潤、聞いて頂戴」

鼻を少し啜りながらも、それはいつも聞いていた凛とした梨花ちゃんの声。

「……うん」

流されるように返事をしながら梨花ちゃんの瞳を見た。
まるで子供とは思えない強い表情。

「……あなたは風子を殺した」

そうだ俺は風子を殺した。

「たとえどんな言い訳をしても正当な理由を説いても、それは変わらない事実」

言い訳なんかしないさ。悪いのは全て俺だ。

「あなたの犯した罪は絶対赦されない罪」

ああ、許してなんかもらえないだろう。



247 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:32:42 ID:CC9SsTKz
 

248 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:32:43 ID:K5uscNNd


249 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:33:52 ID:yjLmRMhA
「……でも私は、あなたを赦すわ」

……え?

「あなたが何を考え、悩み、苦しんで、そして罪を犯してしまったかを私は知っている」

梨花ちゃんの瞳は真っ直ぐ俺を見据えて離そうとはしない。

「たとえ誰が赦さなくても、私はあなたを赦すわ……だから……」

俺の返事を待っているのか、梨花ちゃんの声はそこで止まっていた。
だが、俺の口からは言葉と言うものが出なかった。
恐怖に駆られて暴走することしか出来なかった俺を……許す?
梨花ちゃんの言葉に俺の頭は真っ白になって、何を言えばいいのかまったくわからず、項垂れることしか出来なかった。



「……ごめんなさい」

突然梨花ちゃんのそんな言葉が聞こえた。
『ゴメンナサイ?』
なぜ梨花ちゃんが謝っているんだ。

「……なんで……っ」

……顔を上げると梨花ちゃんが再び涙を流していた。

「謝るのは俺のほうじゃないか! いや、それだけじゃすむはずなんかない。
 怒って、貶して、罵倒して……そうされるのが当たり前の弱い人間なんだよ!」

250 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:34:00 ID:CC9SsTKz
 

251 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:34:05 ID:muwtQgZA
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252 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:34:13 ID:K5uscNNd


253 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:34:46 ID:yjLmRMhA
そうだ、梨花ちゃんは何も悪くない。
悪いのは俺なんだ。

「――潤が悩んでいるのも……苦しんでいるのも……気付いて上げられなかった……」

違う!

「……間違いを正す事も出来なかった」

違うんだっ!!

「……止めてあげる事が出来なかった」

梨花ちゃんの言葉を聞くのが辛かった。
悪いのは全部俺なのに。
こんな小さな子にそんな言葉を言わせて、俺はただ泣いているだけなんて!

「潤の気持ちも、風子の気持ちも、何も気付かず、何もせず、そして何も出来ず、ただここに行き着いてしまったそんな私を。
 今までと何も変わっていなかった私を!」

……気付いたら俺は立ち上がって、泣きじゃくる梨花ちゃんの身体を。
その小さな身体を抱き寄せていた。
俺の胸の中で梨花ちゃんは全身を震わせて、それでも聞きたくない言葉を続ける。

「……私を……許して……」

「梨花ちゃんは悪くない! 悪いのは俺だ! 俺なんだ!!
 仲間を! 風子を信じれなかった俺なんだ! ごめん、本当にごめん!」

抱きしめる力に手が篭りながら、俺は泣きながら感情を搾り出すように吼えていた。

254 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:35:04 ID:CC9SsTKz
 

255 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:35:18 ID:yjLmRMhA


――梨花ちゃんごめん。





――そして風子……本当に……ごめん。








 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 







256 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:35:55 ID:K5uscNNd


257 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:36:17 ID:yjLmRMhA

二人で泣き続け、どれくらいの時が流れたろうか。
流せる涙は尽きる事無く永遠に流れるんじゃないかと感じた。
でも……。
俺は梨花ちゃんの身体を離すと、涙を拭う。

「……俺をまだ仲間だといってくれるか?」
「勿論よ」

梨花ちゃんは俺の言葉に合わせるように涙を拭き、即答してくれた。
嬉しかった。
だからこそここで足踏みなんかしている事は出来なかった。
仲間の……風子の遺してくれた言葉。
無駄になんか出来ない。
もうすぐくそったれな四回目の放送がある時間だ。
俺が犯した罪を非難するように、そこには風子の名前が呼ばれる。
でも俺はそこで立ち止まったりしない。
それこそが、風子に対して出来る俺の唯一の罪滅ぼしなのだから。

俺と梨花ちゃんは頷き合うと、二人で風子の死体に向かって頭を下げる。
ちゃんと弔ってやりたい。
でも風子はそれをきっと喜ばない。
そんな暇が合ったら走れって怒るはずだ。
だから俺達は行く。
生きてこの島を出るために。




――――さよなら風子。


258 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:36:19 ID:CC9SsTKz
 

259 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:36:32 ID:K5uscNNd


260 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:37:01 ID:yjLmRMhA
【D-5北西 森/1日目 真夜中】



【北川潤@Kanon】
【装備】:コルトパイソン(.357マグナム弾5/6)、首輪探知レーダー、車の鍵
【所持品】:支給品一式×2(地図は風子のバックの中)、チンゲラーメン(約3日分)、ゲルルンジュース(スチール缶入り750ml×3本)
     ノートパソコン(六時間/六時間)、 ハリセン、バッテリー×8、電動式チェーンソー×7、出刃包丁、
     草刈り鎌、食料品、ドライバーやペンチなどの工具、他百貨店で見つけたもの
【状態:健康 軽い疲労】
【思考・行動】
基本:殺し合いには乗らず、脱出に向けての方法を模索
1:ホテルに向かう
2:純一たちと連絡取りたい
3:梨花を守りながら信用できる仲間を集めこの島を脱出する
4:風子の遺した廃坑に対する意味を調べたい

【備考】
※チンゲラーメンの具がアレかどうかは不明。
※チンゲラーメンを1個消費しました。
※梨花をかなり信用しました。 純一、つぐみも信用しています。
※ネリネと鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。
※パソコンの新機能「微粒電磁波」は、3時間に一回で効果は3分です。一度使用すると自動的に充電タイマー発動します。
 また、6時間使用しなかったからと言って、2回連続で使えるわけではありません。それと死人にも使用できます。
※チェーンソのバッテリーは、エンジンをかけっ放しで2時間は持ちます。
※首輪探知レーダーが首輪を探知する。と言う事実には気付いておらず、未だ人間なのか首輪なのかで悩んでいます。
※電線が張られていない事に気付きました。
※『廃坑』にまだ入り口があるのではないかと考えています。
※禁止エリアは、何かをカモフラージュする為と考えています。
※ノートパソコンの二回目の新機能は確認していません。

261 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:37:12 ID:K5uscNNd


262 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:37:12 ID:CC9SsTKz
 

263 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:37:59 ID:yjLmRMhA
※幼女に目覚めました
※百貨店のある場所が禁止エリアに指定された場合、拠点をホテル、教会、学校の優先順位で変える。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※ノートパソコンの3つ目の機能は留守番メッセージを聞く事ができます。
 たまに鷹野のメッセージが増える事もあります。
 風子に関しての情報はどこまで本当かは次の書き手様しだいです。
※童貞である事をカミングアウトしました。



【古手梨花@ひぐらしのなく頃に祭】
【装備:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に 祭  暗号文が書いてあるメモの写し
     ヒムカミの指輪(残り2回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 】
【所持品:支給品一式、風子の支給品一式、百貨店で見つけたもの、紫和泉子の宇宙服@D.C.P.S.】
【状態:頭にこぶ二つ 軽い疲労】
【思考・行動】
基本:潤子を守る。そのために出来る事をする。
1:ホテルに行く
2:純一たちと連絡取りたい
3:潤と一緒に居る
4:死にたくない(優勝以外の生き残る方法を見付けたい)
【備考】
※皆殺し編終了直後の転生。鷹野に殺されたという記憶はありません。(詳細はギャルゲ・ロワイアル感想雑談スレ2>>609参照)
※ネリネと鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。
※探したい人間は圭一です。
※北川をかなり信用しています。つぐみと純一の事も信用しました。
※電線が張られていない事に気付きました。


264 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/23(日) 20:38:23 ID:K5uscNNd


265 : ◆sXlrbA8FIo :2007/09/23(日) 20:38:30 ID:yjLmRMhA
※『廃坑』にまだ入り口があるのではないかと考えています。
※禁止エリアは、何かをカモフラージュする為と考えています。
※百貨店のある場所が禁止エリアに指定された場合、拠点をホテル、教会、学校の優先順位で変える。
※盗聴されている事に気付きました
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※ヒムカミの指輪について
ヒムカミの力が宿った指輪。近距離の敵単体に炎を放てる。
ビジュアルは赤い宝玉の付いた指輪で、宝玉の中では小さな炎が燃えています。
原作では戦闘中三回まで使用可能ですが、ロワ制限で戦闘関係無しに使用回数が3回までとなっています。
※潤が童貞である事を知りました
※梨花の服は風子の血で染まっています
※風子のバックの中身(大きいヒトデの人形 猫耳&シッポ@ひぐらしのなく頃に祭、赤いハチマキ(結構長い)、風子特製人生ゲーム(元北川の地図) 百貨店で見つけたもの)



【補足】
※北川たちの通ったルートでは通行が困難だったため、車はB−5の真ん中のあたりに放置しています。
 戦闘で車の助手席側窓ガラスは割れ、右側面及び天井が酷く傷ついており、
 さらに林間の無茶な運転で一見動くようには見えませんが、走行には影響ありません。
 ガソリンは残り半分ほどで、車の鍵は北川が所持したままです。
※空は月を覆うように雲が覆いはじめました。
 雨に変わるのか、晴れるのかは後続の方にお任せします。

266 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:24:23 ID:Jme/PQI4
「残りの弾丸は……弾倉の中も含めて37発。まだ十分戦える量だけど……」
 S&W M627PCカスタムに弾を込めながら良美は呟く。
 その言葉には焦りと苛立ちの感情が含まれていた。

 襲撃者はいきなり自分に向けて発砲してきた。
 つまり話し合いなど無用の証、ただただ目の前の標的を殺すだけの殺人機械。
 今まで良美は一見無害で無力な女を演じては出会った人間を利用し欺いてきた。
 だが、目の前の相手にその戦法は通用しない。
 明確な殺意を持った人間に良美の話術はなんの効果ももたらさない。
「まいったなあ……」
 良美は木陰から牽制のため、銃を放つ。
 撃つ度に失った左手の小指の傷がひどく痛み、思うように照準を合わせられない。
 炎上した森は鎮火模様にあるものの、まだいたるところで燃え盛っている。
 イチかバチか炎の中に飛び込んで逃げるという手も考えたがそれはできない。
 炎の中で無事にいられる保障も無いし、何より炎の明かりでこちらの姿が丸見えになってしまう。
 リスクが高いわりには得られる見返りが少ない賭けだ。
 無論良美はそんな分の悪い賭けに乗るほど酔狂ではない。
 だからひたすら森の暗い部分に移動しつつ銃撃を繰り返す戦法を取っていた。

(相手が拳銃だけならまだ何とかなるんだけどなあ……あんな『切り札』を持っていたら迂闊に近寄れないよ)


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 一度、相手の銃撃が止んだ時があった。
 弾の再装填のためか、はたまたおびき寄せるための罠か、
 銃声と発射間隔から相手の武器はおそらく拳銃、一気に距離を詰めれば――
 見た目によらず良美は運動能力が高い、霧夜エリカや鉄乙女、伊達スバルなど規格外の人間と比べると数段劣るものの、
 一般的な女子高生より優れた身体能力を持っている。
 良美は襲撃者を仕留めようと木陰から飛び出した。
 しかし――

267 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:26:16 ID:Jme/PQI4

 良美の目に写った人物、
 赤い炎に照らされ露になった襲撃者。
 漆黒の長髪と真紅の制服、黒と赤のコントラストで彩られた美しい少女。
 拳銃とは比べ物にならない長さの銃身と重量を持った重機関銃。
 ブラウニング M2 “キャリバー.50”を顔色一つ変えずに構える少女――川澄舞の姿があった。
 あれはまずい――
 良美の全身に怖気が駆け巡る、服が汚れることなんてお構い無しに身を翻し大木の陰に転がり込む。
 その刹那、さっきまで良美がいた場所を轟音と共に無数の礫が通り過ぎてゆく。
 射線上の細い木々の破片が周囲に舞い上がる。
 その光景を見て良美はぞっとする。
 もし、回避が遅れていたらどうなっていただろうか?
 間違いなく蜂の巣どころかミンチになっていただろう。
(危なかった……まさかあんな物を手で構えて撃つなんて非常識すぎるよ。ランボーじゃないんだから)
 あんな物を軽々と振り回す規格外連中とまともに正面切って戦えるわけがない。
 とは言え背中を向けて逃げるのは不可能、狙い撃ちにされるだけ。
 とにかく距離を取ってチャンスを伺うしかない、こうなったら持久戦だ。
 しびれを切らして飛び込んで来たほうが負け、徹底した待ち戦法だ。
 良美はそう判断し、今に至る――


 ※ ※ ※ ※ ※ ※



268 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:26:28 ID:aYAyPcOV
 

269 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:27:24 ID:aYAyPcOV
 

270 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:28:21 ID:Jme/PQI4
 あのタイミングで仕留められなかったなんて――
 絶好の機会を舞は逃したことに後悔する。
 あの瞬間、舞のブラウニングの存在を一瞬にして悟った判断力の高さ。
 良美を手負いの存在と高を括っていた自分自身の慢心が招いたミスだった。
 ブラウニングの残弾は30発、先ほどの銃撃で15発を失う結果になってしまった。
 速射性が高い反面、少しトリガーを引いただけで大量の弾丸を消費してしまう。
 あまり頻繁には使えない。
 幸い、サブウェポンとしてのニューナンブの弾丸はそれなりに残っている。
 しばらくはこれを使わざるをえないだろう。
 断続的に良美からの銃撃がやってくるが命中には至らない。
 良美は徹底して森の暗い場所に移動しつつそこから銃撃を繰り返す。
 近づくことも離れることもない、ひたすら一定の距離を保ちつつ移動している。
 非常にやりにくい相手だ。
 暗い場所からの銃撃なので木陰に隠れていればまず当たることはないが、こちらの攻撃も当たらない。
 舞は最悪、一度逃げることも算段には入れていた。
 だがそれは良美に絶好の機会をもたらすことになってしまう。
 それを防ぐためにはブラウニングで弾幕を張りつつ逃走しなければならない。
 逃げ出せてもブラウニングの弾丸が尽きてしまう。
 お互い決め手に欠けるまま、膠着状態が続く。

 一方、良美はあれから舞がブラウニングを撃ってこないことが気になっていた。
 あれだけ圧倒的な火力を持った武器を所持していながら一行に撃ってこない。
 撃ってくるのは拳銃ばかりだ。
(なるほど……決め手に欠けるのはお互い様というわけだね)
 おそらく相手は撃ちたくても撃てない状況に陥っている。
 弾薬が残り少ないか、弾薬が尽きてしまったか。
(弾を撃ちつくしたとは考えないほうがいいよね、あと一、二回は撃てると考えるべき)
 だが、このまま撃ち合いを続けていればS&W M627PCカスタムの弾薬も尽きてしまう。
 そうなると残された武器は近接用の武器、手斧と地獄蝶々。
 まだブラウニングという切り札を残している舞に接近戦を挑むには無謀すぎる。
(残り少ないカードでどう勝負しようか……)

271 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:28:46 ID:aYAyPcOV
 

272 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:30:36 ID:Jme/PQI4

 良美はまだ気がついていない。PDAの中に収められている画像が現時点で舞に切れる最高のジョーカーだということを。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 良美と舞が遭遇する少し前、二人が対峙する場所から数百メートル南下した地点。
 そこには高嶺悠人と白河ことりがいた。

「うう……指先がチリチリする。口の中はカラカラだ。目の奥が熱い……」
 悠人は真っ青な顔で地面に蹲っていた。
 歴戦のエトランジェも一撃の下で撃沈するレインボーパンの威力は凄まじい。
「高嶺さん、お水です」
「あ、ありがと……一体何なんだこのパンは……」
「だから兵器だと言ったのに……」
「ことりが平気と言ったから大丈夫と思って食べたんだが……」
「違いますよ〜私はそのパンを兵器と言ったんですっ、へ・い・きだって」
 ことりは手の平に指で大きく漢字で『兵器』となぞり悠人に見せ付ける。
 始め悠人は何のことか解らず口をポカンと開けたままにしていたが、ことりの意図を理解したらしく「あ〜っ!」と声を上げた。
「そ、そういう意味だったのか……ハ、ハハハ」
「もうっ、高嶺さんったら……あははっ」
 二人から自然と顔が緩み笑みがこぼれ落ちた。


「そこ木の根が出っ張ってるから気をつけて」
「あ、はい」
 深い森を慎重に歩く悠人とことり。
 思わぬ事故(レインボーパンで悠人臨死体験)で足止めせざるをえなかったものの、二人は気を取り直してホテルへ歩を進めていた。
 森は木の根や岩で凸凹としており、さらに斜面となっているので歩きにくいことこの上ない。
 悠人は暗視ゴーグルで足場を確認しつつことりの進路を確保していく。
「しかし……結構遠回りになってしまったな」

273 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:30:40 ID:aYAyPcOV
 

274 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:33:04 ID:Jme/PQI4
「仕方ないですよ。あのまままっすぐ進むのは無理そうですし……」
 本来なら山小屋からホテルへはまっすぐ東に進むのが最短距離である。
 しかし山の東側は急な斜面となっており、そのまま進めないと判断した二人は、北寄りに進路を迂回してホテルを目指すことになったのである。

 現在の場所はC-4とC-5の境界付近。
 四人の運命がまもなく交錯する。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 パァンと乾いた音が辺り一面に響き渡る。
 自転車のタイヤが破裂するような音。
 この島ではすっかりありふれた音となってしまった音。
「おい! 今の音!」
「ええ!」
 悠人とことりの顔色が変わる。間違いない今のは銃声――
 さらに続けて銃声が響く。
「俺達に向けて撃ってるんじゃない……だれかが襲われている!?」
「高嶺さん……」
 悠人は慎重に耳を澄ませ銃声の方角を割り出そうとする。
 その間にも断続的に銃声が鳴り響く。
 銃声が止んだ。
 静寂。
 再び銃声、今度は機関銃みたいな物を撃つ連続した発砲音。
 そしてまた単発の銃声。
「クソッ……まだこんなことをしてる大馬鹿野郎が……!
 ことりは思う。ニュースでたまに見る戦争中の国の報道。
 街中で起こる爆発音と銃声。
 テレビの向こうでしか起こりえなかった状態。それが現実で起こっている。
 もし、この島にやってきたばかりだったら自分はどうなっていただろうか?
 おそらく恐怖で腰が抜けてガタガタ震えるだけであったに違いない。

275 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:33:19 ID:aYAyPcOV
 

276 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:35:24 ID:/2iuIN8g
   

277 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:35:49 ID:Jme/PQI4
 でも、今はそんなことはない。異常な事態に感覚が麻痺しているのもあるが、何よりこの島での出会いがことりの心を強くしていた。
(私がここで自分が自分でいられるのはみんなのおかげ……!)
 だから、助けよう一人でも多くの人を。
 ことりは顔を上げ、決意を秘めた目で悠人を見据える。

「高嶺さん行こう! 助けなくちゃ!」
「言われなくともやってやるさ!」
 まだ間に合う、悲劇は止められる。
 二人は銃声の方角に向けて走り出す。


 木を焦がす臭い、まだ燻り続ける炎、焼け焦げた森。
「高嶺さんここは……」
「ああ、俺がことりと出会う前にここで襲われた」
「じゃあ……まだここにいるんじゃ……」
「いや、それはないと思う。俺を襲った奴は俺を始末したと思い込んでいる。いつまでもここにいるとは思えない」
「なら別の人が……」
「そう思ったほうが自然だな」
 再び銃声が聞こえる。
 銃撃戦の中心地はもうすぐそこだ。
「ことり、流れ弾に当たらないよう出来るだけ身を低くしろ」
「はいっ」
(どこだ……? どこにいるんだ?)
 悠人は暗視ゴーグルに映し出される映像を隅々まで見渡す。
 炎から逃れ、焼け残った部分、約二十メートル先の木の根元にそれはいた。
 木を背中にして屈み込む巫女装束の女性の姿――

「そこのあんた! 大丈夫かぁぁぁぁ!」
 考えるよりも早く声が出る。
 森の中に悠人の大声がが木霊した。

278 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:35:56 ID:/2iuIN8g
   

279 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:36:31 ID:aYAyPcOV
 

280 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:36:41 ID:/2iuIN8g
   

281 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:37:11 ID:/2iuIN8g
   

282 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:37:42 ID:/2iuIN8g
   

283 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:38:15 ID:Jme/PQI4


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


「さすがにこれ以上はきついよ……」
 良美の表情には焦りと疲労の表情が色濃く現れてきた。
 最初にあの女と出会ってからどれくらいの時間が経っているのだろうか?
 もう何時間もこうしているような気がする。
 いや、せいぜい三十分ぐらいしか経っていないはず。
 だがその数十分が良美の精神を激しく磨り減らす。
 お互いの発砲間隔も徐々に長くなっている。良美も舞も弾薬を節約しての結果である。
「弾はまだ持つけど精神力が……」
 精神の疲弊は肉体へも影響を及ぼす。疲労による一瞬の判断のミスが死を招く。
 イチかバチが接近戦を仕掛けようか――
 そう思った時だった。

「そこのあんた! 大丈夫かぁぁぁぁ!」
「!」

 思いもよらない第三者の声、左後方から聞こえる男の声。
 良美は思わず笑い出しそうになった。
 ようやく待ち望んでいたカードがついに現れたのだから。
「動かざること山の如しとは良く言ったものだね、不利な時は下手に動かずどっしり構えていればいずれ事態は好転する……まさに今の私、あはは」
 疾きこと風の如く。そう、今こそまさに仕掛ける時、だから叫ぶ。
 背後の男の気を引くために。
「ダメぇぇぇ! きちゃダメぇぇぇ!!! 来たらあなたまで巻き込まれる!!!」
 絹を引き裂くような良美の絶叫が森に木霊した。

284 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:38:55 ID:aYAyPcOV
 

285 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:39:21 ID:/2iuIN8g
  

286 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:39:55 ID:/2iuIN8g
  

287 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:40:55 ID:/2iuIN8g
  

288 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:41:11 ID:Jme/PQI4

 良美の絶叫が悠人の耳にはっきりと聞こえた。
 間違いない襲われているのはあの娘だ。
 だから叫ぶ、あの娘を助けるため。
「バカヤロォォ!! 何言ってやがる! これ以上殺させてたまるかッ! 今行くぞぉぉぉ!!!!」
 悠人も声を張り上げ答える。
 それが良美の演技ということも知らず。
「ことり! 短距離走は行けるか!?」
「えっ! は、はいっ何とか!」
「いいか絶対に俺から離れるな! 絶対だぞッ!」
 そして一発の銃声が森に響く、前方の少女ではなく姿無き襲撃者のもの。
 その音を皮切りに悠人とことりは一斉に駆け出した。

「うくっ……くくく……うふっ、あっははははははは」
 良美は悠人の返答を聞いて堪えていた笑いがつい漏れてしまう。
 まさに計算どおり。
 大丈夫かなんて大声で言ってくる人間だ。この作戦は間違いなく成功すると踏んでいた。
 正義感溢れる若者が何者かに銃撃されている少女を見つける。
 少女は巻き込まれるから来ないでと叫ぶ。これで来ないことなんてありえない。
「どうして私の周りの男の人ってこうも単純でお人よしなのかなあ……」
 後は何食わぬ顔で男に助けを求めるだけ。
 クールに、そしてテンションに流されずにか弱き少女を演じよう。

289 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:41:47 ID:aYAyPcOV
 

290 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:42:00 ID:/2iuIN8g
  

291 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:42:53 ID:/2iuIN8g
  

292 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:43:08 ID:Jme/PQI4
 
「うぉぉぉぉぉぉ!!!! 殺させるものかぁぁぁぁぁ!!!」
 悠人は全力疾走しながら銃声がした方向にむかってベレッタを乱射して弾幕を張る。
 そのすぐ後ろをことりも走ってついてくる。
 たった二十メートルほどの距離が異様に長い、何度も転びそうになりながらも二人は良美のいる木の根元に滑り込んだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……間に、あった……。白馬の王子様の到着だぜ」
「どうして……来たの? ここに来たらあなた達まで殺されてしまうかもしれないのに……」
「バカ言うなよ、ここであんたを見捨てるなんて男の名折れだぜ」
「私達決めたんです。一人でも多くの人と一緒にこの島から出ようと」
 さらりと歯の浮くような台詞を吐く二人の男女。その言葉を聞いて苛立ちをつのらせる良美。
 ああ、この連中も前原圭一と同じ種類の人間だ。
 愚かなまでに見ず知らずの人間を信じようとする人間。
 良美にとって唾棄すべき人種。
 でも、そんな人間でも利用する価値があるのなら徹底的に利用すべし。

 良美はまず、ここからどうにかして逃げ出せないかと二人に提案した。
 悠人とことりを捨て駒にしてまであの女を始末するメリットは無い。
 それにこの甘い二人の事だ、殺さず取り押さえる方向に持っていくに違いない。
 殺す覚悟もなしに取り押さえようなんて馬鹿な行為でみすみす手に入れたカードを失うことはできない。
 良美は二人に説明した。
 相手は大きな機関銃を持っていて、それを腕で自在に振り回せるほどの怪力の持ち主であること。
 故に今の装備では接近戦を行うのはあまりに危険すぎるということ。
「なるほど……機関銃が厄介だな。だけどあいつをここでほっとくわけには……」
「駄目だよ、勇気と蛮勇は違う。下手に戦いを挑んで私達みんな死んだら何にもならないよ」
「逃げると言ってもな……機関銃で武装した相手からは厳しいぞ。逃げる所を狙われたらおしまいだぜ」
 悠人もことりも拳銃以外に有効な武器を持っていない。
 ブラウニングを持った舞には火力不足である。
「いや……あった、ここから逃げる方法が」
 悠人はデイパックから二つの筒を取り出した。

293 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:43:37 ID:aYAyPcOV
 

294 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:46:53 ID:Jme/PQI4


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 舞は突然の乱入者に戸惑いの色を隠せなかった。

 長い時間に渡る銃撃戦、消費される精神力と体力、そして弾薬。
 動いたほうが負ける雰囲気、だがこのままでは埒が開かない。
 虎の子のブラウニングで、一気に強襲をかけようと身を起こした時にその声は聞こえた。
 前方の大木に隠れる良美のさらに奥から男の声が聞こえたのである。
 大丈夫かと言う声、その声にすぐさま反応して助けを求める良美。
「くっ……やらせない……!」
 舞は男の声に向かってニューナンブを放つ。
 男の絶叫とともにその方向から銃弾が数発飛んでくる。
 そして男は良美のいる木に転がり込む、いや――もう一人、男の後ろについて走る人物。シルエットからして女だろうか?
 結局良美は労せず二人の人間を仲間に引き入れたのである。

 三対一では分が悪すぎる、ましてやブラウニングの残弾も残り少ない、そろそろ潮時か……
 舞がそう思った時、近くで何かが投げ込まれる音がした。
 細長い棒状の物体二つ、舞の目が見開かれる。
「なっ……」
 二つの棒から火花が散り、辺り一面に煙がもうもうと立ち込める。
「発炎筒!?」
 すぐさま木を飛び出すと舞は良美がいた方向に向け銃を放つ。
 そして煙の向こうから黒く回転する物体が舞に向かって飛んできた。
「……!」
 すぐさまブラウニングの長い銃身でそれを弾き飛ばす。
 弾き飛ばされた物体は長さ40cmほどの手斧、当たったらとんでもないことになっていた。
 立て続けに発砲音、何発もの弾丸が舞に襲い掛かる。
 舞は木陰に転がり込み銃撃をやりすごす。
 まだ銃声は鳴り止まない。

295 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:47:10 ID:aYAyPcOV
 

296 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:50:06 ID:Jme/PQI4
 やがて、森に静寂が訪れた。

「逃げられた……」
 もう森には人の気配はしない。
 完全に逃げられた。
 結局収穫は向こうが投げ込んできた手斧のみ。
 ニューナンブの弾丸もかなり消費してしまった。
 だけど落ち込んでいられない、佐祐理を救うために一人でも多くの人間を殺さなければ。
 次の獲物を求めては孤狼は森を彷徨う。

 だが舞は佐祐理の死の事実を収めたPDAが良美の手に渡っていること。
 そして友人だった白河ことりがすぐ目の前にいたことを知る由もなかったのである。





297 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:50:14 ID:aYAyPcOV
 

298 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:51:45 ID:Jme/PQI4
【C-4 森(マップ南東)/1日目 真夜中】

【川澄舞@Kanon】
【装備:ニューナンブM60(.38スペシャル弾0/5) 学校指定制服(かなり短くなっています)】
【所持品:支給品一式 ニューナンブM60の予備弾22 バナナ(フィリピン産)(3房)、ブラウニング M2 “キャリバー.50”(ベルト給弾式、残弾30)、ハンドアックス(長さは40cmほど)】
【状態:疲労(大)、肋骨にひび、腹部に痣、肩に刺し傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、太腿に切り傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、後頭部にたんこぶ】
【思考・行動】
基本方針:佐祐理のためにゲームに乗る
1:武器を奪うため、参加者を襲う。
2:佐祐理を救う。
3:全ての参加者を殺す。ことりも千影も殺す。
4:相手が強い場合、多人数の場合は無理はしない。

【備考】
※舞の行き先は次の書き手さんに任せます。
※森の炎はほぼ鎮火しました。
※良美と一緒にいた女がことりとは気づいてません。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※



299 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:52:03 ID:aYAyPcOV
 

300 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:54:39 ID:Jme/PQI4
「大丈夫だ、もう追ってきてはいない。完全に撒いたようだな」
 悠人は作戦の成功を確認するとほっと安堵の息を漏らした。
 作戦は内容はこうである。
 悠人が持っていた発炎筒で煙幕を張り、煙に向かって良美の手斧を投げ込む。
 さらに銃も乱射して弾幕も張りとにかく逃げる。
 シンプルだがそれ故に場所を選ばない逃走方法である。
「でも良かったあ……無事に逃げられて」
 緊張の糸が解けてことりも地面にぺたりと腰を下ろす。
「あの、ありがとうございます……助けてくれて」
 良美はぺこりとお辞儀をして二人に感謝の意を表す(もちろん演技だが)
「まあ、襲われてる女の子を無視するなんて真似俺にはできないからな。っと名前まだだったな、俺は高嶺悠人、悠人と呼んでくれていいぜ」
「白河ことりです。私もことりって呼んでください」
「私……佐藤良美といいます。良美と呼んでください」
「良美か……よしみ……よっぴー?」
「ううう……よっぴーって言わないでよぅ」
「あっすまん、なんかつい呼びたくなってしまった」
「もぅ……悠人君たら……」


 良美は悠人とことりにこれまでのいきさつを話すことにした。
 二人を利用するため、二人からある程度の信頼を得るため。
 嘘に嘘を重ねて偽りの過去を語る。

 まず始めに前原圭一、岡崎朋也という少年と咲耶という少女と行動していたこと。
 だが圭一は放送で知り合いを殺されたことを知ったことで徐々に奇行に及んでいった。
 常に周囲をギラギラした目で警戒する。
 いきなり奇声を上げバットを振り回しだす。
 そしてついには暴れる圭一を落ち着かせようとした朋也をバットで殴りつけ殺害した。
「私も咲耶ちゃんもただそれを呆然と見つめるだけだった……」
 そして圭一はあろうことが良美と咲耶に動かなくなった朋也をさらに殴るように強要した。
「『仲間だったら当然だろ!』と言って……私達に――」
 話はさらに続く、正気を失った圭一は良美達が自分を殺そうとしていると妄想し始めた。

301 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:55:05 ID:aYAyPcOV
 

302 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 21:58:18 ID:Jme/PQI4
 必死になだめる良美と咲耶、だが圭一の妄想はさらに膨れ上がり……
「逃げ出そうとする咲耶ちゃんの頭を――」
「ひどい……」
 口を押さえて涙ぐむことり。
「咲耶ちゃんを何度も殴っている隙に私は無我夢中で逃げて……それで……放送で咲耶ちゃんが呼ばれて……私、咲耶ちゃんを見捨てて――」
「もういい……もういいんだ良美……」
 悠人は良美の肩をそっと抱く、これ以上彼女の心が傷つかないように。
「ゆう……とくん……うぐっ……うああああああああああ!!!」
 せき止めていた感情が一気に爆発して悠人の胸の中で泣く良美。
 しかし、その感情の吐露も溢れる涙も全て偽りの存在。
 悠人を欺くための演技である。
(ほうら……簡単に信用してくれる。圭一君といい悠人君といいほんと男って単純だよね)

「ごめんね……ちょっと取り乱しちゃった」
 良美は涙を拭いて笑顔で微笑む。
「気にするな、俺もことりもこの島でいろんなことがあった。みんな同じような傷を抱えてる。
でも、それから押しつぶされないようにしなきゃならねえ。一人で抱えるにはあまりに大きすぎるけど俺達は一人じゃない」
「一人じゃない……?」
「そうだ、俺もことりもあんたの仲間だ。こんなクソくだらねえ殺し合いなんてぶち壊す、その為の仲間を集めてるんだ。だから――」
 悠人はまっすぐ視線を良美に向ける、一片の曇りも無い純粋な目。
 それがひどく気持ちが悪い。
「君の力を貸して欲しい」
 眩暈、吐き気、動悸がする。
(ダメ……テンションに流されたらダメ、落ち着け私)
 必死に平静を装い悠人に返事をする。
「あの、私でよければ……」
 その返事に悠人とことりの顔が明るくなる。
「ああ、君を絶対に守る」

303 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 21:58:39 ID:aYAyPcOV
 

304 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:00:06 ID:w0j7OBqE



305 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:01:03 ID:Jme/PQI4


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


「これからどこへ行くの?」
「仲間とホテルで待ち合わせしている。まずはそこへ行こうと思う」
 悠人は荷物から地図とコンパスを取り出し現在位置を確認する。
「おそらくここはD-5の北西辺りのはず……だから……ん?」
 地図を覗く悠人の目に良美の左手が目に入った。
 解けかかった包帯、黒褐色に変色した血が痛々しい。
「良美、怪我しているじゃないか」
「え、あ、すこし痛むけど大丈夫だよ」
 本当は小指が切断されてすごく痛いのだが、良美はなんでもないよと手を振る。
「包帯解けかかってますね、私直します」
 そう言ってことりは極自然に、良美の左手を手に取る。
 自らの能力のことをすっかり忘れて――

(ふぅ……私の演技も大したものだよね、島から戻ったら本格的に女優を目指してみようかなあ、あはは。
でも悠人君もことりちゃんも人を信用しすぎだよ。圭一君もそうだけど何がここまで人を信用させるんだろうねぇ……
こんな無防備でこれじゃあ殺してくださいと言ってるようなものだよ、まあ、まだ殺さないけどね。
二人にはしっかりと私の役に立ってもらってそれから死んでもらおう、うんうん)

 固まることりの手。

(そういえば……何でことりちゃんはそんな格好をしてるのかなあ……? 少し擦り切れた制服のスカート、
そして男物の上着……あ、そうか、なるほどそういうことかあ……くすくす)

 良美は動きが止まったことりを不思議に思い、ことりを見た。
「どうしたの? 何かあった?」
「あ、いえ……別にあの、良美さん小指が……」
 口ごもることり、その表情に一瞬浮かんだ怯えの色。

306 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:01:17 ID:aYAyPcOV
 

307 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:03:52 ID:Jme/PQI4
 良美はその時はまだことりの表情の真意を掴めないでいた。
「うん、ちょっと怪我しちゃって……ほら小指だけですんだからラッキーとおもわなきゃね」
 明るく振舞おうとする良美。だがその心の内で倉成武に対する殺意の炎が燃え盛っていた。
(女の子の身体をこんなにしちゃって……今度あったら絶対に殺すから)
「換えの包帯なら私の荷物に入ってるから、ごめんね手間かけさせちゃって」
「い、いえ……わっ私そんなこと気にしてませんから……」
 ことりはそそくさと良美のデイパックから新しい包帯を取り出し彼女の左手に巻きつける。
 震える手を必死に押さえ、包帯を巻きつける。
「ありがとう、ことりちゃん」
 良美はにっこりとことりに向けて微笑む。
 ことりにはそれがおぞましい悪魔のようだった。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


「良美の言っていた咲耶っていう娘……俺の仲間の家族だったんだ」
「そうなんだ……」
「千影って言ってな……彼女がホテルで待ち合わせをしてる人間なんだ」
「もし圭一君に出会ったらどうするの? 彼はもう……」
「出来る限り何とかしたいが……最悪の場合……」
 
 違う、違うの高嶺さん。
 彼女は嘘を付いている。
 その前原さんという人が気が狂って二人を殺したんじゃない。
 前原さんは私達と同じ、仲間を求めてこの島を脱出しようとしてる人。
 彼女は高嶺さんと前原さんを殺し合わそうとしている。
 このままじゃ良美さんの思惑通りに……!


308 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:04:08 ID:aYAyPcOV
 

309 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:06:32 ID:Jme/PQI4

 高嶺さんに本当のことを話す?
 高嶺さんは私の能力を知っている。
 でも……高嶺さんは彼女を完全に信用しきっている。
 あの告白も涙も全ては演技、私達を欺くためのもの、どうしてあそこまでできるの……?
 下手に話すと間違いなく私達は殺される……どうすれば……?

「どうしたことり? 顔色が悪いぞ」
「いえ……何でもないです」
「少し休もうか?」
 良美さんが私を気遣って声をかけてくれる。
 でも私は良美さんの顔をまともに見られなかった。
「大丈夫ですから……あの高嶺さん!」
「ん?」
「ごめんなさい……何でもないです」
 駄目……言えない。
 私がここで何もいわなければ何も起らない。
 そう何も――

 高嶺さんと良美さんが二人で並んで歩く後ろを私はうつむき加減で歩いている。
 彼女は高嶺さんと何か話しているようだが、私の耳には何も入ってこなかった。
「信じられないかもしれないけど……俺は――」
 高嶺さんがエトランジェとか永遠神剣とか言っているのが聞こえる。
 私が高嶺さんの心を読んだ時にあった言葉。
 ある日ファンタズマゴリアと呼ばれる異世界に召喚され、戦いを強要される毎日。
 生と死のせめぎあいの中で彼は生きている。
 良美さんは熱心にその話を聞いている。高嶺さんは彼女に疑いの目は一片たりとも向けていない。
「それから今のうちに言っておきたいことがあるんだ。実はことりは――」
 え――高嶺さん、何を?
 それを告げるのはやめ――
「人の心が読める」
 二人の歩みが止まる。

310 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:06:52 ID:aYAyPcOV
 

311 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:07:59 ID:w0j7OBqE



312 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:08:56 ID:Jme/PQI4
 ああ――
 私の全身から力が抜け落ちた。
「こう……手で触れた相手の心を読める。テレパスとでもいうのかな、いや手で触れて読み取るからサイコメトリーとでも呼ぶべきか」
 彼女の……良美さんの顔を見なければ。
 私はゆっくり顔を上げる。

「へぇ……ことりちゃんは人の心が読めるんだ……そっかあ……だからあの時ねえ……」

 彼女は私を見て哂っていた。
 唇の両端を三日月のように吊り上げて、くつくつと哂う。
 間違いない、彼女は私が触れたときに心を読まれたのを知っている。
 高嶺さんは彼女の表情と口調の変化に全く気がついてはいなかった。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 あれから何も変わらず森を歩いている。
 良美さんの様子に別段変わった様子は無い。
 その静けさがとても恐ろしかった。
「あの、悠人君、ちょっといいかな?」
「どうした」
「ちょっとことりちゃんとお話したいの」
「別に構わんが……」
「できれば男の子には聞かれたくない話なの、女の子同士の秘密のお話」
 良美さんは頬を赤らめ高嶺さんに尋ねる。
「……あまり遠くに行くなよ、それと何かあったら大声をだせよ」
「うん、わかった」
 良美さんが私に近づく。
 一歩、一歩と落ち葉を踏みしめながら。
 血の付いた巫女装束を纏った少女が口元に笑みを浮かべながら。
 ゆっくりとその右手が私の肩に触れる。

313 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:09:10 ID:aYAyPcOV
 

314 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:10:02 ID:w0j7OBqE



315 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:12:29 ID:Jme/PQI4

「ちょっと……お話しいいかな?」
 肩を掴まれた私は何も抵抗できないまま引き摺られるように良美さんに連れて行かれた。


 高嶺さんが待ってる場所から少し離れた森の中、私は良美さんと対峙している。
 ここは高嶺さんの場所から死角になっており向こうからはよく見えない位置になっている。
 私は恐怖で足がガクガクと震え、立っていられないほどだった。
「おかしいなあ……どうしちゃったのかなことりちゃん? 何をそんなに怖がっているのかな」
「別に私っ……怖がってなんか」
「じゃあ何でそんなに震えているのかな?」
 良美さんは優しい笑顔で、そっと私に語りかける。
「ことりちゃんは、私に触れて何を見たのかな?」
 駄目……だ。彼女には全てお見通しだ。
「私は何も……!」
「嘘だよね、それ」
 彼女は私の耳元でそっと囁く、静かで冷たくて優しい声で――

「――この覗き魔」
「あっ……ああああああああああああああああ……」

 私はへなへなと力なくその場に崩れ落ちた。

316 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:12:43 ID:aYAyPcOV
 

317 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:14:52 ID:+zt03c9h


318 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:15:16 ID:Jme/PQI4

「やだなあ……あなたがそんな能力を持っていたなんて、計算が狂っちゃったよ」
「い、いや……」
 良美さんは昏く濁った瞳で私を静かに見下ろしている。
 冷たい殺意が私を射抜く。
「ことりちゃんは、そうやって人の心を盗み見ては悦ぶ変態さんだったんだぁ……」
「ちっ違っ……!」
「違うの? ふぅん。そういえば……あなた変わった格好してるよね、制服のスカートを穿いていて、上には下半身を覆うぐらいの男物の上着を羽織っている。
こんなファッション見たことないや。ねえ、どこで流行っているのかな、教えてくれないかなあ?」
「な……にを言ってるの……?」
「私知ってるよ、女の子がこんなカッコする時はどんな時かって。――されたんでしょう?」
 ――されたんでしょう?
 ――されたんでしょう?
 ――されたんでしょう?
 やめて、その記憶を掘り起こさせないで……
「こんな場所だもんね、全ての男の人が悠人君みたいに正義感溢れる人ばかりじゃない。ヤケになって興奮して、
発情して、そこにことりちゃんみたいな可愛い女の子がいたら……くすくす。少し、上着脱いでみようか……」
 彼女の指がするすると上着に延ばされ脱がされる。
 良美さんの前に引き裂かれた制服とブラジャーが晒される。
「いやぁ……」
「あはははは、やっぱりだね。しかも黒だよ……私なんかじゃ恥ずかしくてとてもじゃないけど穿けないよ」
 羞恥心で顔が真っ赤になる。
 もう死んでしまいたいほどに。
「まあ未遂だろうと完遂だろうと、私にはどうでもいいことだけどねえ……見えたでしょ?」
「え……」
「押し倒されて組み組み敷かれた時、当然あなたは振り払おうと手が触れる。あなたを襲った男の人の心、どんな光景かなあ」
 彼女の手が私の手首を掴む、そしてゆっくりと私の手の平が良美さんの胸に触れる。
「私はそんなことされたことないけど、こんな感じなのかなあ……」

319 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:15:33 ID:aYAyPcOV
 

320 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:17:34 ID:/2iuIN8g
  

321 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:18:21 ID:Jme/PQI4

 その瞬間、彼女の中から流れこむイメージ。
 これはあの時と同じ、あまりに強い思念が音ではなく視覚化された映像として脳に直撃する。
 だけど以前のような幾何学模様のサイケデリックな世界ではなく、震えるほど冷たく何もない真っ暗な空間。
 その空間の中心で、一人の男が女の体を組み敷いて腰を振っている。
 犯される女の顔は――私だった。

「あっあああああああああああああああああああああああああああああああ」
 あの時の――レイプされかけた時の記憶がフラッシュバックする。
 声にならない叫びを上げる私。
 脳が焼かれる、理性が崩壊してゆく。
 私の心が犯される。
 私の心が壊れちゃうよぉ……

「はいストップ」

 その声と共に、悪夢がパリンと音を立てて崩壊する。
 まわりに見えるは闇に包まれた静寂の森とにこやかな笑みを浮かべて私を見下ろす良美さん。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
 大粒の汗を流し、肩で息をする私。
 良美さんはそんな私を見て優しく語り掛けた。
「ちょっとやりすぎちゃったかな、ごめんねことりちゃん」
「あ……」
「別にね、私は今あなたや悠人君をどうこうしようなんてさらさらないんだよ、
だってせっかくの『仲間』なんだものここで殺しても私にとって何のメリットが無いの、わかる?」
 私が返事する間もなく言葉を続ける彼女。
「だから、ことりちゃんが黙っていてくれさえいればなぁんにも問題ないの。今まで通り私達は仲良しでいられるの」
「それは……私への脅迫ですか……?」
「そうだよ、あなたに拒否権なんてないからね」

322 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:18:58 ID:aYAyPcOV
 

323 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:19:42 ID:/2iuIN8g
  

324 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:20:56 ID:+zt03c9h


325 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:21:55 ID:Jme/PQI4

 私の返答に高嶺さんと私の命が懸っている。
 悔しさとやるせなさで目から涙がぽろぽろこぼれる。
「わかり……まし……た」
「はい、よくできました。約束破っちゃ嫌だよ?」
 満面の笑みを浮かべ彼女が哂う。
 私は悪魔に屈してしまった。


「そろそろ戻らないと悠人君が心配しちゃうよ、ほら戻ろう」
「は……い」
「ちゃんと上着、着ようね。風邪引くといけないよ」
 何事も無かったように良美さんは明るく振舞う。
 私は無言で上着に袖を通す。

「遅かったな二人とも。何を話してたんだ? 心配したぞ」
 高嶺さんが心配の表情で私達を出迎える。
 浮かない顔をする私とは対照的に良美さんは笑顔だった。
「実は……私、もうすぐ女の子の日が近いからどうしようかなぁとことりちゃんに相談していたの」
 明るい表情、頬を赤らめる仕草、それら全てが演技による偽りのもの。
「そ、そうか……まあそれならしょうがねえよな」
 高嶺さんは気づく気配が無い、彼女の演技は完璧すぎる。
 まるで悪魔が人を演じているようだった。

 私の悪夢はまだ始まったばかりである。





326 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:22:13 ID:aYAyPcOV
 

327 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:23:20 ID:Jme/PQI4
【D-5 森(マップ北西)/1日目 真夜中】

【佐藤良美@つよきす -Mighty Heart-】
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)、地獄蝶々@つよきす、破邪の巫女さんセット(巫女服のみ)】
【所持品:支給品一式×3、S&W M36(5/5)、錐、食料・水x4、タロットカード@Sister Princess、
大石のデイパック、  S&W M627PCカスタムの予備弾20、肉まん×5@Kanon、虎玉@shuffle、オペラグラス
日本酒x1(アルコール度数は46)、発火装置、医療品一式、倉成武のPDA@Ever17-the out of infinity-、倉田佐祐理の死体の写真】
【状態:左肩に銃創、重度の疑心暗鬼、巫女服の肩の辺りに赤い染み、左手小指損失】
【思考・行動】
基本方針:あらゆる手段を用いて、優勝する。
1:高嶺悠人と白河ことりを最大限利用、ホテルへ向かう。
2:ことりが自分の真意をバラした場合、即二人を殺害。
3:利用価値が無くなったら二人を殺す。
4:あらゆるもの、人を利用して優勝を目指す
5:いつか圭一とその仲間を自分の手で殺してやりたい

【備考】
※ハクオロを危険人物と認識。(詳細は聞いていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ)
※ネリネを危険人物と判断しました(名前のみ)
※大空寺あゆ、ことみのいずれも信用していません。
※大石の鞄に、未確認支給品が1個入っています(武器ではない)
※大石の支給品の一つは鍵です。 現在は倉成武が所有
※商店街で医療品とその他色々なものを入手しました。 具体的に何を手に入れたかは後続書き手任せ。ただし武器は無い)
※倉田佐祐理の死体の写真は額の銃痕が髪の毛で隠れた綺麗な姿。
 撮影時間(一日目夕方)も一緒に写っています。
※襲撃者(舞)の外見的特長を知りました。
※ことりが心を読む力があることを知りました。
※ファンタズマゴリアについてある程度の知識を得ました(永遠神剣の詳細については聞いてません)



328 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:23:51 ID:aYAyPcOV
 

329 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:24:32 ID:Jme/PQI4
【高嶺悠人@永遠のアセリア −この大地の果てで−】
【装備:トウカの刀@うたわれるもの、ベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15+1)】
【所持品1:支給品一式×3、バニラアイス@Kanon(残り6/10)、予備マガジン×3、暗視ゴーグル、FN−P90の予備弾、電話帳】
【所持品2:カルラの剣@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、懐中電灯、単二乾電池(×2本)バナナ(台湾産)(1房)】
【状態:疲労中程度、手足に軽い火傷(行動に支障なし)、左太腿に軽度の負傷(処置済み・歩行には支障なし)、「時詠」に対する恐怖、土と灰と煤で全身に汚れ】
【思考・行動】
基本方針1:千影とことりと良美を守る
基本方針2:なんとしてもファンタズマゴリアに帰還する
0:ことりと良美と共に時間までに南へ移動し、ホテルに向かい千影と合流する。その後病院へ
1:良美を襲った襲撃者を警戒
2:前原圭一を警戒
3:国崎往人に対するやり切れない感情
4:衛、千影を含む出来る限り多くの人を保護
5:ゲームに乗った人間と遭遇したときは、衛や弱い立場の人間を守るためにも全力で戦う。割り切って容赦しない
6:ネリネをマーダーとして警戒
7:地下にタカノ達主催者の本拠地があるのではないかと推測。しかし、そうだとしても首輪をどうにかしないと……

【備考】
※バニラアイスは小型の冷凍庫に入っています。
※衛と本音をぶつけあったことで絆が強くなり、心のわだかまりが解けました。
※アセリアに『時詠』の事を話していません。
※千影が意図的に西へと移動したことに気付いていません。方向音痴だったと判断。
※ことりが心を読む力があることを知りました。
※咲耶を殺したのは圭一だと思っています。
※良美の真意に気づいていません。



330 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/24(月) 22:24:39 ID:aYAyPcOV
 

331 :悪意の夢は終わって始まる ◆VtbIiCrJOs :2007/09/24(月) 22:25:21 ID:Jme/PQI4
【白河ことり@D.C.P.S.】
【装備:今日子のハリセン@永遠のアセリア(残り使用回数3回)風見学園本校制服(縦に真っ二つに破けブラジャー露出) その上から悠人の上着を羽織る(所々焼け焦げている)】
【所持品1:支給品一式x4 バナナ(台湾産)(3房)、懐中電灯、単二乾電池(×4本)】
【所持品2:竹刀、ベレッタ M93R(21/21)、鉈@ひぐらしのなく頃に祭、クロスボウ(ボルト残26/30)、ヘルメット、ツルハシ、果物ナイフ】
【所持品3:虹色の羽根@つよきす-Mighty Heart-、ベレッタ M93Rの残弾1、 昆虫図鑑、.357マグナム弾(40発)、スペツナズナイフの柄 】
【状態:疲労(大)、精神的疲労(大)、レイプ未遂のショック(良美のせいで再発)、軽い頭痛】
【思考・行動】
基本方針:ゲームには乗らない。最終的な目標は島からの脱出。
0:私……どうすれば……
1:悠人と良美と共にホテルに行き、千影と合流。
2:朝倉純一、千影の探索。
3:仲間になってくれる人を見つける。
4:朝倉君たちと、舞と、舞の友達を探す。
5:千影の姉妹を探す。
6:舞の説得。
7:服が欲しい。

※虹色の羽根
喋るオウム、土永さんの羽根。
この島内に唯一存在する動物、その証拠。

【備考】
※テレパス能力消失後からの参加ですが、主催側の初音島の桜の効果により一時的な能力復活状態にあります。
 ただし、ことりの心を読む力は制限により相手に触らないと読み取れないようになっています。
※ことりは、能力が復活していることに気づきました。
※坂上智代から、ボイスレコーダーを発端とした一連の事件について、聞きました。
※音夢ルートからの参加
※悠人を強く信頼、衛にも興味。
※エルルゥのリボンはC-5地点に放置。すぐそばに壊れたランタンがあります。
※テレパス能力で良美の真意に気づきました。
※良美を襲った人間が舞とは気づいていません。

332 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:16:20 ID:Pxzt1aZ+
「……ふう」

図書館の窓から月を見上げるのは、宮小路瑞穂。
倉成武と佐藤良美の両名がこの図書館に現れる、という情報を新しい仲間から得たから、なのだが。
見張りの間、他の各人は休憩や調べものに時間を費やしているだろう。

瑞穂は星に囲まれた夜空を見上げる。
たった一日が何ヶ月にも感じた。一年で培った大切なものを一日で失った傷は、未だ瑞穂の中で燻っている。

(貴子さん……)

死んでしまった大切な人。
絶対に命を懸けてでも護ってあげなければいけない、生涯愛すると誓った女性。
どんな最期を遂げたのだろうか、そんなことを考えると胸が苦しくなって仕方がなかった。
そして今まで考えようとしなかった疑問を、今になって自分自身にぶつけてみた。

即ち、貴子を殺したのは誰か、ということ。
どうして行動を共にしていた武は生きているのか、ということ。
そして人を信じられなくなる病気になって、殺し合いに乗ってしまっているという事実。

(これらは、ひとつの可能性を考えれば簡単に集束してしまいますね……)

H173に感染した武が、疑心暗鬼のままに貴子を殺害した。
一番信じたくない可能性。一番あってほしくない可能性。だけど、そう考えれば全ての辻褄があってしまう。

もしも、貴子を殺したのが武だったら。
いや、百歩譲ってそれが違うにしても、貴子を護ってくれなかった武を自分は許すことができるだろうか。
圭一たちは助けたいと言っているが、それを別にしても許せるのか。
ハクオロや悠人が往人を許したように、自分が武を許すことができるのだろうか。そんな、聖人のようなことを言えるのか?

333 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:16:50 ID:Jtuvf5BH
 

334 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:17:05 ID:Pxzt1aZ+
(すごいですね、ハクオロさんや悠人さんは)

改めて実感する。許すという行為が、ここまで大変だとは知らなかった。
それなりに人の上に立つ地位についていたが、そんなこととは別の話。そう、例えれば人としての強さということだろう。

(私は……いや、僕は弱い人間だね……)

学園ではたくさんの人に支えてもらった。
一人一人、懐かしいあの尊敬や敬愛のこもった笑みを思い浮かべていく。

(まりや、紫苑さん、奏ちゃん、由香里ちゃん、一子ちゃん、緋紗子先生……それに、貴子さん)

皆の思い出が瑞穂に力を分けてくれる。
彼女たちには本当に良くしてもらった、そう瑞穂は心中で独白する。あの一年間は最高の宝物だった。
そして、この島に連れてこられて、世界で一番大事な人を失った。
だけど、それを多くの同じ境遇の人が救ってくれた。一人一人、感謝の言葉と共に名前を挙げていく。

(茜さん、アルルゥちゃん……それに、アセリアさん)

身を挺して護ってくれたアルルゥ。
殺し合いに乗ろうとした自分を、命をかけて叱咤してくれた茜。
そして、今日まで一緒に戦い、悲しみも喜びも分かち合ったアセリア。
もし、誰も助けてくれなかったら……弱い自分は、この手で殺した鳴海孝之と同じ道を辿っていたに違いない。

ただ、たったひとつの叶うとも分からない望みのために殺し尽くす。
悲しい結末を、一瞬だけでも願ってしまった。断言する、自分はあまりにも脆弱なのだ、と叱咤する。
そんな自分だから迷う、憤る、憎しむ。
だが、この身はエルダーシスター、宮小路瑞穂。数多くの屍を踏み越えて、殺し合いを止めることを決めた者。

335 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:17:27 ID:Jtuvf5BH
 

336 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:17:49 ID:Pxzt1aZ+
(茜さん……この地図が形見になってしまいましたね)

茜手製の廃坑内部の地図を取り出す。
役に立つかは分からない。もしかしたら廃坑内部に何か、脱出の鍵になるものがあるかもしれない。
一目見て、またデイパックに仕舞う。
今の瑞穂は見張り番だ。あまり、他のところに目を配ってはいけない。
相手は話を聞く限り、どちらも鳴海孝之を上回ると思って良い。それほどまでの危険人物、見逃しては大変だ。

「さあ、もう少し頑張るとしますか」

背伸びをひとつ。
交代の時間まで、見張りの任務をきちんと遂行しよう。




     ◇     ◇     ◇     ◇

337 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:18:30 ID:Jtuvf5BH
  

338 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:18:50 ID:Pxzt1aZ+
「う〜ん……」

前原圭一は椅子を並べて作ったベッドに横になりながら、唸っていた。
さっきまで見張りを担当し、そして瑞穂と交代したのだ。これから少しは仮眠を取ろうとしている、その直前。
釈然としない疑問が圭一の中で渦巻いていた。
悩みの種、その原因は国崎往人が持っていた大石蔵人の口述筆記ノートに書かれていた内容だ。

(俺が、すでに死んでいる……? 何が言いたいんだよ、大石さん……)

しかも自分だけでなく、梨花と詩音、そしてこの殺し合いの主催者たる鷹野までが死んでいるというのだ。
まさか知り合いにゾンビ扱い……それも死んでしまった人に言われる経験なんて、当然のごとく初めてだ。
少し頭を痛めながら、それでも何となくの仮説を考えていた。

(この殺し合いは、色々な世界から連れてこられた人たちによるもの、なんだよな)

それなら、辻褄は合う。
要するにこの島に連れてこられた大石は、圭一が元々いた世界の大石ではないということだ。

(大石さんの世界では……俺や詩音や梨花ちゃん、それに鷹野さんが死んでいるってことか)

もはや遺書になってしまった大石の手紙を掴む。
眠気はあったが、どうにもモヤモヤして気分が悪い。ふと、この島から来た最初期の仲間……遠野美凪の顔を思い浮かべた。
どうしているだろうか、危険な目にあっていないだろうか、そんな詮のないことを考えてしまい、首を振る。

「そういえば、まだ途中までだったっけ」

寝転がったまま、それにもう一度目を通した。そういえばゾンビ扱いでの衝撃と往人の件で最後まで読んでいない。
確か往人の話では手紙の後半まで見ようとはしなかったらしい。
ちょうどいい機会だと思って、手紙の二枚目に手をかける。その一番上に何やら目立つ言葉が書かれていた。

339 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:19:06 ID:Jtuvf5BH
 

340 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:19:39 ID:Pxzt1aZ+
(ん……? 魔法の指輪について?)

何やら二枚目には興味深い記述がタイトルに用いられている。
圭一が知る限り、大石という人間は魔法やら祟りなんてものは信じないタイプ。
若干興味が引かれたので、眠る前に二枚目に目を通す。中には魔法の指輪とやらについての考察がされていた。


『不思議なものというのは、私が持っていた指輪のことなんです。
 何が不思議か、っていうのは見ていただかないと表現が難しいですが……この指輪、中で風が逆巻いているんですよ。
 私どもの常識にはない物質でしたねぇ。是非とも、持って帰りたいところなんですが、私としてはどうにもねえ……
 先ほども言いましたが、胡散臭いんですよ、まるで『魔法』を思わせる類のものは。あまり露骨に頼りたくはないんです。
 ああ、いや、もちろん信じないとかじゃなくてですね。死人が生き返っている摩訶不思議が起きていますから。
 ただ、私はそれを利用するのは躊躇っているというわけなんです。ですから今もデイパックの中に放り込んだままなんですがね。

 この魔法の指輪、名前を『フムカミの指輪』と言いましてね。
 どうやら説明書によれば風の魔法を使える、神秘の魔術品らしいですねぇ。おっと、笑わないでくださいよ。
 信じないでしょうねぇ。もしかしたら、私の手紙も全て眉唾物として処分されているかもしれない。それなら私は、自分の口で伝えて回るだけですが』


それはもう、永遠にできなくなってしまった。
ただ放送で呼ばれたことも前半部分で書かれていたのだから、覚悟はしていたのかもしれない。
圭一は少しだけ悔恨の表情を浮かべながら、続きへと目を通していく。

341 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:19:48 ID:o8ZMees/
 

342 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:20:06 ID:Jtuvf5BH
 

343 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:20:33 ID:Pxzt1aZ+
『どうして、こんな指輪の話をしたかとお思いですか?
 んっふっふ、その理由は二つですね。ひとつはある可能性に賭けることにしたからです。
 一つ目、私に支給されている以上、貴方にも不思議なものを支給されてはいませんか? 
 もしも支給されているのなら、少しはこの手紙にも真実味が増すんじゃないですか? 魔法が存在している以上、死者蘇生もありだと。
 ああ、今少し鼻で笑いませんでしたか? わかりますよ、刑事ですから。ついでにまたそれか、とも。

 二つ目、この手紙は客観的に見れば酷い誇大妄想話ですからね。普通に書いただけじゃ、無視されるでしょう。
 私が逆の立場なら、一笑に付しているでしょうしねえ。構いませんよ、口で伝えていくつもりで、この手紙は私自身の考えをまとめるために綴ったものですし。
 そうですねえ、この手紙を見て魔法の指輪が欲しいと思った方には、差し上げても構いませんよ?
 その代わり、私の話を信じていただきたいところですねえ。私としても誰か賛同者が欲しいのですよ。
 要するに前半部分の手紙は私の主張及び考察。そして後半部分にはそれを信じていただくための、取引といったところでしょうか。

 んっふっふ、もしも何らかの形でこの指輪を手に入れた方、気をつけてくださいよ?
 無理やり奪われる可能性も考えて、この『フムカミの指輪』の説明書は燃やしてしまったんですよ。ちょっとしたリスク管理ですね。
 ですから『フムカミの指輪』の説明についてはここに記載しておきますね。
 実は一度、その指輪を試しに使ってみたのですがね。カマイタチが起こりましてね、すごいことになったんですよ。
 もし拾っても、誤って自分やお仲間に向けて撃たないように。しかも制限回数があるようで、私が一度使ったから後、二回……というところですか。
 威力については後述しておきます。どうか、参考しておいてください』


フムカミの指輪の威力。
簡易的なカマイタチは、人を殺傷する能力こそ薄いものの、普通に考えれば危険な代物。
体全体に切り傷を負わせ、風圧で相手の隙を作る……どうやら、威嚇用の支給品だったらしい。
圭一も信じるかどうか、以前なら迷っていたのだが。
アセリアが神剣を使うところも見たし、どうせなら魔法が使えるなんてロマンのあることは信じてみたい。

344 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:21:03 ID:o8ZMees/
 

345 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:21:05 ID:Jtuvf5BH
  

346 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:21:27 ID:Pxzt1aZ+
『私はね、こんな馬鹿げた殺し合いに嫌悪している。
 巻き込まれたことにじゃない、こんなふざけたことを笑って開催すること自体に激しい嫌悪感を抱いているんですよ。
 貴方はどうですか?
 刑事ってのは嫌な職業でしてね。どんなに良い人でも、信用できなくなる職業なんですよ。暗い闇の部分を見せてもらってますから。
 貴方も気をつけてください。人間、追い詰められれば何をしてもおかしくありません。

 私はこの島の謎を解き明かすつもりです。
 ですがもしも、私が放送で名前を呼ばれたときは……私に代わって、この島の謎と鷹野三四たちの謎を解き明かして欲しい。
 それが、私の望みです。
 それでは、貴方もどうかお気をつけて。無事にこの島から帰れるよう、私もひとつ願わせていただきます。んっふっふ』


手紙はそこで終わっていた。
まさか本人も圭一の目に触れるとは思わなかっただろう。
圭一はその因果を感じながら、そっとかつて世話になった人の冥福を祈った。

(大石さん、どうか安らかに)

黙祷し、そのまま眠りにつく。
その中で少し考えることがあった。大石が語る『フムカミの指輪』とやらについて。
確かに人目見て不思議な指輪だとは思っただろう。だが、魔法の存在を知らないものにとっては無用の長物かも知れない。
もしくはデイパックの中に沈んだままになっているかも知れない。

大石が亡くなった今、その指輪は誰の手の中にあるのだろうか。
説明書を燃やしたらしいから、その価値を見出してはいないのかも知れない。だが、かなり強力な武装と言える。
もしも殺し合いを肯定した相手が握っていた場合、それは取り返しのつかないことになるのかも知れない、と。

(あ〜……それ以上、考えるのは後にするか)

どうやら、とても疲れていたらしい。意識は数秒で途切れ、圭一は夢の世界へと旅立っていく。
その一時のユメの中。
振り切ったはずの情景、部活メンバーとの楽しい日常を夢想した。

347 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:21:43 ID:Jtuvf5BH
 

348 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:22:01 ID:Pxzt1aZ+
     ◇     ◇     ◇     ◇




「ああ〜、もう……」

沙羅は図書館の本をいくつか調べていた。
この殺し合いの鉄則や注意、今更言われるまでのないことから、殺し合い推奨と正しい殺戮の仕方まで。
中々に悪趣味だったので、適当に目を通したあとで本棚に戻した。よくもまあ、ここまで外道なことが思いつけるものだ。
弱者を利用した強者の殺し方、銃を持った相手の騙し方、人質を利用した手ごま作戦……これが平気で出来る人間は本当に外道だ。
まあ、そんな外道な知り合いに心当たりがある沙羅としては、天然で思いつける彼女に畏怖すら覚えるのだが。

とにかく、疲れた頭でこんなものを読まされた身としてはため息をつくしかない。
何か役立つヒントを探してきたのだが、マーダー相手にしか意味がないものばかり。頭が痛くなってきた。
そんな折、視界の端に青い髪が入って、沙羅は何気なしに振り向いた。

「アセリアさん、何してるの?」
「ん……」

そこには永遠神剣『冥加』をじっと見ながら、考え込むアセリアの姿があった。
なにやら悩んでいるようなのだが、沙羅には最初、それがわからない。やがて『冥加』を渋っていた態度を思い出す。
神剣魔法がどうのこうの、という話。魔力のある人間でも使える、とのことだが……この場にはアセリアしか該当しない。

「神剣魔法ってのが、使えなくて落ち込んでるとか?」

何しろ、戦いに身を置いていた彼女の世界で使える神剣魔法。よほど戦いの役に立つのだろう。
魔法否定派ではいたが、あれだけのものを見せられては信じざるを得ない。
むしろ、少しばかり好奇心が沸くのが正直な感想だ。凄まじい剣技に、魔法……ファンタジーが目の前にあるのだから。
アセリアは沙羅の言葉を受け取ると、ふるふると首を横に振った。

349 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:22:19 ID:o8ZMees/
 

350 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:22:24 ID:Jtuvf5BH
 

351 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:22:54 ID:Pxzt1aZ+
「神剣魔法は使える……疲れるし、慣れないけど便利だ」
「えっ、ほんと? ちょっと使って見せてほしいな……って、ここでやったらまずいやつ、とか?」
「ん……そんなことない、何か本を貸して」

興味深げに頷き、さっきまで読んでいた外道な本をアセリアに渡す。
アセリアは『冥加』に意識を集中させると、いくつかの本を空中に放り投げた。
まずは一冊目、『殺し合いの正しいやり方、100選』を見据えてアセリアが唱える。


「んっ……アイアンメイデン!」


次の瞬間、神剣から発生した黒い影から細い針が飛び出し、本を串刺しにする。
一本、二本ではない。合計で五本以上の黒き針が本に断罪を下す。その様はまるで、串刺し刑。
続いて二冊目、『利用する相手のうまい飼い方』目掛けて、神剣魔法が発動する。

「ダークインパクトッ……!」

今度は『冥加』が黒く染まり、凄まじい衝撃波が発生する。
巻き上がる旋風、そして散っていく本。狙われた標的はもはや利用できないほどにボロボロとなってしまう。
何より、沙羅は嫌な予感がした。だんだん威力が大きくなっていく。すぐに待ちの手を打った。

「ブラッドッ……!」
「アセリアさん、もういい! そこでストーーーップっ!!!」

ぴたり、とアセリアが停止する。
不思議そうな顔でキョトンと沙羅のほうに目を向けた。幸い『殺戮白書』は無事に地面に落ちた。
次の一撃はどんなものになるのか、沙羅は背中に流れる冷や汗を我慢しながら尋ねる。

352 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:23:20 ID:Jtuvf5BH
   

353 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:23:32 ID:Pxzt1aZ+
「次は、何をやろうと、したの?」
「ブラッドラスト……自分の血をマナに変換して、身体能力を上げる」
「止めてよかった。よほどの敵が来ないかぎり、それを使うのはやめたほうがいいわ」
「ん……わかった」

腕試しで自分を傷つける魔法を使わせたら、なんて謝っていいのかわからない。
アセリアは無口、無表情、無関心な印象があったが、それは間違いだ。アセリアは純真無垢なだけなのだから。
もっとも、最近は怒りや悲しみ、憎しみや疑いの目を持ったりと、人間に限りなく近い存在となってしまったが。

それにしても、強大な力だと沙羅は内心で喜んだ。
銃の扱いでは他の参加者よりも上位であるという自信があるが、それでも魔法を使える人が味方になるのは心強い。
そして逆にも考える。
この魔法を使う敵が相手だとすれば、これほど強大な相手は存在しない。
もし、そんな敵が現れたら……はたして、無事に勝利することができるのか。沙羅は言いようのしれない不安を覚えた。

「ん……疲れた」
「ああ、ごめんね。すごく疲れるって聞いてたのに、こんなことさせちゃって」
「大丈夫……」

アセリアは『冥加』を再び鞘に戻すと、それをじっと見つめながら思案に暮れる。
神剣魔法が使えることは教えてもらったのだが、それならアセリアは何を悩んでいるのだろうか。
ふと沸いた疑問、別に害のあることじゃないのはわかっていたので、もう一度質問をしてみた。

「ねえ、アセリアさん。さっきから何を悩んでるの?」
「ん……ん……」

なにやら、反応が悪い。
アセリアは別の世界……まったく違う御伽噺の世界から来た、ということで沙羅は少し遠慮気味に接していた。
だが、今のアセリアはまるでどこにでもいる女の子のようなイメージ。ふと、親近感が沸いてしまう。
アセリアは少しだけ悩み、『冥加』を腕の中に抱えて考え込む。その様子はぬいぐるみに顔をうずめる少女に似た。

354 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:24:00 ID:Jtuvf5BH
 

355 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:24:27 ID:o8ZMees/
 

356 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:24:57 ID:Pxzt1aZ+
「ねえ、何を悩んでるの?」
「ん……んっ……――――に、―――――うかと、思って……」
「えっ?」

すごくか細い声だった。
もともとアセリアの声は小さいのだが、その言葉はそれに輪をかけて小さかった。
沙羅は口元に耳を近づけると、本当に小さい声が届いた。


「ユート……に、なんて言って謝ろうかと、思って……」


沙羅が『えっ?』と聞き間違えたかのように返事を返すと、アセリアはますます小さくなってしまう。
考える。『ユート』とは瑛理子たちが言っていた高嶺悠人のことだろう。
瑛理子たちが出発して、圭一が見張りについている間に瑞穂に話してもらった。ハクオロと悠人の二人と喧嘩別れしてしまったこと。
いや、一方的に勘違いして酷い言葉を投げかけてしまった、だったか。
とにかく、瑛理子たちと一緒に最後まで行きたいと主張していた理由が、それだった。

「酷いこと、言ったから……ユート、きっと怒ってる。ハクオロも……だから」
「一生懸命、なんて謝ろうか悩んでいたってこと?」
「………………(こくり)」

その様子があまりにも可愛いというか、意外な一面というか。
沙羅はついつい、クスクスと笑ってしまう。
アセリアはそんな沙羅にも気づかず、一人でぼそぼそと言葉を零してしまっていた。

「どうしよう……どうすればユートに許してもらえるか……? わからない……」
「ふうん……ずいぶん、高嶺さんに固執するのね? 好きな人なの?」
「ん……?」
「だって、謝る相手はハクオロも一緒だけど……アセリアさん、高嶺さんに特に謝りたがってるから」

357 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:25:25 ID:Jtuvf5BH
 

358 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:26:12 ID:o8ZMees/
 

359 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:26:28 ID:Pxzt1aZ+
アセリアは不思議そうな顔をしている。
少し考え込み、やがて首をかしげる。ふるふると首を振ったかと思えば、また『冥加』に顔を埋めてしまう。
そんな様子が可愛い、と思えてしまう。疲れ果てていた沙羅の心を癒してくれる小動物のようだった。

「好き……? うん、ユートのこと好き。ミズホのこともサラのことも、好き……ユキトは嫌い」
「違うって、そんな好きじゃなくてね……あ〜、よし。私がレクチャーしてあげよう」
「ん……?」

こうして一刻、沙羅とアセリアは絆を深め合うのだった。
美しい月は隠れ始め、薄暗い雰囲気の中で行われる秘め事。
月光の下、建物内での小夜曲(セレナーデ)だ。

やがてアセリアが見張りの番になった頃、瑞穂はアセリアの顔を見て首を捻ることとなる。

「……? アセリアさん、何だか顔が赤いような……?」
「ん……」
「さあ、気のせいよ、きっと♪」




     ◇     ◇     ◇     ◇


360 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:27:13 ID:Pxzt1aZ+
「皆さん、少し集まってもらえますか?」

瑞穂から号令がかかったのは、放送が始まる30分前だった。
圭一、アセリアは何事かと思って席に着く。沙羅は瑞穂の隣りでパソコンをいじっていた。
この中のリーダーはその指揮のうまさから瑞穂が就任していた。圭一はパソコンの前に立っている瑞穂へと話しかける。

「瑞穂さん、何かあったのか?」
「ええ、少し興味深いものを沙羅さんがパソコンで見つけました。これを見てください」

パソコンを覗き込むと、そこにはこんな名目の元、遊びのような言葉が踊っていた。


『少年少女殺し合い、優勝者は誰だ!?』

事前投票、上位10名
【川澄舞】【国崎住人】【佐藤良美】【杉並】
【園崎詩音】【高嶺悠人】【ハクオロ】【芙蓉楓】【古手梨花】【宮小路瑞穂】


最終中間投票、上位10名
【北川潤】【川澄舞】【佐藤良美】【国崎住人】
【高嶺悠人】【ネリネ】【宮小路瑞穂】【前原圭一】【坂上智代】【小町つぐみ】


「あれ、俺の名前がある?」
「ん……ユートとミズホもある」
「国崎の名前もあるわ。私が最初に図書館に来たときはなかったんだけど、ここに来てこんなのを見つけたの」

そう言うと沙羅は、細い指でひとつのファイルを指差した。
クリックしながらドラッグすることによって現れる、白い点。そこをクリックすると、短い文章が画面に飛び出してきた。

361 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:27:15 ID:o8ZMees/
 

362 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:27:15 ID:Jtuvf5BH
 

363 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:28:15 ID:Pxzt1aZ+
【第三視点からの報告】

本来、僕は違う名前なんだけど、今回はこの名前……『ブリック・ヴィンケル』の名前を借りるよ。
まず、僕は敵じゃないことを初めに伝えさせてもらうよ。信じてもらえるかはわからないけどね。
少しでも君たちの助けになりたい。鷹野さんのことだから、すぐに気づくと思うけどね。
その前にこの情報を転送する。これは最終中間発表のさらに後、第四回放送直前の上位10名の名前だ。

【水瀬名雪】【川澄舞】【佐藤良美】【倉成武】
【高嶺悠人】【北川潤】【宮小路瑞穂】【アセリア】【坂上智代】【小町つぐみ】

僕は鷹野さんに警戒されている。残念だが、これを送信できただけでも奇跡なんだ。
鷹野さんの目を盗み、パソコンに秘密裏にこの情報を送信した。
だが、おそらくは一時間と持たないだろう。すぐに削除される。何故なら、今回のランキングは非公式なものだからね。
鷹野さんにしてみれば身内からの裏切りを許しはしない。きっと僕の身ももう危ないだろう。

すまないが、できるのはここまでだ。僕は表立って動けるような状況にいない。
この情報を信じられないかも知れない。それも僕は分かっている。だけど、だから何もしないということは出来なかったんだ。
どうか、一人でも多く島から脱出してほしい。これは僕の率直な感想だ。こんな、馬鹿げた殺し合いなんかに負けないでほしい。

じゃあ、頑張って。
第三視点は影から傍観するしかない無意味な存在だけど。
それでも、君たちの事を応援しているから。

「これについて、意見を聞きたいの。皆はどう思う?」

瑞穂の問いかけに一人一人が考え込む。
これは信じるに値する情報か。もしや対主催同士で殺し合わせようとする主催者の罠か。
まずは一番手、沙羅が渋い顔をしながら考えを述べる。

364 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:29:17 ID:Jtuvf5BH
 

365 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:30:03 ID:Pxzt1aZ+
「私は信用に値しないと思う。優勝者……つまり、殺し合いに乗ったということでしょ?
 だったら瑞穂さんやアセリアたちの名前が挙がるはずがない。私は否定的ね、この情報に対しては」

当然だろう。仲間を殺人鬼扱いしたようなものなのだから。
確かに川澄舞、佐藤良美、倉成武の三人の名前があるのはわかる。正真正銘、殺し合いに乗った人間なのだから。
だが、アセリアや瑞穂は当然違う。まだ出逢って数時間の圭一や沙羅にも、それがわかる。

「ん……ユートは殺し合いになんて乗ってない。これは嘘」

同じように同意するアセリア。悠人を人殺し扱いされて、怒っているようだ。ついでに自分はどうでもいいらしい。
だが、一人だけ無言のままな少年がいた。
仲間を信じる、ということについては一家言あると言われる男、前原圭一である。

「……いや、あながち嘘とは言えないかも知れないな」
「ケーイチ……どういうこと?」

ぎろり、と睨み付けるアセリア。大迫力だった。
圭一は少し慌てて否定する。何も全肯定すると言っているわけではないのだから。


「優勝者は誰だ……つまり、この戦いを勝ち残れる実力者のことを言っているんだろ?
 なら、善悪は関係ないんじゃないかな。
 殺し合いに乗った側に佐藤さんや武さんの名前が挙がっているように、俺たちで高嶺さんや瑞穂さんが挙げられていてもおかしくない。

 高嶺さんやアセリアは言うに及ばず。瑞穂さんも相当強いってのは聞いたしな。
 つまりは人気のある実力者ランキングってやつだ。人気投票みたいなもんだな。
 そう考えるとやりようもある。大体、向こうだって信じてくれるかどうかは分からない、みたいな感じじゃないか」


一息、続いて圭一は語る。

366 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:30:20 ID:Jtuvf5BH
 

367 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:30:54 ID:Pxzt1aZ+
「まあ、確かに俺も全部が全部本当だなんて言うつもりはない。
 何故ならこんな降って沸いたような情報を鵜呑みにして、もしも罠なら俺たちは主催者に踊らされるってことになるからな。
 ついでに、俺の名前が再び消え失せたことに関しても文句はある。……まあ、それはいいけどな。悪い、話の腰を折った。

 とはいえ、このランキングも馬鹿にはならん。
 何しろちゃんと実力が高くて殺し合いに乗った奴らの名前も、きちんと列挙されているんだからな。
 主催者の陰謀だと仮定しよう。佐藤さんは人を騙しながら殺していく人だ。つまり、殺し合いに乗っているなんて知らないほうが都合がいい。
 主催者側が応援するのは絶対に殺し合い肯定者だ。なのに、佐藤さんが不利になるような情報をわざわざ送るか?
 俺たちは佐藤さんが人殺しに乗っていると知っているから、普通なんだ。こいつは何も知らない善良な参加者にまで、警戒心を与えちまう。
 ご丁寧にキチンと俺たちが警戒している三人の名前がきっちり入っている。これは俺たちにとって有力な情報だと思うんだ。

 ここに名前が乗っている奴を信じるな、とは絶対に言わねえ。
 だけど、警戒に値すると俺は思う。信憑性は決して低くないからだ。以上、ここまでで質問があるか?」


口先の魔術師、前原圭一。
その奥義を垣間見て、全員が呆然と圭一の話に耳を傾けてしまっていた。

「えーと……まあ、私も同意見ですね」
「うーん……言われてみれば、そんな気もしないでもないかも」
「ん……要するに、決して信じられないと断言はできない、ってことか?」
「有体に言えば」

核心はアセリアの口から飛び出していた。
さあ、何をまず信じるべきか。どれくらい信じていいのか分からない、この状況下で。

「あっ……皆さん、時間です!」
「えっ、あっ……」
「ん……」


悪魔の放送の時間となった。

368 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:31:11 ID:Jtuvf5BH
 

369 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:31:29 ID:Pxzt1aZ+
【F-3 図書館/1日目 真夜中】



【女子三人+K】
1:図書館で武と良美を待ち受ける。
2:その間に情報を集める。
※救急車(鍵付き)のガソリンはレギュラーです。現在の燃料は僅かです。



【前原圭一@ひぐらしのなく頃に祭】
【状態:精神安定、右拳軽傷、体全体に軽度の打撲と無数の切り傷、左肩刺し傷(左腕を動かすと、大きな痛みを伴う)】
【装備:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に】
【所持品:支給品一式×2、折れた柳也の刀@AIR(柄と刃の部分に別れてます)、キックボード(折り畳み式)、大石のノート、情報を纏めた紙×2】
【思考・行動】
基本方針:仲間を集めてロワからの脱出、殺し合いには乗らない、人を信じる
0:そういえばあの指輪、誰が持っているんだろ……?
1:沙羅と瑞穂を守る、出来ればアセリアも守りたいけど無理かも。
2:知り合いとの合流、または合流手段の模索
3:あゆについては態度保留、但し大石を殺したことを許す気は今のところない。
4:良美を警戒
5:ハクオロに対しては一応警戒。
6:いつか祭具殿の中へ入りたい
7:ランキングについて思考中

【備考】
※大石のノートは一応、最後まで読みました。ただ、ノートの何処かに別の考察を書いている可能性はあります
※国崎往人、二見瑛理子、綾小路瑞穂、アセリアを信頼
※春原陽平、小町つぐみの情報を得ました

370 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:31:56 ID:Jtuvf5BH


371 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:32:07 ID:Pxzt1aZ+
【白鐘沙羅@フタコイ オルタナティブ 恋と少女とマシンガン】
【装備: ワルサー P99 (8/16)】
【所持品:支給品一式 フロッピーディスク二枚(中身は下記) ワルサー P99 の予備マガジン8 カンパン30個入り(10/10) 500mlペットボトル4本、情報を纏めた紙×2】
【状態:軽度の疲労・強い決意・若干の血の汚れ】
【思考・行動】
基本行動方針:一人でも多くの人間が助かるように行動する
0:ふふ……なんて純粋なのかしら♪
1:瑛理子達と再会後、フロッピーディスクをもう一度調べる
2:H173の治療法を探す
3:首輪を解除できそうな人にフロッピーを渡す
4:情報端末を探す。
5:混乱している人やパニックの人を見つけ次第保護。
6:最終的にはタカノを倒し、殺し合いを止める。 タカノ、というかこのFDを作った奴は絶対に泣かす
7:ランキングについて思考中


【備考】
※FDの中身は様々な情報です。ただし、真偽は定かではありません。
※紙に書かれた事以外にも情報があるかもしれません。
※“最後に.txt .exe ”を実行するとその付近のPC全てが爆発します。
※↑に首輪の技術が使われている可能性があります。ただしこれは沙羅の推測です。
※図書館のパソコンにある動画ファイルは不定期配信されます。現在、『開催!!.avi』と『第三視点からの報告』が存在します。

372 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:33:01 ID:o8ZMees/
 

373 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/28(金) 00:33:01 ID:Jtuvf5BH
 

374 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:33:07 ID:Pxzt1aZ+
【アセリア@永遠のアセリア】
【装備:永遠神剣第六位冥加@永遠のアセリア −この大地の果てで− 】
【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、鉄パイプ、国崎最高ボタン、ひぐらし@ひぐらしのなく頃に、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-、情報を纏めた紙×2】
【状態:嬉しい、肉体的疲労中、右耳損失(応急手当済み)、頬に掠り傷、ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
0:好き……好き……ん……?
1:仲間を守る
2:無闇に人を殺さない(但し、殺し合いに乗った襲撃者は殺す)
3:強者と戦う
4:存在を探す
5:冥加が使い辛い
6:悠人とハクオロに謝りたい
7:川澄舞を強く警戒
8:国崎往人に対する微妙な感情
9:ランキングについて思考中


【備考】
※冥加の使用には、普段の数倍の負担がかかります。
※神剣魔法は以上の技が使用可能です。
アイアンメイデン  補助魔法。影からの奇襲によって、相手の手足を串刺す。
ダークインパクト  攻撃魔法。闇の力を借りた衝撃波で攻撃する。
ブラッドラスト    補助魔法。血をマナに変換し、身体能力を増強する。

375 :代理投下 月光のセレナーデ ◇TFNAWZdzjA:2007/09/28(金) 00:33:41 ID:Pxzt1aZ+
【宮小路瑞穂@乙女はお姉さまに恋してる】
【装備:ベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15+)】
【所持品:支給品一式×3、フカヒレのギャルゲー@つよきす-Mighty Heart-、
 多機能ボイスレコーダー(ラジオ付き)、斧、レザーソー、投げナイフ3本、
 フック付きワイヤーロープ(5メートル型、10メートル型各1本)、茜手製の廃坑内部の地図(全体の2〜3割ほど完成)、予備マガジンx3、情報を纏めた紙×2 】
【状態:決意】
【思考・行動】
0:……アセリアさん、まだ顔が赤いですよ?
1:エルダー・シスターとして、悲しみの連鎖を終わらせる(殺し合いを止める)
2:アセリアと瑛理子を守る
3:国崎往人に対する微妙な感情
4:川澄舞を警戒
5:ランキングについて思考中



【備考】
※往人に対して罪を赦すつもりはないが、殺意は霧散。
※参加者全員に性別のことは隠し続けることにしました。
※現在、バーベナ学園の制服を着用。以前の血塗れの制服はE-2地点に放置。
※フカヒレのギャルゲー@つよきす について
プラスチックケースと中のディスクでセットです。
ケースの外側に鮫菅新一と名前が油性ペンで記してあります。
ディスクの内容は不明です。
一応、ブリックヴィンケルは富竹を考えていますが、変えても構いません。

376 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:09:53 ID:8NvMi9Um
『じゃあまた6時間後、会えることを楽しみにしてるよ
 ひゃーひゃーひゃーひゃひゃひゃひゃーーーー!!!』

静まり返った図書館の中に、耳障りな哄笑が響き渡る。
全てを見下すような嘲笑と共に紡がれた、第四回放送。
それは宮小路瑞穂ら一行にとって、緊急事態を報せる警鐘に他ならない。

「往人さんが、殺されただって……!?」

顔面蒼白となった前原圭一が、動揺を隠し切れぬ様子で云った。
往人は嘗て殺し合いに乗っていたし、共に過ごした時間も短かったが、確かに自分達の仲間だった。
自らの罪から決して逃げようとせず、償う為に生き続ける事を選んだ、強き男だった。
竜宮レナや園崎詩音が死んだ時と同様、言い表しようの無い喪失感が沸き上がる。
だがそれは、すぐ一つの考えに打ち消された。

「まさか――それじゃ、遠野さん達も……?」

その先は口にするまでも無く、全員が理解出来た。
先の放送で名前を呼ばれた国崎往人は、遠野美凪や二見瑛理子と共に行動していた筈。
そして美凪も、瑛理子も、往人に対して殺意など抱いてはいなかった。
だと云うのに往人が死んでしまったという事は、即ち第三者による襲撃を受けたという事だろう。

「ええ……。名前こそ呼ばれませんでしたが、無事かどうかまでは……」

答える瑞穂の表情は、大きな不安に曇っている。
往人の実力は、あのアセリアを済んでの所まで追い詰められる程に、優れたものだった。
その往人が、敗北を喫した。
正体不明の、しかし圧倒的戦闘能力を誇っているであろう殺戮者による襲撃。
同行していた美凪や瑛理子が五体満足で居る可能性は、極めて低いと云わざるを得ない。
言い淀む瑞穂の後を引き継いで、圭一が言葉を続ける。

377 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:12:15 ID:sCKhgnLY


378 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:12:24 ID:8NvMi9Um

「そうだ――怪我をしているかも知れないし、それどころか……」

放送で名前が呼ばれなかったと云う事実により保障されるのは、あくまでもその時点での生存のみ。
生き残った者達がどんな状態かまでは、推し量れない。
美凪達は死こそ免れたものの、致命的な怪我を負ってしまい、今正に息絶えようとしている所かも知れないのだ。
最悪の想像が脳裏を横切り、圭一はブンブンと首を横に振った。
大丈夫、美凪達が死んだりする筈が無い。
きっと往人が命懸けで美凪達を逃がしてくれたのだと、そう自分に言い聞かせようとする。
それでも、次々に嫌なイメージが浮かび上がるのを止められない。
喉を切り裂かれた岡崎朋也のように、或いは全身を焼かれた咲耶のように、凄惨な死に様を晒す美凪の姿。
真っ赤な鮮血に塗れ、苦しみ悶えながら助けを求める美凪の――
そこで圭一の思考を遮るように、一つの声が聞こえてきた。

「――皆、荷物を纏めて」
「……沙羅?」

視線を向けると、白鐘沙羅が急かすように手を振っていた。
荷物を纏める――つまりは、此処を発つという事なのだろう。
当然の如く疑問が沸き上がり、それを確認するべくアセリアが問い掛ける。

「でも……エリコは此処で待ってろと言った。それなのに……良いのか?」
「瑛理子さん達が危ない目に遭っているかも知れないんだから、大人しく待ってなんかいられないよ。
 ほらっ、急いで!」

その言葉に従い、アセリア達は急いで出立の準備をし始めた。
沙羅の云う通り、これ以上此処で待っている訳にはいかない。
瑛理子達は回り道をして病院に向かっている筈だから、一直線に追い掛ければ今からでも追いつけるかも知れない。
仮に瑛理子達が窮地に陥っていたとしても、救える可能性は未だ残っているのだ。

379 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:13:03 ID:/RlJiLtS
 

380 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:13:16 ID:sCKhgnLY


381 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:14:27 ID:8NvMi9Um
そして皆が皆、大急ぎで荷物を纏めてゆく中、沙羅は一つの本を鞄に放り込んでいた。
本の題名は、『バトル・ロワイアル』。
第二回放送直前に発見した興味深い題名の、しかしその後の急展開により、未だ内容を確認出来ていない書籍だ。
数時間前にアセリアが連打していた国崎最高ボタンについても、何か頭に引っ掛かっている。
この殺人遊戯に於いて、ただ騒音を撒き散らすだけの無意味な道具が支給されるとは考え難い。
何か、別の用途があるかも知れなかった。

(整理しないといけない情報が多過ぎる……ううん、考えるのは後ね。今は美凪と瑛理子さんを助ける事だけ考えないと……っ!)

すぐに雑念を打ち払い、一つの目的に意識を集中させる。
遠野美凪と二見瑛理子を探し出し、救出する。
今の沙羅達にとって、それが最優先課題なのだ。


◇  ◇  ◇  ◇


場所は変わって、住宅街の片隅に広がる空き地――国崎往人が、月宮あゆに撃ち殺された現場。
あの後銃声を聞き付けた瑛理子と美凪は、すぐさま此処に駆け付け、それとほぼ同時に第四回放送が始まった。
そして放送が終わった今も尚、死臭に満ちたこの地で、瑛理子は唯只立ち尽くしている。

「…………」

IQ190以上の頭脳を持つ自分は、一度耳にした内容を忘れるような失態は犯さない。
当然の事ながら、先の放送で告げられた内容も記憶してはいる。
記憶してはいるが――今の瑛理子は、放送についてなど何も考えてはいなかった。

「ひっく、……っ……、くに……ざき、さんっ……!」

眼下では、美凪が往人の亡骸を抱きかかえて泣きじゃくっている。
だがその姿すらも、瑛理子の目には映っていない。
止め処も無く溢れてくる疑問、それが瑛理子の思考を覆い尽くしていた。

382 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:15:09 ID:/RlJiLtS
 

383 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:15:32 ID:sCKhgnLY


384 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:16:24 ID:8NvMi9Um

(往人……どうして? 貴方……どうしてこんな所で、死んじゃったのよ……)

血塗れの少女を追いかけていった往人が、その数十分後には帰らぬ人となってしまった。
先の銃声や眉間を穿った傷跡から察するに、銃で撃ち殺されたのは明白だろう。
だが一体、誰に殺されたのだ。
最初に考えられる候補は、往人が追って行った血塗れの少女――恐らくは、嘗て往人が襲撃した月宮あゆ。
しかし美凪から聞いた話では、あゆは殺し合いに乗っていないという事だった。
心底怯え切った様子でもあった彼女が、往人を殺害したとは考え難い。

ならば往人は第三者の襲撃を受け、嘗て自分が犯した罪を償う為に、命懸けであゆを逃がしたのだろうか。
聞こえてきた銃声は一発だけであったし、放送で名前を呼ばれもしなかったのだから、あゆは未だ生きている筈。
つまり往人は、無事にあゆを守り抜いたという事になる。
だが、解せないのは往人の表情。
一目で見て取れる程の、絶望に染まり切った表情だ。
とても何かを成し遂げた者の顔とは思えない。
誰かを守り抜いたというよりも寧ろ、裏切られたという風に見える。
一体此処で何があったのか?
分からない。
どれだけ考えても答えなど出そうに無い。
そして何よりも分からないのは、自分自身の胸を締め付ける痛み。

(何よ……何なのよ、この気持ちはっ……!)

自分は国崎往人という男を仲間だと認めているものの、その罪を赦した訳ではいない。
自分に出来た初めての友達である神尾観鈴は、往人が原因で死んでしまったのだ。
観鈴が遺した願いの事もあるし、復讐するつもりは毛頭無かったものの、自分は往人を憎んですらいた筈だ。
だと云うのに、胸に沸き上がるこの痛みは、観鈴が死んでしまった時以上の――

385 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:17:01 ID:sCKhgnLY


386 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:17:08 ID:/RlJiLtS
 

387 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:17:46 ID:8NvMi9Um


美凪も、瑛理子も、その場から動けない。
往人が死んでしまった以上、自分達の戦力は圧倒的に不足している。
ならばすぐに移動しなければならないと分かっているが、どうしても行動に移れなかった。

とは云え、一時間も二時間もそうしていた訳では無い。
放送から然程時間は経過していない。
時間にして、ほんの十分程度のロス。

だが――そのロスが、最悪の事態を引き起こす原因となってしまった。


「――フン、遂に本性を表しやがったな」


冷め切った声が、闇の落ちた空き地に響き渡る。
殺気に満ちたソレは、明らかに美凪や瑛理子が発した物ではない。
自然と、視線が声のした方へ注ぎ込まれる。
街灯や月の光が降り注ぐ下で、一人の男が屹立していた。

「……武さん」

美凪の口から漏れ出たのは、嘗て行動を共にした人間の名前。
現われたのは、今や佐藤良美すらも凌駕しかねない程の強敵と化した、倉成武だった。
武は商店街ならばフィルムを再生出来ると考え、住宅街の中を移動し、そして美凪達を発見したのだ。

「どっちだ?」
「……え?」

388 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:17:57 ID:/RlJiLtS
 

389 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:18:00 ID:sCKhgnLY


390 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:19:17 ID:8NvMi9Um
突然の問い掛け。
呆然と聞き返す瑛理子に対して、武が再度尋ねる。

「そこの男を殺したのはどっちだ? 美凪か――それとも、お前か?」

そう云って武は、倒れ伏す往人の亡骸を指差した。
雛見沢症候群で疑心暗鬼となっている武にとって、往人の死体は決定的な状況証拠。
美凪達が殺し合いに乗っているという証明に他ならない。
しかし勿論それは的外れな憶測であり、当然の如く美凪が反論を口にする。

「違いますっ……、国崎さんを殺したのは私達じゃありません!
 私達が、国崎さんを殺す訳がありません!」

珍しく声を荒げて、必死に弁明する美凪。
その言葉には決して演技などでない、本物の感情が籠められている。
だがそれも、今の武には届かない。

「あくまで嘘を吐き通すつもりか。まあ良いさ、それなら――」

武の手にした大剣、永遠神剣第四位「求め」の刃先がすっと持ち上げられる。
それに反応して瑛理子がトカレフTT33を取り出したのとほぼ同時、武の足元が爆ぜた。

「――偽善者の仮面を被ったまま死ね!」

これ以上の問答は無用だと云わんばかりに、前方より襲来する暴風。
未だ銃を構え終わっていない瑛理子に向けて、異常な速度で武が迫る。
慌てて瑛理子はトカレフTT33のトリガーを引き絞ったが、碌に照準を絞れていなかった所為で、銃弾はあらぬ方向へと飛んでいった。
そして反応する間も無く、武の『求め』が瑛理子目掛けて横薙ぎに振るわれる。

圧倒的な身体能力を誇る武が放った一閃は、只の女子高生が反応するには、余りにも鋭過ぎる。
何の異変も無ければ、そのまま瑛理子の身体は真っ二つに引き裂かれていただろう。
だが白刃が振り切られる寸前、瑛理子は唐突にバランスを崩した。

391 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:19:43 ID:sCKhgnLY


392 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:20:02 ID:/RlJiLtS
 

393 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:21:03 ID:8NvMi9Um

「つぁ…………!?」
「チィ――――!」

瑛理子の頭上の空間を、恐るべき一撃が切り裂いてゆく。
正しく、不幸中の幸い。
左足首を捻挫していた瑛理子は、自身の身体を支え切れず、意図せずして地面に尻餅を付いたのだ。
だがそれはあくまで、僅か数秒間だけ命を繋いだに過ぎない。
すぐに次の攻撃が来るに決まっている。

「く、ア――――」

とても間に合うとは思えないが、それでも瑛理子は全速力で立ち上がった。
しかし予想に反して、武の追撃が飛んで来る事は無かった。
瑛理子の瞳に映ったのは、標的を変更し、美凪に襲い掛かる武の姿だ。
既に攻撃態勢に入っている武とは違い、美凪は未だ得物を取り出せてすらいない。

「やらせ、――――ない!」

あんな閃光じみた一撃を、美凪が防げる筈も無い。
瑛理子はすぐさま地面を蹴って、後ろから武の両腕に組み付いた。
そのまま全身全霊の力を以って、武の攻撃を食い止めようとする。
だが貧相な堤防では荒れ狂う津波を押し留められぬように、瑛理子程度の膂力で武を止める事は出来ない。
武は瑛理子に腕を押さえられたまま走り続け、美凪の腹部に向けて鋭い膝蹴りを放った。

「――っあ、うあぁぁ……」

腹部を思い切り強打された美凪が、ドサリと地面に崩れ落ちる。
勢い任せに放たれた膝蹴りは、一撃で完全に美凪の意識を奪い去っていた。
続けて武は乱暴に腕を振り回し、組み付いていた瑛理子を弾き飛ばした。

394 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:21:32 ID:/RlJiLtS
 

395 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:21:52 ID:sCKhgnLY


396 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:22:58 ID:8NvMi9Um

「つぅ…………!」

瑛理子は碌に受身も取れず、左肩から地面に倒れ込んだ。
骨に皹が入ったりする程では無いが、それでも激痛の所為でトカレフTT33を取り落としてしまう。
そこで、瑛理子に生じた隙をモノにすべく、武が『求め』を大きく振りかぶった。

(やら、れる――――!?)

間近に迫る死を、瑛理子は只眺める事しか出来なかった。
反撃手段を失い、回避も不可能な態勢の瑛理子と、何の躊躇いも無く追撃を仕掛けようとする武。
完全に詰み。
チェックメイトと表現するに相応しい状況。
そんな状況を一変させたのは、突如闇夜を切り裂いた眩い光だった。

「これ……は……?」

瑛理子の喉奥から、呆然とした声が漏れ出る。
往人の死体と、彼の愛用していた人形が、黄金色の光に包まれていた。
見ているだけで心を奪われるような、美しい光。
そして次の瞬間死体が消滅し、その代わりに一人の男が現われた。
もう、二度と動けぬ筈の男。
長身で、鋭い目付きをした、美しい銀髪の男は――

「……嘘……ゆき……と、……なの?」

死んだ筈の国崎往人だった。
往人は両腕を横に開き、瑛理子を庇うような位置取りで武の前に立ち塞がっている。

397 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:23:11 ID:OMZH5PQw
 

398 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:23:33 ID:sCKhgnLY


399 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:23:47 ID:/RlJiLtS
 

400 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:24:49 ID:8NvMi9Um

「――どういう、事だ……」

武は往人と面識など無いが、眼前で起こっている事態がどれだけ異常なのかは理解出来た。
死人が再び動き出すなど、どう考えても尋常ではない。
撃ち抜かれていた筈の眉間も、何時の間にか傷が無くなっている。
そして何よりも意識を引き寄せられるのが、その目だ。
見ているだけで胸が締め付けられる程の、悲痛な想いが籠められた瞳。
心臓を直接抉り取られるような錯覚。

(なんだ……この感覚は。どうして心がこんなに痛むんだ……っ!?)

向けられた想いはたった1つ――仲間を守りたいという、強い意志。
嘗て自身も持っていた筈の想いを前にして、武はただ往人と睨み合う事しか出来なかった。

「…………」
「…………」

そのまま武も瑛理子も、一言として言葉を発せない。
重い沈黙と緊張が、場を包み込む。
だが突如遠くから聞こえてきたエンジン音が、それを打ち破った。
闇夜に轟く爆音は、段々と近付いて来ている。

「あれは……圭一達の……?」

武にとって聞き覚えのあるエンジン音は、圭一達を乗せた救急車のもの。
つまり、銃声を聞き付けた圭一達が、大急ぎでこちらに向かって来ているのだろう。
すぐに武は往人から視線を外し、音が聞こえてくる方向に対して身構えた。

401 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:25:30 ID:/RlJiLtS
 

402 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:25:39 ID:sCKhgnLY


403 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:26:40 ID:8NvMi9Um

そして往人もまた武から目を逸らして、くるりと瑛理子の方へ振り向いた。
往人は穏やかな笑みを――見てて悲しくなるくらい、穏やかな笑みを浮かべていた。

「往人、貴方生きて――――、っ……!?」

瑛理子の問いが最後まで紡がれる事は無かった。
往人の体が、これで役目を終えたと云わんばかりに、段々と薄れていっていたからだ。
それで、尋ねるまでも無く、往人がもう消えてしまうのだと分かった。

「そんなっ……駄目よ! お願いだから待って!」

瑛理子が叫んだ。
普段の落ち着いた様子とは似ても似つかぬ、必死の叫びだった。

「私、未だ貴方と一緒に居たい! 伝えたい事、話したい事、まだまだ沢山あるの……っ!
 折角少しずつ打ち解けて来れたのに、こんなのってないわよ……!!」

瑛理子は未だ、助けて貰ったお礼すら云えていない。
今まで辛くあたってきた謝罪すら云えていない。
そして何よりも――自分にとって往人は大切な存在になりつつあったから、精一杯懇願する。
だが、それは決して叶わぬ願い。
法術と想いの力を以ってしても、死者を現世に留め続ける事など出来ない。

だから往人は、瑛理子の頭を優しく撫でた後、告げた。

「――ありがとう。お前が居てくれたから、俺は最後まで意志を曲げずに生きられた」

それが、最後の言葉。
往人の身体は光の粒子と化し、急速に霧散していった。
光が納まった後には、往人の姿はもう何処にも見当たらなかった。
残ったのは、ただ一つの薄汚れた人形だけだった。

404 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:26:54 ID:/RlJiLtS
 

405 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:27:11 ID:sCKhgnLY


406 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:28:23 ID:8NvMi9Um

「あ……あああっ…………うわああああああああああああああっっ……!!」

瑛理子が声にならぬ叫びを上げる。
瞳から止め処も無く涙が零れ落ち、ポタポタと地面を濡らしてゆく。
そこでようやく、圭一達を乗せた救急車が現場のすぐ近くに到着した。
往人が最後に起こした奇跡は、確かに瑛理子達の命を繋ぎ止めたのだ。




そして、救急車の扉から飛び出す一つの影。
俄かには信じ難い光景を前にして、武の表情が狼狽に歪む。

「…………っ!?」

青い髪の少女――アセリアが、恐るべき勢いでこちらに向かって跳ねていた。
有り得ない跳躍力。
跳躍点である救急車との距離は十メートル以上もあると云うのに、アセリアはただの一跳びで武が居る地点まで到達しようとしていた。
往人が見せた先の奇跡に続いて、余りにも常識外れな出来事。
度重なる異常な事態を前にしては、常人ならばまともな対応が出来なかったかも知れない。

しかし極限状態で発揮される底力こそが、武の本領。
武はほんの一瞬で意識を切り替えて、すぐさま自分が取り得る最善策を見出した。

「そうだ……惑わされる事はねえ。敵が飛んで来ると云うのなら――」

自分はつぐみと共に生き延びる為、戦い続ける道を選んだのだ。
ならば敵が何者であろうとも、やるべき事は一つ。

「――全力で迎え撃つだけだ!」

407 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:28:55 ID:sCKhgnLY


408 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:29:37 ID:/RlJiLtS
 

409 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:29:48 ID:8NvMi9Um

武は『求め』を天高く振り上げ、そのまま全身全霊の力を以って振り下ろした。
全く迷いの無いその剣戟を、宙に浮いたままのアセリアが躱せる道理など存在しない。
どれだけ素早く跳躍しようとも、翼を持たぬ人の身では、空中で身動きなど取れぬのだ。
永遠神剣第四位「求め」は、一刀の下にアセリアを両断するだろう。
それは覆しようの無い、定められた死の運命。


だがアセリアは、人を超越せしスピリット。
人間が定めた運命など、永遠神剣を持ったスピリットの前には無意味……!


アセリアの手にした日本刀――永遠神剣第六位冥加が、眩い閃光を放つ。
それとほぼ同時に、アセリアの背中から白く美しい羽が生えた。

「な……莫迦な――――!?」

驚愕に満ちた武の声。
アセリアは宙に浮いたまま大きく方向転換し、迫る剣戟から身を躱していた。
そして絶体絶命の窮地を凌いだ後に訪れるのは、これ以上無い程の好機だ。

「これで……終わりっ……!!」

アセリアは間髪置かずに武の背後へと回り込み、己が剣を――

「――止めろぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!」

振り下ろせなかった。
突如聞こえてきた凄まじい叫び声に従い、アセリアは攻撃を中断して大人しく後退した。
アセリアが首を動かすと、必死の形相をした圭一が駆けて来るのが見えた。
その後ろには、瑞穂や沙羅の姿もある。
敵が多数だと悟った武はすぐさま動き出し、気絶している美凪の首元に『求め』を突きつけた。

410 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:30:09 ID:/RlJiLtS
 

411 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:31:02 ID:sCKhgnLY


412 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:31:57 ID:8NvMi9Um

「ケイイチ……どうして止める? この男は……ミナギを傷付けた」
「だからって殺しちゃ駄目だ、武さんは俺達の仲間なんだからな。
 それに遠野さんも大丈夫、見た感じ大きな外傷は無いさ」

武を仲間だと告げる圭一の声には、一分の迷いすらも無い。
圭一は心の底から、未だに武の事を仲間だと思っているのだ。
だが純粋なる想いも、そのまま相手に伝わるとは限らない。
相手が雛見沢症候群で疑心暗鬼に陥っているのならば、尚更だ。
武は圭一の取った行動について、最悪の形の解釈をしていた。

「……そうやって善人振りをアピールして、周りの人間を上手く利用しようとしてやがんのか?
 そうだよな、俺を殺すよりも、そこの化け物の信用を得た方が良いもんな」
「違うっ! 俺は本当に、ただ武さんを救いたいだけなんだ!!」
「はっ、勝手にほざいてろ。もう二度と俺は騙されねえぞ!」

両者の会話は完全に平行線。
圭一がどれだけ説得しようとしても武は聞く耳を持たぬし、武がどれだけ暴言を吐こうとも圭一は諦めようとしない。
終わりの見えぬ、不毛な言い争い。
それに終止符を打ったのは、酷く哀しげな声だった。

「……武さん。貴方は本当に変わられてしまったんですね」
「――瑞穂か」
「貴方に一つだけ、お尋ねしたい事があります」

街灯の光を反射する美しい長髪、憂いを秘めた大きな瞳。
エルダー・シスター宮小路瑞穂が、何時の間にか圭一の横に並び掛けていた。
瑞穂は数秒程逡巡したが、すぐに本題を投げ掛けた。

413 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:32:13 ID:/RlJiLtS
 

414 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:32:38 ID:sCKhgnLY


415 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:33:41 ID:8NvMi9Um

「単刀直入に聞きます。貴子さんを殺したのは貴方ですか?」
「……貴子については、すまなかったと思っている。殺したのは他の奴だが、俺の所為で死んじまったようなもんだ。
 俺が殺し合いに乗った奴と戦っている隙に、別の襲撃者がやって来て貴子は殺されてしまったんだ」
「――――そうですか」

その言葉を聞いて、瑞穂はホッと胸を撫で下ろした。
武は心底申し訳無さそうな表情をしており、とても嘘を吐いているような感じは見受けられない。
もし武が犯人だった場合、許せるかどうか分からなかったが、それは杞憂に終わったようだった。
だが安心する瑞穂を尻目に、武が言葉を続ける。

「でも安心しろ。貴子を殺した犯人は、俺がちゃんと始末してやったさ。
 火達磨にして、十分に苦しみを与えてから、心臓をナイフで一突きだ」
「……え? 武さん、貴方何を――」 

瑞穂が疑問の声を上げる。
武の表情は先程までと一転して、酷く冷たいものになっていた。
その瞳からは、狂気と憎悪しか伝わって来ない。

「勿論、その程度で終わるつもりは無い。良美も、圭一も、美凪も、そしてお前も、殺してやる。
 俺はもう絶対に騙されねえ。つぐみ以外は皆、殺し合いに乗ってやがるに決まってんだ……!!」

憎しみに満ちた言葉。
最早武は、小町つぐみ以外の誰も信用するつもりなど無かった。
瑞穂が否定の声を上げようとも、そんなモノには耳を貸さないつもりだった。
だが次の瞬間武の耳に飛び込んできたのは、予想とは正反対の言葉だった。

「……そうですね。他の方はともかく、確かに私は一度殺し合いを肯定しました」
「――――っ!?」

武は一瞬意外そうな表情となり、大きく目を見開いた。
だがすぐに口元を大きく歪め、心底可笑しげに笑い出した。

416 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:34:21 ID:/RlJiLtS
 

417 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:34:46 ID:sCKhgnLY


418 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:35:43 ID:8NvMi9Um

「――――く、ハハハハハハ!! とうとう自分から認める気になりやがったか。
 そら見ろ、俺の云ってた事は正しかったじゃねえか!!」

そう云って武は視線を左右に振り回し、声高に己の正当性を主張する。
哄笑が響き渡る中、瑞穂は自分の罪を自白してゆく。


「私は仲間に――アセリアさんと茜さんに襲い掛かりました。
 一切の容赦無く、全力で殺そうとしました」

そうだ――自分は鷹野の言葉に踊らされ、仲間達に牙を剥いた。
貴子を蘇らせる為だけに、皆の信頼を裏切ってしまった。

「それでも、茜さんは私を説得しようとしてくれた。命懸けで救おうとしてくれた」

今も瑞穂の脳裏には、あの時の茜の姿が鮮明に焼き付いている。
茜はどれだけ傷付こうとも、決して諦めずに説得を続けていた。
自分のような、裏切り者相手にだ。

「そしてその結果、私は自分の過ちに気付けましたが……茜さんは死んでしまいました。
 茜さんが死んだのは……間違いなく私の所為なんです……っ!」

悲痛な声で紡がれる独白に、誰も言葉を挟めない。
それ程に、瑞穂の言葉は痛々しいものだった。

「それなのに――茜さんは、死の間際まで……、恨み言一つ云いませんでした。
 皆の幸せだけを願い続けて、っく、……ゆっくりと息を……ひっく、……引き取りました……」

最後の方は、涙声になってしまった。
茜の死は、未だ瑞穂にとって耐え難い出来事だった。
死に往く茜の姿を思い出すだけで、止め処も無く涙が溢れてしまう。

419 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:35:55 ID:/RlJiLtS
 

420 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:36:07 ID:sCKhgnLY


421 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:38:02 ID:8NvMi9Um

けれど――今度は自分の番だから。
自分が、暴走した仲間を止めなければいけない番だから。
瑞穂は涙を服の袖で拭き取って、告げる。

「武さん――貴方は間違っている。私を信用出来ないと云うのは構いません。
 ですがつぐみさん以外誰も信用しないのは、絶対に間違っている。
 茜さんやアルルゥちゃんのような、心優しい子達まで疑うなんて、彼女達に対する冒涜です……っ!!」

叩き付けられた言葉には、今にも溢れ出してしまいそうな程の想いが籠められている。
いかな疑心暗鬼に陥っている武と云えど、一笑に付す事など出来ない。
自信無さげな指摘を行う程度で、限界だった。

「……でも、そいつらはもう……死んでしまったんだろ。お前らが殺し合いに乗ってない証明には……ならない筈だ……」
「そうですね。けれど少なくとも、つぐみさん以外信用出来ないなんて暴論は否定出来る」
「くっ…………あ…………ううっ…………」

苦し紛れの言葉も一蹴され、武は苦々しげに奥歯を噛み締めた。
分からない。
自分のやってる事が本当に正しいのか、分からない。
武が混乱する思考に苦しむ中、圭一はずいと前に躍り出た。

「武さん――もう止めよう。アンタも自分自身で、薄々勘付いてるんじゃないか?
 今のアンタはH173に犯されてて、正常な判断が出来なくなってるだけなんだ」
「……またその話か。何度も言わせるな、俺の身体は何処もおかしくなんか――」
「――嘘だっ!!」

反論しようとした武の言葉は、途中で遮られた。


422 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:38:08 ID:/RlJiLtS
 

423 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:38:36 ID:sCKhgnLY


424 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:39:59 ID:8NvMi9Um

「俺はアンタが――倉成武って云う男が、どれだけ良い奴かちゃんと知っている。だから、断言出来る!
 何時ものアンタなら、誰彼構わず疑ったりする訳ないんだ!」
「――――ッッ!!」
「武さん、思い出してくれ! 昔の自分を! アンタはあんなにも一生懸命、仲間を守ろうとしてたじゃないか!
 そんなアンタが自分から仲間を襲うなんて、絶対に俺は認めねええええええ!!!」

圭一の叫びが、周囲一体に木霊する。
何処までも澄み通った瞳が、武をじっと眺め見ている。
堪らず武は、視線を横に逸らした。

今まで、必死に否定しようとしていたが――圭一の推測通り、自覚はあった。
薄々、何かが可笑しいとは感じ始めていた。
自分がH173の影響を受けていないと判断していたのは、キュレイの効力を信じていたからだ。

確かに万全な状態のキュレイウイルスならば、どのような病気であろうとも問題にしなかっただろう。
身体の至る所に怪我を負ってしまったとしても、すぐに回復してしまう筈。
だが今の自分の身体は、文字通り傷だらけだ。
脇腹と肩に刻み込まれた銃創は、未だに余り回復していない。
キュレイの効力が、予想以上に大きく落ちてるとしか思えない。

それに圭一は、好機があったにも関わらず、自分を殺そうとしなかった。
今だって人質を見捨てさえすれば、確実に自分を倒せると云うのに、真摯な言葉を投げ掛けてくるだけだ。
そんな男が殺し合いに乗っているなど、常識的に考えて有り得ない。

ならば、圭一の云う通りではないのか?
間違っているのは圭一達でなく、自分の方。
自分はH173を投与され、キュレイでもその病原体を防ぎ切る事は出来ず、それで疑心暗鬼に陥ってしまってるのではないか?
そう考えれば、全ての辻褄が合ってしまう。

425 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:40:19 ID:/RlJiLtS
 

426 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:40:22 ID:sCKhgnLY


427 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:40:40 ID:SIiOA17U
 

428 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:41:20 ID:8NvMi9Um

しかし――それが真実だとしたら、これまでの自分は何をやっていたのだ。
佐藤良美の言葉に踊らされ、必死の想いで説得してくれた仲間達を蔑ろにし、学校では無力な少女にまで剣を向けた、という事なのか。
自分自身が最も忌み嫌っていた筈の、外道の道を歩んでいたという事なのか。
最低の卑怯者は、自分自身だったという事なのか――

「……違う」

紡がれた言葉は、他の誰かに宛てた訳では無い。
自分自身に言い聞かせる為のものだ。

「違う、違う、絶対に違う! 俺は……間違ってなんかいない!!!」
「……た、武さん!?」

武は気絶している美凪の身体を抱き上げて、そして凄まじい勢いで駆け出した。
圭一達の後方に止まっている救急車目指して、全速力で走り続ける。

「く――――!」

沙羅は咄嗟にワルサー P99を構えたが、それ以上は何も出来なかった。
攻撃に移れないのは、圧倒的な戦闘力を誇るアセリアでさえも同じ。
美凪の首元に、未だ『求め』の刃先が突きつけられている所為で、誰も武を止められないのだ。

武はそのまま救急車に美凪を押し込み、自身も運転席に乗り込んだ。
窓から顔を出し、狼狽する圭一の顔を睨み付ける。

「……圭一。一つ、賭けをしようか」
「賭け……だって?」

429 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:41:56 ID:SIiOA17U
 

430 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:42:13 ID:sCKhgnLY


431 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:42:30 ID:/RlJiLtS
 

432 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:43:31 ID:8NvMi9Um
もう、自分には何が正しいのか分からない。
自分は間違っていないと信じたいが、それが正解である自信など無い。
そして圭一の言葉もまた、完全に信じる気にはなれない。
だから――

「お前と、俺。一対一で、決着を付けよう」
「……どういう事だ?」
「お前が勝ったら――俺は、自分の過ちを認める。
 逆に俺が勝ったら、つぐみ以外の全員を殺し尽くしてやる」

意見が食い違った際の、一番分かりやすい決着方法――決闘。
つまりは、勝った方が正義だという事だ。

「でも……決闘だったら、此処ですれば良いじゃないか。
 そんな車で遠野さんを連れて、何処行こうってんだよ?」
「周りの奴らに邪魔されちゃ、堪らないからな。俺達が初めて出会った場所。
 そこにお前一人だけで来い。断ればどうなるか――分かってるな?」

圭一と武が出会った場所、即ち病院だ。
そこが二人の闘技場という事なのだろう。
そして美凪を人質に取られている以上、圭一に他の選択肢など無い。

「良いぜ、その提案に乗ってやる。決闘に勝って、俺はアンタを救ってみせる!
 だけど絶対、遠野さんには手を出すんじゃねえぞ……!!」
「下らない心配をするな。俺はお前達みたいな卑怯者とは違う、約束さえ守れば何もしないさ。
 尤も――」

そこで武はアクセルを踏み、救急車を発進させた。

「――俺が勝った場合は、美凪も殺してやるけどな」

433 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:44:07 ID:/RlJiLtS
 

434 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:45:11 ID:sCKhgnLY


435 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:45:15 ID:SIiOA17U
 

436 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:45:39 ID:8NvMi9Um

そう云い残して、武はその場を離れていった。
深夜である事も相俟って、車の姿はあっと言う間に見えなくなってしまった。
嵐の後の静寂という言葉通りに、場に沈黙が訪れる。
だがやがて圭一が仲間達の方へと振り返り、強い声で云った。

「皆……話は聞いたよな? 俺はこれから、武さんを懲らしめに行かなきゃ駄目らしい」
「……一人で行かれるのですか?」
「ああ。そうしなきゃ遠野さんが危ないんだ、当然だろ?」

不安げな瑞穂に対し、圭一は即答を返す。
圭一とて、武がどれ程凄まじい身体能力を誇っているかは分かっている。
恐らく、普通に戦えば勝機など殆ど無いだろうという事も。
それでも圭一は、保身を優先するつもりなど微塵も無かった。
どんな状況でも仲間を第一に考える強き心こそ、前原圭一が持つ最大の武器なのだ。

信じる者と、信じない者。
最早、避けようの無い対決。
それを前にして、圭一にとある武器が差し出される。

「……ケイイチ、使って」
「アセリア? これは――」

差し出された武器――それは、永遠神剣第六位冥加だった。

「……タケシが持っていた武器は、第四位の永遠神剣。ケイイチも永遠神剣を持たないと……勝負にも、ならない」
「アセリア……良いのか?」
「……ん」

437 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:45:59 ID:/RlJiLtS
 

438 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:46:22 ID:sCKhgnLY


439 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:46:39 ID:SIiOA17U
 

440 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:46:59 ID:8NvMi9Um

圭一が躊躇いがちに尋ねると、アセリアはコクリと頷いた。
今回は、完全にアセリアの言い分が正しい。
圭一が先程まで持っていた武器は、何の変哲も無い金属バット。
永遠神剣と真正面から打ち合えば、程なくして両断されてしまうだろう。
ならば此処で圭一が『冥加』を受け取るのは、勝利の為の最低条件だった。
結局圭一は『冥加』を受け取り、代わりに金属バットをアセリアに手渡した。

「――じゃあ、行ってくるぜ。皆、後は頼んだ!!」

仲間達の心に纏わり付いた不安を一層するような、とても強い声。
そうして、圭一は病院に向かって駆け出した。
今自分の居る住宅街から病院までは、そう遠くない。
ペースを上げ過ぎなければ、激戦に耐え得る体力は十分残るだろう。

(武さん、俺はアンタを信じてる。アンタは今でも俺達の仲間だって、H173なんかに負けないって信じてる。だから――)

握り締めた『冥加』に、ぐっと力を籠める。

(――俺は絶対に諦めねえ! アンタも遠野さんも救ってみせる!!)


◇  ◇  ◇  ◇


圭一が走り去った後の空き地。
そこで出立の準備を整える瑞穂とアセリア。
二人もまた、圭一の後を追う形で病院に急行しようとしていた。
例え永遠神剣を渡したとは云え、圭一が勝つ見込みは限りなく薄い。
ならばこのまま何もせずにただ待つなど、出来る筈もなかった。

441 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:47:41 ID:sCKhgnLY


442 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:47:56 ID:SIiOA17U
 

443 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:48:21 ID:/RlJiLtS
 

444 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:48:54 ID:8NvMi9Um
「でも、良かったの? どうせ行くなら、圭一と一緒に行けば良かったんじゃない?」
「違います、別々に行った方が都合が良いんです。
 敵を欺くにはまず味方からって、云いますから」
「そう。つまりは――武にも圭一にもバレないよう、隠密行動を取るって事ね」

僅かなやり取りで、沙羅は瑞穂の狙いを理解した。
瑞穂達は武にも圭一にも見付からぬよう病院へ向かい、状況に応じて行動するつもりなのだ。
圭一は嘘が上手いタイプでは無いし、別々に行動した方が良いのは明白だった。
瑞穂とアセリアは肩を並べて、足早に空き地を後にした。


残されたのは、二人。
ハクオロ達との合流予定地点は病院である以上、瑛理子と沙羅も目的地は同じなのだが、二人は後から行く事になった。
足を怪我している瑛理子と共に行動するグループは、どうしても移動が遅くなってしまう。
それでは、武と圭一の決戦に間に合わないのだ。

「……じゃ瑛理子さん、私達も行こっか?」
「そうね。何時までも、落ち込んでいる訳にはいかないしね」

往人が消滅して以来座り込んでいた瑛理子も、沙羅に促されてようやく立ち上がった。
その頬には、涙の跡がくっきりと浮かび上がっている。
可能ならば――何時までも、この場所で悲しみに暮れていたかった。
だけど、往人はそんな事を望んでいない筈だから。
観鈴と同じように、残された者達の幸せを願ってくれている筈だから。
地面に落ちていた往人の人形を拾い上げ、ぎゅっと抱き締める。

「往人、観鈴……見てなさいよ。私、貴方達の分も頑張って生き続けるからね」

そして瑛理子は沙羅と共に、出発しようとした。
深い悲しみを乗り越え、再び前を向いて歩き出そうとした。
だがそこで後ろから聞こえて来た、雑草を踏み締める音。

445 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:49:13 ID:/RlJiLtS
 

446 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:49:28 ID:sCKhgnLY


447 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:50:08 ID:t7qZqS4c



448 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:50:22 ID:8NvMi9Um

「「――――誰ッ!?」」

沙羅と瑛理子は素早く各々の銃器を取り出し、音が聞こえてきた方へと向ける。
驚嘆に値する反射速度だった、と云って良い。
現われた者が無差別に襲撃を仕掛けてくる者ならば、何の問題も無く撃退出来ただろう。
だが振り向いた二人の視界に入ったのは、とても人など殺せそうも無い、そして見覚えのある人物だった。

「う、うぐぅ……怖いよぉ……」
「貴方……月宮あゆ?」

怯えた表情で蹲る少女の名は、月宮あゆだ。
あゆは武器など何も持っておらず、涙目でこちらを眺め見ている。
小刻みに震えるその姿を目の当たりにすれば、普通なら無条件で心を許してしまいかねない。
だが今回ばかりは、少々事情が違った。
瑛理子は無表情のままあゆに近付いて、その頭部に銃口を向ける。

「……う、ひああっ!?」
「――答えなさい。往人が貴方を追っていた後、何があったの?
 どうして往人は、死んでしまったの?」
「瑛理子さん――いきなり、何を……」
「沙羅は黙ってて!!」

事情を知らぬ沙羅が問い掛けようとしたが、瑛理子はまるで取り合おうとしない。
瑛理子からすれば、これは当然の行動なのだ。
目前に重要参考人が居る以上、事情聴取を行わない手は無い。

「……答えられないの? つまり、あゆ――貴女が往人を殺したって事?」
「ちっ、違うよ! ボクがやったんじゃないもん!」
「そう。それじゃ、誰が犯人だって云うの?」

449 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:50:39 ID:/RlJiLtS
 

450 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:51:07 ID:sCKhgnLY


451 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:52:02 ID:SIiOA17U
 

452 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:52:08 ID:8NvMi9Um
瑛理子がそう問い掛けると、あゆは途端に青ざめた表情となった。
心底怯え切った様子で、弱々しく告げる。

「佐藤さん……だよ……」
「佐藤って、佐藤良美?」
「うん……。佐藤さんがいきなり襲って来て……往人さんはボクを逃がす為に、立ち向かって……いったんだ……」

襲撃者からあゆを逃がす為に、往人は一人で戦い、そして死んだ。
それは先程瑛理子が立てた推論と、全く同じだった。
往人の性格や、あゆとの関係を考慮に入れれば、そう考えるのが一番自然だ。
佐藤良美は恐ろしい女だという情報もあるし、あゆが怯え切っているのも理解出来る。
だが頭の中に一つだけ、疑問が残っていた。

(だったらどうして往人は、あんな表情をしてたの? まるで、誰かに裏切られたみたいな……)

絶望に染まった往人の死に顔は、正面から戦って死んだ者のソレとは考え難い。
寧ろ騙まし討ちを受けたような感じだった。
しかし往人も佐藤良美については知っていたのだから、騙まし討ちされてしまう筈は無いのだ。
これは、どういう事だろうか。
瑛理子は暫しの間考え込んだが、やがて一つの結論に達した。

(駄目ね……。幾らなんでも、これだけの情報じゃ判断しようがないわ)

自分の思い過ごしかも知れない。
往人は正面勝負で敗れ去ったが、観鈴との約束を果たせなかった所為で、絶望していたのかも知れない。
そう判断した瑛理子はあゆへの警戒を緩め、互いに情報交換を行う事にした。
けれど、その最中に思う。

復讐に生きようとは思っていない。
過去の罪をそんな手段で清算させた所で、何にもならない。
それでももし、目の前に往人を殺した犯人が居るのならば。
そしてその犯人が、臆面も無く正体を偽るような悪人ならば。

453 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:52:35 ID:/RlJiLtS
 

454 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:52:52 ID:8ssXeYSI
 

455 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:52:54 ID:sCKhgnLY


456 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:53:29 ID:8NvMi9Um

(往人。貴方がこの子を守って逝ったと云うのなら、私も同じように守り続けるわ。でも万一、あゆが往人を殺したのなら――)

ポケットに押し込んだトカレフTT33の感触を確かめながら――

(――私があゆを殺すわ)

沸き上がる殺意は、抑え切れそうも無かった。




そして、明確な殺意を秘めているのはあゆも同じ。

(……うん、不安だったけど割と上手く行ったね)

大した戦闘能力を持たぬ自分が生き残るには、誰かに取り入るしかない。
可能ならば工場に向かいたい所だが、それよりも保身が最優先だ。
だからこそあゆは、ずっと前から、隠れてこの場の様子を伺っていた。
往人の死体を餌として、彼の仲間が駆け付けて来るのを待っていた。
そして、やってきた数々の来訪者。
往人の幻影が現われた時は驚愕の声を上げそうになったが、何とか我慢した。
戦いが終わった後も、すぐには声を掛けなかった。
相手の人数が多ければ多い程、騙し通すのは難しくなるからだ。
そうして、残ったのが瑛理子達二人だけになってから、話し掛けたという訳である。
二人相手ならば大丈夫。
きっと上手く騙して、利用し続ける事が出来る。
予め考えておいたお陰で、往人の死についても上手く言い訳出来た。
それに、万が一自分の正体が暴露しそうになっても――

(……大丈夫。ボクにはコレがあるもん)

457 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:53:34 ID:/RlJiLtS
 

458 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:54:07 ID:sCKhgnLY


459 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:54:08 ID:8ssXeYSI
 

460 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:54:13 ID:SIiOA17U
 

461 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:54:40 ID:8NvMi9Um

そう、隠し持ったコルトM1917で撃ち殺してしまえば良い。
だが、あゆは知らない。
自分が今、どんな相手と行動しているかという事を。

二見瑛理子は、IQ190以上の頭脳を持つ天才少女。
彼女の目をずっと欺き続けるなど、不可能に近い。

白鐘沙羅は、探偵事務所の助手を務めた少女。
常日頃より銃を持ち歩いている彼女の実力は、屈強な男と比べても決して見劣りしない。



少年少女達が抱く、多種多様な想い。
それらの決着が付く時は、もう間も無くかも知れない。

462 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:55:10 ID:sCKhgnLY


463 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:55:19 ID:8ssXeYSI
 

464 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:55:27 ID:/RlJiLtS
 

465 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:55:42 ID:SIiOA17U
 

466 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:55:44 ID:t7qZqS4c



467 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:55:51 ID:8NvMi9Um
【F-4南 住宅街/1日目 深夜】
【倉成武@Ever17】
【装備:投げナイフ2本、永遠神剣第四位「求め」@永遠のアセリア、貴子のリボン(右手首に巻きつけてる)】
【所持品:支給品一式 ジッポライター、富竹のカメラ&フィルム4本@ひぐらしのなく頃に
     ナポリタンの帽子@永遠のアセリア、可憐のロケット@Sister Princess、首輪(厳島貴子)、鍵】
【状態:L5侵蝕中。中度の疑心暗鬼。強い迷い。
 頭蓋骨に皹(内出血の恐れあり)。頬と口内裂傷(ほぼ回復)。頚部に痒み。脇腹と肩に銃傷。刀傷が無数。服に返り血】
【思考・行動】
基本方針:つぐみ以外誰も信用する気は無かったが、迷いが生じている
0:まずは病院に向かう(ルートは後続の書き手さん任せ)
1:病院での決闘に勝利し、自分の正しさを証明する
2:邪魔が入るようならば、美凪を殺す
3:つぐみを探す
4:ハクオロを強く警戒
5:衛とことみについて、若干の罪悪感
【備考】
※キュレイウィルスにより、L5の侵蝕が遅れています、現在はL3相当の状態で、症状は弱まっていますが、疑心や強いストレスによって進行する恐れがあります。
※自分が雛見沢症候群に犯されている可能性を、自覚しました
※前原圭一、遠野美凪の知り合いの情報を得ました。
※富竹のカメラは普通のカメラです(以外と上物)フラッシュは上手く使えば目潰しになるかも
※永遠神剣第四位「求め」について
「求め」の本来の主は高嶺悠人、魔力持ちなら以下のスキルを使用可能、制限により持ち主を支配することは不可能。
ヘビーアタック:神剣によって上昇した能力での攻撃。
オーラフォトンバリア:マナによる強固なバリア、制限により銃弾を半減程度)
※キュレイにより少しづつですが傷の治療が行われています。
※所有している鍵は祭具殿のものと考えていますが別の物への鍵にしても構いません
※救急車(鍵付き)のガソリンはレギュラーです。現在の燃料はごく僅かです。何時燃料切れを起こしても、可笑しくありません。

468 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:56:40 ID:8NvMi9Um

【遠野美凪@AIR】
【状態:腹部打撲、気絶、武の運転する救急車に乗せられている】
【装備:無し】
【所持品:支給品一式×2、包丁、救急箱、人形(詳細不明)、服(詳細不明)、顔写真付き名簿(圭一と美凪の写真は切り抜かれています)情報を纏めた紙×2】
1:不明
※春原陽平、小町つぐみの情報を得ました
※武がH173に感染していることに気が付きました





【F-4 住宅街/1日目 深夜】
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に祭】
【状態:精神安定、右拳軽傷、体全体に軽度の打撲と無数の切り傷、左肩刺し傷(左腕を動かすと、大きな痛みを伴う)】
【装備:永遠神剣第六位冥加@永遠のアセリア −この大地の果てで− 】
【所持品:支給品一式×2、折れた柳也の刀@AIR(柄と刃の部分に別れてます)、キックボード(折り畳み式)、大石のノート、情報を纏めた紙×2】
【思考・行動】
基本方針:仲間を集めてロワからの脱出、殺し合いには乗らない、人を信じる
0:病院に向かう
1:病院での決闘に勝利し、武と美凪を救う
2:知り合いとの合流、または合流手段の模索
3:あゆについては態度保留、但し大石を殺したことを許す気は今のところない。
4:良美を警戒
5:ハクオロに対しては一応警戒。
6:いつか祭具殿の中へ入りたい

【備考】
※大石のノートは一応、最後まで読みました。ただ、ノートの何処かに別の考察を書いている可能性はあります
※二見瑛理子、宮小路瑞穂、アセリアを信頼
※春原陽平、小町つぐみの情報を得ました

469 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:57:00 ID:/RlJiLtS
 

470 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:57:14 ID:sCKhgnLY


471 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:57:18 ID:SIiOA17U
 

472 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:57:39 ID:8NvMi9Um

※スピリットの場合、冥加の使用には、普段の数倍の負担がかかります。
※神剣魔法は以上の技が使用可能です。
アイアンメイデン  補助魔法。影からの奇襲によって、相手の手足を串刺す。
ダークインパクト  攻撃魔法。闇の力を借りた衝撃波で攻撃する。
ブラッドラスト    補助魔法。血をマナに変換し、身体能力を増強する。





【F-4 住宅街/1日目 深夜】
【アセリア@永遠のアセリア】
【装備:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に】
【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、鉄パイプ、国崎最高ボタン、ひぐらし@ひぐらしのなく頃に、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-、

 情報を纏めた紙×2】
【状態:肉体的疲労軽、右耳損失(応急手当済み)、頬に掠り傷、ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
0:瑞穂と共に、病院へ向かう(但し圭一と武に見付からないよう、細心の注意を払う)
1:仲間を守る
2:無闇に人を殺さない(但し、殺し合いに乗った襲撃者は殺す)
3:強者と戦う
4:存在を探す
5:冥加が使い辛い
6:悠人とハクオロに謝りたい
7:川澄舞を強く警戒


473 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:57:59 ID:/RlJiLtS
 

474 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:58:20 ID:8NvMi9Um

【宮小路瑞穂@乙女はお姉さまに恋してる】
【装備:ベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15+)】
【所持品:支給品一式×3、フカヒレのギャルゲー@つよきす-Mighty Heart-、
 多機能ボイスレコーダー(ラジオ付き)、斧、レザーソー、投げナイフ3本、
 フック付きワイヤーロープ(5メートル型、10メートル型各1本)、茜手製の廃坑内部の地図(全体の2〜3割ほど完成)、予備マガジンx3、情報を纏めた紙×2 】
【状態:強い決意】
【思考・行動】
基本:エルダー・シスターとして、悲しみの連鎖を終わらせる(殺し合いを止める)
0:アセリアと共に、病院へ向かう(但し圭一と武に見付からないよう、細心の注意を払う)
1:圭一、武、美凪を救う
2:アセリアを守る
3:川澄舞を警戒

【備考】
※参加者全員に性別のことは隠し続けることにしました。
※現在、バーベナ学園の制服を着用。以前の血塗れの制服はE-2地点に放置。
※フカヒレのギャルゲー@つよきす について
プラスチックケースと中のディスクでセットです。
ケースの外側に鮫菅新一と名前が油性ペンで記してあります。
ディスクの内容は不明です。






【F-4 住宅街/1日目 深夜】
【天才少女と探偵少女と契約者】
1:情報交換しながら、病院に向かう
2:必要があるようなら、その他の施設にも寄り道する

475 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:58:35 ID:SIiOA17U
 

476 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:58:57 ID:sCKhgnLY


477 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:59:09 ID:8NvMi9Um

【月宮あゆ@Kanon】
【装備:背中と腕がボロボロで血まみれの服】
【所持品:支給品一式x3、コルトM1917(残り6/6発)、コルトM1917の予備弾31、情報を纏めた紙×2】
【状態:健康体、ディーと契約、満腹、明確な殺意、生への異常な渇望、眠気は皆無】
【思考・行動】
行動方針:他の参加者を利用してでも、生き残る
0:人を殺してでも、どんな事をしてでも生き残る
1:生き延びる為に、瑛理子と沙羅を利用する
2:可能ならば工場に行く(北上)
3:死にたくない
【備考】
※契約によって傷は完治。 契約内容はディーの下にたどり着くこと。
※悲劇のきっかけが佐藤良美だと思い込んでいます
※契約によって、あゆが工場にたどり着いた場合、何らかの力が手に入る。
(アブ・カムゥと考えていますが、変えていただいてかまいません)
※ディーとの契約について
 契約した人間は、内容を話す、内容に背くことは出来ない、またディーについて話すことも禁止されている。(破ると死)
※情報を纏めた紙にはまだ眼を通していません。
※あゆの付けていた時計(自動巻き、十時を刻んだまま停止中)はトロッコの側に落ちています。

478 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:59:11 ID:/RlJiLtS
 

479 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 23:59:52 ID:SIiOA17U
 

480 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/02(火) 23:59:55 ID:8NvMi9Um

【二見瑛理子@キミキス】
【装備:トカレフTT33 6/8+1】
【所持品:支給品一式、ブロッコリー&カリフラワー@ひぐらしのなく頃に祭、空鍋&おたまセット@SHUFFLE! ON THE STAGE
     往人の人形、エスペリアの首輪、映画館にあったメモ、家庭用工具セット情報を纏めた紙×10】
【状態:強い決意、往人を殺した犯人に対する殺意、左肩打撲、左足首捻挫(処置済み)】
【思考・行動】
基本:殺し合いに乗らず、首輪解除とタカノの情報を集める。
1:あゆが嘘を吐いていないか疑っている
2:錯乱している者や、足手まといになりそうな者とは出来れば行動したくない。
【備考】
※鳴海孝之に対して僅かに罪悪感を抱いています。
※パソコンで挙がっていた人物は、この殺し合いで有益な力を持っているのでは? と考えています。
※首輪が爆発しなかった理由について、
1:監視体制は完全ではない
2:筆談も監視されている(方法は不明)
のどちらかだと思っています。
※家庭用工具セットについて
観鈴が衛から受け取った日用品の一つです。
ドライバー、ニッパー、ペンチ、ピンセットなどの基本的な工具の詰め合わせである。
なお全体的に小型なので武器には向いていないと思われます。

481 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 00:00:14 ID:/RlJiLtS
 

482 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 00:00:24 ID:SIiOA17U
 

483 : ◆guAWf4RW62 :2007/10/03(水) 00:00:32 ID:8NvMi9Um

【白鐘沙羅@フタコイ オルタナティブ 恋と少女とマシンガン】
【装備: ワルサー P99 (8/16)】
【所持品:支給品一式 フロッピーディスク二枚(中身は下記) ワルサー P99 の予備マガジン8 カンパン30個入り(10/10) 500mlペットボトル4本、
 情報を纏めた紙×2、『バトル・ロワイアル』という題名の本】
【状態:軽度の疲労・強い決意・若干の血の汚れ】
【思考・行動】
基本行動方針:一人でも多くの人間が助かるように行動する
0:まずはあゆと瑛理子の間に何があったのか、確かめる
1:H173の治療法を探す
2:状況が落ち着いたら、瑛理子と共にフロッピーディスクをもう一度調べる
3:首輪を解除できそうな人にフロッピーを渡す
4:情報端末を探す。
5:混乱している人やパニックの人を見つけ次第保護。
6:最終的にはタカノを倒し、殺し合いを止める。 タカノ、というかこのFDを作った奴は絶対に泣かす

【備考】
※国崎最高ボタンについて、何か秘密があるのでは無いかと考えています。
※FDの中身は様々な情報です。ただし、真偽は定かではありません。
※紙に書かれた事以外にも情報があるかもしれません。
※“最後に.txt .exe ”を実行するとその付近のPC全てが爆発します。
※↑に首輪の技術が使われている可能性があります。ただしこれは沙羅の推測です。
※図書館のパソコンにある動画ファイルは不定期配信されます。現在、『開催!!.avi』と『第三視点からの報告』が存在します。

484 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 00:00:40 ID:sCKhgnLY


485 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:12:20 ID:ZIcIXDOQ
「ひゃーひゃーひゃーひゃひゃひゃひゃーーーー!!!」

(まったく汚らしい声さね……これで鷹野にはほかに手駒があるって事か)

F−5で放送を聴いていたあゆはまず放送した主が変わってる事に驚いた。
おそらくこれは鷹野がほかに手駒がいる事を示すためであろう。
脱出を企ている人間に警告という意味で。

(まあ、そんな事はどうでもいいさね。呼ばれなかった……って事は)

そう放送で本来呼ばれる筈だった人間が呼ばれなかったのだ。
月宮あゆという名が。

(月宮あゆはどんな方法で回復したか分からないが生きている。そして……)

そしてあゆが呼ばれなかったという事はあゆの今後のスタンスを変えるという事。
混乱した頭で決めた事。
そう

「なら大空寺あゆはこのゲームに乗ってやるさね。鷹野、お前に言うとおりになるのはしゃくだけどさ」

あゆは自分の決意を示すため敢えて声に出していった。
鷹野の言うとおりになるのなるのは本当にしゃくだが混乱した頭にはもうこうするしか思いつかなかった。
殺し合いに乗るという事しか。


486 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:15:36 ID:ZIcIXDOQ

(幸い、装備のバランスはいい。これなら大丈夫さね……ん? あれは)

あゆは少し先に人影があるのを見つけた。
その人影は動かず止まっていた。
そしてその人影をあゆは見て

(何か隙だらけさね……なら情報を聞き出してから、死んでもらうか)

あゆはそう思い隠れながらその人影に近づいていった。

だがあゆは知る由もないが、
この出会いがあゆの運命を大きく動かす事になる。




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







放送を聴いていたハクオロは愕然としていた。
それは
「トウカに……往人だと!? 馬鹿な!?」
信頼した部下とここで仲間になった国崎往人の名が呼ばれていたからである。
ハクオロは結局商店街に行く方向で決めF−5で放送を聴いていた。
がそこで呼ばれた名前にショックを受けていた。

487 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:17:23 ID:2ubAx4qj




488 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:19:03 ID:ZIcIXDOQ

(トウカ……ついにお前まで……最後まで誇りを貫いたか……ついに私一人になってしまったか、結局誰にも会えなかったのか)
そうハクオロは自分の世界だった人間についに誰も会うことが出来なかった。
それにショックを受けていた。

そして
(往人、逝ったのか、この馬鹿者、観鈴と約束したではないか。なのに死んでしまうとは、この……馬鹿者)
観鈴に往人を任されたのにそれを叶える事ができなかった。
それにまたショックを受けていた。

がいつまでも悔やんでいられなかった。
なぜなら
(瑛理子はどうしたのだろうか、往人が死んだ以上彼女が危ない……どうする、このまま病院にいくか? それとも彼女達が辿るルートを巡るか、どうする?)
そう往人が死んだ以上瑛理子が危ないかもしれないのだ。
だからハクオロはこれから何処に行くかを迷ってしまった。
もっとも彼は瑛理子がほかの仲間といるのを知らないだが。

しかしその思考は一人の底冷えするような声によって遮られた。
それは
「動くなや!」
あゆの声だった。

あゆは背後からハクオロに銃を向けて立っていった。
「OK。このままこっちに向きや」
ハクオロが言われたとおり正面を向き
「待て! 私は乗っていない。この通り何とも持っていない。私の名はハクオロ」
そう弁明したがあゆはその名に驚いていた。
そうそれは殺し合いに載っているという情報があったからだ。
(乗ってないだって? そんな訳がないさね)


489 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:20:39 ID:2ubAx4qj




490 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:21:04 ID:lO/Xyxww
 

491 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:21:31 ID:ZIcIXDOQ
そう思いハクオロにさらに銃を向け
「へえ……私はアンタが乗っていると聞いたんだけど」
「馬鹿な! 本当だ! 乗ってない!」
そんな必死に訴えっているハクオロを見て
(本当かねぇ……でもあの目は嘘をついてるようには見えない……まああの情報は佐藤と一ノ瀬のだし当てにならないか。まあどうせ殺すんだし、とりあえず信用するさね)
「わかったさね、とりあえずは信用してやるさ」
「そうか、よかった」
銃を下げた。

そしてあゆはそのまま質問をし始めた。
「私の名は大空寺あゆ。聞きたいんだがアンタがあった危険人物教えてくれない?」
「ああ、倉成武、後名は知らないがショベルカーというものに乗った少女だ」
「ショベルカー? なんでそんなもんに? まあいいや、次、アンタの目的は何さ?」
「私の目的はこのゲームを止める。今は仲間と合流するため病院に向かっている所だ」

(病院か。こいつ殺したら行ってみるかね)
内心そんな事を思いつつあゆはさらに質問した。
これがもっとも大切な優先事項。
「わかったさね。じゃあ最後に佐藤良美、一ノ瀬ことみ知ってるかい?」
「ああことみなら学校で別れたぞ」
「何!?」
ハクオロの返答はあゆにも驚いたものだった。
あゆは驚き言葉を続け
「今どこら辺にいる!?」
「あ、ああ多分学校付近にいると思うが」


492 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:22:56 ID:lO/Xyxww
 

493 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:23:00 ID:+kG4zDnb
 

494 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:23:37 ID:ZIcIXDOQ
やっと尻尾を掴んださね。一ノ瀬! 今、殺しにいってやるさ!)
(もう、この男には用はない。死んでもらうか)
そう思い再び銃を向け
「情報ありがとうさん。じゃあ死んでもらうよ」
ハクオロは驚き
「な!? 乗っていたのか!?」
「誰がのっていないって言ったさね。かってに信用したあんたが悪い」
「人殺しを止めることは出来ないのか?」
「……無理さ、必死に考えた上の結果だからさ」
ハクオロは説得は無理だと思いまたこのまま逃げる事も不可能だと思い

(ここまでか……悠人、後は頼んだ)
「なら、さっさとやってくれ、もう抵抗しても無駄だろう、頼む」
覚悟を決めた。そんなハクオロに意思を汲み取ったのかあゆは
「悪いね……じゃあ、やるよ」
「ああ」
ハクオロは頷き目を閉じた。

後悔はある。
瑛理子を守れなかった。
衛を守れなかった。
観鈴との約束を守れなかった。
でも。
きっと悠人や他の仲間が遺志を継ぎきっと脱出してくれるだろう。
そう思うと少しばかりか心が軽くなった。

が、異変があった。
いくら待っても銃声が聞こえないのだ。
死を告げる音が。
ハクオロが恐る恐る目を開くとそこには


495 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:23:56 ID:2ubAx4qj




496 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:24:18 ID:lO/Xyxww
 

497 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:24:35 ID:ZIcIXDOQ

「違うさね……簡単さ、トリガーを引くだけ、引くだけなのに! どうしてさね!」

何故か今まで違い身体を震わせどこか怯えているあゆの姿があった。






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








まずは一人、か。簡単さね。
私は眼を閉じているハクオロを前にしてそう思った。

後はトリガーを引くだけさね。
私は指をトリガーにかけた。

だが唐突に襲ってきたものがあった。
それは簡単に殺せる立場に立って始めたわかった物。

そうそれは人を殺す恐怖という物が。

498 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:25:02 ID:lO/Xyxww
 

499 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:25:12 ID:ZIcIXDOQ

何故今更? 私は今までこんな事なかったはずさね。
佐藤は簡単に撃てたのに?

いや違う。この男が乗っていないからだ。
佐藤たちは乗っているといったが違う。この男の目は絶対人殺しを許容するめではない。
私はそれを見抜いてた。

ゲームに乗ったんのなら、無害の人間を殺す事でもあるのだ。
解ってたさね、そんな事、解っていたさ!
なのにどうしてトリガーを引けない!

そうか、私はゲームに乗ったと思っていたのだが、心のどこかで無害の人間を殺す事を否定したんだ。
まだ無害の人間を殺す覚悟なんてできていなかったんだ。

違う!
そんな事ない!
私には無害な人間だって殺す事ができる!

今トリガーを引いてやるさね!

なのにどうしてこんなに身体が震える?

それは時雨みたいな甘い人間殺す恐怖。
そうなのだ、人を殺すって事は第二代三の時雨を殺す事。

私にできるのか?
いやできないさね。そんな事。

「違うさね……私にはできる! 簡単さ、トリガーを引くだけ、引くだけなのに! どうしてさね!」

500 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:25:58 ID:2ubAx4qj




501 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:26:04 ID:lO/Xyxww
 

502 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:26:39 ID:ZIcIXDOQ

私は声にしてそれを否定する。
そしてトリガーを引こうとする。

なのに引けない。
この男を殺す事ができない!

「どうした? 殺さないのか?」
「今する! 今するさね!」

ハクオロが急かす。

そうだこの男を殺して覚悟をすればいいのだ。
簡単な事。

私が殺戮の夜叉になるのは今しかないのだ。

だからトリガー引けばいいだけなのに。
それができない。

怖い。
無害の人間を殺すのが。
覚悟なんて簡単にできない。
私には恐れるものなんてないのに。


トリガーを引く。

そんな簡単なこういがとても怖い。


503 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:27:25 ID:+kG4zDnb
 

504 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:27:56 ID:lO/Xyxww
 

505 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:27:59 ID:ZIcIXDOQ
引け! 今しかない!
頭の中でそんな声が響く。

それと同時に
引くな! 引いたら戻れない!
頭の中でそんな声が響く!


私はどうしたらいい?
もう無理だ。

私は振り子のように揺れ動くだけ。
揺れるだけで決められない。

ああなんで気付かなかったのだろう。

私も弱く甘いのだ。

もっとはやく気付けばよかった。
そしたらこんな迷う事なんかないのに。


だが唐突に決めるチャンスが表れた。
それは
「撃て! 撃たないなら! 私がやるぞ!」

ハクオロが突進してきたのだ。
このまま何もしなければ吹っ飛ばされ形勢逆転。
そのまま私は死ぬだろう。

506 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:28:29 ID:lO/Xyxww
 

507 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:28:36 ID:ZIcIXDOQ

死ぬ?
しぬのか?

嫌だ! 怖い!
怖い!
怖い!
こわい!

怖い!

だから私は

「うわあああああああああああ!!!!!」

向かってくるハクオロに対してトリガーを引いた。

舞う鮮血。
倒れるハクオロ。

結局私にトリガーを引かせたのは
死への恐怖だった。

ああ
なんて
なんて私は脆いんだろう。






508 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:29:02 ID:jI1gEcHX


509 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:29:05 ID:lO/Xyxww
 

510 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:29:13 ID:2ubAx4qj




511 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:29:38 ID:ZIcIXDOQ
結局……私は夜叉にしかなれないのだ。
どんなに迷っても結局同じなのだ。
ハクオロを殺したから。
もうなるしかない。

そう思ったのに。

「痛! 狙うのなら1発で終わらしてくれないか?」

え、嘘だろ?

どうしてこの男は生きている?

私は生きているはずのないのハクオロを見た。
どうやら私のうった弾は彼の左肩に当たったらしい。
がむしゃらに撃った結果、目標が定まらなかったらしい。


はは、笑える。
笑えるさね。
私が必死にやった結果がこれさ。
殺したと思ったのにさ。
生きてるなんて。
はは

「あはははっ!」


512 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:30:05 ID:jI1gEcHX


513 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:30:36 ID:ZIcIXDOQ
声に出てしまった。

だって仕方ないさね。
そうもう私は夜叉なんかなれない。
殺せなかった。
あの男を。

もう一発撃てばハクオロは死ぬ。

でももう私にはできない。

もう私には無理だ。

だって気付いてしまった。

私も甘かったんだ。

この男を殺すにこんなにも迷ったんだ。

もし殺したら私は殺戮の夜叉に道を進んでいただろう。
でもできなかった。

だから私は夜叉にはならない。


514 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:30:39 ID:WuhguBp6
 

515 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:30:41 ID:jI1gEcHX


516 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:31:01 ID:lO/Xyxww
 

517 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:31:10 ID:WuhguBp6
 

518 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:31:13 ID:ZIcIXDOQ
もう迷いたくなんかない。

弱い。
甘い。
脆い。
そう佐藤たちに言われるかもしれない。

でもそう言われてもいいさ。
私はあいつらみたいな糞虫になんかじゃない。

私は人だから。

だからクリアな思考でもう一度考える。
狂気なんかに染まってない普通の人の思考で。

私は乗らない。

甘いといわれてもいい。
そう決めたからさね。

お前もそうだったんだろ? 孝之?


そう決心した瞬間足に力が入らなくなる。
どうして?

ああ。これは安堵。
もう無害な人間を殺さなくていいという安堵。
その安堵に任せ私は腰を下ろした。
銃も手から離した。

「はは……よかった……よかったさね。もう殺さないさね。本当死んでなくてよかったさね」

519 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:31:26 ID:jI1gEcHX


520 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:31:43 ID:WuhguBp6
 

521 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:32:09 ID:ZIcIXDOQ

よかった。
本当によかった。
心からそう思うさね。


そしてハクオロが近づいてくる。
彼は生き延びて何を思うんだろう?

ハクオロが私が話した銃を持った。

もしかして今度は私が殺されるのか?
はは、私もとことん鈍ったね。
当然か。
私が殺そうとしたんだから。
甘くなったなー。

でもその甘さが心地いいのかもしれない。

これで死ぬのもいいか。
だって人のまま死ねる。
それもいい。


だがハクオロがやった行動は違っていた。
「ほらしっかりしろ。お前の銃なんだろう?」
銃を私に渡そうとし、立たせようとした。


522 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:32:25 ID:jI1gEcHX


523 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:32:37 ID:WuhguBp6
 

524 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:33:07 ID:ZIcIXDOQ

何なんだ全く思考が読めない。
「何さね……憎くないのかい。殺そうとしたんだ、殺されて仕方ないさね」

かれはまた予想もしないことを言った。
「確かに殺そうとしていたな。でも今はそう見えない。」
「何故さ?」

そこで私はやっと私自身の異変に気付いた。
「じゃあ何でそんなに泣いてるのだ? 少なくてもその涙は嘘には見えない」

え?
泣いてるのか? この私が?

私は顔に手を当ててみた。
本当だ。
泣いてる。

あはは! これこそ笑える!
私がないてるだって?
あはは!

本当可笑しい。
何で私が泣いてる?
分からない。

でもきっと
私とこいつが生きてるからだろう。

525 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:33:11 ID:WuhguBp6
 

526 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:33:17 ID:+kG4zDnb
 

527 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:33:53 ID:ZIcIXDOQ

生きている事はそれほどまで大きい。
そこで私はこの男に聞いてみる事にした。

「なあ? 私は生きていいのか?」

ハクオロは即答した。
「ああ。生きろ。お前は生きてる。私も生きている。生きている事になんか罪はない」
「私にはお前が殺し合いに乗るような人間に見えない。私はお前がやった事も許す」

なんて甘い人間だ、本当に甘いさね。
罪を赦すって? 殺そうとしたのに?
ほんと甘い。


ああ……わかったさね。
何で私があの時こんなにも迷ったか。

ハクオロは時雨にも勝る本当に本当に甘い人間なんだ。

こんな人間だから私は揺さぶられたのだ。


528 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:34:03 ID:jI1gEcHX


529 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:34:10 ID:lO/Xyxww
 

530 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:34:27 ID:ZIcIXDOQ
ああ、こんな人間に出会うべきではなかった。

出会わなければ殺戮の夜叉でいられた。

でもこんな人間にあってよかった。

出会わなかったからこそ殺戮の夜叉になれなかった。

どっちが正しいかなんか分からない。

でも今、私は生きてられる。
夜叉なんかじゃなく人として。

こんな今がいいさね。





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







531 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:34:48 ID:jI1gEcHX


532 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:35:03 ID:ZIcIXDOQ
あゆは今ハクオロの左肩を治療していた。
自分がやってしまった事だから自分で始末を付けておきたかった。

「これでいいさね。さっきは悪かったさ。もうしないから安心しな」
「ああ、別にいい。生きてるならそれでいい」

あゆはそんな返答に満足しつつ気になったことを聞いた。
「一ノ瀬とあったと聞いたけどどんな風にあったのさね?」
「ああ、それはだな」

ハクオロは経緯を教えたがそれをあゆが聴いた瞬間
「あの糞虫が! とことん腐ってやがる! あいつはゲームに乗ってるだよ!」
「馬鹿な! そんな風には見えなかったが」
「あいつは演技をしてるだけさ。お前見たいな甘い人間りようしてるだけさね! 衛という奴が危ない」

(まずいさね……また糞虫どもに甘い人間が消される。絶対やらせるか!)
あゆは憤慨していた。
これ以上甘い人間を殺させたくない。そう思っているからこそ怒っていた。

だからあゆはすぐに荷物をまとめ
(どうする? 聞いた話だとそのまま向かっていると病院か休んでいると学校付近かどっちにむかう?)
あゆはすぐにどっちに行くか判断し
「行くさね! 待ってろ糞虫が!」
駆け出した


533 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:35:27 ID:WuhguBp6
 

534 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:35:35 ID:ZIcIXDOQ
がハクオロが動き出さなかったので一旦止まり
「何やってるさね? お前も行くんだよ」
「私もか?」
「当たり前さね。私は衛という人間を知ってない。お前が行かなきゃ駄目だろ」
それにとあゆは付け加え
「あんたみたいな人間ほっといたら死ぬかもしれないし、それに死ぬ要因をいっぱい持ってそうだし、だから一緒にこい」
「……解った」
ハクオロが納得した。

「じゃあ行くよ」
「ああ」

そうして2人はまた駆け出した。

あゆがゲームに乗らなかった事でどう動くかはまだ誰も分からない。




【F-5 平原・トロッコ付近(マップ左)/1日目 深夜】




535 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:35:37 ID:jI1gEcHX


536 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:36:21 ID:WuhguBp6
 

537 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:37:13 ID:WuhguBp6
 

538 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:37:17 ID:ZIcIXDOQ
【大空寺あゆ@君が望む永遠】
【装備:S&W M10 (5/6) 防弾チョッキ 生理用品、洋服】
【所持品:予備弾丸11発・支給品一式 閃光弾セット(催涙弾x1)ホテル最上階の客室キー(全室分) ライター 懐中電灯】
【状態:生理(軽度)、肋骨左右各1本亀裂骨折、強い意志】
【思考・行動】
行動方針:殺し合いに乗るつもりは無い。しかし、亜沙を殺した一ノ瀬ことみと佐藤良美は絶対に殺す。
0:待ってろ一ノ瀬!
1:病院か学校付近に行く(どっちに行くかは次の書き手様しだい)
2:二人を殺す為の作戦・手順を練る
3:ことみと良美を警戒
4:ハクオロをやや信用しつつもとりあえず利用する
5:殺し合いに乗った人間を殺す
6:甘い人間を助けたい



【備考】
※ことみが人殺しと断定しました。良美も危険人物として警戒。二人が手を組んで人を殺して回っていると判断しています。
※ハクオロをやや信頼しました。多少の罪の意識があります。
※魔法の存在を信じました。
※支給品一式はランタンが欠品 。
※生理はそれほど重くありません。ただ無理をすると体調が悪化します。例は発熱、腹痛、体のだるさなど




539 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:37:46 ID:jI1gEcHX


540 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/03(水) 01:37:49 ID:WuhguBp6
 

541 : ◆UcWYhusQhw :2007/10/03(水) 01:38:18 ID:ZIcIXDOQ



【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:精神疲労、左肩脱臼、左肩損傷(処置済み)、背中に大きな痣、腹部に刺し傷(応急処置済み)】
【思考・行動】
基本方針:ゲームには乗らない。
0:ことみが!? 馬鹿な!?
1: 病院か学校付近に行く(どっちに行くかは次の書き手様しだい)
2:仲間や同志と合流しタカノたちを倒す
3: 衛と瑛理子が心配
4:悠人の思考が若干心配。(精神状態が安定した事に気付いてない)
5:ことみからの疑いを晴らしたい?
6:武、名雪(外見だけ)を強く警戒
7:自衛のために武器がほしい

【備考】
※校舎の周辺の地形とレジャービルの内部状況を把握済み。
※オボロの刀(×2)は大破。
※あゆを信頼しました。罪は赦すつもりです。



542 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:47:06 ID:vM6PHG2q



ホテルは少しばかり荒れ果てていた。
一部の窓ガラスは割れていて、何か激戦の後を思わせる。
到着したのは三人の人物。いずれも、間もなく迎える一日目終了の合図を待つ身となっている。

高嶺悠人は仲間二人を近くの茂みに隠し、そのままホテルの玄関部分を剣で叩き斬った。
大きなガラスの音と共に玄関に当たる場所が崩れ落ちる。
悠人はすぐにホテルから引き返し、仲間の待つ茂みへと帰還した。そしてじっと様子を見て、息を吐く。

「どうやら、もうホテルには誰も残っていないみたいだな……」

さすがに最近の戦いなら銃撃音には気づくはず。だが、念には念を入れて大きな音を立てておいた。
誰かが潜んでいるのなら、ある程度の武装と共に姿を現すはずだ。
それがないということは、このホテルは今現在、無人ということの証明となる。
とはいえ、監視カメラによる監視の可能性もあるため、楽観視はできない。悠人は用心深く辺りを見回して、仲間を呼ぶ。

「だ、大丈夫なの、悠人くん……玄関、壊しちゃって……」
「ああ、ちゃんと入れるようにはしてる。この中に俺の仲間が待機してるはずなんだけど……」

実のところ、ホテルの玄関を破壊したところで何の反応もないのが異常だった。
千影はどこに行ったのか、このホテルで待ち合わせしているはずなのに、どうして無反応なのか。
嫌な予感に悠人の額から冷や汗が出る。このホテルの荒れ具合、どうみても戦いの後だ。千影がそこに巻き込まれたとしたら。

(いや……早合点はするな。もうすぐ放送だから千影についての答えはすぐに出る。問題は……)

ちらり、と後ろを見る。
そこには俯きがちに悠人たちの後をついてくる、白河ことりの姿があった。
悠人が危惧するのはことりの挙動不審だった。どう見ても普通とは思えない。
顔は真っ青だし、俯いたまま悠人のほうも良美のほうも見ようとしない。心を閉ざしたかのように無言のままだ。

543 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:47:28 ID:v3fOGZsC
 

544 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:48:22 ID:vM6PHG2q

(女の子の日、か……俺には良く分からないけど、あそこまで変になるものなのか?)

少なくとも妹である佳織はあれほどではなかったはず。
さすがに唯一の家族、最愛の妹の異変には敏感に気づける自信がある。その経験から鑑みて、生理だけが原因とは思えない。
どこか、あの銃撃戦で怪我をしたのか。それとも生理と勘違いして実は悪い病気にでもかかってしまったのか。
答えが出ないまま、悠人は二人と共にホテルの内部へと進入した。

「エレベーターは動いているのかな?」
「ん〜……動いてるみたいだけど、使わないのが無難だな。一応誘き出してみたけど、確実な案じゃない」
「じゃあ階段だね。行こ、ことりちゃん」

良美がことりの手を掴むと、ビクリとことりが跳ね上がる。
悠人はその様子にますます疑問を抱いた。まるで何かに怯えているような、そんな様子なのだ。
その予測は正しかった。良美はことりと仲の良い振りをしながら、その裏で彼女に警告を与えていた。


(ことりちゃん、困るなぁ……あんまり元気がないもんだから、悠人くんが怪しみ始めちゃってるよ?)


ことりの心に直接、語りかける。良美に手を取られて階段を上がりながら、ことりは再び体が震えだした。
あまり好ましくない反応だが、良美はその様子を見ながら少しだけ微笑んだ。


(いいんだよ? 悠人くんを目の前で殺してあげても……今なら、ことりちゃんを盾にしてあっさりと殺せるし)


それが最簿通帳。これ以上、無様なままなら用済みだ、と念を押す。
ことりは弱々しく、首を振り……そして頷いた。悠人は周囲を警戒しながら殿を務めているため、そのやり取りには気づいていない。
良美はことりの承諾で暗い笑みを浮かべる。
この女はなんて調教のしがいがあるんだろう。このまま脅し、手駒として利用するには丁度いい。あの恐怖を蘇らせてやればいい。

545 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:48:36 ID:v3fOGZsC
 

546 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:49:19 ID:vM6PHG2q
「良美、ことり。どうやら問題ないみたいだ。そろそろ放送だから、どこか部屋に入って休もう」
「うん、わかった。それじゃあ、どこか適当な部屋に、ね」

あっという間の変わり身の早さ。
悠人たちは二階に位置する場所まであがり、そこから部屋を一室借りて入っていくのだった。
ことりは良美の後姿を見て、震え上がる。
自分だって心を読む力がなければ、確実に騙されていた。それほどまでの完璧な演技。
その笑顔の裏側で直接、間接にかかわらず何人もの命を奪ってきた。それが佐藤良美の正体。

(どうすれば……どうすればいいの……?)

あれだけ残酷に殺してきた良美のこと、あの言葉はただの脅しじゃない。
自分の不利になる、と決めたなら一切の情も容赦もなく殺すのだろう。どんな手を使っても。
ことりは悠人の命と自分の身のことを考え、何度も苦悩するが、答えはまだ出そうになかった。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「純一……純一、起きて。もうすぐホテルに着くわ」
「んっ……あ、ああ。すまない、つぐみ」

目を覚ますと、時刻は真夜中の0時……放送まで後15分ぐらい、というところだった。
ホテルは薄暗いが、もう肉眼でも捉えられる位置まで来ている。
純一の隣では蟹沢きぬが……それはもう、すごい体勢で眠っていた。武士の情けで下着は敢えて見ないようにしてやった。

547 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:49:42 ID:v3fOGZsC
 

548 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:50:32 ID:Z0zWW6lD
 

549 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:50:40 ID:ahPsjPwD


550 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:51:00 ID:vM6PHG2q

(蟹沢……もう、あの日々には戻れないって分かってるんだよな)

他人の夢を覗き見る能力。それが朝倉純一の超能力のひとつ。
そこでは笑いあう蟹沢とその仲間たち。あの中のほとんどの人間がこの島で命を落とした。
メガネの少年、隣の家の初恋の男、兄貴分の青年、金髪ブロンドの女性。
夢の中で蟹沢が呼んでいた名前と放送で呼ばれた名前は一致する。だが、その中で唯一名前を呼ばれていない仲間に気づいた。

(佐藤、良美か……)

名前に聞き覚えがある。海の家での録音機能に登録された、襲撃者と思しき苗字。
だが、夢で見た佐藤良美なる人物はどこから見ても人畜無害。
主催者が自分たちを混乱させるために設置した、ひとつのブラフなのだろう。純一はそのように判断してしまった。

(逢えるといいな、蟹沢)

支給品の中から名簿を取り出しながら、そんなことを思う。
純一もまた、唯一の生存している知り合いを心配していた。あんな主催者の弄言に迷わされたくなかった。

(ことり……嘘だよな。お前は無事……だよな?)

その答えはもうすぐ出る。
ホテルに他の参加者がいる可能性は高い。
だから武装には特に気をつけておきたい。たとえ殺し合いに乗った相手でも、説得してやりたい。
皆で力をあわせれば、殺し合う必要性もないんだって。そう伝えてやりたかった。

たとえそれが――――ことりを襲った奴だと、しても?

(理想は、捨てない。そう蟹沢と約束した、つぐみとも誓った)

いまさら、何を迷うことがあるだろうか。今はただ、ことりの無事だけを祈っておこう。

551 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:51:11 ID:v3fOGZsC
 

552 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:51:20 ID:ahPsjPwD


553 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:51:29 ID:Z0zWW6lD
 

554 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:51:53 ID:vM6PHG2q
「ほら、カニ。起きなさい。そろそろ放送よ」
「う、うう〜ん……な、何だよ〜、ボクの眠りを邪魔すると、デスマスクが光臨するぜ〜……」
「……どんな寝ぼけ方かしら」

それとそう、純一を支えてくれる仲間たち。
彼女たちが大切に思っている仲間……倉成武と、佐藤良美の無事を祈ろう。そう考えたまま、放送を待った。



     ◇     ◇     ◇     ◇



放送が終わった。悠人は椅子に座ったまま、じっと複雑な顔のままだった。
ことりはもちろん、良美ですら只事ではない事態を感じ取った。だが、いくら問いただしても愛想笑いばかりだった。

(……どういうこと、かな? 誰か大切な人でも死んだ……それとも、私の正体に気づいた?)
(高嶺さん……すごく、複雑な顔をしてる。どうしてだろう)

良美にしてみれば、あの放送ではむしろ好都合なものが多かった。
まず、警戒していたネリネの死。これは良美だけでなく、悠人自身も驚きと同時に収穫といっても過言なかった。
さらに良美にすれば圭一や武が生きていることも、都合がいい。自分の手で殺す相手だ、他の奴らに邪魔されたくはない。

(……国崎、お前を殺したのはアセリア、なのか……?)

苦悩の原因はそれだった。あのとき、殺してやると憎しみに燃えていたアセリアの瞳を思い出す。
さすがに止めることは出来なかったが、もしもそうならと思うと悠人は後悔に打ち震える。
それだけじゃない。放送のとき、ハウエンクアと名乗った男がいた。
面識はないが、癪に障る男だった。まるで瞬と同じような、そんな漠然とした印象……主催者側に新たな敵が加わった。

それにトウカの名前が挙がった。ハクオロの部下で頼りになる女性だったらしい。
しかし、結局合流することは適わず。こうして優秀な人材がまた一人、失われてしまったことになる。

555 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:52:11 ID:v3fOGZsC
 

556 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:52:16 ID:ahPsjPwD


557 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:52:22 ID:MTbYNzl7
 

558 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:52:35 ID:Z0zWW6lD
 

559 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:53:18 ID:vM6PHG2q

(それに、ことりの件もそうだ。どうも様子がおかしい……少し、試してみる必要がある、か?)

良美を疑いたくはない。彼女もまた、ことりと同じように心に傷を負った少女だ。
仲間を見捨てて逃げてしまった。それは、なんて辛いことなんだろうと思う。罪悪感に押し潰されそうになるかも知れない。
だから衛やことりの時のように、励ましてやりたかった。自分に出来ることをしてやりたい、疑うなんてもっての外だ。

だが、ことりの様子がおかしすぎる。
理由は思いつけない。考えなければならないことが多すぎて、思考を整理することが難しい。
せめて、良美とカマぐらいはかけてみてもいいかも知れない。
的外れなら、お互い笑い話で済む、そんな考え―――――だが、良美もまた悠人の様子に危機感を感じ始めていた。

(まずいね……警告が少し遅かった。どうも悠人くん、隠し事が苦手みたいだね)

もしくは、自分が気づかないうちに連絡を取ったのかも知れない。
例えば不自然に心を通わせたあの一瞬、例えば放送を聞いている最中……疑わしいところはある。

もしも探るような問いかけがあった場合、どうするか。
決まっていた、疑わしきは罰せよ。
利用できない駒は即座に殺すべし。下手に生かしておけば第二の武になることは目に見えている。
今の悠人には警戒心を抱かせるまでのものはないようだ。判断が早ければ、命は軽々と奪える。
ことりは抵抗もできないだろう。悠人を撃ち殺した後、逃げる後姿に銃弾を叩き込んでやればいい。

「あのさ、良美……」
「うん、なにかな?」

それが命運を決める分かれ道。
次に悠人が口を開き、良美がそれを危険なものであると判断した瞬間……この室内は地獄と化す。
そっと銃を握り締め、場合によっては彼の最期の言葉を耳に入れようと距離を近づけ――――

560 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:53:22 ID:ahPsjPwD


561 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:53:34 ID:v3fOGZsC
 

562 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:54:02 ID:Z0zWW6lD
 

563 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:54:03 ID:ahPsjPwD


564 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:54:25 ID:MTbYNzl7
 

565 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:54:58 ID:MTbYNzl7
 

566 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:55:31 ID:vM6PHG2q


「高嶺さん、誰か来ます!」


窓の様子を窺っていたことりが、このホテルで新たな参入者の登場を告げた。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「風子……そんな……」
「そう……あの子も逝ってしまったのね」

車の中は悲しみに包まれていた。
仲間である風子の死、確かにぼんやりとしている少女だったが、それでも信じられなかった。
北川や梨花は大丈夫だろうか。純一とつぐみは二人の仲間を心配し、蟹沢もそれを察して何も言わない。

(ネリネ、貴女も死んだのね。大好きな人、死んじゃったから……?)

つぐみは胸を押さえる。それは利害だけではあったが、一瞬でも仲間であった者への黙祷。
確かに彼女は敵だったが、稟という少年が死んだ以上、殺し合いを止めさせることは出来たかもしれない。
それに、あの三人で探した想い人。恋人同士だったり、好きな人だったりしたが、とにかく地獄の島を捜索した面子。

朝倉音夢、ネリネは死んだ。
本人も想い人も生存しているのは自分だけ。まだ、最愛の武は生きているのだ。

「……ホテルに着いたわ。純一の知り合いの名前が呼ばれなかった以上、まだ無事よ」
「ああ……そうだな。ここで悲しんでいる時間はない。ことりを助けるんだ」
「ちぇ……しょうがねえなぁ。ボクも手伝ってやるから感謝しろよな。……でもよ、その前にちょっといいか?」

567 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:55:40 ID:MTbYNzl7
 

568 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:55:58 ID:v3fOGZsC
 

569 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:56:14 ID:ahPsjPwD


570 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:56:19 ID:MTbYNzl7
 

571 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:56:39 ID:vM6PHG2q

蟹沢の言葉に何事かと振り返る。
あまり時間はないのだが、準備を怠る者は確実に殺されるのがこの世界だ。聞いておく必要はある。

「あのよ……少し、トイレに行きたいんだけど」
「うぉぉいっ、この場でギャグは必要ないぞ、蟹沢!」
「しょうがねえだろっ!? 急にきたんだよ、奴らは突然やってくるんだよ、防御不可能なんだよ!!」
「……出鼻くじかれた気分ね……いいわ、ホテルの中にあるだろうから」

さすがにトイレで待ち伏せする奇特な襲撃者はいないだろう。
鷹野の言葉が仮に、もしも本当なのだとしたら、恐らくことりと彼女を襲った男はホテルの室内にいるはずだ。
それに、蟹沢の実力はあまり期待していない。万が一戦いになったとき、それはつぐみが受け持つべきだ。

「急ぐわよ、せめて一階のホールは制圧しておきましょう」
「わかった……行くぞ、蟹沢!」
「おっしゃあっ!!」

三人で手を合わせて気合を入れる。
目標は白河ことりの救出。三人は各々の武装を構え、玄関へと疾走した。 



     ◇     ◇     ◇     ◇


「あれは……俺と衛を襲った奴らと同じ車っ……」

見覚えがある。あの博物館での戦い、そこで襲い掛かってきた二人と、走り去る車。
姿を隠しながら二階の窓から見下ろすと、三人の男女が中から現れた。
その中の一人の姿を認め、良美は名案とばかりに一計を案じた。

572 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:57:09 ID:MTbYNzl7
 

573 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:57:15 ID:v3fOGZsC
 

574 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:57:18 ID:ahPsjPwD


575 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:57:19 ID:Z0zWW6lD
 

576 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:57:31 ID:vM6PHG2q

(カニっちか……ちょうど良いところに来たね)

良美が口元を吊り上げて笑うのと時を同じくして、ことりはその中の一人を見て喜んだ。
朝倉純一、ことりの想い人。彼の姿が見えたとき、涙がこぼれるかと思った。
だけど、それは一瞬で凍りつく。悠人が言った言葉……それは、純一が殺し合いに乗っている、ということと同義。

(ちがう、よね……? 朝倉くん……)

様々なストレスに、ことりの心が引き裂かれそうになる。
だが、それにばかり気をとられてはいけない。悠人は立ち上がり、デイパックを引っ掴んで部屋を飛び出そうとする。

「待って、悠人くん! あの人たち、裏口から侵入してくるみたいだよ!」
「裏口からっ……? 何でまた」
「玄関、壊れちゃってるから、警戒したんだと思う!」
「分かった……二人はここで待っててくれ。一歩も動くなよ!」

走り去る悠人。このホテルの構造上、ホールと裏口への道は階段が違う。
よって、悠人が裏口に行っても一階で鉢合わせすることはない。案内板を確かめていた良美はそれを知っていた。

残されたのは良美とことり。狩る者と狩られる者。
ことりは恐る恐る、良美に話しかける。どうして、そんな嘘をついたのか……その真意を確かめるために。

「よ、良美さん……どうして、嘘なんかついたんですか……朝倉くんたち、正面から入っていったのに……」
「うん、少し面白いことになってね。あの中に私の前からの知り合いがいるの……それでね、ちょっと試してみようと思って」

良美は自分のデイパックを拾い上げる。
にっこりとした笑顔の裏側、その悪意にことりはただ恐怖した。良美は悪魔にしか見えなかった。

577 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:57:54 ID:MTbYNzl7
 

578 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:58:03 ID:v3fOGZsC
 

579 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:58:26 ID:vM6PHG2q

「ことりちゃんの演技が下手で、悠人くんが怪しんでるんだよね。おかげで危ないところだったよ。
 いい、ことりちゃん……貴女はここを動いちゃダメ。私は『仲間』に逢ってくるよ……悠人くんが襲い掛かっちゃう前にね」

クスクス、と笑って良美はことりの頬を撫でる。
そしてことりのデイパックの中を漁り、ほぼ全ての支給品を奪ってから退出した。
残されたのはことりが最初から持っていたもの。これで、ことりは無力な羊……そして良美は獲物を貪る狡猾な狼だ。

「本当ならここで殺してあげてもいいけど、その心を読む力は惜しいからね。じゃ、じっとしてるんだよ」

最後の警告が残され、ことりだけが部屋で蹲る。
どうしようもない、私には何も出来ない……そんな悔しい気持ちに、ことりは咽び泣いた。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「つぐみ、一階には誰もいないみたいだ」
「カニは?」
「……真っ直ぐ、トイレに駆け込んだよ。でも多分、大丈夫だ」

つぐみと俺はそれぞれ、二階へと続く階段とエレベーターを見張っていた。
ここで待機していれば、とりあえず奇襲は防げるだろう。後は蟹沢が帰ってくるまで待ち、そして探索を始める予定だった。
俺からすれば、ここにことりがいないというのが一番良いようにも思えた。逢えないが少なくとも、ことりが襲われたのは嘘になるのだから。

明かりはつけなかった。確かにあたりは暗いが、つぐみの赤外線視力を持ってすれば問題ない。
俺からすればあたりの音だけが頼り。
そうしてしばらくして、つぐみが気づく。少し遅れて俺も気づく。階段を下りてくる足音に。

580 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:58:27 ID:ahPsjPwD


581 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:58:30 ID:MTbYNzl7
 

582 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:58:51 ID:v3fOGZsC
 

583 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:59:08 ID:ahPsjPwD


584 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:59:08 ID:MTbYNzl7
 

585 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 01:59:21 ID:vM6PHG2q

「つぐみ……」
「ええ、分かってるわ」

二人でうなづき、警戒する。足音はひとつ……それもかなり急いでいるような気がする。
そして一階まで降りてきた頃を見計らって、つぐみが飛び出した。俺も援護のため、その背後から武器を構える。

「待ちなさい!」
「ひゃっ……い、いやぁ……助けて……」

現れたのは水色の髪の少女。あちこちを怪我していて、何かに怯える様子だった。
あまりの怯えように警戒心が揺らぐ。とりあえず俺は少女を落ち着かせることにした。このままでは話も出来ない。

「えっと、すまない。俺は朝倉純一、こっちは小町つぐみだ。殺し合いには乗っていない、君は?」
「お……お願い、助けて……」
「一体、何があったって言うの? 落ち着いて、きちんと説明して」

ほんの数分間、俺たちはこの怯えた少女の相手に手間取ってしまった。



     ◇     ◇     ◇     ◇



つぐみの言葉でようやく落ち着けたらしい。
彼女の名前は佐藤良美……そう、この島で生き残った蟹沢の最後の仲間だ。きっと、蟹沢も喜ぶに違いない。
だが、喜んでばかりはいられなかった。むしろ、俺自身も絶望と怒りで心が黒くなりかけた。

良美から伝えられたことは、このホテルは殺人鬼の拠点となっているということ。
彼女はこの島で仲間となった人たちをその男に殺され、無理やりここに連れてこられたのだと言う。
しかも、さらに一言。自分よりも前にここに連れてこられた少女がいる、と……震える言葉で、俺はその少女の名前を聞き出した。

586 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:59:42 ID:v3fOGZsC
 

587 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 01:59:54 ID:ahPsjPwD


588 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:00:04 ID:MTbYNzl7
 

589 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:00:35 ID:MTbYNzl7
 

590 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:00:35 ID:ahPsjPwD


591 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:00:36 ID:vM6PHG2q

「その人の……名前は……?」
「ことり……白河、ことりちゃん……私が初めて逢ったときにはもう、その……服が、破かれてて……」

ガツーン、と頭を殴られた気分だった。怒りと悲しみで眩暈がした。
主催者の……鷹野の言っていたことは正しかったんだ。ことりはこの地獄の島で、死ぬよりも辛い目に合わされた。
悔しさと憎しみで涙が出た。このまま、この衝動に身を任せてしまいたかった。
何も喋れなくなってしまった俺に代わって、つぐみが良美に話を聞く。俺は少しの間、立ち直れそうになかった。

「……それで、貴女はどうやって逃げてきたの?」
「えっと……ホテルの前に車が止まったのが見えて、その男は飛び出していきました。それがなければ、私も同じ目に……」
「……それと……ことりの居場所も分かる? 貴女はこうして保護できたけど、私たちの目的はことりの救出なの」
「よ、四階の室内に……あと、その男は裏口に行く、とも」

そう、とつぐみはあくまでも冷静さを失わずに事情聴取をする。
とてもありがたいことだ。今の俺なら憎しみに身を任せた行動を取りかねない。

「良美、貴女はカニと一緒にトイレに隠れてて。それから純一……貴方は絶対、裏口には来ないで」
「……やっぱり、ダメだよな。分かってる、俺は理想を捨てない。約束したんだ」
「ええ、それでいいわ。純一は四階に……囚われのお姫様を助けに行ってあげなさい。女の子はいつでも、待っているものよ」

提案にうなづく。ここで感情に流されたら仲間に迷惑がかかる。
俺に出来ることはことりを救い、そして心の傷を癒してやるだけだ。俺が考えるのはそれだけでいい。
つぐみは俺の返事を気に入ったのか、ふと口元に笑みを浮かべた。それはまさに、不敵な笑顔。

592 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:00:44 ID:v3fOGZsC
 

593 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:01:19 ID:vM6PHG2q


「裏口のカマドウマは、私が相手してやるわ」


堂々の宣言をここに。
全員が頷いて、それぞれがバラバラに散った。つぐみは裏口へ通じる道へ、俺は階段へ、良美は仲間の場所へ。
白河ことり……俺の友達の救済作戦が始まった。



     ◇     ◇     ◇     ◇



こんなにうまくいくなんて、ね。
本当に皆、お人好し。甘い人間ばっかりだ。ちょっと不幸を強調すればすぐに人を信用する。
裏口にいる悠人くんは殺人鬼に。そしてことりちゃんがいる二階には気づかずに、純一くんは四階へと上がっていった。

それにしても、つぐみさんには驚いたなぁ。
もしも状況が違ったなら、つぐみさんに今の武さんの姿を見せてあげたい。聞かせてあげたい。
まあ、それは利用しつくした後の楽しみだね。今はカニっちと再会を祝福しあわないと。
ことりちゃんのおかげで悠人くんたちのチームには馴染めなかったけど、カニっちがいれば長く『仲間』として利用できるだろう。

594 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:01:20 ID:ahPsjPwD


595 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:01:24 ID:MTbYNzl7
 

596 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:01:57 ID:MTbYNzl7
 

597 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:02:01 ID:ahPsjPwD


598 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:02:17 ID:Z0zWW6lD
 

599 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:02:42 ID:ahPsjPwD


600 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:03:07 ID:MTbYNzl7
 

601 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:03:33 ID:vM6PHG2q

「か、カニっちーー!」
「うん……その声、もしかしてよっぴーか!? 良かった、聞きてえこともあったんだ!」

バタバタとトイレから激しく動く音。懐かしいなぁ、カニっちらしい。
トイレから飛び出してくるのは、竜鳴館の制服じゃなくて別の制服を着たカニっちだ。涙をたたえてこちらを見る。
久しぶりの再会、そして私が彼らを取り込む準備が整う。笑顔の仮面をかぶり、私は腕を広げて泣き虫のカニっちを―――


「なあよっぴー、お前、この島に来て悪いことしてんじゃねえか?」


抱きこむことはしなかった。反射的に身体が動いていた。
悠人くんからのカマかけの対応を、脊髄反射でとっていた。つまるところ、銃を向けてしまっていたのだ。
驚くカニっちを見て、内心で忌々しく舌打ちをした。たんなる予想、もしくは冗談を私は本気に取ってしまったんだ。


「……やっちゃったなぁ、気を抜いたのがいけなかったね。自分から尻尾出しちゃうなんて」
「おいおい、マジですか……ボクは信じたくなかったんだけどな」
「カニっちに騙されるなんて、一生の不覚だよ。あ〜あ、おかげで台無しかぁ……」


しょうがない、ここでカニっちも殺してしまおう。
どんなシナリオがいいかな。悠人くんが生き残ったら、カニっちが私に襲い掛かってきたので、殺してしまったでいいとして。
純一くんたちなら、新しい敵が現れたということにしよう。ハクオロに罪を擦り付ければいいね、まだ生きている殺人鬼なんだから。


「なあ、よっぴー。ほんとに悪いことしてるってんなら、ボク怒るぞ。オメーの悪事は録音機で他の奴らに発信したからな」
「っ……本当にひどいね、カニっち。まだ私が乗っていることに確証なかったのに、そんなことして」
「転んでもただでは起きない、それが蟹沢クオリティさぁ! 悔しい? だったらそれがボクの喜びになるね〜」


602 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:04:01 ID:v3fOGZsC
 

603 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:04:40 ID:MTbYNzl7
 

604 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:04:46 ID:vM6PHG2q


つまり、もう参加者たちに紛れ込むのは下策になっちゃったわけか。
本当にバカなカニっち。こうなったら、少しは後悔させてあげたくなるよ。どんなことがいいかな。
決まってる、私が殺したスバルくんの話をしてあげよう。きっと、カニっちのお気に召す物語のはずだ。


「ねえ、カニっち。スバルくんの最期を教えてあげようか?」
「あはははは、は……? スバルの、最期……?」
「うん、スバルくんはね。殺し合いに乗っていたんだよ。私を騙して、私の仲間たちに金属バットを振り回したんだ」


カニっちの顔に動揺が走る。なんて愉快、なんて痛快。
だからね……そう、間合いをおいてカニっちを焦らし、そして絶望へと送る冥土の土産をプレゼントしてあげた。

「私が殺してあげたよ。喉元に、グサリってナイフを飛ばしてね。すごく壮絶な最期だったよ。
  対馬くんの仇のためだったのか、それともカニっちたちを殺してまで優勝したかったのかは知らないけど……良かったね、逢えなくて」
「よっぴー……オメー……」

さあ、お喋りの時間は終わり。銃……はまずいから、やっぱり刀かな。
デイパックの中を漁っていると、カニっちが何やら笑っている。それにふと、違和感を感じた。

「なあ、よっぴー。オメー、純一たちには逢ったか?」
「うん。私の話をバカ正直に信じてくれたよ。お人好しばかりだね」
「へえ……本当に、信じたと思ってんのか」

言われた途端、事の次第に気がついた。
カニっちが私を疑っている、ましてや録音機で吹聴して回っている。だとするなら、純一くんたちが私を信用する理由は?
仲間である純一くんやつぐみさんが、知らないはずがない。まさか……あれは演技だったとでも。

605 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:05:17 ID:v3fOGZsC
 

606 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:06:07 ID:MTbYNzl7
 

607 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:06:14 ID:ahPsjPwD


608 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:06:20 ID:Z0zWW6lD
 

609 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:06:26 ID:vM6PHG2q

「今だ、純一! クラゲ! よっぴーを押さえつけろっ!!!」
「くっ……しまっ」

パァン、パァン!
背後に振り向くと同時に、引き金を引く。とりあえずの牽制だ、こちらに武装は多いんだから。
だが、そこには誰もいなかった。私を押さえつけるのだから、そこにいなければならない人がいない。
莫迦な―――――まさか、と思って振り向いた瞬間、私の視界は埋め尽くされた。


「くらいな、よっぴー! 代金はいらないぜえっ!!」
「うぁあああっ……!!」


突然、顔面に降りかかる大量の水滴。目を見開いた私の瞳に直撃し、俯いてしまう。
口の中にも水が入った。そして気づく、これは水じゃない、炭酸飲料水……それが振動によって噴出したんだ。
騙された、騙された……カニっちのような、単細胞にうまく出し抜かれた……!

「じゃあな、そこで少し反省していろやっ!!」
「くっ……このぉ……!!」

持っていた銃を我武者羅に連射する。
S&W M627PCカスタム……残った六発全てをぶち込むも、カニっちの逃亡を防ぐことは出来なかった。
だが、苦しんでいる場合ではない。
地団駄を踏む暇があるのなら、急いでカニっちの口を塞がなければ。いや、せめて何人かは葬っておかないと。

「逃がさない……!」

銃に新しい弾を装填する時間も惜しい。
私はことりちゃんから奪ったベレッタ M93Rと地獄蝶々を掴むと、すぐに追跡を開始した。

610 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:06:40 ID:v3fOGZsC
 

611 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:07:07 ID:MTbYNzl7
 

612 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:07:13 ID:vM6PHG2q



     ◇     ◇     ◇     ◇



「……裏口に奴らの姿はない、か」

悠人は良美の助言どおり、裏口へとやってきた。
ここは一本道の廊下の先で、さすがに見過ごしたとは思えない。
途中で悠人の姿に気づき、正面から入ることにしたのか。それとも警戒しているだけですぐ近くにいるのか。

答えは出ないまま、考える。この場は部屋に戻り、ホテルから逃げ出したほうがいいかもしれない。
千影はここにはいない。悠人の到着が遅くなったんで、先に病院に行ったのだろう。そう判断した。
ならここで良美とことりを護りながら一戦を交えるより、病院でハクオロたちと力をあわせて撃退したほうがいいだろう、と。

(よし、裏口には敵はいない……戻って、ことりたちを呼んでこよう)

即断し、踵を返す。あの長い一本道の廊下へと目を向ける。
そこには薄暗い影、人の形をとった黒装束の少女。
その手に握られているのは明確な凶器、銃だ。しかも悠人に向けて構えたまま、こちらへと歩いてくる。

(なんて……なんて冷たい目をしてるんだよ)

そこに込められていた感情は嫌悪、憎悪、そして殺意。
まるでかつての誰かに姿を重ねたかのような、鋭い眼光。一切の容赦もない絶対的な敵意が悠人の心に警鐘を鳴らせた。

613 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:07:20 ID:ahPsjPwD


614 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:08:00 ID:ahPsjPwD


615 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:08:03 ID:MTbYNzl7
 

616 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:08:29 ID:vM6PHG2q

「見つけたわよ、カマドウマ」
「……いきなり便所こおろぎの名前で呼ばれる覚えはないぞ。誰だ、お前は」
「つぐみよ、小町つぐみ。ついでに言うと、貴方を殺す者の名前」

その目が、その行動が、その言葉が告げていた。
話し合う余地はない。分かり合うつもりはない。それほどまでの憎悪、その一身を悠人は浴びていた。

「殺し合いに……乗っているのか?」
「いいえ。だけど、貴方は私が殺さないといけないの」

何故、と尋ねる。いくらこの後、戦うことになっても……理由も分からず殺されるのはごめんだった。
悠人は右手に刀を、左手にベレッタM92Fを構えたまま、静かに返ってこないかも知れない返事を待つ。


「純一が理想を貫くために。私は彼の代わりに血を浴びていかないといけない。
 私だって人を殺したくはない。そんなことをしたら、武に叱られてしまうだろうから。それは私も嫌。
 だけどね、貴方を生かしておいてはいけないの。純一が説得できない悪は、私が秘密裏にでも断罪しないと、理想を貫いてはいけない。

 それにね、貴方みたいな下衆な考えをしてくれる色情魔たちには覚えがあるのよ。
 貴方は一見、そうは見えないんだけど……私もかつて、そういう連中に17年間追われた身だから。個人的に第一印象は信じないの」


つぐみはかつての過去を思い出す。まさに忍耐の17年間だった。
老化しない身体、いつまでも若々しい肉体を情欲と栄耀の対象としてみる者たちからの逃亡。
慇懃無礼な紳士の裏切りもあった。仲間を演じていた奴にも裏切られた。
第一印象は当てにならない……つぐみの最愛の人、武の第一印象も最悪だった。だが今は、こんなにも自分の心を占めている。

忘れてはならない。確かに甘くなった、確かに迂闊だった。
だが、元々の彼女は人間不信だった。あるときは宿敵の会社の重鎮を一人残らず抹殺することすら考えたほどに。
目の前で純一の首輪が爆発しようとしたとき、その迂闊さを呪った。それ以来、甘さは捨てることに決めた。
純一や蟹沢が理想を追い続ける間、どうしようもないことは自分が引き受けよう。武なら……きっとそうする、そう知っていたから。

617 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:08:42 ID:v3fOGZsC
 

618 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:09:24 ID:ahPsjPwD


619 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:09:33 ID:MTbYNzl7
 

620 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:10:05 ID:ahPsjPwD


621 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:10:21 ID:vM6PHG2q

「……俺たちは殺し合いに乗っていない。主催者を打倒するために仲間を集めているんだ」
「仲間? 奴隷とは分けが違うのよ?」
「おい……何が言いたいんだよ?」
「貴方がことりって子にしたことを思い出しなさい。意味が分かるわ」
「……?」

正直なところ、そう言われても悠人には意味が分からない。
少なくともことりに害を与えるようなことをした覚えはない。そもそも、つぐみはことりのことをどうして知っているのか。
何かが噛みあっていない。まるで歪んだ歯車のようだ。
そして、思い出す。ことりが逢いたがっていた純一という人物。つぐみが出した純一という名前。

「……朝倉純一が、このホテルに来ているのか?」
「ええ、そしてここで佐藤良美って子に会った。貴方の居場所、貴方の所業を教えてくれたのも彼女」
「……それは、まさか」

そのとき、散らばった謎という点が一本の線に繋がったような気がした。
思えば前兆はいくらでもあったのだ。ことりの様子のおかしさ、つぐみの言動、そして部屋にいろと言いつけたはずの良美。
悠人は冷や汗が止まらなかった。同時に、当たってほしくない予測にようやく辿り着いてしまった。


「そう、貴方が人を殺し続けたことも。女の子をホテルに連れ込んでいたことも、全部聞いたわ」
「……っ!」



622 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:10:30 ID:v3fOGZsC
 

623 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:10:51 ID:MTbYNzl7
 

624 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:11:19 ID:ahPsjPwD


625 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:11:48 ID:vM6PHG2q
驚愕はなかった。ただ、予感していた最悪の展開に無念だと思うしかなかった。
ことりは良美に触れている。何度か、良美の心を覗いている。それでも何も言わなかったから、大丈夫だろうと思った。
様子がおかしいのも、良美がこの島で受けてきたあの惨劇の光景を見て、それで気分が悪いんだ、と。そう思いたかった。

だが、良美にはことりが他人の心を読める、なんて吹聴した覚えはない。
元々知っていたのか、それとも良美もまた人の心が読めるのか、それは分からない。悠人にはその判断はつかない。
どうしてことりが何も言えなかったのか。
脅されていた、とするならばどの時間帯に……決まっている、女の子の日と偽って二人きりになったあの時だ。

(俺は……莫迦だ)

騙されることには慣れていたはずだった。
飛行機事故で両親が死んだとき、群がってきた自称親戚連中のことをある。騙された悔しさは別になかった。
悔しいのは、気づいてやれなかったこと。
ことりは脅されている状況下で、何とか救いを求めていたはずだ。それに気づかず、手を差し伸べなかったそれが罪。

きっと、自分が騙されたときのような演技で彼女も騙されているのだろう。
その誤解を解くことは容易ではない。少なくとも、そんな時間は今の悠人にはない。

「悪いな、用事が出来た。ここで釈明している時間が惜しい……押し通らせてもらうぜ」
「ふうん……貴方に出来るかしら? 逃げた良美を殺すつもりなのでしょうけど、そうはいかないわね」
「違う、良美のことは今はどうでも良い。ただ、早くしないとことりが手遅れになりかねない」

ことりは無事だろうか、それだけを願って悠人は暗視ゴーグルを被る。
つぐみの目的はここで悠人の足止め。絶対にここから先には戻らせないと意気込んで。

バァンッ!!

悠人の側から銃声一発、二つの影が疾走した。



626 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:11:57 ID:MTbYNzl7
 

627 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:12:07 ID:v3fOGZsC
 

628 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:12:47 ID:vM6PHG2q


     ◇     ◇     ◇     ◇



「何処だっ……ことりは何処にいるんだっ!」

純一は二階で立ち往生していた。どの部屋を調べても、ことりの姿がなかったからだ。
時間は少ない。つぐみがことりを傷つけた男を足止めしている間に保護しなければ。つぐみの身の安全にも関わる。
良美が逃げたのなら、ことりも逃げ出したのではないか……そんな考えすら抱いてしまう。

そんなとき、階段を猛烈な勢いで駆け上ってくる存在に気づいた。
普通なら警戒するのだが、あまりの足音に警戒心すら沸かない。こんな行動をする奴に心当たりがあった。
ここは四階、きっと彼女は疲れているだろう。かなりの重労働になってしまうのだから。

(蟹沢……頼むから忍ぶことも覚えてくれよな)

だが、ちょうど良い。一人ではどうしても限界があったのだ。
ここで蟹沢と合流し、二手に分かれてことりを捜索しよう。そう決めて階段から駆け上ってくる蟹沢の姿を認め。

「おい、蟹沢。ちょうどいい、手伝え……」
「アホかテメーはぁぁあああっ!!! 歯ぁ食いしばれ、修正してやらぁぁああああっ!!!」
「ぐふあっ!?」

何故かボディーを殴られ、そのまま個室へと連れて行かれた。
そして静かにするようにジェスチャーを送ると、デイパックからメモを取り出し高速で何かを書き始める。
やがて投げられたそこには、急ぎ書きで汚い文字が書かれてあった。

629 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:12:48 ID:Z0zWW6lD
 

630 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:12:54 ID:MTbYNzl7
 

631 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:13:24 ID:MTbYNzl7
 

632 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:13:38 ID:Z0zWW6lD
 

633 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:13:55 ID:MTbYNzl7
 

634 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:14:29 ID:MTbYNzl7
 

635 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:14:40 ID:vM6PHG2q


『いいか、ヘタレ! 絶対に声は上げるなよ。簡潔に今のボクたちの危険度を説明してやる。

 よっぴーは殺し合いに乗ってやがる、ボクの友達を殺したのもあいつだ。マジデビルだよ。
 おめーやクラゲはあいつの言葉に騙されているんだろうが、よっぴーの言葉は全部嘘だ。ボクなんて銃で撃たれかけたんだからさ。
 このままじゃクラゲも騙まし討ちされるし、ことりって奴もやべえ。ここまでで何か質問あるか? ないって言え』


純一はメモを何とか解読すると、深呼吸をして一言。


「よっぴーって誰だ?」
「もう一度、歯ぁ食いしばれぇぇええええ、その脳みそは飾りですか!? よっぴーはよっぴーだよ、佐藤良美っ!」

大声を上げて、そして口を両手で押さえて噤む。
どうやら良美は気づいていない。いや、どうやらうまく巻いたようだった。
純一もまた事の重大さに気づいて、息を潜めた。小声でボソボソと蟹沢と会話する。


「本当、なのか……?」
「マジだよ……よっぴー以外はむしろ味方と思っていいんじゃねえの?」
「……ってことは、今つぐみが戦っているのは」
「よくわかんねえけど、敵じゃないのかも……っ……知れねえな……泣いてない、泣いてないもんね」


蟹沢にとってはショックだっただろう。残された人間の仲間は良美ただ一人、それが自分を殺そうとした。
あまつさえ、皆の兄貴分だったスバルを殺した。涙が後から後から零れてくる、だけどここで泣いている時間がないことを蟹沢は知っていた。
今はこの事態の収拾。純一にもその意志は伝わった。今後の方針を純一が受け持つ。

636 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:15:03 ID:v3fOGZsC
 

637 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:15:49 ID:vM6PHG2q

「分かった。蟹沢は裏口に行ってつぐみを止めてくれ。俺は……良美を止める」
「純一……よっぴーを殺すのかよ……?」
「いいや、皆で脱出するんだ。そのときは良美だって一緒だ。説得してみせる」

理想は貫く、そう誓った。もう迷わないと決めた。
蟹沢はそんな純一が頼もしく見える一方で、不安を感じた。ただ殺し合いに乗っている人間ならともかく、相手は良美。
 それに改心した良美に昔と同じ態度で接する自信はなかった。後から後から不安が押し寄せてくる。

「おい、純一……無理するなよ」
「そっちこそ」

こうして二手に分かれた。一人は良美に注意しながら裏口に、一人は良美を捜すために廊下へと。
間に合うのか、それとも。
純一と蟹沢はただ前を見て、真っ直ぐに進んでいくことにした。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「このままじゃ、ダメなんだ……」

良美が部屋から出て行って十数分が経過した頃だろうか。
ただ一人、部屋の中で閉じこもっていたことりがついに立ち上がった。
一人で考える時間があった。それがことりの決意に火をつけた。そう、冷静に考える時間さえあれば答えは簡単だった。


638 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:15:52 ID:Z0zWW6lD
 

639 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:16:02 ID:MTbYNzl7
 

640 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:16:08 ID:v3fOGZsC
 

641 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:16:43 ID:vM6PHG2q
「高嶺さんが、朝倉くんが危ないんだから……」

このまま縮こまっていたら、それこそ赤坂の二の舞になりかねない。
このまま怯えていたら、今度は悠人や純一まで殺されてしまう。二人とも、ことりのすぐ近くにいるのだ。
潜在的な嫌悪がことりの身体を縛る。良美への恐怖がことりの腰を重くしようとする。

「私も……戦わないとっ……!」

それらを全て抑えて、ことりは部屋の扉を開いた。
後悔はしないつもりだった。このままじっとしていることのほうが後悔が大きいように感じたのだから。

勇気を出して廊下へと飛び出す。
これからどうしようか、考えた。決まってる、純一と悠人に逢わなければならない。
悠人は良美の嘘に騙されて裏口にいるはずだ。同士討ちをさせるなら、そこに純一もいるはず。今後の方針はそれで決まった。

最初の一歩を踏み出そうとした、そのとき。
かつん、と階段からの足音。一階から、今ことりがいる二階へと上がってくる存在。


「朝倉くんっ……!?」


希望に満ちた瞳で振り返る。
そして、絶望した。天から地へ落ちていく感覚、血の気が一気に引いていく。

「あは、見つけたよ」

それはあまりにも不運な出来事。
目の前に現れたのは純一でも、悠人でもない……ことりが最も出遭ってはならなかった悪魔。
それはことりの姿を認め、そして怯える少女を嬲るかのように……佐藤良美は、白河ことりを捕まえた。

642 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:17:03 ID:v3fOGZsC
 

643 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:17:53 ID:vM6PHG2q

「いけないなぁ、ことりちゃん……あれほど、出てきちゃダメだって言ったのに」
「あっ……あああああ……」

強引にことりの手を掴み、心に直接イメージを叩き込む。
それは精神的陵辱、ことりのトラウマを開き……そしてこれから、ことりがどんな目に合わされるかを教えてやる。

(約束を破ったから、お仕置きだよ)
「あ……っ……ああああああっ……!!」

強制的に良美の心の中を覗かされる。
そこでは衣服を全て奪われ、身体中に浅い傷をつけられたまま、這い蹲らせられた自分の姿。
そのまま純一の前に連れていかれ、動揺する純一の前で恥辱を受ける。助けようとした純一の頭は銃で破壊される。
自分の血と純一の血、ふたつの赤に塗れて狂う自分は……どうしようもなく、残酷で、救われない姿。

ことりの精神が、耐えられるはずがなかった。

このままそんな酷い目に合わされると思うと、心が壊れてしまう。
良美は一度やると言えば実行する。現に左手に持っている刀で、ことりの衣服を剥ごうとしていた。

「もういい、よ……何もかも……どうでも、いい……」

最後に呟けたのはそんな言葉。世界に絶望した少女の終末。
この世全ての望みを絶たれた少女は、良美の無法に抵抗する気力すらなくし、そのまま気絶してしまった。

「ふふっ……可愛いなぁ」

実際にそんなことをするつもりはない。いや、する必要がない。
蟹沢きぬに正体か看破された以上、本格的に悠人と純一を同士討ちさせなければならない。そんな遊戯に時間は作れない。
ここで誰にも見られないうちに、ことりを殺しておく。銃声ではバレるから、この刀……『地獄蝶々』で、だ。

644 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:18:41 ID:Z0zWW6lD
 

645 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:18:48 ID:v3fOGZsC
 

646 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:19:19 ID:vM6PHG2q

「じゃあね」

そのまま絶望に彩られたまま、死んでもらおう。
そう決めて地獄蝶々を振り上げ、一息に振り下ろそうとしたそのとき。


「させるかぁぁあああああああっ!!!!」
「っ……!?」


一喝、そして疾風のごとく現れたその青年。
急いで四階から駆け下りてきた彼は、右手に釘打ち機を構えながら良美に突撃してきた。
良美は右手に構えたことりの銃、ベレッタ M93Rを連射する。

パァン、パァン!
ヒュン、ヒュン、ヒュン!

銃声、風を切る音が合計五つ。
良美の銃弾は狙いを外すことなく、純一の右足太ももに命中した。うち一発は胸を狙ったのだが、左腕によって庇われた。
純一の撃った釘は狙いこそ甘かったものの、巫女服を突き破って良美の左腕に突き刺さった。地獄蝶々が地に落ちる。


647 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:20:17 ID:v3fOGZsC
 

648 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:21:33 ID:Z0zWW6lD
 

649 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:21:37 ID:vM6PHG2q


「痛っ……」
「……危ないところだったよ、純一くん。でもダメだね、場数が違うんだから」

気絶していることりを解放し、良美は純一に銃を向ける。
左腕に突き刺さった釘を見て、驚いた。最初はてっきり銃で撃たれたのかと思ったのに。
違法改造された釘打ち機。まるでニードルガンのような代物と化した武装に、良美も物騒だなぁ、と苦笑いする。

「良美、やめるんだっ……人殺しなんてやめろっ、皆で脱出すればいいだろ!?」
「この期に及んで甘いね。吐き気がする、虫唾が走る。私はそんな甘い人たちがこの島で生き残っているのが我慢ならない」

良美は純一から、そしてことりから距離をとる。
釘打ち機の射程は当然、銃よりも短い。こちらのほうが飛び道具としてのリーチが長い。
純一の反撃させるようなことはしない。そう、丁度20歩よりも少し後ろ、そこから銃で狙いを定める。
今までたくさん撃ってきたのだ。ここからでも純一の胸に銃弾を叩き込むことぐらい出来る。


「どうしてだよ……蟹沢、泣いてたぞ……仲間なんだろ? あんなに教室の中で笑いあってたじゃないか!」
「私が笑いかけてたのは対馬くんとエリーだけ。その他は本当にどうでも良いの」
「それでも殺す理由はない! 皆で主催者の奴らを倒せばいいじゃないか!」
「対馬くんとエリーを殺したかもしれない連中と一緒に脱出? 冗談もほどほどにしてほしい……な!」


銃声が再び響き、純一の左肩を掠めた。これで完全に距離は掴んだ。
次で純一の頭を撃ち抜ける。だけど、一方でもったいないと思った。この様子をことりに見せてやりたい。
まあ、時間もない。さっさと二人を殺して、今度は蟹沢を殺さないといけない。

誰も助けには来ない。
誰も助けられない。だから完全に詰み。これは明らかなチェックメイト。必至とも言える。

本当にそうなのか、誰も純一の危機を救える者はいないのか。

650 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:22:14 ID:v3fOGZsC
 

651 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:22:35 ID:MTbYNzl7
 

652 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:22:39 ID:vM6PHG2q

「っ……っ……」

良美の息を呑む音が聞こえた。そんなはずがない、と口にした。
純一の目が驚きに見開いた。どうして、なんでと言葉にならない疑問があった。

救える者はいた。
そう、誰よりも純一を救おうと願った少女が。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「はあっ……はあっ……はあっ……」
「ぐっ……はっ、はっ、はっ」

悠人とつぐみの戦いは小康状態に入っていた。
廊下は悠人が最初に放った銃弾で照明が破壊され、暗黒と化している。
暗視ゴーグルをつけている悠人はその隙に、と脇を走り去ろうとしたが、つぐみの強烈な回し蹴りを受けて後退した。

つぐみの持つ赤外線視力の前に、暗闇での奇襲は通じない。
身体能力は互角。多くの戦いを経験した悠人と、17年間もの間、組織から逃げ回ってきたつぐみ。
エトランジェとしての身体能力を持つ悠人と、キュレイにより身体能力を大幅に増幅しているつぐみ。

653 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:23:11 ID:ahPsjPwD


654 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:23:31 ID:vM6PHG2q

(互角、だと……? 冗談じゃないな……)
(互角なんて……冗談にもならないわね)

奇しくも思うことは同じこと。
どちらも戦闘能力には自信があった。だが、いざ戦ってみればなんて強大な相手だろう。

この島に来たばかりで、同じ暗視ゴーグルを持った少女がいた。あの時はスタングレネードをうまく利用した。
だが、すでに三発。スタングレネードは全て防がれている。銃を撃っては、その悉くを避けられる。
つぐみには、悠人の動きが人間離れしていることに驚いた。これが世界から違う、ということなのだろうかと驚いた。

悠人もまた、この少女の実力に脱帽していた。
銃は使わないものの、刀を使って接近戦を仕掛ける。だが、接近しては凄まじい格闘技が炸裂する。
まるで何年間も徒手空拳で戦ってきたのではないか、そう錯覚するほどの容赦無用な一撃。とても少女とは思えなかった。
これで彼女の正体がブラックスピリットだったとしたなら、結構説明がつくような気がするがそれは置いておく。

(だけど、時間がないんだ……)

悠人は銃を使う決意をする。
最悪、大怪我……いや、殺害してしまうかもしれない。だが、ここで時間を稼がれてはそれこそ思う壺だ。
次の激突、次の邂逅で勝負を決める。一瞬のうちに相手を殺す覚悟と、自分が殺される覚悟を決めた。

(時間がないわね……)

つぐみにしてみれば足止めすれば最低目標は果たせる。稼ぎ終わればスタングレネードをいくつか転がして逃げればいい。
だが、ここでこの男は倒さなければならない。純一が理想を貫くためにも。
次の一撃で勝負を決めよう。どうせこの体は簡単には死なない……肉を切らせて骨を絶つ。

両者が地面を強く踏む。
おそらく、発射は同時だ。そしてどちらかが地に伏し、どちらかが敗北の苦渋を舐める。
カウントダウンは心中で。3――――2――――1――――!

655 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:23:32 ID:MTbYNzl7
 

656 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:23:34 ID:v3fOGZsC
 

657 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:23:42 ID:Z0zWW6lD
 

658 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:23:45 ID:WggCMRcy
 

659 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:24:21 ID:MTbYNzl7
 

660 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:24:34 ID:vM6PHG2q


「うぉぉぉ……」
「はぁああ……」
『そこまでだクラゲぇぇえええええ、そしてヘタレぇぇえええええええっ!!!!!』


キィン―――――鼓膜が破けるかと思った。
悠人が『え、俺がヘタレ?』とかそんな疑問を投げかける雰囲気ではない。拡声器を持った蟹沢がそこに立っていた。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「くそっ……間に合えっ!」
「騙されたわっ……あのパソコンに書かれていたランキングは当てにならないと思ったのに!」
「いいから走れや、クラゲ! そしてヘタレ!」

三人は説明もそこそこに疾走する。
もはや問答をしている時間なんてない。つぐみも、勘違いの責を謝る時間はないのを知っていた。
悠人も蟹沢という名前に警戒はあったが、話を聞いていても殺し合いに乗っているとは思えない。
良美という前例はあるものの、命をやり取りをしていたのを止められては信用せざるを得ないだろう。

だが、あまりにも遅すぎた。
誰の責任でもない。ただ踊らされていただけだ。誰が悪い、と責任逃れをする余裕なんてまったくない。
ただ、間に合わなかった。その現実だけが降りてくる。



     ◇     ◇     ◇     ◇

661 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:24:36 ID:ahPsjPwD


662 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:24:51 ID:MTbYNzl7
 

663 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:24:53 ID:v3fOGZsC
 

664 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:25:15 ID:WggCMRcy
 

665 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:25:24 ID:vM6PHG2q




気絶は一瞬だった。辛い現実はいつでも無慈悲にそこにあった。
私はどうなったんだろう、と考える。服はまだある、高嶺さんから貰った上着ですら、私はまだ羽織っている。
少し遠くには良美さん、銃を構えている。狙いは私じゃなくて、その先にいる誰か。

(朝倉っ……くん?)

怪我をしていた。顔は少し腫れているし、腕や脚から血を流している。
それでも、助けに来てくれたんだ。そう気づいたとき、私はとても嬉しかった。感涙しながら、温かい気持ちになれた。
彼を好きになれてよかった。心の底からそう思えた。この気持ちはこれほどまでに私に希望を与えてくれた。

だから、朝倉くんが絶体絶命に陥っているのが分かったとき、私は自問した。


このままでいいのか? ――――――いいはずがない。

また繰り返すのか? ――――――もう、繰り返すわけにはいかない。

何もできないのか? ――――――何もできないことと、何もしないことは違う。

頑張ると決めたんじゃないか? ――――――そもそも、その誓いは誰に向けたものだったのかを思い出せ。


666 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:25:43 ID:Z0zWW6lD
 

667 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:25:46 ID:MTbYNzl7
 

668 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:25:51 ID:ahPsjPwD


669 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:25:56 ID:WggCMRcy
 

670 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:25:56 ID:v3fOGZsC
 

671 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:26:44 ID:ahPsjPwD


672 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:26:55 ID:vM6PHG2q


「っ……っ」

頑張れ、と。頑張って、と。
それは今日、この時のためだったのかも知れない。
たくさん、私は生かされた。
赤坂さんが助けてくれた。高嶺さんが救ってくれた。


一度は悪魔に屈したけど、何度も悪夢を見続けてきたけど。
それでも譲れないものがあったはずだ。
ここで行動しなければ、私は再び大切な人を失ってしまう。また、間違えてしまう。


また、あの後悔を繰り返すぐらいなら―――――!
唯一の武器を構え、朝倉くんを庇うような位置に立ち、私は気合一閃、日頃は出さない咆哮をここに。


「あぁぁああぁあぁあああああっ!!!!!」


さあ、始めよう。
白河ことり、一世一代のがんばり物語を!


「良美さんっ……私は……貴女の全てを拒絶しますっ!!」




673 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:27:09 ID:v3fOGZsC
 

674 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:27:35 ID:ahPsjPwD


675 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:27:47 ID:vM6PHG2q


     ◇     ◇     ◇     ◇



「うそ……」

私は目の前の光景を理解することができなかった。
だって、あれほど脅してやった相手だよ?
だって、あんなに恐怖を植えつけてやった相手だよ?

意味がわからない。
あんなにも世の中に絶望していた女が……脅されて震え上がる弱い女が。
どうしてそんなに強く、凛々しい瞳で私を見ているの?


「うそだよ……」


踏み潰してやったんだよ?
まるで荒れ果てた大地に唯一、ひっそりと咲く向日葵の花。それがあの女だった。
この島の人間は向日葵が私と出会う前に、グシャグシャに踏み荒らしていた。それに便乗してめちゃくちゃにしてやったんだ。
どうしてこんな甘い人間が生きていられて、どうして対馬くんやエリーが殺されるのか。
それが許せなかった。ただ殺すだけじゃ満足できない。だから心を犯してやろうと思った。滅茶苦茶に陵辱してやった。

676 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:27:52 ID:MTbYNzl7
 

677 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:27:59 ID:Z0zWW6lD
 

678 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:28:19 ID:v3fOGZsC
 

679 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:28:24 ID:ahPsjPwD


680 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:28:35 ID:MTbYNzl7
 

681 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:28:45 ID:vM6PHG2q

なのに、これはなに?


どうしてあの女が私の前に立ち塞がっているのか、分からない。
そんな貧弱な武装でどうして? そもそも、もうどうでも良かったんじゃないの?
なんでそんなに希望に満ちた表情を見せられるの? なんでそんな目で私を見るの?


憎い。
憎い、憎い、憎い、憎い、憎い。
憎い憎い憎い憎い憎いにくいにくいにくいニクイニクイニクイニクイ―――――憎らしい!


私はこんなに頑張って、こんなに戦って、こんなに頭を使ってこの地獄を生きてきたというのに。
私はこんなに汚れてしまったのに。私は大切な人たちを失ってしまったのに。
どうして白河ことりは、そして前原圭一は!
この地獄の島の中で、そんなにもキレイなままなの!? そんなにも仲間を信じていられるの!?


「認めない」


大切な人を守るために戦う?
私だって……私だって最初はそうしたかった! 対馬くんとエリーのためなら何だって出来た!
でも、誰も信じられない。皆、心の底では何を考えているのか、分からない! 私の両親のように仮面を被った連中ばかりかも知れない!
ましてや、こんな極限状態の中なんだから、全員が殺し合いに乗っていてもおかしくない!

だから殺してやった。利用してやった。
どんな聖人君子の言葉でも、汚い部分をずっと見せ付けられてきた自分には偽善にしか聞こえない。
対馬くんとエリーさえいれば良かったんだから。三人で幸せになれればそれだけで良かったんだから!

682 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:28:57 ID:v3fOGZsC
 

683 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:29:28 ID:MTbYNzl7
 

684 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:29:35 ID:ahPsjPwD


685 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:29:58 ID:MTbYNzl7
 

686 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:30:11 ID:WggCMRcy
 

687 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:30:27 ID:vM6PHG2q


「認め……ない」


なのに、二人とも死んでしまった。
私は二人を護るために戦うことが出来なかった。機会すら……与えられなかった。
あの二人のためなら命だって投げ出せた。偽善や傲慢じゃない、本当にあの二人だけは私の世界のすべてだった。

甘い人間だけど優しくて、汚い自分を忘れさせてくれる初恋の人……対馬くんが好きだった。
傲慢不遜で私を困らせてばかりだけど、肝心なときはいつも味方で、私を一番に信頼してくれるエリーが好きだった。
その世界を理不尽に奪われた。私がどんなに最善を尽くしても、私は世界を護ろうとする行動すら許されなかったっ!


「絶対に……」


だから、憎い―――――その機会を与えられ、私を悪役に見立てたこの茶番が。
だから、恨めしい―――こんな弱い女に、その機会が許されたこと自体が。
だから、悔しい――――小指を失ってまで戦ってきた私より、護られて震え上がるだけの疫病神のほうが上だと言うのか、と。

だから、羨ましい。
この地獄の島で、向日葵のように輝ける白河ことりの存在が。真っ直ぐに正義を貫ける全ての存在が。


688 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:30:59 ID:v3fOGZsC
 

689 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:31:05 ID:MTbYNzl7


690 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:31:35 ID:vM6PHG2q


「私は貴女を認めてなんかやらないっ……絶対にっ!!!」


私は認めない、そんな奴らはことごとく否定し尽くしてやる。
まずは貴女だよ、白河ことり。ただ額をこのまま撃ち貫くなんて、優しい終わりを迎えさせてなんかやらない。
即死しない程度にボロボロにして、純一くんの前で恥を掻かせてやる。そのトラウマを全て開き、廃人同然に追い込んでやろう。
もしくは目の前で純一くんを殺してあげるのもいいね。終わったらデイパックの中の刀で首を切り取り、それを貴女に抱かせてあげよう。
どんな声で泣いてくれるのかな? どんな絶望を見せてくれるのかな?

さあ、テンションに身を任せてしまえ。
もはやただでは殺してあげない。最高の苦痛、最凶の恐怖、最悪の恥辱を心の底から味わいながら死ぬといい。


「あっ……あぁぁ……ぁぁぁぁぁあああああああああああああっ!!!!!!」



     ◇     ◇     ◇     ◇



―――――貴女の全てを拒絶しますっ!!
―――――貴女なんか認めてやらない、絶対にっ!!!



691 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:31:57 ID:v3fOGZsC
 

692 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:32:09 ID:MTbYNzl7


693 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:32:23 ID:vM6PHG2q

それは奇しくも対極の存在、等しく同じベクトルの元に放った言葉。
この世全ての善、護られてばかりだった臆病な天使は今初めて、何の恐れも抱かずに絶叫した。
この世全ての悪、騙してばかりだった狡猾な悪魔は今初めて、明確な憎しみを抱いて宣告した。

互いが歩んできた道を証明するために、鏡合わせの存在である互いを拒絶する。
自分とまったく違う存在だからこそ、それを認められない。故に両者は己の全てをかけて否定し尽くしてやる。

そこにはいくつもの対極がある。
願いを成就することを求める者と、願いを奪いつくすことを求める者。
勇気、希望を胸に戦う者と、絶望、嫉妬を基点として戦う者。まさに善と悪、まさに両極端。

「こと……り……」

観客は朝倉純一、ただ一人。
彼は二人を止めようと手を伸ばす……だが、その身体は思うように動いてはくれない。
否、動けないわけじゃない。ただ、動いてはいけないのだと本能が知っているだけだ。

ことりを止めようとすれば、その瞬間に良美は二人同時に撃ち殺すだろう。
良美を止めようとすれば、説得する時間も与えられずに殺される。それではことりがこうして立っている意味がなくなる。
また、護られるだけなのか?
幼馴染の死に顔を思い出す。また、あの時の焼き増しなのだと純一は痛いほどに分かっている。
止めなければならない。命を捨ててでも、この二人の激突だけは避けなければならない。それが、分かっているのに―――

694 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:32:26 ID:WggCMRcy
 

695 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:32:34 ID:ahPsjPwD


696 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:33:07 ID:v3fOGZsC
 

697 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:33:26 ID:vM6PHG2q


「ことり……っ……がんばれっ……!」


何故、こんな莫迦なことを言ったのだろう?
がんばれ、じゃなくて逃げろ、だろう。この期に及んで……さくらに庇われて生き永らえた自分の命を惜しむというのか?
本当にことりが大切なら、むしろ命を張るのは純一のはずなのに。どうして、そんな愚かで場違いな言葉を口にしたのだろう?


―――――その真意に気づけない者は、愚かなのだ。


これは聖戦、白河ことりの一世一代の大舞台。
それを彼の如き部外者が水を差していいものじゃない。少なくともこの場はそういう雰囲気だった。
どうせ二人とも、良美を倒さなければ逃げられない。そして純一が下手に動けば、きっと二人して一瞬で殺害される。
ことりが戦う、これが最善。
最高の作戦などないのだから、自分たちに出来ることをするしかない。

698 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:33:37 ID:MTbYNzl7
 

699 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:33:55 ID:ahPsjPwD


700 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:34:12 ID:MTbYNzl7
 

701 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:34:22 ID:vM6PHG2q

(朝倉くん……ありがとう)

そしてその応援こそが、ことりを元気付けてくれる。
この応援に支えられてここまで来た。今こそ、その意味をここに問う。今こそ、その真意をここに示す。
これより、このホテルでの最後の戦いが幕を挙げる。

二人の距離は、この長い廊下を20メートル。絶望的なまでの距離の中でも、光は失わない。
僅か20歩ほどの距離、短距離走で詰めるには、ほんの数秒の時間で十分だろう。

故に、決着は数秒。たったそれだけの時間を制した者が勝利する。
死合い開始の合図―――――それは、ことりが踏み出す最初の一歩から始まった。




     ◇     ◇     ◇     ◇





702 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:34:29 ID:v3fOGZsC
 

703 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:34:36 ID:WggCMRcy
 

704 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:34:39 ID:ahPsjPwD


705 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:34:49 ID:MTbYNzl7
 

706 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:35:10 ID:vM6PHG2q



ことりは前進する。
唯一の武装以外、全ての支給品を奪われた彼女にはそれしかない。
ただ愚直に、ただ一途に、ただ真っ直ぐに、そうやって距離を詰めることしか出来ない。

相手は銃。たった一度だけ指を引く、それだけで全てを終わらせる人殺しの道具。
そんな脅威を相手にしても、不思議と恐怖はなかった。そんな余分なことに意識は割けなかった。それほど、彼女は無心だった。


「地に這い蹲ってよっ……!!」


悪魔がそんな天使を嘲り笑う。なんて恐ろしい目をするんだろう、とことりは思った。
その瞳を真正面から睨み付ける。目に映るのは佐藤良美、ただ一人。それだけを真っ直ぐに凝視した。
逃げない、退かない、負けない、迷わない。もう絶対に間違えない。
そんな無様を自分自身が許さない。ことりは一切の迷いも恐れもなく前へと進む。


パァン!
――――――あと、16歩。


「あぐっ……痛っ……!」

銃弾がことりの左肩を撃ち抜いた。初めて銃に撃たれたという事実に眩暈がした。
焼けるような痛み、左腕が千切れてしまったかのような苦しみ。一瞬、白い光景が視界を埋め尽くす。
唇を噛んで意識を強引に戻す。まだ死んでいない、左手が使えないなら右手だけで倒してみせると意気込んだ。

707 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:35:34 ID:MTbYNzl7
 

708 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:36:09 ID:vM6PHG2q


パァン!
――――――あと、12歩。


「ああっ……あっ……あ……」

続いての銃声と共に、ことりは右足の太ももに激痛が走るのを感じた。
まるで焼きごてを押し付けられたかのような苦痛。
ぐらり、と倒れかけてしまう。脚を撃たれては前進できない、それは両者の共通認識。このままでは一方的な処刑だ。


(頑張るん……だからっ!)


一秒にも満たない刹那、瞳の裏に残る笑顔を思い出す。
皆が応援してくれる。仲間がたくさん支えてくれる。それを思い出すだけで痛みを感じる余裕もなくなった。

守られる側から守る側へ。
逃げる側から戦う側へ。それらは全て何のためなのかを思い出した。
痛い思いをしてでも、苦しい思いをしてでも……命を、己の全てをかけてでも護りたい人が自分の後ろにいるのだから。
どうして倒れることが出来る? どうして諦めることが出来るというのか。

709 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:36:18 ID:ahPsjPwD


710 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:36:32 ID:MTbYNzl7
 

711 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:36:38 ID:v3fOGZsC
 

712 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:36:50 ID:vM6PHG2q


(赤坂さんから、高嶺さんから貰った、この勇気で、命で……!)


ほら、まだ走れる。まだ戦うことが出来る。
もう二度と暴力なんかに屈するな。もう二度と諦めようと考えるな。もう絶対に妥協なんてしてやるな。
誰にでも幸せになれる権利がある、難しいのはその妥協……だったら、何もかも妥協なんてしてやらない。
白河ことりは頑張れる。皆に支えられて戦える。求めるものは幸せは居場所。


(私が、朝倉くんを守るんだからあっ!!)


残る距離はあと7歩。二秒に満たない時間でたどり着ける。
悲鳴を上げる身体に身体に鞭打ち、ラストスパートをかけた。一気に距離を詰めて勝負を決める腹積もり。
悪魔なんかに負けるものか、と。乾坤一擲、心中であげた決意の雄たけびに、ことりの全身が震えた。


あと3歩――――――さあ、カーテンコールの時間だ。


713 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:36:58 ID:ahPsjPwD


714 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:37:17 ID:MTbYNzl7
 

715 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:37:39 ID:ahPsjPwD


716 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:37:46 ID:Z0zWW6lD
 

717 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:37:52 ID:MTbYNzl7
 

718 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:38:05 ID:WggCMRcy
 

719 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:38:37 ID:ahPsjPwD


720 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:38:38 ID:MTbYNzl7
 

721 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:38:39 ID:vM6PHG2q
パァンッ!!


(…………?)

最初、その衝撃を理解できなかった。
だが、冷静なほうの頭でことりは気づく。所詮、それは無謀な試みだったのだということが。
映画のようには、ドラマのようにはいかないことを痛感させた。そんな、そんな虚しい進軍。


「あ……れ……っ……?」


現実はあまりにも無常だった。それは全ての理想を叩き潰す、無常な結末だった。
良美が放った銃弾は吸い込まれるかのように、ことりの腹を突き破っていた。
鮮血が腹と口から溢れる。でも、このまま好きな人の前で血を吐き出すなんてやりたくなくて、ことりは無理やり血の塊を飲み込んだ。
それだけが、ことりに残された最後の抵抗と言っても良かった。


「ことりぃぃいいいいいーーーーーーーーーっ!!!!!」
「朝倉……っ……く、ん……あ……あ……」


あと3歩。たった3歩だけだった。
目の前には愉快そうに、ことりの絶望を楽しんで嘲り笑う良美の笑顔。手を伸ばせば届きそうな距離。
でも、このままでは届かない。前のめりに、ゆっくりと静止した時間の中で倒れようとする少女。
カーテンコールは現実を受け入れられない少女を認め、彼女の前にだけ幕を下ろす。

722 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:38:48 ID:v3fOGZsC
 

723 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:39:13 ID:MTbYNzl7
 

724 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:39:29 ID:WggCMRcy
 

725 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:39:32 ID:vM6PHG2q


悪魔はそれを満足そうに鑑賞する―――――滅ぶのは、お前一人だけだ、と。



     ◇     ◇     ◇     ◇



(あーあ、本当に莫迦な子だったね)

一発目、ことりの痛がる顔が見たくて肩を撃った。
だけど、痛みに耐えながらも希望を見据えるような瞳を見て苛立った。そのまま近づいてくる少女が無様だった。

二発目、今度は近づいてくる脚を撃ち抜いてやった。
これであの女は走れない。もう自分に近づけない、そういう絶望を見たかった。きっと見られると思っていた。
だけど、その脚は激痛に耐えて加速した。あの気に入らない瞳がすぐ近くに迫っていた。

だから三発目、もういいや、と思った。
腹に目掛けて銃弾を放つ。ことりのお腹に穴が開いて、ごぽごぽとそこから絶え間なく赤い液体が噴出していた。
ようやく、ことりの瞳に絶望が灯る。
せめて前のめりに倒れようというのか、ゆっくりと私の足元に倒れようとしている。それはまるで甘美な喜劇。

(まだちょっとは生きてるかな? だったら純一くんを殺して冥土の土産に……)

私は笑っていた。ここまで呆気なく終わる命を哂っていた。
勝ったんだ、あの忌々しい女に。それが無常に嬉しかった。なんて興奮する瞬間なんだろう、と感動した。

726 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:39:33 ID:Z0zWW6lD
 

727 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:39:41 ID:v3fOGZsC
 

728 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:39:48 ID:ahPsjPwD


729 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:40:05 ID:MTbYNzl7
 

730 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:40:26 ID:vM6PHG2q



だから。
目の前の少女が踏みとどまって立ち上がった時、私は再び目の前の光景に驚愕した。



     ◇     ◇     ◇     ◇



最後の3歩はとても遠く感じた。
薄れていく意識、何度も木霊する弱音、生きるために必要なものがポタポタと毀れていく喪失感。
このまま倒れたら楽になれる。辛いことから目を背けられる。そんな甘言に身を任せてしまいたい。

だけど。
だけど、それは無理な話。
だってほら、まだ聞こえるよ? まだ私の耳に残ってる、まだ私の頭に木霊するよ?


    『頑張って』


731 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:40:34 ID:v3fOGZsC
 

732 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:40:44 ID:ahPsjPwD


733 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:40:46 ID:MTbYNzl7
 

734 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:41:19 ID:vM6PHG2q


声援が聞こえているのに、楽になりたいなんて思えない。
これは期待、これは願い、これは希望、これは力、これは意志、これは私の掛け替えのない力の源。

あと―――――2歩。

認めよう、私はとても弱かったんだ。
一人じゃ何もできない、弱い人間だったんだ。本来なら一日だって生きていられない脆弱な存在だったんだ。
そんな私だから、仲間を力を借りるの。
仲間の本当の意味を知らない貴女には、決して分からない素敵な力で。

(心の中で瞳を閉じて、誰かを想うの)

そうすればほら、聞こえてくるでしょう?
こんなにも素晴らしい応援が聞こえてくるでしょう?


      『頑張って』

私の中に残っている赤坂さんの笑顔、優しい微笑みを力に。

      『頑張れ』

私の心を救ってくれた高嶺さんの凛々しい顔、その強さを私に。

      『ことり、頑張れ!』

私の心にいつもあった恋心、朝倉くんへの想いを精一杯の頑張りに。

735 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:41:25 ID:ahPsjPwD


736 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:41:28 ID:v3fOGZsC
 

737 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:41:32 ID:MTbYNzl7
 

738 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:42:02 ID:MTbYNzl7
 

739 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:42:09 ID:WggCMRcy
 

740 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:42:11 ID:vM6PHG2q
あと―――――1歩。


武装が違う? ――――――私の手の中にあるのは裁きを象徴する魔法の武器、負けてなんていない。
経験が違う? ――――――元々はほとんど日常にいた人たち。一日で踏んだ場数にどれほどの意味があるものか。
覚悟が違う? ――――――以前ならともかく、今の私なら絶対に負けるはずがない。絶対に負けてなんてやらない!


この応援がある限り、私が貴女に負ける要素なんて何一つだってあるはずがない。
そうでしょう? 赤坂さん、高嶺さん、朝倉くん。私を今日まで生かしてくれた大切な人たち。
皆も遠い空の向こう側で見てるかな? 芳乃さん、音夢さん、杉並くん……皆はどんな想いを持っていたんだろう。


「っ……うぁ……っ……ぁぁぁぁあああああああああっ!!!!!」
「そんなっ……そんなわけがっ……!」


ともかく、今は目の前の相手に集中しなければ。
私は勝つ、絶対に。
人を哂い、人を騙し、人を傷つけ、人を脅し、人を殺し続けた悪魔なんかに負けられない。
これ以上の悲劇を起こさないためにも、私は貴女を倒してみせる。


これで0歩――――これで射程距離。長い行進の終わり。



741 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:42:25 ID:ahPsjPwD


742 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:42:34 ID:MTbYNzl7
 

743 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:42:50 ID:v3fOGZsC
 

744 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:43:13 ID:MTbYNzl7
 

745 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:43:23 ID:WggCMRcy
 

746 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:43:26 ID:vM6PHG2q


教えてあげるよ、貴女の敗因を。


殺すつもりなら肩を狙う必要はなかった。殺すつもりなら両足を撃たなければならなかった。
本当に殺すつもりで撃ったなら、狙うのはお腹なんかじゃなかった!
心臓を狙うべきだった、額を撃ち抜くべきだった。結局、私に余裕ばかりを見せていたから、こうなった!
結局、貴女は遊びすぎた。私に必要以上の絶望を味わわせようとしてしまった。それに固執して大局を見失った!


そうだ、もうひとつ敗因がある。
貴女のこの島での行動を見せてもらった。何度も惨劇を、悲劇を演出してきたことに震えが止まらなかった。
だけど、その中にこそ貴女を倒すヒントがあった。
この地獄の島での一日間、近代兵器に頼ってきた敵ばかりが相手だった。敵も味方も剣や銃での戦いばかり。


だけど、魔法を使う相手は誰もいなかった。
高嶺さんのように魔法を使える人間には誰にも出逢わなかった。魔法の支給品の存在を知らなかった。
だから私がこのホテルでいつも構えていたこの武装の価値を知らなかった。
私も知らない、だけど高嶺さんが無駄使いはするなというからには、それなりの力がある。あると信じている。


私は仲間を信じた。貴女は誰も信じなかった。それが究極の敗因。



747 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:43:30 ID:ahPsjPwD


748 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:43:53 ID:v3fOGZsC
 

749 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:43:54 ID:MTbYNzl7
 

750 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:44:40 ID:ahPsjPwD


751 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:44:44 ID:vM6PHG2q


岬、今日子のハリセン―――――驚愕する良美さんの身体に振り下ろす。
その刹那、眩いばかりの電撃と光……そして悪魔の悲鳴に視覚と聴覚がどうにかなりそうになるのを感じた。

バリバリバリバリバリバリバリッ!!!!!

「ぁぁぁああああああああああああああああっ!!!!」

一撃は確実に良美さんの体力を奪った……だけど、まだ足りない。これだけで倒せる相手じゃない。


もう、身体に力が入らない。
ハリセンを持つ腕が震える。もう放してしまえと呟いている。
身体を支える足が震える。もう倒れてしまえと囁いている。


だけど、これで本当に最後。
今まで応援してくれた声援に応えるように、私は私の手で幻視したカーテンを静かに下ろした。


バリバリバリバリバリバリバリッ!!!!!

 

     ◇     ◇     ◇     ◇



二度目の雷に良美の身体は打ち震えた。
今までのどんな一撃にも勝る衝撃が身体全体を打ち据える。それで良美は敗北を喫した。

752 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:45:20 ID:ahPsjPwD


753 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:45:29 ID:v3fOGZsC
 

754 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:45:49 ID:WggCMRcy
 

755 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:46:08 ID:vM6PHG2q
だが、悲しいかな。
このハリセンは威力は高い。だが、人を殺すことは決して出来ない。どんなに強い一撃でも人殺しだけは出来ない。

「……っ……っ……このっ!」

口すら数秒間はまともに利けない、それほどの重傷。
だが、その引き金を引いてことりを殺すことは出来た。痙攣する指で、ことりの心臓に今度こそ狙いをつける。
恨み言すら口に出来ないが、せめてこの女にトドメは刺す、その意気込みの中で。

ヒュン!

「ぎゃっ……!!?」

純一が放った釘打ち機の釘が、良美の掌を貫通した。
銃を取りこぼす。その隙に純一が接近し、良美を思いっきり蹴飛ばした。そうして倒れ伏すことりをしっかりと胸に抱く。
良美は憎しみのままに純一を睨み付ける。デイパックの中にはまだ武器がある、だがここで戦うにはあまりにも分が悪い。


「純一、無事!?」
「ことりっ……大丈夫かっ!?」
「おら、純一っ! 味方を連れてきてやったぜ、ボクに感謝しろよな!」

さらに、残りの仲間たちまでがやってくる。
このままでは逃げることすら出来ない。良美はデイパックと……そしてことりの持っていたハリセンを拾って逃走を開始する。
もちろん彼らにも、そのまま良美を逃がすつもりは毛頭ない。この落とし前はしっかりとつけてやらなければならないのだから。

(銃は……だめ、使えないっ……)

左手の小指を失い、引き金を引くには安定しない。
右手は純一に撃たれた釘が貫通している。痛みに耐えて引き抜くが、とても何かは握られない。
追撃者は悠人、つぐみ、蟹沢の三名。銃も使わずにこの場からの逃走を図ることは困難だ。

756 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:46:10 ID:ahPsjPwD


757 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:47:01 ID:MTbYNzl7
 

758 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:47:06 ID:v3fOGZsC
 

759 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:47:18 ID:vM6PHG2q


「良美、逃がさないぞっ!!」
「悠人くんっ……結局、貴方は間に合わなかった。私からことりちゃんを……救えなかったね!」

「よっぴーーーーーっ、待ちやがれぇぇえっ!!!」
「バイバイ、カニっち。今度こそお礼してあげるから!」

「待ちなさい、良美!」
「つぐみさん、せっかくだから教えてあげる! 武さんはね、殺し合いに乗ったよ! 女の子に焼き殺して心臓にナイフを突き立てた!」


良美がデイパックから取り出したのは、猫の人形とお酒、そして発火装置。
先鋒を切った悠人にハリセンを振るった。電撃が悠人を襲い、その隙に良美は即席の武器を作り上げる。

人形に酒を浴びせ、発火装置で点火し、それを一向に投げつける。
さながらそれは実在する火の玉に相違ない。狭い廊下に広がる炎、アルコール46度は炎の壁を作り上げた。

「その人形のように、武さんは女の子を殺した! これは紛れもない事実……さあ、どうするつぐみさん?」
「っ……武は……そんなこと、しないっ!!!」

走り去る背中に、つぐみはミニウージーを発砲する。
だが、どうにもならない。良美はそのまま階段へと降りていき、ホテルから逃げ出した。
こちらにはことりがいる。完全に追いつくことなんて出来はしない。悔しいが、この場は見逃すしかないだろう。

 

760 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:47:32 ID:MTbYNzl7
 

761 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:47:33 ID:ahPsjPwD


762 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:47:47 ID:v3fOGZsC
 

763 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:47:58 ID:WggCMRcy
 

764 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:48:31 ID:vM6PHG2q


     ◇     ◇     ◇     ◇




「はあっ……はあっ……」

くそ、くそくそくそ!
負けた、あんな甘い女に負けた!悔しい、ここまでやられるなんて!
なんて屈辱、どいつもこいつも思い通りに私の手の中で踊っていればいいのに。噛み付いてくる奴らばかりだ。

だけど、おかげで学習した。
この世には魔法が存在する。ことりちゃんから奪ったこのハリセン、私を電撃で痺れさせたこの忌々しい凶器。
高い授業料を払って手に入れたこれの威力は身をもって知った。悠人くんですら一撃で退けることができたのだから。

「ふふっ……このハリセンとそれに指輪、これさえあれば」

大石さんのデイパックに入っていた指輪には気づいていた。
綺麗な指輪だけど殺し合いには役に立たない。そう思って放っておいたけど、それは間違いだったみたいだね。
この緑色の指輪、宝石の中で渦巻く風、これは間違いなく魔術品。

祈先生の魔術を見せてもらったことがある。
魔法陣やら面倒くさい手順があったが、これはそんなものじゃない。便利な人殺しの道具。

それによく考えてみよう。思えば私は負けてなんかいない。
ことりちゃんは死んだ。あの傷では助からない。私は生きて、ことりちゃんは死んだ。それが全てだ。

765 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:48:40 ID:ahPsjPwD


766 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:48:59 ID:v3fOGZsC
 

767 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:49:21 ID:ahPsjPwD


768 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:49:28 ID:vM6PHG2q

「……ぐっ……痛っ……ひどいなぁ」

だけど、ダメージが大きい。疲労もここに来て限界に近づいてきている。
悠人くんの話では殺し合いを放棄した人たちは、病院を目指しているらしい。このコンディションで近づくのは自殺行為。
だから私は北上することにした。今は傷の手当てと休眠……休むことも戦いに必要なことなのだから。
小屋に到着する。やっと落ち着いて休める場所を見つけた。

それじゃあ、ほんの少しだけ―――――沈むように、眠りにつこう。

 

     ◇     ◇     ◇     ◇



「ことり……ことりっ……」

次に目を覚ましたとき、私は朝倉くんの腕の中にいた。
すごく幸せな気分だった。体中がすごく痛いけど、それすらも消え失せるかと思うぐらい。
私の覗き込むように橙色の髪の小柄な女の子、そして高嶺さんが悔しそうな顔をしていた。

「やめてくれよ……死なないでくれ。それじゃ、さくらのときと同じだ……っ……」

朝倉くんが泣いていた。高嶺さんも何かを堪えるかのような表情で謝り続けている。
泣かないでほしかった。笑顔でいてほしかった。

769 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:49:59 ID:v3fOGZsC
 

770 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:50:12 ID:WggCMRcy
 

771 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:50:14 ID:ahPsjPwD


772 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:50:17 ID:vM6PHG2q

「ことり……ごめん。守ってやれなくて、ごめんっ……!」
「朝倉くん……泣かないで。守ってくれた、助けてくれたよ?」

良美さんに捕まったとき、絶望に気絶してしまったとき。
私の目を覚ましてくれたのは、朝倉くんの怒号だった。朝倉くんが助けに来てくれたから、私はこうして頑張れた。
この地獄の島の中で私は願いを叶えられた。この惨劇の嵐の中、私は後悔せずに誓いを果たすことができた。

「ことり、すまない。俺は……ことりを救えなかった」
「違います、高嶺さんは救ってくれました……朝倉くんに逢いたい、助けてあげたいって心、思い出させてくれました……」
「だけど……」
「舞のこと、お願いします……私の友達、止めてあげてください……」

唯一の心残りは舞のこと、どうか目を覚ましてほしい。
高嶺さんは静かに頷く。これで思い残すことは何もない。そろそろ、意識が遠のいてきた。



773 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:50:52 ID:v3fOGZsC
 

774 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:51:03 ID:ahPsjPwD


775 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:51:27 ID:WggCMRcy
 

776 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:51:44 ID:ahPsjPwD


777 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:51:49 ID:vM6PHG2q
「あはっ……もう、何も見えなくなってきました……」
「ことりっ……!」
「最後に……ぎゅっとしてください……私の、最期のわがまま」


厚かましいのを覚悟でそんな言葉をつぶやくと、優しく私の体を包み込んでくれた。そんな感覚がまだ残ってた。
そして朝倉くんの心に入る。そこでは この瞬間、私のことを大切に思ってくれる朝倉くんの偽らざる気持ちが伝わってきた。
それとつぐみさん、それに蟹沢さん……あの小柄の人だよね。その人たちへの感謝。ちょっとだけ嫉妬してみたけど、それでもいいと思った。


今、この瞬間だけは……朝倉くんが私を愛してくれている。


それだけで、それだけで充分。
この島はすごく大変で辛いことばかりだったけど。
私の最期の居場所はこんなにも素敵――――――だから私、とても幸せでした。
 


     ◇     ◇     ◇     ◇



私は悲しみにくれる純一たちから距離を置き、夜空を見上げていた。
甘さは捨てたはずだった。だけど、まだ甘さを捨てるには足りなかったのかも知れない。
無条件に佐藤良美を信じた。それこそ、私がまだ甘さを捨て切れていない証拠だった。なんて無様なんだろう。

(武……嘘よね?)

良美の言葉も、主催者の言葉も信用するに値しない。
だけどここまでの偶然があるだろうか。主催者と良美、両者の言動が一致した。少女を焼き殺したのだと断定した。
二人が手を組んでいる、なんて考えられない。だから否が応でも、武への疑心が広がっていく。

778 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:52:25 ID:MTbYNzl7
 

779 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:52:33 ID:ahPsjPwD


780 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:52:39 ID:vM6PHG2q

(お願い……嘘だって言ってよ……逢いたいよ、武……)

すでに一日が経過した。私たちはまだ再会していない。武の確かな情報すらない。
そっと、手の中にあるものを包む。良美が退却のときに落としていった小道具……それは、愛する夫の私物。
PDA……どうしてそれを良美が持っていたのか。支給品なのか、それとも本人に逢っていたからだろうか。

もしも武が殺し合いに乗っていたらどうする?
万が一、武が殺し合いに乗っていたら……その時は、私はどんな行動をとるだろう?
武のために純一たちを殺す? そもそも私は武がいればそれでいい、純一への甘さも武が原点なのだ。

もしも、武が放送で呼ばれたら?
私はきっと昔に戻るかも知れない。武を殺したライプリヒ製薬の上層部を残らず抹殺する、あの修羅に。
そうだ、今殺してもそれは変わらない。もしも死んだら優勝でも、主催者打倒でもいい。とにかく、主催者を皆殺しに―――



781 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:52:55 ID:v3fOGZsC
 

782 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:53:24 ID:vM6PHG2q

「ふっ……あはは。無理、無理よね。それを、教えてくれた……」


お腹の中に宿った、武との繋がり。あのクヴァレでの一夜の夢、全てを受け入れて求めてくれた武。
あのときの感動は忘れられない。武との子供がここにいるよ、って……海を眺めながら感涙した、あの日は忘れない。
教えてくれた、武と愛しい子供たちが。
復讐なんて無意味。生きているかぎり生きていいんだ。大丈夫、きっと大丈夫だから。


俺は、死なない―――――その言葉だけを17年間、信じてきたのだ。


いまさら、武を信じるのに何の躊躇いがあるだろうか。
あの苦痛の17年間に比べれば、この島での一日なんて塵にも等しい。それぐらいで私と武の絆は壊れない。
もしも武が殺し合いに乗っていたなら、私が救う。17年前の借りを返して、そして一発殴ってやるだけだ。

「つぐみ、待たせた……ことりの埋葬、終わったよ」
「そう……大丈夫?」
「ああ……ことり、向日葵の花みたいに笑ってたから。俺たちがやるのは悲しむことじゃない……そうだよな?」
「これからことりの遺品、形見分けをしようと思うんだ。皆、異存はないな?」

異論はない。幸い、良美は逃げるのに必死でことりから奪ったデイパックは落としていた。
いくつかは自分のデイパックに移しているようだが、それでも戦力は整えておいたほうがいい。

783 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:53:59 ID:WggCMRcy
 

784 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:54:14 ID:MTbYNzl7
 

785 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:54:27 ID:vM6PHG2q
さあ、悲しみを乗り越えて。
私たちは再び、主催者へと挑戦し続ける。だけどその前に、頑張った女の子の冥福を祈ろう。

どうか、安らかに。

夜空に星は見えないが、それでも純一の背中を押してくれる存在がいるような気がした。


――――頑張ってね。



【白河ことり@D.C.P.S. 死亡】


【D-5 ホテル/2日目 深夜】

【高嶺悠人@永遠のアセリア −この大地の果てで−】
【装備:トウカの刀@うたわれるもの、ベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15+1)】
【所持品1:支給品一式×3、バニラアイス@Kanon(残り6/10)、予備マガジン×3、暗視ゴーグル、FN−P90の予備弾、電話帳】
【所持品2:カルラの剣@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、竹刀、懐中電灯、単二乾電池(×2本)バナナ(台湾産)(1房)、発火装置】
【状態:疲労中程度、手足に軽い火傷(行動に支障なし)、左太腿に軽度の負傷(処置済み・歩行には支障なし)、「時詠」に対する恐怖】
【思考・行動】
基本方針1:仲間を守る
基本方針2:なんとしてもファンタズマゴリアに帰還する
0:純一たちと共に時間までに東へ移動し、病院に向かい千影と合流する。
1:ことりの冥福を祈る
2:舞(容姿のみ)を警戒
3:衛、千影を含む出来る限り多くの人を保護
4:ゲームに乗った人間と遭遇したときは、衛や弱い立場の人間を守るためにも全力で戦う。割り切って容赦しない
5:地下にタカノ達主催者の本拠地があるのではないかと推測。しかし、そうだとしても首輪をどうにかしないと……

786 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:54:54 ID:v3fOGZsC
 

787 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:55:06 ID:WggCMRcy
 

788 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:55:22 ID:vM6PHG2q


【備考】
※バニラアイスは小型の冷凍庫に入っています。
※衛と本音をぶつけあったことで絆が強くなり、心のわだかまりが解けました。
※アセリアに『時詠』の事を話していません。
※千影が意図的に西へと移動したことに気付いていません。方向音痴だったと判断。
※前原圭一を一応、警戒していますが信じるに足らないと思っています



【小町つぐみ@Ever17 -the out of infinity-】
【装備:鉈@ひぐらしのなく頃に祭、スタングレネード×6、ミニウージー(6/25)】
【所持品:支給品一式x3、ベレッタ M93R(18/21)、天使の人形@Kanon、バール、工具一式、暗号文が書いてあるメモ、
      バナナ(台湾産)(3房)、倉成武のPDA@Ever17-the out of infinity-、倉田佐祐理の死体の写真】
【状態:健康、肉体的疲労小】
【思考・行動】
基本:武と合流して元の世界に戻る方法を見つける。 ゲームを終わらせる。
1:ホテルで北川を待つつもりだが、悠人を引き込もうと思ってる
2:武を探す、武を信じる
3:ゲームに進んで乗らないが、自分達と武を襲う者は容赦しない
4:圭一を探す(見つければ梨花達の事を教える)
5:四姉妹の話が真実か確かめる



【備考】
赤外線視力のためある程度夜目が効きます。紫外線に弱いため日中はさらに身体能力が低下。
参加時期はEver17グランドフィナーレ後。



789 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:55:32 ID:v3fOGZsC
 

790 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:56:11 ID:vM6PHG2q
※純一 とは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※音夢とネリネの知り合いに関する情報を知っています。
※北川、梨花をある程度信用しました。
※投票サイトの順位は信憑性に欠けると判断しました。
※きぬを完全に信用しました。
※鷹野の発言は所々に真実はあっても大半は嘘だと思っています。
※倉田佐祐理の死体の写真は額の銃痕が髪の毛で隠れた綺麗な姿。撮影時間(一日目夕方)も一緒に写っています。



【蟹沢きぬ@つよきす-Mighty Heart-】
【装備:拡声器】
【所持品:竜鳴館の血濡れのセーラー服@つよきす-Mighty Heart-、地図、時計、コンパス
     支給品一式x3、投げナイフ一本、ハクオロの鉄扇@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、
     麻酔薬入り注射器×2 H173入り注射器×2、食料品沢山(刺激物多し)懐中電灯、単二乾電池(×4本)】
【状態:強い決意、両肘と両膝に擦り傷、左手指先に切り傷、数箇所ほど蜂に刺された形跡、首に麻酔の跡、疲労小】
【思考・行動】
基本:ゲームに乗らない人間を助ける。ただし乗っている相手はぶっ潰す。
0:ことりの冥福を祈る
1:純一たちについていく
2:圭一、武を探す
3:病院に行った後、宮小路瑞穂達を探す。
4:ゲームをぶっ潰す。
5:よっぴーへの怒り
6:純一への不思議な感情



【備考】
※仲間の死を乗り越えました

791 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:56:17 ID:v3fOGZsC
 

792 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:56:33 ID:ahPsjPwD


793 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:56:54 ID:vM6PHG2q
※アセリアに対する警戒は小さくなっています
※宣戦布告は「佐藤」ではなく「よっぴー」と叫びました。
※つぐみを完全に信用しました。つぐみを椰子(ロワ不参加)に似てると思ってます。
※鷹野の発言は所々に真実はあっても大半は嘘だと思っています。
※純一と絆が深まりました。純一への不思議な感情を持ち始めました。




【朝倉純一@D.C.P.S.】
【装備:釘撃ち機(16/20)、大型レンチ】
【所持品:支給品一式x4 エルルゥの傷薬@うたわれるもの オオアリクイのヌイグルミ@Kanon クロスボウ(ボルト残26/30)
      ヘルメット、ツルハシ、果物ナイフ、昆虫図鑑、スペツナズナイフの柄虹色の羽根@つよきす-Mighty Heart-】
【状態:精神疲労・強い決意・血が服についている、顔がボコボコ、口の中から出血、頬に青痣、左腕と右足太ももに銃創(治療済み)】
【思考・行動】
基本行動方針:人を殺さない 、殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出
0:ことりの冥福を祈る。
1:北川をホテルで待つ
2:つぐみと蟹沢で武を探す
3:つぐみと蟹沢を守り通す
4:圭一を探す
5:さくらとことりをちゃんと埋葬したい
6:理想を貫き通す



純一の参加時期は、音夢シナリオの初キス直後の時期に設定。
※つぐみとは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※北川、梨花、風子をかなり信用しました。 悠人もそれなりに。

794 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:57:11 ID:v3fOGZsC
 

795 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:57:50 ID:vM6PHG2q
※蟹沢と絆が深まりました。
※自分自身をヘタレかと疑ってます。



【備考】
※佐藤良美をマーダーとして警戒しています。 鳥も参加してる事も知りました。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※つぐみ達の車にキーは刺さっていません。燃料は軽油で、現在は約三分の二程消費した状態です。
※山頂に首輪・脱出に関する重要な建物が存在する事を確認。参加者に暗示がかけられている事は半信半疑。
※山頂へは行くとしてももう少し戦力が整ってから向かうつもり。



【E-5 小屋/2日目 黎明】

【佐藤良美@つよきす -Mighty Heart-】
【装備:今日子のハリセン@永遠のアセリア(残り使用回数0回)、フムカミの指輪@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、破邪の巫女さんセット(巫女服のみ)】
【所持品:支給品一式×3、S&W M627PCカスタム(0/8)、S&W M36(5/5)、錐、食料・水x4、タロットカード@Sister Princess、
      大石のデイパック、地獄蝶々@つよきす、S&W M627PCカスタムの予備弾20、.357マグナム弾(40発)、肉まん×5@Kanon、オペラグラス、医療品一式】
【状態:左肩に銃創と穴、重度の疑心暗鬼、巫女服の肩の辺りに赤い染み、左手小指損失、全身に疲労、右手に穴】
【思考・行動】
基本方針:あらゆる手段を用いて、優勝する。
1:今は少しでも多く疲れを取る

796 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 02:58:01 ID:v3fOGZsC
 

797 :地獄の島、向日葵の少女 ◆TFNAWZdzjA :2007/10/05(金) 02:59:17 ID:vM6PHG2q
2:病院には今は向かわない。北上する予定
3:魔法、魔術品を他にも手に入れておきたい
4:あらゆるもの、人を利用して優勝を目指す
5:いつか圭一とその仲間を自分の手で殺してやりたい


【備考】
※ハクオロを危険人物と認識。(詳細は聞いていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ)
※大空寺あゆ、ことみのいずれも信用していません。
※大石の支給品は鍵とフムカミの指輪です。 現在鍵はは倉成武が所有
※商店街で医療品とその他色々なものを入手しました。 具体的に何を手に入れたかは後続書き手任せ。ただし武器は無い)
※襲撃者(舞)の外見的特長を知りました。


798 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 03:00:35 ID:v3fOGZsC
 

799 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:28:01 ID:KhzAVLhQ
<<とある機密文書>>
一般的に"少女"と呼ばれる存在は、小学生から高校生程度の齢の女子を指す。
また文脈によってはこの定義がより広範囲に用いられる場合もある。
だが基本的には若く瑞々しい肉体を持った女子に対して用いられる言葉と考えてもいいだろう。

月が沈み、太陽が昇り、そしてまた沈んで。二度目の月と顔を合わせるのにも飽きて来る時間帯。
そう、一日が経過した。殺人遊戯に興じるいたいけな少女達。
今宵も島の北と南、博物館と病院という"知"と"命"を代表する場所で血みどろの殺し合いが幕を開ける。

今回舞台に上がったのは【千影】【智代】【舞】【衛】【ことみ】【名雪】の六人の少女。
彼女達は三つの世界、いや街から連れて来られた参加者。
だがそれぞれの舞台に知り合いはおらず、リングを境に表裏一体を成す土星のような構図を取る。

さぁさぁ、お立会い。
御代はいらない。今夜も月が綺麗だ、ライトアップの設備は必要無いだろう。
そして、共に見届けよう。その結末を。
何千何万もの電気信号が私達に見せてくれるその瞬間を。
彼女達の戦いを。


○月×日 第一研究室にて ゲーム開始から二十四時間が経過
担当「:「&@;」。# 」





800 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:28:32 ID:v3fOGZsC
 

801 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:28:42 ID:KhzAVLhQ
(表の文章から隠れるように炙り出しで)

 "彼"も動き出した事だし、私もそろそろ腰を上げる時が来たのかもしれない。
 でも彼は鷹野三四に拘束され、酷い拷問を受けている。まだ生きてはいるようだけど。
 何とかしたいとは思うけれどもう少し時間が欲しい。さすがにあまり目立った動きは取れない。

 ああ、そうだ。こんな場所ですまないんだけど一つだけ言わせて。
 ……うん、そもそも私にソレを言う権利は無いかもしれないけど。

 ――あの子達が生き残る事を祈ってる。
 これだけは確か。紛れも無い真実。

 by R



 ■


<<ASPECT@――千影>>


腕に付けた時計を確認する。丁度、長針と短針、そして秒針が綺麗に重なった。
これでゲーム開始から丸々一日が経過した、という事になる。
館内放送用のスピーカーにノイズが走る。
相変わらず慣れない時間だ。四回目だと言うのに毎度毎度心臓が破裂しそうになるのは変わらない。

――参加者の皆さん、元気にしてたかい?

……鷹野じゃ、無い?
私はもう一度自分の時計を、加えて備え付けの大きな時計に眼をやった。

802 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:28:58 ID:UOu4xVOl


803 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:29:12 ID:KhzAVLhQ

"12"

間違いない。そして……因果な数だ、ただそう思った。

一度も聞いた事が無いのにはっきりに"悪"だと分かる、彼はそんな独特な声をしていた。
虚ろげな霞、遙かなる群雲、紺碧の空、絶え間なき月光。
博物館のホールの窓から外を眺める。
空気は凛とした静寂に包まれていた。唯一それを揺るがす侵略者の存在を除いて。

私は祈った。
衛くんの名前が呼ばれないように、いっそ誰一人の名前さえ呼ばれないように、と。
だけどソレは適わぬ夢。なぜなら今回の放送で呼ばれるべき人間二人、彼らにトドメを差したのは……自分なのだから。



 ■


放送で"ある名前"を聞いた瞬間、私はネリネくんが持っていたデイパックの中身を大急ぎで確認し始めた。

往人くんの死亡――それは聖上を中心としたネットワークに生まれた一筋の亀裂と言える。
いや、逆に一人だけで済んで良かった、と喜ぶべきなのだろうか。
瑛理子くんも言っていた。

『優秀な人間が殺されてしまう前にある程度の流れを作っておきたい』

チームを分散した時点である程度は予想出来た結末。
だけど、命を落としたのが往人くんだという事はつまり襲われたのは瑛理子くんのグループなのだろう。
まさかアセリアくんと瑞穂くんが下手人……なんて事は無いだろうね。
……縁起でもない、私はそんな考えを一笑に切って捨てた。


804 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:29:23 ID:v3fOGZsC
 

805 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:29:43 ID:KhzAVLhQ

とにかく他のメンバーと早期な合流が求められる事態だ。
なぜなら悠人くんが生きているらしいのだから。あの炎の海の中からどうやって生還したのかは分からない。
ただ彼は生きている。その一点が重要なのだ。


何度も戦闘の被害にあったのだろう。
博物館の荘厳な装飾具や内装はボロボロに崩れ落ち、そこら中に戦いの爪跡が残っている。
おそらく未だこの辺りにはゲームに乗った人間が多数いるような気がする。
瑛理子くんが言っていた禁止エリアによる参加者の誘導――確かにこの博物館を見てしまうと確定的なように思える。

まずデイパックを開いてみて思ったのがその荷物の多量さ。
私から奪い取った弾丸類に様々な武器、そして食料品。PDAは無くなっていた。
彼女がこのゲームにおける確実な強者であった事の裏付けだ。……でもそんな事は所詮序章に過ぎなかったのだ。

「な……ッ!?」

一つだけ妙なデイパックがあった。
やけに厳重に口の部分が占められ、そして大量の血液が付着しているデイパック。
その中には――

「生……首――ッ!? ッ!!」

思わず目を逸らしてしまった。私はこれでも生物の死体には慣れている方だ。
家にいる頃に似たような事はやっていたし(もちろん"人間"では無いが)、実際に解剖なども経験がある。


だけど……酷すぎるな……これは。
思わず口元に掌が行く、嘔吐こそしなかったものの、気分は最悪だ。
酷過ぎる、何が問題かといえばその死体の弄り方、状態について。

806 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:29:59 ID:v3fOGZsC
 

807 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:30:14 ID:KhzAVLhQ

目玉はスプーンを使ったみたいに綺麗にくり抜かれ、他の部分も損傷が激しい。
首の切り口は化膿が激しく、酷く変色していた。
元々は綺麗な栗色だったのであろう髪も所々抜け落ち、地肌が露出している部分さえあった。
顔の状態は……コメント出来ないな、正直。本来は素晴らしい美少女だったと思うのだが。

しかも手が込んでいるのは"顔の原型が無くなる一歩直前"だという事。
知り合いならば判別が付くギリギリのラインまでの変形。
視覚効果はファーストインプレッションが重視される。
つまり一目見た瞬間、自らの記憶とその対象物が繋がるかどうかが印象に大きな影響を与える訳だ。
その原則は限界まで守っている、つまり見た人間にとって最もショッキングな状態なのだ。

そして最後にその保存方法――ビニール袋と酒、だ。
しかも標本などに用いるホルマリンやアルコールではない。
この臭いはおそらくラム……だろうか。腐敗を防ぐ目的としては非常に効果的である。
だけど、一体どうしてネリネくんはここまでする必要があったのだろう。
何か強烈な恨みでも無ければこんな残酷な真似は出来ない。
おそらく理由があった筈なのだが……。

そこまで考えた私はそのビニール袋を再度デイパックの中に戻した。
本来なら外の二人の死体以上に丁寧に埋葬するべきなのだろうが、状況が状況だ。それに他の人間の意見も聞いてみたい。


さてと、次は……"電話"だ。
聖上達から島内には電話線が通っているという情報を得ている。
私があの時のメンバーの中では最も病院から遠い場所にいることは確実。
だが、逆に順調なペースで移動出来たチームならば今頃到着していてもおかしくない。


808 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:30:17 ID:UOu4xVOl


809 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:30:45 ID:v3fOGZsC
 

810 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:30:56 ID:KhzAVLhQ
幸いな事に博物館には外部と連絡を取る設備が意外としっかり揃っていた。
入り口から入ってすぐの受付の奥の方に電話機と電話帳があった。
間違えないように慎重に番号をダイヤル。
受話器を持ち、発信音が独特のアレに変わる瞬間を待つ。
…………変わった。
どうやらしっかりと通じたらしい。誰かが病院に到達している事を祈った。


ルルルルルルルルル、ずっと同じテンポ。
揺らぐ時を待つ。


『――はいっ、こちら病院です。どちら様ですか?』


繋がった!
しかも……この声は、この声は私の大切な、島に残った"最後"の姉妹の声だ。
私の胸の中は嬉しさと安堵感に満ち溢れた。
良かった。本当に……良かった。

「良かった……衛くんかい!? 私だ、千影だよ」



 ■


『今は……博物館? それで坂上智代って人がゲームに乗ってるの?』
「……ああ、彼女は危険だ。しかも強力な武器を持っている。十分に……気をつける必要がある」

いち早く目的地に到達した衛くんに後々有利になるであろう情報を伝える。
距離的な問題ですぐに危険が及ぶ訳ではないと思うが、用心するに越した事はないからだ。

811 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:31:03 ID:UOu4xVOl


812 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:31:27 ID:KhzAVLhQ


「あれ……ねぇ、千影ちゃん。悠人さんは?」
『うん、皆と別れた後すぐにネリネくんに襲われてね。その時……その、離れてしまったんだ』
「え……じゃあ、何で今博物館に?」
『まぁ……何と言うか、実はネリネくんに捕まって連れて来られたんだ、私は』

まさか放送を聞くまで死んだと思っていた、なんていう訳にも行かず私は言葉を濁した。
そして【ネリネ】という名前を出した事の意味も分かっている。
なぜならそれは今回の放送で"死者"として名前が挙がった人物。
襲われた私が生きていて、襲った筈の彼女が死んでいる。それはつまり――

「……それより衛くんこそ聖上と一緒じゃないのかい?」
『……うん。ハクオロさんは学校で倉成武って人に襲われて……。
 ボクと今一緒にいる一ノ瀬ことみって人を逃がすために一度別れたんだ』
「倉成武か……彼もゲームに乗っている……と言うことなのかな。ああ、病院にいるのは二人だけかい?
 出来ればそのことみくんに変わって貰えると嬉しいのだが」
『ううん、今は……見回りに行ってる。あ、そうだちょっと待ってね。子機に切り替えるから』


そう言うと受話器から小気味よいクラシック音楽が聞こえて来た。
おそらく衛くんが保留ボタンを押したのだろう。

一度、そのことみくんという人には挨拶をしておきたい。
私もこの島を相当歩き回ったがそれは初めて聞く名前だった。

『ゴメン、千影ちゃん。それでね、ハクオロさんが……』
『――ぃつけたぁ』


――ッ!?


813 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:31:35 ID:v3fOGZsC
 

814 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:32:04 ID:KhzAVLhQ
突然、受話器から聞こえて来たのは……衛くんではない誰かの声だった。
女である事は分かる。
いや……そもそもこの声に私は聞き覚えがあるような……。

「衛くん!? どうしたんだい衛くん!!」

私は焦った。返事は……無い。そもそも衛くんに聞こえているのかすら怪しい。
……どういう事だ?
現れた女性と話でもしているのだろうか。

私がそんな事を思った、次の瞬間――


『あはははははははははははははッ!!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
『あぐっアアアアアアアア!!!』


私の耳に飛び込んで来たのは、この世の物とは思えない笑い声。
まるで悪魔か狂人か。まともな人間ではない事だけは確か。
そして、衛くんの叫び声。

「衛くん、衛くん!!! 返事をしてくれ!!」

何かが壊れる音がした。加えて鈍い音。
血液が沸騰しそうだった。
壊れる。揺れる。シャンデリア、ガラス細工が一気に打ち壊されたような音。
人が倒れる音。

他には電話越しに聞こえてくるのは女の笑い声だけ。
どうすればいい、どうすれば――
どうして私は受話器を握り締めて衛くんに呼び掛ける事ぐらいしか出来ないんだ。
何も、出来ない。

815 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:32:19 ID:UOu4xVOl


816 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:32:30 ID:v3fOGZsC
 

817 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:32:36 ID:KhzAVLhQ




どれくらい経っただろう。
私にはまるで一時間にも数時間にも感じられた。
受話器が未だ繋がっている点、これだけが最後の望み。
もっとも一番可能性として高いのは衛くんが電源を切らずに、コレを放り出してしまった可能性なのだが。

だけど私には名前を呼ぶ事しか出来なかった。
"衛くん"この五文字を呟く。ただ、ひたすら。
喉は痛く、ガラガラする。唾液もほとんど分泌されない。


『――ち……かげちゃん?』
「衛くん!? どうしたんだい、衛くんっ!?」


聞こえた。衛くんの声だ。
弱々しくて、喘ぎ声も混じっているけど生きた衛くんの声だ。

『うん、ちょっと……ッ襲われ、ちゃって……ね。青い、髪をした女の人に……』
「どこか、怪我をしているのかい? 青い……髪……ッ!? 待って、衛くん……その女の人は"制服と鎧"どちらかを着ていたかい……?」

冷静になるんだ、私。この状況を打破するための方法とは?
そして襲撃者の情報も重要だ。髪の毛が青い人間なんてほとんど存在しない。
私が出会った中でその髪色を持っていた人間はたったの二人。
そして――その二人はまだ生きている。
この予感が当たっているとしたら……。

『制……服だよ。赤い生地が基調で白い傘みたいなのが付いてる……』

818 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:33:09 ID:KhzAVLhQ

私は思わず頭を抱えた。
ハッキリした。着ている服も一致する。だが何故彼女が……?
どう考えても戦意は全くのゼロだった。列車の中で眠りこけていたくらいだ。
遭遇した参加者の中でもトップクラスにゲームに向いていない筈の人間、だった筈。

「……そうかい。よく聞くんだ衛くん。今おそらく君の近くにいるのは水瀬名雪、という女性だ。
 私がこのゲームで一番最初に出会った参加者。……ゲームに乗るようには全く見えなかったんだが」
『水瀬……名雪』

衛くんが襲撃者の名前を呟いた。
だがこのとき既に私の脳は次の事を考えていた。つまり、この状況からの脱出方法を。
おそらく今衛くんは何処かに立て篭もっているのだろう。
音に気付いて同行している筈のことみくんが来てくれるのを待つべきか。
いや、まず衛くんの身体の状態は……。



『……ねぇ、千影……ちゃん。あの台詞、聞かせて欲しいな』
『あの……台詞?』

……何を言っているんだ衛くんは?

「そう、ほら……千影ちゃんがあにぃと別れる時とかに……良く言ってたアレだよ……」
『……ああ。いや、衛くんそんな事は関係ないんだ。早くそこからッ――!!』

思わず語気が荒くなるのを抑え込むのに必死だった。でも無理だった。
なぜなら衛くんが何を言いたいのか分かってしまったから。
その台詞。
この状況においては冗談では済まされない言葉の意味を。



819 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:33:19 ID:v3fOGZsC
 

820 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:33:47 ID:KhzAVLhQ
「ううん、駄目……だよ。分かってるもん……ボクが……ボクが一番、自分……の事は」
『衛……くん?』
「だから、お願い、千影ちゃん。ボクたちの絆が続くように。またいつか笑って過ごせる……ように。ね?
 ゴホッ!! ゴホッ!! ゴホッ!! ……千影、ちゃん」


悲壮な、決意。全部分かる。伝わって来る。
悲しみ、恐れ、つよがり、そして――勇気。

涙がこぼれた。衛くんの言葉には何一つ淀みなんて無いのに。
年上である筈の自分の手が震えている。頭が痛い。喉が痺れる。
背負ってなんてあげられない。眺める事しか出来ない……なのに。


「分かった……よ。衛…………くん」


……衛くん、君は本当に強い子だね。


「…………また、来……世」
『じゃあねっ!! 千影ちゃん!!』


電話が、切れた。
違う、切ったんだ。衛くんが自分の手で。

「衛、くん」

もっと涙が溢れて来た。ついに私は一人になってしまったから。
思わず叫んだ。何も考えずに。ただ、ひたすら。


821 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:33:49 ID:UOu4xVOl


822 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:34:06 ID:v3fOGZsC
 

823 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:34:24 ID:UOu4xVOl


824 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:34:33 ID:KhzAVLhQ
 ■


<<ASPECTA――智代>>


「ああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」


声にならない絶叫。扉の向こう、その主は――千影。
……一体何が起こったんだ?
私は突然の事態に驚きを隠せなかった。



入れ違いだったのだ。
私がトウカやネリネの周りに散乱していた道具を回収し終え、戦場を離れようとした時、彼女が現れた。

もちろん、すぐさま姿を隠したさ。
いかに出会った状況が若干変わった所でパワーバランスは早々変わらない。
狙うならば余程油断した所でなければ……そう思ったからだ。

博物館に入っていく後姿を見届け、ある程度距離を取って私も接近する――その瞬間、放送が始まった。


 ■


この眼で見届けたとはいえ【春原陽平】の名前が上がった瞬間は胸が苦しくなった。
アイツの死は報われなかった。
臆病な自分を奮い立たせ、その運命と向かい合おうと思った瞬間の死。
それはどんなに悔しい結末だっただろう。無力、非力、挫折……その光景は道端の花が踏み潰される姿に似ていた。

825 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:34:45 ID:v3fOGZsC
 

826 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:35:03 ID:UOu4xVOl


827 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:35:11 ID:KhzAVLhQ

【トウカ】【ネリネ】、この二人の死に何も思う事は無い。
おそらく情報からすればネリネという女は明らかにゲームに乗った殺人鬼だったのだろう。
だが私にとってトウカ、あの愚直者の方が強い怒り、憎しみの対象だ。

【義】が一体何だと言うのだ、それはそこまで自らを突き動かす衝動に成り得るものだと言うのか。
そんなものに人を縛る権利があるのか。
人の命を奪うだけの力があるのか。
弱者を駆逐出来るほど偉いのか。


分からない、分からない、分から……ない?
馬鹿な事を……そんなのNOに決まっている。

もしもそうだとしても私が全力で否定してやる。
この島の全ての人間がハクオロに騙され、偽りの義を貫くとしても、だ。
私は復讐する。
私は全ての人間を――殺し尽くす。



 ■


それからしばらくは静寂との戦いだった。
館内からは荷物を整理する音が響く。大方手に入れた支給品の整理でもしているのだろう。

――踏み込むか?

……いや、まだ早い。焦っては事を仕損じる。
待機だ。じっくりと勝負の時を待て。


828 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:35:43 ID:KhzAVLhQ
…………。


……。




数分後、中から突然話し声が漏れた。
中に誰かいたのか? そんな疑念に捕らわれるがよく耳を凝らしてみるとそうでは無い。
電話、だ。
この語りかけるような口調、明らかに目の前に人間がいる時のソレとは違っている。

私は納得した。
なるほど、そんな手段もあるのか。
電話は遠方の仲間とコンタクトを取るための手段としてはうってつけだ。
特に"目的地"、及び"本拠地"が決まっている場合は。
千影の会話内容からそのどちらかの情報が聞けるかもしれない。
私は彼女の言葉を聞き取ろうと意識を集中させた。

『………ま………病……』

――駄目だ、ハッキリとは聞き取れない。
待て……病……院か?
まぁ、確かに人が集まる場所としては適しているかもしれない。様々な設備もあるし、傷を負った人間が逃げ込むには絶好の場所。
そして――


そんな事を思っていた矢先、あの凄まじい叫び声が辺り一面に木霊したのだ。
扉の向こうから聞こえる声は数時間前に目の前に立ち塞がった少女と同一人物とはとても思えなかった。
泣きじゃくるその声は殺し合いに脅えるただの少女にしか聞こえなかった。

829 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:35:45 ID:v3fOGZsC
 

830 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:35:48 ID:UOu4xVOl


831 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:36:34 ID:UOu4xVOl


832 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:36:56 ID:KhzAVLhQ

……がっかりだな。もう少し骨の据わった相手だと思っていたのだがな。
とはいえ、チャンスを逃すつもりも毛頭無いが。

デザートイーグルの弾丸を確認。映画のスパイよろしく、突入の準備を整え――


「な――ッ!?」


気付けばすぐ後ろ数メートルの地点に彼女は立っていた。
いつの間に……全く気配は感じなかったのに。
振り向いた私の背後、長い髪、鋭い目付き、赤と白の制服を自らの血で染めた戦闘鬼。
……トウカから聞いていた外見の特徴と一致する。強力な武装を持った――私と同じゲームに乗った人間がそこにはいた。


 ■


「ちッ!!!」
「……無駄」


瞬時にターゲットを変更、しっかりとグリップを握り締め目の前の女に向けて発砲する。
だが相手は待ってくれない。
体勢を崩したまま射撃姿勢に入っていた私の弾丸を凄まじい速度で回避。
銃口から射線軸を読んだのだろうか、そのままデイパックから斧を取り出しこちらへ接近する。

明らかに戦いに"慣れた"人間の動き。
ただ戦いに"乗った"人間の動作とはまるで格が違う。
低姿勢のままこちらへ疾走する彼女を見た瞬間、私はそんな事を思った。


833 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:37:02 ID:v3fOGZsC
 

834 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:37:28 ID:UOu4xVOl


835 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:37:37 ID:KhzAVLhQ

だが、その内容を素直に肯定する訳にはいかない。
意地があるんだ。死んでいった者の無念を晴らしたいという気持ちが。
その心を力に変えて。全ての悪に復讐するという気持ちが。
だから、私は絶対に――負けない。

「あああぁぁッッ!!!!!」

接近する相手に合わせてデイパックから"存在"を取り出す。
下からの切り上げに合わせて体重をかけてソレを叩き落す。

「あぁッ!! はぁッ!!」
「…………ッ」

刀身と刀身のぶつかり合い。数回の打ち込みの後、女は若干距離を取った。

――いける!

武器は明らかにこちらの方が上。
40cm程度しかない手斧と1m以上の大剣には圧倒的なまでの差がある。
明らかに剣の腕では劣っている私が何とか彼女に付いていけているのは一重に武器の力――


「……そう言う……こと」


私が後退した女に油断した瞬間、それは起こった。
彼女は"投げた"のだ。右手に持っていた手斧を。
見事なまでのストライクでこちらに回転しながら飛んで来るソレを剣で弾く。
だがその時既に彼女は……射撃体勢に入っていた。


836 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:38:08 ID:KhzAVLhQ
「……死ね」
「がッあああぁぁぁ!!!!!」

右肩、しかも一度刺された所に見事なまでに銃弾が命中する。
忘れていた、いや侮っていたのだ。
その答えは『普通の人間は両手を使わなければ銃が撃てない』という先入観。
女は私のその固定観念をいとも容易く破ってみせた。

いや……そもそも所持していた銃器の違いもあるのだろう。
私の持つデザートイーグルは酷く無骨で強大な拳銃。対して女の持つ銃は警察官などが持っている手軽な代物。
故に手斧を投擲後、すかさず空いた方の手による射撃なんて言う離れ業が可能だったのだろう。


「あ…………」


激しい痛み。堪らず右手の"存在"を取り落とした。
女がこちらに更なる追撃を掛けようとする姿が見えた。

負ける?
死ぬ?
私が?
駄目だ。あいつに復讐するまではハクオロの息の根を止めるまでは……。
絶対に、死ねない。そうだ、絶対に――負ける、訳にはいかないんだ。


両足で地面を踏み締める。倒れない、何があってもだ。
考えろ、女の手にある今武器は拳銃だけ。刃物は無いんだ。
……そうだ、私が今までどんな戦い方をして来たか思い出すだけで良かった。ソレがベリィできっとベストだ。
私は――大地を蹴った。



837 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:38:10 ID:v3fOGZsC
 

838 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:38:27 ID:UOu4xVOl


839 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:38:39 ID:KhzAVLhQ
軌道、弾道――そこまで読み切るのは正直不可能。
ただ、目の前で銃を回避する人間には何度も出くわして来た。
自分には到底在り得ない行動、人間業には見えなかった、それが――私にも出来る。
何、じっくりと見ればいい。女の射撃は片腕、精確な狙い済ませた攻撃を行う事は出来ない。
そして銃口と射線軸、ソレさえ見極めれば"前もって動いておく"事は可能なのだから。

「はああぁぁぁぁぁアアッ!!!」
「ぐっ……な……!?」

身体を捩って銃弾を回避。
そして私は地面を思い切り駆けた。そしてがら空きになった女の腹部を思いっきり蹴り飛ばす。
足の裏に柔らかい感触を感じた。
そう、そして――ここからが私の本領発揮だ。


打ち込んだ脚をすぐさま引き戻す。そして再度放つ。
その繰り返し、単純なようで凄まじく奥の深い運動。蹴って蹴って蹴って――ひたすら蹴りまくる。

「おおおおぉぉぉぉぉッ!!!!!」

蹴り、蹴り、蹴りの嵐。
前蹴上げ、上段前蹴り、中段前蹴り、上段横蹴り、中段横蹴り、関節蹴り、内回し蹴り、外回し蹴り、後ろ蹴り……とにかく蹴る。
自己最高記録は春原に打ち込んだ六十四連発。
何発までいける? いや無心だ。ただひたすら、打ち込むのみ。


「ぐッ――ああああああッ!! これ以上、やらせない……!!」

蹴りの一瞬の隙を突かれて離脱された。
何発打ち込んだ?
十発?
いや、二十発は確実にお見舞いしたはず……とはいえまだ、立つか。

840 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:39:09 ID:KhzAVLhQ

女の息は荒い。そうだ、アレで春原の奴はタフさだけには定評があった。
なのにここまで食らってまだ膝すら付かないのだ、賞賛に値する。
とはいえ私の方も被害は大きい。右肩からは血が止まらない……すぐさま治療したい所だ。

……どうする?
これで両者ともそれなりのダメージを負った。
拳銃と蹴り。普通に考えればソレはまるで勝負にならないはず。
だが素人の持つ拳銃と蹴りのエキスパート。
そしてどちらとも銃に対するある程度の回避能力を持ち合わせた達人、と言う仮定ならばどうか。
一転してソレは膠着戦となる。
だが――

「はぁッ……はぁッ……!? ちッ!!」
「…………やられた、か」

状況はもう一度、動いた。その時の立ち位置はこうだ。
博物館を背に特攻した後、私は後ろではなく左に退いた。
そして向かい合ったまま私達は互いに距離を調整した。その時、女の足元に私が取り落とした剣が当たったのだ。
当然、彼女はソレを拾う。
つまり――剣のエキスパートと蹴りのエキスパートの戦いと相成ったのだ。


退却すべき、私の中の本能が告げる。
状況は一気にこちらに不利。相手に剣が渡ってしまった以上、不意打ちならばともかく真正面からぶつかり合うのは確実に分が悪い。
頭が高性能エンジンのようにグルグル回った。在り得ないくらい意識が冴える。
私はデイパックの中から催涙スプレーを取り出し、そして――女に向かって投げつけた。


「…………ッ!?」



841 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:39:28 ID:v3fOGZsC
 

842 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:39:27 ID:UOu4xVOl


843 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:39:40 ID:KhzAVLhQ
銀色のスプレー缶がコロコロと地面を転がる。
相手は当然――そう、警戒して数歩下がる。前もってラベルは全て剥がしてある。
つまり銀色の管にしか相手には見えていないはず。爆発物の可能性を考慮して、必ず距離を取ってくると思った。
そしてここで……。

そのスプレー缶を拳銃で――撃ち、抜く。


爆発。
飛び散った金属片と強大な音が森の中を飛び散る。パラパラと薄っぺらい燃えカスが空を舞う。
煙幕としては十分。催涙スプレーなどの内容物は基本、火気厳禁だ。
正直規模としては寂しいものがあったが、十分な牽制になった筈。
今は――逃げるのみ。



 ■



……なんとか、逃げ切れた。
周りに誰も居ない事を確認して肩で息をつく。
博物館から南下して……おそらく現在の位置はC-4といった所か。
自分の身の安全を理解すると、途端にやるせない気持ちが胸の中に湧き出して来た。


闇夜、全てを飲み込んでしまいそうな純然たる黒。
堕ちた復讐者である私にお似合いの色だ。

唇を噛み締める――血が、出た。
鋭い痛み。そして覚醒。そうだ、立ち止まっている訳にはいかない。


844 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:40:25 ID:KhzAVLhQ
腕で無理なら気持ちで埋めてやる。力が及ばないなら武器で補えばいい。
拳銃、対戦車ライフル、ナイフにスタンガン。バランスの取れた十分な武装だ。
そして蹴り。普通の人間ならば距離を取るために何気なく振るう脚も私にとっては最大の武器。最強の切り札となる。


人は簡単に死ぬ。目の前で命を散らした春原のように。
一発、当てればいい。当てさえすればどんな達人だって動きは鈍る。
後は連鎖だ。勝手に崩れていく。
目的地は……病院。千影がまだこの辺りにいたと言うことは他の仲間に遭遇する可能性も高い。
奴らを排除しつつ、更に南下する。これが現状、最良のプランだろう。

待っていろ、ハクオロ。
その罪、必ず償わせてやる――必ず。



【C-4 平原/二日目 深夜】

【坂上智代@CLANNAD】
【装備:IMI デザートイーグル 10/10+1】
【所持品:支給品一式×3、IMI デザートイーグル の予備マガジン9、サバイバルナイフ、トランシーバー×2、多機能ボイス レコーダー(ラジオ付き)、九十七式自動砲 弾数6/7、
十徳工具@うたわれるもの、スタンガン、ホログラムペンダント@Ever17 -the out of infinity-、永遠神剣第七位"献身"】
【状態:疲労中、血塗れ、右肩刺し傷(動かすと激しく痛む・応急処置済み)、 左耳朶損失、全ての参加者に対する強い殺意、右肩に酷い銃創】
【思考・行動】
基本方針:全ての参加者を殺害する。
0:病院を目指して南下、人を見かければ有無を言わず攻撃。
1:何としてでもハクオロを殺害する。
2:ハクオロに組し得る者、即ち全ての参加者を殺害する。
3:無謀な突貫はしない


845 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:40:25 ID:v3fOGZsC
 

846 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:40:47 ID:UOu4xVOl


847 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:40:59 ID:KhzAVLhQ

【備考】
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※トウカからトゥスクルとハクオロの人となりについてを聞いています。



 ■


<<ASPECTB――舞>>


痛み分け。私はぼんやりとそんな事を思った。
腹部、肩部、脚、全身に残る重い痛み。あの蹴りは……危ない。
一発一発が普通の人間なんかと比べても在り得ないくらい鋭い。そして早い。
あんな一瞬の邂逅で数十発近いキックをお見舞いされるなんて想像さえしなかった。
……数秒離脱するのが遅かったら、一発でも頭部に打ち込まれていたら、各部急所がガード出来ていなかったら、確実にやられていた気がする。

おそらく彼女もゲームに乗っていたのだろう。あの血に塗れた姿はきっとそうだ。
自らの事を考えず、戦いに没頭する。それは私と同じ。檻に捕らわれた者。


848 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:41:38 ID:KhzAVLhQ

それ以外にもどこか不思議な親近感を感じた。
何が似ていたのか。雰囲気か、性格か……分からない。
私は思わず戦利品の剣を思わずグッと握り締めた。

「え……ッ!?」

何気なく剣に強い力を込めた瞬間、光が満ちた。
否、剣が突然光ったのだ。
宇宙空間でグルグル世界が三百六十度回転しているような――何かが、流れ込んで来た。

――それは不思議な感覚だった。
若草のベッドで眠っているような、暖かい月の光に照らされているような、遙かなる稲穂の野原を走っているような。
どこか懐かしくて、そして強い力を感じた。

私は我に返った。周りは今までと何も変わらない。
硝煙と背の低い草むらが燃える青臭さ、それだけ。
もう一度手の中の剣を強く、握り締める。
重さはほとんど感じない。これだけ大きな獲物なのにいつもの自分の剣以上に手にフィットしている。
そして心なしか、身体も軽い。何だ……この先ほどまでの違いは?

「……凄い」

刀身を高く掲げじっくりと剣自体を眺める。
極端に長い柄、そしてスラッと伸びた両刃。
ルーツ自体はおそらく西洋のものだろうが、煌びやかな装飾が施された儀礼剣としての側面も持ち合わせている。
吸い込まれてしまいそうな剣だ。相当に名のある剣工が作った業物だろう。

ゲームが始まってから二十六時間余り。
初めて手にした剣がこんなに見事な一本だとは。
運が無かったのか、あるのか分からなくなりそうだった。


849 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:42:03 ID:UOu4xVOl


850 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:42:16 ID:KhzAVLhQ

……あれ。
何か感じる。博物館の北と南、何かが離れていくような感覚だ。
南の方は……消えた? 私の気のせいだったのだろうか。
だけど北の方に何かが居る事は分かる。いや、そもそも非常に近い。少しだけ気になった。
だから私はその反応を追って見る事にした。
大地を蹴る――早い。いつもの数倍の速度が簡単に出せる、なのにまるで身体に疲れは来ない。


数分で私はその反応の主を発見する事が出来た。
それは驚くべき人物だった。
この島に残った私の最後の二人の知り合いのうちの一人――


「舞……くん」


千影がそこにはいた。


 ■


「……動かないでくれ……さすがの舞くんも……ショットガンは回避出来ないだろう?」


特徴的なフォルムの銃を持ちながら千影がこちらを威嚇する。
初めて会った時、彼女と自分はとても似ているような気がした。
強固な芯が通ってはいる。だけどそれは酷く脆くて虚ろ。ダイヤモンドと同じだ。どんなに硬くても衝撃には弱い。

そして――佐祐理のために鬼となった自分と今の千影は更に似通っているように見えた。
そういえば彼女の妹の名前が放送で呼ばれていた気がする。

851 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:42:21 ID:v3fOGZsC
 

852 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:44:10 ID:UOu4xVOl


853 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:44:33 ID:KhzAVLhQ


「でも……私には……コレが……ある」


既に私の右腕となった武器、ブラウニングキャリバーを構える。ターゲット、ロック。
そして周囲の状態を確認する。足元はコンクリート。左右の幅は5メートル余り。屋根は無し。
千影との距離は……約十五メートル。

キャリバーを発射すれば十分に捉える事の出来る範囲。
だがおそらくこの距離から相手を狙撃すれば残りの弾を撃ちつくしてしまうだろう。
とはいえ千影は銃の予備弾を持っていた筈だ。つまり彼女を倒しさえすれば弾が手に入る。

ショットガンを構えながらこちらを牽制する千影。
距離を調整する。
だが千影はもっと他の事を考えていたようだった。

「……ああ、そういうことか……舞くんも持っているんだね」
「……何……を?」
「永遠……神剣」

腰に吊るした剣に視線を送りながら千影が呟いた。
"永遠神剣"、それがこの武器の名前なのだろうか。

「……詳しく」
「それは無理だよ……だって君は……ゲームに乗っているんだろう? そんな事をしても佐祐理さんは……」

千影は酷く残念そうな顔をしていた。起死回生の切り札でもあったのだろうか。
そういえば彼女は初めから私がゲームに乗った事を知っている様子だった。
つまり彼女には他に仲間が居るのだろう。


854 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:45:16 ID:UOu4xVOl


855 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:45:47 ID:v3fOGZsC
 

856 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:45:48 ID:KhzAVLhQ

「……舞くん……私達は共に強力な銃器を持っている……君を見逃すのは心苦しいけど……ここは手打ちにしないかい?」
「私が……本当にそんなものに脅えると……思う? それとも……試して……みる?」
「……そっちこそ。重機関銃なんて代物……補給が限られている島で運用していくのは難儀だと……思うよ」

千影は笑った――平行線。
そう、ショットガンの射程は短い。いかに広範囲をカバー出来る銃器といえど、長距離からの射撃には適わない。
だけど彼女は悟っているのだろう。このキャリバーの残弾が尽きかけている事実に。
弾が切れてしまえば追い詰められるのはこちらの方。それに――千影の弾薬はまず尽きる事はないのだから。
ならば……。

「……弾」
「?」
「コレの弾、頂戴……それで手を打ってあげる」

ならば相手が妥協できるギリギリのラインで交渉するに限る。
弾を渡せば見逃す、そういう事だ。
これならば、あちらとしても無駄な戦いは避けられる。マイナスは――私が誰かをその弾を使って襲う可能性だけ。

「……五十発。全部は……無理だ」
「……それでいい」

千影は少し考えて最大限の食い下がりを見せた。
五十発。残弾と合わせて八十発。随分マシになる。

デイパックから弾薬ケースを取り出し、千影はそれを足元に置いた。
そしてゆっくりと後退する。
もう一度、会う機会があるのだろうか。私はそんな事を思った。
在るとしたらその時はキャリバーの弾薬がもう一度、尽きた時かもしれない。そして私はまた彼女に要求するのだろう。

ああ、そういえば――


857 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:46:06 ID:UOu4xVOl


858 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:46:43 ID:KhzAVLhQ

「千影」
「……何……だい」
「コレ……お礼」

デイパックから私の支給品を取り出して――千影に投げつけた。
クルクル回転しながら飛んで行く黄色のソレ。
私と、ことりと、そして舞を繋ぐ架け橋だったもの。

「これ……は」
「……バナナ。私にはもう、必要の無いものだから」


千影はとても悲しそうな顔をしていた。
しばらく私達は見つめあった。
何年来の友人のように、古くから親交のあった旧友のように、愛を確かめ合った恋人のように。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
千影は胸に抱えていたバナナをデイパックに仕舞い、走り出した。
すぐに視界から、彼女は消えた。永遠神剣の反応も無くなった。


私はこの島で戦い抜くため、強力な力を持った武器を二つ得た。
永遠神剣と弾薬。
だけどその代わり、この島で得た何か――大切なものを失ったのかもしれない。



【C-3 博物館周辺/二日目 深夜】

【川澄舞@Kanon】
【装備:永遠神剣第七位"存在"@永遠のアセリア−この大地の果てで−、学校指定制服(かなり短くなっています)】

859 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:47:10 ID:v3fOGZsC
 

860 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:47:24 ID:KhzAVLhQ
【所持品:支給品一式 ニューナンブM60の予備弾15、ブラウニング M2 “キャリバー.50”(ベルト給弾式、残弾80)、ハンドアックス(長さは40cmほど)、ニューナンブM60(.38スペシャル弾5/5) 】
【状態:疲労(小)、肋骨にひび、腹部に痣、肩に刺し傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、太腿に切り傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、魔力残量MAX、深い喪失感、全身に智代に蹴られたダメージ】
【思考・行動】
基本方針:佐祐理のためにゲームに乗る
0:しばらく休む。
1:武器を奪うため、参加者を襲う。
2:佐祐理を救う。
3:全ての参加者を殺す。ことりも千影も殺す。
4:相手が強い場合、多人数の場合は無理はしない。

【備考】
※永遠神剣第七位"存在"
 アセリア・ブルースピリットが元の持ち主。両刃の大剣。
 魔力を持つ者は水の力を行使できる。舞は神剣の力を使用可能と想定。
 ウォーターシールド…水の壁を作り出し、敵の攻撃を受け止める。
 フローズンアーマー…周囲の温度を急激に低下させ、水分を凍結させ鎧とする。
 他のスキルの運用については不明。
※永遠神剣の反応を探る範囲はネリネより大分狭いです。同じエリアにいればもしかしたら、程度。


 ■


<<ASPECTB'――千影>>


私はボンヤリしていた。頭が痛くて死んでしまいそうだった。
私は少しの間だけ泣きじゃくる少女に戻った。
衛くんからの電話が切れた、その数分後博物館の外から銃声が聞こえて来た。
だから逃げた。何となく、そう、危険から逃げる本能のままに。

861 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:47:26 ID:UOu4xVOl


862 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:47:54 ID:KhzAVLhQ


そして舞くんと会った。
彼女は確かにゲームに乗っていた。
数時間前の彼女とはまるで別人のような、ボロボロの格好をしていた。だけどそれは確かに舞くんだった。

どこか、彼女と私は似ている部分があるんじゃないかと思った。
初めて会った時、そこにはことりくんが居た。
一対一では話し難い。そんな印象を覚えた。
……なんて事は無い、それは私も同じだったから。私達が似ていたからだったんだ。今なら分かる。

そして数時間後の私達。
佐祐理くんを失って一人になった舞くん、たった今全ての妹を失って一人になった私。
選択した道は違うけれど、きっと根本は同じだった。そういう事だ。


舞くんは永遠神剣を持っていた。そして――その力を引き出していた。
しかも私の時詠とは違い、アレは確実に近接戦闘用の永遠神剣。
打ち合いになったらコチラに分が悪い。それにもうほとんど魔力が無く、時間加速もせいぜい一回分程度しか使えなかった。
だから逃げた。彼女の求めていた道具を渡す、という卑怯な手段で。
その選択が他の誰かの命を脅かすだろう事を十分に理解したうえの決断だった。

そして逆に彼女から渡されたものは――バナナ。
日常の象徴。そしてその放棄。舞くんの決意はそういう事だった。





「……う……はぁっ……クソ……」


863 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:48:22 ID:v3fOGZsC
 

864 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:48:28 ID:KhzAVLhQ
舞くんから逃げて、気付けば私は隣のD-3エリアまでやって来ていた。
衛くんが死んだ。
そして殺したのは名雪くんだ。
どうして……こんな事になったんだろう。

「病院……に行かなければ」

さすがにあの状況で衛くんが生きている、なんて可能性に望みを託すほど私は楽天家じゃない。
衛くんの決意は本物だった。あの子は限界まで諦めたりはしない。

ルートは二つ、いや三つある。
禁止エリアを北と南に迂回して行く方法と――その境目を移動する方法。
つまりD-4とE-3の禁止エリアがギリギリ交わらない地点を探してそこから一気に森を抜けて学校、病院へと向かうのだ。
聖上から禁止エリアに入って三十秒は首輪が爆発する事は無いと教えて貰った。
大丈夫だ。正確に地図が作られているのならば、禁止エリアが交わる場所は一瞬で終わるはずだ。

衛くんと一緒にいたはずのことみくん、という女性の安否も気になるし、埋葬もしたい。
そして……水瀬名雪に事の真意を問い質さなければならない。
疲労は深い。大した怪我は負っていなくても、度重なる戦闘で体中パンパンだ。
だけど、行かなければ。迷っている暇は私にはもう無い。




【D-3 森(マップ右下)/二日目 黎明】

【千影@Sister Princess】
【装備:トウカのロングコート、ベネリM3(7/7)、12ゲージショットシェル127発、永遠神剣第三位"時詠"@永遠 のアセリア-この大地の果てで-】
【所持品1:支給品一式×7、九十七式自動砲の予備弾95発、S&W M37 エアーウェイト 弾数0/5 コンバットナイフ 
 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×7 9ミリパラベラム弾68発】

865 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:48:53 ID:UOu4xVOl


866 :少女連鎖(U)-少女達の檻- ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:49:00 ID:KhzAVLhQ

【所持品2:トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・染髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3:朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花 びら コントロール室の鍵 ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、デザートイーグルの予備弾92発】
【所持品5:C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に、ゴルフクラブ、各種医薬品】
【所持品6:銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルト80、キャリバーの残弾は50)、 バナナ(フィリピン産)(5房) 】
【状態:洋服の上から、トウカのロングコートを羽織っている。両手首に重度の擦り傷、左肩重傷(治療済み)、魔力残量微量、肉体的疲労大、深い深い悲しみ、絶望】
【思考・行動】
基本行動方針:罪無き人々を救い、殺し合いに乗った者は倒す。
0:禁止エリアの隙間を突っ切って病院へ向かう(疲労のため進行速度遅め)
1:水瀬名雪を探す、出会った後は何が起こったのかを問い質し、内容によっては――
2:また会う事があれば智代を倒す
3:永遠神剣に興味
4:北川潤、月宮あゆ、朝倉純一の捜索
5:舞を何とかしたい

※未来視は時詠の力ではありません。
※四葉とオボロの事は衛と悠人には話してません(衛には話すつもりは無い)
※千影は原作義妹エンド後から参戦。
※ハクオロ、悠人を強く信頼。
※所持品3の入ったデイパックだけ別に持っています。


 ■



867 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:49:34 ID:v3fOGZsC
 

868 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:50:12 ID:KhzAVLhQ
<<ASPECTC――衛>>


「衛ちゃん、大丈夫なの?」
「うん……平気だよ、ことみさん」
「もう少し、ほら病院までもうすぐなの。頑張るの、そしたら十分な治療が出来るの」


ボクは隣で肩を貸してくれていることみさんに向けて一度、小さく頷いた。
そして笑った。でも心は晴れない。全部放送のせいだ。

――国崎さんが死んだ。

衝撃だった。在り得ないと思った。
国崎さんは確か瑛理子さんと一緒に北側のルートを取った筈。
だけど国崎さんの名前しか呼ばれなかった。
つまり、瑛理子さんを守るために何かが起こったと考えるのが妥当なのだろうか。
だけどあのチームは二人とも拳銃を持っていた筈。
そう易々とやられる訳が無い。一体誰が……。

あとハクオロさんの部下の一人である【トウカ】さんの名前も呼ばれた。
ハクオロさんは悲しんでいるのだろうか。名前が出てこなかったという事はあの場を何とか切り抜けられた筈なんだけど……。
ちなみに他に名前を呼ばれた人のうち【伊吹風子】と【春原陽平】という人はことみさんの知り合いらしい。
直接話した事はほとんど無いらしいがソレでもゲームに乗るような人間ではない、と言っていた。

最後に【ネリネ】さん。ことみさんが言うには彼女は確実にゲームに乗った人間らしい。
そんな彼女が死んだ。ボク達にとってはそれはプラスに働くのだろう。
彼女がどうしてゲームに乗ったのかは分からない。でもそこまで駆り立てる何か理由があったんじゃないかと思った。



869 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:50:24 ID:v3fOGZsC
 

870 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:50:24 ID:UOu4xVOl


871 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:50:46 ID:KhzAVLhQ
病院の正面口はもうすぐそこまで迫って来ている。
その建物は学校と似ていた。
色や雰囲気だけではない。建造物の立ち並び方が似ているのだ。
俗に言う鉤括弧型。メインとなる棟にいくつかの補助的な棟が立ち並んでいる。
なるほど、そもそも病院とは治療だけを目的とした施設では無い。
内部には多数の研究者を抱え、大規模な物ともなれば患者が入院するためだけの建物を幾つも建造している場合も多い。

ここの病院もその例に漏れず、全体をカバーするための本棟。
そして各種研究施設を備えた研究棟の二段構成になっているようだった。
両者の間には入院している人達が散歩をしたりするために使う、噴水が綺麗な大きい広場まであった。

ボク達の目的地である病院。ここを早急に確保し、皆がやって来るのを待つ。
それがボクに与えられた仕事だった。きっとハクオロさんもこっちに向かっている所だ。
大丈夫、何も心配する事は無い。


「ようやく……着いたの――ッ!?」
「なに……これ」

本棟に足を踏み入れたボク達はその惨状に驚愕せざるを得なかった。
真っ暗なホールはグチャグチャに"壊れて"いた。
正面口から入ってすぐの医務用カウンターは見事に破壊され、診察を待つ問診客用の座席は弾け飛んで中の綿が見えている。
真白だった筈の中身は黒く焦げ、この空間で何が起こったかを指し示しているようだった。

「火災……? ううん、この独特の臭い、破壊の様子……何かしらの爆発物が使用された跡なの」
「ば、爆発物!? それって爆弾とかミサイルとかそういう――」
「……ミサイルは無いと思うの。着弾点は……ほらあそこ。消火自体はされているみたいだけど……」


872 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:51:22 ID:UOu4xVOl


873 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:51:25 ID:KhzAVLhQ
ことみが特に損傷が激しい一部分、カウンターのすぐ下の床を指差す。
完全に表面を覆っている合成樹脂は燃え尽き、微妙に地面が抉れている。そして酷く臭い。
火薬以外の何か、プラスチックを燃やした時に発生するあの独特の悪臭だ。
そしてあたり一面の水溜り。天井に軽く視線をやると御馴染みの円形の丸いポットのような物が見える。
煙に反応して水をばら撒く探知機内臓のスプリンクラーだ。
おそらく何かが爆発し、ある程度火災が広がってからようやくスプリンクラーが起動したという事なのだろう。
ことみさんがボクを側のまだ形を保っていた椅子に座らせ、少し奥の方へと足を進める。


「でも……見た感じ、この病院相当ガタが来ているみたいなの。……ほら、あそこの階段何か崩れ――ッ!!
 きゃあああああぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
「ど、どうしたの、ことみさん!? あっ!! ……し…死体?」

ことみさんの悲鳴に反応して、顔を覗かせる。
正面口から少し進んだところ、奥まで行かないと見えない辺りあったのは……女の人の死体だった。
凄く綺麗な女の人だった。すぐ近くに爆弾の中心部と思われる窪み。
……きっと爆風をもろに浴びたのだろう。彼女の左肩から先は"何も"無かった。

「あ、あ、あ、あ…………」
「こ、ことみさん? どうしたの? 気持ち悪いの?」

ボクの目の前にいたことみさんが尻餅を付いた。まるで腰が抜けてしまったみたいにストンと。
未だ濡れている床のせいで服がビショビショになるのも気にせずに。

「く……び……」
「……首? あっ!! 首輪が……無い」

ことみさんがわなわなと震える唇で言葉を紡ぐ。
力なく差し出された指は真っ直ぐ、小刻みに振動しながらも女の人の首元を指していた。
そう良く見ると"彼女は胴体と頭部を切り離されて"いた。
うっすらと珠のような肌に滲んだ紅。暗闇の中でも眼を凝らせば十分見える。そこに銀色の首輪は存在しなかった。
……一体、誰がこんな事をしたのだろう。

874 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:51:30 ID:v3fOGZsC
 

875 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:52:00 ID:KhzAVLhQ

ボクがこんな状態の死体を見るのは二回目だった。
一度博物館で見た女の人の死体も似たような……こちらは逆に"頭部だけ"が持ち去られていたんだけど。
でもそれにしてもことみさんの様子がおかしい。
だってもう一日だ。本人も知り合いの死に際に何度も遭遇したって……あっ!!
もしかして……。

「ことみさん、死体を見るのは……?」
「さ……三人目、なの。……額を射抜かれた死体と、頭を……割られた死体」
「え……じゃあ、どう……して? 初めてじゃないんでしょ?」

ボクは……七回?
遙あねぇとグチャグチャになって死んでいた人達と博物館にいた首の無い女の人、そして佐祐理さんと観鈴さん。
最後に今目の前にいる女の人。だけどもっと酷い死体も沢山見て来た。
でも、この女の人は笑顔だ、笑っているんだ。まるで遙あねぇの最期みたいに。
何があったかは分からない。だけどどこか満足げなんだ。

でも。
ボクの台詞を聞くとことみさんは信じられない、と言うような顔付きでボクを見た。
深淵。その瞳は濡れていた。
天井から水滴が落ちた。ゆっくりと落下するソレはポチャンという間抜けな音を立てて、床の水溜りと同化した。

「本気で……言ってるの? 衛ちゃん?」
「ことみさん?」
「だって……死んでるの。人が死んでいるの!! 私達と同じ年頃の女の人がこんな死に方をしているのに!!
 何で衛ちゃんはそんな平気な顔が出来るの? おかしい……変なの、どうかしてるの!!」
「ッ!!」

何かが崩れた。
そしてボクは気付いてしまった――自分がこの環境に順応し始めている事に。


876 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:52:17 ID:v3fOGZsC
 

877 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:52:33 ID:KhzAVLhQ
人が死ぬ。それは凄く悲しい事だった筈。
一日前のボクだったら真っ直ぐ死体を直視するなんて出来なかった。
でも今は出来てしまう。慣れたんだ。人の命が風船みたいにパンパン撃ち落されて行くやり取りに。
映画の最後に流れるスタッフロールのように全体を見て個を見ない。
誰が死んだか、何人死んだか、ただ淡々と。純粋なデータとして処理される。

咲耶ちゃんや国崎さんが死んだという事実が悲しくなかった訳じゃない。
涙が出て、胸が一杯になるくらい辛かった。
だけど……それ以外の見知らぬ人、そしてゲームに乗った人が死んで行く事へ無関心になっていた。
そう、気付かぬうちに。

呆然としているボクを見て、ことみさんが肩を震わせた。
そして濡れた瞳を一度拭うと、申し訳なさそうに切り出す。


「あ……その、ゴメンなの。少し……取り乱したみたい、なの」
「……ううん。いいんだ、ことみさんの言った事。何一つ間違ってないよ」

気まずい空気が流れた。
即席のパーティ、出会ったばかりのボク達だ。
命を支えあう仲間としての意識は十分過ぎるほどあるものの、その間には時間が決定的に足りなかった。

言葉のすきまを埋めるのは相手への理解。
つまり共有してきた時間が大きな部分を占める、と言うし。


「…………ちょっと……辺りを見てくるの。すぐ、帰るの」


小さく一度だけ頷いた。
ことみさんはデイパックから銃を取り出すと壊れていない階段の方向へ歩いて行った。
コツンコツンとことみさんが遠ざかっていく音だけがホールに木霊する。

878 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:54:20 ID:UOu4xVOl


879 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:54:47 ID:v3fOGZsC
 

880 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:55:05 ID:KhzAVLhQ

ボクは少しの間、ぼおっとしていた。
そして目の前に女の人の死体がある事を思い出す。
出来れば埋葬してあげたい。でも流石にそんな事をしている時間は無い。
悠人さんや千影ちゃんがやって来ればそんな余裕も出来るだろうけど……。

数秒考えた後、ボクは自分のデイパックの中から銀色のレジャーシートを取り出すと彼女の死体に被せておく事にした。
さすがにこのままの姿で晒し者にしているよりはマシだと思ったから。


そして想う。ことみさんの事を。
……ボクと居辛くなってしまったのかもしれない。
気にする事なんて無いのに……悪いのは全部ボクなんだから。

急に心の中が真っ暗になってしまった。
気持ちがマイナスになるとリンクして身体の調子もおかしくなる。
また痛み出した。特別にここが痛い、という訳じゃない。
全身が燃えるような熱に包まれる。昔軽く足首を捻った時に覚えた感覚と似ている。
骨は……折れていない筈なんだけど。

意志が朦朧とする。掌を当てて熱を測ってみる。
熱い。ボク自身の手もそれなりだけど、風邪を引いてしまった時のような感じだ。

さっきの椅子にもう一度座る。
少し、眠ろうか。
うんそれがいい。すぐことみさんも帰ってくる。
ほんの数分、数秒でも今は休息が欲しい――



リリリリリリリリリリリリッ!!!!


881 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:55:21 ID:UOu4xVOl


882 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:55:39 ID:KhzAVLhQ


「え……で、電話!?」

ぼやけつつあった意識が一気に覚醒。
視線をその音の発生源に移す。
コール。目覚ましにも似たソレ。カウンターの最奥。

ああ、もしかしてあれはナースステーションという奴なのだろうか。
テレビドラマなどでよく見る壁に設置された各病室からのナースコールを受け取る装置の下辺り。
外来用の電話機がけたたましい受信音を鳴らしていた。

驚いた事が二つ。
まずこれだけの破壊が行われた建物でありながら、電話が未だ生きているという事。
院内は電気がほとんど通じていないように思っていただけに、これは意外だった。
そしてもう一つはここ病院に電話をかけて来る人間がいる、という事だ。
つまり、それは――病院を目的地にしているボク達の知り合いである可能性が高い。

急いで椅子から立ち上がり、受話器の元へ。
ベルが鳴り終わるよりも早く、それに手を伸ばす。
胸がドキドキと高鳴った。


「――はいっ、こちら病院です。どちら様ですか?」
『良かった……衛くんかい!? 私だ、千影だよ』


思わず安堵の溜息がボクの唇から漏れる。
それは今一番聞きたい人の声。大好きなボクの姉妹の声だったんだから。


 ■

883 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:56:18 ID:UOu4xVOl


884 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:56:18 ID:KhzAVLhQ
「今は……博物館? それで坂上智代って人がゲームに乗ってるの?」
『……ああ、彼女は危険だ。しかも強力な武器を持っている。十分に……気をつける必要がある』

なんと千影ちゃんは今博物館にいるらしい。
博物館といえば、あの首の無い女の人の死体があった場所。
というか神社からホテルへ向かうルートを取った筈の千影ちゃんがどうしてそんな場所にいるのだろう。

「あれ……ねぇ、千影ちゃん。悠人さんは?」
『うん、皆と別れた後すぐにネリネくんに襲われてね。その時……その、離れてしまったんだ』
「え……じゃあ、何で今博物館に?」
『まぁ……何と言うか、実はネリネくんに捕まって連れて来られたんだ、私は』

連れて来られたって……つまりは誘拐、じゃなくて拉致されたって事だろうか。
ただ千影ちゃんが凄く言い難そうなのは確かだ。この話題にあまり触れない方が良いのかもしれない。
だってネリネさんはさっきの放送で――

『……それより衛くんこそ聖上と一緒じゃないのかい?』
「……うん。ハクオロさんは学校で倉成武って人に襲われて……。
 ボクと今一緒にいる一ノ瀬ことみって人を逃がすために一度別れたんだ」
『倉成武か……彼もゲームに乗っている……と言うことなのかな。ああ、病院にいるのは二人だけかい?
 出来ればそのことみくんに変わって貰えると嬉しいのだが』
「ううん、今は……見回りに行ってる。あ、そうだちょっと待ってね。子機に切り替えるから」

千影ちゃんとの通話に熱中する。
ただこの電話は少し話し難い。どうやら若干型が古いようだ。
電話機のすぐ側にある子機に切り替えて、と。

「ゴメン、千影ちゃん。それでね、ハクオロさんが……」



「見ぃーつけたぁ」

885 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:56:27 ID:v3fOGZsC
 

886 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:56:55 ID:KhzAVLhQ



「え?」

どこかで聞いたような声――ボクが振り向くとそこには青い髪の女の人が立っていた。
小さな声だったので誰なのか判別は出来ない。
女の人は伏目がちだし、暗いままなので顔はよく見えない。だけど頭に包帯を巻いている事は分かる。
怪我をしているのかもしれない。
距離は五メートルという所か。いつの間にこんなに近くまで接近されたのだろう。


赤と白の特徴的な制服に所々血が滲んでいる。
ボクは訝しげに彼女に問い掛けた。


「……あなたは?」
『……くん……ど……たぃ……まも………』


耳から話した受話器から千影ちゃんの声が漏れる。
何を言っているのかは分からない。
だってボクの視線は目の前の女の人に注がれてしまっているから。
凄く、嫌な予感がする。


「あは」


背筋に、寒気が走った。
ボクは知っている。この人が誰だか知っている。
完全に顔を見た訳じゃ無かった。声も状況が状況で完全に鼓膜に焼き付いていた訳じゃ無かった。

887 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:57:29 ID:KhzAVLhQ

でも覚えている。
この笑い方。この唇の歪み。この皺の寄り方。
破滅、刹那、死、不吉なこの口元。
それは――


「あはははははははははははははッ!!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「――あぐっアアアアアアアア!!!」
『まも……!? まも……る……く…………!?』


ボクのお腹に鋭い金属の棒が突き刺さった。
痛い。焼けた鉄ゴテを押し付けられたみたいだ。
勢いよく突き出された右手に握られていたソレ――長い槍。
鋭利に研ぎ澄まされたその刃先が丸々ボクの身体の中に抉りこむ。
そしてグリッと抉られる。
螺旋。コークスクリューパンチのように女の人が持った柄を回転させたのだ。

「あっああぁぁアアアア!!」

口から身体の中に手を突っ込まれるような感覚。
胃カメラ? 違う、内蔵にマイクを放り込まれてソレが大音波で共鳴しているような痛み。
ボクはその苦痛に耐え切れず、後ろに跳んだ。

――抜けた。

ボクに苦痛を与える事を目的としていたのだろう。
丁度槍の刃先だけが身体に沈み込んでいたため、いとも容易くその鉄棒はボクの身体からいなくなった。

「ねぇ、痛い? 辛い? 苦しい? いや? 怖い? 逃げたい? 死にたい?」
「あっ、……ぅ……かはっ……」

888 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:57:31 ID:UOu4xVOl


889 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 19:58:03 ID:KhzAVLhQ

追撃は来ない。熱いものが流れ出して来る。
お腹を押さえながら地面に尻餅を付いたボクを、女の人は笑いながら見下ろしている。
――楽しんでいるだ。この人はボクをいたぶって、ボクがどんな反応するのか見たいんだ。
ゾクッとした。怖かった。
だからボクは逃げた。受話器を握り締めたまま、這うように逃げた。


何か考えていたから逃げたんじゃない。
思わず、ただ、必死に、本能で。
どれでもいい。この中のどれかだ、全部かもしれない。
無様な格好。姿勢は低く、地面に手を付く姿は犬みたいで。スピードは遅く、槍で刺そうと思えば十回も二十回も刺せたと思う。
這い回るアリを足で踏み潰すみたいに容易く、無慈悲に、残酷に。

後ろで女の人が大笑いしている。
"あははははははっ"
本当に楽しそうに。サーカスでピエロでも見ているみたいに。

「そうかぁ……逃げて死にたいんだ。鬼ごっこかぁ、あははははははははははははっ! いいよぉ、付き合ってあげる!!」


 ■


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!」


ボクは必死に逃げた。大好きな筈の走る事も今回ばかりは凄く辛く感じた。
女の人は間隔を保ったまま付いて来る。
ポタポタと床に断続的に生まれた赤い斑点を見ながら。
そして血液の量がどんどん増えて行く光景を楽しみながら。

890 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 19:58:13 ID:v3fOGZsC
 

891 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:00:33 ID:v3fOGZsC
 

892 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:00:52 ID:UOu4xVOl


893 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:01:02 ID:KhzAVLhQ

ことみさん、ことみさんにさえ出会えれば。
ことみさんは拳銃を持っていた筈だ。
逆に女の人の武器は槍――おそらく銃は持っていない。
だけど院内を動き回っているボクらが出会うのは難しい。声を聞きつけてこちらに向かって来ている筈なんだ。

時間だ、時間を稼がなくちゃ。
グルグル廊下を走り回ったボクは結局、槍で刺された場所の丁度真上、二階の中央にあった診療室の中に逃げ込んだ。


カチャリ、しっかりと鍵をかける。
バリケード代わりに本棚や小さな机をドアに立てかける。
……これで少しは持つ筈。あとはことみさんと――ボクの身体がいつまで持つかの勝負だ。

部屋の一番奥、月の光が差し込む窓の側の壁に寄りかかりながら、地面にへたれ込む。
周りを見渡すと部屋の中はボクがインテリアを動かしていない部分も含めてグチャグチャになっていた。
そうだ、この病院崩れかけてるって言ってたっけ……。

「何で何で何でっ!? 隠れるのは反則だよ、これは鬼ごっこなんだからっ!!
 出て来なさいよ、早く早く早くっ!!!」

乱暴に扉をノックする音。もう追いついて来たんだ。
すぐさまソレは人の身体が体当たりする音に変わる。
床を通って伝わってくる振動がボクの身体がピリピリする。

ふと視線をお腹に下げると――そこは真っ赤になっていた。
もう服は血を吸いきれなくてタプタプしている。ズボンにまで染み出した赤がお尻の下に池を作る。
思ったより出血が酷い。それに――頭がクラクラする。
血が足りない。それだけじゃない、保健室が崩れた時に受けた怪我だ。
元々朦朧としていた意識と貧血。それが導き出す答えは昏倒。そして……永遠の眠り。

「あぁ……っ……はぁっ……はぁっ……」

894 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:01:20 ID:v3fOGZsC
 

895 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:01:33 ID:KhzAVLhQ
苦しい……嫌だ、死にたくないよ。
駄目だ、耐えなくちゃ。泣いちゃ駄目だ。
押しつぶされちゃいけない。頑張ら、ないと。

『………ま………ん……まも……』
「あ……」

ずっと握り締めていた受話器。通話口からかすかな音が漏れた。
――まだ、繋がっている?

「ち……かげちゃん?」
『衛くん!? どうしたんだい、衛くんっ!?』
「うん、ちょっと……ッ襲われ、ちゃって……ね。青い、髪をした女の人に……」
『どこか、怪我をしているのかい? 青い……髪……ッ!? 待って、衛くん……その女の人は"制服と鎧"どちらかを着ていたかい……?』

……良かった。ちゃんと千影ちゃんの声が聞こえる。
えと……着ていた……もの?
千影ちゃん、相手が誰だか分かるの……かな。

「制……服だよ。赤い生地が基調で白い傘みたいなのが付いてる……」
『……そうかい。よく聞くんだ衛くん。今おそらく君の近くにいるのは水瀬名雪、という女性だ。
 私がこのゲームで一番最初に出会った参加者。……ゲームに乗るようには全く見えなかったんだが』
「水瀬……名雪」

とても綺麗な名前だと思った。
連打されるバスドラムみたく軋みを見せるドアの方を一瞥する。
ガンガンガンガン、止まらない。うるさい。

電話の向こうの千影ちゃんは黙ってしまった。
どうやら何かいいアイディアは無いか考えているようだった。
でも……ボクは。

896 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:01:40 ID:UOu4xVOl


897 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:02:02 ID:v3fOGZsC
 

898 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:02:06 ID:KhzAVLhQ

「……ねぇ、千影……ちゃん。あの台詞、聞かせて欲しいな」

もう、こんなお願いしか出来ないんだ。


『あの……台詞?』
「そう、ほら……千影ちゃんがあにぃと別れる時とかに……良く言ってたアレだよ……」
『……ああ。いや、衛くんそんな事は関係ないんだ。早くそこからッ――!!』


千影ちゃんの悲鳴にも似た絶叫。
ここまでボクの事を思ってくれるなんて。
自分がどれだけ幸せな環境で暮らしていたのか再確認した。

「ううん、駄目……だよ。分かってるもん……ボクが……ボクが一番、自分……の事は」
『衛……くん?』
「だから、お願い、千影ちゃん。ボクたちの絆が続くように。またいつか笑って過ごせる……ように、ね?
 ゴホッ!! ゴホッ!! ゴホッ!! ……千影、ちゃん」

口から血が溢れた。掌が真っ赤になる。
痛い。
痛い。

『分かった……よ。衛…………くん』

千影ちゃんの声、もっと聞きたかった。
だけど駄目なんだ。これ以上このまま縋り付いてなんていられない。
ボクが言葉を話せるうちに、元気だって虚勢を張れるうちに断ち切らないといけない。
ボクにはもう未来は無いけど、千影ちゃんにはまだ可能性がある。
邪魔は出来ない。だから。


899 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:02:33 ID:v3fOGZsC
 

900 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:02:38 ID:KhzAVLhQ


『…………また、来……世』


ありがとう、千影ちゃん。
そして……さようなら。

「じゃあねっ!! 千影ちゃん!!」


ボクは電話の一番右上にあるボタンを押した。
無機質な"通話終了"の音。
何処にも繋がっていない受話器がツーツーと一定のリズムを刻む。

ギュッと小刻みに震える両肩を抱きしめる。ブルブル震えて子犬みたいだ。
……でも、間違ってない。だってこれ以上千影ちゃんの声を聞いていたらオカしくなりそうだったから。
今、隣まで来ている死神に何もかも持っていかれそうだったから。
だからボクは振り絞ったんだ。勇気を、ちっぽけな勇気を。

血はドクドク流れる。お腹から流れる血が灰色の地面で赤い池を作る。
扉がドンドン叩かれる。バリケード代わりの机も、もうそろそろ限界みたいだ。
頭が痛い。心臓をノックする音が止まない。
何キロ走ったって大丈夫な筈のボクの身体が悲鳴を上げている。それは紛れも無い死の予感だった。
一歩一歩迫り来る未知の時間。
怖い、痛い、ワンワン泣き叫んで誰かに助けを求めたい。

だけど。

もう……泣かないんだ。
約束したから、千影ちゃんとハクオロさんと――悠人さんと。


901 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:03:20 ID:KhzAVLhQ


凄まじい轟音と共にドアが倒れる音が響いた。
ボクの前に現れたのは青の髪色をした女の人――水瀬名雪。
槍。赤く光るその刃先に付いているのは紛れも無くボクの血だった。

「あははははははははっ!! 終わり終わり終わりっ!! 無駄なのに、抵抗してもどうせ死ぬのにっ!!
 どうして分からないの? 馬鹿なの? どこかおかしいの? ねぇ教えてよ、命乞いしてみせてよ!!」
「……あなたには……絶対、分からないよ」

名雪さんはまじい形相のまま大声で笑い声をあげながらこちらに近付いて来る。
そしてボクは意識した――自分の運命を。最期の瞬間を。

受話器を握り締めていた指がだらりと離れた。
コツンという乾いた音、プラスチックと床がぶつかり合う音が響く。
ボクを繋いでいた最後のラインはコロコロと転がってベッドの下に消えて見えなくなった。

終末。
少しだけ早くボクには終わりが来たみたい。
痛い思いをしなくて済むのは幸福なのかな。


ねぇあにぃ。ボク、頑張ったよね。
精一杯、精一杯生きられたよね?
ああ……悠人さん。一個だけ約束守れなかったよ。
頑張ったよ、やれるだけの事はやったと思う。
でも元気な姿で再会する事は出来なかった。

ボク駄目だったかな。物足りなかったかな。
……うん。ありがとう。あにぃ褒めてくれるんだね。
じゃあね。また……来世で会えたらいいなぁ……千影ちゃん、みたいに。
咲耶ちゃん、四葉ちゃん。今から……そっちに行くよ――

902 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:03:26 ID:v3fOGZsC
 

903 :また、来世 ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:03:55 ID:KhzAVLhQ


「あはははははははっ!! 言うじゃない、舐め――
 …………あれ? ……応えて……よ? ねぇ……何か……言ってよ。
 ねぇ、ちょっと……待ってよ!! ……何で、何で何も言わないのよ!!
 …………嘘。そんなに幸せそうな顔で、満足げな顔でどうしてっ!!
 私、全然物足りない!! 殺し足りないのに!! あなたはまだ死ぬべきじゃない!!
 泣いて喚いて叫んで悶えて全身から血を垂れ流しながら恐怖と絶望の中で殺されるの。
 腕、足、内臓、身体が欠損していく過程の中で逝くの。最後に頭を飛ばされて死ぬまで、全部耐えなきゃ駄目なのに――」


聞こえない。叫び声は闇に溶けた。近付いてくる。恐怖が薄れる。
名雪さんは何を言っているのだろう。凄く怒っている、それぐらいは分かるけど。
槍を投げ捨てて、名雪さんはガクンガクンとボクを無茶苦茶に揺さぶった。
脳味噌がシェイクされる。何度も隣の壁に頭がぶつかった。血が流れた。
でも、ボクには関係無い。何も感じない。
だって――




ボクはもう死んでいるんだから。






【衛@Sister Princess 死亡】



904 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:04:42 ID:v3fOGZsC
 

905 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:04:57 ID:KhzAVLhQ


 ■


<<ASPECTD――ことみ>>


衛ちゃんから離れてすぐ、私は自己嫌悪で潰れそうになりながら病院を歩き回っていた。

……最悪、なの。

人気の無い廊下でランタンを照らしながら私はトボトボと歩を進める。
胸に湧き上がるのは後悔。そして強い自責の念。


私は何て酷い事を言ってしまったのだろう。
年下の女の子に向かって面と向かって"おかしい"や"変"なんて言葉を平気でぶつけてしまうなんて。
配慮に欠けていた、無神経だったと言われても間違いじゃない。
どうして衛ちゃんがあんな事を言ったのか、少し考えれば分かっただろうに。

あの子は――あんな発言が当たり前のように出来るくらい、沢山の死体を見て来たのだ。
この二十四時間で命の灯りが消えて、醜い肉塊へと成り果てる光景を何度と無く目の当たりにしたのだろう。
慣れてしまわなければ心が持たなかった。
少しエスカレートして考えればそうも言えるかもしれない。


靴音と水音だけが寂しく響く薄汚れた病院。
よく見るとそこら中の壁にひび割れや亀裂などが走っている。
やっぱり相当ガタが来ている。衛ちゃんの話だとハクオロや彼の仲間達はここを目的地としているらしい。


906 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:05:18 ID:UOu4xVOl


907 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:05:30 ID:KhzAVLhQ
……なるほど、首輪を調べるのにここの施設を使うつもりだったのか。
衛ちゃんの様子を見ると、首輪のサンプルを持っていてもおかしくない。
それなりの技術を要したブレーンとなる人間が側に付いているのか。
ただ、コチラの方は駄目だ。ある程度のライフラインは残っているし、調べれば他の設備も使えるだろう。
だけど不安過ぎる。いつ建物が倒壊するか分からない恐怖は尚も拭い切れない。

ブレーカーを入れた瞬間に蛍光灯が一気に割れたり、どこで電気がショートするかもしれない。
病院故に、確実に自己発電設備がある筈。一部の主要な機械はまだ活動しているとは思うが……。
それよりもおそらく無傷のまま残っているであろう研究棟を念頭に入れて考えるべきか。


ボンヤリと光るランタンを持って水に濡れた床を歩く。
それは灯篭を灯しながらゆっくりと流れの穏やかな川を下っているみたいだった。
差し詰め私は夜の蛍。ふわふわと漂う一匹の虫。

……ああ、それにハクオロから貰った荷物も確認しなければならない。
拳銃だけは直接手渡されたが、他はまだ未開封。デイパックが三つも入っているせいで中身が見辛くて仕方ない。
万が一の事を考えてマガジンだけは新しいものに入れ替えたが……私にコレを撃てる自信は――


「あはははははははははははははッ!!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「あぐっアアアアアアアア!!!」
「え……!?」


凄まじい叫び声、ソレが二つ。心臓は加速する。頬に冷や汗。
振り返る。自分が進んで来た道を。
そんな……馬鹿な、この病院に誰か他の人間がいたというのか?
しかも衛ちゃんと離れてからまだ二、三分しか経っていないと言うのに。

それに……この声は学校で私達を襲って来た女の……。


908 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:05:34 ID:v3fOGZsC
 

909 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:06:08 ID:KhzAVLhQ

「衛ちゃん――ッ!!」


私は急いで入り口へと踵を返した。
嘘、嘘。なんで、こんな……。私があそこから離れたからいけなかったんだ。
あんな酷い事を言って居た堪れなくなって、衛ちゃんを独りにして……。

「あッ!!」

濡れた床に足を取られて思いっきり転んでしまった。
前のめりで地面に倒れ伏す。ランタンがコロコロと廊下を転がる。
ボーリングの球のようにクルクル回りながら私の手元を離れたソレは数メートル先の壁にぶつかって止まった。
そして、火が消える。

「嘘……火が……つかないの」

何度点火のスイッチを捻ってもランタンは何の動作も示さなかった。
極端に摩擦の少ない病院特有の床のせいで、膝の皮が嫌な具合に剥けてしまった事も気にならないくらい。

電気が通っていない院内において、灯りは重要である。
最悪、だ。確かにランタンの予備はまだ二つある。新しいものに代えれば問題は無い。
だけど今からデイパックを漁ってソレを取り出し、オイルをセットして着火させるまでに何分掛かる?
一分以内にその作業を終える自信は無い。おそらく……三分は必要。
無理……今は、一分一秒を争う事態。そんな時間を浪費している暇は無い。

「待ってて……衛ちゃんッ!!」

結局私は灯りもつけず走り出した。
膝小僧がズキズキする? 目の前がよく見えない? また転びそうで怖い?
そんな不安、あの子に比べれば。
完全な狂人と成り果てたあの少女に襲われている衛ちゃんの事を考えれば一瞬で霧散する。

910 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:06:38 ID:v3fOGZsC
 

911 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:06:40 ID:UOu4xVOl


912 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:06:41 ID:KhzAVLhQ


 ■


「このッ!! このッ!!!」


――見つけた。
二階、血の跡を辿ってぐるっと回ってここまでやって来た。
血痕はナースステーションから始まり、そこら中に広がっていた。
女の声が目印代わりになるとは言え、崩れ掛けた院内ではソレほど声が反響しないらしい。
故にここまで辿り着くのに相当な時間を有した。

……中に、いる。

私は拳銃を構える。扉のギリギリまで接近、そして……。


「動く――え……」
「あれぇ……他にも、いたんだ……あはははははははははっ!!!」



それは地獄のような光景だった。構えていた筈の銃を取り落としそうになる。
胃の中から何かが込み上げて来た。
耐え切れなかった。だから、私は吐いた。体裁や今の自分が置かれている状況を考える余裕もなく。

神聖で、不侵で、何者にも汚されてはならない筈の病院の床に思いっきり吐瀉物をぶちまける。
鼻にツンと来るような臭い、胃酸が喉を焼く。涙が滲んだ。
笑い声は止まない。女は笑う、ケラケラと。ケラケラと。
俗に十代半ばぐらいの女子を箸が転がっても面白い年頃と言う。そうだ、彼女はきっと――人が死んでも面白いに違いない。

913 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:08:03 ID:v3fOGZsC
 

914 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:08:18 ID:KhzAVLhQ

打ち壊されて部屋の中に倒れてしまっている扉の先、そこには鬼がいた。
その何かは全身を赤く染め、壁の方に向かって右手に持ったメスを振り下ろす。

ザクザクザクザク、赤い。
ザクザクザクザク、白い。

赤は血。白は骨。夜は黒。月は金。
目の前には解体された死体。つい数十分前までは生きていた人間。
血が付いている以外は何一つ傷の無い頭部がそこにはあった。
そして――肉。
赤と黄身を帯びた黄色、黒、ピンクと様々な色彩の肉細工。
ズタズタに切り裂かれた身体。切り離されたパーツ。

「楽しい、楽しいよぉ、あはははははっ、はははははははっ!!」
「い……や……」

女がコチラに何かを投げつけた。
完璧に近い軌道で飛んで来たソレは自らの血を辺りに振り撒きながら私の胸に当たった。
色は銀。それは輪っかだった。円形の……リング?

ああこれは――
首輪、だ。衛ちゃんの、首輪。
理解した瞬間、何かがプツリと切れたような気がした。
生理的な嫌悪なんて段階はとっくに通過している。私はカタカタと震えるだけの人形になる。

「あれぇ、あなたは……あのカトンボ? ふふふ……あはははははははっ!!」

女が立ち上がる。右手にはメス、そして左手で傍らに置いてあった槍を拾った。
こちらに向けて一歩、足を踏み出した。
そういえば彼女の制服には白い部分もあったのではないか、そんな事を思った。
トリコロールは崩された。いまや上から下まで一面の赤。青と赤が混じった髪の毛は一部茶色に変色している。

915 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:08:48 ID:v3fOGZsC
 

916 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:08:51 ID:KhzAVLhQ

「たす……けて……嫌……なの、ああぁぁぁアアアッ!!」
「それだよ、ソレ!! 私は悲鳴が聞きたかった、泣き叫んで、命乞いをする無様な姿見たかったのっ!!
 いいよ……いいよぉ。あははは、ははははは!!」

まずは左。深々と女が持った槍が突き刺さった。
それは生まれて初めて刃物で身体を切り裂かれる体験だった。
痛い。灼熱の業火にその部分だけ焼き尽くされているような感覚。差し詰め流れ出す血はマグマか。
次に女は私を思いっきり蹴っ飛ばした。その靴先は見事に右胸にヒット。
彼女が同い年くらいの女子である事を疑いたくなるような物凄い力だった。
私は、飛ばされる。

「――ああああッ!!」

吹き飛ばされた私はもう一度廊下に送り返された。空、そして壁。
背後から思いっきり殴られたような感触に溜まらず餌付く。



背中の鈍痛、左肩の灼熱。暴力的な苦痛の中で私はぼんやりと考えていた。
撃てなかった。中に悪人がいる事は分かっていたのに。銃に不慣れだった、そんな言い訳も出来ない。
だってネリネに襲われてから私はずっとマシンガンを握り締めていたのだから。
……一発も、撃った事は無かったけれど。
やっぱり怖かった。明確に命を奪う、というその行動が。
どんなに気を強く持って自分を鼓舞しようと出来ない事は出来ない。そういうものだろう。

思えば似たような経験ばかりだ。
四葉ちゃんが殺されて恋太郎さんと亜沙さんと一緒にハクオロを探す決意を固めた。
だけどその後すぐ、ネリネや芙蓉楓に襲われた私は何をした?
ネリネと遭遇した時はまだマシだった。――だって側に二人がいたから。
二人がいたから私は強くなれた、必死に行動する事が出来た。


917 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:09:59 ID:UOu4xVOl


918 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:10:23 ID:v3fOGZsC
 

919 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:10:34 ID:UOu4xVOl


920 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:10:40 ID:KhzAVLhQ

だけど楓、芙蓉楓と一対一で相対した時はどうだっただろう。
私は彼女の笑顔に押し潰された。
今思えば私は二人に守って貰っていたのだろう。
確かに恋太郎さんは目を怪我していた。それでも彼は戦った。盲目の恐怖の中でも勇敢に戦場へ降り立ったのだ。
亜沙さんもそうだ。フラフラになって、自分が気絶してしまう事も分かっているのに彼女は"力"を使った。
それは私達への深い信頼。それは深い絆。

一人きりになった時、私は何も出来なかった。
恋太郎さんに明確な危険が訪れている事も分かっているのに、楓を撃つ事が出来なかった。
精一杯の抵抗が"ハクオロ"の名前を出して当座の危機から逃れる事。そのために四葉ちゃんの死も利用したのだ。


……もう、死んでしまった方がいいのかもしれない。


未だ右手は銃を握り締めているのが不思議なくらい。
何かに縋り付いていたかったのだろう。
だけどその対象がどうせ撃つ事の出来ない拳銃、憎い相手であるはずのハクオロの銃なのは皮肉な話だ。


その時の私は気付いていなかった。
背負っていたデイパックの肩紐がずり落ちていた事に。
女は近付いてくる。
私は絶望する。
ゆっくりとデイパックの口が開いた。
中身が、飛び出した。
最初に飛び出したのはナイフだ、次にマガジン。そして続けざまに各種支給品が零れ落ちてくる。

「あははははははっ、なんで撃たないの? あなたは銃を持っているのに。撃てば死ぬのに、簡単に死ぬのにっ!!」


921 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:11:14 ID:KhzAVLhQ

女は笑う。更に接近。
きっと彼女は分かっているのだ。私がどうせ銃を撃てない事を。
私が飛び切りの臆病者で、自分の命がどんなに危なくなってもマトモに銃も撃てない事を。
更に一発、女の蹴りが私の身体を真横に吹き飛ばした。今度は右肩だ。
吹っ飛ぶ私。完全にデイパックの中身が廊下にぶちまけられた。
滑る水音と笑い声。それは異様な光景だった。


ぶらつく意識、激しい痛み。私はボンヤリと手ぶれするカメラのような視界で女を見た。
赤い、女。それは鬼、殺しを楽しむ本物の狂人。

それでも、私は何かに縋り付きたかったのかもしれない。いや、ただの無意識な行動だったのかもしれない。
それは分からない。でも私は強く指を動かした。
右手――相変わらずソコには拳銃。役立たずの鉄塊。
左手――ここには何も……、

違う、何か柔らかい感触がそこにはあった。


ぼやけた視線でソレを眺める。ゆっくりと首を持ち上げる。
雨に濡れた窓から眺める世界のような視線の先にあったもの。
それは――クマのぬいぐるみだった。



 ■


思い出が蘇って来る。



922 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:11:15 ID:v3fOGZsC
 

923 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:11:45 ID:KhzAVLhQ
綺麗な花で飾られた花壇、豊かな芝と中央に設置された真っ白いテーブルとイス。
懐かしい風景。お父さんとお母さん、まだ二人が生きていた頃の景色だ。
そして一度は失われてしまったものを取り戻してくれた一人の男性――岡崎朋也。

彼に出会う前の私は読んだ本をハサミで切り裂いたり、燃やてばかりいた。
それは憎かったから、そして追い付きたかったから。小さな頃亡くなった両親の見た世界に少しでも触れていたかったから。

思い出の風景が復活した少し後。
お父さんとお母さんの知り合い、私の後見人が家を訪ねてきた。

そして一つの古ぼけた鞄を差し出した。
そこに入っていたのは大人達が口々に「君のお父さんやお母さんよりも大切なものだ」と言っていた物理学の論文なんかじゃなかった。
入っていたのはクマのぬいぐるみ。お父さんとお母さんが私のために買ってくれた誕生日プレゼント。最後の贈り物。

そして同封されていた手紙の内容。


 世界は美しい。悲しみと涙に満ちてさえ。
 瞳を開きなさい。やりたい事をしなさい。
 なりたい者になりなさい。友達を見つけなさい。
 焦らずにゆっくりと大人になりなさい。

 おみやげ物屋さんでみつけたくまさんです。
 たくさんたくさん探したけどこの子がいちばん大きかったの。
 時間がなくて空港からは送れなかったから。
 かわいいことみ。
 おたんじょうびおめでとう。



924 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:12:02 ID:v3fOGZsC
 

925 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:12:16 ID:KhzAVLhQ
全部忘れていた。
殺し合い、すぐ目の前にある死の恐怖。
全部消えていた、幸せな思い出と自分を切り離していた。
だから、私は弱かったのかもしれない。
いつの間にか朋也くんと出会う前の臆病で、自分の世界に閉じ篭った私に戻っていたのかもしれない。
おかしい、本当に変だ。朋也くんはもういない。
そして私はどう足掻いても昔の私に戻れないかもしれない、でも。
絶対に――思い出は消えないのに。

右手の指に力を入れる。それは、銃。今までの私にとってはただの恐怖の象徴だったもの。
視線を目の前の鬼へと向ける。そして……銃を構えた。
もっとぬいぐるみに触れていたい、そんな弱い逃避の感情を振り切る。

「あははははははははっ!! 撃つの? 撃てるの、あなたに? おかしい、あははははっ、面白いよ。
 腕はぶるぶる震えてるし、歯もガチガチ。当たる訳ないよ、絶対に……くくく、あははははははははっ!!!」
「私は――」

女の笑い声が絶頂を迎えた。ボルテージは最高潮。
窓が震える。水が揺れる。
本当に病院中に響いているんじゃないかと思わせられるような大声。
彼女は両手を広げる。そう、撃てるものなら撃ってみろという事。

どうしてこんなに時間が掛かったのだろう。
恋太郎さん、守れなくて御免なさい。
亜沙さん、迷惑かけて御免なさい
衛ちゃん、臆病で御免なさい。
私は変わってみせる。絶対に生きて、絶対に――


「もう……」
「あはははははははははははははははははっ!!」
「今までの、私じゃないの!!!!」

926 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:12:51 ID:KhzAVLhQ


私はありったけの力を込めて引き金を引いた。
女の笑い声が瞬間、途切れた。
銃声。闇夜を切り裂く火薬の爆発音が全てを一瞬で無に還した。

生まれて初めて、銃を撃った感触は複雑だった。
それは重くて、悲しくて、だけど――。
これ以上無いほどの決意に満ちた振動だった。


 ■


衛ちゃんの死体は酷い有様だった。近くにあったシーツをその身体にかける。
シーツはすぐさま赤に変わった。私は必死に涙を堪えた。

全てが終わった。あの女は殺し、てはいない。
いや……無理だったのだ。

しっかりと中心に構えて撃ったはずなのだが弾丸は逸れて右肩に突き刺さった。
彼女は驚愕の表情を浮かべ、すぐさま撤退した。
私が銃を撃った、それはつまり自らの命の危険を察したのだろう。

でもこれで良かったのかもしれない、そう思う心も確かに存在はした。
衛ちゃんを殺した憎い相手……その筈なのに。


この建物にはもう居たくなかった。衛ちゃんの事もあるし、それ以前に状態が悪過ぎる。
いつ崩れるか分からない施設に留まりたいと思う馬鹿はいないだろう。
だが、ハクオロ達が病院に向かってくるのは確実。それも首輪の解析を行うために、だ。
彼らに状況を説明しなければならない。そして謝らなければ――衛ちゃんを守れなかった罪を。

927 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:12:57 ID:v3fOGZsC
 

928 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:13:26 ID:KhzAVLhQ

首輪、今私の手の中にある銀色のリング。
研究棟の施設を使えば十分に解析が可能だろうか。相方となるような人間に出会えればいいのだが。


病院の入り口には『隣の研究棟まで来て下さい。話があります。 一ノ瀬ことみ』と書いた張り紙を貼っておく。
……一応、一回の出入り口には鍵でもかけておこうか。
私は荷物をまとめ、クマのぬいぐるみとi-podを抱きしめながら本棟を後にした。
そう、荷物の中にi-podを見つけたのだ。
その音楽再生機は私に思い掛けない幸せをくれた。


「朋也くんの声、なの」


何となく再生してみた白い機械から流れて来たのは久しぶりに聞く、大好きな人の声だった。
ただ、嬉しかった。内容なんか関係ない。
楽しかったあの日々が蘇ってくるようで、ただ涙が、泣き声が止められなかった。


……大丈夫、私は必ず生きてこの島から脱出してみせるの。
だから、天国から見守っていて欲しいの、朋也くん。
私を変えてくれて、本当に本当に……ありがとうなの。




【F-6 病院 研究棟/二日目 深夜】


929 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:13:56 ID:v3fOGZsC
 

930 : ◆tu4bghlMIw :2007/10/05(金) 20:14:01 ID:KhzAVLhQ

【一ノ瀬ことみ@CLANNAD】
【装備:Mk.22(7/8)】
【所持品:投げナイフ×2、ビニール傘、クマのぬいぐるみ@CLANNAD、支給品一式×3、予備マガジン(8)x3、スーパーで入手した品(日用品、医薬品多数)、タオル、i-pod、陽平のデイバック、衛の首輪】
【所持品2:TVカメラ付きラジコンカー(カッターナイフ付き バッテリー残量50分/1時間)、ローラースケート@Sister Princess、スーパーで入手した食料品、飲み物、日用品、医薬品多数】
【状態:肉体的疲労大、腹部に軽い打撲、精神的疲労小、後頭部に痛み、強い決意、全身に軽い打撲、左肩に槍で刺された跡(処置済み)、全身びしょ濡れ】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない。必ずゲームから脱出する。
0:首輪、i-podを解析する
1:ハクオロ達が来るのを待つ
2:ハクオロに矛盾した不信感
3:神社から離れる
4:工場あるいは倉庫に向かい爆弾の材料を入手する(但し知人の居場所に関する情報が手に入った場合は、この限りでない)
5:鷹野の居場所を突き止める
6:ネリネとハクオロ、そして武と名雪(外見だけ)を強く警戒

※ハクオロが四葉を殺害したと思っています。(ほぼ確信しています)
※首輪の盗聴に気付いています。
※魔法についての分析を始めました。
※あゆは自分にとっては危険人物。良美に不信感。
※良美のNGワードが『汚い』であると推測
※原作ことみシナリオ終了時から参戦。
※ハクオロの残りのランダム支給品はクマのぬいぐるみ@CLANNADだけでした。


 ■


<<ASPECTE――名雪>>

931 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:15:11 ID:v3fOGZsC
 

932 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:31:15 ID:UOu4xVOl


933 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 20:34:51 ID:PuQSYTsb



934 :代理投下:2007/10/05(金) 20:54:26 ID:v3fOGZsC
何で、何で、何で!?
意味が分からない。どうしてあの子が銃を撃てるの?
暴力から逃げ回るだけの、搾取されるだけの無力な肉では無かったのか?


私は血に濡れた身体を引き摺りながら自分がやって来た場所まで戻って来た。
病院には死体を運び出す為、またその他様々な用途に使われる勝手口がある。
放送より前に病院に達した私は既に院内を探索していたのだ。
そして、いくつか薬は手に入れた。
だけどコレはあの憎たらしい男や月宮あゆを殺すために温存しておいたのだ。

そう、月宮あゆ。彼女の名前は未だ呼ばれていない。
第三回の放送は聞き逃したが、四回目はちゃんと聞いた。
まぁ多分生きているだろう、生き意地だけは汚い女だ。私に殺される前に死ぬ訳が無い。
とりあえず撃たれた傷跡に麻酔薬を振り掛ける……うん、痛みが引いた。
同時に肩の辺りの感覚も無くなるが問題ないだろう。


デイパックからパワーショベルを取り出す。
入れようと思ったら普通に入ったのだ。不思議だ。
そして、思案する。
どうして負けた? 何故私は無様にも撤退しなければならなかったのだろう?

答えは簡単だ。油断したから。その一言に尽きる。
いや……解答はそれだけに留まらない。あの男も、学校で戦った男も殺す事が出来なかった。
つまり――

「けろぴーじゃ……足りない……の? でも、けろぴーから降りたらさっきみたいになる……」

935 :代理投下:2007/10/05(金) 20:56:28 ID:v3fOGZsC

もっと強い力が必要だ。でも大切なのは武器じゃない。
生身ではあんな小さなカトンボにすら状況を引っくり返される可能性がある。
ここで――私は思い出した。
あの殺した女、アイツが"千影"という名前を電話越しで呼んでいた事を。


「…………ああ、あったんだ……ふふふ、あはははははははははははははははっ!! こんなに最初のうちに、見つけていたんだ!!」

けろぴーじゃ足りない?
ううん、けろぴーは何度でも蘇る。絶対に負けないんだ。
もっと大きな機械がある。この島で最強の機械にとっくに私は出会っていたんだ。

「あははははははははっ!! 殺してやる、殺してやる……皆、全部、一人残らずッ!!!!!!」


笑い声が真っ黒い闇の中に木霊した。
ふぁいと、だよ。絶対に……殺してやる。



【E-6(線路上)/二日目 深夜】

【水瀬名雪@kanon】
【装備:槍 手術用メス 学校指定制服(若干の汚れと血の雫)けろぴーに搭乗(パワーショベルカー、運転席のガラスは全て防弾仕様)】
【所持品1:支給品一式x2 破邪の巫女さんセット(弓矢のみ10/10本)@D.C.P.S.、乙女と大石のメモ、乙女のデイパック、麻酔薬、硫酸の入ったガラス管x8、包帯、医療薬】
【状態:疲労中、右目破裂(頭に包帯を巻いています)、頭蓋骨にひび、左側頭部に出血、発狂、右肩被弾出血(麻酔で処理済)】
【思考・行動】

936 :代理投下:2007/10/05(金) 21:00:50 ID:v3fOGZsC
0:最強の機械を手に入れる
1:全参加者の殺害、一ノ瀬ことみ=カトンボに復讐する
2:月宮あゆをこれ以上ないくらい惨いやり方で殺す

【備考】
※名雪が持っている槍は、何の変哲もないただの槍で、振り回すのは困難です(長さは約二メートル)
※古手梨花・赤坂衛の情報を得ました(名前のみ)
※ハクオロという人物を警戒(詳細は聞いていないし、現在目の前にいるのがハクオロだとは気づいていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ、よって目の前にいるのが衛だとは気づいていない)
※乙女と大石のメモは目を通していません。
※自分以外の全ての人間を殺し合いに乗った人物だと思っています。
※パワーショベルの最高速度は55km。夜間なのでライトを点灯させています。またショベルには拡声器が積まれており、搭乗者の声が辺りに聞こえた可能性があります。
※また、防弾ガラスにヒビが入っています。よほど強い衝撃なら貫けるかも。
※第三回放送はまるで聞いていません。
※パワーショベルはデイパックに収容可能


 ■


<<APPENDIX――???>>


「主任、どうしたんですか? そんな悲しそうな顔して?」
「……私? え、何どんな顔してたの?」
「そう、ですね。長年連れ添った恋人を亡くしたような感じ……とでも言いますか」

部下の男がデスクにコーヒーを置きながら問い掛ける。
うん恋人か、中々いい線行ってるかもしれない。
でも……。


937 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 21:01:30 ID:KhzAVLhQ
 

938 :代理投下:2007/10/05(金) 21:02:43 ID:v3fOGZsC

「……んな訳無いでしょうが。それに私の事、幾つだと思ってんのよ」
「ははっ、まぁ軽いジョークですよ。天才少女にそんな顔は似合いませんって」
「もう……うるさいなぁ、ほら早く仕事に戻りなよ」

しっしっと手で部下を追い払う。彼は笑いながら研究室を出て行った。
そして一人、私は一人になった。
ノートパソコンの特殊機能、今回はちょっと奮発し過ぎたかな。そんな事を思った。
こっちがわざわざあんな機能を付け足しているんだから、もう少し使ってくれてもいいのに……そんな戯言も生まれる。

溜息。
監視衛星と直通しているモニターの電源を落とす。そして三十五番の首輪の生存信号が停止したのをもう一度、確認した。
手元のカップを弄りながら思わず呟く。

「まぁ――大体は合ってたんだけどね」

一気に飲み干す。
久しぶりに飲んだコーヒーは苦くて、そして……少しだけ塩の味がした。



「あ、そうだ。主任!! "鈴凛"主任……ってアレ、泣いて――」

部下が不思議そうな顔をする。そして名前、を呼ぶ。
私は彼の言葉を遮った。

「ううん。何でも……無い。ソレよりどうしたの首輪の事? それとも塔で何かあった? ……何でも聞いて。全部……答えるよ」


939 :代理投下:2007/10/05(金) 21:04:28 ID:v3fOGZsC
まだ殺人ゲームは続く。
状況が変わらない限り、ずっと私はここで主任をやり続けないといけない。だって契約者だから。
鷹野三四がいかに強力な組織を持っていようが、それは所詮昭和の技術。
そこで私に白羽の矢が立った。適当な主になる工学者がいない、そんな理由で。
他の妹を参加させない条件で私に協力を迫ったのだ。そして技術自体は西暦2034年のノウハウを使って(まぁ、完成したのは自力でも十分作れる程度の簡単なものだが)――首輪を作った。

ディーは私に言った。
「参加者が脱出できる最低限の可能性を残せ」と――それが私の契約内容。
鷹野三四も契約内容は当然知らない。
概念として首輪を解除してディーの元に参加者が来られる可能性を残す、という事は通達されているはず。
とはいえ、彼女はそれを反故にしかけない。故の私だ。鷹野によって表立った関与は全て禁止されているが。

彼女の目的は……分からない。だけど参加者を極限まで減らした方が望ましいのだろう。
誰かの優勝、それこそが最も望ましい結果な筈。

反逆の――時は未だ来ない。


【??? 基地 第一研究室/二日目 深夜】

【鈴凛@Sister Princess】
【装備:鈴凛のゴーグル@Sister Princess】
【所持品:なし】
【状態:健康、深い悲しみ、契約中】
【思考・行動】
1:研究部主任として振舞う
2:何とかして参加者の脱出の手助けをしたい
3:出来れば富竹を救出する
【備考】
※鈴凛の契約内容は"参加者が脱出できる最低限の可能性を残す"こと。
 ただノートパソコンの機能拡張以外の接触は禁止されています(また内容は監視されています)

940 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 22:57:50 ID:oTDUOyg7
耳障りな放送は終わりを迎えた。
「……畜生ぅ…………馬鹿にしやがって!!」
人の神経を逆撫ですることを目的に考えられたような内容、
梨花の隣で小休止しながらメモを取っている北川潤が怒りと悔しさの篭った声を上げた。
だが、古手梨花にとっては多少の意味がないわけではなかった。
「ハウエンクア」
全く聞き覚えの無い名前。
鷹野が「東京」の中でどのくらいの地位に居るのかは知らない。
だが、梨花の知る限り鷹野が好きに使える人間は入江機関の構成員のみのはずだ。(最も富竹も頼まれればイヤと言えなそうだが)
そして入江機関の人間で、鷹野の代役になりそうな人間と言えば小批木あたりのはずなのだが、そこに全く知らない人間が来た。
鷹野に「東京」以外の協力者がいるのはこれで確実と見ていい。
最も、ほとんど確定だと思っていた事柄が事実になっただけではあるが。

(それにしても、ハウエンクアって何人の名前よ?)
苛立ち紛れに梨花は意味のないことを考えた。
富竹が「リサ」と呼ばれていたりはするが、あれはあくまで他称であって、本人がそう名乗った事はない。
それに対してさっきのは恐らく本名、だと思う。
鷹野が本名を名乗ってるのに、その仲間が偽名を名乗っても仕方が無い。
それに、仮に偽名だとしても、もう少しまともな名前はいくらでもある。
「鷹野」の部下? の名前が「ハウエンクア」ではどう考えてもミスマッチだ。
だから、本名だと思うのだが、いったい何処の国の名前なのだろう。
(東京よりも強い力があって、外国…………アメリカ?
……だとしてもこんなことが出来るとも思えないけど)

梨花は、此処に集められた人間が異世界の人間であることは知っていたが、それでも全く異なる世界という発想は出来なかった。
なぜなら、これまで梨花が出会った中で、名前が判っている相手は皆、日本人。 そして、そのほとんどが(梨花よりも未来の人間とはいえ)普通の一般人といっていい。
(個人のプライベートにまでは踏み込んでいないため、つぐみや純一の特殊性は聞いていない。 同様に梨花も自身の特殊性は話していない)
なので、魔法といったファンタジーな世界は梨花には思いもつかなかった。

941 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 22:58:52 ID:oTDUOyg7

そしてもう一つ、大きな事柄があった。
誰一人、雛見沢ダム計画について知らなかったのである。
……確かに彼らからすれば生まれた頃の話ではあるのだが、それにしても誰一人、わずかにでも聞き覚えが無いというのもおかしい。
更に、梨花から見て未来の事柄を詳しく聞いてみたのだが、彼らは皆「平成」という時代の人間であり、「平成」の前は梨花も良く知る「昭和」、そして誰の世界でも等しく63年に終わりを迎えたという。
その他、国や首相の名前、世界一高い山などの話にも食い違いは無かった。
なので、梨花達の中では異世界=ちょっとした差異のある世界となっていたのであった。


(……まあ、考えてもわからない事を、うだうだと悩んでいても仕方ないわね。
それよりも今考えるべきなのは……)
まず、前回の放送の禁止エリアに、ホテルは含まれていなかった。
なので、当面の目的地はホテルで問題はない。
純一達も先ほどの放送で、ほぼ無事だと判明したので、ホテルへとやってくるだろう。(最も、風子の名前が呼ばれたことで、自分達を探しに戻っているかもしれないが)

なので、当面の問題は4つ。
そのうちの一つ、ホテルまでの道のり、及びホテル内に危険な人物がいる可能性。
これについては、レーダーがあるのだからほとんど問題にはならない。
ホテル内にいた場合、多少は困るがその場合は距離を取って観察してみるしかない。
(そういえばホテルに純一達がいたとして、それが彼らだと判断する情報がないわね。
迂闊だったけど、今更言っても仕方が無いか)
なので、このことは潤に少し注意を促す程度でいいだろう。

942 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 22:59:13 ID:v3fOGZsC
 

943 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 22:59:31 ID:oTDUOyg7

問題なのは残りの3つだ。
内2つは後回しでも良いのだが、1つだけ、どうしても聞いておかなければいけない事がある。
「潤、……ホテルに向かう前に聞かせて。
貴方はどこで鷹野の言葉を聞いたの?」
その言葉に北川は体を震わせたが、ややあってから顔を上げて答えた。
「……ノートパソコンだよ。
三回目の放送の後に、機能の拡張とか言って、どっかで誰かが録音した声と、鷹野のメッセージが聞けるようになったんだ」
(ノートパソコン……ね)
梨花にとってノートパソコンは未来のテクノロジーである。
なので、一人ではどうしようもない。
だから彼女は、
「潤、……辛いだろうけど、そのメッセージを私にも聞かせてもらえないかしら」
非情な言葉を口にした。
「……ああ、わかった」
北川にしても言われる事は覚悟の上だったのか、おとなしくノートパソコンを立ち上げ始めた。

少しして、“パンパカパーン”というファンファーレと共にノートパソコンの画面に、
≪一日生存オメデトウ!!≫
このメッセージをよんでいるという事は、君はまだ生きているのだな。
素晴らしい、実に素晴らしい! もっと楽しませてくれ!
そんな君に、またまたまた、僕からのささやかなプレゼントだ。受け取りたまえ。

944 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 22:59:45 ID:v3fOGZsC
 

945 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:00:04 ID:oTDUOyg7

今回の追加機能はとても素晴らしいものだ。 
何しろ一日という記念すべき時間を迎えたのだからね。
今回は、な、な、な、な――んと!! 
指定人物、あるいは物品の「現在地検索機能」だ!!
どうだい? 素晴らしいプレゼントだろう。
これで、殺したいけどどうしても見つからない憎いあん畜生や、何処にあるのかわからなくて手に入らない強力な武器なんかも一発で分かるって寸法だ。
名簿や、二回目に配信した支給品リストと併用して、バンバン活用して、沢山殺してくれたまえ。

但し二つ気をつけてくれ。
これは一回目の装置と同じで、放送ごとに使用回数が決まっているんだ。
ただ、今回は大サービスということで支給品と参加者に1度づつ使えるようになっているので勘弁してくれよ。

それともう一つ、判るのはあくまで「現在地」なんだ。
このメッセージを閉じた後に、いつものようにフォルダが現れるけど、その時にお試しとして、このノートパソコンの現在地がフォルダ内の地図に表示されることになっている。
要するに今君がいる場所だね。
ただ、その後君が移動しても、それを追跡したりはしないんだ。
だから対象が遠い場所の場合、着いた時には移動している可能性もあるので注意してくれたまえ。

それでは頑張ってくれたまえ。
また次の放送で会おう。

 差出人:「&@;」。#

946 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:00:43 ID:oTDUOyg7
そうして、梨花に読み終えた事を確認した北川が文章を閉じた後、島の地図が現れ、その中の一箇所、今の自分達の場所に赤い光点と「ノートパソコン」という文字が現れた。
しばらく二人とも黙っていたが、ややあってから
「……癪だけど、確かに使える機能みたいね」
と梨花が言った。
「ああ、確かに。
とりあえず探したい相手はほぼ見つかるだろうな」
北川はそう答えながらパソコンを操作し、別な画面を呼び出した。
「とりあえず、これが俺の聞いたメッセージだ」
そう言いながらクリックした。


◇  ◇  ◇  ◇

そうして、メッセージは終了した。
「…………」
「…………」
二人とも言葉もなかったが、ややあって梨花が、
「とりあえず、“佐藤”っていう相手が危険というくらいしか分からないわね」
と口に出した。
「え…………」
「私たちと同じような考えの人も居るみたいだけど、名前は不明……か。
特に役に立つ情報はないと言うことね」
北川の声を聞かず、梨花はそう続けた。
その梨花の言葉に対して北川は再び口を開いた
「ま、待ってくれよ梨花ちゃん、鷹野の……」
「待たないわ」
が、梨花の強い言葉に遮られた。
「ええ、待たない。
 待つ必要なんて無い。
 これはただの出鱈目、風子の過去を利用した卑劣な罠。
 ただそれだけのもの。
 こんなものに時間を割いている余裕なんてないわ」

947 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:00:53 ID:v3fOGZsC
 

948 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:01:20 ID:oTDUOyg7

反応できない北川にかまわず、叩き付けるように続ける。
そう、これはただの罠、過去に仕掛けられて、そして成功したというだけの代物、いまさら何の意味も無い。
だから、こんなものにかかわっている暇なんて無い。
「……でも、俺はこれのせいで」
「黙りなさい潤」
なおも言いすがろうとする北川を、梨花は一言で切り捨てた。
「私は、私たちは、こんなものを気にしてはいけないの。
 こんなもの躓く前に、少しでも先に進まなくちゃいけないの。
 それが、……それこそが風子の願いだから。
潤……あなたが風子を殺してしまった罪に震えるのは当然。
 けれど、そのことを恐れて前に進めないのでは、それは風子に対する侮辱よ。 そんなこと私は許さない。
 だから、今は前に進みなさい。
 風子の事は私も共に背負っていく。
 一緒に憎まれてあげる。
 全部終わったら、一緒に泣いてあげる。
 …………だから、私と一緒に、進みましょう、潤。
 多分それが貴方の、いえ、私たちの罪を償う唯一の方法だから」

声を出せない北川に、梨花は想いの全てを叩きつけた。
そう、泣いて蹲るのは簡単だ。
膝を折って悲しみにくれるのなら今すぐできる。
でも、それでは何一つ解決しない。
出ないサイコロの目を嘆くのではなく、自らの手で望む目を出そうとするという強い「意志」。
何者にも侵されざる強い決意を持った時、初めて進むべき道は開かれる。
かつて、梨花が■■から教えられた事。
その、最も大事な事を、梨花は北川へと伝えた。

949 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:02:08 ID:oTDUOyg7
◇  ◇  ◇  ◇


「……そう、だな。
 そうだった、ごめんな梨花ちゃん
俺には、まだ決意が足りなかったみたいだ。
立ち止まったりしないって、誓ったんだけどな。
 でも、今はっきりと理解できた。
 俺たちは、進み続けるしかないんだな」

そうだ、
俺は立ち止まるわけにはいかないんだ。
進み続けて、全て終わらせて、
それで、
それからゆっくり泣けばいい。

◇  ◇  ◇  ◇

潤の顔に力が篭る。
多分、もう大丈夫。
……さっきの言葉は私にも向けたものだ。
ただ、待つだけ。
いつかはサイコロの6の目が出続けて、それでゴールまでたどり着ける。
その、来もしないいつかを、ただ待ち続けていた。
雛見沢でも、ここでもだ。
その結果が、ここにある。
潤達の仲間になってから、ただ共に居ただけだった。
聞かれるまで、鷹野の事も話さなかった。
自分からは何もせず、ただ仲間としての責務を果たしていただけ。
いや、そもそもそれは仲間なんて上等なものじゃない。
ただのお荷物だ。
よけいな荷物があったから、風子は死んだ。

950 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:02:31 ID:v3fOGZsC
 

951 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:03:03 ID:oTDUOyg7
それが全てとは言わないけど、原因の内であるのは間違いない。
だから、私も進もう。
この運命から、抜け出す為に。

「進みましょう、潤。
 するべきことをやって、その後に泣きましょう。
 ……そのときは膝くらいは貸してあげるわよ」
潤の、私の意志を確認するためにそう伝えた。

それを聞いた潤は何やら少し赤くなっていたが、
「い……いや、それは…嬉し、いや、そんなことまでしてもらう訳には、その」
とか言った。
……面白い。
「みー、これでもボクのお膝は気持ちいいのですよ」
「ぬあ! し、白モード、こ、これはこれで……いやまて、これはまごうことなき犯罪だぞ。 落ち着け、落ち着け!!」
…………からかい過ぎたかしら。
でも、まあ、私たちはこういう関係なんだから、このままで行こう。
それがきっと、最も重要なことなんだから。


◇  ◇  ◇  ◇


そうして、再び彼らはパソコンへと向き直った。
そうして、今まで使っていなかったパソコンの機能を理解した。
「これは、すごく強力みたいだけど、けっこう使い辛いわね」
「名前が分からないと使えないのか……、目の取引とかないかな」
「こんな島で寿命が半分になったらこの場で死にかねないわね。
 ……まあ、名前を聞くぐらいならなんとか出来ると思うけどね」
まず、「微粒電磁波」、とても強力だ。
ただし、使用にはかなりの制限がある。
切り札と見るべきだろう。

952 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:03:05 ID:v3fOGZsC
 

953 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:03:36 ID:vM6PHG2q
 

954 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:03:53 ID:oTDUOyg7

そしてもう一つ、支給品リスト。
「この島にどんなものが支給されたのか書いてあるみたいね、でも問題なのは」
「ああ、どの物品が誰に支給されたのか分からないってことだな」
全ての支給品が分かるという優れものだ。
ただし、わかるのは名前と、どんな組み合わせになっているのか、ということだけだが。
誰が何を持っているのかは分からないし、
梨花たちには「求め」とか「地獄蝶々」とか言われても何のことだかさっぱりだ。
「まあ、これは後回しにしてもかまわないわね」
「そうだな、純一達と合流してからでいいか」
それで、彼らはそれを見るのをやめてしまった。
もう少しよく見ていれば、梨花は驚きを隠せなかっただろう。
「H173」
その恐るべき薬品が、この島に存在しているという事実を、梨花はまだ知らない。


そうして、パソコンの機能を確認し終わった後。
「……潤、一つ言っておかなければならないことがあるの」
「ん? なんだ、改まって」
急に態度を改めた梨花が北川に声を掛けた。
そうして、数十秒後。

「ふざけんじゃねえ!!」

955 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:05:03 ID:oTDUOyg7

北川の怒声が響き渡った。
「ふざけてなんかいないわ」
だがそれを聞いてなお変わらぬ梨花の声。
それがますます北川を猛らせる。
「……風子の、首輪を取るなんて、……出来るわけがねえじゃねえか!!」
梨花の話、それは風子の死体から首輪を取るということ。
それはすなわち、風子の首を切るという事に他ならない。
「……可能性の話よ、他に選択肢がないのなら、そうするしかない」
梨花の口調はあくまで平坦だった、だがそれは決して冷酷なわけではない。
それが分かっている、分かっているからこそ余計に北川は憤る。

それは、必要な事なのだ。
この島の人間の命は首輪に握られている。
だから、首輪を手に入れなければならない。
首輪を手に入れるには、……誰かから手に入れるしかない。
そして、目の前には死体が一つある。
だが、だからといって、風子の首を切るなんて事が北川に出来るはずが無い。
しかし
「そうね、今の私たちには、さっきの「現在地検索機能」があるわ。
 だから、無理に風子の首輪を奪う必要は無い。
けど、いずれにしても「誰かの」首輪は必要なの」

956 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:05:23 ID:v3fOGZsC
 

957 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:05:43 ID:vM6PHG2q
 

958 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:05:52 ID:oTDUOyg7

見知らぬ誰かの首輪を奪う。
それが正しいの選択だとは思いたくはなかった。
「だから、覚えていて潤。
 私は、そうしなければいけないなら、やるわ
 貴方に手を貸せとは言わない、でも覚悟だけは決めておいて」

梨花の言葉は、間違ってはいない。
そうしなければならないのだから、するべき事だ。

そう、だから北川は気づけた。
最もしなければならない事に。
「……分かった、そのときが来たら、俺も手伝う。
 俺の罪だけを梨花ちゃんに背負ってもらう訳にはいかない。
 梨花ちゃんが罪を犯すなら、俺も、共に背負う」

そう、今、少女の震えに気づけた。
以前の―風子の―時には気づけなかった事。
わずかな一歩、それを彼は踏み出せた。

◇  ◇  ◇  ◇

だが、彼らは失念してしまっていた。
もう一つの大事なこと。
彼らのそばに潜む悪意を。
(支給品のリストだと……)
鞄の中に潜む存在、不和の種をまこうとする存在を
(それを見ることができれば、あるいは我輩にも使えるものがあるかもしれぬ。
 ならば……ここは一先ず無害を装うべきか)
彼らに害をなすかもしれないその存在を、
梨花も北川も、完全に忘却していた。

959 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:06:39 ID:v3fOGZsC
 

960 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:06:58 ID:vM6PHG2q
 

961 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:07:01 ID:oTDUOyg7
【D-5西 森/2日目 深夜】
【北花+非常食】
1:ホテルに向かう
2:安全な場所で風子を埋葬したい
【備考】
※鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。
※電線が張られていない事に気付きました。
※『廃坑』にまだ入り口があるのではないかと考えています。
※禁止エリアは、何かをカモフラージュする為と考えています。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての知識を得ました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました

【北川潤@Kanon】
【装備】:コルトパイソン(.357マグナム弾4/6)、首輪探知レーダー、車の鍵
【所持品】:支給品一式×2(地図は風子のバックの中)、チンゲラーメン(約3日分)、ゲルルンジュース(スチール缶入り750ml×3本)
     ノートパソコン(六時間/六時間)、 ハリセン、バッテリー×8、電動式チェーンソー×7、出刃包丁、
     草刈り鎌、食料品、ドライバーやペンチなどの工具、他百貨店で見つけたもの
【状態:健康 軽い疲労】
【思考・行動】
基本:殺し合いには乗らず、脱出に向けての方法を模索
0:梨花ちゃん一人にやらせるわけにはいかないよな。
1:純一たちと連絡取りたい
2:梨花を守りながら信用できる仲間を集めこの島を脱出する

【備考】
※チンゲラーメンを1個消費しました。
※梨花をかなり信用しました。 純一、つぐみも信用しています。
※風子の死体を抱きかかえています
※チェーンソのバッテリーは、エンジンをかけっ放しで2時間は持ちます。
※首輪探知レーダーが首輪を探知する。と言う事実には気付いておらず、未だ人間なのか首輪なのかで悩んでいます。

962 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:07:57 ID:vM6PHG2q
 

963 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:08:20 ID:oTDUOyg7
※パソコンの機能について
※「微粒電磁波」は、3時間に一回で効果は3分です。一度使用すると自動的に充電タイマー発動します。
 また、6時間使用しなかったからと言って、2回連続で使えるわけではありません。それと死人にも使用できます。
※支給品リストは支給品の名前と組み合わせが記されています。
※留守番メッセージを聞く事ができます。
 たまに鷹野のメッセージが増える事もあります。
 風子に関しての情報はどこまで本当かは次の書き手様しだいです。
※「現在地検索機能」は検索した時点での対象の現在地が交点で表示されます。
 放送ごとに参加者と支給品を一度ずつ検索出来ます。
 なお、参加者の検索は首輪を対象にするため、音夢は検索不可、エスペリアと貴子は持ち主が表示されます。

【古手梨花@ひぐらしのなく頃に祭】
【装備:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に 祭  暗号文が書いてあるメモの写し
     ヒムカミの指輪(残り2回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 】
【所持品:支給品一式、風子の支給品一式、百貨店で見つけたもの、紫和泉子の宇宙服@D.C.P.S.】
【状態:頭にこぶ二つ 軽い疲労】
【思考・行動】
基本:潤を守る。そのために出来る事をする。
1:出来れば他の方法を探したい
2:純一たちと連絡取りたい
3:潤と一緒に居る
4:風子あるいは他の参加者から首輪を手に入れる
5:死にたくない(優勝以外の生き残る方法を見付けたい)

964 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:09:00 ID:oTDUOyg7
【備考】
※皆殺し編終了直後の転生。鷹野に殺されたという記憶はありません。(詳細はギャルゲ・ロワイアル感想雑談スレ2>>609参照)
※探したい人間は圭一です。
※北川をかなり信用しています。つぐみと純一の事も信用しました。
※ヒムカミの指輪について
ヒムカミの力が宿った指輪。近距離の敵単体に炎を放てる。
ビジュアルは赤い宝玉の付いた指輪で、宝玉の中では小さな炎が燃えています。
原作では戦闘中三回まで使用可能ですが、ロワ制限で戦闘関係無しに使用回数が3回までとなっています。
※梨花の服は風子の血で染まっています
※風子のバックの中身(大きいヒトデの人形 猫耳&シッポ@ひぐらしのなく頃に祭、赤いハチマキ(結構長い)、風子特製人生ゲーム(元北川の地図) 百貨店で見つけたもの)
※土永さんを抱きかかえています


【補足】
※北川たちの通ったルートでは通行が困難だったため、車はB−5の真ん中のあたりに放置しています。
 戦闘で車の助手席側窓ガラスは割れ、右側面及び天井が酷く傷ついており、
 さらに林間の無茶な運転で一見動くようには見えませんが、走行には影響ありません。
 ガソリンは残り半分ほどで、車の鍵は北川が所持したままです。
※空は月を覆うように雲が覆いはじめました。
 雨に変わるのか、晴れるのかは後続の方にお任せします。

965 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/05(金) 23:09:38 ID:v3fOGZsC
 

966 :悲しみの傷はまだ、癒える事もなく (代理):2007/10/05(金) 23:12:20 ID:v3fOGZsC

【土永さん@つよきす−Mighty Heart−】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:気絶したふりをしています、現在はバックの中。左翼には銃創】
【思考・行動】
基本:最後まで生き残り、祈の元へ帰る
0:出来れば支給品リストを見て、使えそうな物がないか知りたい。
1:もっとまともな操り人形(銀髪の少女(智代)を候補に考えている)を探す。争いの種をまく。
2:自分でも扱える優秀な武器が欲しい、爆弾とか少量で効果を発揮する猛毒とか。
3:少し冒険してでも参加者たちを扇動したい
4:基本的に銃器を持った相手には近づかない
5:川澄舞を強く警戒、出来ればもう会いたくはない
6:もしも予測が真実なら、生徒会メンバーを生き返らせて日常に帰りたい

【備考】
土永さんの生徒会メンバー警戒順位は以下の通り
よっぴー>>>>(越えられない壁)>カニ

967 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 16:34:29 ID:GVwIGeWd
ギャルゲ・ロワイヤル 作品投下スレ10
ttp://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1192001288/l50

968 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 16:35:12 ID:GVwIGeWd
埋め

969 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 16:45:11 ID:GVwIGeWd
 

970 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 16:46:49 ID:VQOB6o5q
 

971 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 16:47:11 ID:GVwIGeWd
 

972 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 16:51:44 ID:GVwIGeWd
 

973 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 16:55:20 ID:GVwIGeWd
 

974 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:03:50 ID:GVwIGeWd
 

975 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:09:27 ID:GVwIGeWd
 

976 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:10:53 ID:nFu5yUNX
 

977 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:12:26 ID:nFu5yUNX
 

978 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:14:02 ID:VQOB6o5q
 

979 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:15:58 ID:nFu5yUNX
 

980 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:21:17 ID:nFu5yUNX
 

981 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:24:39 ID:GVwIGeWd
 

982 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:27:01 ID:nFu5yUNX
 

983 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:31:45 ID:Hpty0YM+


984 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:36:28 ID:Hpty0YM+


985 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:36:34 ID:nFu5yUNX
 

986 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:37:49 ID:nFu5yUNX
 

987 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:41:00 ID:VQOB6o5q
 

988 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:42:54 ID:Hpty0YM+


989 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:43:28 ID:Hpty0YM+


990 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:43:59 ID:Hpty0YM+


991 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:44:37 ID:Hpty0YM+


992 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:45:10 ID:Hpty0YM+


993 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:52:18 ID:nFu5yUNX
 

994 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 17:57:15 ID:nFu5yUNX
 

995 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 18:27:32 ID:ENM6GuvD
 

996 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 20:04:47 ID:hFFlqwnh


997 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 20:05:19 ID:hFFlqwnh
ume

998 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 20:05:51 ID:hFFlqwnh
埋蔵

999 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 20:06:33 ID:hFFlqwnh
yakinbyoutou

1000 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/10(水) 20:07:11 ID:hFFlqwnh
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      。・∴。・。゚∵・゚・∴・。  ・∴・・。゚∵・゚・・∴゚・。゚・。   。・
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   ・。゚∵・゚・・゚・   ・∴。・∴・∴。・∴・∴     ・∴・∴・。゚・   ∴
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     ,.r'´',.r''´`ヽ,      ゚・∴゚。
    ./i ̄i,,r'´_`ヽ,.`i      ・。゚    ⊂ヽ
    i_,.`'´,.r,i'´ヽ, ,r-i、 _/⌒v⌒\   ):)
    'i,i'`´ ⌒ /::i_i'r,'i   ノ      ) :ι′
     i i、ヾ⌒ノ/::::'i,__ノ^\      |
      ヽ、_ ,r'一'′  |  |   ノ  '|               :∩
        |  |__人___|  |_/|  |               ヽヽ
       |  |      ヽ|  ト'   |   |/^ヽ            ι′
        |  |         |  |_/ ヽ__人_ノ
      ⊆, っ      とーっ

    >>1000ならクソ汁祭り開催・・・あぁん・・・

1001 :1001:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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