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ギャルゲ・ロワイヤル 作品投下スレ7

1 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/19(日) 19:01:14 ID:6ViVJSLy
ここは、「ギャルゲーキャラでバトルロワイヤルをしよう」というテーマの下、
リレー形式で書かれた作品を投下するための専用スレです。

前スレ
ギャルゲ・ロワイヤル 作品投下スレ6
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1186396490/

投下前の予約はしたらば掲示板の予約スレで行なってください。
ギャルゲロワ専用したらば掲示板
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8775/

作品に対する批評感想、投下宣言は雑談感想スレで行なってください。
ギャルゲ・ロワイアル感想雑談スレ4
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gal/1184661257/

基本ルールその他は>>2以降を参照してください。
sage進行でお願いします。


2 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/19(日) 19:01:54 ID:6ViVJSLy
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → 舞台である島の地図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。

【禁止エリアについて】
放送から2時間後、4時間後に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。

3 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/19(日) 19:02:25 ID:6ViVJSLy
【舞台】
http://www29.atwiki.jp/galgerowa?cmd=upload&act=open&pageid=68&file=MAP.png

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述する。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。

4 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/19(日) 19:03:36 ID:6ViVJSLy
【首輪】
参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
放送時に発表される『禁止エリア』に入ってしまうと、爆発する。
無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても(盗聴されても)爆発する。
なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
たとえ首輪を外しても会場からは脱出できない。

【デイパック】
魔法のデイパックであるため、支給品がもの凄く大きかったりしても質量を無視して無限に入れることができる。
そこらの石や町で集めた雑貨、形見なども同様に入れることができる。
ただし水・土など不定形のもの、建物や大木など常識はずれのもの、参加者は入らない。

【支給品】
参加作品か、もしくは現実のアイテムの中から選ばれた1〜3つのアイテム。
基本的に通常以上の力を持つものは能力制限がかかり、あまりに強力なアイテムは制限が難しいため出すべきではない。
また、自分の意思を持ち自立行動ができるものはただの参加者の水増しにしかならないので支給品にするのは禁止。

【予約】
したらばの予約専用スレにて予約後(ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8775/1173505670/l50)、三日間以内に投下すること。
原則三作以上投下した書き手のみ、二日間の予約延長が認められる。

5 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/19(日) 19:04:08 ID:6ViVJSLy
2/6【うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
  ○ハクオロ/●エルルゥ/●アルルゥ/●オボロ/○トウカ/●カルラ
3/3【AIR】
  ○国崎往人/○神尾観鈴/○遠野美凪
2/3【永遠のアセリア −この大地の果てで−】
  ○高嶺悠人/○アセリア/●エスペリア
2/2【Ever17 -the out of infinity-】
  ○倉成武/○小町つぐみ
1/2【乙女はお姉さまに恋してる】
  ○宮小路瑞穂/●厳島貴子
4/6【Kanon】
  ●相沢祐一/○月宮あゆ/○水瀬名雪/○川澄舞/●倉田佐祐理/○北川潤
1/4【君が望む永遠】
  ●鳴海孝之/●涼宮遙/●涼宮茜/○大空寺あゆ
1/2【キミキス】
  ●水澤摩央/○二見瑛理子
4/6【CLANNAD】
  ●岡崎朋也/○一ノ瀬ことみ/○坂上智代/○伊吹風子/●藤林杏/○春原陽平
2/4【Sister Princess】
  ○衛/●咲耶/○千影/●四葉
3/4【SHUFFLE! ON THE STAGE】
  ○土見稟/○ネリネ/●芙蓉楓/○時雨亜沙 
2/5【D.C.P.S.】
  ○朝倉純一/●朝倉音夢/●芳乃さくら/○白河ことり/●杉並
3/7【つよきす -Mighty Heart-】
  ●対馬レオ/●鉄乙女/○蟹沢きぬ/●霧夜エリカ/○佐藤良美/●伊達スバル/○土永さん
2/6【ひぐらしのなく頃に 祭】
  ○前原圭一/●竜宮レナ/○古手梨花/●園崎詩音/●大石蔵人/●赤坂衛
1/3【フタコイ オルタナティブ 恋と少女とマシンガン】
  ●双葉恋太郎/○白鐘沙羅/●白鐘双樹

【残り33/63名】 (○=生存 ●=死亡)

6 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/19(日) 19:04:59 ID:6ViVJSLy
テンプレ終了
以下灯投下どうぞ

7 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:42:05 ID:aZGqAF/D
(思ったよりも回復している、まだ痛むが……まだやれる。俺はやれる)

博物館にいて休憩していた国崎往人は今は離れD−2の公園の近くに来ていた。
2時間以上も休憩したお陰か体力も大方回復していた。
だが骨折した左腕は痛みが止まる気配がない。
(ちっ……左は使い物にはならないか……だが右は大丈夫なんだ。右さえあれば銃が撃てる!)

右の手にあるのは黒光りするリボルバー――コルト M1917――。
この銃で4人も殺した。
エルルゥ。
佐祐理。
エスペリア。
アルルゥ。
この島で皆懸命に生きていた。
そんな人達をを自分の手で殺した。
ただ観鈴を護る為。

(こんな自分、観鈴には見せられないな……いや俺は常に冷酷な仮面を付けてないといけない、観鈴にどう言われてもだ)

自分はただの冷酷な殺人者でなければいけない。
人を殺すことに自分が傷ついても、観鈴だけは護る。

それが国崎往人の信念。
もう人を殺すことに戸惑いはない。
それはただ観鈴の為。

8 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:42:20 ID:eInD6sfP
  

9 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:42:45 ID:ZEhxK2+f


10 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:43:42 ID:aZGqAF/D





(ここは俺が佐祐理を殺した場所……ってあれは!?)

公園に来た往人が見たもの。
それは忘れらない姿。
金髪のポニーテール。
そう、それは

「観鈴!!!」

その瞬間、往人は駆け出した。





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







11 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:44:29 ID:PxK2o6P2


12 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:44:38 ID:aZGqAF/D
「……悠人さん、遅いですね」
食事を終えジュースを飲んでいた観鈴がそう呟いた。
「そうね、でももう少ししたらくると思うわよ」
瑛理子はエスペリアの首輪を調べながら答えた。

その時公園を見回っていたハクオロが帰ってきた。
「ふう、ただいま、見つけたのがあるのだが、その前に何か飲み物をくれないか?」
「おかえりなさい、はいどうぞ」
観鈴が飲み物を渡した。
ハクオロが飲もうとするが、
「あの……観鈴? どんなにすっても出てこないのだか?」
ハクオロが飲もうとしていたものは

「美味しいですよ、これ」
「だからそれ以前に出てこないのだが……」

どろり濃厚だった。

瑛理子が訝しげに
「本当にでないの? 貸してハクオロ」
「ちょっと待ってくれ、勝手に取るな」
「あ、本当に出ない……観鈴なんであなた飲めるの?」
「普通にしてるだけですよ……瑛理子さん、それ間接キスですよ」
瞬間、瑛理子の顔が赤くなり
「ちょっちょっと観鈴何言ってるの! もう、ハクオロ貴方のせいだからね!」
「何故私のせいなのだ……」
「あははは」

13 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:44:49 ID:ZEhxK2+f


14 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:45:36 ID:eInD6sfP
 

15 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:46:27 ID:aZGqAF/D




そこにはとても微笑ましい光景があった。
その光景に割り込む一つの声。

「観鈴!!!」

その声が聞こえた時ハクオロは銃を構え警戒する。
その声の持ち主はこれから会おうとしていた者だった。
そう

「往人……さ……ん」

国崎往人その者だった。
往人は観鈴から10メートル近い所で止まり
「観鈴、無事だったんだな」
さらに近づこうとするが、
「動くな、そこで止まれ」
ハクオロが銃を向けそれを止めた。

「何故止める……お前は!?」
「そうか、お前が観鈴を……って言う事は観鈴、まさか俺が……」
「うん……知ってるよ。往人さん殺し合いに乗ってるんだよね」
「……ああ、そうだ」




16 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:46:44 ID:eInD6sfP
   

17 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:47:56 ID:aZGqAF/D
往人は辛かった。
自分が殺し合いに乗っていることを観鈴が知ってることに。
自分が殺し合いに乗っていることを知っていることで観鈴が苦しんでいるだろう。
そして自分に殺し合いをやめる様を説得してくるだろう。
それがたまらなく嫌だった。
決意が揺らいでしまいそうで。


そして往人の予想通り観鈴は説得を始めた
「往人さん! 人殺しなんてやめようよ!」
「……嫌だ……俺はやめない」
往人は顔を背け言った。
「どうして!? そんなの往人さんらしくないよ! 往人さんは優しい人だもん……人殺しをして平気な訳ないよ!」
「買い被り過ぎだ……俺は人殺しをして平気な人間だ」
「違うよ! 優しい人だよ、だって私の為に殺し合いをしているのでしょう!」
「ああ、そうだよ……」
「なら、止めて! 私は嬉しくない!」

観鈴が悲痛な顔をし叫ぶ。

(やめろ! 観鈴、もう俺にそんな事言うな……頼むから!)
往人にはもう耐えられなかった。
これ以上聞いてると人殺しを止めそうで。
でも観鈴のためには止めることはできない。
だから

「観鈴、もういい。俺はどんな事でも止めない。だから黙っていてくれ。決着をつける」

そう拒絶し突き放した。

18 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:48:06 ID:ZEhxK2+f


19 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:48:33 ID:eInD6sfP
   

20 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:48:57 ID:aZGqAF/D

「往人さん!」
「お願いだ。黙ってくれ。もう一度言う、俺はどんな事でも殺し合いを止めない。お前の為に、だ」
「そんな……往人さん、止めてよ、お願い……お願いだから! 嫌だよ……往人……さん」

観鈴は耐えられなくなり泣き出した。
往人の説得が失敗したことに。
往人がもう止まれない所まで来ていることに。
自分には往人を止める力がないこと。
そしてこれから起こるであろう戦闘にただ涙を流した。





往人は泣いてる観鈴が気になったが、ハクオロに銃を向け
「そういう事だ、ハクオロ。俺は冷酷な殺人者だ。今まで観鈴を護っていた事に礼を言う。後は俺が護る。お前達には死んでもらう」
「結局、お前は変わらなかったのか。60人以上の命を引き換えに観鈴を生かそうというのか? 観鈴に罪を負わせようというのか?」
「ああ、俺はどんな手を使ってでも観鈴にを生かす」
「愚かな……何というエゴを持っているんだ。それに私にもお前が冷酷だとは思わない」
「何だと?」

ハクオロは観鈴に目をむけ
「観鈴が話をしている時、お前は苦しそうだった、本当は殺人をすることは嫌なんじゃないか?」
「そんな……そんな事ない! 俺は……俺は観鈴のためなら殺すことに戸惑いはない!」
「そうには見えんがな……まあいい、お前に聞きたいことがある。アルルゥを殺したのはお前か?」
「……ああ、おれがやった」、
「……っ、そうか、お前が大切な家族を殺したのか」
「家族? そうなのか……なら教えよう。エルルゥを殺したのも俺だ」
「何だと!?」


21 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:49:07 ID:eInD6sfP
 

22 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:50:02 ID:aZGqAF/D
ハクオロは怒りに身を任せようとしたが

(だめだ、怒りに任せてはいけない、落ち着け、今は観鈴と瑛理子を守るのが先決だ)
瞬時に怒り納め

「そうか、ならもう言葉を交わすこともないだろう」
「ああ、決着を」

ハクオロと往人は互いに銃を向け合った。
もう言葉は要らない。
後は力にて自分の信念をぶつけるだけ。

そこに今まで黙っていた瑛理子が
「なら私も力を貸すわ、借りも有るしね」
だがハクオロは
「いや、私1人で戦う。瑛理子は怪我をしてるしな」
「でも!」
「大丈夫だ、瑛理子。私は負けない」
ハクオロの気迫に押され
「……わかったわ。観鈴は任せて」
瑛理子は観鈴をつれ、少し2人から離れた位置に向かった


23 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:50:15 ID:p/83J1WS


24 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:50:51 ID:eInD6sfP
   

25 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:50:51 ID:aZGqAF/D




瑛理子が離れたのを観てハクオロは改めて銃を向け
「さあ始めようか、往人。エルルゥやアルルゥ達の為にも、観鈴や瑛理子の為にも、私は負けない。往人、お前を倒す」

往人もハクオロに改めて銃を向け
「ああ始めよう、ハクオロ。観鈴を俺の力で守り通す為にも、俺は絶対負けない。ハクオロ、お前を殺す」


目的は一緒。二人は大切な人を仲間を護りたいだけ。
ただ向かうベクトルが違った。
ハクオロは仲間と力を合わせここからの脱出。
往人は参加者を殺し、大切な人を優勝させる。
ただそのベクトルの違いで2人は戦うことになった。
大切なものを護るため。
そして始まる。
互いの信念をぶつける戦いが。





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








26 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:51:15 ID:ZEhxK2+f


27 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:52:34 ID:p/83J1WS


28 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:52:38 ID:aZGqAF/D
互い銃を向け合ってからどれくらい経ったのだろうか?
5分経ったかもしれないし、三十秒しか経っていなかいもしれない
そして

「止めてください! ハクオロさん、往人さん、戦わないで! 嫌だよ! 2人とも死んで欲しくない! 嫌だよぉぉぉぉ!!」

戦いは二人が護るべき少女の叫びを持って始められた。
観鈴の思いとは反し二人は殺し合いを始める。


まず動いたのはハクオロ。
銃を持ってない手で陽平から奪った投げナイフを往人に向かって投擲する。

「くっ、やはり銃以外にも武器はあったか」
往人はすかさず左方向飛び避けたが

「まだだ」
ハクオロがもう銃を構えていた。
「くそっ、中々やる!」
ハクオロが銃を撃つ刹那、往人はさらに左へ避けていた。
銃弾は往人の元のいた位置を通った

打っては避け、打っては避けを3,4回繰り返したのだろうか。
往人は焦っていた。
(くそ、ハクオロに完璧に遊ばれてるな。あいつ、相当戦いなれてやがる……いずれ弾は尽きる、そこを待つ)
それは仕方ないかもしれない。
往人がこの島で沢山戦ってきたとはいえ、ハクオロは国の皇として戦場で何度も命のやり取りしてきたのだ。
その差が大きくハクオロを有利にしていた。

そして往人は気付いていなかった。
ハクオロがじょじょに往人との距離を縮めていたことに。


29 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:52:55 ID:eInD6sfP
 

30 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:54:05 ID:aZGqAF/D
そしてハクオロが最後の銃弾を放った。
「当たってたまるか!」
往人がその銃撃をかわした時、往人は驚愕した。
「何!?」
ハクオロが往人に向かって突進してきたのだ。
その時やっと往人は距離が縮まっている事に気付いた。
が、もうその時には遅かった。
「うおおおおぉぉ!!」
「がぁあ!」
もろに突進を直撃しそのままハクオロは
「はあ!」
鳩尾を殴りそして
「終わりだ!」
「ぐあああ!」
あいた背中に手刀を加えた。

それは往人を倒すために考えた策。
ハクオロは完璧に往人を気絶させることができると思っていた。
観鈴の叫びを聞いた時、もう往人を殺す気はなかった。
だがそれは甘かった



31 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:54:17 ID:eInD6sfP
   

32 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:55:15 ID:aZGqAF/D
(畜生! 俺は負けるのか。観鈴を守ることはできないのかよ!)
薄れ行く意識の中で往人は自分の不甲斐無さを呪った。
「なんだ、往人、お前の信念はそんなものなのか? 買い被りすぎたか」
ハクオロがそう呟くのが聞こえた。
(違う! 俺は負ける訳にはいかない! こんな所で死ぬわけにいかないんだ!)
今にも落ちる意識をとどめ
(俺が、俺自身の力で観鈴を護るんだ。どんなことでも! 護るしかないんだ! くたばる訳には行かないんだ)

だから

「俺が!! 観鈴を! 護るんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

往人は完璧に意識を覚醒させた。




往人の予想外の覚醒にハクオロは反応できかなかった。
覚醒した往人はハクオロに突進し、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ぐっ!」
蹴り飛ばした。
蹴られたハクオロは尻餅をつき立ち上がった時もう遅かった。
少し離れた所に銃を構えた往人がいた。避けられる位置ではなかった。
「チェックメイトだ」
往人がそう告げ
「何か、遺言があるか?」
それは全力で戦った人間への敬意だった。

33 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:55:30 ID:eInD6sfP
     

34 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:56:31 ID:aZGqAF/D
ハクオロは
「そうだな、観鈴をよろしく頼む。それとまだ瑛理子を生かしておいてくれ」
「何故だ?」
「彼女は首輪を解除できる力がある、首輪解除できればきっと突破口がみつかるはずだ、頼む、往人」
往人は少し考え
「わかった、善処する」
往人にとってもこの首輪は邪魔だった。
なによりも今まで観鈴を護ってくれた人間の願いなのだ。
だからハクオロの願いを聞き入れた。

ハクオロは満足そうにうなずき
「そうか……礼言う、それと観鈴、瑛理子護れなくて本当にすまない」
「ハクオロ!」
「ハクオロさん!」
2人の叫びが聞こえた。ハクオロはそれに答えずに
「やってくれ。往人」
目を閉じた。
浮かぶのはエルルゥたちと過ごした日々。観鈴、瑛理子と過ごした数時間。
(観鈴、瑛理子護れなくて本当にすまない、エルルゥ、アルルゥ、カルラ、オボロ、今行く。トウカ、後を頼む)
「ああ、後は任せろ、ハクオロ」

その掛け声とともに1発の銃声が鳴った。
その直後鮮血が流れた。

35 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:56:41 ID:ZEhxK2+f
ガクガク

36 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:56:54 ID:eInD6sfP
 

37 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:57:39 ID:aZGqAF/D




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・





だが、鮮血を流したのはハクオロではなく――――



「駄目ぇーーーーーーーーーー!!!」


その瞬間に観鈴がハクオロのまえに飛び出した。

そう、血を流したのは――


「観鈴ーーーーーーーーーーーーっ!!!!」



観鈴だった。


弾は観鈴の腹部の中央辺りを貫いていた。誰が見ても致命傷だった。

38 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:58:03 ID:ClPs5LaH


39 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:58:18 ID:ZEhxK2+f


40 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:58:37 ID:eInD6sfP
 

41 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 19:58:54 ID:aZGqAF/D

往人は信じたくなかった。
自分が打った銃で観鈴が死んでしまうことに。
そう自分が観鈴を殺すという最悪のケースを。

そんな最悪の考えを振り払い往人は観鈴の傍に駆け寄る。
ハクオロも瑛理子も観鈴に駆け寄った。
「この馬鹿……なんでこっちに来るんだよ!」
往人が泣きそうな顔し言った。
「だって……往人さんに人殺しをして欲しくなかった……ハクオロさんに死んで欲しくなかった……」
「だからって観鈴が身代わりになる必要があるかよ……いやだ、俺は観鈴は殺したくない……!」
往人は耐えられなくなり泣き出す。

瑛理子が悲痛の顔をしてハクオロに
「ねぇ! 観鈴、大丈夫でしょ……死んだりしないよね……?」
だがハクオロ首を横に振った。
彼も耐えている様だった。
「嘘……お願い、観鈴を助けてよ……やっと出来た友達なのに……ねえ!」
瑛理子も耐えられなくなり泣き出した。

42 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 19:59:00 ID:ZEhxK2+f


43 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:00:03 ID:ZEhxK2+f


44 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:00:13 ID:aZGqAF/D

「ねえ……往人さん、最後の願い、聞いてくるかな……」
観鈴は息も絶え絶えに言った。
「最後じゃない! これからもずっとなんでも聞いてやるから! だからそんな事言うなよ……」
「……往人さん……お願い……もう人殺しなんかしないで……もう自分を苦しめないで……」
「もう私は十分幸せだから……今度は往人さん……幸せになって……」
「馬鹿……まだお前は幸せじゃないだろう……これからもずっとずっと生きて、もっともっと幸せを手に入れるんだよ!」
いまの往人はもう冷酷な殺人者じゃなかった。
ただ愛する者を失おうとする悲しき者だった。

観鈴は言葉を続ける。
「往人さん優しくて、強い人だから……今度は私の代わりに困ってる人を助けてあげて……人殺しなんかしないで」
「往人さんの罪は生きてればきっと償えるから……どれくらいかかるか分からないけど……きっと償えるから」
「だから生きて! 幸せにずっとずっと笑って生きて! これが私の願いです……往人さん約束してください」
観鈴はまっすぐ往人を見ていった。

往人は
「ああ、約束する、だから、だから死なないでくれ、観鈴! 俺は殺したくない!」
「本当に?」
「本当だ! 約束する! 国崎往人はもう人殺しなんかしない! 罪を償う! 俺は幸せにずっとずっと生きる! だから死ぬな、観鈴! 幸せになるにはお前が必要なんだよ!」
「じゃあ……指きりしませんか?」
「ああ、しよう」
2人の指が重なる
「これでもう約束破っちゃだめだよ……往人さん」

45 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:00:13 ID:eInD6sfP
 

46 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:00:57 ID:aZGqAF/D

観鈴はハクオロと瑛理子の方を向き
「ハクオロさん、瑛理子さん……やったよ……私……往人さん……止めることができたよ……やっと……やっと」
ハクオロはうなずき
「ああ、よかったな……だからもう喋るな……喋らないでくれ」

観鈴はにっこりと笑い

「うん……この島に来ていろんなことがあったけど……つらかったり、苦しかったりしたけど……私、がんばってよかった!」
「往人さんを……止められたのもひとりきりじゃなかったから……ハクオロさん……瑛理子さん、ありがとう……」

そしてハクオロのほうに向き
「ハクオロさん……ありがとう、ハクオロさんのお陰で……ここまで来れた……お父さんみたいでした……ありがとう……瑛理子さんをちゃんと見ていてくださいね、それと往人さんお願いします」
「こっちもそうだ……観鈴のお陰で助かった……ありがとう……瑛理子のことは任せてくれ」
ハクオロはそう言うと涙を一粒流した。本人は気付いてないのだが。

観鈴は今度は瑛理子のほうを向き
「瑛理子さん……ありがとう……瑛理子さんが友達でよかった」
「私もよ、観鈴が友達でよかった……だから遺言みたいなこと言わないで……!」
「私、瑛理子さんから色々教えてもらった……これからも友達ででいてくれますか?」
「もちろん、そうに決まってるじゃない……これからも……ずっと! ずっと! ずっーーと! 友達だよ!」
「えへへ……嬉しいな……私もです……ありがとう」
「こちらこそ……ありがとう」
瑛理子はそう言うとまたぼろぼろと涙を流した。


47 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:01:45 ID:ZEhxK2+f


48 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:02:02 ID:aZGqAF/D


観鈴は今度3人を見渡し
「がお……皆……悲しそうな顔してるよ……笑顔だよ……笑ってよ」
「ほら……ぶい」
観鈴は震える手で必死にピースをした。

三人とも笑える状況ではなかった。

でも観鈴が
「ほら……ハクオロさん……ぶい」
「ああ……ぶい」
ハクオロは必死に笑顔を作りピースをした。

次は瑛理子
「瑛理子さん……ぶい」
「ええ…………ぶ……い」
瑛理子は泣きながらも笑顔を作りピースをした。
それはとても綺麗とはいえなかったが 一生懸命に作った心からの笑顔だった。

そして往人
「往人さん……ぶい」
往人は必死に笑顔を作ろうとした。でもその前に涙が出てきてしまいなかなか作れなかった
それでも必死に涙を抑え
ついに

「ああ…………ぶ……い」

心からの笑顔とピースを作った。
この島ではじめて作った満面の笑顔。
確かにこの時、往人は笑っていた。


49 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:02:04 ID:eInD6sfP
 

50 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:02:49 ID:aZGqAF/D


観鈴は満足そうに
「にはは……みんな……笑顔……とても幸せ」
そして往人に
「往人さん……これからも笑ってください……ずっとずっと幸せに……笑顔で……生きてください」
「ああ……約束する……絶対に……絶対にだ!」
「うん……約束……最後にお願い……」
「何だ……?」

観鈴は一呼吸つき
「キス……してくれませんか」
往人は驚きながらも
「ああ……わかった」
手をつないだ。
どんなに汗が滲んでもずっと手を離さない。
観鈴をそっと抱きかかえ、

「ほら……」


キスをした。
それは永遠とも思える時間。
2人はキスしていた。

51 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:02:57 ID:ZEhxK2+f


52 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:03:42 ID:aZGqAF/D
そっと往人が離れ
「これからも……ずっとずっと一緒だ」
そういった。
観鈴は満足そうに笑い
「うん……往人さん……ありがとう……やっと……たどり着いた……ずぅーっと……探してた場所……幸せな場所……ずっと……しあわせなばしょ……皆……笑顔……往人さんと一緒……」

そして

「……往人……さん……大……好き…………」

静かに目を閉じた。

「おい……? 観鈴?……冗談だろ……おい……観……鈴……」

もう動かなかった。
観鈴は静かに、けど笑顔で逝った。

「そんな……嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! みすずぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

往人の叫びが悲しく響く。
青空に。

53 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:03:49 ID:ZEhxK2+f


54 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:04:32 ID:ZEhxK2+f


55 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:04:55 ID:eInD6sfP
   

56 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:05:51 ID:aZGqAF/D





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








57 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:06:55 ID:ZEhxK2+f


58 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:07:02 ID:aZGqAF/D
にはは、皆、笑顔だったな。
一番好きな人達が笑ってる。
これからもずっと笑顔でいてほしいな。
誰よりも遠くにいってもここからまた笑ってくれるかな?

今私の目に見えるのはあの日の夏。
往人さんと出会った夏。
感じるのはあの日の夏の匂い。

沢山の思い出があります。
他にはなにもいらないぐらいに。
ハクオロさんと笑った事。
瑛理子さんと友達になった事。
往人さんとキスした事。
3人とも素敵な思いでありがとう。
思い浮かぶのは育ったあの海の匂い

誰よりも遠くにいってもここからまた笑ってくれるかな?
瞳を閉じればふっとあの日の青空。



やっとゴールした私、神尾観鈴の生涯は短くてちっぽけのものかもしれないけど、とてもとても笑顔溢れる幸せなものでした。




                  ありがとう。


59 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:07:45 ID:ZEhxK2+f


60 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:07:52 ID:eInD6sfP
 

61 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:08:06 ID:p/83J1WS


62 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:08:34 ID:aZGqAF/D






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・






「俺が……観鈴を……殺した……観鈴を……殺した……」
観鈴が息を引き取ってから往人は絶望していた。
自分が観鈴を殺した。
護るべき者だったのに。
大好きな人だったのに。

「……もう、観鈴もいない……俺はもう……ここに居る……必要もない」
往人は銃を持ち銃口を自分の頭に向けた。
観鈴はもう居ない。
だから自分も居る必要がなかった。
そして
「観鈴……今行くよ」
トリガーを引こうとした。

しかし
「止めろ!」
それに気付いていたハクオロが銃を弾いた。

63 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:09:36 ID:ZEhxK2+f


64 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:10:07 ID:cvC0iPjq
 

65 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:10:30 ID:aZGqAF/D
「……なんで、殺さしてくれない? 俺はもう居たくない」
往人が虚ろな目をしていった。
そんな往人にハクオロは怒り
「馬鹿者っ!!」
「ぐっ」
往人の顔面をもろに殴った。

ハクオロは続けて
「いいか! お前のやろうとしてた事は観鈴への侮辱でしかない!」
「侮辱だと……?」
「ああ、そうだ! 観鈴はお前に何を言った! 幸せに笑顔で生きろと言った! 約束をしたんだろう!」
「それをお前は破ろうとしている! 何の為に観鈴は頑張った? お前に生きてもらいたいから、命を懸けてお前を止めたんだろう!」
「それを何だ、自殺をするだと! お前は観鈴の頑張りを無駄にする気か! ふざけるのもいいかげんにしろ!」
「ああ……そうか、観鈴の約束を破ろうとしていたのか……俺は……最悪だ……」

「それだけじゃない。お前は今までお前が殺めた人間も侮辱したのだ!」
「お前は殺した人間の全てを背負って生きていかなければならないのだ! 今のお前は自分の犯した罪から逃げているだけだ!」
ハクオロは往人にじぶんの思いをすべて伝えた。
全ては観鈴の願いのため。
往人に幸せに笑顔で生きて欲しいと。
だからこの男を死なせてはならない。
そう思った。

66 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:10:34 ID:ZEhxK2+f


67 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:11:01 ID:cvC0iPjq
 

68 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:11:47 ID:cvC0iPjq
 

69 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:12:29 ID:cvC0iPjq
 

70 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:12:39 ID:aZGqAF/D

「なら、生きろ!」
「生きて、生きて罪を償え! 観鈴の約束を守れ! 幸せに笑顔で生きろ!」
「お前はもう殺人をする必要はない!」
「いいのか? 俺は生きていいのか? 俺はもう元にもどっていいのか?」
「ああ、生きていいに決まっているだろう! それが観鈴の願いなのだから」

往人は憑き物が落ちたように
「ああ、もういいのか。 俺はもう仮面を被ってなくていいのか」

そしてついに往人は戻った。
冷酷な殺人者から、本来の心優しい青年に。
そして表れるのは罪の意識。
今まで殺してきた者への。
とたんに心が張り裂けそうになる。
殺人者だった時は感じなかったもの。
それを感じた途端往人は涙が溢れ出し、

「うあ……ごめん……ごめん」

殺した者への謝罪を口にした。
「エルルゥ……ごめん……佐祐理……ごめん」
謝罪するだけでは到底たりないけど
「エスペリア……ごめん……アルルゥ……ごめん」
少しでも届けと口にした。
そして
「観鈴……ごめん」
自らの手で殺した最愛の者にあやまった。
それとあの時伝えられなかった自分の思い、それをを伝えた。

71 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:12:46 ID:pip32a5K
 

72 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:13:18 ID:aZGqAF/D
「俺も……観鈴の事……お前に負けないくらい……大好きなんだよーーーーーーーーー!!」

そしてまた泣き出した。
後悔は沢山ある。
でもこれから笑って生きていくために
悲しみを全て吐き出した。
もう泣かないために。







往人が泣いてる時瑛理子は往人に気付かれないように銃を向けていた。
往人を殺すために。
それに気付いたハクオロは
「瑛理子! 何をするんだ!」
瑛理子を押さえつけ止めた。

「ハクオロ、止めないで! 私はあの男を許さない!」
瑛理子は怒りながら言った。
「観鈴は大切な友達だった! なのにあいつは殺した!」

やりきれない思い。
瑛理子はそれを往人への恨みにかえた。

ハクオロは瑛理子を諭すように
「だからといって私は殺すことは許すことは出来ない。そんなことをしても観鈴は喜ばない、悲しむだけだ」

73 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:13:22 ID:cvC0iPjq
 

74 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:14:02 ID:cvC0iPjq
 

75 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:14:40 ID:eInD6sfP
 

76 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:14:45 ID:aZGqAF/D

瑛理子は観鈴の名前が出た途端落ち着き始めた
「ハクオロ……あなた、ひどいわ……観鈴の事出されたら何も出来ないじゃない」
「もう殺そうとしない……でも私はあいつを許せない!」
「なら……彼の罪だけ赦さなければいい。他の皆が赦してもお前はその罪を赦すな。それが彼のためにもなる」
「罪を……ええわかったわその役目、私が引き受けるわ。それと少し話を聞いて」

瑛理子は自分の思いを語り始めた。
「私、観鈴と友達となって人との触れ合いのよさ初めって知った」
「観鈴は私から色々教えてもらったと言うけど教えてもらったのは私の方」
「だから観鈴とずっと一緒にいたかった。まだまだ色々教えて欲しかったのに」
瑛理子の声が震え始めた。
「なのに……どうして観鈴が……どうして観鈴が死ななきゃならないのよ……!」
「瑛理子、もう抑えるな、泣いていいんだ」

そして
「うわあああああああああぁぁぁぁぁん!!」
大声上げて泣き始めた。
それをハクオロがそっと抱きしめる。
「やっと……出来た友達なのに……」
「もっと……話がしたかった」
「もっと……笑いあっていたかった」
「なのに……どうして……どうしてぇ……」

瑛理子は泣き続けた。
親友を思って。

77 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:15:12 ID:p/83J1WS


78 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:15:17 ID:cvC0iPjq
 

79 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:15:46 ID:aZGqAF/D







 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







観鈴が亡くなってから少し時間が経った。
3人とも少しずつ落ち着き始めた。
そんな中ハクオロが往人に
「往人、お前はこれからどうする? 人殺しはしないんだろう?」
「ああ、もうどんな事があっても絶対しない。」
そしてこれからするべき事を伝える。
「俺は観鈴との約束どおり困ってる人を助ける。がらじゃないが、約束だからな。それとどんなに時間がかかっても罪を償う」
「そうか、ならそれでいい」
ハクオロは満足そうにうなずいた。
「そのために聞きたいがある。月宮あゆ、遠野美凪を知ってるか?」


80 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:15:58 ID:ZEhxK2+f


81 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:16:23 ID:aZGqAF/D
往人が人殺ししないのなら、
あゆ、美凪は助けておきたかった。
あゆは同行者である乙女が死んでるし、美凪は知り合いだったからだ。
2人とも独りでは生きていけないだろう。
だから自分の手で保護しておきたかった。
もう後悔しないために。

ハクオロは残念そうに
「残念だが知らないな」
往人は瑛理子の方を向いた。
そこで瑛理子の髪形が変わってる事に気づいた。
「私も知らないわ……どうしたの?」
「いや……そのリボン」

瑛理子は今観鈴がしていたリボンで観鈴と同じポニーテールにしていた。

「ああ、これ、観鈴から借りたの。観鈴が生きていた事残したくて」
「そうか、似合っている、観鈴も喜ぶだろう」
「ええありがとう……国崎往人、私は他の人が赦しても私はあなたの罪は赦さない。この意味解る?」
「ああ、そういってもらうと助かる。全ての人に赦されるとだめになってしまうかもしれないからな」
「そういう事よ」

82 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:16:51 ID:p/83J1WS


83 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:17:34 ID:cvC0iPjq
 

84 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:18:11 ID:aZGqAF/D

瑛理子との会話を終えハクオロの方を向くと
「往人、さっそく罪を償う機会がある。これから私達はエスペリアの仲間と会う事になってる。どうだお前も会うか?」
「本当か!? 会わせてくれ」
瑛理子があわてて
「ちょっと今の悠人さんに合わせて大丈夫なの?」
「大丈夫だ何かあったら往人は私が守る、観鈴に言われたしな」
「そう、ならいいわ」
「そういうことだ、往人。彼はここに来る。それまで待とう」
「ああ、わかった」

「悠人達ぐがるまで、観鈴を埋葬しよう。あと、もう一つ遺体を見つけたんだ。それも埋葬しよう」
ハクオロが提案した。
往人が顔を伏せ
「もう一つはたぶん俺が殺した者のだ。俺に埋葬させてくれ」
そのもう1つの遺体は倉田佐祐理のだった
「ああ、わかった」
ハクオロが了承した。

3人とも観鈴の遺体を見てそれぞれ思いをめぐらせた。

85 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:18:13 ID:eInD6sfP
 

86 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:18:41 ID:aZGqAF/D






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







観鈴。お前には命を救ってもらったな。
ありがとう。
お前の笑顔が救いだった。

向こうに着いたらエルルゥ、アルルゥと仲良くしてくれ。
2人とも私の大切な家族だ。
アルルゥは人見知りをするがお前ならすぐ仲良くなれるだろう。
だから2人と友達になってくれ。

まだそっちにはいけないが
どうか元気で

           
        
          ありがとう

87 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:18:49 ID:cvC0iPjq
 

88 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:19:16 ID:aZGqAF/D






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








観鈴、リボン借りたわよ
私はあなたのように似合うか分からないけど
大切に使うから。 

私、あなたの友達でよかった。
だって笑顔でいる事が楽しくなったから。
不思議ね
これからもずーーーーーっと友達だから。
親友と思ってるから
観鈴もそう思ってくれるかな?

私あなたのようにがんばるから
ずっと観ててね



         ありがとう

89 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:20:19 ID:cvC0iPjq
 

90 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:20:24 ID:eInD6sfP
  

91 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:20:35 ID:aZGqAF/D






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








92 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:21:19 ID:cvC0iPjq
 

93 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:21:22 ID:eInD6sfP
 

94 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:21:25 ID:0UUlMXdc
 

95 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:21:39 ID:aZGqAF/D
観鈴、ごめんな
辛い思いをさせて。
謝ってすむことじゃないが

俺さ、頑張って生きるから
どんなに辛くても
笑顔で居てみせるから。
そして約束守るから

観鈴が居ないと
さびしけど
幸せになって見せるから
約束だもんな

俺はいつでも笑顔で居るよ。
お前も居てくれよ。
笑顔がとりえなんだから

俺はこれからも
神尾観鈴、
あなたが
大好きです

どうかこの青空の上から
見守ってくれ



          ありがとう

96 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:22:04 ID:eInD6sfP
  

97 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:22:10 ID:aZGqAF/D






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







         三人の耳に観鈴の声が聞こえたような気がした
         ふっと3人は微笑んだ。






        ――にはは、ぶいっ!


98 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:22:19 ID:cvC0iPjq
 

99 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:22:57 ID:ZEhxK2+f


100 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:23:05 ID:0UUlMXdc
 

101 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:23:06 ID:cvC0iPjq
 

102 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:23:31 ID:pip32a5K
 

103 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:23:53 ID:cvC0iPjq
 

104 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:24:03 ID:0UUlMXdc
 

105 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:24:05 ID:ZEhxK2+f


106 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:24:06 ID:aZGqAF/D
【神尾観鈴@AIR 死亡】


【D-2 西部 公園内/1日目 午後】


【国崎往人@AIR】
【装備:コルトM1917(残り5/6発)】
【所持品:支給品一式×2、コルトM1917の予備弾40、木刀、たいやき(3/3)@KANNON、大石のノート】
【状態:深い罪悪感・精神的疲労・右腕と左膝を打撲・右手の甲に水脹れ
     左腕上腕部粉砕骨折・左肩軽傷・脇腹に亀裂骨折一本・全身の至る所に打撲】
【思考・行動】基本:観鈴との約束を守る、人殺しには絶対乗らない
0:もう人殺しには絶対乗らない
1:困ってる人を助ける
2: あゆ、美凪を探す
3:エスペリアの仲間に謝る。
4:観鈴を埋葬する



【備考】
※大石のノートを途中までしか読んでいません。
 先には大石なりの更なる考察が書かれています
※ハクオロ、瑛理子を信用しました


107 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:25:06 ID:0UUlMXdc
 

108 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:25:09 ID:ZEhxK2+f


109 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:25:26 ID:cvC0iPjq
 

110 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:25:47 ID:0UUlMXdc
 

111 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:25:50 ID:ZEhxK2+f


112 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:26:14 ID:cvC0iPjq
 

113 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:26:14 ID:aZGqAF/D





【工場探索チーム】
基本方針1:現在地で偵察チームと合流。
基本方針2:首輪の解析をする。
思考: 悠人と衛が心配。
【備考】
※首輪の盗聴と、監視カメラが存在する可能性を考えています。
※禁止エリアについて学んでいます。(禁止エリアにいられるのは30秒のみ。最初は電子音が鳴り、後に機械音で警告を受けます)
※博物館で悠人たちを襲撃した相手(ネリネ)の外見と、その仲間と思われる相手の乗っている車について聞いています。
※悠人から、ファンタズマゴリア、永遠神剣、スピリットについて学んでいます。
※島内部の電話が使えることを知っています。
※陽平から博物館での戦闘について聞いています。
※車に乗った襲撃者の一団を警戒しています。
※往人を信用しました。

114 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:26:29 ID:0UUlMXdc
 

115 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:26:31 ID:ZEhxK2+f


116 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:27:06 ID:cvC0iPjq
 

117 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:27:13 ID:aZGqAF/D



【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備:Mk.22(0/8)、オボロの刀(×2)@うたわれるもの】
【所持品:投げナイフ×2、支給品一式、ランダムアイテム(0〜2)
支給品一式×2、予備マガジン(40/40)、スーパーで入手した品(日用品、医薬品多数)、タオル、陽平のデイバック】
【状態:精神疲労】
【思考・行動】
基本方針:ゲームには乗らない。
1:瑛理子を守る。
2:悠人と合流
3:仲間や同志と合流しタカノたちを倒す。
4:トウカがマーダーに間違われるようなうっかりをしていないか不安。
5:悠人の思考が若干心配。(精神状態が安定した事に気付いてない)
6:観鈴を埋葬する

【備考】
※校舎の周辺の地形とレジャービルの内部状況を把握済み。
※中庭にいた青年(恋太郎)と翠髪の少女(亜沙)が殺し合いに乗っているかもしれないと疑っています。
※銃についてすこし知りました。また、悠人達から狙撃についても聞いています。
※往人を信用しました
※観鈴の所持品すべてハクオロが持ってます

118 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:27:16 ID:ZEhxK2+f


119 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:27:41 ID:cvC0iPjq
 

120 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:28:13 ID:cvC0iPjq
 

121 :青空に羽ばたく鳥の詩 ◆iWNzks43D6 :2007/08/20(月) 20:28:19 ID:aZGqAF/D




【二見瑛理子@キミキス】
【装備:トカレフTT33 8/8+1、ビニール傘】
【所持品:支給品一式、ブロッコリー&カリフラワー@ひぐらしのなく頃に祭、空鍋&おたまセット@SHUFFLE! ON THE STAGE
     首輪、映画館にあったメモ、家庭用工具セット】
【状態:左足首捻挫、軽度の疲労、精神疲労、深い悲しみ】
【思考・行動】
基本:殺し合いに乗らず、首輪解除とタカノの情報を集める。
1:とりあえず公園で待機。 悠人と合流
2:車に乗った襲撃者の一団が工場に陣取った時、或いは工場が禁止エリアに指定された時の首輪解析方法を思案中。
3:孝之や陽平のように錯乱している者や、足手まといになりそうな者とは出来れば行動したくない。
4:孝之と陽平には出来れば二度と出会いたくない。
5:観鈴を埋葬する

【備考】
※往人を信用しましたが罪は赦してません。
※パソコンで挙がっていた人物は、この殺し合いで有益な力を持っているのでは? と考えています。
※首輪が爆発しなかった理由について、
1:監視体制は完全ではない
2:筆談も監視されている(方法は不明)
のどちらかだと思っています。
※電話についても盗聴されている可能性を考えています。
※家庭用工具セットについて
観鈴が衛から受け取った日用品の一つです。
ドライバー、ニッパー、ペンチ、ピンセットなどの基本的な工具の詰め合わせである。
なお全体的に小型なので武器には向いていないと思われます。

122 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/20(月) 20:28:44 ID:cvC0iPjq
 

123 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:08:21 ID:7ojmmI//


金属バットを叩きつけられた少女の体から、鈍い音が耳に届く。
出血こそしていないが、僅かに覗かせる腕の先が青く腫れているのは確認できた。
気絶したことに気付かないまま、稟は少女の腕目掛けて何度も腕を振り下ろす。
その度に、少女の口からまだ生きていると主張するような息が漏れる。
(まだだ! まだ生きてやがる!)
ここで手を休めて反撃される事を警戒した稟は、容赦なく少女を叩く。
一撃振り下ろされるたび、少女の腕は表面上の面積を増していった。
それとは反比例するように、腕の厚みは段々と薄くなっていく。
少女に触れたバットを振り上げるたび、赤い何かが糸を引くように宙に舞う。
やがて、皮膚が破けてピンク色に変色した部分に狙いを定め、トドメとばかりにバットを振りかぶる。
だが、痺れの残っていた腕は狙いから大きく外れ、少女ではなくアスファルトを叩いてしまった。
怒りを一直線に振り下ろした力の反動に、上半身が前のめりになる。
稟は咄嗟に足腰に力をいれ、転倒しないよう歯を食いしばって空を見上げた。
少女を見定めていた景色が空へと切り替わり、眼球が頭上の太陽を捉える。
太陽は稟を焦がすように力強く降り注いでいた。
さすがに直視することも出来ずに、視線を地面に戻す。一瞬、地面が黒く染まる錯覚を起こした。
「しまった――」
この隙に襲われるのを恐れ、稟は必死で金属バットを振るう。
少女が気絶しているのを知らない稟は、必要以上に警戒し興奮していた。
全身から汗が吹き出て、皮膚が一斉に呼吸を加速させる。
湿った皮膚は痒みを発生させ、その痒みは喉から全身へと伝わる。
一番痒みを訴えてる部位は、左腕の肘から手首にかけてだった。
幸いなことに喉の痒みは慣れてきた事もあってか優先順位が下がっている。
(はぁ……はぁ……)
意識を失い掛けるような痒みに耐えられず、バットを地面に投げた稟は左腕に右手の爪を力一杯立てる。
自分が今何をしようとしているのか、全く考えてはいない。
稟は本能が命じるまま、左腕に深く食い込んだ爪を、手首まで一気に引き降ろす。
ぱっくりと一文字に切断される皮膚。
次の瞬間、稟の腕から赤黒い蟲が稟の顔面目掛けて襲い掛かってきた。

124 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:10:06 ID:7ojmmI//
「づあぉぉぉぉぉォァアアアアアアアアアアアアアア!!」 
顔に群がる蟲を払いのけ、稟は状況を必死で把握する。
蟲の出所は、おぞましい事に自分自身の腕の中だった。
しかもその数が異常だった。数十匹でも驚くのに、その数は軽く千匹を超えている。
稟の蟲から這い上がってきた蟲達は、丸い瞳で一斉に稟を見て微笑む。
まるで、産みの親を見るような視線を向けてくる。
稟は病院で倒れて以来忘れていた。体はかなり前から危険信号を発していた事を。
それを見逃し本能に体を委ねた稟のツケは、既に払いきれるものではなくなっていた。
「くそぉ! くそぉぉぉ! はなッ! 俺の体から離れろぉぉぉぉぉぉ!」
ぱっくりと開いた左腕の中に右手の指を這わし、必死で蟲を掻き出す。
稟の指を妨げるかのように、束ねられた赤い筋が壁を作る。
その束を無理矢理引きずり出し、可能な限り蟲を外に追い出す。
けれども、掻き出すよりも蟲は湧く速度の方が勝ってしまう。
「アアアア! なんなんだよ! どけッ! どけぇぇぇぇええええ!」
喉が割れんばかりの絶叫とともに、稟はバットを拾って右手に握り直す。
そして、左手の傷口目掛けて力の限り振り下ろした。
傷口に潜り込んだバットの先端が、稟の骨を直撃した。
左腕から全身に伝わる痛みに、稟は視界が割れたような錯覚に陥る。
それだけの痛みを負ったにも関わらず、蟲達は相変わらず稟の体中にこびり付いていた。
まるで自分のねぐらだと言わんばかりに、蟲達は稟の体内を元気に動き回る。
内から侵食されていく恐怖に、稟は言葉にならない金切り声を挙げた。



     ◇     ◇     ◇     ◇




125 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:10:55 ID:+u4tfZSG



126 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:13:49 ID:7ojmmI//
痛みと絶叫で意識を取り戻したあゆは、地面に倒れながら怯えていた。
自分の潰れた腕にではない。目の前の男の狂気にだ。
(いやだぁ……痛いよぉ)
見ている自分が痛くなるような錯覚を受けるほど、その様子は痛々しかった。
あろうことか、男は自分の腕の傷に指をねじ込み、そこから肉を引き伸ばし血を撒き散らしているのだ。
飛び散る鮮血が何度もあゆへと降りかかる。
額に落下した血の雫は、ゆっくりとあゆの額から頬を伝い、口へと垂れていった。
その味は、小説に出るような鉄錆ではなく生温かくて塩辛い。
(こわい……怖いよぉ)
出来ることなら泣き叫びたかった。許されるなら謝罪したかった。
なにより、生き延びて誰かに助けてほしかった。
だが、そんな願いを塗り替えるように、男の鮮血があゆに滴り落ちる。
恐らくあゆが少しでも動けば、男は確実に気付くであろう。
地面に撒き散らされた血の中で、救われぬまま骸となる自身の姿が容易に想像できる。
その狂気が自分へと向けられるのを恐れ、あゆは必死になって沈黙を続けた。
だが、沈黙を守ろうとすればするほど、忘れていた肉体の悲鳴がそれを破ろうとする。
背中の焼ける様な痛みと、潰された右腕の痛みが交互にあゆを虐める。
精神が限界にきていたあゆは、我慢することも出来ずに大きな悲鳴をあげた。
その声は、男の叫びと重なり周囲に響き渡る。
「やぁぁぁぁぁぁッ――やぁぁぁあぁああああああ!!」
右足首に殆ど力が入らない。立ち上がることが出来ずに、あゆは前に転がる。
それでも、近くにあった壁に肩を擦り当てながら、必死になって立ち上がった。
一度だけ後ろを振り返る。男はこちらに気付いたが、こちらを睨むだけで走ってこない。
逃げ出すチャンスは今しかなかった。
右足を引き摺り、潰れた右腕を左手で抑えながら、あゆは南東へと走った。
「逃げるなぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!」
背中から迫る怒声を浴びて、下腹部が痛くなる。
距離がどれくらい離れているかは判らない。ただ、恐怖は確実に迫りつつある。
背中から流れる冷たい汗が服に張り付く。呼吸もまともに出来ない。
それでも、あゆは走り続けた。走るしか選択肢がなかった。
ふと、視界が正面でなく地面へとぶれる。

127 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:14:30 ID:njzAAhej
稟…

128 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:16:50 ID:7ojmmI//
そこでまた、背中から流れる汗があゆを濡らす。
地面には、必死に動く自分の影と、それを突き刺す様な尖った影。
距離が近い……男は、もうそこまで来ている。
追いつかれる前に隠れようと、あゆは必死になって周囲に隠れられる場所は無いか探す。
だが間の悪いことに、現在走っている位置には隠れられる場所がない。
闇雲に走っていたせいで、隠れる場所がたくさんあった住宅街を抜けてしまったのだ。
引き返す訳にもいかず、あゆはおぼろげながら記憶に残っている地図を思い出す。
どれだけ進んだかは分からないが、目立つ建物がない以上、もっと走らねばなるまい。
が、走っている最中に余計な考え事をしたためか、後ろの影があゆの影にのしかかる。
鞭打ってきた足だが、右足は走りながら見て解かるくらい紫に腫れあがっていた。
心臓の打つ音は、一拍置いているのも判らないくらい鳴り響いている。
いっその事、止まって楽になってしまおうかという考えも頭を過ぎる。
だが、先程行われていた男の狂気を思い出し身震いする。楽になどなれはしないだろう。
だから少しでも離れられるように、あゆは体を前に傾け走り続けた。
(え?)
確かに体を傾けたのはあゆの意思だった。だが、体は傾くどころか倒れるように地面に迫る。
そう思うと同時に、腰だけが前に押し出されていく。
脳からくる信号が遅くなり、ようやく届いた重要な信号。それは、骨が砕けるような鈍痛。
「ころせぇぇぇぇぇええええええええ!!」
「いぎゃぁぁあああああああああ!!」
勢いのまま顔面からアスファルトに飛び込んでしまう。その拍子に額の皮がめくれて、地面に血が滲む。
口から飛び出た塊を見て、心臓が押し出されたと錯覚してしまう。
何をされたのか、後ろを見ていなかったあゆは理解できていなかった。
唯一解かったのは、また男に追いつかれてしまったと言う事。
この時、あゆは場違いなほど別のことを思い出していた。
それは、この島に連れて来られる前にしていた、タイヤキを盗んだ時のような鬼ごっこだ。
あの時も、タイヤキ屋のおじさんに捕まらないように必死で逃げていた。
状況はずいぶん違うが、やっている事は殆ど変わらない。
違うのは、捕まったら怒られるのではない……ただの死体になる。ただそれだけだ。




129 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:18:22 ID:+u4tfZSG



130 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:19:13 ID:njzAAhej
 

131 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:20:09 ID:7ojmmI//
     ◇     ◇     ◇     ◇



自分の体から一斉に蟲が飛び散る光景に恐怖を抱きながらも、稟はするべき事を忘れていなかった。
顔面にこびり付く蟲の死骸を拭い去り、少女へと向き直る。
「!」
地面に伏していたはずの少女がどこにもいない。思わず身構えて周囲を警戒する。
そんな稟の視界に飛び込んできたのは、半身を引き摺るように逃げる少女の姿。
生きているのはなんとなく判っていたが、まさかまだ動けるとは想像していなかった。
それに、こちらを殺すつもりならば、先ほどまで無防備だった自分に仕掛けてきても良かったはず。
と、稟の脳裏にある結論が閃く。
(そうか、俺の体にこんなもの仕込んだのは……)
湧き上がる怒りを抑えることなく、稟は雄叫びをあげる。
「おまえだぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァ!!」
痛みも忘れ、再びバットを握り直す。
そして、一歩踏み出したところで体がぐらっと揺らぐ。膝が笑いながら地面に着く。
すぐに立ち上がろうとするが、酷い眩暈と痺れで力が入らない。
また呼吸も苦しく、口の中にコンクリートを流し込まれた様な感覚に陥る。
その間にも、少女との距離がみるみる開いていってしまう。
「逃げるなぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!」
普段の稟からは考えられないような濁った声が、走る少女へ向けられる。
今度こそ立ち上がり、バットを握り締めて走り出す。
ふと、眠った蟹沢を置いていって良いものか悩んだが、大丈夫だと強引に結論付ける。
これだけ騒いでも意識を取り戻さないならば、麻酔はまだ効いていると考えていい。
蟹沢の手に光っていた投げナイフをもぎ取り、デイパックは投げ捨てる。
(あの女を殺したら戻ってくるぞ蟹沢!)
苛立ちのまま喉を掻き毟り、稟はその赤く染まった手を強く握る。
喉の傷口からは、新しい蟲達が心配そうに稟を見上げつつ地面に垂れていった。
稟はあえてそれを見ないようにして、がむしゃらに足を動かした。
だが、予想以上に少女の足が速いのか、それとも自分の足が遅いのか、全く距離が縮まらない。
ただ無闇に、呼吸だけが激しく繰り返さる。その周囲にある空気を吸い尽くさんばかりの勢いだ。

132 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:21:36 ID:njzAAhej
 

133 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:22:09 ID:7ojmmI//
それでも、周りの景色から建物が消え始めた頃、ようやく距離が縮まり始めた。
少女の走りも、もはや走るというより早歩きという速度まで落ちている。
ゆっくりと、稟と少女の影が重なっていく。
(まだだ、まだ……)
右手に握ったバットを打者のように構える。射程圏内まであと少し。
(もう少しだ。もう少しだ。もう少しだ。もう少しだ。もう少しだ――)
まずは稟の頭の影が、次に肩が、上半身が、そして両足までもが少女と重なる。
(今だ!)
その瞬間、稟の構えたバットが少女の腰目掛けてフルスイングする。
芯を捕らえたような確かな反動が稟の手首に響く。
「ころせぇぇぇぇぇええええええええ!!」
「いぎゃぁぁあああああああああ!!」
転倒した少女の口から叫び声とともに、白く濁った汚物が吐き出された。
苦悶の呻き声をあげながら、それでも少女は這いずりながら前に進んでいく。
それを見た稟は、逃がさないようにとバットを振りげ――
「この人殺しぐるぁぁァァァァァァァァァァ!」
「うげぇェぉッ! ぉぇぇぇ!」
少女の治療を施してあった左肩目掛けて叩き落とした。
蟲の死骸で赤黒かったバットの先端が、新しい蟲の死骸に塗り変わる。
直撃を受けた少女は、口から泡を噴き出しながら痙攣を始めた。
一方の稟だが、少女から飛び出てきた蟲に驚き攻撃が続けられない。
(この女の中にも!?)
蟲が侵入していたのは自分の体だけではなかった。全身から嫌な汗が流れ落ちる。
非常識過ぎる光景に、稟の想像は嫌な方に働く。
それは、この島に連れて来られた全員に蟲が注入されたのではないかという事。
と、その推理を否定する光景が脳裏に浮かぶ。
(シアが死んだ時……どうだった)
最愛の人が首を爆破された時、彼女の体から流れたのは間違なく血だった。
なら、何かされたのは『部屋を出てから』だ。
部屋の外に出されてから今に至るまで、自分の身に何が起きたのだろう。

134 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:23:02 ID:njzAAhej
 

135 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:24:09 ID:njzAAhej
 

136 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:24:42 ID:7ojmmI//
今になって不安と恐怖と焦りが稟を縛り付ける。
そんな事を考えていた稟だったが、ふと、口の中に並ぶ嫌な感触に気付く。
(何が……何が!?)
またも目の前の少女を置き去りにして、稟は必死で口の中に手を突っ込む。
手を入れて当たった『それ』は、侵入してきた指先に牙を向けた。
「ッ」
口の中に潜んでいた新たな敵に背筋が凍る。
赤黒い蟲ではない。もっと大きくて硬い何か。
その中の一体を、稟は力の限り穿り出す。敵も、抵抗しているのかなかなか譲らない。
「ぐぉぉぉ」
低い唸り声を吐き出しながら、稟は指先に力の全てを込める。
神経が切れていくような痛みの中、ようやく敵の反撃が収まった。
口の中から、ずるりと何かが抜け落ちていくのが解かる。
爪の割れた指を、ゆっくりと口から取り出す。そして、摘んでいた敵を睨みつける。
そこでまた、稟は恐ろしいまでの戦慄を覚えた。
指先に挟まれていたのは、おぞましくも白く硬い生き物の死骸。
今はピクリとも動かないが、数秒前までは、こんなものが自分の口に住んでいたのだ。
(違う。まだ……)
稟は再び口の中に指を這わせた。ゆっくりと、口の中で並ぶ生き物に触れる。
強く押すと、こちらの神経を削るような反撃を見せた。
この時点で、稟は自分の体が異常である事を全身で理解していた。
それでも、その異常に屈する訳にはいかなかった。だから、稟はすぐさま行動に移す。
自分の体を良いようにされて、黙っていられるわけがなかった。
「……!!」
持ち替えていたバットを両腕で握り、その先端を自身の口に向けた。
侵入者が逃げられないよう、しっかりと口の中で押さえつける。
そして、腕が伸びるギリギリまで距離をとると、鐘突きをする要領で口の中へ……



     ◇     ◇     ◇     ◇

137 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:26:26 ID:njzAAhej
 

138 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:27:17 ID:7ojmmI//



意識が朦朧とする中、あゆは目の前の男がまたも狂気染みた行動に出ているのを眺めていた。
というよりも、傷つき倒れたあゆの選択肢の中には、眺めている事しか残されていなかっただけである。
止める事も叫ぶ事も許されない。悪夢のような光景を。
その男は、先程と同じ様に持っていたバットで自分を叩き続けるのかと思いきや、口の中に指を入れて動かなくなったのだ。
バットといえば、叩かれたはずの肩に痛みがない。
地面に流れるのは自分から出た血だと確認できるのに、痛みだけは確認できない。
左肩はそれ以前から感覚が麻痺していたが、右腕も潰されたせいで駄目になったようだ。
正直、直視するのも嫌なのだが、痛みが無くなったのは幸いだろう。
それに、転倒する直前に感じた腰の痛みも治まっている。
それがどういう意味をもたらしているか理解していないあゆは、ただただ喜ぶ。
これは逃げ切るために、神様がくれた最後のチャンスかもしれない。
そう思うと、あゆは呼吸すら止める覚悟で男の近くから体をずらしていった。
今度こそ声を出さずに逃げ出そうと、上半身をゆっくり起き上がらせる。
(あ、れ?)
だが、起き上がるため力を入れようとした足が上手く動かない。
一応は動くものの、大地を踏みしめている感覚が感じられないではないか。
そもそもよく考えてみれば、この状態で痛みを感じないというのはおかしいのだ。
原因は不明だが、あゆの体から痛覚がごっそり抜け落ちたようである。
これが日常だったら、急いで病院に行かなくてはと思うだろう。
だが、現在置かれている状況の中、最優先なのは逃げ出す事。
だからあゆは一目散に逃げ出した。体の悲鳴に知らん振りをして。
逃げ切って無事で保障は無いが、ここにいて生き残れる可能性のほうがもっと無い。
竹馬に乗ったような感覚で、どす黒く変色した両足を前に進める。
一瞬だけ、男が追ってこないか確認する。
その視線の先では、男が金属バットを喉まで押し込み、狂ったように笑っていた。

139 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:29:17 ID:7ojmmI//
足元には、粉々に砕かれた男の歯の欠片が、血の池の中で散らばっている。
(にげ、なきゃ……)
幸い、男は顔を地面に向け血を吐き出している。まだ気付いていない。
一歩。一歩。足の回転が少しずつ早くなっていく。
(早くッ! お願い早く動いて! ボクの足!)
上手くバランスをとるため、まっすぐ走れず地面を旋回する。
男の追ってくる影はまだ無い。距離は広がっていく。
それでも、この距離ではすぐにまた捕まってしまう。
後ろから聞こえる男の叫び。呻き。狂気……全てがあゆに向けられる前に。
潮風は、すぐそこまで来ていた。



     ◇     ◇     ◇     ◇



地面に落下していく白い生き物の死骸を眺めながら、稟は勝利の笑い声をあげた。
気持ち良いぐらいに豪快な笑い声である。
同じように潜んでいたのか、大量の蟲達が白い生き物に絡み付いたまま堕ちていく。
ある程度口から汚物を吐き出すと、口元に手の甲を当て拭う。
両手の皮はボロボロに捲れ上がり、桃色の肉が顔を出していた。
痛みはあるが、今はそれが心地よかった。
そんな良い気分を妨げるように、右手の甲にこびり付いた蟲達が一斉にざわめく。
見れば小さかった蟲は今まで以上に醜く成長し、自分の爪の隙間から入り込もうとしてる。
軽く興奮していた稟は、左指人差し指と親指で右手の爪を固定し、一枚ずつ綺麗に剥がしてく。
爪が剥がれると同時に、入り込もうとしていた蟲達は弾けた様に飛び散る。
「はは、ははは、はーっはははははははっ!」

140 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:30:38 ID:+u4tfZSG



141 :蜃気楼の旅路へ〜宣戦布告〜 ◆Qz0e4gvs0s :2007/08/21(火) 20:31:31 ID:7ojmmI//
花占いをするように、稟は右手の爪を容赦なく剥き続けていく。
一枚ごとに体は痙攣を起こし、目の奥が燃えるように痛い。
それでも五枚全て終わると、今度は左手の爪に取り掛かる。
が、右手の爪を全て剥がしてしまったため、引っ掛けるような部分がない。
「あはははははははははははッ! あは、あはははははははははッ!」
思い出したように、蟹沢から奪った投げナイフを右手で握る。
そして、左手を自分の膝の上に乗せると、指ごと切断する。
「どうだ! どうだどうだどうだどうだぁぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアッッ!!」
噴水のように飛び散っていく蟲達を嘲笑いながら、稟は立ち上がる。
ここでようやく、少女を追いかけていた事を思い出した。
周囲を見渡し少女の転倒していた場所に目をやるが、そこには誰もいない。
右を見てもいない。左を見てもいない。正面を見て――

「いた」

いつの間に移動していたのか、その姿は米粒のようで、肉眼で捕らえるのは厳しい。
ただ何が楽しいのか、少女は千鳥足で前方をふらふらしている。
距離は少し遠いが、あの様子ならばすぐに追いつけるだろう。
ボロボロになった投げナイフを地面に捨て、バットを再び拾い上げる。
心配そうな蟲達に見送られながら、稟は雄叫びをあげて走り出す。
その背中は、太陽に当てられて蜃気楼の様に揺らいでいた。



     ◇     ◇     ◇     ◇




142 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:32:42 ID:njzAAhej
 

143 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:36:58 ID:njzAAhej
 

144 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:37:38 ID:/FzuGBGp
 

145 :代理トウカ:2007/08/21(火) 20:49:09 ID:/FzuGBGp
砂漠のように熱くなった砂浜を、あゆは朦朧とした意識の中彷徨っていた。
もともと理由があって海の家を目指していた訳ではない。
ただただ、誰も来ないような場所で静かに隠れて居たかっただけなのだ。
あゆは何も考えないまま、目的地へと辿り着く。
いまさら気付いたが、視界が殆ど黒く染まって汚れている。
何時からそうなったか、正確な時間は分からない。
あの男に追いかけられていた時には、もう見えてなかったのかも知れない。
それでも、微かに見える景色を頼りに、あゆは前に進む。
砂浜を鳴らすのは、あゆの足音だけ。
ザッザッザッという音が、波の音と調和する。
「ああ……」
口から歓喜とも絶望ともとれる声が漏れる。
目的地に到着したという事は、あとは隠れていれば良いだけ。
目的地に到着したという事は、もう逃げ場が無いというだけ。
既に暑さすら感じなくなっていたあゆは、びしょ濡れになった体に気付かず海の家を目指した。
ぽたりぽたりと、砂の上に落ちていく雫。
それは一瞬で蒸発し、何も無かったようにすぐに乾いていった。
「――ようこそ、いらっしゃいマセ」
「ぇ?」
海の家に入ると、突然前方から声が掛けられる。
もう追いつかれたのかと、驚いてしまう。
が、声を掛けたのはあの男ではなかった。
「海の家へようコソ。 認識コード照会…………ナンバー18、月宮あゆと確認。ご要望をドウゾ」
声の正体は判らないが、少なくとも襲って来る様子は無い。
襲ってこなければ、誰であろうと関係なかった。
だから、あゆは声を無視して海の家の奥へと進む。

146 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:49:38 ID:+u4tfZSG



147 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:50:01 ID:+aisxz4e


148 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:50:34 ID:/FzuGBGp
「ご要望をドウゾ」
「ょぅ……ぼう?」
再度掛けられた呼びかけに、あゆは少しだけ期待を寄せる。
「ボクを……助けてぇ」
「何度も申し上げますが、それは流石に無理デス」
「助けて……」
「ですから――」
「助けて助けて助けてぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええ!!」
いままで封じ込めてきた願いが、一気に爆発する。
一度堰を切った激流は、収まる事なく流れ続けていく。

「ボクを助けてよ! ボクが悪いのは謝るよ! なんでもするよ!
  だから助けて! ボク帰りたいの! 祐一君や名雪さんと一緒に帰りたいの!!」
「ですから――」
「乙女さんを蘇らせて! 大石さんを助けてあげて! 二人に謝らせてぇぇぇぇぇ!!」
「――」
「どうしてボク達にこんなことをさせるの!? なんで人殺しなの!?
  みんな生きてるんだよ! ボク達生きてるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
あゆの叫びも虚しく、声は同じような内容を延々と続けていく。
目からは涙が止まらなかった。見つかる危険すら忘れて、あゆは大声で泣き喚いた。
「申し訳ありまセン。現在は、エリア間の移動と留守電システムのみデス」
「なら、ボクを守ってくれる人の所へ連れてってよ! ボクを治してくれる人の所に連れてって!」
「…………条件確認。輸送――」
「いかせるか人殺しがぁぁぁぁぁぁぁぁぁアアアア!!」
海の家に飛び込んできた声は、そのままあゆの胸に襲い掛かる。
その正体は、ようやく追いついてきたあの男だった。
男は室内であるにも関わらず、金属バットを大きく振りかぶり、そのまま真正面にいたあゆの胸部を叩く。
あゆの胸部から空気が割れるような軽い音が鳴る。
男はそのまま、あゆの上に覆い被さり、片手であゆの首を締め上げる。



149 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:51:15 ID:+u4tfZSG



150 :代理:2007/08/21(火) 20:51:33 ID:/FzuGBGp
「はぁはぁはぁ! あっあっあっ! げぇ、ッかぁ、ががが」
「おげっ、かはっ……こっ」
爪のなくなった男の右手が、あゆの首と同化する様にめりこんでいく。
泣き叫び疲れ果てたあゆは、抵抗することも出来ずに泡を噴き始めていた。
男の手に力が入り、首からは縄が擦れる様な音が漏れる。
(どうして……こうなったのかな)
乙女に助けてもらい、いつかは役に立とうとしていたのに。
国崎を説得して、人殺しを止めてほしかったのに。
楓を説得して、稟って人に会わせたかったのに。
大石の怪我を治して、一緒に頑張りたかったのに。
名雪と出会えて、心の底から喜んだのに。
武のような、リーダーに巡り会えたのに。
圭一を信じて、助けられればよかったのに
美凪のように、強い意志があれば支えられたのに。
「……せいだ」
一人だけ、出会わなければよかったと思う人物がいる。
あの話が本当ならば、こんな事にはならなかったかもしれない。
もちろん、馬鹿正直に信じた自分の行動が悪いのは理解している。
けれども、その影で彼女が笑っていた事を思うと悔しくて仕方が無い。
自分の首と締め上げらる指との間に指を押し込み、少しでも喉が震えるように押し戻す。
「さ、佐藤さんの……せいだ! 佐藤さん、がッ……全部……全部悪いんだ!」
口から血を吐き出しながらも、あゆは呪うように言葉を紡いだ。
一方の男も、その叫びに呼応してか、目を血走らせながら高々に叫ぶ。
「殺されるものか! 俺達は絶対殺されないからなぁ!」
男はあゆを見ていない。今の言葉は、
「――終了。続いて転送路。開きマス」
二人の重なるような怒声は、海の家に響いて消えていった。



     ◇     ◇     ◇     ◇


151 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:52:14 ID:+u4tfZSG



152 :代理:2007/08/21(火) 20:52:14 ID:/FzuGBGp
稟が目を覚ましたのは、暗い闇の中だった。
(痒い)
何かに揺られているような感覚。
(カユイ)
顔に当たる風が生暖かくて気持ち悪い。
(かゆい)
そう言えば、あの少女はどうしただろう。
(か……ゆい)
と、足元に何かがぶつかる。見れば、先ほどまで追いかけていたあの少女だ。
(かゆ……い)
既に事切れているのか、ピクリとも動かない。
(……ぃ)
その様子を見て、稟は違和感を覚える。
今になって気付いたが、自分はなぜこの少女を追いかけていたのだろうと。
それ以前に、自分は何をしていたのだろうと。
(……ぃ……ぃ)
この島での記憶があまりにも無さ過ぎる。あの金髪の少女はどうしたのか。
水澤摩央はあれからどこにいったのか。あの男女二人組みはいつからあそこにいたのか。
風は生暖かいのに、気温だけがやけに肌寒い。
(……ぃ……ぃ……ィ)
ふと、さっきから誰かが囁きかけている様な気がした。
「誰だ」
問い掛けても、返事は一向にない。だが、確実に何者かの気配がする。
それに、先程から何か穿る様な音が稟のすぐ傍から届く。
しかもその音は、着実に耳に近づいている。頬から、首に伝わり、そして鼻へと。
すると突然、稟の眼前に何者かの指が踊り出る。


153 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:53:02 ID:+u4tfZSG




154 :代理:2007/08/21(火) 20:53:46 ID:/FzuGBGp
「!」
だが、よく見ればそれは自分の指だった。
その指は、まるで別の生き物のように妖しく踊り続ける。
人間の指にしては、ボロボロに崩れて気味が悪い。
指達は、ゆらゆらと蜃気楼のように目の前を揺れていた。
(あれ……そういえば俺の左手は何してるんだ?)
場違いで、自分でも良く解からない疑問を抱きながら、右手の動向を眺める。
右手はゆっくりと稟の右目の眼球に触れながら、指を突き立て、そして――


「あぁ」


呼びかけていたのはなんでもない。自分だったではないか。
歓喜の声をあげて飛び散る蟲達の中、稟は最期を迎えた。



     ◇     ◇     ◇     ◇



蟹沢が目を覚ました時には、周囲に誰一人いなかった。
目覚めた瞬間、蟹沢は勢いよく立ち上がり稟の姿を確認する。
「な、なんだよコレ」
その目に飛び込んできたのは、辺り一面に撒き散らされた誰かの血だった。
「!」
もしかしたら自分の血かと思い体を点検するが、どこにもそれらしい怪我はなかった。
ただ、乗り物に酔った時の様な不快感が胸の中で渦巻いている。
「お、おーいヘタレー! どこだー?」

155 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:54:14 ID:+aisxz4e


156 :代理:2007/08/21(火) 20:54:33 ID:/FzuGBGp
もしかしたら、自分を脅かそうと隠れているのかもしれない。
そんなありえない予想を立てながら、蟹沢は目の前の景色を見て見ぬ振りする。
「ボク怒ってないぞー! 大丈夫だから早くでてこーい」
頭では理解しているのに、心がその事実を認められない。
だが、数分程度の間呼びかけて、ようやく目の前の事実から逃れられないことを悟る。
(あの時、へタレがボクに何かしたんだよな)
良く解からないが、あの瞬間自分の意識はどこかに飛んでいった。
「もしかして、アイツ……」
殺し合いに乗ったのかと考えるが、すぐにそれを否定する。
なぜなら、自分が生きているのが何よりの証拠だ。
しかしそれなら、なおさら理由が解からない。どうして稟は自分を眠らせたか。
なにより、この大量の血は『誰』のもので『何』があったのか。
「……んぁ!」
よく見れば、血の跡は遠くへと続いている。
気付いた時には、近くに落ちていたデイパックを全て担いで走り出していた。
ここに無事な自分がいて、大量の血と稟だけがいない。
導きだされた答えは一つ。
(あの馬鹿! また同じ様な事しやがってぇ!)
昨日の夜、金髪の少女に追いかけられた時と同じ事を、稟はやったのだろう。
いや、もしかしたら出会った時点で追いかけられていた可能性もある。
事実なのは、稟が自分を助けるために無茶な行動に出たということ。
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおりゃぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
血の跡を道標に、蟹沢は全速力で走り出した。
やがて、細々と続いていた血痕が、激しく撒き散らされている場所へと辿り着いた。
もしこの出血が稟のものだった場合、無事である可能性は低い。
「な、何考えてんだボク」
血だるまになって死んだ稟の姿を打ち消すように、大きく首を振る。
と、太陽に反射してキラリと光る何かが、赤い池の中に落ちていた。
近付いてみると、それは瑞穂から預かった投げナイフ……それと。
「うわ、うわぁぁぁぁぁああ!」
寄り添うように誰かの指が丁寧に五本置かれていた。
親指から小指に至るまで、全て付け根から削ぎ落とされている。

157 :代理:2007/08/21(火) 20:55:05 ID:/FzuGBGp
しかも、その周囲に爪の様なものが五枚落ちていた。
何があったか想像出来ないくらい、その光景は恐ろし過ぎた。
血の池で浮かんでいる指と爪が、そこだけが不気味過ぎるほど光を反射している。
隣にあった投げナイフが、なぜかこの指が稟のものだと言いたげに輝いていた。
それと、先程までは気付かなかったが、血の池には骨と錯覚するくらい綺麗な白い歯が浮いていた。
嫌な予想がどんどんと膨らんでいく。喉から水分が抜けていくのを止められない。
蟹沢は、焦りの表情のまま走り出した。
あまりにも焦り過ぎて、足を絡ませてしまい転倒してしまう。
それでも、涙を見せずに立ち上がった。
そしてまた、血の跡を辿って走り続けていく。

蟹沢が足をとめたのは、海の家の前だった。
砂浜までは血痕を辿っていたが、そこから先は砂浜になっていて途切れていたのだ。
誰かに見つかる可能性もあったが、それよりも稟が心配で仕方ない。
蟹沢は、大声で稟に呼びかけた。
「おいヘタレ! ボクが来てやったぞ! 返事しろこんチクショウ!」
けれど、返ってくるのは波の音だけで、人の声など一つも返ってこなかった。
気持ちを切り替えて、周囲の捜索を開始する。
あれだけ騒いだ後に、慎重に行動するというのも馬鹿らしい。
蟹沢は、堂々と周囲の小屋を覗いたり砂を蹴り上げた。
そうして、ようやく辿り着いたのが、先に述べた海の家である。
意を決して、入り口から中へと入る。
「海の家へようコソ」
「おわ!」
そこに居たのは望んでいた稟ではなく、悪趣味なロボットだった。
ロボットは、こちらの驚きなど気にする様子もなく、用件だけを告げてきた。
「海の家へようコソ。認識コード照会…………ナンバー50、蟹沢きぬと確認。ご要望をドウゾ」
「んだこらぁ! てめぇはどこの誰だおい」
「私はメカリンリン一号デス。この場所の管理と運営を任されていマス。ご要望をどウゾ」
「よくわかんねーけど。ヘタレどこ行ったかおしえろ」
「申し訳ありまセン。ヘタレに該当する人物が複数いマス。更なる詳細ぷリーズ」
情報を寄越せと言わんばかりに、メカリンリンが腕を突き出す。

158 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:55:27 ID:+u4tfZSG




159 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:55:40 ID:+aisxz4e


160 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:55:45 ID:+HKbqeR8


161 :代理:2007/08/21(火) 20:55:53 ID:/FzuGBGp
もともとヘタレという単語で質問した蟹沢が悪いのだが、本人はそれに気付いていない。
「んだよ使えねーな。他になんか無いのかよ」
「現在は、エリア間の移動と留守電システムのみデス」
「留守電? なんだそれ聞けんのか?」
「再生しますか?」
「おう。聞かせてみろや」
蟹沢の答えに、メカリンリンからテープを巻き取るような音が響く。
そして、体からスピーカーらしきものが飛び出すと、予告も無しに再生を始めた。
『メッセージは二件デス』
「ピー……さ、佐藤さんの……せいだ! 佐藤さん、がッ……全部……全部悪いんだ!」
「ッ!!」
「ピー……殺されるものか! 俺達は絶対殺されないからなぁ!」
『再生を終了しマス』
「土見……」
一件目が誰かは解からないが、佐藤という苗字には心当たりがある。
それよりも、二件目の声だ。前とは少し違うが、稟であることは間違いない。
ならば、今の留守電の叫びはどういう意味か。
「おい! 今の留守電って何時頃のやつだ!?」
「おおよそ2時間ほど前にナリマス」
「2時間……」
あれだけ切羽詰った声。それに、ここに来るまでに残っていた血痕。
おそらく、稟は何者かと戦っていたのだろう。
けれど、決して相手を傷つけることは出来なかった。
少ししか一緒に居なかったが良く解かる。あの男は、根本的な部分はレオと同じタイプだ。
けれど、この島で生きていくにはそれは優しすぎる。
いや、優しくて良かったのかもしれない。彼らに人殺しは荷が重過ぎる。
けれども、この島には殺し合いに乗った人間が居る。そいつらは、我が物顔でのさばっているのだ。
おぼろげながら、蟹沢は自分のすべきことが見え始めてきた。
自分はもともと守ってもらうような柄ではない。むしろ攻める側。
レオや稟は渋い顔をするだろう。それも覚悟の上だ。
絶対に容赦はしない。汚れ仕事は自分が全て片付けてやろう。


162 :代理:2007/08/21(火) 20:56:25 ID:/FzuGBGp
「ポンコツ! ボクを送れ! 場所はヘタレ男の居る場所な!」
「条件確認しま――」
「まてまてポンコツ! 留守電ってボクも出来るのか?」
「大丈夫デスよ。録音しまスカ?」
「おう! ん、ちょっと待っちくり」
デイパックの中から、さっき偶然見つけた一つの道具を取り出す。
それは、あの夜自分を救った稟の支給品。
『あーあー。よし、おらよガガピーおめぇよガガビーせに何か悪いことしてんのか〜! 本当ならボク怒るぞ〜!』
まずは良美に忠告するつもりだったが、拡声器とメカリンリンが近すぎたためか、途中変なノイズが入る。
「録音終了しまシタ。それでは転送しマス」
「あ、まてまて! もう一件あるんじゃボケぇ! むしろこっちが本命なんだよ!」
「了解しまシタ。どウゾ」
メカリンリンの合図に、蟹沢は深く深呼吸する。念のため、距離も少し開けた。
今からするのは、留守電を利用した、拡声器を使っての宣戦布告。
あの時の……土見稟が叫んだ宣戦布告を一言ずつ思い出す。


『ボクは、ボクや土見のように大切な人を失ってなく奴を、これ以上ださねぇ!
 だからボクは何があろうが絶対死なない! そういう奴を絶対に死なせないぞゴラァ!』


けれど、最後の誓いだけは違える。
彼が目指すモノとは違うかもしれない。けれども、その旅路の果てにはまた巡り逢える。


『生きて生きて生きて生き抜いて、このふざけたゲームをぶっ潰す!!
 止められるなら止めてみやがれやこのダボがぁっ!! まとめて相手にすんぞオラァ!』


叫び終わると同時に、蟹沢の体は蜃気楼のように揺らいで、闇の中へと消えていく。
その横顔は、今度こそ本当に泣いてなどいなかった。


163 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:56:38 ID:+aisxz4e


164 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 20:56:51 ID:+u4tfZSG




165 :代理:2007/08/21(火) 20:56:59 ID:/FzuGBGp
【土見稟@SHUFFLE! ON THE STAGE  死亡】


【H-7 海の家地下/1日目 夕方】

【蟹沢きぬ@つよきす-Mighty Heart-】
【装備:拡声器】
【所持品:竜鳴館の血濡れのセーラー服@つよきす-Mighty Heart-、地図、時計、コンパス
     支給品一式x3、投げナイフ一本、ハクオロの鉄扇@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、
     麻酔薬入り注射器×2 H173入り注射器×2、炭酸飲料水、食料品沢山(刺激物多し)】
【状態:強い決意、両肘と両膝に擦り傷、左手指先に切り傷、数箇所ほど蜂に刺された形跡、首に麻酔の跡、疲労大】
【思考・行動】
基本:稟と同じ様にゲームに乗らない人間を助ける。ただし乗っている相手はぶっ潰す。
1:待ってろよ土見!
2:稟と合流後、博物館へ急ぐ(宮小路瑞穂達と合流)
3:2が不可能だった場合、単独行動でマーダーを探し倒す
3:ゲームをぶっ潰す
4:よっぴーに不信感
【備考】
※仲間の死を乗り越えました
※アセリアに対する警戒は小さくなっています
※稟が死んでいる可能性も覚悟しています
※宣戦布告は「佐藤」ではなく「よっぴー」と叫びました。
※誰の留守番電話がどこ(何ヶ所)に転送されたかは、後続の書き手さんにお任せします。
※蟹沢の移動先は『へタレの男がいる場所』の正反対の場所です。

『海の家の屋台って微妙なもの多いよね〜』
海の家には完全自動のロボ・メカリンリン一号が配置されています。
彼女は島内の地下を通っている地下トロッコ道の管理を任されており「望んだ条件と正反対のエリア」へのルートを開放します。
トロッコで移動している際は禁止エリアによる制限は受けません。

166 :代理:2007/08/21(火) 20:57:29 ID:/FzuGBGp
第二回放送後、新たに『留守番電話サービス』が開始されました。
留守番電話は、海の家でのみ録音可能で、地図に明記された建物のうち、電話が設置された場所にランダムで転送されます。
また、メカリンリンの居る海の家では、今までの留守番電話がすべて聞く事が出来ます。
現在留守電に録音されているメッセージは四件です。

「さ、佐藤さんの……せいだ! 佐藤さん、がッ……全部……全部悪いんだ!」(一日目 午後)

「殺されるものか! 俺達は絶対殺されないからなぁ!」(一日目 午後)

「あーあー。よし、おらよガガピーおめぇよガガビーせに何か悪いことしてんのか〜! 本当ならボク怒るぞ〜!」(一日目 夕方)

「ボクは、ボクや土見のように大切な人を失ってなく奴を、これ以上ださねぇ!
 だからボクは何があろうが絶対死なない! そういう奴を絶対に死なせないぞゴラァ!
 生きて生きて生きて生き抜いて、このふざけたゲームをぶっ潰す!!
 止められるなら止めてみやがれやこのダボがぁっ!! まとめて相手にすんぞオラァ!」(一日目 夕方)


【H-7 海の家地下/1日目 午後】

【月宮あゆ@Kanon】
【装備:土見稟(死体)】
【所持品:支給品一式】
【状態:気絶中、瀕死(背中から出血中)、絶望、痛覚の神経が不能、五感が働かない、喉に紫の痣(声が出せない)、
    左肩に深い抉り傷(骨が剥き出し)、右腕破裂、右足に銃傷(腫れ上がっています)、背骨骨折、骨盤に大きなヒビ
    肋骨複雑骨折、膵臓出血、肺に傷、その他内臓に内出血の恐れ、左肩に打撲、右足首に打撲、背中を無数に殴打】
【思考・行動】

167 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/21(火) 21:00:45 ID:+HKbqeR8


168 :代理:2007/08/21(火) 21:02:56 ID:Pns2qI8F
0:気絶中。
1:死にたくない
2:誰か助けて
3:ごめんなさい
【備考】
※目的地に到着した時には、すでに死亡している可能性もあります。
※悲劇のきっかけが佐藤良美だと思い込んでいます
※古手梨花・赤坂衛の情報を得ました(名前のみ)
※ハクオロという人物を警戒(詳細は聞いていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ)
※名雪の第三回放送の時に神社に居るようようにするの情報を得ました
  (禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)
※あゆの支給品は武のデイパックに入っています。

※『月宮あゆ』と『土見稟の死体』は、以下の願望と『正反対』の条件が当てはまる場所に運ばれています。
「今の月宮あゆを保護してる。または治癒してくれる人が居るところ」



【土見稟@SHUFFLE! ON THE STAGE  死亡】

169 :代理:2007/08/21(火) 21:04:00 ID:Pns2qI8F
【土見稟(死体)の状態】
顔面は削られて、知人でないと判別がつきません。
歯はボロボロになっており、口の中はザクロのような状態です。
左指切断、右指の爪が全て剥がれています。
喉に掻き毟った痕。体中の皮膚がめくれています。
左腕の肘から手首までの肉が半分ありません。
頭のてっぺんからつま先まで、自分の血で染まっています。



※投げナイフは【G-5】の南部。住宅街外れの血溜りの中にあります。
※稟の左指と右爪は【G-5】の南部。住宅街外れの血だまりの中にあります。
※血染めの金属バットは『月宮あゆ』の乗っているトロッコに入っています。
※海の家の中は、かなりの血が飛び散っています。


170 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 16:50:12 ID:b2iORErk
青色の空は何処までも澄み渡っており、その中心では太陽が己の存在を誇示し続けている。
日光。
それは人にとって――否、殆ど全ての生物にとって必要不可欠な、正しく生命の源とも云えるモノ。
だが、何事にも例外は存在する。
様々な恵みを齎す太陽も、全ての存在に対して等しく微笑み掛ける訳では無いのだ。

「ふう……やっと着いたわね」

一つ息を吐いてから、額に浮かび上がっていた汗を拭い取る。
あらゆる病原体を超越し、時の流れによる老化現象すらも克服した純キュレイ種、小町つぐみ。
生命力と云う一点に絞って考えれば、彼女はこの島で最も秀でた存在だろう。
だが紫外線を弱点とする彼女にとって、真昼間の行動は決して楽な物では無かった。
直接日光を浴びていた時間はごく僅かだというのに、つぐみの顔には少なからず疲労の色が滲み出ている。
その様子を見て取った朝倉純一が、不安げな表情で問い掛ける。

「なあつぐみ、大丈夫か?」
「このくらい平気よ。それより今は、周囲に注意を払いなさい……此処に殺人鬼が潜んでいる可能性だってあるんだから」

そう云ってつぐみは、前方に聳え立つ百貨店へと視線を移した。
百貨店の大きさは縦横約四十メートル、高さは約二十メートルといった所――デパートとしては比較的小規模な部類である。
入り口である自動ドアの向こう側からは、何の光も漏れ出ていない事から、少なくとも1階部は消灯されているのだと分かる。
つぐみは少し考え込んだ後、すっと横に手を伸ばした。

「……純一、私が先行して安全を確認するわ。貴方は少し時間を置いてから入ってきなさい」
「え、何でだ? 二人で同時に行った方が安全だろ?」
「そうとも限らないわよ? 私、暗い場所で動き回るのは得意なのよ」

赤外線を視覚で捉える事の出来るつぐみは、光の届かぬ場所での行動を得意とする。
その長所があったからこそ、圧倒的武装を誇る園崎詩音に襲撃された時も、何とか逃げ切れたのだ。
再生力や身体能力が軒並み抑えられたこの島でも、赤外線視力だけは健在。
ならば自分の得意とする環境下で、つぐみが先行しようとするのは至極当然の判断だ。
有り体に云えば、夜目の効かぬ純一が傍に居ては、緊急時に足手纏いとなる可能性がある。

171 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 16:50:28 ID:PP6Yrq0M
 

172 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 16:52:19 ID:b2iORErk

「うーん……でも、まともな武器が無きゃ流石に危ないだろ? せめてコレを持っていってくれ」
「そう? じゃ、借りるわね。貴方にはこの釘撃ち機を渡しておくわ」

つぐみは純一の差し出したミニウージーを受け取ると、慎重な足取りで百貨店の中へと歩を進めていった。
一階は衣類や雑貨類を中心とした売り場のようで、様々な服や日常用品が規則正しく陳列されている。
昼だと云うのに建物の中は薄暗く、人の気配が無いのも相俟って不気味とすら感じられる。
フロアをぐるりと一周したつぐみは、此処には誰もいないと判断し、次の階を調べるべく階段へと移動した。

(……見た感じ、この百貨店は新築のようね。とても使い古された建物だとは思えない。
 そうなるとまさか、今回の殺し合いの為だけに建てられた……?)

考察を行いながらも、つぐみは階段を注意深く一歩一歩昇ってゆく。
昇り切る手前で周囲を改めて見回し、見える範囲では誰も待ち伏せていない事を確認してから、二階に足を踏み入れた。

「…………ッ!?」

そこで何の前触れも無く訪れた異変に、大きく息を呑む。
足元のタイルを踏み締めた瞬間、上方より何かが飛来してくる気配がした。
つぐみは咄嗟の判断でミニウージーの銃口を上に向け、向けた時にはもうトリガーを絞っていた。
規則正しいタイプライターのような音が鳴り響き、黒色の飛来物――フライパンが粉々に弾け飛ぶ。

「これは……トラップ?」

173 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 16:52:49 ID:PP6Yrq0M
  

174 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 16:53:45 ID:b2iORErk

足元を良く見ると、タイル目に合わせて細い糸が何重にも張り巡らされている。
恐らくはこれを踏むと、先程のような罠が発動するという仕掛けだろう。
そしてこのような罠が設置されているという事は、何者かがこの地に潜んでいるという事。
その人物が殺し合いに乗っているのかどうか、それは分からない。
だが一つだけ、確実に云える事がある。
この地は敵のテリトリーであり、幾多もの罠が用意周到に張り巡らされている筈。
飛来してくる物体は致命傷となるようなものでは無いが、食らってしまえば動きが鈍らされるだろう。
そして糸を踏めば罠が発動するという仕掛けは、薄暗いこの環境下に於いて十分過ぎる程驚異的。
しかしあくまでそれは、常人ならばの話だ。
視界さえ十分ならば、そして仕組みさえ分かっていれば、見え見えの糸を踏んだりしない。
キュレイウイルスを体内に宿した自分にとって、この程度の罠など只の子供騙し――!

「残念だけど……相手が悪かったわね!」

赤外線視力を有している自分ならば、糸の仕掛けられている位置が正確に見て取れる。
つぐみは足元に張り巡らされた糸を避けながら、勢い良くフロアの中へと飛び込んだ。
足は決して止めずに、首だけ左右へと大きく動かすと、視界の端に小さな人影が映った。
その人影――小学生くらいの少女が向かう先に照準を定め、ミージーウージーを撃ち放つ。
陳列されていた電子機器類が炸裂音と共に破壊し尽くされ、敵の足が止まった。

「動かないで。もし下手な真似をしたら、容赦無く撃たせて貰うわ」

つぐみは銃口を敵の胸部へと向けながら、威圧するような声で告げる。
これ程手の込んだ罠を、あんな子供が仕掛けたのは驚愕すべき事実だったが、こうなってしまえば勝負は決しただろう。
仮に敵が悪足掻きを試みたとしても、即座にミニウージーの銃弾を放ってしまえば良いだけの事。
完全なるチェックメイトの筈だった――敵が、一人だけならば。
突如真横より聞こえてきた複数の足音が、つぐみの鼓膜を震わせる。

「ク――――」

175 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 16:53:50 ID:PP6Yrq0M
   

176 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 16:55:11 ID:b2iORErk

つぐみは思い切り地面を蹴飛ばして、一旦後方へと離脱した。
トラップに対して細心の注意を払いながら着地し、新たに駆けつけてきた敵へ視線を寄越す。
つぐみが眺め見る先、立ち並ぶテレビの隙間から姿を現したのは二人。
一人は先程の少女より幾分か年上に見えるものの、やはり小柄な少女。
そしてもう一人は、大型拳銃を携えた茶髪の少年、齢は恐らく高校生といった所か。


「……梨花ちゃん、大丈夫かっ!」

第二守衛室から飛び出してきた少年――北川潤が伊吹風子と共に、梨花の横へと並び掛ける。
監視カメラのお陰で、北川達はいち早くつぐみの侵入に気付く事が出来た。
だというのに何故話し合おうとせず、これまでずっと姿を隠していたのか。
それらの原因は全て、つぐみが握り締めているミニウージーにあった。
例え姿を出して話し合おうとしても、万が一つぐみが殺し合いに乗っていたとしたら、ミニウージーで一網打尽にされて終わりだ。
だからこそ罠を利用してつぐみの戦闘力を奪い去り、それから落ち着いて話し合うつもりだった。
しかし罠は回避され、様子を直接確認しに行った梨花が発見されてしまった。
そしてつぐみがミニウージーを撃ち放った所為で、北川達の緊張は極限まで高まっている。


(三人、か……。さて、どうしたものかしら)

一方のつぐみは絶え間なく動き回りながらも、何処までも冷静に思案を巡らせていた。
敵は三人いる上に、数多くの罠が仕込まれた危険地帯が舞台。
数と地形だけに着目すれば、自分の不利は明白だ。
だが、問題無い。
敵の二人は何も武器を持っていない以上、脅威となるのは拳銃を持った少年のみ。
そして銃器の性能でも、恐らくはそれを扱う使用者本人の実力でも、自分は敵を圧倒している。
相手が殺し合いに乗っているとは限らないが、一先ず殺さない程度に痛め付け、当面の安全を確保する必要がある。
まず始めにつぐみは斜め後方へと駆け、一際大きな冷蔵庫の後ろに身を隠した。
この程度で銃弾を完全に防げるとは到底思えぬが、未だ遮蔽物を利用してない敵に比べれば、圧倒的に有利な状態だ。
そのままミニウージーの照準を、北川の脚部に合わせようとして――

177 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 16:55:33 ID:PP6Yrq0M
    

178 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 16:56:17 ID:b2iORErk


「やめろおぉぉぉぉぉォォォッ!!」

その瞬間、周囲の空気を振動させる程の叫び声が、フロア一帯に木霊した。
つぐみも、北川達も凍ったかのように戦いを止め、ほぼ同時に声がした方へと振り向いた。
すると階段の辺りから、必死の形相をした朝倉純一が駆けて来ているのが見えた。

「つぐみもお前達も、莫迦な真似は止めるんだ! こんな事をしても何にもならないだろ!」

純一は何の迷いも無く、両者――即ちつぐみと北川達の間に割って入る。
新たなる侵入者の登場に驚いた北川が、コルトバイソンの銃口を純一に向ける。
だが純一は銃口から身を躱そうともせず、逆に己の武器である釘撃ち機を投げ捨てた。
自殺行為とも云えるその行動に、当然ながらつぐみは驚愕する。

「なっ……純一、貴方何を!?」
「これで良いんだ! 分かり合う為には、まず自分から武器を捨てなきゃいけないんだ!」

純一はそう云うと、北川達の方へと振り向き直した。

「俺の名前は朝倉純一。俺もコイツ――小町つぐみも、殺し合いには乗っていない。
 お前達は乗ってるのか?」
「いや……乗ってないさ。ただ自分と仲間達の身を守ろうとしてるだけだ」
「ならもうこんな事は止めようぜ。俺達が殺し合わなきゃならない理由なんて無い筈だ」
「…………」

純一が諭すように告げると、場に数秒の沈黙が流れた。
北川は暫しの間考え込んだが、やがてコルトバイソンの銃口を下ろした。
つぐみと云う女性はともかく――どう考えても純一は殺し合いに乗っていないだろう。
殺し合いに乗った人間が、己の身を挺してまで停戦しようとする訳が無い。
そして見た所純一とつぐみは、これまで仲間として行動を共にしてきた様子。
ならば純一の云う通り、これ以上戦いを続ける必要など何処にも存在しなかった。

179 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 16:56:27 ID:PP6Yrq0M
  

180 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 16:58:02 ID:b2iORErk

「……ふう。全く純一も無茶な真似をするわね」

北川が銃を下ろしたのを見て取って、つぐみもまた警戒態勢を解いた。
肩から力が抜け、口からは自然と溜息が漏れ出てくる。
先の純一が取った行動は完全な愚行であり、一歩間違えれば取り返しの付かない事態になっていただろう。
だと云うのに、つぐみは純一を責めようという気になれなかった。
苛立ちよりも寧ろ、何か暖かい感情が湧き上がってきていた。


一悶着あったものの、こうして純一達と北川一行は和解に成功した。
純一の揺ぎ無い信念と勇気が、悲劇の到来を未然に防いだのだ。
尤も、今回は偶然こういう形になっただけで――純一の善意が、常に良い結果を手繰り寄せるとは限らないが。


    ◇     ◇     ◇     ◇


あれから北川達は、二階の片隅に在る第二守衛室へと場所を移していた。
円形のテーブルを囲うような形で、一同は腰を落として向き合う。
監視カメラがあるこの部屋でならば、周囲への警戒を怠らぬまま、腰を落ち着けて話し合う事が出来るだろう。
何を話し合うか――そんなモノは分かり切っている。
この島に於いて尚日常を演じてきた北川と云えど、情報の重要性くらいは当然理解している。
新たな仲間が出来たのならば、何よりも最初にまず情報交換をするべきだった。
一同はこれまで各々がこの島で辿ってきた道程を、一切包み隠す事無く語り始めた。

まず北川が最初に伝えたのは、竜宮レナに襲撃された時の一件だった。
嘗て北川はこの百貨店でレナの襲撃を受け、風子を背負いながらも逃げ続け、陰毛投擲という奇抜極まり無い反撃方法により窮地を脱した。
まるでコメディ映画のワンシーンかのように思える出来事だが、それは全て真実なのだ。
戦いの一部始終を聞き終えると、つぐみは呆れ果て、純一は苦笑し、そして梨花は少し辛そうな表情をしていた。

181 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 16:58:10 ID:PP6Yrq0M
 

182 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:00:38 ID:b2iORErk

その後も北川の話は続き、名の分からぬ狂人について語った後、話題は役場で発見したパソコンの一件に及んだ。
北川は役場でパソコンを発見したものの、まるで見覚えの無いOSが用いられていた上に、必要と思われるゲームディスクも置いていなかった。
用途不明のプログラム、意味深な擬似恋愛遊戯のアイコン――明らかに主催者達が準備した物であり、何か重要な使い道があるかも知れない。
だが碌な知識を持ち合わせていない北川では、あのパソコンに秘められた謎を探るのは難しい。
だからこそ北川は、パソコンに関して詳しい人物を探し求めていた。
そしてその要望に応えられるだけの技量を持った人物が、この中には存在した。

「パソコンね……私、ある程度の知識はあるわよ」
「えっ、マジか!?」
「嘘なんかつかないわよ。まあ特殊なOSが使われているなら、私だって上手く操作出来るか分からないけどね」

テーブルの上に身を乗り出して問い掛ける北川に対し、つぐみが淡々とした口調で答える。
過酷な人生を歩んできたつぐみは、素人など比べ物にならぬ程の技術力を有しているのだ。
これは図らずして訪れた幸運――北川達一行にとって、間違いなく吉報。
だがそんな時、突然梨花がボソリと呟いた。

「ねえ潤……さっきからぱそこんだとかOSだとかって、一体何の話をしてるの?」
「……へ? 聞いての通りとしか言いようがないけど……梨花ちゃん、パソコンを知らないのか?」
「ええ、そうよ」

あっさりと肯定する梨花に対し、北川は疑惑の念を隠し切れなかった。
梨花は口調こそ大人びているものの、身体的特徴から判断すれば明らかに子供なのだから、OSという言葉を知らなくても仕方無いだろう。
だがパソコンすら知らないというのは、この現代社会に於いて有り得るのだろうか。

「ほらアレだよ、コマーシャルとかでよく映ってないか? インターネットを使ったり、ゲームしたり出来るやつだよ」
「色んなヒトデを検索する事も出来ますっ」
「潤、風子、さっきから貴方達が何を言ってるのか全然分からないわ」
「…………」

183 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:02:06 ID:PP6Yrq0M
  

184 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:03:00 ID:b2iORErk

北川は顎に手を添えてから、深く考え込むような顔となった。
おかしい。
梨花が嘘をついているようには見えぬし、そもそも虚言を吐く意味など無いだろう。
ならば梨花の言葉は真実であると判断せざるを得ないが、現代の日本に住んでいてパソコンを知らぬ筈が無いというのもまた事実。
これだけ情報が溢れかえっている現代社会で生きていれば、必ずパソコンについて知る機会が在る筈なのだ。
だというのに、一体何故?
そこまで考えて、北川の脳裏にある単語が引っ掛かった。
そうだ――確かに梨花の言ってる事は有り得ない。
『現代』で生きている、という仮定の下ならば。
北川は自身が得た結論を確かめるべく、真剣な表情で梨花に問い掛ける。

「……梨花ちゃん、今は何年だ?」
「え……昭和58年でしょ?」

梨花がそう言った途端に場の時間が停止し、重い沈黙が流れた。
質問をした本人である北川は当然として、つぐみも納得したような顔付きになっていた。
そのまま幾ばくかの時間が経過した後、まるで事情を把握出来ていなかった純一が喋り出す。

「何言ってんだ? 昭和58年って……んな訳無いじゃんか」

純一がそう断言するのも、至極当然の事だ。
そもそも昭和58年といえば、まだ純一はこの世に生れ落ちてすらいない。
にも関わらず今が昭和58年であると言われても、信じられる訳がないだろう。
だがそこでつぐみが、純一の言葉をはっきりと否定する。

「いいえ、多分誰も間違った事は云ってないわ。私は西暦2034年の日本で生きていた。そして梨花は西暦1983年。
 つまり私達は、別々の『世界』から連れて来られたのよ」
「な、そんな事がッ……!?」
「そう考えるのが一番自然。60人以上の人間を纏めてワープさせれる主催者なんだから、何が出来ても不思議じゃない」
「…………」

185 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:03:23 ID:PP6Yrq0M
 

186 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:05:33 ID:b2iORErk

純一は何も反論しない――つぐみの言う通りだった。
実際に自分達がワープさせられたように、この世には常識で考えられない事など幾らでもある。
自分だって魔法の真似事のような芸当が可能なのだ。
ならば複数の世界を行き来出来る存在が居たとしても、可笑しくは無いだろう。

「そうなると、まさか別の誰かが……? 少なくとも鷹野にそんな力は無い筈……彼女は只の人間なんだから」
「え――――梨花ちゃん、鷹野の事を知ってるのか!?」
「それは……」

問い掛けられた梨花はどう答えるべきか一瞬迷ったが、結局素直に教える事にした。
これ程までに常識外れな事態が続いているのだから、子供の妄言と片付けられる心配も無い。
雛見沢症候群の事も、鷹野三四自身についても、そのバックに付いている秘密結社『東京』の事も話した。


「『東京』……過激派の連中が集まった秘密結社。そして鷹野はその組織の一員で、『山狗』って言う特殊部隊を従えている。
 そんな危ない奴等が日本に潜んでいたなんて……、ああでも梨花ちゃんの世界は、俺が居た世界と別だから……えーと、う〜もう訳分かんねえ!」
「残念です。ヒトデの秘密結社なら、風子も参加したんですけど。ヒトデの秘密結社……とっても可愛いです……」

独り頭を抱える北川と、独り空想に耽る風子。
そんな二人を華麗にスルーしながら、つぐみは冷静に自身の考察を述べる。

「でも……妙ね。話を聞く限り、鷹野は雛見沢症候群についての研究を進めたがってるだけなんでしょ?
 それなら私達を――特に梨花を殺し合いに巻き込む必要なんて、何処にも無いじゃない」
「私もそれはずっと不思議に思ってたわ。でもこう考えたら辻褄が合わない?
 鷹野はただの傀儡――黒幕は別に居る。そう、数々の超常現象を自在に引き起こせる黒幕が」

187 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:05:44 ID:PP6Yrq0M
  

188 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:07:34 ID:pc6a/IpI
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189 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:08:19 ID:b2iORErk

恐るべき力を持った何者かが、裏で鷹野を操っている――それが梨花の推理だった。
羽入という異能者が身近に居るからこそ、数少ない情報から推測出来た。
黒幕の目的は何なのか、といった疑問は残るが、推理自体は良い線をいってるように思えた。
誰もその推論に異を唱える事は無く、情報交換は進んでいく。
その結果ネリネという少女が危険人物であり、それは梨花を襲ったのと同一人物である事が分かった。
他にも危険人物は何人か居たが、既に放送で死亡が確認された後だった。
プールで発見した暗号文に関しては、全員で少し考えてみたものの、現段階以上の進展は見られなかった。
そのまま一同は各々の道程を語り続けて、情報交換という意味合いでの話は終わった。
後は今後の方針決定だが――つぐみからすれば、先に解決しておかねばならぬ問題がある。

「そう言えば潤……貴方は凄い評価されてるみたいよ。優勝者予想をしようって趣旨の投票サイトがあったんだけど、貴方一位だったわ」

つぐみは鉛筆を準備して、紙の上に文字を書き綴る。

【……盗聴されてるかも知れないから、少し首輪を調べてみたいの。何も喋らなかったら怪しまれるから、適当に話を合わせてくれないかしら。
 重要な会話は筆談の方でお願い】
「――――ッ!?」

驚愕の表情を見せる北川達に構わず、つぐみは純一の首輪を丹念に調べ、続いて紙に鉛筆を走らせてゆく。
他のメンバーも慌てて筆記用具を取り出し、何時でも筆談に応じれるような態勢となる。

【やっぱり盗聴されてるわ。首輪に集音マイクの小さな穴が付いているもの】
【そうか……これで鷹野は俺達を監視していたんだな……】

北川はそう書くと、自身に取り付けられている冷たい首輪を撫でた。
もし盗聴器に気付かぬままだったならば、仮に主催者打倒の糸口を発見出来たとしても、即座に露見し殺されてしまっていただろう。
そう考えると、背筋に寒い感覚が奔るのを禁じえない。

190 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:09:07 ID:PP6Yrq0M
 

191 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:10:06 ID:pc6a/IpI
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192 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:10:51 ID:pc6a/IpI
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193 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:11:17 ID:b2iORErk

「でも実際に会って見たら、全然そんな感じじゃなくて拍子抜けしちゃった。
 此処に来てから、潤に関するイメージが180度近く変ったわ」
「……私もよ。私が襲う振りをした時、シリアスな顔で格好の良い事言ったと思ったら……いきなり風子と漫才始めるんだもの。
 潤の株が、世界恐慌で大暴落って感じ」

梨花は口頭上で話を合わせながら、鉛筆をぎゅっと握り締めた。
若干涙目になっている北川をよそに、つぐみとの筆談を開始する。

【つぐみ、これからどうするつもり?】
【良い? この殺し合いを潰すのに絶対必要な条件は三つ。
 1――情報収集……特に島の謎と、鷹野や黒幕について。戦場に関する仕組みと、相手の事が分かっていなければ、対策の建てようがないわ。
 2――味方戦力の確保。鷹野が特殊部隊を従えてるというのなら、こちら側もそれなりの人員と装備を揃えなきゃいけない。
     尤も人をワープさせたり、別世界から拉致出来るような奴が黒幕なら、どれだけ戦力があっても足りないかも知れないけど……。
 3――首輪解除。首輪を外す方法と、どうやって鷹野に悟られないよう外すのかが問題ね。
 それで、具体的にどうするかと言うと……】

紙が文字で埋め尽くされてしまった為に、つぐみは新たな用紙を取り出した。

【私は武を探さないといけないし、此処に留まってはいられない。だから私は純一と一緒に、島の中を動き回るわ。
 暗号文の解読、廃抗別入り口の探索、禁止エリアでカモフラージュされた何か、電力の供給源、首輪の解除方法。
 それから……座礁したフェリーなんかが地図に載ってるのも怪しいわね。
 私達はこの辺りを重点的に探ってみようと思う。逆に貴女達には、此処に留まって居て欲しい】
【どうして? 私達も一緒に行った方が良いんじゃない?】
【必要な条件は三つあるって言ったでしょ。
 私達の役目が情報収集と首輪解除だとすれば、貴女達の役目は味方戦力の確保。
 この百貨店を拠点にして、戦力を増やしていって欲しいの。
 勿論何処かで圭一や赤坂を見付けたら、梨花が此処に居る事を教えるから】

194 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:11:37 ID:PP6Yrq0M
   

195 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:13:20 ID:b2iORErk

それは若干の違いこそあるものの、梨花が思い描いていた作戦と同じだった。
出来れば自分自身の手で圭一達を探したい所だが、贅沢など云っていられる状況では無いだろう。
子供の身体しか持たぬ自分よりも、先の戦いで驚異的な身体能力を見せたつぐみの方が、明らかに外で行動するのに向いている。
そう判断した梨花は、ゆっくりと首を縦に振った。

その後も少し筆談が続き、百貨店が禁止エリアになった場合の拠点などについて決められた。
もっぱらつぐみと梨花の二人で協議していたが、時折北川や純一も意見を挟んでいた。
そして十数分後、長きに渡った作戦会議が終焉の時を迎え――――

「おし、そんじゃそろそろ行くか」

そう云って純一が席を立ち、それに倣いつぐみも立ち上がった。
純一は残る三人に視線を送りながら、告げる。

「北川、古手、伊吹。俺達は生き延びる……絶対にだ! 次に会う時まで、どうか無事で居てくれよ」

この島ではもう、余りにも多くの人が死に過ぎてしまった。
殺し合いは今も尚続いており、強者とおぼしき人間も次々に命を落としている。
次の放送でこの場に居る誰かが呼ばれたとしても、何も不思議ではない。
それでも純一は、決して弱気になったりしなかった。
最後まで希望を捨てず、凄惨な殺人遊戯に立ち向かっていくつもりだ。
そんな純一の想いに応えるように、北川はにやりと笑って見せた。

「ああ、分かってるよ。一応ちっこいお姫様二人の護衛役を任されてんだ、そう簡単に死ねないさ」

純一は北川の返事を確認すると、つぐみと共に階段の方へと歩き出した。
長々と別れを惜しんでいる時間など無いのだ。
先程の戦闘の際投げ捨てた釘打ち機を拾い上げ、そのまま階段まで歩を進めようとして――

196 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:13:28 ID:YhdATwdG
 

197 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:14:08 ID:PP6Yrq0M
 

198 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:14:42 ID:YhdATwdG
 

199 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:15:29 ID:b2iORErk
「アッー!?」
「……忘れてたわ」

フロアに響き渡る絶叫と金属音。
つぐみの真横では、純一が頭を抑えて屈み込んでいる。
純一はフロア中に張り巡らされていた罠を踏んでしまい、後頭部に中華鍋の直撃を受けたのだ。


    ◇     ◇     ◇     ◇


「……」

被弾部を押さえ、かったるいと呟きながらも歩いてゆく純一達。
そんな二人を見送りながら、風子は思う。
正直な所つぐみの思考力と、純一の強い信念には驚かされた。
『前回』の殺人遊戯で集められたのは、良くも悪くも普通の人間ばかりだった。
つぐみ程頭の良い人間は居なかったし、純一程真っ直ぐな姿勢を貫いた人間も居なかった。
だが今回は違う。
純一の話によれば、魔法を使える人間すらも居たらしいし、異能者も参加対象になっているのだろう。
明らかに前回よりも、参加者の質は上だ。

これなら――皆で力を合わせれば、何とかなるかも知れない。
『仲間』と一緒に、元の世界に帰れるかも知れない。
自分だって前回の経験により、罠や銃火器に関する知識を一通り身に付けている。
やろうと思えばもっと強力な罠を仕掛ける事も可能だ。

だがその一方で、決して見過せぬ不安も残る。
もし飛び抜けた力を持った異能者が、殺し合いに乗っていたら?
純一の信念を逆手にとるような、姑息極まりない人間が居たら?
そんな者達が存在したとしたら、殺し合いを止めるのは非常に難しいと云わざるを得ない。
全ての希望が潰えてしまった時、自分はどうすれば――どれだけ考えても、答えは出そうに無かった。

200 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:18:25 ID:b2iORErk





【A-3 百貨店二階第二守衛室/1日目 午後】
【北川潤@Kanon】
【装備】:コルトパイソン(.357マグナム弾6/6)、首輪探知レーダー、車の鍵
【所持品】:支給品一式×2(地図は風子に奪われまたまま)、チンゲラーメン(約3日分)、ゲルルンジュース(スチール缶入り750ml×3本)
     ノートパソコン(六時間/六時間)、 ハリセン、バッテリー×8、電動式チェーンソー×7
【状態:健康】
【思考・行動】
基本:殺し合いには乗らない。というかもう乗れねーつーの!
1:百貨店内の探索&トラップ
2:信頼できる仲間が来るのを待つ
3:百貨店を拠点とし、風子と梨花を守る
4:水瀬名雪や信用できそうな人物を捜索したいんだけど、二人(風子達)をわざわざ危険に晒すわけにもいかないからなぁ
5:そろそろ『童貞男』シリーズも終わるさ……そう思っていた時期が俺にもありました
【備考】
※チンゲラーメンの具がアレかどうかは不明。
※チンゲラーメンを1個消費しました。
※梨花をかなり信用しました。 風子、純一、つぐみも信用しています。
※ネリネと鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。
※パソコンの新機能「微粒電磁波」は、3時間に一回で効果は3分です。一度使用すると自動的に充電タイマー発動します。
 また、6時間使用しなかったからと言って、2回連続で使えるわけではありません。それと死人にも使用できます。
※チェーンソのバッテリーは、エンジンをかけっ放しで2時間は持ちます。
※首輪探知レーダーが人間そのものを探知するのか、首輪を探知するのかまだ判断がついてません。
※車は百貨店の出入り口の前に駐車してあります。(万一すぐに移動できるようにドアにロックはかけていません)
※車は外車で左ハンドル、燃料はガソリン。
※一連の戦闘で車の助手席側窓ガラスは割れ、右側面及び天井が酷く傷ついています。
※電線が張られていない事に気付きました。
※『廃坑』にまだ入り口があるのではないかと考えています。

201 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:18:27 ID:PP6Yrq0M
  

202 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:18:32 ID:YhdATwdG
 

203 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:19:58 ID:b2iORErk
※禁止エリアは、何かをカモフラージュする為と考えています。
※ノートパソコンの二回目の新機能は確認していません。
※幼女に目覚めました
※百貨店のある場所が禁止エリアに指定された場合、拠点をホテル、教会、学校の優先順位で変える。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました


【伊吹風子@CLANNAD】
【装備】:無し(コルトパイソンは潤に預けたまま)
【所持品】:支給品一式、猫耳&シッポ@ひぐらしのなく頃に祭、赤いハチマキ(結構長い)、風子特製人生ゲーム
【状態】:健康。満腹
【思考・行動】
0:今まで通り『伊吹風子』を演じる(受動的)
1:北川と梨花と、行動を共にする。
2:北川さんは風子がいないと本当に駄目ですね。やれやれです
3:もし殺し合いが止めれそうに無かったら、その時は……?
【備考】
※状況を理解していないように装っています
※トラップと銃火器に関して、かなり高度な知識を持ち合わせています。
※他にどれだけの知識や経験があるかは、後の書き手さんにお任せします
※北川をかなり信用。梨花、つぐみ、純一も信用しています。
※盗聴されている事に気付きました

204 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:21:13 ID:PP6Yrq0M
  

205 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:21:49 ID:b2iORErk



【古手梨花@ひぐらしのなく頃に祭】
【装備:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に 祭  暗号文が書いてあるメモの写し
     ヒムカミの指輪(残り2回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄
     紫和泉子の宇宙服@D.C.P.S. 】
【所持品:支給品一式】
【状態:頭にこぶ二つ】
【思考・行動】
基本:潤と風子を守る。そのために出来る事をする。
1:捜索、トラップ仕掛けを潤と一緒に行う(風子のトラップ技術を評価)
2:百貨店に誰かが来るのを待っている
3:潤達と一緒に居る
4:死にたくない(優勝以外の生き残る方法を見付けたい)
【備考】
※皆殺し編終了直後の転生。鷹野に殺されたという記憶はありません。(詳細はギャルゲ・ロワイアル感想雑談スレ2>>609参照)
※ネリネと鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。
※探したい人間の優先順位は圭一→赤坂の順番です。
※北川、風子をかなり信用しています。つぐみと純一の事も信用しました。
※電線が張られていない事に気付きました。
※『廃坑』にまだ入り口があるのではないかと考えています。
※禁止エリアは、何かをカモフラージュする為と考えています。
※百貨店のある場所が禁止エリアに指定された場合、拠点をホテル、教会、学校の優先順位で変える。
※盗聴されている事に気付きました
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※ヒムカミの指輪について
ヒムカミの力が宿った指輪。近距離の敵単体に炎を放てる。
ビジュアルは赤い宝玉の付いた指輪で、宝玉の中では小さな炎が燃えています。
原作では戦闘中三回まで使用可能ですが、ロワ制限で戦闘関係無しに使用回数が3回までとなっています。

206 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:22:37 ID:b2iORErk

※紫和泉子の宇宙服について
紫和泉子が普段から着用している着ぐるみ。
ピンク色をしたテディベアがD.C.の制服を着ているというビジュアル。
水に濡れると故障する危険性が高いです。
イメージコンバータを起動させると周囲の人間には普通の少女(偽装体)のように見えます。
朝倉純一にはイメージコンバータが効かず、熊のままで見えます。
またイメージコンバータは人間以外には効果が無いようなので、土永さんにも熊に見えると思われます。
(うたわれの亜人などの種族が人間では無いキャラクターに関して効果があるかは、後続の書き手さんにお任せします)

宇宙服データ
身長:170cm
体重:不明
3サイズ:110/92/123

偽装体データ
スレンダーで黒髪が美しく長い美人
身長:158cm
体重:不明
3サイズ:79/54/80



207 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:22:47 ID:PP6Yrq0M
  

208 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:23:56 ID:b2iORErk


【小町つぐみ@Ever17】
【装備:スタングレネード×9、ミニウージー(16/25)】
【所持品:支給品一式 天使の人形@Kanon、バール、工具一式、暗号文が書いてあるメモ】
【状態:若干の疲労】
【思考・行動】
基本:武と合流して元の世界に戻る方法を見つける。
1:純一と共に情報を収集する
(暗号文、廃抗別入り口、禁止エリアでカモフラージュされた何か、電力の供給源、首輪の解除方法、座礁したフェリー)
どれから調べ始めるかは、次の書き手さん任せ。
2:純一と共に武を探す。
3:ゲームに進んで乗らないが、自分と武を襲う者は容赦しない
4:圭一、赤坂を探す(見つければ梨花達の事を教える)
5:稟も一応探す。
【備考】
赤外線視力のためある程度夜目が効きます。紫外線に弱いため日中はさらに身体能力が低下。
参加時期はEver17グランドフィナーレ後。

※音夢とネリネの知り合いに関する情報を知っています。
※純一 とは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※音夢と純一の関係について、疑問を持っています(純一には未だ話していません)
※北川、風子、梨花をある程度信用しました。
※投票サイトの順位は信憑性に欠けると判断しました。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました

209 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:24:57 ID:b2iORErk

※暗号について
 暗号に書かれている3つ集めると主催者達への道がつうじると考えていますが、他の書き手の皆さんが変えてもかまいません。
 正義を持つ虫を食べた魔物=オオアリクイのヌイグルミ@Kanon
 神の使いの羽=天使の人形@Kanonか羽リュック@Kanonと考えていますが他の書き手の皆さんが変えてもかまいません。
 国を裂く事ができる最高の至宝=国崎最高ボタン
 と全体的には考えていますが、他の書き手の皆さんが変えてもかまいません。
※つぐみと武の首輪はキュレイ対策のため、爆薬が他の首輪よりも多く積載されている可能性があります。
 そのため他の首輪と比べて構造に不備が出来ている可能性があります。

※「少年少女殺し合い、優勝者は誰だ!?」について
殺害数ランキング、最新死者一覧などは第二回放送前の時点では未更新。
優勝者予想の最終中間投票だけが更新されています。投票はまだ出来ます。
時間帯としては楓が死亡した直後を想定。
優勝者予想の最終結果が出るのは第三回放送以降です。

※プール内のパソコンについて。
ゴミ箱の中にNO1からNO100のフォルダがあります。
NO17のフォルダにテキスト「大神への道」が入ってます。
他のフォルダに何か入ってるかどうかは他の書き手しだいです。




210 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 17:25:09 ID:PP6Yrq0M
  

211 :童貞男と来訪者達 ◆guAWf4RW62 :2007/08/22(水) 17:28:19 ID:b2iORErk



【朝倉純一@D.C.P.S.】
【装備:釘撃ち機(20/20)、大型レンチ】
【所持品:支給品一式 エルルゥの傷薬@うたわれるもの オオアリクイのヌイグルミ@Kanon】
【状態:後頭部にたんこぶ・強い決意・血が服についている】
【思考・行動】
基本行動方針:人を殺さない 、殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出
1:つぐみと共に情報を収集する
(暗号文、廃抗別入り口、禁止エリアでカモフラージュされた何か、電力の供給源、首輪の解除方法、座礁したフェリー)
どれから調べ始めるかは、次の書き手さん任せ。
2:つぐみと共に武を探す。
3:つぐみを守り通す
4:ことり、圭一、赤坂を探す。
5:さくらをちゃんと埋葬したい。
【備考】
芙蓉楓の知人の情報を入手しています。
純一の参加時期は、音夢シナリオの初キス直後の時期に設定。
※つぐみとは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※つぐみとは年が近いと思ってます
※北川、梨花、風子をかなり信用しました。
※ネリネと鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※純一達の車にキーは刺さっていません。燃料は軽油で、現在は約三分の一程消費した状態です。
百貨店の近くに停車してあります。

212 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:22:37 ID:kL2ta8iQ
「戦場では遅れて来た者が圧倒的に有利」といわれることがある。
ヤンキー漫画の三流策士や宮本武蔵の「巌流島の決闘」で見られる様に、わざと遅れて到着する事で相手のイライラを誘うというワケではない。
遅れて来た者の方が戦い方もポジションのいずれも先に来た者より自由に選択できるからだ。

その意味では大空寺あゆ、時雨亜沙の後からホテルに到着したネリネはまさに「遅れて来た者」と言えるだろう。
現に彼女はホテルの情報を一手に握り、先に到着した二人の生殺与奪を握っていると称しても過言ではない。

ホテル到着後、館内設備の全てを管理するコントロール室に陣取り、亜沙とあゆを炙り出してその存在を確認しただけにとどまらず、
外周を歩いていた一ノ瀬ことみを気絶させてその装備と支給品を奪ったネリネは、今まさに戦いの狼煙を上げようとしていた。

「こちらの準備は既に整いました。あとはそちらからこちらまで出向いていただきましょうか、時雨先輩」

そう言ったネリネはシステム制御用コンピュータのマウスを握り、客室の空調設定をONにする。
続いて、館内照明の状態を確認したネリネは「一斉消灯」の文字をクリックした。
その数秒後、ホテル館内の照明が一斉に消えた。

再びモニター前に戻ったネリネは、先ほど二人の姿が映し出されたモニターに注目する。
消灯された事により監視カメラの映像はかなり暗くなったが、映し出されている場所の輪郭はハッキリと判る。

数分後、客室の扉の一つが開かれる。
モニターに映し出されたのは先ほどの二人。
いずれもランタンを手にしていることから、どうやら他の場所へ移動するみたいだ。
ネリネは二人の向かう方向に注目し、他のモニターにも目を向ける。

「非常階段を使うということは、エレベーターの電源が落ちていると勘違いしている様ですね」

好都合だとネリネは思う。
亜沙ともう一人の少女が向かった先が客用の非常階段ということは、あの二人が下の階へおりてくる事に他ならない。
つまり、この1階までやってくる可能性は十分ある。

更に、階段を使って自分の足で歩いて降りてくるなら結構なスタミナを消耗する事だろう。
こちらが十分スタミナを回復――魔力については未だに回復途上だが――しているのとは完全に逆だ。

213 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:24:43 ID:kL2ta8iQ
「ロビーまで来られたなら、面白いことになりますね」

既に1階メインロビーの構造は、見取り図を熟読した事で知り尽くしている。
コントロール室の照明を落としたのも闇の中で目を慣らす為だった。

今からロビーに待機していれば降りてきた二人を奇襲することも出来るだろう。
だが、ネリネは楽観も慢心もしてはいない。
現に強力な武器を持っていた朝倉音夢は、その慢心によって博物館の戦いで逃げ回っていた男女の手により気絶させられたではないか。
自分は目的を果たすまでそういう目に遭うつもりは無いし、遭うわけにもいかないのだ。

「そうなると、ここは銃で戦うのが一番ですね」

そう言ったネリネはディパックからデザートイーグルを取り出す。
相手の装備、特に金髪の少女がどんな武器を持っているかわからぬ以上は“献身”を用いず銃により攻撃を加える方がいい。
そして、撃っては逃げるというヒットアンドアウェイ戦法で攻めるのが一番だろう。

「では、私も参りましょうか」

左手に“献身”を、右手にデザートイーグルをそれぞれ手にしたネリネは立ち上がりディパックを肩から提げると、
コントロール室の扉に鍵をかけると自らもロビーに向かった。


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


「エアコンが動き出したと思ったら今度は停電かね。一体どうなってんのさこのホテルは?」

同じ頃、ブツブツ文句を言いながら1階目指して非常階段を降りていたのは大空寺あゆと時雨亜沙だった。
もっとも、文句を言っているのはあゆ一人だけだったのだが。


214 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:25:36 ID:kL2ta8iQ
あゆが不機嫌になるのも無理はない。
部屋の空調が効かなくなった為、ルームチェンジをしてみたがいずれの部屋も結果は同じ。
仕方がなく最初に入った部屋へ戻ったところ、エアコンから冷風が流れ出ていたのである。

「なんだ、一時的なものだったか」

あゆがそう思ったのも束の間、今度は部屋の照明が消えたのだ。
客室だけの話だと思ったあゆは廊下に出てみたが、今度は廊下も照明が消えている有様。
最初は「どうせまた一時的なものさ」と思っていたが、停電から10分以上経っても照明はもどらなかった。
そんな中、あゆに声をかけたのはようやく落ち込んだ状態から脱しようとしていた亜沙だった。

「あゆちゃん、フロントに行ったら何かわからないかな?」
「フロント?ああ、そんなものもあったな」

亜沙の言葉にあゆは思わずうなずく。
このホテルへ入った時にフロントからロイヤルスィートのある最上階の鍵をまとめて持ち出したが、それからはその存在を頭の片隅に
追いやったままだった。

(時雨の言うとおりフロントに行きゃ何かわかるかもな)

部屋の中に射し込む日光のおかげでロイヤルスィートルームの中はある程度の明るさを保っているが、
日が落ちれば室内は暗闇になるし、なにより殺し合いに乗った襲撃者から逃げる時に真っ暗では大変だ。
そう考えればこの停電はなんとかしたほうがいいだろう。

「それじゃ、あたしはフロントまで行ってみるかね。時雨、アンタはどうする?」
「それならボクもあゆちゃんと一緒に行くよ。やっぱり、停電している中で待つのは嫌だから……」

二人はそう言葉を交わすや、すぐにディパックからランタンを取り出して客室を出る。
とりあえずは1階のメインロビーにあるフロントでこの停電の原因が何であるか調べる必要がある。
あゆが向かったのはエレベーターホールではなく、避難用の非常階段だった。

215 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:26:25 ID:kL2ta8iQ
てっきり、エレベーターに乗るものと思っていた亜沙はあゆに聞き返す。

「あれ?エレベーターは使わないの?」
「エアコンが止まって、停電と来たら次はエレベーターかもしれないからな。アタシは閉じ込められるのはまっぴらなのさ」
「それもそうだけど……」

そんな事で、二人はランタンの灯りを頼りに階段を降りていく事になった。
しかし、15階もあるホテルの最上階からエレベーター等を使わず自分の足で歩いて降りるというのは骨が折れる。
オマケに停電時に点灯するはずの非常灯も消えており、完全な暗黒の中でランタンの灯りだけが頼りという状況では
精神的にも負担がかかる。

(それにしても、普通ならすぐに自家発電が回ってもいいんじゃないかね?)

後ろに亜沙を従えながら階段を降りる中であゆは思う。

(それどころか、エアコンはいきなり止まるわ停電するわで、外見はご立派でも実際はどこぞの安ホテルと同じということか?
とにかくフロントについたらこの停電が何とかならないか色々調べるとするか)

だが、二人はまだ気付いていない。

停電ならば、照明だけでなく空調もエレベーターも全て止まるという事に。
つまり、照明は電源が「落ちた」のではなく「落とされた」という事に。
更に、その照明の電源を落とした張本人がメインロビーで待ち伏せしている事にも。

それがどれだけ危機意識の無い事なのか気付いていないのは、二人にとって最大級の不幸と言えるだろう。

二人がメインロビーに到着したのはそれからもう暫くしてからのことだった。


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

216 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:27:19 ID:kL2ta8iQ
(思ったより遅かったですね。しかし、ランタンを灯したままとは随分と無用心ではないでしょうか)

1階メインロビー、その一角に立つ巨大な――直系2メートルを超える――柱を遮蔽物として身を隠していたネリネは、
哀れな獲物とでも言うべき二人がようやく姿を現したのを確認した。

二人とも、ネリネが言うように無防備な状態でランタンを掲げこちらに歩いてくる。
大方フロントにでも行くのだろう。

(どうやらお二人とも、まだ周囲に目が慣れてないみたいですね。転びそうになってますよ)

ネリネは柱の影から二人の様子を観察する。
金髪の少女が前を歩き、その後ろを亜沙が歩いているのがわかる。
先ほどから足元がおぼつかないのか、それとも疲労が激しいのか、転びそうになっているのはもっぱら亜沙の方だった。

一方のネリネは、二人がメインロビーに現われるかなり前から柱の側に隠れておりランタンも灯してなかった為、
既に十分暗闇に目が慣れた状態だった。
おかげで暗い中でも二人の様子ははっきりと見て取れる。

ロビーそのものについても、ランタンを使わず歩き回って何処に何があるのか、見取り図からは判らないところがどうなって
いるのかまでも把握している。

ネリネが重視したのはメインロビーの隅から隅まで敷かれているふかふかの絨毯だ。
この絨毯は余程の高級品なのか、大変分厚くそして柔らかいため足音をほぼ完全に消してくれる。
その為、余程大きな音を立てなければ背後から忍び寄って一気に襲い掛かることも不可能ではなかった。


217 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:28:01 ID:kL2ta8iQ
だが、ネリネは相手の装備を見極めるまでは接近戦に持ち込むつもりは無い。
それに、あの二人がランタンを灯している為その姿は遠くからでも丸見えである。

(とりあえず、先制攻撃と行きましょうか。あれ以上フロントに近づかれるのも困りますし)

フロントはカウンターの奥に事務所があり、そこから従業員エリア所謂バックスペースへ繋がっている。
いずれは気付かれるだろうが、このタイミングで従業員エリアへ入られると色々厄介だ。
そのため、ネリネは先制攻撃をかける事に決めたのである。

(最初から命中する可能性は低いでしょうけど、とりあえずはフロントから離れてもらいましょう)

ネリネは、そう思いデザートイーグルの銃口を二人の方向へ向け、両手で握り構える。
そして躊躇することなく金髪の少女に狙いを定め、トリガーを引いた。

その直後凄まじい銃声がメインロビーに響き渡る。
かくして、戦いの火蓋は切って落とされた。
 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


「きゃあああッ!」
「な、何さ!?」

ネリネの放った一撃に対するあゆと亜沙の返答は、悲鳴と驚きの声だった。
後方で激しい銃声が響いたかと思えば、二人が向かっていたフロントの重厚なカウンターがいきなり大小の破片を多数まき散らして爆ぜる。

218 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:30:03 ID:kL2ta8iQ
最初の一撃は命中こそしなかったものの、二人の足を止めるには十分だった。

「時雨!伏せろ!!」

だが、いきなりの銃撃による驚きからすぐ立ち直ったあゆは、亜沙の手を強引に引っ張るとそのまま床に伏せさせ、自らも弾の飛んできた方向を伺う。

(なんてこった。もう乗った奴が来たのか!)

ホテルに入る前、一応周囲を警戒して誰も見ていないのを確認した上で入ったし、自分たちの後から誰かが来るという事を考えなくもなかった。
しかし、最上階の豪華な部屋での休息は短時間といえど、彼女たちの警戒心を弛緩させるには十分すぎたと言える。

(畜生……。暗くてどこから撃ってきたのかわからねぇな……。でも、どうやってあたし等の居場所を……?……ッ!!そうか!!)

その時あゆは気が付いた。
支給品のランタン。
この暗闇を照らす唯一の灯りであるこれが目印となったのだ。

すぐさま、自分と亜沙のランタンを消すあゆ。
一方の亜沙は、あゆのとったいきなりの行動に驚きながら小声で問いかける。

「あゆちゃん?いきなり灯りを消してどうするの!?」
「静かにしな!あたし等を撃った奴はランタンを目印に撃って来やがった。こうすれば奴もこっちの様子がわからないってことさ。そこでだ時雨」
「何?」
「撃ってきた奴は二発目を撃ってきやがらねぇ、つまり奴もこっちの様子が判らんのだろうさ。
だから、今のうちにアンタはエレベーターであの部屋に戻ってな」



219 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:30:22 ID:saxPq75n
 

220 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:30:50 ID:kL2ta8iQ
メインロビーには西と東の端にそれぞれ3台ずつ客用のエレベーターが設置されている。
あゆがエレベーターを使えと言ったのは、階段を昇るより断然速度が速いことと、万一停電で停止してもその間襲われる心配が無いからだった。
一方、あゆの言葉に亜沙は驚きながらも反論する。

「だけど、そうなったらあゆちゃんは……」
「大丈夫さ、防弾チョッキも着ているしな。それにこの状況じゃ言っちゃ悪いがアンタは足手まといさ……。ほら、早く行きな!」

こう言われると亜沙もおとなしく引き下がるしかない。
すぐさま亜沙はディパックと火の消えたランタンを手にすると、四つん這いの格好で音を立てないように
西のエレベーター目指してゆっくりとさがり始める。
あゆの方は、すぐさま襲撃者の姿を確認しようとロビーの東側に向かって匍匐前進を開始した。

(さて、姿を拝ませてもらおうかね。この糞虫が……)

匍匐前進を続けるあゆはロビー内に置かれた豪華な調度品やソファーを盾にしながら襲撃者が銃を発砲してきた地点を目指す。

(こうも暗いと、撃った奴が男か女かもわからんね。 どっちにしても、撃ってこないなら姿を確認して一発反撃してやらにゃ気がすまないさ)

そう思いながらあゆは懐から自分の武器であるS&W M10を取り出す。
だが、銃を手にした時点であゆは気が付く。

(ちょっとおかしくないかね?もうかなり移動したってのに一発も撃ってこないとはどういうつもりさ?)

だが、ここで止まるわけにはいかない為、あゆはそのまま匍匐前進を続ける。
そして、ある柱の近くまで来た時、あゆの指先は絨毯とは明らかに異なる何かに触れた。

「何さこれ?」

それを指先でつまんで顔に近づけるあゆ。
暗闇の中で目を凝らして手にした物体を見ると、それは銃の薬夾だった。

221 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:30:51 ID:123LrlEg



222 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:30:57 ID:JCTNp8BS
 

223 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:31:47 ID:saxPq75n
 

224 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:31:48 ID:kL2ta8iQ
(こいつはさっき撃ってきた奴のあれか?つまり、あたし等を撃った糞虫はここにいたってことかい!?)

即座に立ち上がり、柱の影へと隠れるあゆ。
S&W M10を握る手に力がこもる。

その間にも彼女の頭の中でここまでの情報が組み立てられていく。


ランタンの灯りを狙ったと思われる第一撃――

一発目を撃ったあと二発目を撃ってこない襲撃者――

柔らかく音を吸収する絨毯――

薬夾の落ちていた場所には既に襲撃者がいないという事実――

これらから導き出させる答え――


(ここまで来る間にどこかへ移動したということかね……糞ッ!)

その事実に思わず腹立たしくなるあゆ。

思えば、最初の一発の後すぐ二発目を撃たない時点で怪しむべきだった。

(だったら、あたし等を撃った糞虫はどこに行ったのさ?)

大方襲撃者は一発目のあとすぐにここから移動したのだろう。

だとしたらどこに行った?
既にホテルから出たのか?
いや、それは考えられな――

225 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:32:24 ID:saxPq75n
 

226 :Hunting Field ◆/P.KoBaieg :2007/08/23(木) 11:33:03 ID:kL2ta8iQ
あゆがそこまで考えたとき、最初の一発より軽い銃声が響き、彼女の思考を中断させた。
そして直後に響く悲鳴――。

「ウアアッ!」
「時雨!」

思わず、それまで隠れていた柱の陰からロビーの西側に向かって走るあゆ。
走るたびに佐藤良美に撃たれた箇所が痛むが、そんなものを気にしている暇は無い。

エレベーター前にたどり着いたあゆが見たのは、床に座り込み右足を押さえながら痛みに苦しむ亜沙の姿だった。
右足の太腿からは血が流れ出し、絨毯を赤く染めていくのが暗闇の中ですらハッキリわかる。

「時雨!しっかりしな!」
「あゆちゃん……ごめん、せっかく逃がしてくれたのにボク、やられちゃった……」
「そんな事はいい!誰にやられた!?」

亜沙に肩を貸し、エレベーターのボタンを押しながらあゆは問いかける。
すぐ近くから撃たれたなら亜沙が襲撃者の姿を見たに違いないと思ったからだ。

「見えなかった……。後ろ向きに四つん這いでここまで来たら、立ち上がったところをいきなり後ろから撃たれて……」
「さっきの糞虫か!」

思わずあゆは毒づく。
恐らく襲撃者は自分ではなく亜沙を標的に定めていたのだろう。
そう考えれば、あの場所に移動したとき既に襲撃者がいなくなっていたのも納得がいく。



227 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:33:27 ID:saxPq75n
 

228 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:33:42 ID:JCTNp8BS
 

229 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:35:20 ID:saxPq75n
 

230 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:36:06 ID:saxPq75n
 

231 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 11:37:15 ID:saxPq75n
 

232 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:14:31 ID:saxPq75n
「……もうすぐか」

T字路。先頭を行く悠人さんの声にボクはハッと意識を取り戻す。
ここまで特に誰かに襲われる事もなく、やって来る事が出来たけど結構な距離を歩いてきたせいで脚はパンパン。
地面にへたれ込んでしまう程ではないけど、延々と続く無言の行脚に少し頭もボンヤリしていた。
(何故か知らないけど悠人さんはあの後黙り込んでしまった。千影ちゃんがあまり自分から話そうとしないのはいつもの事だけど)

だから、気付いた時には視界は悠人さんの背中で一杯。つまり衝突寸前と言う奴だ。
"危ないっ!"と声に出す暇ももちろん皆無。身体ごと倒れこみそうになる。
この時ボクに出来る事はせいぜい、瞳を閉じて衝突の恐怖から目を逸らす事くらいだった。

「……あ、れ?」

……痛く、ない? 何で?
静止。バランスを失った身体を強い力で後ろから誰かが支えてくれた。
まるでバレエの演技のような、不自然な体位で空に止まる。

「……衛くん……大丈夫……かい?」

鮮やかなアメジストを連想させるスベスベの髪、深遠を思わせる瞳。
ボクの大切な十二人の姉妹の一人。

「あり、がとう。千影ちゃん」

千影ちゃんが軽く腕を引く。ポン、とボクの身体が千影ちゃんの胸の中に納まる。
こういう体勢でいると、本当にダンスか何かを踊っているみたい。どこか幸せな気持ちになる。
でも千影ちゃんがこんなに力持ちだったなんて。
腕一本でボクの身体を支えるなんて大変な事のはず。ほとんどいつも家の中にいたのに。
それに腕力だけじゃない。握力も相当な――

「痛ッ! ち、千影ちゃん……手、痛いよ……」
「!?……すまない、少し……強く……握りすぎてしまったね」

233 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:14:45 ID:VRcqzyDo
 

234 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:15:03 ID:saxPq75n

慌てて千影ちゃんがボクの腕を掴んでいた手を離す。そして少しだけ表情を曇らせた。
微妙に落ち着かない、浮付いている様な印象。
それは今まで一度も見たことの無い姿だった。
ボクはどこか居た堪れない気分になって、苦笑いを噛み殺した。
ビックリした。凄く。
掴まれた右腕の部分を見てみると、ちょっとだけ赤く痣になっている。
物凄い力で手首の部分を握られたせいだろう。
こんなに力を込める必要があったのかな? 疑問と少しの違和感が湧き上がった。

「……? どうかしたか二人とも?」
「……ううん、何でもないよ。悠人さん」
「そうか。えーと、公園はここを右に曲がった所みたいだな」


悠人さんが脇道の薄汚れた看板を指差す。
ボクも千影ちゃんもつられて視線を移す。少しだけ気まずかったから、悠人さんが話を振ってくれたのは幸いだった。
看板には『右 市民公園100m 左 ショッピングモール 200m』とある。
100m。もうあと一息だ。

「ハクオロさん達、もう着いてるかな」
「どうだろうな。あの三人だから心配は無いと思う……が」

右折し、談笑しながら公園に向かっていると突然悠人さんが立ち止まった。
今回は隣を歩いていたから、ぶつかる事は無かったけど。
ボクも一緒に止まる。少し後ろから着いて来ていた千影ちゃんも何か微妙な表情を浮かべている。

「……ふぅ……悠人くん。嫌な……"匂い"がしないかい」
「……ああ、懐かしい匂いだ。俺を最悪の気分にさせてくれる、な」

二人は何を言っているんだろう。ボクは思わず首をかしげた。
変な匂いなんて何も…………アレ?

235 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:15:21 ID:yps3zPKD
 

236 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:15:39 ID:saxPq75n

「衛、少し後から付いて来てくれ」
「悠人……さん? それってどういう――」

ボクが話し終わる前に悠人さん、少し遅れて千影ちゃんが駆け出した。
それぞれ右手を腰に差した剣に添えて。
真っ直ぐ道路を突っ切って左折、公園に飛び込んでいった。


それはつまり、戦いなのだろう。もしかして二人が感じ取ったのは戦場の気配という奴なのかもしれない。
そういえば千影ちゃんは既に命を賭けた戦いを経験したと言っていた。

だったら実質そんな時、何の戦力にもならないボクが置いて行かれるのは仕方無いのかもしれない。
……ううん、駄目だ。ネガティブな感情に捕らわれてちゃいけない。
博物館の時の事を思い出せ。あの時、ボクと悠人さんは協力して危険を乗り越えられたじゃないか。
この島にやって来てから、ほとんどの時間を共有して来たボク達だ。
戦えなくても出来る事がきっとあるはずなんだ。だから大丈夫、悠人さんを信じればいい。


……。


…………。


もう……いい、かな?
二人が走って行ってから数分。視界の先にぼんやりと映っている公園には何の変化も無い。
何か妙な音が聞こえて来たという訳でも無いし、誰かが出て来た訳でもない。
完全なまでの静寂。恐る恐る、ボクは足を進める。


237 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:16:20 ID:yps3zPKD
 

238 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:16:58 ID:saxPq75n
あと三歩。意外と公園の生垣は背が高くて、中がどうなっているのか確かめる事は出来ない。
あと二歩。前へ踏み出す度に心臓の鼓動がドンドン激しくなる。
ここまでやって来たようやく気付いた事がある。
匂い、だ。
ボクはさっき、"戦場の匂い"なんて頓珍漢な事を考えたけど、違う。答えはもっとシンプルだった。
血。それは錆び付いた鉄のような独特なFの香り。


最後の一歩。


見えた。


そこにいたのは悠人さんと千影ちゃんと――

「ハク……オロさん……それに瑛理子さん?」

プラネタリウムで別れたぶりになる懐かしい顔が並んでいた。
良かった。皆無事だったんだ。
安堵を胸に抱きながら、皆が立っているベンチの辺りまで足を進める。

……ん? もう一人、誰か見たことの無い男の人がいる。
その背の高い男の人は丁度こちらに背を向けていた。

「あ、ああ……衛か。無事でよかった」

男の人の近くに立っていたハクオロさんがゆっくりと口を開いた。
何だろう、凄く雰囲気がどんよりしている。
どこか、変だ。


239 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:17:04 ID:VRcqzyDo
  

240 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:17:40 ID:saxPq75n

変?
アレ……ハクオロさんと、瑛理子さんと、そして黒い服の男の人。
一人、足りない?

「あ……れ? 観鈴さんは?」

――無言。
誰も喋らない。何の音も聞こえない。誰もが黙り込んでしまった。
今この公園には六人もの人間がいるはずなのに。
ボク、何かおかしな事いったのかな。何かいけない事言ったのかな。
凄く不安になる。胸が苦しくなる。

歩く。また一歩、前へ前へ。
悠人さん達が立っている近くまで。
……誰、か、寝てる? 二つ並んだベンチそれぞれに女の……人、が二人。
ここからではどちら足や身体の一部しか見えない。

やっと辿り着いた。
隣の悠人さんが唇を噛み締める音が聞こえたような気がした。

その時。
風が吹いた。荒ぶる龍のような突風。
全てを吹き飛ばす木枯らしにも似た冷たい空気の渦。

「え?」

間の抜けたそんな声がボクの口からいつの間にか漏れていた。

手前の女の人の長い髪が風に吹かれ舞った。
そこに見えたのは黒い、黒い穴。
眉間にぽっかりと空いた、虚空を思わせるような空洞。そしてその周囲に付着した赤黒い泥のような何か。

241 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:18:07 ID:VRcqzyDo
   

242 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:18:15 ID:yps3zPKD
 

243 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:19:02 ID:yps3zPKD
 

244 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:19:07 ID:saxPq75n

奥のベンチに寝かされていた女の人の姿も飛び込んで来た。
そこに見えたのは赤い、赤い染み。
キラキラと光る流れるような金色のロングヘアー。真っ白い制服の腹部を侵略する赤い痕。

黒い空洞?
真っ赤な染み?
え、え、え? それってつまり――


「観鈴は……もういない。俺が……殺したから。
 彼女、倉田佐祐理を殺したのも俺だ。二人とも……俺が、殺した」


背中を見せていた黒い服の男の人がコチラに向き直り、唇をかみ締め、そう呟いた。
その男の人は凄く背が高くて、少しだけ怖い眼をしていた。
だけどボクにはその瞳は、悲しみに満ち溢れ、見えない涙に濡れているように見えた。

男の人がは天を仰いだ。
ボクもつられて上を向く。目を覆いたくなるような鮮やかな橙がそこには広がっていた。
夕焼け、雲一つ無い綺麗な空。
二人の眠り姫の為に奉げられた清々しいくらい残酷なオレンジ。


 ■



245 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:19:14 ID:VRcqzyDo
 

246 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:19:38 ID:saxPq75n
男の人(国崎往人さんと言うらしい)が両方の手を地面につけて、頭を下げている。
向き合う相手は悠人さん。
ハクオロさんがボク達の事を国崎さんに伝えた途端、国崎さんはいきなり土下座を初めてしまったのだ。

国崎さんは静かに語り出した。
自分が観鈴さんを生き残らせるためにゲームに乗った事。
ハクオロさんの大切な人であるエルルゥさんを殺した事。
この公園で佐祐理さん―今ベンチの上で眠っている―を殺した事。(千影ちゃんがこの時、『舞くんの……』と小さく呟いた)
エルルゥさんの妹のアルルゥちゃんも殺してしまった事。
つい今さっき、自分が守りたかった最愛の人、観鈴さんを自らの手で殺してしまった事。
そして――

「エスペリアを殺したのも……俺だ」

悠人さんが拳を握り締める音が聞こえたような気がした。

「すまないッ!! 詫びて済むとは思わない。殴りたいなら好きなだけ殴っていい。
 俺の命が欲しいならくれてやる。だが……この島から脱出するまでは待って貰えないか。
 俺はハクオロと約束したんだ。償いはその時に何だってする」

テレビや漫画の中だけの話だと思ってた。
本物は、やっぱり違う。空想や想像の映像とは雰囲気がまるで別物だ。
ちゃんとした男の人が本当に真剣な表情で頭を地面に付ける光景。
ボクが頭を下げられている訳でも無いのに、どうしてこんなに胸がドキドキするのだろう。

悠人さんがどんな表情をしているのか、凄く気になった。
プラネタリウムの前で交わした会話を思い出す。
エスペリアさんが殺された事を知らされた時の悠人さんは、口調こそ冗談めいていたけど本心は違ったんだと思う。
でも約束してくれた。復讐なんてしないって。
"仕返しに誰かを殺すなんて事"絶対やらないって。



247 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:19:58 ID:VRcqzyDo
  

248 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:20:20 ID:saxPq75n
「国崎、顔を上げろ」
「ああ………………ッ!!!!!!」
「ヒッ!! ゆ……悠人さん? な……何で?」
「衛、少し黙っていてくれ。これは俺と……コイツの問題なんだ」


思わず唇から短い悲鳴が漏れた。まるで、スタッカート。
往人さんが顔を上げた国崎さんの顔面を思いっきり殴りつけた。
国崎さんは体勢を崩して地面に尻餅を付く。

「これで、全部チャラにしてやる。……エスペリアは生き返らないけどな」
「痛烈……だな。ッ……気が済むまで殴って構わないんだぞ。なんなら――」
「もういい!! ……それ以上は言うな」

悠人さんが国崎さんの言葉を遮る。
隣で見ているボクにだって、国崎さんが何を言い掛けたのか分かってしまった。
だから真正面からぶつかり合っている悠人さんがソレに気付かない訳が無いんだ。
それは悲しい言葉。凄く辛くて、空しくて、心の中がザワつくような。
そんな言葉。

「……ハクオロさんがお前を許しているのに、俺が好き勝手出来るかよッ……!!」
「そう……か」
「悠人さん……」

クルッと向きを変え、悠人さんが国崎さんから離れる。
少し国崎さんも地面に座り込んだ体勢のままボンヤリとしていた。しかし、程無くしてスクッと立ち上がりパンパンとズボンに付いた土を払った。
この時のボクには悠人さんが今どんな表情をしているのか確認する勇気が無かった。
臆病な自分が本当に恨めしかった。叱り付けてやりたかった。

「……いいかしら。一応合流出来たって事で情報の交換したいんだけど。どっちも新しい人間が加わっているしね」

瑛理子さんの冷静な声が嬉しかった。

249 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:20:34 ID:yps3zPKD
 

250 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:20:46 ID:VRcqzyDo
 

251 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:21:21 ID:saxPq75n

 ■


その後、少し皆ぎこちなかったけど情報の交換が行われた。
でもまず国崎さんが先に二人の埋葬をしたいと言ったので、皆で二人を埋葬した。
このD-2エリアはプラネタリウムを初めとした微妙に背の高い建物が立ち並ぶ都市エリア。
コンクリートとアスファルトに塗り固められた場所が大半の空間だ。
オアシス的な役割の公園に二人がいたのはある意味幸運だったのかもしれない。

数十分後、身体の半分くらいが隠れる大きな穴が出来上がった。
胸の辺りで手を組ませた二人の死体をその中にそっと寝かせる。
国崎さんもハクオロさんも瑛理子さんも、凄く悔しそうな顔をしていた。

少しずつ二人の身体に土が掛けられる。埋まって行く。
ザッ、ザッという土と砂を掘り返す音だけが響く。
それは本当に悲しい光景だった。
自分にとって何よりも大切な人間を自分の手で埋葬する。それは一体どんな気持ちだったんだろう。



報告は瑛理子さん主導で行われた。
ほんの数時間の別行動だったが、どちらのチームにも大した変化が無かったといのが本音。
ボク達が直接的に出会った人間は千影ちゃんだけ。
その他には北に向かう不審な二人組(この人達はおそらくゲームに乗っている)くらいとしか出くわしていない。
ハクオロさん達も一応、春原陽平という男の人と出会ったらしいんだけど、奇声を発しながら何処かに走り去ってしまったらしい。

逆にプラネタリウムの時にはいなかった千影ちゃんと国崎さんの話はもう、何と言うか凄かった。
"土見稟"という一人の男の人のためにゲームに乗った二人組(この時国崎さんがビクッと肩を震わせた)と交戦した事。
そして、ハクオロさんの知り合いであるトウカさんという女の人がその片方を仕留めたという事。
ちなみに瑛理子さんが言うにはその死んだ"芙蓉楓"という人物は、ゲーム開始前から大きな期待を寄せられていた実力者だったらしい。
また、凄くしぶしぶな感じだったけど水瀬名雪、白河ことり、川澄舞という人達と神社で待ち合わせをする約束をしたと言っていた。

252 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:21:46 ID:VRcqzyDo
   

253 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:22:07 ID:saxPq75n

あともう一つ、千影ちゃんが持っていた『時詠』について。
悠人さんが見せたあの圧倒的な破壊劇については結局口にする機会は無かった。
それに瑛理子さんはこういう魔法のアイテムみたいなものはイマイチピンと来ないらしく、あまり突っ込んだ質問もされなかった。


国崎さんの話は、聞いているこっちが辛くなってしまうようなものだった。
だってこの時の国崎さんの立場は襲われる側ではなくて全部、襲う側。
しかも戦った相手はハクオロさんを除けばほとんど女の人だったらしい。
唯一出会ったのは、さっき話しに出た"春原陽平"さんくらい。
ハクオロさんが聞いた通り、この人は仲間の女の子を置き去りにして一人逃げ出してしまったらしい。

「そういえばエスペリアのデイパックはどうしたんだ?」
「デイパック……? いや、あの時は必死だったから、側に落ちていた木刀を拾うので精一杯だったな。
 お前達が回収したんじゃないのか?」
「いや……私もそんな余裕は無かったな。そうか、ではあそこに置いて来てしまったんだな」

支給品についての情報も交換された。
デイパックの中に入っていたのは拳銃から永遠神剣といった"アタリ"のものから、様々な食べ物や嗜好品などの"ハズレ"と様々らしい。
でも、瑛理子さんが言うには一番のアタリは"機械類"らしい。
間違って持っていかれたノートパソコンが余程惜しかったらしい。


「なるほど……ね。悠人さん、えーとその二人組の事について、もう少し詳しくお願い出来るかしら?」

ボク達が報告した情報を瑛理子さんがいくつかの紙に書いてまとめている。
コレが会議だとしたら、一人で司会と書記と副書記を兼ねているようなものだ。
ハクオロさんが凄く頼もしそうな視線で眺めているのが印象的だった。

「北に行った連中の事か? 乗っていたのは……青い髪の女と栗色の髪の女だ。多分片方は千影が遭遇したネリネとかいう奴だろう。
 バーズカ砲か、ロケットランチャーか……砲身は細かったが。それでこちらを狙撃して来た」
「その距離から狙撃可能な砲身が細いロケットランチャーですって…………対戦車ライフル?」

254 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:22:43 ID:saxPq75n

瑛理子さんが信じられない、と言った表情で頭を抱えた。
"戦車"なんてやけに物騒な単語が出て来たものだ。あの時撃たれたミサイルみたいものにそんな名前が付いていたなんて。
まるで日常から掛け離れた言葉の乱舞にボクはボンヤリとその言葉を聞き流す事しか出来なかった。


「……OK。やっぱりこのプランで行くしかない、のかな。皆聞いて、そして"見て"」

瑛理子さんが先ほどまで色々と言葉をメモしていた紙の他に一枚、まっさらな紙を取り出した。
そしてそこに綺麗な文字で『これから筆談をします』と書いた。
突然横で、ハクオロさんがデイパックの中から大きな黒いビニール傘を取り出して広げた。
……雨でもないのに一体どうしたんだろう?
その場にいた二人以外の誰もが同じ疑問を持ったはず。

『ああ、コレは盗み見を防止するための方法なの。上からのね』

すかさず紙の上に文字が躍る。
上? ……でも、上って何も無い気がするけど。

『つまり衛星からの直接撮影。……あくまで可能性があるって話だけど、用心に越した事は無いから』


 ■



255 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:23:12 ID:yps3zPKD
 

256 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:23:14 ID:VRcqzyDo
   

257 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:23:26 ID:saxPq75n
『これから書くのは今後の方針。それを説明するためには、"禁止エリア"について考察する事が重要になって来るわ。
 まず、何の為に禁止エリアなんて要素が盛り込まれているのか、考えてみて。
 主催者は私達に殺し合いをさせたい訳。
 つまり役割の一つとして、範囲を狭くして参加者が接触する機会を増やす、という理由があるはずなの』

瑛理子さんが綺麗な整然とした文字を凄い速さで紙に書いて行く。しかも左利きだ。
ボクはその光景に思わず目を奪われてしまった。

『そして"禁止エリアを決定する"という事は、唯一の主催者側からのメッセージなの』
『メッセージ?』

一気に瑛理子がそう書き込むと、間髪いれず悠人さんが疑問点を書く。
今、ここで顔を合わせている六人全員がその手にペンを握り締めている。例外は大きな蝙蝠傘を広げているハクオロさんくらいのもの。
まぁボクは全然筆談に参加出来ていないんだけど。

『そう、基本主催者が私達に対して能動的な行動を行うのは放送の時だけ。……まぁ首輪を爆破する、って方法もあるけど。
 でも私達が奴らに手出しが出来ないように、ゲームに沿って行動する限り、奴らもこの瞬間だけしか私達には干渉出来ないの。
 あいつらの気持ちになって考えてみて。
 奴らがゲームに乗った人間と乗っていない人間、そのどちらの味方をするかどうか』

文章は続いて行く。皆真剣にペンの軌跡を追っている中、国崎さんが何故か凄く辛そうな表情をしている。
眉間に思いっきり皺を寄せて、今にも泣き出してしまいそうだ。
それに、心なしか瑛理子さんが国崎さんを一瞥したような……。
気の、せいなのかな。

『そりゃあ当然、乗った人間を応援するわ。ソレがこのゲームの意味な訳だし、監視している側としても楽しいでしょうしね。
 じゃあここで問題。禁止エリアが今回みたいな配置の場合はどんな意図があると思う?』

北。言われてみると最近の禁止エリアは全て地図の半分より上に集中している。
B-4、C-2、E-3……まるでどこかの建物を囲むように配置されている気がする。


258 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:24:23 ID:VRcqzyDo
  

259 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:24:26 ID:saxPq75n
『神社だね』
『博物館か』
『二人とも、当たり。この禁止エリアは神社と博物館を囲むように設定されていると思うの。
 周囲の人間が移動する際に、このどちらかに立ち寄る事を目的にして……ね。
 千影さんの話だと、神社に多数の参加者が集まって来たのよね? しかも不自然なまでに。
 主催者側はこちらの会話はしっかりと把握しているわ。首輪でね。
 つまり殺しに積極的な人間と消極的な人間が鉢合わせするように上手く誘導している可能性が高い。
 国崎往人が博物館で女の子達とぶつかり合ったのも、悠人さんがネリネさんでしたっけ? その人達と戦ったのも良い裏付けになるわ』

千影ちゃんと国崎さんが即座に答えた。
なるほど、禁止エリアは確かに凄く嫌だ。エリアが確定するのが四時間後だろうと、思わず違うルートを選びたくなる。
そういう意識を利用してボク達をある程度コントロールしていたって事……?

『それでだけど今から"工場"を目指す事は危険過ぎると思うの』
『例の二人組か?』
『それもあるし、禁止エリア次第で行動が極端に制限され過ぎてしまう土地を目指す事は自殺行為に近いわ。
 二回目の放送辺りから考えていた事なんだけどね。もちろん例の二人組の武装が思った以上に強力なのも難点ね。
 それにこの"工場"という表記が曖昧過ぎるのもマイナスなのね。
 だって都市部の郊外に設置された工場という事は、重化学関係の工場の可能性が高いんだもの。
 つまり機械化された大規模ベルトコンベア施設、といった感じかしら。研究や分析には適していないかもしれない』
『それではどうする? 脱出するためには絶対に首輪を外す必要がある。他に研究施設なんて』

あの二人組、博物館で見たのと同じ車に乗っていた。
つまりどう考えてもゲームに乗った人間。
そんな人達がいるのが分かっているのに、わざわざ北上するのは確かにハイリスクだ。

『それがあるのよ』

瑛理子さんの右手の指が机の上に広げられた指をスーッと移動する。
ボク達の視線もそれを追尾。住宅地を越えて、川を越えて、これは――
六人、いや瑛理子さんは除くから五人か。
皆の頭の中に同じ単語がヒットする。

260 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:24:44 ID:yps3zPKD
 

261 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:25:16 ID:VRcqzyDo
 

262 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:25:29 ID:6PAWXOJC


263 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:25:30 ID:bio5J/Vj
 

264 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:25:32 ID:saxPq75n
『病院?』
『イエス、規模はどの程度か分からないけど外科、内科、小児科、歯科と一通りの設備は揃っているはず。
 もちろん、レントゲンや放射能関係の装置もあると思うわ。
 精度の高い器具や薬品も手に入るだろうし』
『なるほど、首輪解析には丁度良い訳か』
『そう。コレが一つ目の提案。そして、もう一の提案はコレ。チームをバラバラにして病院を目指すって事』
『チームをバラバラ? どういう事だ?』
『私達が六人まとまって行動した方が安全なのは分かっているわ。だけど、それじゃあ足りないの。
 だって私達の最終目的はこの首輪の破壊、そしてゲームの破壊。
 この島から脱出するには、出来るだけ多くのゲームに乗っていない人間の力が必要だわ。
 役に立つ支給品、異界の知識、卓越した技術力。それに他にも首輪の解析や脱出を考えているグループがいるかもしれない』


瑛理子さんのいう事はもっともだ。完全に盲点だった。"脱出を考えているのは自分達だけではない"と言う事。
見た限りここに集められた人間の多くは、何かしらの分野で飛び抜けた能力を持っている。
つまり、瑛理子さんと同じように考察を進め、脱出について考えている人間もいる可能性がある。

『それに脱出を考えている人間なら、工場か病院を目指すわ。確実にね。
 でも工場を目指すのは現状、マイナスが大き過ぎる。
 この作戦には南下する時に工場を目指している他の参加者へ、北部の危険を知らせる意味合いもあるの。
 そういう稀有な参加者を保護しながら、合流した時にはある程度先の見通しを立てておきたい訳』
『いや、いくらなんでもリスキー過ぎないか? チームを分散すると言う事はそれだけ襲撃されたときの危険も高まる事になる』
『危険なのは百も承知。だけど人間が多ければ絶対安全、という訳でもないでしょ? 
 ゲーム開始から約十八時間が経過。参加者が何人になったかは分からないけどおそらく半分以下にはなっていると思うの。
 優秀な人間が殺されてしまう前にある程度の流れを作っておきたいのよ』

皆この意見には納得したようだった。
脱出する事がボク達の目的である以上、ある程度の効率化は避けられない。
安全ばかりを考えて固まって行動していては最も大切な"人"との接触の機会を逃してしまう。

265 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:26:01 ID:VRcqzyDo
 

266 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:26:08 ID:saxPq75n
『チームはどういう風に組むんだ?』
『一応三つに分けるのがいいと思うわ。男三人、女三人だから男一人、女一人のチームかしら。もっとも――』
『俺の事は気にかけなくていい。パートナーの命なら何が何でも守ってみせる』

国崎さんがそう答える。瑛理子さんがその顔を一瞥。
見つめ……じゃない、どちらかと言うと睨み合っていると言ったほうが適切な気がする。
確かに、国崎さんは物凄い怪我を負っている。
ほぼ健康体のハクオロさんや悠人さんと比べると少し不利かもしれない。

『――分かったわ。
 まず千影さんは神社付近に用があるみたいだから、そこから南下してホテル、そして川を渡って病院へ、というコース。
 二人とも永遠神剣を使えるという事で、相方は悠人さんが適任だと思う。
 このルートは深い森を抜ける事になるわ。廃線まで来てしまえば後は楽だと思うけど……気を付けて』
『了解した』
『いいよ』

ドクン。
千影ちゃんと悠人さんの名前が呼ばれた瞬間、胸に少し痛みが走った。
何で、どうして。
それは今まで感じた事の無い、不思議な感覚だった。

『次に学校を通り、住宅街を抜けて病院へ向かうコース。これは一番楽なルート、遊撃って感じかしら。
 出来るだけ早く病院に到着して色々準備してくれると助かるわ。
 ここは学校周辺の地理を把握しているハクオロさん、それと女の子三人の中で一番運動能力の高い衛ちゃん』
『ああ、任せてくれ』
『分かったよ』

初めて筆談に参加した。本来なら嬉しい……はずなんだけど。
……でも何だか複雑な気分。
いや、決してハクオロさんとのペアじゃ嫌だとか、そんな事は無いんだけど……。

ん……でも、じゃあ最後のチームは――

267 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:26:38 ID:saxPq75n


『おい、二見』
『最後にここから禁止エリアを大きく迂回して、図書館・港を経由して病院を目指すルート。
 私自身が図書館に行ってみたいから、ここ。それに国崎往人』
『お前、いいのか』


「私的な感情は抜きにしたわ。大切なのは効率だから。……じゃないとあの娘が報われないもの」
「…………了承、した。よろしく頼む」
「……こちらこそ」

最後は文字なんかじゃなくて本物だった。
瑛理子さんの少し震えた声。往人さんの沈痛な、重々しい声。
そして、視線を逸らしたまま交わされる握手。
二人の間にはまだ、モヤモヤした何かがある事を意識せずにはいられない光景だった。




【E-2 道路(マップ右)/1日目 夕方】

【人形使いと天才少女】
【思考・行動】
1:E-3を迂回し図書館・港を経由して病院へ

【国崎往人@AIR】
【装備:コルトM1917(残り6/6発)】
【所持品:支給品一式×2、コルトM1917の予備弾39、木刀、たいやき(3/3)@KANNON、大石のノート】
【状態:深い罪悪感・精神的疲労・右腕と左膝を打撲・右手の甲に水脹れ
     左腕上腕部粉砕骨折・左肩軽傷・脇腹に亀裂骨折一本・全身の至る所に打撲】
【思考・行動】基本:観鈴との約束を守る、人殺しには絶対乗らない

268 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:26:39 ID:bio5J/Vj
 

269 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:27:06 ID:q+yMe5BZ
 

270 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:27:26 ID:saxPq75n
0:E-3を迂回し図書館・港を経由して病院へ
1:もう人殺しには絶対乗らない
2:困ってる人を助ける
3:あゆ、美凪を探す
4:エスペリアの仲間に謝る。
5:倉田佐祐理の仲間に謝る。

【備考】
※大石のノートを途中までしか読んでいません。
 先には大石なりの更なる考察が書かれています


【二見瑛理子@キミキス】
【装備:トカレフTT33 8/8+1】
【所持品:支給品一式、ブロッコリー&カリフラワー@ひぐらしのなく頃に祭、空鍋&おたまセット@SHUFFLE! ON THE STAGE
     エスペリアの首輪、映画館にあったメモ、家庭用工具セット】
【状態:左足首捻挫(処置済み)、深い悲しみ、国崎往人への行き場の無い憤り】
【思考・行動】
基本:殺し合いに乗らず、首輪解除とタカノの情報を集める。
1:E-3を迂回し図書館・港を経由して病院へ
2:国崎往人に対する微妙な感情
3:孝之や陽平のように錯乱している者や、足手まといになりそうな者とは出来れば行動したくない。
4:孝之と陽平には出来れば二度と出会いたくない。

【備考】
※往人を信用しましたが罪は赦してません。
※パソコンで挙がっていた人物は、この殺し合いで有益な力を持っているのでは? と考えています。
※首輪が爆発しなかった理由について、
1:監視体制は完全ではない
2:筆談も監視されている(方法は不明)
のどちらかだと思っています。
※電話についても盗聴されている可能性を考えています。

271 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:27:33 ID:VRcqzyDo
  

272 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:27:47 ID:q+yMe5BZ
 

273 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:27:57 ID:saxPq75n
※家庭用工具セットについて
観鈴が衛から受け取った日用品の一つです。
ドライバー、ニッパー、ペンチ、ピンセットなどの基本的な工具の詰め合わせである。
なお全体的に小型なので武器には向いていないと思われます。


 ■


議論は終了した。
一番大回りになる予定の国崎さんと瑛理子さんは既に出発した。

ボクとしては、最後に瑛理子さんが書いてくれた表が分かりやすかった。

千影-悠人:神社から中央部(ホテル付近)を探索後病院へ 
瑛理子-国崎:E-3を大きく迂回し図書館・港を経由して病院へ 
衛-ハクオロ:学校・住宅街を経由して病院へ

これが最終的な方針。再会は第四放送の前後くらいを予定しているらしい。
ボク達のグループと千影ちゃん、悠人さんのグループは森に入るまでは同じ道。
つまり二人と一緒にいられるのもあと少しって事だ。


「ねぇ……悠人さ――」
「伏せろ!! 衛!!」
「え……」


突如響いた悠人さんの声。
ボクは何が何だか分からないまま、ぼうっと突っ立ている事しか出来なかった。
何か青い影のような塊が脇道から飛び出し、こちらに突進してくる。
民家の庭を仕切る石垣を蹴っ飛ばしながら接近する鋭角的な速攻。

274 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:28:09 ID:VRcqzyDo
 

275 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:28:38 ID:saxPq75n
目を覆う? 回避する? そんなの、無理に決まっている。
突っ込んできた青い影から何か真っ黒い長い棒みたいな物がボクに振り下ろされ――

「やらせるかッ!!」
「ほぅ……受け止め……ん?」

瞬間、鉄と鉄がぶつかり合うような嫌な音が響いた。
ボクと襲撃者の間に悠人さんが割り込んで、棒状の武器を刀の鞘でガードする。
棒と刀が衝突した瞬間、ボクにも振り下ろされたソレが何なのか分かった。

"鉄パイプ"だ。長さ二メートル余りの純粋な鉄の塊。重さがどれくらいあるのかは分からない。
相手の武器が何なのかを察知して、それに見合った対応を取る悠人さんはさすがだと思った。
だってそんな重いものを刃で受け止めたら、当然刀は折れてしまうだろうから。

「衛くん!!」
「千影ちゃ――」
「うぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!」

千影ちゃんがボクの下に駆け寄って来る。
襲撃者が悠人さんから距離を取ると、空いたスペースを埋めるように腰から二本の小太刀を抜いたハクオロさんが突進。
相手に切り掛かる。

「待って下さい!!」

刃が止まった。
ハクオロさんが振り下ろした小太刀は襲撃者が構えた鉄パイプと触れ合う数センチ上で緊急停止。
無理やりスイッチを切ったロボット人形みたいにガクンと身体が上下する。

青い影が飛び出してきた脇道から発せられた大声。
声の主は――ダークブラウンの長い髪と、どこかの学校のものだと思われるワンピースタイプの制服が印象的な物凄い美人だった。
制服に所々血が滲んでいる以外は。
だけど見た限り、まるでゲームには乗っているようには見えなかった。

276 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:29:08 ID:saxPq75n

ボク達の視線が女の人に集中する。
だけど。
ハクオロさんの正面にいた人がふいに口を開いた。

「おい」
「へ……」
「ユート、なんでお前がここにいるんだ?」
「アセ……リア!?」

その場にいた人間の動きが全て静止し、ようやく飛び出して来た人間の姿形が確認出来た。
でも、凄く驚いた。
だって何十キロもありそうな鉄パイプを正眼に構えハクオロさんと対峙していたのは、真っ青なロングヘアーを空に靡かせた物凄いカッコいい女の人だったのだから。
しかもその女の人は悠人さんの事を親しげに"ユート"と呼び捨てにしたのだ。
つまり二人は――

「この世界にまさかお前までも来ているとは思わなかったぞ。久しぶりだな」
「は、は、は……」

知り合い……? 同じ世界の人間って事?
悠人さんの口元がぐにゃりと歪んだ。
表情から緊張の色が消える。フルフルと揺れる唇。
でもそこから放たれたのは感動的な再会の台詞、ではなくて。

「お前って奴はーーーーー!!!」

ビリビリと声だけで地震でも起こせそうな大声だった。


 ■



277 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:29:23 ID:VRcqzyDo
   

278 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:29:29 ID:q+yMe5BZ
 

279 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:29:30 ID:bio5J/Vj
 

280 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:29:57 ID:saxPq75n
「本当にすいません!! ほら、アセリア。あなたも謝って」
「いやな、瑞穂。その、当てる気は無かったんだぞ? 危なく無いように、ちゃんとギリギリで止めるつもりだった」
「アセリア!!」
「……すまん」

瑞穂さんに怒られてぺこりとアセリアさんがボクに頭を下げた。
最初はクールで少し怖そうな女の人に見えたんだけど、実際話してみると全然イメージが違う。
どこか抜けているようで可愛らしい感じだ。

「い、いえ……大丈夫です。特に怪我もなかったですし」

ボクがしどろもどろになりながら、こう返答するとアセリアさんはホッと胸を撫で下ろした。
瑞穂さんはまだ何か物足りないようだったが、ここは撤退。
謝られる側がこう言ってしまったら、これ以上アセリアさんを責めるのも難しいって事なのかな。

「さて……一度落ち着いた所で悠人。彼女はお前の友人なのか? 紹介してもらえると嬉しいのだが」
「あ、はい、そうだな。えーと何処か……」
「僕達が通って来た道の途中に喫茶店がありましたよ。そこなら場所としても最適じゃないかな」



そんなこんなでボク達はアセリアさんと瑞穂さんに連れられて、こじんまりとした喫茶店に案内された。
もちろん店内はガラガラ。でも空調はしっかりしているし、BGMも重厚。
本当についさっきまで人がいたみたいな印象を受けた。
とりあえず丁度六人なので、上手く席には収まった。
アセリアさんとハクオロさんは何故か、キョロキョロと店内を興味深げに見回していた。

「さてと、それじゃあ……」
「…………ちょっと待って」


281 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:30:24 ID:VRcqzyDo
   

282 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:30:28 ID:saxPq75n
ふいに千影ちゃんが席を立った。
ボク達の視線を背中で受けながら悠々とカウンターの傍に移動。
……何かの作業をして……いや、でもアレって……。

「……皆、まずお茶にしよう。色々……揃っているよ」

予感的中。数十秒後帰って来た千影ちゃんの手には並々と注がれた紅茶。
ソーサーにはたっぷりの砂糖とレモン。ティースプーンのオマケ付きだ。
こんなに小さな店なのにドリンクバーが設置されているなんて、中々に用意周到。
しかも誰よりも先にソレに気付いて、まるで周りを気にせず使用してしまう千影ちゃんは何と言うか相変わらずだった。
皆と暮らしていた頃と全然変わっていない。

「……そうですね。じゃあ、僕もご馳走になろうかな」

瑞穂さんがそう言って席を立ったので、何となくボク達もそれに倣って立ち上がる。
一足先に、涼しげな顔で紅茶をすする千影ちゃんはやっぱり相変わらずだった。


 ■


席順は先ほど変わらず、座椅子に奥からボク、ハクオロさん、千影ちゃん。
反対の椅子側は悠人さん、アセリアさん、瑞穂さん、という順番だ。
さっきと違うのは各自の目の前に飲み物が置かれている事くらい。
千影ちゃんと瑞穂さんが紅茶。ボクはオレンジジュース。悠人さんがコーヒー。
ハクオロさんは何だか良く分からないお茶。アセリアさんはコーラと格闘している。

まず、行われたのは簡易的な自己紹介。
一応名乗りだけは移動中に済ませていたけど、ちゃんとした形のものは初めて。
アセリアさんはラキオスという国の騎士隊長さんらしい。
瑞穂さんは日本でも有数のお嬢様校で生徒の代表的な役職に就いていたと言っていた。


283 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:30:36 ID:bio5J/Vj
 

284 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:30:50 ID:q+yMe5BZ
 

285 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:30:58 ID:VRcqzyDo
    

286 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:31:12 ID:saxPq75n
また、その時"アルルゥ"という女の子の形見らしい蜂の巣を手渡された。
ハクオロさんは凄く複雑な視線でソレを見ていた。
アセリアさんが言うには、本当はハクオロさんと手合わせをしてみたかったのだが状況が状況だから自重する、らしい。


「……こんな所でしょうか。とりあえず今は明確な目的地は無いんです。
 ただ、困っている人達を助けて回りたいと思っています」

どうしよう。
隣でハクオロさんが、対面では悠人さんが頭を抱えている。
千影ちゃんは何を考えているか分からない。アセリアさんはコーラと格闘している。

二人の苦悶の表情の原因はずばり国崎さんに関する話。
なんと瑞穂さん達はハクオロさんの知り合いであるアルルゥちゃんと同行していたらしい。
でも、アルルゥちゃんは二人を護る為に殺されてしまった。……国崎さんの手によって。
その話をする時の瑞穂さんとアセリアさんの表情は、深い悲しみと強い憎しみに満ちていた。


……言い難いなぁ。これがボクの正直な感想。
目の前でエスペリアさんを殺された訳でも無い悠人さんですら、烈火の如く怒り狂っていたのだから。

だったら本当に手が届きそうな距離でつい先程まで一緒にいた年下の女の子を殺され、あまつさえ死の瞬間まで看取っていたとしたら。
その心境は、胸中はいわば燃え盛る灼熱の業火のようなものだろう。
本当に殺したいほど憎いに決まっている。
(というか実際にアセリアさんは、出会ったら即切り伏せるとまで断言していた)

そんな二人に『国崎往人はかくかくしかじかの事があったから、改心して今は正義の為に戦っています』なんて言える訳が無い。
一体どんな反応が返ってくるか、考えるだけでも背筋が凍りそうだ。

「あの……ハクオロさん? 悠人さん? 何か問題でもあったんですか?」
「い、いや……特に問題なんて無いぞ。なぁ、悠人」
「は……そ、そうですよね。ハクオロさん」

287 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:31:17 ID:bio5J/Vj
 

288 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:31:34 ID:VRcqzyDo
 

289 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:31:48 ID:saxPq75n

口の中のオレンジジュースを吹き出してしまうかと思った。瑞穂さんの問い掛けを二人が露骨に誤魔化そうとしたからだ。
思わず隣に座っているハクオロさんの顔を直視してしまう。
あ、眼が合った。凄く決まりの悪そうな表情をしている。

「……ゴホン。瑞穂、アセリア。……いいか、落ち着いて聞いて欲しい」
「何がだ? 私達は落ち着いているぞ? なぁ、瑞穂」
「うん。で、どうかしたんですか、ハクオロさん?」

さすがハクオロさんっ!
ボク達にできないことを平然とやってのけるっ! そこに痺れる! 憧れるうぅ!
という感じだろうか。悠人さんがホッと胸を撫で下ろした。
一回躊躇こそしたものの、真正面から切り込んでいく姿は凄く頼もしかった。


「……実は私達は国崎往人とついさっきまで一緒にいたのだ」
「…………あの……すみません、もう一回お願い出来ますか」
「私達は国崎往人と――」
「奴は何処だッ!!!!!!!」


ハクオロさんの台詞を遮って、ガタンと大きな音を立ててアセリアさんが立ち上がった。
アセリアさん全然落ち着いて無いです、みたいな突っ込みが通用する雰囲気では勿論無い。
目の前に置いてあったコップが倒れる。でも中身のコーラは既に飲み干されていたので実害は無し。
氷がバラバラと机の上に散らばった。

「クニサキユキトは何処にいるッ!? 答えろッ!! 返答次第では――」
「……往人とは北の公園で別れた。だがアセリア聞いて欲しい、奴は、」
「北か……瑞穂行くぞ、アルルゥの敵を取る」

アセリアさんはそう言うと、傍らに置いてあったデイパックを背負い席を立った。
既にハクオロさんの話を聞く気は皆無。全身から怒気を噴出し、眼はボク達の方をまるで見ていない。

290 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:32:03 ID:q+yMe5BZ
 

291 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:32:19 ID:VRcqzyDo
  

292 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:32:21 ID:saxPq75n

「待って!! ハクオロさんの話を聞きましょう、だってアルルゥちゃんは……」
「……聞くに値しない。どうせ、臆病風にでも吹かれたに決まっている」

瑞穂さんも立ち上がり、必死でアセリアさんを引き止めようとする。
ボクには何も出来ない。ただ言い争う二人を見ているだけ。
座ってこの光景を眺めている事しか出来なかった。


「アセリアッ!!!! 話を聞けッ!!」
「ユート……見損なったぞ。何故、そんな悪漢を見逃したんだ。……エスペリアも悲しむ」
「ッ!!!!」


アセリアさんは最後に「外で待っている」と言い残し、店を出て行った。
静寂。
皆俯いて口を閉ざしたまま。
唯一ずっとカップに唇を付けていた千影ちゃんが、カチャンと音を立ててソレをソーサーの上に置く音が響いたぐらい。
空になったカップ。紅茶は綺麗に無くなっていた。


 ■


「皆さん、短い間でしたが僕も行かせて貰います。……アセリアが待っていますので」
「話だけでも聞いていかないか。国崎は……」
「……いえ、結構です。大丈夫です、何となくですがハクオロさんの言いたい事は分かりますので」

瑞穂さんが若干表情を曇らせる。
もしかして彼女は国崎さんが人殺しをするのを止めた事に、何となく気付いているんだろうか。
でも、ソレを上手く自分の中で処理出来なくて、こんな表情をしているのかな、と思った。


293 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:32:25 ID:bio5J/Vj
 

294 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:32:51 ID:saxPq75n
「そうだ、一つだけ。言っておかなければならない事があります」
「言っておかなければならない事?」
「はい。これから先、鷹野が直接何かコンタクトを取ってくる可能性があります。
 でも、彼女の言葉には決して惑わされないで下さい」

瑞穂さんは制服の裾をギュッと強く、握り締めた。
真一文字に結ばれたその口元は過去の自分に対する怒りの感情に満ち溢れているようだった。

「……鷹野が? もしかして瑞穂さん何か……」

悠人さんの眉がピクリと動いた。
だって、瑞穂さんの台詞は自分"が"何か言われたという事を裏付けるようなものだったから。
この酷い殺し合いの舞台を設定した人間から直接、接触される――それがどんな意味を持つかは分からないけど、ボクにだって決して良い事じゃない事くらいは分かる。


「っ……ええ。僕はその……鷹野に唆されて一度だけ、仲間に牙を剥きました」
「なんと……」
「でも、アセリアが。茜さんが。アルルゥちゃんが。仲間がいたから僕は自分の過ちに気付く事が出来たんです」


そう言った瑞穂さんの顔つきは、今までの黒い感情に染まったソレとはまるで違った。
心の底から信頼した人間にだけ向ける、対人関係の殻を脱ぎ捨てたような表情。
見る者を安堵させるような本当に素晴らしい朗らかな笑顔。

「良い仲間を持ったんですね」
「……そうですね、本当にそう思います」

悠人さんに向かって胸を張り、何の躊躇いも無く懺悔する瑞穂さんの姿にボクは凄く胸を打たれた。
綺麗なダークブラウンの髪がサラサラ揺れて、大きくなったら可憐ちゃんもこんな風になるのかな、ってちょっとだけ思った。
店の外で待っているアセリアさんもあんなに怒ったのは多分、それだけアルルゥちゃんの事を大切に想っていたからだと思う。
住んでいた世界は違ってもあの二人はきっと強い絆で結ばれているんだ、きっと。


295 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:33:01 ID:VRcqzyDo
  

296 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:33:27 ID:q+yMe5BZ
 

297 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:33:29 ID:saxPq75n
「衛? ……どうした、ぼんやりして」
「衛くん……顔が赤いよ。……熱でもあるのかい?」
「へ……あ、ゴ、ゴメン!! な、何でも無いよ、悠人さん、千影ちゃん。アハハハハ……」
「……そう、かい」

千影ちゃんが何か言いたそうな素振りを見せていたけど、ボクには良く分からなかった。
でも言われて初めて気付いたんだ。

どうしてボク、悠人さんの方を見ていたんだろう。

二人に返した言葉も何故か少しどもってしまったし、何でこんなに自分が取り乱しているのかも分からない。
両手で頬に触れてみると、本当に熱い。まるで朝にあにぃと並んでランニングした後みたいだ。
きっと傍から見たら真っ赤に染まってしまっている気がする。

「……でも解せないな」
「何がです?」
「こうやって話してみた限り、瑞穂くんは芯の通った実直な人間。信頼に足る人物だ。
 そんな瑞穂くんが介入して来た主催者の言葉に騙されるなんて……。逆にどんな事を言われたのか、気になるな」
 
千影ちゃんが一歩前に出て話の舵を取る。
確かに言う通りだ。瑞穂さんのような人が鷹野さんの言う事を素直に聞く訳が無い。
特別な取引か何かを持ち掛けられたのかな。例えば……言う事を聞いて人殺しに乗れば、好きな人間を一人生かしてやる、とか。

「そうですね……近々知る事になるでしょうし、それなら早い方がいいですよね」

瑞穂さんがそう呟いて一人で頷いた。
そしてボク達の方に向き直り、一度息を吸ってから喋り始める。


「鷹野三四は言いました――ゲームの優勝者は、好きな願いを一つだけ叶えられる、と。
 それがどんな願いであれ、例えば――死人を生き返らせる事も可能、だと」
「「「「な……」」」」

298 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:33:49 ID:VRcqzyDo
  

299 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:34:04 ID:saxPq75n

ボクは自分の肩が跳ね上がるのを止める事は出来なかった。
唇から声にならない声が零れる。
一瞬の空白、そしてその言葉の意味を考える。反芻する。

『ゲームの優勝者は、好きな願いを一つだけ叶えられる』
『死人を生き返らせる事も可能』

ソレってつまり、四葉ちゃんを生き返らせる事も可能って事……?
いや……違う。優勝というのは最後の一人になる事。
つまりその時点で、咲耶ちゃんも千影ちゃんも悠人さんも死んでしまっている事になる。

それにどう考えてもボクが優勝出来る訳が無いし、もちろん進んで殺し合いに乗るつもりも全く無い。
運良く一人でが生き残る確立なんて何千万分の一だろうか、全くアテにならない。
それに、まるで信憑性が無い。
本当に鷹野さんが約束を守ってくれるのか、どこにも保障は無いのだから。
だったら瑛理子さんが言っていたように首輪を解析して、沢山の人と一緒に脱出出来た方がいいに決まっている。

「エスペリアさえ、生きていてくれればな……。
 千影が見たという『献身』と合わせてマナ次第で死者を蘇生させる事も可能だったのだが」

悠人さんの発言にボクはもう一度驚いた。
俄かには信じられない話だけど、悠人さんは死んでしまった人間を生き返らせる手段に心当たりがあったらしい。
だけどエスペリアさんは……。

ボクがそんな事を考えていると、千影ちゃんが瑞穂さんに近付いた。
どうしんだろう、何をそんなに焦っているのだろう。疑問に思う。

「瑞穂……くん、一つだけ聞きたい。それは……鷹野三四から……直接言われた事なのかい?」
「そう、ですね。スピーカー越しではあったのですが」
「……つまり、真実なんだね」
「千影……ちゃん?」

300 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:34:05 ID:6PAWXOJC


301 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:34:15 ID:bio5J/Vj
 

302 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:34:35 ID:saxPq75n
その時、千影ちゃんは凄く難しそうな表情をしていた。
酷く思いつめたような、崖の上で自殺をするタイミングを計っている人のような印象を受けた。


ドクン。
何かが脈打った。
ドクン。
これは……心臓の音?瑞穂さんのさっきの台詞を聞いた時もこんな風にはならなかったのに。
何だろう、この感覚。
凄い、不安だ。心がブルブル震える。今にも壊れてしまいそう。
なんで、どうして。今ボクの周りには信頼出来る人間しかいないのに。何も心配する事なんて無いはずなのに。


ハクオロさんは例えるならお父さんみたいな感じ。
大きくて、優しくて、家族を守る大黒柱。リーダーと言ってしまってもいいかもしれない。

悠人さんは遙あねぇと逸れたっきり、ずっと一緒に居てくれて、遙あねぇがあんな事になった時も必死に慰めてくれて。
ここまで何度足を引っ張ったかも分からないボクを支えてくれて。
凄く頼りになる人だ、それに……ちょっとだけあにぃに似ている気がする。

アセリアさんはちょっと怖い所はあるけど、凄く強くて頼りがいのある人。
身に纏った甲冑が格好良い。戦う女の人、って感じだ。

瑞穂さんは包容力に溢れた、まるでもう一人あねぇが出来たんじゃないかと錯覚してしまいそうな人。
ボクも大きくなったら瑞穂さんみたいに立派になれるのかな。少し、自信が無い。

そして、千影ちゃん。この島に来て初めて会う事が出来たボクの大切な姉妹。
ボクより少しだけ歳上で咲耶ちゃんと並ぶ姉妹の中のまとめ役。


これ以上無いくらい素敵な人たちに囲まれているのに。
どうして、どうして千影ちゃんの物憂げな横顔がちょっと目に入っただけでこんなに動揺してしまったのだろう。

303 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:34:42 ID:VRcqzyDo
 

304 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:35:06 ID:saxPq75n

「どう……したんだい、衛くん?」

きっとこの時のボクは酷い顔をしていたんだと思う。
こんな有り得ない環境に放り込まれて精神が疲れ切っている事は自覚している。
だから周りの人の変化にも凄く敏感になる。
それが長年同じ時間を共有していた千影ちゃんであっても同じだ。


――もしも一瞬でも眼を離したら、ボクの目の前から永遠に消え去ってしまうんじゃないか。

――四葉ちゃんのように、会う事も、最期の瞬間を見届ける事も出来ないまま、機械的に死を受け入れる事になるんじゃないか。


「今……千影ちゃん、怖い顔してた」


ボクがそう言うと千影ちゃんは一瞬、驚いたような表情を浮かべたものの、すぐに笑ってくれた。
そして頭を優しく撫でてくれた。嬉しかった。暖かかった。

その笑顔は口元が軽く上がる程度の動作。顔の筋肉の動きだけ見れば本当に些細な動きでしかない。
だけどボクたち姉妹とあにぃにとってはこれで十分なんだ。普段から感情をあまり表には出さない千影ちゃんが見せる、精一杯の変化。
それだけでボク達には千影ちゃんが考えている事が何となく分かる。
どれだけ姉妹を大切に思っているのかも、皆ちゃんと分かってる。

「……大丈夫。……咲耶も四葉も必ず私が救ってみせるから」


 ■



305 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:35:20 ID:VRcqzyDo
 

306 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:35:23 ID:q+yMe5BZ
 

307 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:35:43 ID:saxPq75n
瑞穂さんはもう行ってしまった。
ハクオロさんもそれ以上詳しい話はせず、簡潔に自分達の目的地が病院である事、首輪解除を目的に動いている事だけを告げた。
凄く、信頼出来る人だったと思う。
そう考えると瑛理子さんの『この島から脱出するには、出来るだけ多くのゲームに乗っていない人間の力が必要』と言う言葉がより強く思い出される。

まるで喧嘩別れのような状態だったけど、何とかそれなりの意思疎通は出来たみたい。
悠人さんは一つ余っていた銃を渡していたし、千影ちゃんも瑞穂さんの血塗れの制服の替えとして自分の支給品を渡していた。
縁があればまた会える、と最後に瑞穂さんは笑って手を振っていた。



森の入り口が見えた。ここからボク達は南と東、それぞれ神社と学校を目指す。
ターニングポイントだ。
千影ちゃんがボクの隣にいる、ハクオロさんと向き合う。
瞳には強い意志。何かを決意したような印象を受けた。

「…………ハクオロくん。衛くんの事を……よろしく頼むよ」
「ああ、分かった。衛の事は任せてくれ。だが……」
「……何だい?」
「その、"ハクオロくん"という呼び方はどうにかならないか?」

ボクは不謹慎だけど、少し笑ってしまった。
うん、確かに"ハクオロくん"はおかしい。
千影ちゃんが誰であっても『くん付け』で呼ぶのはいつもの事。敬語を使う人間は相当限られて来る。
でもさすがに一回りも歳が違いそうな大人の男の人に対して使うには違和感を感じた。

「……不満、かい。…………そうだ、じゃあトウカくんには何と……呼ばれていたんだい?」
「トウカにか? トウカは国の役職の名前で"聖上"と呼んでいたが……」
「……そう。それでは私も……聖上、と呼ばせて貰おうかな」


308 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:35:46 ID:bio5J/Vj
 

309 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:36:34 ID:VRcqzyDo
 

310 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:36:39 ID:q+yMe5BZ
 

311 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:36:52 ID:bio5J/Vj
 

312 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:36:55 ID:saxPq75n

不満かい、と尋ねた千影ちゃんが一番不満そうだったのは二人には黙っておく。
悠人さんもハクオロさんも気付かなかっただろうけど、ボクだけには分かった。
長く付き合っている人間じゃないと気付かない、微妙な表情の変化だから。

「聖上、衛くんの事を……守ってあげて欲しい」
「ああ、引き受けた。千影、君の妹は私がこの身に代えても守ってみせる」
「衛くん……少しだけのお別れだ」
「うん、千影ちゃん元気でね! 悠人さんも千影ちゃんを守ってあげて!」
「約束する。衛も頑張るんだぞ」

頬を膨らませたりもしないし、語気が荒くなったりもしない。少し、眉を潜める。ただそれだけ。
でも千影ちゃんはそんな事を引きずったりはしない。
ほら、今だって、凄くいい笑顔だった。

こうしてボク達は森に入る所で別れた。
次に会うのは病院。どれくらい時間が掛かるだろうか。見当も付かない。
この島に来てからボクはほとんどずっと悠人さんと一緒にいた。
苦しい時も、危ないときも、悲しい時も――全部悠人さんがいてくれたから耐える事が出来た。
でも今この瞬間、隣には悠人さんはいない。
これからはハクオロさんと二人でボクは与えられた目的を果たさなきゃいけないんだから。



【D-4 森(マップ右上)/1日目 夕方】


【歩く死亡フラグと恋する少女】
【思考・行動】
1:学校・住宅街を経由して病院へ


313 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:37:23 ID:VRcqzyDo
 

314 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:37:27 ID:saxPq75n
【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備:Mk.22(8/8)、オボロの刀(×2)@うたわれるもの】
【所持品:投げナイフ×2、ビニール傘、ランダム支給品2(確認済み、武器ではない)
支給品一式×3、予備マガジン(8)x4、スーパーで入手した品(日用品、医薬品多数)、タオル、陽平のデイバック】
【状態:精神疲労】
【思考・行動】
基本方針:ゲームには乗らない。
1:衛を守る。
2:学校・住宅街を経由して病院へ
3:仲間や同志と合流しタカノたちを倒す。
4:トウカがマーダーに間違われるようなうっかりをしていないか不安。
5:悠人の思考が若干心配。(精神状態が安定した事に気付いてない)

【備考】
※校舎の周辺の地形とレジャービルの内部状況を把握済み。
※中庭にいた青年(恋太郎)と翠髪の少女(亜沙)が殺し合いに乗っているかもしれないと疑っています。


【衛@Sister Princess】
【装備:TVカメラ付きラジコンカー(カッターナイフ付き バッテリー残量50分/1時間)】
【所持品:支給品一式、ローラースケート@Sister Princess、スーパーで入手した食料品、飲み物、日用品、医薬品多数】
【状態:精神状態は正常、疲労軽程度】
【思考・行動】
基本方針1:死体を発見し遙や四葉の死に遭遇したが、ゲームには乗らない。
基本方針2:あにぃに会いたい
基本方針3:悠人さんがいなくてもくじけない
0:ハクオロについていく。
1:別れたメンバーを心配。
2:ハクオロの足手まといにならぬよう行動を共にする。
3:咲耶にも早く会わなきゃと思う。
4:ネリネをマーダーとして警戒。
5:鳴海孝之という人を悠人と共に探して遙が死んだことを伝える。

315 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:37:56 ID:6PAWXOJC


316 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:37:58 ID:saxPq75n

【備考】
※悠人の本音を聞いた事と互いの気持ちをぶつけた事で絆が深まりました。
※TVカメラ付きラジコンカーは一般家庭用のコンセントからでも充電可能です。充電すれば何度でも使えます。
※ラジコンカーには紐でカッターナイフがくくりつけられてます。
※医薬品は包帯、傷薬、消毒液、風邪薬など、一通りそろっています。軽症であればそれなりの人数、治療は可能です。
※日用品の詳細は次の書き手さんにまかせます。



【D-2 都市部(マップ下)/1日目 夕方】
【女子二人】
1:とりあえず公園(D-2)に行く

【アセリア@永遠のアセリア】
【装備:鉄パイプ(頑丈だがかなり重い、長さ二メートル程、太さは手で握れるくらい)】
【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、ひぐらし@ひぐらしのなく頃に、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-】
【状態:激怒、肉体的疲労小、右耳損失(応急手当済み)、頬に掠り傷、ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
0:公園まで北上
1:仲間を守る
2:無闇に人を殺さない(但し、クニサキユキトとエスペリアを殺した相手と襲撃者は殺す)
3:強者と戦う
4:永遠神剣を探す
5:もっと使い勝手の良い武器を手に入れる
6:悠人とハクオロに失望
7:川澄舞、国崎往人を強く警戒


317 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:38:05 ID:VRcqzyDo
 

318 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:38:31 ID:saxPq75n

【備考】
※悠人の本音を聞いた事と互いの気持ちをぶつけた事で絆が深まりました。
※TVカメラ付きラジコンカーは一般家庭用のコンセントからでも充電可能です。充電すれば何度でも使えます。
※ラジコンカーには紐でカッターナイフがくくりつけられてます。
※医薬品は包帯、傷薬、消毒液、風邪薬など、一通りそろっています。軽症であればそれなりの人数、治療は可能です。
※日用品の詳細は次の書き手さんにまかせます。



【D-2 都市部(マップ下)/1日目 夕方】
【女子二人】
1:とりあえず公園(D-2)に行く

【アセリア@永遠のアセリア】
【装備:鉄パイプ(頑丈だがかなり重い、長さ二メートル程、太さは手で握れるくらい)】
【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、ひぐらし@ひぐらしのなく頃に、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-】
【状態:激怒、肉体的疲労小、右耳損失(応急手当済み)、頬に掠り傷、ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
0:公園まで北上
1:仲間を守る
2:無闇に人を殺さない(但し、クニサキユキトとエスペリアを殺した相手と襲撃者は殺す)
3:強者と戦う
4:永遠神剣を探す
5:もっと使い勝手の良い武器を手に入れる
6:悠人とハクオロに失望
7:川澄舞、国崎往人を強く警戒


319 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:38:45 ID:q+yMe5BZ
 

320 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:38:47 ID:VRcqzyDo
    

321 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:39:07 ID:saxPq75n
【備考】
※瑞穂本人の国崎往人に対する認識がどの程度までハクオロ達と共通しているかは次の書き手さんにお任せします。
※悠人、ハクオロ、衛、千影をそれなりに信頼。
※ハクオロ達のグループが病院を目指している、首輪解除を狙っていると言う情報を入手。


 ■


……どうやら誰も気付かなかったみたいだね。
私はポケットの中でPDAを弄びながらそんな事を思った。
誰にもバレないように"撮影"をするのは、少し苦労のいる作業だった。

なにしろ、面と向かって"一枚、倉田佐祐理の写真を撮らせてくれ"などと懇願する事など出来る訳が無いから。
いくら舞くんに彼女の最後の姿を見せてあげたい、という理由があろうとも酷く嫌な目で見られるのは分かりきっている。
私だけならまだいい。だが衛くんまでそんな視線で見られるのは耐えられなかった。
それで結局、取った手段は盗撮まがいの行為だった訳だが。


もう一つ驚いた事がある。
それは"舞くんが"ゲームに乗ってしまったらしい、という事。
平常時の舞くんに出会った人間はあの中で自分ひとりだったから、この事はまだ誰にも言っていない。

別れた後放送で佐祐理くんの死を聞かされたから、と考えるのが妥当だろうか。
そうなるとことりくんの身の安全が不安になって来る。
とはいえ、未だ名前は呼ばれていない訳だから何処かで生きているとは思うのだけれど。
全身を血に染めた恐ろしい復讐鬼。二人の話からはそんなイメージしか伝わってこなかった。

せっかく苦労して写真を撮ったのに、完全に無駄骨になってしまった。
狂ってしまった舞くんに佐祐理くんの最期の姿を見せる――
そんな事をしたら余計彼女を追い詰める事になるのだから。


322 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:39:12 ID:bio5J/Vj
 

323 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:39:43 ID:saxPq75n


衛くんは笑っていた。
こんな過酷な状況下におかれているとは思えない、太陽のような笑顔で。
衛くんはこの集団の実質的なリーダーである聖上と一緒にいる。
彼は信用出来る人間だ。だから大丈夫。
私が傍にいるよりもきっと頼りになるはずだ。

隣にいる男、高嶺悠人の顔を盗み見る。
強靭な肉体、高い魔力、集団の先頭に立つリーダーシップ、策を講じる知性。どれをとってもトップクラスだ。
聖上やトウカくん、舞くんといった面々も総合的なポテンシャルでは彼には敵わないだろう。
もっとも、純粋な戦闘能力に関してはどうなるか分からないが。

……いや、永遠神剣を持ってしまえばこの島に彼と比肩し得る人間はいなくなる。
同じく永遠神剣を持った場合のアセリアくんにも同じ事が言えるはず。あの弾丸のような身のこなしが更に強化される訳だから。
アレは別体系の魔法の使い手ながら、無理やり魔力を注ぎ込んで『献身』を使用していたネリネくんにさえ、凄まじい身体能力の強化をもたらしていた。
だが、そんな印象ですら霞むのが"本物"の使い手に永遠神剣が渡った場合。
『時詠』の力を行使した悠人くんの力はあまりにも圧倒的だった。
本人は上手く操作出来なかったと言っていたが、そんな言葉はあの爆発的な破壊力の前には掻き消させれる。

私やネリネくんが剣を使うといっても、それは所詮無理やり使っているに過ぎない。
当然、永遠神剣を使った戦闘のプロフェッショナルである二人には敵わないのだ。
つまり彼らファンタスマゴリアの人間と永遠神剣、この組み合わせが実現すれば当面の敵はいなくなると言う事だ。


まぁ……私の永遠神剣の使い方があまり良くなかったというのも大きい気もする。
よりによってこの私が剣を握ってチャンバラに講じるなんて、あまりにも不向き過ぎる。
『何らかの方法』によって莫大な魔力を補給する手段でもあれば、剣の力に完全に頼った戦いが出来るかもしれないが。


324 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:40:21 ID:saxPq75n
おそらくネリネくんもそう。剣を振り回すよりも魔力の塊をぶつけた方が効率は良いに決まっている。
彼女に関しては能力のキャパシティが大き過ぎて制御出来ていなかっただけ、な気もするけどね。
とはいえ時詠に魔力を注ぎ込めば抜群の媒介になるし、十分呪文の行使も可能だ。
普通の人間なら余裕で殺傷出来るレベルまでは出力を出せるはず。もっとも今は自衛の意味以外でその力を使うつもりは全く無い。

そう、他にも一つ腑に落ちない点もある。
悠人くんが『時詠』を使った時に見せたあの不可解な態度だ。
行使したのはどう見ても"タイムアクセラレイト"の魔術。それは間違いない。
つまりあの一瞬で数十メートルの距離を移動し、ホールの壁をバラバラにして、戻って来という事になる訳だ。
私を"あまり強そうに見えない"と評した悠人くんの想像通り、コレに比べたら私のタイムアクセラレイトなど足元にも及ばない。
少なくとも私にはアレが失敗したようにはとても見えないのだ。

まぁ、とにかく悠人くんが庇護者としてこれほど無い人材なのは確か。
衛くんも彼と一緒に居たからこそ、大した怪我をする事もなかったのだから。
彼に有らぬ疑いを掛けるのは野暮というものか。

「千影、それじゃあ行こうか。俺達の行動範囲は広いぞ、急がなきゃいけない」
「……分かってる。行こうか、悠人くん」

とにかく今出来る事は、ただ移動する事。
名雪くんがどうなったのか、少し気になるが今は仕方が無い。
出来るだけ早く神社に行けるようにするだけだ。
でもこんな事を考えていながらも、私の心の中では先ほど瑞穂くんが言っていた台詞が何度と無く繰り返されていた。


『ゲームの優勝者は、好きな願いを一つだけ叶えられる』


鷹野三四が言っていたというこの台詞、いったいどこまでが真実なのだろう。
優勝という条件を満たす事で何らかの自在性を持った魔法が発動するのか、それとも恒常的にそんな力が使えるのか。
それとも願いを叶えるという言葉自体がブラフなのか。
判断するためには、ソレこそ鷹野三四に直接問い掛けるくらいしか方法は無い。

325 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:40:53 ID:saxPq75n

私程度の実力ではそんな儀式を執り行う事は夢のまた夢ではあるが、死者を蘇生させる術式が存在している事もまた確か。
それは悠人くん達の会話からも分かる事実だ。
別の世界であっても死者蘇生の技術は確立されている。
超常的な力を持ち合わせる鷹野がその秘法を行使する事が出来ても不思議ではない。


十二個揃えのパズルはもう完成しない。
十一番目のピースが壊れてしまったから。この世界から消え去ってしまったから。
もう、本来の姿に戻る事は無い。

パズルは完成してこそ価値があるもの。そんな事は誰にだって分かる。
ならば残った十一のピースには何の価値も無いのか。
……どうなのだろう。心情的には声を大にして否定したい。
一つ欠けたからといって、残りの全ての存在さえ無かった事になるなんてあんまりだと思うから。

だけどこの例え話をそっくりそのまま、自分達姉妹に当て嵌めた時。
やっぱり私は一つでもピースが欠けてしまったパズルに意味なんて無いと思う。
可憐、花穂、衛、咲耶、雛子、鞠絵、白雪、鈴凛、春歌、四葉、亞里亞、そして私、千影。
十二人揃ってこそ、なんだ。


ねぇ咲耶くん、君は今何処で何をしているんだい?
衛くんは元気だったよ。心から信頼出来る人間と出会えて本当に幸せそうだった。
早く君もいつものような笑顔で私の前に現れてくれないか。
そして、一番上の姉らしく落ち着いた顔で私達を叱って欲しい。励まして欲しい。
四葉くんを失った、私達の事を。

そしてゆっくり話し合おう。
これからの事、皆の事、この島で出会った人間の事。
喋ってみたい事は沢山ある。
今回ばかりは私も、少し話し過ぎてしまうかもしれないね。

326 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:42:00 ID:bio5J/Vj
 

327 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:42:04 ID:saxPq75n


それにね。
実は少しだけ、怖いんだ。
……私がこんな事を言うと、君は多分、気味悪がると思うんだけど。

輪廻と転生。死と再生。私はそんな流れを傍観しながら生きて来た。
前世から続く兄くんとの縁、騎士とその妹。
血の禁忌を超えて結ばれた、許されない愛。
いくつもの時代を超えて延々と続く逃れられない運命。

兄くんさえいれば他には何もいらない。今まではずっと、そう思っていた。
だけどね。ようやく私は気付いたんだ。
あの当たり前のようで騒がしい、皆といる空間が大好きだったって事に。
失ってから初めて分かる――陳腐な表現だけど、他にどうも言い表す事が出来ないんだ。


咲耶くん。
このまま私が闇に溶けて醜い姿に成り果てても、
私達は姉妹でいる事を許されるだろうか?

直接伝えられないのがもどかしい。
海に流した瓶詰の手紙のようだ。願いが届くのかも、届かないのかも分からない。
本当に必要な時にどうして君は近くにいないんだ。
私の中で、ある可能性が生まれてしまった。
『十二人』を復活させる、現状砂漠の砂のように掴み所の無い、信憑性の無いプランではあるけれど。

でも今はこの可能性はほとんどゼロに近いよ。
だってまだ、君と衛くんがいるんだからね。二人がいる限り、私が悪魔に成り果てる未来は来るはずもないんだ。


【D-3 平原(マップ下)/1日目 夕方】

328 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:42:28 ID:q+yMe5BZ
 

329 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:43:09 ID:6PAWXOJC


330 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:43:12 ID:bio5J/Vj
 

331 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:44:41 ID:bio5J/Vj
 

332 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:44:50 ID:saxPq75n

【永遠神剣チーム】
【思考・行動】
1:神社から中央部(ホテル付近)を探索後病院へ
2:トウカ、名雪、ことりを探す


【高嶺悠人@永遠のアセリア −この大地の果てで−】
【装備:今日子のハリセン@永遠のアセリア、トウカの刀@うたわれるもの、ベレッタM92F(9mmパラベラム弾14/15+1)】
【所持品:支給品一式×3、バニラアイス@Kanon(残り9/10)、予備マガジン×4、暗視ゴーグル、FN−P90の予備弾、電話帳】
【状態:疲労軽程度、左太腿に軽度の負傷(処置済み・歩行には支障なし)、「時詠」に対する恐怖】
【思考・行動】
基本方針1:千影を守る
基本方針2:なんとしてもファンタズマゴリアに帰還する
0:神社から中央部(ホテル付近)を探索後病院へ
1:北上した襲撃者を警戒。
2:国崎往人に対するやり切れない感情。
3:咲耶を含む出来る限り多くの人を保護。
4:ゲームに乗った人間と遭遇したときは、衛や弱い立場の人間を守るためにも全力で戦う。割り切って容赦しない。
5:ネリネをマーダーとして警戒
6:地下にタカノ達主催者の本拠地があるのではないかと推測。しかし、そうだとしても首輪をどうにかしないと……

【備考】
※バニラアイスは小型の冷凍庫に入っています。
※衛と本音をぶつけあったことで絆が強くなり、心のわだかまりが解けました。
※原作の四章、アセリアルートから連れてこられた、アセリアはハイロゥが黒く染まった(感情が無い)状態だと思っている
※アセリアに『時詠』の事を話していません。

【千影@Sister Princess】
【装備:永遠神剣第三位『時詠』@永遠のアセリア −この大地の果てで−】
【所持品:支給品一式、銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルトのみ残数80/100)、バナナ(フィリピン産)(2房)
     倉成武のPDA@Ever17-the out of infinity-、倉田佐祐理の死体の写真】

333 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/23(木) 18:45:41 ID:bio5J/Vj
 

334 : ◆tu4bghlMIw :2007/08/23(木) 18:46:02 ID:saxPq75n
【状態:左肩重傷(治療済み)、肉体的疲労小、魔力消費小、スカートに裂け目】
【思考・行動】
基本行動方針:襲ってくるものには手加減しない。時詠の能力使用は極力控える
0:神社に向かう
1:咲耶を探す
2:鷹野の発言に強い興味。
3:永遠神剣に興味
4:北川潤、月宮あゆ、朝倉純一の捜索
5:魔力を持つ人間とコンタクトを取りたい
6:『時詠』を使って首輪が外せないか考える
7:もう一度舞に会いたい

※時詠を使用すれば首輪を外せるんじゃないかと考えています(ただし可能性は低いと考えています)
※千影は『時詠』により以下のスキルが使用可能です。 但し魔力・体力の双方を消耗します。
 タイムコンポーズ:最大効果を発揮する行動を選択して未来を再構成する。
 タイムアクセラレイト…自分自身の時間を加速する。他のスキルの運用は現時点では未知数です。 詳しくはwiki参照。
 またエターナル化は何らかの力によって妨害されています。
※未来視は時詠の力ではありません。
※銃火器予備弾セットが支給されているため、千影は島にどんな銃火器があるのか全て把握しています。
 見た目と名前だけなので銃器の詳しい能力などは知りません。
※倉成武のPDA
 情報携帯端末。簡単に言えばネット通信機能搭載の超小型パソコン。携帯電話も内臓されている。
 また、静電充電機能で身に着けて歩行などすれば充電可能。ちなみに完全防水である。
※四葉とオボロの事は衛と悠人には話してません(衛には話すつもりは無い)
※千影は原作義妹エンド後から参戦。
※倉田佐祐理の死体の写真は額の銃痕が髪の毛で隠れた綺麗な姿。
 撮影時間(一日目夕方)も一緒に写っています。
※ハクオロ、トウカ、悠人を強く信頼。

すいません。瑞穂の【備考】欄に
※悠人からベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15)、予備マガジンx3、千影からバーベナ学園の制服@SHUFFLE! ON THE STAGEを受け取っています。
を追加してください。

335 :Lunatic snow ◆VtbIiCrJOs :2007/08/24(金) 03:15:27 ID:GG0dX9Kk


 ――雪、積もってるよ


 ――そりゃ、ニ時間も待ってるからな


 七年ぶりに再会したいとこの男の子はもうここにはいない。
 遠い、遠い所へ行ってしまった。
 
 わたしは歩く。 
 何も考えることが出来ないまま。

 わたしは抜け殻になっている。

 祐一のいない世界にもはや意味なんかない。
 だから壊すの、全て憎いから。
 わたしからすべてをうばったあの娘。
 わたしと祐一をひていしたこの世界がにくい。

 くらい倉庫に眠っているそれはとてもおおきくて、とてもたよりになる存在だった。
 この世界を壊す大いなるちから。
 これさえあればみんな壊すことができる。
 大石さんと乙女さんを殺してもなお、のうのうと生き続けるあゆちゃんを壊してやる。
 祐一がいなくなった世界でのうのうと生き続けるみんなを壊してやる。

336 :Lunatic snow ◆VtbIiCrJOs :2007/08/24(金) 03:16:31 ID:GG0dX9Kk

 わたしはショベルカーにお気に入りのぬいぐるみと同じなまえをあたえてあげた。
 これからいっしょにこの世界を壊すパートナーだもの、飛びっきり良い名前をつけてあげないとね。
 わたしはけろぴーにエンジンキーを挿し込む。
 動かし方は頭に叩き込んだ。
 あとはけろぴーを目覚めさせるだけ。
「行くよ、けろぴー」
 キーを回すとうなり声をあげてけろぴーが産声をあげた。
 生まれたことを後悔する呪いの産声、
 でも、大丈夫、わたしがついている、心配しなくていいよ。
「まずはここからでないと……ね」
 この程度の壁なら簡単に崩せるはず。
「さあ、あなたの力を見せてけろぴー!」
 けろぴーは壁に向けてその鋼鉄の爪を振るう。
 轟音と共に砕け散る倉庫の壁、壁のはへんが、ガラスの破片が舞い上がる。
 わたしはその光景を恍惚の表情でみつめていた。
「あはっ……あははははは」
 これならいける……いけるよ!
 わたしがいちばんけろぴーを上手く使えるんだ!

「あは、あっははっははははははは! これで! みんな! 殺してやるうううううっぅぅぅぅぅぅ!」
 
 わたしはいつまでもおかあさんや祐一に守られているばかりじゃない。
 みんなしんでしまえ。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※



337 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 03:16:43 ID:Lkh3KvjL
 

338 :Lunatic snow ◆VtbIiCrJOs :2007/08/24(金) 03:18:00 ID:GG0dX9Kk
 外に出たわたしに目に入る景色、
 まぶしい太陽のひかり。
 澄みきったあおいそら。
 ほのかに香る草のにおい。
 倉庫にはいるまえとなんの変わりがないはずなのに、
 わたしのめに写るせかいは一変していた。
 やさしい風が、祝福の風がわたしのながい髪をゆらす。
 生まれ変わったわたしとけろぴーを世界が祝福している。
 
 そうだよね、みんなつらいんだよね。
 この世界でいきることがつらいから――
 まちがったこの世界がゆるせないから――
 まちがったせかいに生まれてしまった自分がゆるせないから――
 だからこのせかいをこわすちからを持ったわたしの再誕をまち望んでいたんだよね。

 この世界の祐一はいなくなってしまったけど、大丈夫、また会えるよ。
 ひとりを殺したらつぎは二人、ふたりを殺したら次は四人。
 このせかいに存在するすべてのものを滅ぼしつくしたはてに訪れる黄金郷で。
 そこではお母さんがいて、祐一がいて、真琴がいて、
 朝寝坊しそうになるわたしを祐一が起こしに来てくれる。
 そして家族でなかよく朝ごはん。
 時計を見たらけっこう時間がぎりぎりになってしまい、走って学校へ。
 わたしは陸上部の部長さんだからこれくらいのダッシュは余裕だけど、祐一はへとへとになって教室にすべりこむの。
 その光景をみた香里が「相変わらずね二人とも」と笑ってる。
 そんなありふれた、だけど幸せな毎日が続いてる世界。
 昨日までそこにあったしあわせなせかい。

339 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 03:18:21 ID:Lkh3KvjL
 

340 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 03:19:13 ID:Lkh3KvjL
 

341 :Lunatic snow ◆VtbIiCrJOs :2007/08/24(金) 03:20:10 ID:GG0dX9Kk

 ぽたっ……ぽたっ……
 わたしの頬を伝う水のしずく。
 おかしいな……どうして泣いているのかなわたし。
 悲しくなんかないのに、全てが終わればそこにいけるのに。
 はらりと包帯がほどけ、膝の上におちる。
 ぽたりと赤い涙が膝に染みをつくる。
 右眼に打ち込まれた楔が疼く。

 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い痛い憎い憎い憎い
 憎い憎い痛い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
 痛い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い痛い憎い憎い憎い
 憎い憎い憎い痛い憎い憎い憎い憎い憎い憎い痛い憎い

 あいつが……っ、あいつがッ!
 こんなモノを突き刺して。
 いたいよぉ……すごくいたいよぉ……
 あはっあははははははははははははははは。
 たかが右眼が潰れただけじゃないか!
 人間の眼はふたつあるんだよ?
 片方だけ潰しても意味がないんだよ?
 そんなコトもわかんないのかなあ、あゆちゃんは。
 鬱陶しい……こんなものがいつまでもわたしの目の中に存在しているのがッ!
 こんな汚らわしいものは排除しないといけない。
 なあに、もう奥にメスが突き刺さっているんだよ?
 いまさら指の一本や二本突っ込んだところでなんてことはないよ。

「……っぎぃ!」


342 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 03:20:37 ID:Lkh3KvjL
 

343 :Lunatic snow ◆VtbIiCrJOs :2007/08/24(金) 03:21:15 ID:GG0dX9Kk
 止まりかけていた血がぶしゅっと噴き出す。
 一センチ……二センチ……
 痛い痛い痛い。
 脳あっ激痛であっあっショーあっあっあっあっト。
 三センチ……あった! あったよ! あっははははははははははは!
「ぃぃぃぃぃぎぎぎぎぃぃいいぃぃぃ」
 あっあっあっつかんだあっメスあっなかなあっあっ抜け抜け抜けない。
 ぎぎぎぎぎぎぎ、血が血が血があふれぃぃぎぎぃぃぃ。
 抜け抜けろ抜けろ。うあっうあっ祐一祐一祐一祐一たすけてたすけてたすけて。
 だめだよ祐一に頼っちゃああああああああああ。

 ずる……

 やあっ……動いた外れたぎぎぃぃぃぃぎぎぎぎいっひぁぁぁぁ。
 ごぽっごぽっ……
 やったもうすこしだよほらあとニセンチぇぇぇあぎぎぎぃぃぃぃぃ。
 おかあさんおかあさん見て見ぎぎぎ。
 ぶしゅぅ……
 いひぁぁぁぁぁああ抜けた! 抜けたよ!
「あっははははははははッわたしは抜いたよ! あんな奥に突き刺さっていたのに抜けたよっ! どうだどうだどうだ!
くやしい!? くやしい!? せっかく突き刺したのに簡単に抜かれちゃったよ! これがわたしのちからだよ!」
 血とぐちゃぐちゃになった右眼がこびりついたメスを片手ににぎりしめて、
 穴の開いた右の目からはごぽごぽと赤い涙があふれてきて、
 わたしは歓喜の雄叫びを上げた。
 痛かったよ、すごく痛かったんだからね……
 危なかったんだよ……もう少しメスが深く入っていたらわたし、死んじゃってたんだよ。
 だからこのメスはあゆちゃんに返してあげないといけないよね、わたしよりも深いところに突き刺してあげないとね。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※



344 :Lunatic snow ◆VtbIiCrJOs :2007/08/24(金) 03:22:16 ID:GG0dX9Kk
 いやなものを引きずり出せたわたしはしあわせ。
 だれのたすけもなく汚いものはわたしの中から出ていった。
 ねえ、おかあさんおかあさん、見てた? わたしはひとりでできたよ。
 祐一もみてた? わたしはひとりでできたよ。
 包帯もきちんとひとりで巻けたよ、すごいでしょ。
 わかってるよ、お母さんも祐一もここにはいないのはわかってるよ。
 でも……でもね、けろぴーはここにいるから、心配しないで。
 けろぴーがわたしを見守ってくれているから、わたしはがんばれる。

 けろぴーの背中にゆられてわたしは歩く。
 けろぴーの大きなからだは小さな木々をなぎ倒してすすむ。
 そういえばわたしはどこへいくつもりだったんだろう。
 ……神社だったかな?
 でも、どうして神社に行こうとしてたんだろう?
 まあいいや、どこに行っても最後は同じところにいくんだから。
 わたし、がんばるよ。
 ふぁいと、だよ。





345 :Lunatic snow ◆VtbIiCrJOs :2007/08/24(金) 03:23:08 ID:GG0dX9Kk
【E-6 森/1日目 午後】
【水瀬名雪@kanon.】
【装備:槍 手術用メス 学校指定制服(若干の汚れと血の雫)けろぴーに搭乗(パワーショベルカー、運転席のガラスは全て防弾仕様)】
【所持品:支給品一式 破邪の巫女さんセット(弓矢のみ(10/10本))@D.C.P.S.、乙女と大石のメモ、乙女のデイパック】
【状態:疲労大。出血。右目破裂(頭に包帯を巻いています)。頭蓋骨にひび。発狂。】
【思考・行動】
1:全参加者の殺害
2:月宮あゆをこれ以上ないくらい惨いやり方で殺す
【備考】
※名雪が持っている槍は、何の変哲もないただの槍で、振り回すのは困難です(長さは約二メートル)
※第三回放送の時に神社に居るようにする(禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)
※古手梨花・赤坂衛の情報を得ました(名前のみ)
※ハクオロという人物を警戒(詳細は聞いていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ)
※乙女と大石のメモは目を通していません。
※自分以外の全ての人間を殺し合いに乗った人物だと思っています。

346 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 03:24:28 ID:Lkh3KvjL
 

347 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 03:29:13 ID:Lkh3KvjL
けろぴーにふぁいと、だよ
名雪の世界ですな、完全に
こういうグロは大好きです、はい。まさにGJを送りたい。

いったいどこのチームがこのショベラーと出くわす事になるのか……。

348 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 03:29:45 ID:Lkh3KvjL
誤爆orz

349 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:09:22 ID:5ckcm874
「ふぅん、それじゃあ武さんは一足先に神社へ行ってもらえるかな」

閑静な住宅街の一角で、二人の人間が向き合っていた。
佐藤良美と倉成武、
脅迫する者とされる者、
お互いを信じる理由など何も無く、ただ目的のためだけに一緒にいる二人。
しかし、この二人に唯一つだけ共通していることがある。

それは
「……お前は圭一の事を殺したいんじゃなかったのか……?」
一人の人物「前原圭一」を殺すという目的。
あくまで当面の目的ではあるが、少なくともそれだけは二人に共通した目的だった。
しかし、武から圭一達の目的地と思われる場所を聞いた良美の反応は意外なものだった。


「ん? 寂しいのかな、武さん」
「……虫唾が走るような事を言うな。つぐみの事が無ければ誰がお前なんかと一緒に居たいと思うかよ……」
それを聞いて、――内心の笑みを隠しながら――苦笑した。
(冗談が通じないなー、まあ、ここで笑い飛ばす人よりはよっぽど使い安いけど)
倉成武は基本的に真面目で正義感の強い人間なのは間違いない。
そして、わたしへの敵意を隠そうともしていない。
(まあ、圭一君達と一緒にいたんだから当然だよね)
だからこそ“使いやすい”人間。
明確な目的があれば、それを成就するための努力を惜しまない。
だから、分かりやすい目標を用意してあげればいい。

けれど、この“手駒”を使う時には、一つ注意しなければいけないことがある。
「まあ、一緒に行ってあげてもいいけど、今からだと神社に着く頃には「放送」がながれちゃうよね」
「……!!」
武の反応に笑みを浮かべながら
「神社はこの島のほぼ真ん中にあるし、もし島の端っこが禁止されたら、六時間じゃ間に合わないかもしれないよね」
そのことを告げた。

350 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 22:09:31 ID:r+JT87Y7
 

351 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:10:30 ID:5ckcm874
勿論、今のは全て嘘。
けれど、必要な行動をとるための口実でもある。
この手駒を使う上での最大の注意点は、「放送の時に一緒にいないこと」だ。
私はつぐみさんを島のどこか、人の来ない場所に放置していることになっている。
けど、実際はつぐみさんに出会った事もない。
だから、実はつぐみさんは既に死んでいるかもしれない。
そして、その放送の時に武さんと一緒にいたら、彼はどうするか、
……考える必要もない。
だから、放送の時には彼と一緒に居てはいけない。
これは彼を使う時の基本事項。

それと、可能性は低いけど、本人と出会ってしまうという事もないとはいえない。
だから最適なのは、彼を先に行かせて、こっちはそれを把握できる範囲で行動すること。
そのためには、
(よく知らないけど、双眼鏡とかならスーパーにあるのかな)
遠くから監視する道具が必要だ。
丁度このあたりは商店街も近い。
彼との距離をとって、必要なものを集めるのには丁度良い。

「まあ、放送を聞いたら私も神社に行くから、神社でまた会うことにしようか」
「……好きにしろ……」
と言って、武さんはさっさと歩き出してしまった。
それを見送りながら、
(そういえば、名雪ちゃんがお友達と約束しているのも神社だったよね)
それも確か第三回の放送の時に。
(うん、まあ武さんには頑張ってもらおうかな)
圭一たち三人と、他に何人いるかわからないが、まあ高みの見物になれば一番楽。
理想を言うと、武にはそこで死んでもらえると助かるのだが。
そして、

352 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:11:14 ID:5ckcm874
「頑張ってね、圭一君。貴方は私が殺してあげるんだから」

そう言い残して、彼女はその場から立ち去った。

【F-4 住宅街/1日目 夕方】

【佐藤良美@つよきす -Mighty Heart-】
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)、地獄蝶々@つよきす、破邪の巫女さんセット(巫女服のみ)、ハンドアックス(長さは40cmほど)】
【所持品:支給品一式×3、S&W M36(0/5)、錐、食料・水x4、可憐のロケット@Sister Princess、タロットカード@Sister Princess、
大石のデイパック、  S&W M627PCカスタムの予備弾53、肉まん×5@Kanon、虎玉@shuffle、ナポリタンの帽子@永遠のアセリア、
日本酒x1(アルコール度数は46)、工事用ダイナマイトx1、発火装置、首輪(厳島貴子)】 】
【状態:軽度の疲労、手首に軽い痛み、左肩に銃創(出血は収まりつつある)、重度の疑心暗鬼、巫女服の肩の辺りに赤い染み】
【思考・行動】
基本方針:あらゆる手段を用いて、優勝する。
0:商店街で遠くを監視できる道具を手に入れた後、武から離れながら神社へ向かう。
1:武を利用し尽くして、優勝を目指す
2:いつか圭一と美凪を自分の手で殺してやりたい
【備考】
※メイド服はエンジェルモートは想定。現在は【F-4】に放置されています。
※ハクオロを危険人物と認識。(詳細は聞いていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ)
※名雪の第三回放送の時に神社に居るようにする、の情報を得ました
  (禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)
※ネリネを危険人物と判断しました(名前のみ)
※大空寺あゆ、ことみ、亜沙のいずれも信用していません。
※未成年が日本酒を飲んではいけません。
※大石の鞄に、未確認支給品が1〜2個入っています。
※監視用にどのような道具を手に入れるかは、次の書き手さんにお任せします。
また、他に何か手に入れるかもしれません。


353 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:11:59 ID:5ckcm874
早足で移動しながら、考える。
考えるのは少し前に別れた女――佐藤良美――のこと。
いや、正確に言えばその女の言葉の内容だ。
(あの女が俺から離れた理由は……なんだ?)
俺に露払いさせる、というのはまず間違いないだろう。
だが、そんなわかりきった事はどうでもいい、元よりつぐみ以外の人間は皆殺しにするつもりだ。
だから、重要なのはもう一つの事。
(禁止エリアになった時の為…か?
確かに一緒にいて、放送後にいきなり別れると言い出すのは不自然だからな)
つぐみについてだ。

(何処だ……何処につぐみは捕まっているんだ?)
あの女がつぐみを捕まえているとは思えない、
が捕まっていないという確証もない。
何故なら、自分とつぐみは“殺せない”からだ。
この島で多少効力が落ちているとはいえ、キュレイウイルスのキャリアである自分達は簡単には殺せない。
だから殺せずに、捕まえておくしかないということはあり得る。
他の人間なら、捕まえておくなんて可能性はほとんどないが、つぐみなら可能性はある。
(となると、島のこちら側にいるって考えるのが自然か……?)
この場所で別れたというのならそう考えるのが普通である。

ここに一つ、武が気付いていない心の働きがあった。
武はH173の症状を否定する為に、キュレイの効力がこの島で落ちている事を認めきれず、その落ち幅を弱く考えてしまっていた。
だから良美が離れたのは、放送時につぐみの名前が呼ばれた場合に備えてとは認められなかった。
なので、彼は無意識のうちに「良美とつぐみは遭遇したことがある」ということを事実と認識していた。

354 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:12:37 ID:5ckcm874
(あるいは、神社の近くでつぐみに会った、っていう可能性もあるな)
良美が一度つぐみに会っていて、(おそらくその時に敵対して)それが神社の近くであり、再び遭遇することで、嘘がばれる事を恐れた、というのはあり得る話だ。
恐らくだが、こちらのほうが可能性は高いように思う。
そして
(どっちにしろ、あの女がつぐみに会ったっていうなら、島の真ん中より東側っていう可能性が高そうだな)
そう結論付けた。

「まあ、だからといって一度神社に行くしかねえんだけどな」
あまり高い可能性ではないが、つぐみの命が良美に握られている以上、神社に行くしかない。
そしてそれは、
「待っていろ圭一! ……いや、瑞穂でも、茜でも、陽平でもいい!! 善人面して俺の事を利用していた奴らは許さねえ!」
今の武の目的、圭一の殺害とも一致している場所だった。

仲間達との誓いも、貴子の最後の勇気も、圭一の信頼も、今の武には届かない。
それでも、彼はかつての約束の場所へ向かう。

あるいはそれが、彼らの最後の絆なのかもしれない。

355 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:13:19 ID:5ckcm874
【E-4 学校へ向かう道/1日目 夕方】

【倉成武@Ever17】
【装備:投げナイフ2本、永遠神剣第四位「求め」@永遠のアセリア】
【所持品:支給品一式 ジッポライター、貴子のリボン@乙女はお姉さまに恋してる、富竹のカメラ&フィルム4本@ひぐらしのなく頃に】
【状態:L5侵蝕中。中度の疲労。極度の疑心暗鬼。頭蓋骨に皹(内出血の恐れあり)。頬と口内裂傷。頚部に痒み。 脇腹と肩に銃傷。刀傷が無数。服に返り血)】
【思考・行動】
基本方針:つぐみ以外誰も信用する気はありませんが、人質を取られている可能性がある為、良美の指示には従う。
1:圭一を殺害する
2:良美の指示に従い、他の参加者達を殺害する
3:圭一の殺害後、つぐみを救い出す
【備考】
※キュレイウィルスにより、L5の侵蝕が遅れています、現在はL3相当の状態で若干症状が進行しています。
※前原圭一、遠野美凪の知り合いの情報を得ました。
※富竹のカメラは普通のカメラです(以外と上物)フラッシュは上手く使えば目潰しになるかも
※永遠神剣第四位「求め」について
「求め」の本来の主は高嶺悠人、魔力持ちなら以下のスキルを使用可能、制限により持ち主を支配することは不可能。
ヘビーアタック:神剣によって上昇した能力での攻撃。
オーラフォトンバリア:マナによる強固なバリア、制限により銃弾を半減程度)
※沙羅と情報交換しました。
※キュレイにより少しづつですが傷の治療が行われています。
※つぐみが捕まっているという話を、完全に信じた訳ではありません。



356 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 22:13:56 ID:r+JT87Y7
  

357 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:14:50 ID:5ckcm874
時は少し遡る。

神社の石段の前に、一台の救急車が停止した。
その中から三人の人間が出てくる。
「ふー、救急車の運転って以外と気を使うものね」
のびをしながら、運転席から降りる沙羅、
「お疲れ様で賞を進呈。わーぱちぱち」
その沙羅を労う美凪、
そして、
「……どうなってんだ、こりゃ」
いささか、呆然としている圭一の三人。
彼らは特に何ごとも無く、武との約束の場所へと到着した。

「ふーん中々立派な神社ね」
「『古手神社』……ふる…てって読むんでしょうか」
「いや……それは『ふるで』って読むんだ、美凪さん」
石段の周辺出ている旗に書かれた名前を読もうとする美凪に、圭一が言った。
「? この神社の事を知ってるの、圭一?」
それを聞いて沙羅が圭一に質問した。
ちなみに美凪は「博識で賞」なるものを用意していたが、二人ともスルーした。

「ああ、知っている、けど、何でここに」
石段の周りの風景も、この位置から僅かに見える境内も、圭一の記憶の中にある「古手神社」そのものだ。
けれど、
「ここは雛見沢じゃあない、この付近の景色もまるで違う」
辺りに見えるのは、見慣れた雛見沢の景色ではなく、見知らぬもの。
圭一の知らない場所に、何故か古手神社だけが存在している。

358 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:15:27 ID:5ckcm874
「……とりあえず、境内まで入って調べて見るべきね」
「ああ、そうだな、武さんが来るまではまだ時間があるからな」
「じゃあ、頑張ってくださいね、前原さん」
「ああ……って俺一人で調べるのかよ!?」
「いえ、私達も調べますけど、この神社の事を知っているのは前原さんだけですよ」
「う、まあそうなんだが」
美凪のもっともな意見に言葉のない、圭一。
そこで二人とも少し立ち尽くすが
「ほら、つまんないこと言ってないで、さっさと上るわよ」
という沙羅の声に、
「いや、待ってくれ見える範囲にスクーターはないけど、もしかしたら迂回して神社の中で待ち伏せしているかもしれない」
圭一は冷静な反応を返す。
そもそも彼らの目的は、一足先に神社に向かった土見稟を止めること。
そして、彼が待ち伏せしているかもしれない以上、正面から入るのは危険すぎる。
「ちょっと回り道になるけど、横の方から入ろう」

そうして、回り道している間に、
「そういえば……武さんの知り合いの方はいつ来るのでしょう」
「言われてみれば…そのことは聞いてないな」
今更ながらに重要な事に気付いた。
「……ここまで来て、そんな事を言ってるの?」
これには沙羅もあきれたが、
「まあ、武さんが来ればわかるだろ」
という圭一の信頼の前では何も言えなかった。

そして、仲間を疑うことのない三人は、約束の場所へとたどり着く。

359 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 22:15:53 ID:r+JT87Y7
  

360 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 22:16:09 ID:v8cuSX1v
紫炎

361 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:16:16 ID:5ckcm874
【D-4 神社/1日目 午後】

【前原圭一@ひぐらしのなく頃に祭】
【状態:精神安定、右拳軽傷、体全体に軽度の打撲と無数の切り傷、左肩刺し傷(左腕を動かすと、大きな痛みを伴う)】
【装備:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に】
【所持品:支給品一式×2、折れた柳也の刀@AIR(柄と刃の部分に別れてます)、キックボード(折り畳み式)、手榴弾(残1発)】
【思考・行動】
基本方針:仲間を集めてロワからの脱出、殺し合いには乗らない、人を信じる
1:まずは神社を調べる。
2:美凪と沙羅を守る。
3:土見稟の凶行を止める。
4:倉成武との再会を果たす
5:知り合いとの合流、または合流手段の模索
6:良美を警戒
7:あゆについては態度保留、但し大石を殺したことを許す気は今のところない。
8:土見稟を警戒
9:ハクオロを警戒
【備考】
※倉成武を完全に信用しています。
※宮小路瑞穂、春原陽平、涼宮茜、小町つぐみの情報を得ました
※救急車(鍵付き)のガソリンはレギュラーです。現在の燃料は残り1/3くらいです。
※沙羅の事は信用しています


362 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 22:16:44 ID:r+JT87Y7
 

363 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/08/24(金) 22:17:27 ID:5ckcm874
【遠野美凪@AIR】
【状態:軽度の疲労】
【装備:包丁】
【所持品:支給品一式×2、救急箱、人形(詳細不明)、服(詳細不明)、顔写真付き名簿(圭一と美凪の写真は切り抜かれています)】
基本方針:圭一についていく
1:まずは神社を調べる
2:知り合いと合流する
3:佐藤良美を警戒
4:土見稟を警戒
※倉成武を信用するかは保留。
※宮小路瑞穂、春原陽平、涼宮茜、小町つぐみの情報を得ました
※あゆのことは基本的には信用しています
※沙羅と情報交換しました。
※沙羅の事は信用しています

364 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 22:17:30 ID:r+JT87Y7
 

365 :(代理投下):2007/08/24(金) 22:26:07 ID:9K3RRjxi
【白鐘沙羅@フタコイ オルタナティブ 恋と少女とマシンガン】
【装備:永遠神剣第六位冥加@永遠のアセリア −この大地の果てで− ワルサー P99 (16/16)】
【所持品:支給品一式 フロッピーディスク二枚(中身は下記) ワルサー P99 の予備マガジン8 カンパン30個入り(10/10) 500mlペットボトル4本】
【状態:軽度の疲労・強い決意・若干の血の汚れ】
【思考・行動】
基本行動方針:一人でも多くの人間が助かるように行動する
1:まずは神社を調べる。
2:情報端末を探す。
3:首輪を解除できそうな人にフロッピーを渡す
4:前原にタカノの素性を聞く。
5:混乱している人やパニックの人を見つけ次第保護。
6:最終的にはタカノを倒し、殺し合いを止める。 タカノ、というかこのFDを作った奴は絶対に泣かす。



366 :(代理投下):2007/08/24(金) 22:26:57 ID:9K3RRjxi
【備考】
※FDの中身は様々な情報です。ただし、真偽は定かではありません。
下記の情報以外にも後続の書き手さんが追加してもOKです。
『皆さんに支給された重火器類の中には実は撃つと暴発しちゃうものがあります♪特に銃弾・マガジンなどが大量に支給された子は要注意だぞ☆』
『廃坑の入り口は実は地図に乗ってる所以外にもあったりなかったり(ぉ』
『海の家の屋台って微妙なもの多いよね〜』
『H173を打たれても早めにC120を打てば症状は緩和されます(笑)』
少なくともこの4文はあります。
H173に基本的な情報や症状についての情報が載っています
場合によってはさらに詳しい情報が書いてある可能性もあります
※“最後に.txt .exe ”を実行するとその付近のPC全てが爆発します。
※↑に首輪の技術が使われている可能性があります。ただしこれは沙羅の推測です。
※双葉恋太郎の銃“S&W M60 チーフスペシャル(5/5)”は暴発しました。
※港には中型クルーザーが停船していますが、エンジンは動きません。
※パソコンに情報端末をつなげるとエンジンが動くというのはあくまでも沙羅の推測です。
※図書館のパソコンにある動画ファイルは不定期配信されます。現在、『開催!!.avi』のみ存在します。
※図書館についてある程度把握しました。
※隠しフォルダの存在を知りました。実際にパソコン内にあるかどうかは書き手さんにおまかせ。
※武たちと情報交換しました。
※圭一と美凪を信用しました。武については保留。

367 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 22:52:41 ID:5U1Lh9xi
「結構……揺れるな……」
「普通、こんな場所では車を使わないからね……揺れるのも仕方ないわ」

俺とつぐみは北川達と離れ、今はA−7に入ったばかりだ。
結局、俺達は次の目的地を座礁したフェリーにする事に決めた。
理由は両方とも南側に行った事がなかったから、調べてみようという事になったからだ。
それにしても……
「なんで、先に廃坑調べないのか?」
「それは……廃坑調べるには車をおいていかないといけないじゃない。廃坑の別入り口は今はそこまで重要じゃないわ。それに……」
つぐみは俺が広げていた地図の一つの場所を指差した。
ここは
「灯台?」
「そう、灯台。どうせフェリーに行くのならここも寄りたいわ。どれくらいの高さか分からないけど、島の全部は見渡せるはず」
「なるほど。島を見渡せるなら、電力の供給源になるもの見つけられるかもしれないな」
「ええ、そういう事よ。純一、ごめんちょっと運転に集中させて。木が多くて」
「わかった」




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








368 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 22:55:21 ID:GHnvrhp4
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369 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 22:55:52 ID:GHnvrhp4
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370 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 22:56:22 ID:GHnvrhp4
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371 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 22:57:00 ID:GHnvrhp4
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372 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 22:57:27 ID:5U1Lh9xi
やっぱりつぐみは頭がいいな。
車を運転しているつぐみを見ながら俺はそう思った。
俺1人だったらここまで気がつかないだろうし、盗聴されてる事も気付かなかっただろう。

それに俺はつぐみに何度も助けてもらった。
音夢が死んだのを知った時、つぐみがいなかったら俺は間違いなく決意を曲げただろう。
あの時、そっと抱きしめてくれたから俺は狂わずにすんだ。
その時のつぐみは母親のようで、とても温かった。
まだ音夢の死は全部乗り越えていないけど、つぐみのお陰で少しはのり越えられた気がする。

つぐみには感謝しても仕切れないぐらいだ。
そんなつぐみを俺は護りたい。
恩返しとかじゃなくてただそう思った。

でも俺につぐみを護る事ができるのだろうか?
つぐみは1人でも何でも出来るような気がする。
俺の助けなどいらないんじゃないか?

いや、つぐみは1人で気負い過ぎてる感じがする。
また武という人にあえなくて焦っている。本人は気付いてないが。
だから北川と会った時も最初、あんなに警戒していたんだと思う。

だから俺はつぐみが武に会うまで俺が心の支えになり護って生きたいと思う。
つぐみにもう少し心にゆとりを持って欲しい。
だから俺は自分でできる事しっかりやっていこうと思う。
本心から。

373 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 22:57:30 ID:GHnvrhp4
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374 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 22:58:00 ID:GHnvrhp4
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375 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 22:58:13 ID:5U1Lh9xi
考えたくないけどもし武が死んでしまったらつぐみは音夢を失った時の俺みたいになると思う。
だからその時、俺はつぐみしてもらった時のようにつぐみの支えになりたい。
悲しみと怒りで押し潰されない様に。
出来ればそんな事にはなって欲しくない。
でももしそうなったらつぐみを護りたい。
つぐみが殺し合いに乗ったときも止めたい。
全てを懸けて。
つぐみにそうやってもらった時のように。




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・





376 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:01:28 ID:aXpJT9yX


377 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:01:49 ID:5U1Lh9xi


俺がそんな事を考えている時。突然茂みから少女が飛び出した。
焦って
「つぐみ! ブレーキ!」
「もうやってる!」
つぐみも焦っている。
この距離では急ブレーキかけても間に合うかどうか分からない
どうだ間に合うか?
車がブレーキ音をたてて止まる。

結果、ぶつかる寸前で止まっていた。
危機一髪。
俺とつぐみは同時に息をついた。
「あ……危なかったな」
「そ……そうね」
本当に危なかった。

そして俺達は車から降り、少女のもとに向かった。
少女は驚いた顔をしており、目に涙を溜めていた。

「泣いてない、泣いてないもんねっ!」

いや泣いてるんじゃん。

ついそんな事を口に出そうとしたが思い留まった。

378 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:02:15 ID:aXpJT9yX


379 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:03:56 ID:5U1Lh9xi
つぐみは少女に駆け寄り
「ちょっと、貴方大丈夫?」
「んあ・・・ココナッツ!?」

ココナッツ?
なんだそれ?
つぐみも言われて唖然としているようだ。
やがて少女も首を振り
「いや。見間違いだった……って危ないじゃんかよお!」
「なっ……貴方が飛び出したんでしょう!? まあ、いいわ。貴方、殺し合いに乗ってる?」
つぐみが銃を向けようとした。
少女は固まってしまった。

ってつぐみまたか!
あーどうして出会い始めに銃を向けるんだこの人は!
俺は焦り
「だから、つぐみ! いきなり銃向けるなって!」
俺はつぐみの前に立ち少女の方を向き
「こいつがすまない! 俺達は殺し合いに乗っていない!」
そう言った。つぐみは不服そうだったが。

やがて少女は口を開き
「いや、ボクも乗っていない。ボクは蟹沢きぬ。てめぇらは?」
「ああ、俺は朝倉純一」
「小町つぐみよ、貴方何で飛び出してきたの?」

それもそうだ。
これだけ静かなら車の音ぐらい聞こえるはずだ。
蟹沢は怒ったように
「ボクだって好きで飛び出したんじゃないやい! トロッコに乗ってたら急に止まって放り出されたんだよぉ!」
「トロッコ?」
「ああ、海の家でさ、あのポンコツに、頼んで乗ってきたんだよ」

380 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:04:23 ID:aXpJT9yX


381 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:04:55 ID:aXpJT9yX


382 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:06:18 ID:5U1Lh9xi
海の家?
そんなとこでトロッコに乗れるのか?
そんな事考えてると蟹沢が急に
「そうだ! お前ら土見ってやつ見なかったか?」
俺とつぐみは顔を見合わせ
「いや、俺は見たことないな。名前は知ってるけど」
「私もよ。私も名前は知ってるけど」
そう言った。
たしか楓がその名前を言っていた。
蟹沢は不機嫌になり
「んだよ……あのポンコツ、役にたたねぇな。ちゃんとヘタレ男といったんだろ」
「ヘタレ男?」
つぐみはそういうと
「ああ、しっかり、ヘタレ男のもとにって言ったんだよ……ん? まさか?」

蟹沢は俺の方を向いた。
何かいやな予感がする。

予感が当たり蟹沢は近寄り大声で
「てめぇ! ヘタレなんだな! ボクは騙されないぞ! てめぇ、ヘタレなんだな!」
って俺がヘタレかよ!
言いがかりだ!
「なんで俺がヘタレなんだよ!、言いがかりだ!」
「いーや、違うね! てめぇは根っからのヘタレだ! ヘタレの臭いがプンプンするぜぃ!」


383 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:06:47 ID:aXpJT9yX
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384 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:07:29 ID:GHnvrhp4
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385 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:07:54 ID:vTY4LY4l


386 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:07:56 ID:5U1Lh9xi
おいおいマジかよ。
何でそこまで言われないといけないんだ?
まさか俺ってヘタレ?
つぐみに助けを求めようと
「なあ、俺ってヘタレじゃないよな」
が、
「さあ、どうかしら?」
つぐみがそう意地悪そうに笑顔で言った。

ああ、つぐみまで。
そんな。
俺ってヘタレだったのか。
いや違う!

でももうどうでもよくなってしまった。
だから
「もう何でもいいよ……」
と言った。
蟹沢は勝ち誇った顔をし、
「ふん、やっと認めたな! このヘタレ! てめぇのせいで土見のとこいけなかったじゃないかよ」

ああ、でもそういわれると結構へこむ。
もうこの話題を何とか終わらせよう。全力で。
「それで、蟹沢は土見って奴探してんだよな?」
「んあ? そうだけど?」
そして俺は話題を逸らす事が出来たのを確信しつつ、今俺がすべき事を伝える。

387 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:08:00 ID:GHnvrhp4
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388 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:08:26 ID:aXpJT9yX
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389 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:08:34 ID:5U1Lh9xi
「なら、俺らも手伝うよ。蟹沢一人でやらせないさ」
「んあ!?」
蟹沢大きく口を開け驚いていた。
つぐみは呆れたようにでも微笑みながら
「やっぱり、純一はそういうと思ってたわ。やはりお人好しだわ。でも悪くはないわね。純一のお人好しが移ったのかしら?」
「まあ、こういう性分だからな。で、蟹沢、俺らは手伝っていいか?」
「いいけどさ……何でお前、会ったばかりのボクにここまでする?」
蟹沢はその事に疑問をもっているようだ。
だから俺は決意を蟹沢に伝える事にした。

「それは蟹沢が困ってるからな。無視できないだろ。それと俺はゲームを止めるために動いてんだ」
「ゲームを止める?」
「ああ、俺はゲームを止める! 殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出する! だからできれば蟹沢にも手伝って欲しい。仲間は多い方がいいからな」

蟹沢は少し考えながら
「そっか……ボクだけじゃないのか……よし、乗った! ボクもヘタレと一緒の考えだ。仲間になってやるよ。ありがたく思え!」
「またヘタレといったな……今畜生、まあいいいか、つぐみもいいか?」
「ええ、私もいいわ、よろしくね」
「おう、泥船のったつもりで居ろよ!」
蟹沢は胸を張っていった。
つぐみは呆れながら
「それをいうなら大船よ……まあいいわ。二人とも地図を見て」
つぐみは地図を広げた

「これからの進路を教えるわ。まず灯台に行きその次に座礁したフェリー、後は教会、海の家、船着場、病院の順番で行くわ。その最中で土見、またはゲームのってない人が居たら保護するわ」
「俺はそれでいいぜ。蟹沢は?」
「ボクもそれでいいよ……けど他にゲームに乗ってない奴が博物館いるんだよ。もう居ないかも知れないけどさ……」
「……そうね、なら病院のあと寄るのはどう? 私達の仲間が百貨店にいるのよ。そこに戻るついで寄るわ」
「分かったよ。それでいいよ」

390 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:08:37 ID:vTY4LY4l


391 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:09:14 ID:5U1Lh9xi
これでやっと意見がまとまった。
後はゲームを止めるために行動するだけ。
「じゃあ行くか! 俺達はゲームを止める! 絶対主催者の思い通りにさせない!」
「おう! ボクもこんなゲームぶっ潰す! 覚悟しとけよ! ボクは絶対とまんねぇぞ!」
「まったく……熱い2人だわ……でも同感よ。こんなくだらない物、さっさと終わらせましょう」

三者三様の意見。
でも目指す物は一緒。
ゲームを止める。
その考えがある限り俺達は止まらない。






そして情報交換と議論を終えた。
蟹沢に北川たちと話した事も筆談で伝えた。
その情報に蟹沢は驚いてばかりだった。
そして蟹沢からも佐藤って人が怪しい事を知った。あとなぜか鳥が参加している事も。

392 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:10:00 ID:vTY4LY4l


393 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:10:08 ID:GHnvrhp4
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394 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:10:10 ID:5U1Lh9xi

次の目的地に向かうため俺達は車に乗ろうとするが、蟹沢が
「そういえばさ、鳥」
つぐみの方を向いてそういった。
つぐみが鳥?
あだ名にしてもひでぇぞ。
つぐみが少しカチンと来たのかむすっとしながら
「鳥……残念ね、私の名前は漢字で書くと月海なのよ」

へぇ……それは始めた知ったな
だが蟹沢は俺の予想を上回る事を言ってのけた。

「ふーん、じゃあクラゲだな」

クラゲ!?
いやいや漢字が違うだろ。
こんな調子だとつぐみも怒るぞ。
「クラゲですって!? 漢字が違うわよ。私は月と海! クラゲは海と月!」
「あり? そうなんだ、別にどうでも言いや。何と言おうともつぐみがクラゲだな。 やーい、クラゲ!」

「ブチッ」となんかそんな音が聞こえた気がした。
やばい……
つぐみがきれた……

「へぇ……出会ってばっかで何そのいい様……私をクラゲ扱い……ふざけんじゃないわよ! このカニ! 甲殻類のくせに!」
「んだとおぅ! クラゲの癖に、生意気だぞー!」
「ふん! カニなんて横歩きじゃない! この甲殻類!」
「クラゲは浮いてるだけじゃねーか! このクラゲ!」

395 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:10:13 ID:aXpJT9yX
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396 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:10:51 ID:GHnvrhp4
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397 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:11:27 ID:5U1Lh9xi
うわぁ……なんて子供の言い争い……
つぐみってこんな感じだっけ?

竜虎の対決って感じみたいだけど
実際はカニ対クラゲだ。
うわ……微妙……。

でも2人ともなんか笑顔で言い争っている。
悪意はないあくまで子供の遊びみたいな
罵り合いが終わると2人はすごく仲良くなってそうな気もするけど。
割とチームワークもよくなってそうな気がする。
でも今はこのままにしておく訳にいかない。


「おい! 2人とも止めよう……「「煩い、ヘタレ!!」」………………はい、ごめんなさい」


ついにつぐみにまでヘタレって言われた……
俺って本当にそうなのか……
ヘタレなのか?
そうなのか?
空を仰ぎ見て

「なあ……音夢……さくら……杉並……俺ってヘタレだったのか……?」

空は何も答えてくれない。
逆に聞こえるのは

398 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:11:42 ID:aXpJT9yX
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399 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:12:20 ID:5U1Lh9xi
「この! カニーーーーーーーーー!!!」
「この! クラゲーーーーーーーー!!!」

2人の程度の低い罵り合いだけ……


はあ……
なんて…………かったるい…………





【A-7 北部 /1日目 夕方】





400 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:12:21 ID:GHnvrhp4
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401 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:12:54 ID:aXpJT9yX
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402 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:12:53 ID:5U1Lh9xi
【カニとクラゲと暫定ヘタレ】
基本思考:ゲームを止める
基本方針1;まず灯台にいく。後は座礁したフェリー、教会、海の家、船着場、病院の順番で行く。
基本方針2;その最中で土見やゲームに乗ってないものと合流できたら合流する。
基本方針3;またそのなかで暗号文、廃抗別入り口、禁止エリアでカモフラージュされた何か、電力の供給源、首輪の解除方法、の手がかりも見つける

【備考】
※佐藤良美とネリネと鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。 鳥も参加してる事も知りました。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※純一達の車にキーは刺さっていません。燃料は軽油で、現在は約三分の一程消費した状態です。
※暗号について
 暗号に書かれている3つ集めると主催者達への道がつうじると考えていますが、他の書き手の皆さんが変えてもかまいません。
 正義を持つ虫を食べた魔物=オオアリクイのヌイグルミ@Kanon
 神の使いの羽=天使の人形@Kanonか羽リュック@Kanonと考えていますが他の書き手の皆さんが変えてもかまいません。
 国を裂く事ができる最高の至宝=国崎最高ボタン
 と全体的には考えていますが、他の書き手の皆さんが変えてもかまいません。



403 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:14:02 ID:aXpJT9yX
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404 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:14:04 ID:vTY4LY4l


405 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:14:50 ID:5U1Lh9xi
【朝倉純一@D.C.P.S.】
【装備:釘撃ち機(20/20)、大型レンチ】
【所持品:支給品一式 エルルゥの傷薬@うたわれるもの オオアリクイのヌイグルミ@Kanon】
【状態:精神疲労・強い決意・血が服についている】
【思考・行動】
基本行動方針:人を殺さない 、殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出
0;俺ってヘタレなのか?……かったるい
1:つぐみと蟹沢で灯台に行く
2:つぐみと蟹沢で武を探す。
3:つぐみを守り通す
4:ことり、圭一、赤坂、土見を探す。
5:さくらをちゃんと埋葬したい。


芙蓉楓の知人の情報を入手しています。
純一の参加時期は、音夢シナリオの初キス直後の時期に設定。
※つぐみとは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※つぐみとは年が近いと思ってます
※北川、梨花、風子をかなり信用しました。
※蟹沢を完全に信用しました。
※自分自身をヘタレかと疑ってます。

406 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:15:27 ID:aXpJT9yX


407 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:15:32 ID:vTY4LY4l


408 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:16:45 ID:5U1Lh9xi
【小町つぐみ@Ever17】
【装備:スタングレネード×9、ミニウージー(16/25)】
【所持品:支給品一式 天使の人形@Kanon、バール、工具一式、暗号文が書いてあるメモ】
【状態:若干の疲労、精神疲労】
【思考・行動】
基本:武と合流して元の世界に戻る方法を見つける。 ゲームを終わらせる。
0;この! カニーーーーーーーーー!!!
1:純一と蟹沢で灯台に行く
2:純一と蟹沢で武を探す。
3:ゲームに進んで乗らないが、自分と武を襲う者は容赦しない
4:圭一、赤坂を探す(見つければ梨花達の事を教える)
5:稟も探す。

【備考】
赤外線視力のためある程度夜目が効きます。紫外線に弱いため日中はさらに身体能力が低下。
参加時期はEver17グランドフィナーレ後。



※音夢とネリネの知り合いに関する情報を知っています。
※純一 とは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※音夢と純一の関係について、疑問を持っています(純一には未だ話していません)
※北川、風子、梨花をある程度信用しました。
※投票サイトの順位は信憑性に欠けると判断しました。
※蟹沢をある程度信用しましたが、何かむかつきます。

※「少年少女殺し合い、優勝者は誰だ!?」について
殺害数ランキング、最新死者一覧などは第二回放送前の時点では未更新。
優勝者予想の最終中間投票だけが更新されています。投票はまだ出来ます。
時間帯としては楓が死亡した直後を想定。
優勝者予想の最終結果が出るのは第三回放送以降です。

409 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:17:11 ID:aXpJT9yX
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410 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:17:35 ID:vTY4LY4l


411 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:18:01 ID:5U1Lh9xi



※プール内のパソコンについて。
ゴミ箱の中にNO1からNO100のフォルダがあります。
NO17のフォルダにテキスト「大神への道」が入ってます。
他のフォルダに何か入ってるかどうかは他の書き手しだいです。




【蟹沢きぬ@つよきす-Mighty Heart-】
【装備:拡声器】
【所持品:竜鳴館の血濡れのセーラー服@つよきす-Mighty Heart-、地図、時計、コンパス
     支給品一式x3、投げナイフ一本、ハクオロの鉄扇@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、
     麻酔薬入り注射器×2 H173入り注射器×2、炭酸飲料水、食料品沢山(刺激物多し)】
【状態:強い決意、両肘と両膝に擦り傷、左手指先に切り傷、数箇所ほど蜂に刺された形跡、首に麻酔の跡、疲労大】
【思考・行動】
基本:稟と同じ様にゲームに乗らない人間を助ける。ただし乗っている相手はぶっ潰す。
0;この! クラゲーーーーーーーー!!!
1:ヘタレとクラゲで灯台に行く
2:稟、それと 圭一、赤坂、武って人を探す
3:病院にいった後、宮小路瑞穂達を探す。
4:ゲームをぶっ潰す
5:よっぴーに不信感

412 : ◆iWNzks43D6 :2007/08/27(月) 23:19:01 ID:5U1Lh9xi

【備考】
※仲間の死を乗り越えました
※アセリアに対する警戒は小さくなっています
※稟が死んでいる可能性も覚悟しています
※宣戦布告は「佐藤」ではなく「よっぴー」と叫びました。
※誰の留守番電話がどこ(何ヶ所)に転送されたかは、後続の書き手さんにお任せします。
※朝倉もといヘタレを完全に信用しました
※つぐみもといクラゲを完全に信用しましたが何かむかつきます。それとつぐみを椰子(ロワ不参加)に似てると思ってます。

413 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 23:19:12 ID:aXpJT9yX
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414 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:10:51 ID:eXtCM/Ac
ゴウン、ゴウン。

絶え間なく続く駆動音がやけに耳障りだった。
大きなカーブを曲がる度に、枕木を一つ乗り越える度に、ボクのイノチが少しずつ減っていくのが何となく分かった。
身体が重い。ボクに圧し掛かっている人のせいだ。
名前も知らない。顔もよく覚えていない。ううん、もう思い出せない。

風が痛い。
音が痛い。
空気が痛い。
光が痛い。
闇が痛い。
振動が痛い。

世界を構成する全ての要素がボクに牙を剥く。
犯される。塗り替えられる。ドロドロに溶かされて食べられる。
真っ黒なトンネルを少しだいだい色に染めているランプの光が、眼球に突き刺さる。

ぐらぐら、ぼんやり揺れる。
ゆらゆら、ほのかに照らす。
でもよく見えない。
変、だな。ボク、視力には自信があったはずなんだけど。
嘲笑の文脈を含んだ溜息は暗闇に溶けた。


ゴウン、ゴウン。

神経が悲鳴を上げている。
まるで産まれたばかりの赤ちゃんみたいだ。泣くのが仕事って奴。
マトモに喋れないのも同じ。


415 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:11:26 ID:w0uVcD3e
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416 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:11:35 ID:gWbFdKYG


417 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:11:36 ID:eXtCM/Ac
喉がジンジン震えて、言葉が言葉にならない。
葉っぱになんてなれる訳がない。
芽ですらない。
痩せ細った土の中で枯れてゆく球根みたいなもの。

痛い、
苦しい、
どうしてボクが、
血が、
殺される、
壊れる、
死んじゃう、
やだ、
怖い、
助けて、
誰か、
ボクを、
救い出して、
死にたくない、
死にたく、ない。

ああ、そうだ。
……ボクは死にたくなかった。
誰かに守られていた時も、独りになった時も、唯一貫かれていた意思はコレだけだった。
泣き喚いて、乙女さんの足を引っ張って、佐藤さんに騙されて、人を殺して。一瞬を乾いた笑顔で塗りたくっても、ボクはずっと怯えていた。震えていた。

いつか誰かに殺されてしまうんじゃないか。酷い目に合わされてしまうんじゃないか。
そんな思考がずっと脳味噌を馬鹿にしていた。



418 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:11:57 ID:w0uVcD3e
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419 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:12:18 ID:gWbFdKYG


420 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:12:21 ID:eXtCM/Ac
ゴウン、ゴウン。

でも、もうダメだよ。
自分でもどうして生きているのか、不思議なくらいだもん。
身体はもう、ほとんど死体と変わらない。ううん、ボクよりキレイな死体だってこの島には沢山あると思う。

右腕は潰れたトマトとスペアリヴ。
左肩はスプーンで抉られたミルクプリンみたいに白いものが一杯飛び出している。
全身の骨はバラバラ、グチャグチャで煮込んだらスープに溶けてしまいそう。
うん、きっと良いブロスになる。美味しい、美味しいシチューが出来る。

指先を動かす事もままならない。
眼球はくすんだガラス球。光は通すも、透しは悪い。
鼓膜はビリビリ、ズルリと爛れ、頭蓋を揺らす駆動音は最悪。
鼻腔をくすぐる鉄の匂い。ドラキュラも満腹になるだろう、箱詰めにされた血のジュース。
触覚は……あんまりよく、分からないや。たくさん、痛い。
口の中は擦り切れて、十円玉を舐めた時みたいな味がする。


……あぁ、たいやき、食べたいなぁ。



ゴウン、ゴウン。

視界に何か明るいものが映った。
霞み、燃えて、歪んでいく光。思わず釘付けになる。目を凝らす。じっと凝視する。
ガクン、と身体が大きく揺さぶられた。
目の前がふいにボヤける。

その時、突然――光が満ちた。


421 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:12:27 ID:w0uVcD3e
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422 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:13:08 ID:gWbFdKYG
 

423 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:13:23 ID:w0uVcD3e
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424 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:13:37 ID:eXtCM/Ac
ガタン、ドン。

「ぅ……ぁ……」

気のせいか周りが少し、明るくなったような気もする。
響いて来る音が変わった。全体的に軽くて、優しい音になったような感じ。
何だっけ、コレ。
うん、……エレベーター? じゃないや、えと……。

そうだ、ジェットコースターだ。
カタカタ音を立てて動くのも同じ。お腹の底がモヤモヤするような気持ちになるのも同じ。
そういえばしばらく遊園地なんて行ってない。

上を向くとそこにはぽっかりと丸い月。
赤い月。
夕焼けにそまったキレイなキレイな……。


「……ぉ……ぃ……聞こえ……るか?」


こ、え?
誰かがボクに話しかけている?
よく見ると目の前に誰かが立っているような気がする。

やだな、怖いな。
さっきの人みたいにボクを傷付けるんじゃないか。
でも、恐る恐る目をしっかりと開こうとする。
どうせ、ちゃんと見えないだろう事は分かっている。
もしかして、もっと酷い目に会うかもしれない事も分かっている。

だけど――

425 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:13:56 ID:gWbFdKYG
 

426 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:13:59 ID:w0uVcD3e
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427 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:14:11 ID:eXtCM/Ac


 ■


……そりゃあ驚いたさ。
小屋から出て東進。住宅街を目指して歩いていたら、目の前にいきなり血だらけの箱が現れたのだから。

いきなり、ってのはまさにその言葉通り。
この島に飛ばされる時、周りにいた連中が青い光になって消えて行ったのと似ていた。
ビカーッと目の前が光ったと思ったら、突然数メートル先の空から箱が落ちて来たって訳。
まぁ落ちて来たって言っても、せいぜい地上30cmくらい。
意外と着地はソフトだったけど。


中でも何に一番驚いたってやっぱり臭い。
噎せ返りそうになるくらいのドギツイ血の臭いが酷いのなんのって。
見れば箱の側面にもベッタリ血が付着していたし、加えて『明らかに何かが中にいる』って事は嫌でも感じた。
デイパックからS&W M10を取り出して弾丸を装填。
中から何かが飛び出してくる可能性を考慮して警戒は緩めない。
一歩一歩神経を研ぎ澄ませたまま接近。

時刻は放送も間近に迫った六時近く。
空も赤色を失い、次第に真っ黒なカーテンへと模様替えしつつある。
月の光だけが場違いだ。
真珠と柘榴石が混じった滑らかなスポットライト。黒と赤だけの劇場にこんな明るい色は要らない。
出来れば瑪瑙か瑠璃のライトならピッタリだったかもしれない。


「う…………何、さ……これ」



428 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:14:38 ID:gWbFdKYG
 

429 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:14:42 ID:w0uVcD3e
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430 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:14:48 ID:eXtCM/Ac
地獄絵図。その言葉しか頭の中に浮かばない。
余りにもショッキングな光景に構えていた拳銃を取り落としそうになった。
鬼か悪魔か死神か、この世のマイナスイメージを司るシンボルを片っ端から叩き込んでも、意図的にこのような構図は作れない気がする。
小さな風呂桶程の木の箱(多分トロッコという奴だ)に無理やりぶち込まれた二つの『人間らしき』もの。

片方はもう性別の判断すら付かない。加えてどう見ても死体だ。
顔面は削られて、何かノミのようなもので削られたみたいにボロボロ。僅かに空けられた口蓋からは一本の歯も見えない。
体中の皮膚がズタボロでこちらはどちらかと言えばカンナ使用後、という感じ。
見える範囲に赤くない部分を探す方が面倒だ。
心臓が弱い人間がコレを直視したら、心臓発作を起こしてもおかしくない光景。
いや、下手をすれば発狂しても可笑しくない。
人とはここまで残酷に死ねるのか、そう思わずにはいられない。


もう片方の女も相当酷い怪我をしている。
特に右腕。皮膚が裂け、肉が完全に破裂して、脂肪の黄色と骨の白が作るコントラストなんてまさに倒錯的。
男が流した血液が大分降りかかっているのだろう。全身血だらけだ。
唯一、顔だけはほとんど傷付いてないのが逆に疑問を誘う。
しかもこう、マジマジと眺めてみると中々可愛らしい顔つきをしている。
栗色の髪に赤いカチューシャ。おそらく中学生くらいか。それにしても偉く童顔だ。

勿論二人を埋葬するつもりなどこれっぽっちも無かった。
こんな所で無駄な労力を使う気は元々皆無。
何故この二人があたしの目の前に飛ばされて来たのか、気にはなるもののその理由がまるで分からない。
下手な藪は突付かない物だ。考えても分からない事は丸投げ上等で結構。


「ま、死人に口無しっていうくらいだからね……ん」


「……………ぁ……ぅ……」


431 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:15:18 ID:gWbFdKYG
 

432 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:15:24 ID:eXtCM/Ac
「……あらら。…………おい、そこの死に損ない。聞こえるか?」

「…………ぅ」

驚いた。女の方から微かな喘ぎ声が漏れた。
息も絶え絶え、虫の息といった感じではあるが。
こんな状態になりながらも生に縋りつく辺り、人間の生命力って奴には感心させられる。

「喋れる?」

「…………ぅ……ん」

「あんた、名前は? 何処から来た?」

「……ぁ…………ぁ……………ゅ………ぅ……み…ぃぇ」

「…………あゆ? あゆでいいのか?」

朱色に染まった女は少しだけ口をぼんやりと開けると、何か沢山喋りたい事でもあったのかパクパクと魚みたいにソレを動かした。
でも何も聞こえない。何も出てこない。
しばらく金魚の餌やりに似た動作が繰り返される。女はパクパク口を動かす。
数分にも似た数秒後、ようやく諦めたのか小さく小さく首を縦に振った。
もう、限界が近いのかもしれない。あたしはそんな事をふと思った。


あたしはその名前に覚えがあった。
元々『あゆ』という名前は珍しい部類に入る。
もっとも本名が『あゆみ』だったりする奴らが、自分の事を『あゆ』なんて呼ぶのはよく見かける光景ではあるが。

名簿を確認した時に発見したもう一人の『あゆ』
自分と同じ名前。少しだけ興味を持った。それに……あの男とも出会ったから。


433 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:15:27 ID:w0uVcD3e
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434 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:16:00 ID:eXtCM/Ac

「……ああ。アンタがそうなんだ。……相沢祐一って分かるかい?」

「ゅーいち…………く……ん?」

「そ」

「わか……ぅ……よ」


必死で紡がれる言葉。
もう舌が回らないのか、まるで発声がなっちゃいない。

もしも、ここにいたのがアイツだったなら、この腕で思いっきり抱き締めてやったのだろうか。
それとも生きているのを見るのが辛いって、一思いに殺してやったのだろうか。
そんなの分からない。興味も無い。だってあたしは相沢祐一じゃない。
大空寺あゆだから。それはあたしがやるべき事じゃない。


「……会ったよ、あいつが死ぬ前に。あんたの事、心配してた」

「そっ……か……ぅーぃちく……ん、ボクの……こ、と」


女が眉を軽く潜めて弱々しく呟いた。
自分自身を『ボク』なんて呼ぶ女にこんなに短い期間で二人も出会うなんて。
珍しい事もあるものだと、ふと思った。


 ■



435 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:16:13 ID:gWbFdKYG
 

436 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:16:38 ID:w0uVcD3e
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437 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:16:43 ID:eXtCM/Ac
あたしは自分と同じ名前の少女を血の溜まったバスタブのような箱から引きずり出すと地面にそっと寝かせた。
太陽の光が掛かるのさえ可哀想に思えたので、トロッコの影へ。

女にトドメを差してやるつもりも、背負ってどこかへ連れて行くつもりも無い。
どちらにしろ、もう助からない。
近くに病院があるとはいえ、連れ込めば治るとかそんなレベルの怪我では無いのだ。
強い奴が生きて、弱い奴が死ぬ。
ソレがこの島のルール、そんな事はもう痛いほど思い知った。
余計なお世話は自らの命を脅かす事になる。目の前の死にかけを救ってやる理由も共通点も無い。
ただ、月宮あゆという人間が存在したという事実を覚えておくだけ。


それに――あたしは時雨の仇を取らなければならない。
最期を見届けた訳ではない。だけど分かる。あの状況で時雨が死んでいないなんて、脳のイカレた夢想家の思考だ。

アイツは最後まで笑っていた。
自分達を襲ったのがほんの数時間前まで一緒にいた一ノ瀬ことみだと言う事を知らずに逝ったのがせめてもの幸せ。
だからあたしは復讐する。
アイツの優しさを、信頼を裏切った糞虫どもに地獄を見せるために。


「……じゃあな、ちゃんと死ねよ月宮。……化けて出たりしないように」

「……ばぃば……ぃ……ぅ……ぐぅ」


女は最後の断末魔のつもりなのか、訳の分からない台詞を吐いた。
手を振る力も残っていないのか、残った片方の手を開いたり閉じたりしてサインを送る。
大怪我を負っている自分を放って立ち去る相手に別れの挨拶をするなんて、不思議な性格をしている。
恨み言の一つも言われる覚悟はしていたんだが。
まぁ、ゾンビのように追いかけて来られても困るがね。絶命上等で思いっきり蹴飛ばしてしまいかねない。

438 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:17:01 ID:gWbFdKYG
 

439 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:17:09 ID:w0uVcD3e
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440 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:17:40 ID:eXtCM/Ac




女を放置して少し歩いてから足を止める。位置的にはF-5の丁度真ん中辺りのはずだ。
さてと、どうするか。実は少しだけ考えておきたい事項がある。

自分は商店街に向かい、爆弾を作るつもりでいた。
だがホテルから脱出した時、頭に血が上っていたような気がするのだ。
今になって、そのプランにはいくつか綻びが存在しているような気がしてならない。

何しろ問題点が多過ぎるのだ。
まず設備や道具の問題。住宅街、商店街にそう爆薬だの信管だのがゴロゴロしているとは思えない。
自分自身も爆弾のエキスパートという訳では勿論無い。そんな簡単に爆薬が作れれば、今頃この島は発破の嵐だろう。


……そうだ、何の為の支給品だ。
マシンガンが支給されているのならば、それに追随するような武器が存在する可能性も高い。
あたし自身が拳銃、防弾チョッキ、閃光弾と相当バランスの良い"当たり"を引いている。
ならば他の参加者はもっと性能の良い道具を所持している、という仮説に辿りつく。

つまり『二人を血祭りにあげるために他の参加者を利用する』というプラン。
利用と言うのは少し言葉が悪いか。
少なくとも一ノ瀬ことみにしろ、佐藤良美にしろゲームに乗った人間なのだから一時的に他の連中と手を組むのは悪くない。
だが安易に他人を信用するのは危険。『ウサギの皮を被ったオオカミ』にあたしは見事に遭遇しているのだから。
他にも似たような輩が存在する可能性は無視出来ない。

難しい問題だ。
だが考慮に値するやり方。
さて、あたしはこれからどうすれば良いだろう。



441 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:17:43 ID:gWbFdKYG
 

442 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:17:47 ID:w0uVcD3e
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443 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:18:13 ID:eXtCM/Ac
【F-5 平原(マップ中央)/1日目 夕方】

【大空寺あゆ@君が望む永遠】
【装備:S&W M10 (6/6) 防弾チョッキ】
【所持品:予備弾丸11発・支給品一式 閃光弾セット(催涙弾x1)ホテル最上階の客室キー(全室分)】
【状態:肋骨左右各1本亀裂骨折 肉体的疲労度軽、強い意志、背中が亜沙の血で汚れている、腕や衣服があゆと稟の血で汚れている】
【思考・行動】
行動方針:殺し合いに乗るつもりは無い。しかし、亜沙を殺した一ノ瀬ことみと佐藤良美は絶対に殺す。
1:本当に商店街に向かうかは考え中、あだ討ちに他の参加者を利用できないかと模索
2:二人を殺す為の作戦・手順を練る
3:なるべく神社方面には行かない
4:ことみと良美を警戒

【備考】
※ことみが人殺しと断定しました。良美も危険人物として警戒。二人が手を組んで人を殺して回っていると判断しています。
※ハクオロ、国崎往人を危険人物と認識。
※魔法の存在を信じました。
※支給品一式はランタンが欠品
※作る武器が爆弾か他のものになるかは次の書き手さん任せ


 ■



444 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:18:26 ID:w0uVcD3e
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445 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:18:33 ID:gWbFdKYG
 

446 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:19:09 ID:eXtCM/Ac
女の人はどこかに行ってしまった。顔は良く見えなかった。
でもお月様みたいにキラキラ輝いていたような気がする。

ボクに酷い事をしたりもしない。
ボクを護ってもくれない。
ボクを治してもくれない。

だけど、それはある意味誰かに頼り切ってこの島で生き延びて来たボクには当然の報いのような気がした。

それに、一つだけ。幸せな事があった。
祐一君もボクの事を心配してくれていたと言う事実。
女の人の口からソレを告げられた時、バラバラになりそうなくらいの激痛に犯された身体が少しだけ楽になった気がした。


ぼんやりと空を見つめる。
もう夜だ。お空は黒に近い紺碧。
夕焼けの赤は波打ち際の貝殻みたいに地平線に吸い込まれてしまったようだ。

あぁ、月が綺麗だなぁ。






447 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:19:15 ID:w0uVcD3e
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448 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/28(火) 01:19:29 ID:gWbFdKYG
 

449 :血みどろ天使と金色夜叉 ◆tu4bghlMIw :2007/08/28(火) 01:19:42 ID:eXtCM/Ac
【F-5 平原・トロッコの影(マップ左)/1日目 夕方】

【月宮あゆ@Kanon】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式】
【状態:瀕死(背中から出血中)、絶望、痛覚の神経が不能、五感が働かない、喉に紫の痣(声が出せない)、ひたいに割れ目、
    左肩に深い抉り傷(骨が剥き出し)、右腕破裂、右足に銃傷(腫れ上がっています)、背骨骨折、骨盤に大きなヒビ
    肋骨複雑骨折、膵臓出血、肺に傷、その他内臓に内出血の恐れ、左肩に打撲、右足首に打撲、背中を無数に殴打】
【思考・行動】
0:さようなら
1:死にたくない
2:誰か助けて
3:ごめんなさい
4:お腹へった

【備考】
※放っておくと死にます。
※悲劇のきっかけが佐藤良美だと思い込んでいます
※名雪の第三回放送の時に神社に居るようようにするの情報を得ました
  (禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)
※土見稟(死体)はあゆの隣にある血だらけのトロッコの中。


450 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 00:54:42 ID:kpCBM5mQ
タイトル 『先の先、後の先。』


あと30分ほどで三度目の放送が流れる頃、ネリネは吊り橋を超えて「C-5」に入り
そのまま北西へ進み「B-5」を目指していた。
他の参加者との接触または途中で禁止エリアが指定される等の突発的な出来事がなければ
B-5を斜めに抜けて廃アパート群のある「A-4」、百貨店のある「A-3」を経由して博物館の
ある「C-3」へ向かうというのが彼女の考えた移動ルートだった。

一見すると大変遠回りになるルートだが最も近道となる「『D-5』から『C-5』に
向かい、そのまま北上し『C-3』へ到着」というルートは誰もが思いつくルートなので
博物館周辺から南下する人間と確実にぶつかることから頭の中から排除していた。

他にも南へ移動することを考えたりしたが、地理に明るくない以上は行く気が起き
なかったのもあって結局多少は地理に明るい新市街へ向かうという結論に到った。

451 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:55:22 ID:hV9ORRtH
 

452 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 00:55:44 ID:kpCBM5mQ
そして、この時「ならばいっそのこと誰も通らないと思われる遠回りルートを使って
移動すれば」と思ったネリネの頭に浮かんだのが、最も遠回りとなる現在のルートだった。

ホテルでの戦闘(戦闘と言うよりネリネによる一方的な『狩り』だったが)でほとんど
体力を消耗せず、魔力も亜沙を“献身”で殺した事によりまた少し回復したが、今回は
相手がこちらの掌の上で踊ってくれたから完全なワンサイドゲームとなっただけでしか
ない。

もし、先客が自分より知識があって冷静な判断力を持つ者だったら負けていたかもしれない
と今更になってネリネは思う。

体力も魔力もかなり回復してきているネリネがあえてここで安全策をとったのには、
この様な事情もあったのだ。

現在のペースで行けば、三度目の放送開始とB-5エリアへの移動はほぼ同じタイミングに
なるだろうとネリネは考えながら、髪をポニーテールに結ぶ赤いリボンをほどき、代わり
に黒い髪留めを取り出し、髪を束ねる。

これから暗くなる闇夜の中で赤いリボンは目立つ。
少しでも目立たない工夫が必要だと考えた上でのアクセサリー変更だった。

(欲を言えば髪も黒く染め直したいところですが……)

そこまで考えたネリネはふと足を止め、“献身”の方を見る。
もっとも目で見たところで“献身”に変化は無い。
だが明らかに先ほどまでと異なる雰囲気が漂ってくる。

453 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:56:36 ID:hV9ORRtH
 

454 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 00:56:58 ID:kpCBM5mQ
(これは……永遠神剣の気配!? つまり、永遠神剣を持つ参加者がこっちに近づいている?)

立ち止まったネリネは周囲を警戒しつつも“献身”を両手で握り意識を集中する。

“献身”を通じて感じられる気配。それは間違いなく永遠神剣のものだった。

(やはり、間違いなく近づいてきています……どこから?)

少しでもはっきりとその気配を感じ取ろうとしたネリネは“献身”を水平に構え、その
まま磁石の針の様に動かす。
無駄かもしれないが、どの方向からやってくるのかでも判ればと思ったからだ。

少しずつ、ゆっくりと慎重に自分を中心にして“献身”を動かしていく……。

そして、ある方向に来たときほんの僅かだがその気配が鮮明になった――

(北東……そしてそれより北……)

ネリネが感じ取ったのは自分の位置から北東に一つ、それと更に北――北北東の方角――
の二つだった。
それもまるで互いが引き合うかの様に一つの気配のある場所に向かってもう一つが向かって
いるかの如き動き……。

(二つの合流点は……神社?)

地図を広げたネリネは自分のおおよその位置から鉛筆で線を引き、予想を立てる。
おそらく、神社にいるであろう永遠神剣の持ち主の下へ南下する形でもう一つの
永遠神剣の持ち主が近づいているのだ。

ネリネは自分が立てた仮説を思い出す。

455 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:57:18 ID:hV9ORRtH
 

456 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:57:24 ID:8iW0cdUs
.

457 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 00:57:45 ID:kpCBM5mQ
「魔力を持った人間及び永遠神剣の持ち主を“献身”で殺せば魔力の回復がはかれる」という仮説を。

魔力を持った人間のケースは千影や亜沙の件で既に実証済みだ。
だが、永遠神剣の持ち主については未だはっきりとしていない。

ここでもしどちらか片方の永遠神剣の持ち主に戦いを挑み、魔力を奪うことができれば
また魔力の回復がはかれる。
その為には予定の移動ルートを変更し、最低でもB-5からC-4へ斜めに突っ切ってD-4へ
向かい、神社の直前で合流前にそれぞれ別個、あるいはどちらか一方を倒す必要がある。

双方が神社に集まったところを叩く手もあるが、もし永遠神剣の持ち主が共闘して自分に
戦いを挑めば苦戦は必至だろう。

永遠神剣の持ち主が一箇所に集まるのに先んじてどちらかを叩く「先の先」か、
それとも初志貫徹で博物館へこのまま向かい、動きを待ってから手を打つ「後の先」か?

どうするべきか、ネリネは迷う。
数分間の思案、そして。

(どちらにしても私がB-5へ足を踏み入れるのはもうすぐ。そして放送が流れるのもあと僅か。
ここは、B-5を移動しながら放送を聞きつつ北上して、それからは……)


北東のC-4からD-4へ可能な限り早く移動、どちらか片方を速攻で叩き潰して一気に北の博物館へ――


彼女が選んだのは「先の先」だった。

458 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:58:14 ID:hV9ORRtH
 

459 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 00:58:33 ID:kpCBM5mQ
同じ頃、神社を目指す高嶺悠人と千影の通称「永遠神剣チーム」は神社を目指してD-4を
やや西よりに移動しつつ南へと下っていた。
神社はD-4の左下、南西の隅っこ近くにある為、西に向かいつつ同時に南下するのは別に
おかしいことではない。

だが、悠人は移動の途中少しだけ引っかかることがあった。

(少しばかり西へ行き過ぎているんじゃないのか?)

自分の先を行く千影はずんずん森の奥へ突き進んでいるが、どうもハクオロと衛の二人と
分かれてから西へ「行き過ぎている」気がしてならないのだ。
もっとも、神社の詳しい位置を知らない悠人としては6人の中で唯一神社に行った経験を
持つ千影に頼るほか無いのだが。

だが夕闇に覆われはじめた森の中は昼間の時と違い、言葉どおり自然の迷路だ。
コンパスと地図があっても迷いかねない。
そして、どんどん森の奥へ入っていく千影の様子を見ていると表情に殆ど変化が
ないもののどこか怯えているかのように思える。
まるで何かから逃げるかのような雰囲気が漂っている気がしてならない。

「まってくれないか千影。気になることがあるんだ」

だから千影に聞いてみる事にした。

「なんだい、悠人くん?」
「さっきから気になっていたんだが、どうも先ほどから西に行き過ぎてないか?」
「ああ、その事か……ふふ、大丈夫だよ悠人くん。心配はないよ」

しかし、振り返った千影は少し笑ってみせるとそのまま悠人に向かって言う。

460 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:58:36 ID:8iW0cdUs
.

461 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:59:07 ID:8iW0cdUs
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462 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:59:09 ID:hV9ORRtH
 

463 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 00:59:23 ID:kpCBM5mQ
「悠人くんは神社の正確な位置を知らないんだろう?なら、黙って私のあとをついて来て
くれたら十分だよ。私は一度このエリアを北に向かって、そして衛くんとも再会できたからね」
「そうか、それならいいけどな……」

千影にこういわれては悠人も突っ込みの入れようがなかった。
神社への道を知っているのは千影だけであり、この場合は彼女の言を信じるほか無いのだ。

何より、今の悠人は“時詠”への恐怖や千影を守りきれるのかという不安、ハクオロや
衛、瑛理子にやりきれない思いはあったが国崎往人への心配、せっかく会えたアセリアと
喧嘩別れみたいな形になった事なども考えていた為にこれ以上の異議をとなえる気もなかった。




464 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:59:38 ID:8iW0cdUs
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465 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 00:59:49 ID:hV9ORRtH
 

466 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:00:14 ID:8iW0cdUs
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467 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:00:29 ID:hV9ORRtH
 

468 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:00:48 ID:8iW0cdUs
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469 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 01:00:50 ID:kpCBM5mQ
(悠人くんも鋭いね……でも、深入りされなくて助かったよ)

悠人と短い会話を済ませ、再び歩き出した千影は心の中でそう呟く。
彼女の言うように悠人の言っていることは間違いではなかった。

実際、千影は隠すような形で手に持ったコンパスを時折見ながら、意図的に西へ西へと
舵を切るように移動していた。

既にD-4の西側いっぱいまで自分たちは移動しており、このままいけば放送が始まる頃には
隣のC-4へ入ることになるだろう。

(やはり、ここは神社に直接向かうより遠巻きに様子を伺う方がいいだろうね……)

あの「三度目の放送の時には神社にいる」と舞とことりに話した時感じた不吉な予感は
千影の中でジワジワと増大しつつある。
この事が、彼女を意図的に神社から遠ざかる動きをとらせていたのだ。

470 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:01:10 ID:hV9ORRtH
 

471 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:01:22 ID:8iW0cdUs
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472 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 01:01:40 ID:kpCBM5mQ
本当なら探索以外にもこの島で出会った知人である名雪、舞、ことり、トウカと交わした
約束を履行するために神社へ急ぐ必要はあった。

しかし、放送前後の際、神社にいるのは危険だと千影の勘は告げていた。

それに、喫茶店で瑞穂たちから聞いた話では舞はゲームに乗ったということだったから、
神社に彼女が、舞が現われた日にはどういう事態になるか千影も予想がついていた。

(とりあえず、放送が終わるまでは神社の外に立つ形で様子を見ることにしよう)

つまりは、そのことを悠人が気付いて自分を責めても、それでこの不吉な予感を
薄められるのなら安いものだというのが千影は思っていた。

要するに、放送後の神社で何かが生じてから自分たちは神社に赴けばいいと千影は
判断したのである。

(こういう動きを何と言うのかな……そう「後の先」とでも言うべきだろうね)


かつて神社で戦った二人の少女はそれぞれの意図をもって「先の先」「後の先」という
別々の手段を選んだ。
この二人が再び出会うのかそれとも出会うことなく終わるのかは定かではない。

473 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:02:09 ID:hV9ORRtH
 

474 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:02:35 ID:8iW0cdUs
.

475 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 01:02:50 ID:kpCBM5mQ
【C-6 森(左上端) /1日目 夕方】
【ネリネ@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:永遠神剣第七位“献身” 登山用ブーツ 双眼鏡】
【所持品1:支給品一式×5 IMI デザートイーグル 7/10+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10 九十七式自動砲 弾数2/7
S&W M37 エアーウェイト 弾数0/5 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 コンバットナイフ イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32)
イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×7】
【所持品2:トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・洗髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3:朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花びら コントロール室の鍵 ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、四葉のデイパック】
【所持品5:C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に、ゴルフクラブ、灯油入り一斗缶×2、各種医薬品】
【状態:肉体的疲労は僅か・魔力消費小、腹部に痣(消えかけ)、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷(いずれも治りかけ)、非常に強い意志】
【思考・行動】
1:B-5へ移動後、一度C-4、C-3と移動して博物館を目指す(その途中で永遠神剣の持ち主を発見したら倒して魔力を回復する)。
2:稟を探す。その途中であった人間は皆殺し。知人であろうとも容赦無く殺す(戦い方は一撃離脱・ゲリラ戦中心、出来る限り単独行動している者を狙う)
3:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す
4:トウカを殺し、楓の仇を討つ
5:純一に音夢の生首を浸したラム酒を飲ませ、最後に音夢の生首を見せつけ殺す
6:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
7:桜の花びらが気になる
8:稟を守り通して自害
9:最悪、稟が死亡した時は稟の遺体を持ち帰るために優勝を目指す。

476 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:03:23 ID:hV9ORRtH
 

477 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:03:42 ID:8iW0cdUs
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478 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 01:04:09 ID:kpCBM5mQ
【備考】
現在は髪を鮮やかなオレンジに染め、黒の髪留めでポニーテールにしています。
私服(ゲーム時の私服に酷似。ただし高級品)に着替えました。(汚れた制服と前の私服はビニールに包んでデイパックの中に)
私服の上からウィンドブレーカーをはおっています。
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。


※永遠神剣第七位“献身”は制限を受けて、以下のような性能となっています。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
魔力持ちの敵に突き刺せば、ある程度魔力を奪い取れる。
以下の魔法が使えます。


479 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:04:24 ID:8iW0cdUs
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480 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:04:36 ID:hV9ORRtH
 

481 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 01:04:43 ID:kpCBM5mQ
尚、使える、といってもウインドウィスパー以外は、実際に使った訳では無いので、どの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。
アースプライヤー  回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト     回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。


※古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報)
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首はビニール袋へ詰め込みラム酒漬けにした上、ディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※トウカと、川澄舞(舞に関しては外見の情報のみ)を危険人物と認識しました。
※千影の“時詠”を警戒。ただし“時詠”の能力までは把握していません。
※魔力持ち及び永遠神剣の持ち主を献身で殺せばさらに魔力が回復する仮説を思いつきました。
※ある程度他の永遠神剣の気配を感じ取れます。
※桜の花びらは管理者の一人である魔法の桜のものです。
※見取り図によってホテルの内部構造をかなり熟知しています。
※回収したディパックは武器を入れたものに丸ごと突っ込んで移動に支障が無いようにしています。


482 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:04:59 ID:8iW0cdUs
.

483 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:05:17 ID:hV9ORRtH
 

484 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:05:33 ID:8iW0cdUs
.

485 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 01:05:32 ID:kpCBM5mQ
D-4 森(マップ中、西端)/1日目 夕方】



【永遠神剣チーム】
【思考・行動】
1:神社から中央部(ホテル付近)を探索後病院へ
2:トウカ、名雪、ことりを探す




【高嶺悠人@永遠のアセリア −この大地の果てで−】
【装備:今日子のハリセン@永遠のアセリア、トウカの刀@うたわれるもの、ベレッタM92F(9mmパラベラム弾14/15+1)】
【所持品:支給品一式×3、バニラアイス@Kanon(残り9/10)、予備マガジン×4、暗視ゴーグル、FN−P90の予備弾、電話帳】
【状態:疲労軽程度、左太腿に軽度の負傷(処置済み・歩行には支障なし)、「時詠」に対する恐怖】
【思考・行動】
基本方針1:千影を守る
基本方針2:なんとしてもファンタズマゴリアに帰還する
0:神社から中央部(ホテル付近)を探索後病院へ
1:北上した襲撃者を警戒。
2:国崎往人に対するやり切れない感情。
3:咲耶を含む出来る限り多くの人を保護。
4:ゲームに乗った人間と遭遇したときは、衛や弱い立場の人間を守るためにも全力で戦う。割り切って容赦しない。
5:ネリネをマーダーとして警戒
6:地下にタカノ達主催者の本拠地があるのではないかと推測。しかし、そうだとしても首輪をどうにかしないと……

486 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:06:13 ID:hV9ORRtH
 

487 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:06:26 ID:8iW0cdUs
.

488 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 01:06:46 ID:kpCBM5mQ
【備考】
※バニラアイスは小型の冷凍庫に入っています。
※衛と本音をぶつけあったことで絆が強くなり、心のわだかまりが解けました。
※アセリアに『時詠』の事を話していません。
※千影が意図的に西へ西へと移動しているのにまだ気付いていません。



489 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:07:21 ID:hV9ORRtH
 

490 : ◆jWwIlynQcU :2007/08/30(木) 01:07:42 ID:kpCBM5mQ
【千影@Sister Princess】
【装備:永遠神剣第三位『時詠』@永遠のアセリア −この大地の果てで−】
【所持品:支給品一式、銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルトのみ残数80/100)、
     バナナ(フィリピン産)(2房)、倉成武のPDA@Ever17-the out of infinity-、倉田佐祐理の死体の写真】
【状態:左肩重傷(治療済み)、肉体的疲労小、魔力消費小、スカートに裂け目】
【思考・行動】
基本行動方針:襲ってくるものには手加減しない。時詠の能力使用は極力控える
0:神社に向かう。ただし、不吉な予感から現在は意図的に西へと移動して三度目の放送時は神社にいないようにする
1:咲耶を探す。
2:鷹野の発言に強い興味。
3:永遠神剣に興味
4:北川潤、月宮あゆ、朝倉純一の捜索
5:魔力を持つ人間とコンタクトを取りたい
6:『時詠』を使って首輪が外せないか考える
7:もう一度舞に会いたい


※千影は『時詠』により以下のスキルが使用可能です。 但し魔力・体力の双方を消耗します。
 タイムコンポーズ:最大効果を発揮する行動を選択して未来を再構成する。
 タイムアクセラレイト…自分自身の時間を加速する。他のスキルの運用は現時点では未知数です。 詳しくはwiki参照。
 またエターナル化は何らかの力によって妨害されています。
※未来視は時詠の力ではありません。
※四葉とオボロの事は衛と悠人には話してません(衛には話すつもりは無い)
※千影は原作義妹エンド後から参戦。
※倉田佐祐理の死体の写真は額の銃痕が髪の毛で隠れた綺麗な姿。
 撮影時間(一日目夕方)も一緒に写っています。
※ハクオロ、トウカ、悠人を強く信頼。

491 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 01:08:48 ID:hV9ORRtH
 

492 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:12:26 ID:PxdJ112g
「ふざけるな!!」

静かな森に女性の怒号が響き渡った。
それは他人の――自身の――否定を許さない強い意志の表れ、聞く者に沈黙を強いるほどのものだった。
「言うに事欠いて聖上が悪道に身を染めただと! 性懲りもなく下劣な嘘をっ!!」
自身の内にある戸惑い“オボロが無力な者をその手にかけたという事実、ならば聖上も”
を振り払うがごとく、ありったけの力を込めて、トウカは咆えた。

「某を二度も欺こうとしてもそうはいかん! ましてやそのような聞くに堪えん嘘をつくなど最早捨て置くことは出来ん! ここで成敗してくれる!!」
殺気すら篭ったトウカの叫び、否、それは既に咆哮と表現して差し支えのないもの。

だが、
普段の彼ならば既に逃げ出しているような、それを受けてなお、春原陽平はその場所に留まり続けていた。
既に足には震えが奔っている。
心臓は辺りに響きそうなほど激しく高鳴っている。
恐怖のあまりに思わず失神してしまいそうなほどの緊張を感じてなお、
「う……嘘なんかじゃない! あいつは、あいつらは……人殺しだ!!」
陽平は叫び返した。

春原陽平は“必死”だった。
信じられる仲間などいない(自業自得だが)、
助けを求めて頼った相手は、平然と仲間だった相手を殺す危険人物達だった、
そして、最も頼りにしていた親友は死んだ、
最早、彼に頼れるのは元々の知り合いである坂上智代のみ、
つまり、陽平にとっては“智代の傍以外は等しく危険な場所”だったのである。

陽平には既に「逃げ場」など存在していなかったのである。
だから陽平は叫び返した、ありったけの力を込めて。

493 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:13:01 ID:UogSw/K3
 

494 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:13:14 ID:PxdJ112g
「あいつらは首輪を持っていた! そして僕が目覚めたとき観鈴はどこにもいなかった!」
“窮鼠猫を噛む”ということわざがある。
「観鈴はあいつらの事を信用していた! けどあいつらは首輪を手に入れる為に平然と観鈴を殺したんだ! 観鈴の知り合いが人殺しだったというだけで!」
今の陽平はまさしく“窮鼠”であった。
「そして僕が目を覚ました事に驚いて、殺そうと近寄って来た! だから僕は必死で逃げたんだよ!」
そして、窮鼠の一噛みは猫(というか、鳥?)に届いたのである。


こやつは何を言っているのだ?
聖上が、仲間だった相手を殺した?
知り合いが危険人物だから?
首輪を奪うために?
「そ、そのような妄言が信じられると思うか! 聖上がそのような理由で仲間を殺すなどありえん! あってたまるか!!」
そうだ、聖上は力無き者を殺したりはせん!

「大体お主は、その観鈴とやらが死んのを見たわけでもないのであろう! お前の言っている事は推測に過ぎん!」
聖上は理由も無く人を殺したりもしな
「でっ、でも、……あ、あいつらが首輪を持っていたのは事実だ!!」
…………理由?

……オボロには聖上のためという理由があった、なら聖上には……首輪?
……某たちの命はこの首輪に握られている、何をするにもまずはこの首輪をどうにかしなくてはならん。
……首輪をどうにかするには……首輪を調べるしかない……
……首輪を調べるには……首輪を手に入れるしか…ない。
……首輪を手に入れる方法は、一つしか、ない。

495 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:13:40 ID:UogSw/K3
   

496 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:13:51 ID:PxdJ112g

「く…首輪を……持っていたから何だと言うのだ! ……お、襲ってきた相手の物かもしれないではないか!」
そうだ、
首輪を手に入れる方法は一つだけ、
だが、手に入れられる相手は一人では無い。
悪漢を聖上が成敗し、その相手から手に入れた。 おそらくはこうに違いない。

「僕が会ったとき、あいつらは首輪の事なんか少しも言わなかった! その時にはまあ、色々あったんだけどさ……。 
けど、その後僕が目を覚ました時には観鈴はどこにもいなくて、あいつらは首輪を持っていた! 僕が気を失っている間に誰かが襲ってきて、その相手を殺して、その後僕を運んで移動するなんてあり得ないよ!」
おのれまだ言うか、それ以上聖上を侮辱するのなら、本当にその首を貰い受けてくれようか。

窮鼠の一噛みは、確かに猫に届いた。
必死な鼠は気づかなかったが、それは猫の傷を広げる一撃であった。
ゆえに猫も必死と成り、これ以上傷つかない選択肢を選ぼうとも考えた。
だが、
「ええい、うるさ「二人とも少し落ち着かないか」
トウカの言葉を遮って、この場に居た最期の人物、坂上智代が口を開いた。


さて、面倒なことになったな……。
頼りにならないとはいえ、折角顔見知りに会えたというのに、再会を喜ぶ暇もないとは。
とはいえ、このまま見ていてもどうにもならないしな。
「まず春原、おまえはその観鈴さんとやらが死んでいるのを確認したわけではないのだろう」
まずは春原を落ち着かせるのが先決だ。
「あ、ああ……で、でも」
「ただ、お前が目を覚ました時には、観鈴さんはどこにもおらず、ハクオロ…達か? は首輪を所持していたということだな」
「……ああ、そうだよ」

497 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:14:36 ID:PxdJ112g

どうしてだか春原は気絶していて、その間に何かがあったらしい。
そして、何故か一人減った仲間と、何故かあった首輪か……。
これだけ聞くと確かに疑わしいが、
「だが、トウカの言ったように、襲ってきた相手を倒し、首輪を奪ったという可能性もある。
 ああ、言っておくが、お前が気絶している間ではないぞ、その前だ。
 お前と出会う前に既に首輪を持っていた、と考えればそう不自然ではない」
こう考えれば、つじつまは合うな。
「だ、だけど」
「無論、お前の言うことが本当だという可能性もあ「聖上はそのようなことはせん!!」る」
一先ずなだめようとしたら、トウカに邪魔された。

「まあ、最後まで聞いてくれ。
 そもそも私はハクオロという人物について、トウカから聞いただけだ。
それに対して、春原は一応知り合いではある、で、少なくともこのような嘘を付くような相手ではないと知っている。
だから」
と、一息入れて。
「ようは確認出来ればよいのだろう。
 なら、本人に会いに行けばいい」
最も分かりやすい方法を提示した。
「直接、ハクオロ達に会いに行って、そこで観鈴さんに会えればそれで解決だろう。」
これなら問題も無い。

と思うのだが、
「そんな、僕はいやだぞ、もう一度あいつらのところに行くなんて。
 大体、危険だとは思わないのか?」
「某も反対だ! 聖上を疑うような真似はしたくない!
 ……それに、千影殿との約束もある、今からでは間に合わなくなる」
……まあ、来るとは思っていたが。
しかし、気になる単語があったな、まずはそこから片付るか。

498 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:15:04 ID:UogSw/K3
  

499 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:15:07 ID:PxdJ112g

「まずトウカさん、その約束というのはなんのことだ?」
これは初耳だ。
「む、そういえば智代殿には話していなかったか……。
 某は第三回放送のときに神社にいるという約束を千影殿としているのです。
 最も先ほどは思わぬ襲撃を受けて一度離れざるをえなかったが、千影殿はまだ生きているし、千影殿の知り合いも来るとなれば、行かないわけにはいかん」

神社か……、トウカが襲撃を受けた場所だな。
私としても危険人物がいる場所ならば優先的に行っておきたい場所ではあるな。
そして……ふむ、ならば
「そうか、なら我々は神社に向かうとしよう」
と言った。

私があっさりと折れたことでトウカも、春原も唖然としていたが、やがてトウカが聞いてきた。
「智代殿……某が言うのもなんだが、何故そんな簡単に?」
「トウカさんは忘れたのか? 私は元々危険人物を排除するのが目的なんだぞ」
これを聞いてトウカが渋い顔をしたが、かまわず続ける。
「それに、私も迂闊だったが、もっと簡単な確認法があったんだ。
 今トウカさんが言っただろう、“放送”だよ。
 その観鈴さんが本当に死んでいるのなら、次の放送で名前が呼ばれるはずだ。
 もし、本当に名前が呼ばれたら、その時は改めてハクオロ達に会いに行けばいい」

そう、この方法なら本当になんの問題も無い。
トウカも、私がハクオロの事をほとんど疑っていないと分かったのか、何も言わない。
まあ、私は疑っていないのではなくて、春原の話を聞いて多少無理を感じただけなのだがな。
そう思ったのだが、春原はしつこかった。

500 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:15:52 ID:UogSw/K3
   

501 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:16:01 ID:PxdJ112g

「あ、会いに行く必要は無いんじゃないか。
 わざわざ危険人物のところまで行かなくてもいいじゃないか」
まあ、春原らしいな
「観鈴さんが死んだだけでは、お前の話が本当とは断定できない。
 まあ、限りなく怪しくはなるが、一応襲撃されて観鈴さんが殺されたという可能性もある」
そこで一息ついて、
「それに、本当に危険人物だとしたら、私が殺す」
強い意志を込めて言った。
その言葉の前に、春原は押し黙った。
「それに、トウカも、そのときは協力してくれるだろう?」
確信をもって聞いた。
その問いに対してトウカは睨み殺すような視線を向けてきたが、何も言わなかった。
そのまましばらく押し黙っていたが、ややあって
「……そのような事を考えるだけでも不快だが、もしそのような事があればお諌めするのが臣下の努め。
 そのときは某自身の手で聖上を斬る」
予想された答えが返ってきた。

「で、でも、」
「くどいな春原、大体お前の言うとおりハクオロ達が危険人物だとしたら、何故お前は生きているのだ?」
春原が結論の付いた話を蒸し返そうとする。
なので、ほとんど決定的な事実を突きつけた。
トウカの話を聞く限り、危険人物とは思えないが、もし仮にハクオロ達が危険人物ならば、春原を生かしておく理由は無い。
「それは…………そうだ! 気絶してたからだよ! 
僕は何時でも殺せるから、先に観鈴を殺して、首輪を奪ったところで僕が目を覚ましたんだ!
その証拠に、ハクオロの服は血で染まっていた!」

502 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:16:37 ID:UogSw/K3
 

503 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:16:38 ID:PxdJ112g
む……、以外と説得力のある事を言ってきたな。
確かに先に春原を殺しては、もう一人を殺すときに差し支えはするな。
そして、こう見えてもこいつはかなり足が速い、逃げ足なら尚更だ。 距離があれば大抵の相手からは逃げられるだろう。
だが、
「それなら予め、縛っておくなりするだろう。
 靴を奪っておくというのも単純だが効果は高い。
 本当に危険人物なら、それこそ足を撃つぐらいはするだろうな。」

そもそも殺すつもりなら、気絶しているからといってそのまま放置しておく理由などない。
更にわざわざ運ぶなどありえない話だ。
これは流石に春原も反論できないのか、押し黙っていた。
まあ、これでこれ以上駄々は捏ねないだろう。
実際にそのハクオロ達と合流するときには一悶着あるかもしれないが。

本来なら、智代は此処までで話を打ち切るべきだった。
だが、智代は無意識のうちに、次の質問をしてしまった。

「それと春原、見ての通りわたしも血まみれなんだが、おまえはわたしが殺人者だとは思わないのか?」
どうなのだ。
お前は先ほど服に血がついていたから殺人者だと言った
血に濡れていれば殺人者だというのなら、お前は私を殺人者だと思うのか。
お前は私のことも……恐ろしいと思うのか。

「え、……あ、その、智代がそんなことをするわけ……」
「したと言ったらどうする」
はっきりと答えた。
そう、私は恐慌のあまり、短絡的に、人を殺した。 
だから殺人者も、陰で陰謀を行うものも許さないと誓った。
だが……、私が殺人を犯した事実は消えない。

元々の知り合いであるおまえは、その事でわたしを責めるのか……?


504 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:17:32 ID:UogSw/K3
   

505 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:17:32 ID:bKoKUaFD



506 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:17:35 ID:PxdJ112g

坂上智代は強い心の持ち主である。
だから、彼女は罪を犯しながらも前に進むことが出来た。
非日常の中に放り込まれて、その非日常と戦う事を決意できるほどの強さ。

だが、いかに強いといってもこのような殺し合いの場では限度がある。
目の前での他人の死、自らの過ち、思い人の死――
智代の心は知らぬ間に疲弊していた。
それでも初めて会う相手、言い換えれば“非日常”の中では心を保てた。
だが、“日常”の残滓を目にして、彼女の心は知らぬうちに安らぎを――赦しを、求めていた。


智代が?
智代まで人殺しだって?
そんな、じゃあ僕はどうしたらいいんだ?
智代は僕を助けてはくれない、いやそれどころか僕を■すかもしれないのか?
そんな、そんなわけがない、そうだ、何か、

「な、何か訳があるんだろう? じゃ、じゃなきゃ、智代が、そんな事を、する、するわけがない、じゃないか、そうだろ? そうなんだろ?」

そうだ、
きっと何か訳があるんだ、そうだ、そうに違いない! じゃなきゃ、じゃなきゃ僕は一体誰を頼ればいいんだ?
そうだ。きっとそうなんだ。

「お前は、そう思ってくれるのか……?」

ああ、そうさ、
そう思うに決まってるじゃないか、
そうじゃなきゃ、そう思わなきゃ、僕は、僕は、

「ああ、そう思うさ、智代は人に危害は……まあ、その、なんだ………………け、けど自分から人を殺すなんてことはしないさ、なあ」

507 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:18:00 ID:ZGyWZ0vh
 

508 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:18:23 ID:UogSw/K3
 

509 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:18:40 ID:PxdJ112g
もう智代しか頼れる相手はいないんだ、
だから、智代が危険人物なはずがない、
じゃなきゃ、僕にはもうどこにも行くところがないんだ。

「そうか……、ありがとう。
 お前はわたしを信じてくれるのだな」
「と、当然だろ、その、知り合いなんだしな」

ああ、やっぱり智代は危険じゃなかったんだな。
ああ智代、今は君が女神に見えるよ!

「だが、私が過ちを犯したのは事実だ、だからそのことを聞いて欲しい」


智代の話は終わった。
色々と考えることがありそうだけど、とりあえず智代が危険でないという事は分かったから僕としてはそれでいいや。
でも、
「智代の覚悟はすごいと思うけど……僕は危険人物に会いに行くのは絶対反対だぞ!
 自分から危険なところに行くなんてとんでもない!」
これは譲れない。

「しつこいなお前も……なら私たちととりあえず神社までは来い。
 トウカさんの話を聞く限りは、おまえを野放しにしておくのは危険のような気もするからな。
 そこで放送と人を待ってそのときに色々と考えることにするか」
「……まあそれでいいさ」
しかし、考えてみると僕の言うことに智代がおとなしく従ってくれるとは思えない、つーかありえない。
なので、あんまり危険じゃなさそうな神社まではおとなしく着いていこう。
何人か人が増えれば智代も少しは気が変わってくれるかもしれないからな。

510 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:19:10 ID:UogSw/K3
   

511 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:19:13 ID:PxdJ112g

「智代殿、こやつも連れて行く気か?」
と、思ったらいきなりなんてこと言い出すんだこいつは、
僕に何か怨みでも……そういえばあったな。
まずい、でも、それでも智代なら……智代ならなんとかしてくれる。

「まあ、不安になるかもしれないが、悪い奴じゃあない、それに……話したいこともあるしな」
:いやっほーう! 智代最高ー!
でも話したいことってなんだ?
「智代殿がそういわれるのなら……、某は反対はしませんが」


そうして一人増えた一行は、再会を願い神社へと向かう。

すぐ傍にあった危険に気づくことも無く。
それは彼女らにとっては間違いなく幸運な出来事であった。

だが、その幸運は大小あれ三人に共通すること……心の疲労によるもの。

トウカは、心のどこかでハクオロを信じきれなかった。
智代は、無条件に知り合いを信じすぎてしまった。
陽平は、智代の疲弊に気付けなかった。

三人が三人とも、お互いの齟齬に気付けなかった。
それが、いつまで幸運であり続けるかは……わからない。

512 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:19:16 ID:bKoKUaFD



513 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:19:42 ID:PxdJ112g
【C-3 森/1日目 夕方】

【坂上智代@CLANNAD】
【装備:無し】
【所持品@:支給品一式×3、サバイバルナイフ、トランシーバー×2、多機能ボイスレコーダー(ラジオ付き)、十徳工具@うたわれるもの、スタンガン、
 催涙スプレー(残り4分の3)、ホログラムペンダント@Ever17 -the out of infinity-】
【状態:中度の疲労、血塗れ、軽度の精神的疲労、左胸に軽度の打撲、右肩刺し傷(動かすと激しく痛む・応急処置済み)、少量の失血、ゲームに乗った人間に対する深い憎悪】
【思考・行動】
基本方針:殺し合いに乗っている人間を殲滅する(無謀な行為は極力避ける)。一応最終目標は主催者の打倒。
0:とりあえず神社に向かう。
1:体調が回復するまでは、トウカと春原と行動を共にする。(回復後は不明)
2:万一放送で観鈴の名前が呼ばれたら、ハクオロ達に会いに行く。
3:自身の基本方針に、僅かながら迷いがある。
【備考】
※蟹沢きぬが殺し合いに乗っているかもしれないと疑っていますが、疑惑は薄れています。
※ネリネと舞を危険人物として認識しています。
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※トウカからトゥスクルとハクオロの人となりについてを聞いています。
※第三回放送の時に神社に居るようにする(禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)


514 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:20:19 ID:bKoKUaFD



515 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:20:45 ID:PxdJ112g
【トウカ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
【装備:舞の剣@Kanon(少々の刃こぼれ有り)】
【所持品:支給品一式、永遠神剣第七位『存在』@永遠のアセリア−この大地の果てで−】
【状態:全身に軽い打撲、胸に中度の打撲、右脇腹軽傷(応急処置済み)、中度の肉体的疲労】
【思考・行動】
基本方針:殺し合いはしないが、襲ってくる者は容赦せず斬る。
0:とりあえず神社へと向かう。
1:ハクオロと千影、千影の姉妹達を探し出して守る。
2:ネリネを討つ。
3:命の恩人である智代を守る。 春原はついで。
4万が一放送で観鈴の名前が呼ばれたら、そのときは……。
5:可能ならば赤坂と合流。
6:次に蟹沢きぬと出会ったら真偽を問いただす。
【備考】
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※蟹沢きぬが殺し合いに乗っていると疑っていますが、疑惑は薄れています。
※陽平を嘘吐きであると判断しています。 (微妙に疑いきれなくなっています)
※第三回放送の時に神社に居るようにする(禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)
※永遠神剣第七位"存在"
 アセリア・ブルースピリットが元の持ち主。両刃の大剣。
 魔力を持つ者は水の力を行使できる。
 ウォーターシールド…水の壁を作り出し、敵の攻撃を受け止める。
 フローズンアーマー…周囲の温度を急激に低下させ、水分を凍結させ鎧とする。
他のスキルの運用については不明。


516 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:21:05 ID:UogSw/K3
 

517 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:21:54 ID:PxdJ112g
【春原陽平@CLANNAD】
【装備:無し】
【所持品:無し】
【状態:肉体的疲労大、重度の人間不信、朦朧状態、空腹、右手首に手錠、上はTシャツ、下はジーンズを着用】
【思考・行動】
基本方針:死にたくない。
0:とりあえず神社へと向かう(でも行きたくない)
1:智代と行動する。
【備考】
往人とハクオロと瑛理子を危険人物と認識しています。


518 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:22:23 ID:bKoKUaFD



519 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:22:25 ID:PxdJ112g
そうして、彼女達が立ち去った後、近くにあった危険は動きだした。

彼女がここに来たのは、森の中に響いている叫び声に誘われてである。
殺し合いに乗った彼女からすれば、参加者の下に行くのは当然の行動である。
ただ、彼女は少し方針を変更していた。
前回の戦闘において、彼女は一人も殺せなかった。
その前の戦闘では、結局一人に逃げられてしまった。
彼女はこの島でも最高クラスと思われる武器を所持しているのに、である。

彼女は少しその原因を考えて、すぐに気付いた。
つまり、一人では多人数を殺すのは難しいということである。
最大の武器であるブラウニング M2 “キャリバー.50”を用いればその限りではない、がその弾数には不安が残る。
なので、彼女は見つけた相手が多人数、しかもかつて逃がした強敵が含まれているのを見て、襲撃せずに気付かれない程度に近くで話を聞くことにした。
本来なら、気配察知に優れたトウカに気付かれるところではあるが、彼女が動揺していたのは、お互いにとって幸運だったのだろう。

そうして、彼女達の話を聞きながら、彼女は一つの決心をした。
それは“神社に向かうこと”である。
普通なら、多くの人間が集まるらしい神社に向かうのは得策ではない。
しかし、彼女は話を聞いて一つの事実を思い出していた。

“多分……それで合っているはずだ。
 私の支給品が……この島にある全ての銃火器の予備弾セットなんだ。”
そう、自分がかつて約束した相手、
そしてトウカというらしい女の人が約束したらしい相手、千影。
彼女の支給品はこの島にある全ての銃火器の予備弾セット。
なら、当然キャリバーの弾も含まれているはず。
少々の危険を冒してでも手に入れたいもの。
とはいえ無理はしない、ただ千影の存在を確認できれば、それを追えばいい。
チャンスはきっと来る。

それを求めて、彼女――川澄舞は静かに歩き出した。

520 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:23:24 ID:UogSw/K3
 

521 : ◆/Vb0OgMDJY :2007/09/03(月) 21:23:38 ID:PxdJ112g
【C-3 森/1日目 夕方】

【川澄舞@Kanon】
【装備:ニューナンブM60(.38スペシャル弾5/5) 学校指定制服(かなり短くなっています)】
【所持品:支給品一式 ニューナンブM60の予備弾32 バナナ(フィリピン産)(3房)、ブラウニング M2 “キャリバー.50”(ベルト給弾式、残弾45) 】
【状態:疲労(中)、肋骨にひび、腹部に痣、肩に刺し傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、太腿に切り傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、後頭部にたんこぶ】
【思考・行動】
基本方針:佐祐理のためにゲームに乗る
0:神社に向かい、千影と支給品を確認する。
1:佐祐理を救う。
2:全ての参加者を殺す。ことりも殺す。
3:相手が強い場合、多人数の場合は無理はしない。


522 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/03(月) 21:24:26 ID:UogSw/K3
 

523 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:35:37 ID:Q9rZi0ES
「あははははははははははっーー!! 落ちろ、落ちろっ!! このカトンボめ!!」

何なの、何なの。まるで意味が分からないの。
私、一ノ瀬ことみは追われていた。もうそりゃあ、激烈なまでの勢いで。
とにかく全身の筋肉をフル稼働させて線路を蹴る。
冬眠していたトノサマガエルだって思わず飛び起きてしまうくらいの爆音と罵声を後ろにぶら下げながら。


だからってヒットマンに命を付け狙われている訳ではない。
自分の名前を見知らぬ男に馬鹿にされマジギレして、思わずぶん殴ってしまった為に因縁を付けられて追い回されている訳でもない。
背後から迫り来るのは重機。
正式な名称で行くと油圧ショベル。俗に言うパワーショベルという奴だ。
様々な本を読んで来たつもりの私でも、さすがに重機に追い回される女子高生というシチュエーションには今まで出会った事が無かった。
しかもその運転手が同じ年頃くらいの女子高生だなんて言ったら……まさに事実は小説より奇なりを体現した結果と言える。
まぁこの島自体がそもそも異常と狂気のサラダボウル的空間ではあるのだけれど。

「ま、待つの!! 話せば分かるの!!」
「聞こえない、聞こえない、聞こえない!! あなたは死ぬの、悲惨な死体になってグチャグチャになるの!!」


ブンブンとショベルのクローラを動かしながら運転手の女の子は叫ぶ。
私は全力で逃げる。全力でひたすら逃げる。

というかそもそもパワーショベルを動かすには大型特殊免許が必要なはずなのだが、彼女がソレを持っているようにはとても見えない。
というか、原付や自動車の免許ならともかく大型特殊の免許を持っている女子高生なんて存在するのか。
フィクションの中でさえ、そんな人間が登場して来たら、私は違和感を抱かずには居られないだろう。

だが彼女がショベルを手足のように動かしている事もまた事実。
大体、いきなり操れと言われても私にはアレを動かす自信はまるで無い。
自分が古い人間なのか、それとも彼女が新し過ぎるのか、もしや今時の女子高生はパワーショベルの操縦方法ぐらい嗜んでいるものなのだろうか。
……いや、さすがにソレは無いか。

524 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:36:21 ID:pWPTB+qh
  

525 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:36:22 ID:Q9rZi0ES


 ■


しかしこの状況は悲惨すぎる。私には悲しみに暮れる時間も無いのだろうか。
自嘲的に自分で自分を皮肉ってやりたい気分。

時刻は午後の六時を回った所。つまり第三回目の放送が行われた直後。
鷹野三四の口から二人、聞き覚えのある名前が呼ばれた。

時雨亜沙と土見稟。

土見稟はまだいい。
彼に関しては嫌という程名前を聞きこそしたが、本人とは一度も出会っていない。
それ所かネリネや芙蓉楓といった、ゲームに乗った人間の奉仕対象となっているという事実から、微妙にマイナスな感情の方が強かったくらいだ。

だけどもうひとつの名前は違う。それは大切な、本当に大切な人の名前。
亜沙さんとはゲーム開始からほとんどの時間を共有し、ほんの数時間前に別れるまで共に行動していたのだから。


でも、初めは四人だった。
私と亜沙さんの隣には四葉ちゃんがいた、恋太郎さんがいた。
生きるだとか、死ぬだとか、殺すだとか。
そんな言葉とはまるで無縁な生活を送っていた私にとって、三人との出会いは本当に素晴らしいものだったと思う。
カミサマならば「光あれ」と口にするだけで、世界を照らす暖かな太陽を創り出す事が出来る。
だけど私は無力な人間、何もかもを自分の思い通りにする事なんて出来やしない。
今だからこそ言える。あの出会いは奇跡だった。
殺伐とした空間に生まれた小さな光。心の底からほっとするような、温もりに包まれた世界だった。


526 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:36:53 ID:pWPTB+qh
 

527 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:36:55 ID:Q9rZi0ES
だけどそんな素敵な楽園はあっという間に崩壊した。
第一放送の前には四葉ちゃんが、第二放送の前には恋太郎さんが殺されてしまった。
そして第三放送では亜沙さんまで……。
そう、私は一人になってしまったのだ。
知り合いと言えるような人間はもちろん、数名まだ生きてはいる。
だが彼女達の消息はまるで掴めない。一体何処で何をしているのか、見当も付かないのだ。


逆に周囲には私に対して、決して良い感情を持っていない人間が数名潜んでいるのだ。
つまりは大空寺あゆや佐藤良美、彼女達は時間的に言っても、まだまだ近くにいる可能性が高い。

そう大空寺あゆとえいば、気になる事がある。
放送で亡くなった亜沙さんは彼女と一緒に行動していたはず、という点についてだ。

煙幕の噎せ返るような白煙の中で、確かに私は二人が一緒に逃げて行く光景を目撃している。
その後二人が別れたのかどうかは分からない。
もしかして誰かに襲撃されて亜沙さんだけが不幸な目にあったのかもしれない。
可能性としては彼女が亜沙さんを殺した、と言うパターンも考えられが全く証拠が無い。
コレばかりは本当に死体か本人にでも聞いて見ないと分からない。

ただ大空寺あゆが自分の事を露骨に敵視していたという事実もある。
何しろ恋太郎さんを殺した犯人さえも彼女の中では私になってしまっているのだ。
もしこの状況で彼女と遭遇したら……?
どんな結果が待ち受けているのか、まるで想像が付かない。


「ほらほらほら、潰すよ? 潰しちゃうよ? あはははっー!! 本当にバカ、出てこなければやられなかったのに!!」
「う……どっちがッ!! ……ッ、あなたは病院にでも行った方がいいの」



528 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:37:33 ID:pWPTB+qh
  

529 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:37:46 ID:Q9rZi0ES
油圧ショベルに搭載された拡声器から少女の声が響く。
必死に言い返すも、コチラの声はキャタピラの回る音に阻まれてこちらの声は一部しか聞こえていないようだった。
しかし相手の台詞は明らかに異常。
土見稟に対する大演説を展開した芙蓉楓でさえ、ココまで支離滅裂で狂的な喋り方はしなかったはず。
彼女の狂気はどちらかと言えば、正しさの中に垣間見える純粋な妄執だったから。
喚き散らし、見境の無い行動を取る背後の襲撃者とは違う。


「病院? 病院ってあの水浸しだった場所の事? ……ふふふ、病院送り程度で済むと思ってるんだぁ。
 無いよ、絶対無い。あなたは一人目、私の記念すべき最初の一人なんだから!!」

少女がスロットルを更に踏み込んだのだろうか、ショベルのスピードが上がった。
ゴウンゴウンとエンジンが猛獣のような雄叫びを上げる。
地面が抉られる、削り取られる。萌黄色の芝生が次々にコンベアに飲み込まれる。

だが、まだ遅い。これは、何とか私の足でも逃げられる速度。
そう、唯一幸いだったのが彼女の武器が大型特殊車両であった事だ。
そもそも油圧ショベルの最高速度はせいぜい50km程度。
同じキャタピラであっても戦車とは造りが違う。原動機付き自転車、俗に言う原付よりもスピードが出ないものも多いのだ。

もしも彼女が大型トラックや普通の車両に乗っていたならば、既に私は轢き殺されていただろう。
ショベルはパワーこそ凄まじいがスピードは無い。また小回りも効かない。
散るように逃げる事で、速度が乗るのを十分に阻害する事が出来る、という訳だ。


あれ……病院?
荒々しくも狂的なまでに紡がれる彼女の台詞。
私はこの瞬間、彼女の言葉の中に一つだけ違和感を感じた。
『水浸し』という単語と『病院』という単語の組み合わせに、だ。


530 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:38:09 ID:pWPTB+qh
   

531 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:38:36 ID:Q9rZi0ES
記憶した地図によると、川を越えた先に確か病院があったはず。
彼女は橋を渡ってこちらにやって来たのようだから、その途中で病院に立ち寄ったのかもしれない。
水浸し、もしや院内に取り付けられたスプリンクラーが作動でもしたのだろうか。
という事は、中で何か火災が起こったという事……?

確かに様々な施設が備わっている病院は参加者が集まりやすい場所ではあるだろう。
そこで銃火器を使った戦闘が行われれば自然と建物にもダメージが行く。そして炎上。不思議な話ではない。
そして頃合を見て自動的に防火設備が発動。これなら彼女の発言にも合点がいく。
ならば病院には多数の人間が集まった、もしくは集まる可能性のある場所と考えてもいいだろう。


「力だけの一辺倒じゃ……無理、なの」


ぼそりと口に出た私の声は、自分でもビックリするくらい低い冷たい声だった。
気付かぬうちに、相当私は参ってしまっていたらしい。
悲観思考、ネガティブ、憂鬱。きっと全部当てはまる。

出会った人間は死んでしまう、大好きな人にも結局一度も会えなかった。
挙句に茫然自失になっている間に襲われて荷物を全て奪われてしまう始末。

ああ、無力だ。私はなんて無力なのだろう。
友人から好きな人、信頼出来る人。
何もかもが私の目の前から消えていく。略奪されてしまう。
このまま足を動かすのを止めて、後ろから来る悪意に身を任せてしまおうか。そうすればきっと楽になる。

そんな甘美な誘惑に、少しだけ心がグラついた。
だけどそんなアンバランスは一瞬の逡巡で掻き消される。
私は恋太郎さんが危険な目に遭う事を確信しながら、芙蓉楓を撃つ事が出来なかった。
そんな臆病者が自分で自分の命を絶つ事なんて出来るはずが無いのだ。
だから私はただ足を動かす。必死にひたすら前へ前へと。


532 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:38:53 ID:pWPTB+qh
 

533 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:39:27 ID:Q9rZi0ES
 ■


大体、何故私はこんな風にパワーショベルに追い回されているのか。
体温がドンドン上昇していく中、脳にも必死に熱を送る。

そう私は誰かに身包みを剥がされた後、道具を調達するために商店街に向かっている最中だった。
食料品や飲料水、島で生き抜くためにはいくらなんでも手ぶらと言うのはマズイ。
それに武器も必要だ。積極的に誰かを攻撃するつもりは無いものの、ある程度の自衛ぐらいは出来なければならない。
足早にホテルを離れ、森を出て――そこで私は出会ってしまった。
最低、最悪の悪鬼に。


どうしてあんなに接近するまで彼女の存在に気付かなかったのだろうか。
……やはり後頭部に残る鈍痛が私の判断力を鈍らせていたと見るのが妥当かもしれない。

あそこまで剥き出しの殺意と出会ったのは、この島に来ても初めてだった。
そして私を見つけた瞬間の彼女の笑顔。スモークガラスに遮られて、ハッキリと見た訳では無い、のだが。
アレは忘れたくても忘れられるような光景では無かった。

口元だけを極端に吊り上げ、真っ白い歯を剥き出しになっている。対照的なのが瞳。全く笑っていない大きな瞳。
ただ言葉で描写すれば、こうとしか表現出来ない。
だけど違う。
邪悪さと無邪気さと不気味さを兼ね合わせ、醜悪さと怒りと憎悪と悦びに満ち溢れた単なる筋肉運動。
『笑』という単語を使う事に思わず躊躇いを覚えてしまうような、そんな光景だった。


「糞ッ、糞ッ!! なんで……なんでこんな所に線路があるのよ!! 邪魔だ、皆消えちゃぇぇぇ!!!」

ヒステリックで鼓膜にバイブレーションを残す印象的な声。
あんなにベラベラと喋りまくっていて、舌を噛まないのだろうか。
前方に小さな山小屋と線路の最終地点を視界に収めながら、私はそんな事を思った。

534 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:39:35 ID:pWPTB+qh
   

535 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:40:02 ID:Q9rZi0ES

身体は既にオーバーヒート気味だが、頭には大分熱が戻って来た感じがする。
もう大分モヤは晴れた。
ボンヤリして遅れを取るような事態は今度こそ、無い。


パワーショベルとの距離は約30m。
このまま真っ直ぐ北上すればじきに森に入る。そしてこの先には学校だ。
四葉ちゃんが眠る、忌まわしき私達のスタート地点。
ここの地形は厄介だ。複雑に入り組んでいて、初めて来る人間が易々と移動出来る場所ではない。
ひとまず校舎を上手く使って彼女をかく乱。そして隙を付いて図書館側に抜ける。
これでいい。何の問題も無い。
心配なのは学校に着くまでの私の体力ぐらい。不安要素としては小さな部類に入る。

図書館側に抜けてしまえばコチラの勝ちだ。
いかに力のある乗り物といえど、アレは敏捷性には欠ける。
一度私を見失ってしまえば後を追ってくるのは難しくなるはずだ。


そう、ショベルの最高速度は他種の乗用車と比較すれば玩具程度しか出ない。
せいぜいMAXで時速50km。だが舐めてかかる事は出来ないスピードでもある。
なぜなら、世界でもトップクラスの短距離走者の最高速度でも時速40km程度、という事実があるからだ。
ここでインドア派兼運動音痴の私が、純粋な鬼ごっこでもすれば、おそらくあっという間に挽肉ミンチハンバーグだ。

だがいかに強いエンジンを持った車であろうとも、障害物があれば最低限の徐行はしなければならないし、全てを押し潰して進む事は不可能だ。
赤黒く錆び付いたレールと枕木。少し土手のように盛り上がっている地面。これらの要素が全て私に味方をしてくれる。
この劣悪な走行環境では油圧ショベルの性能を100%発揮する事は出来ない。



536 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:40:17 ID:04PSD9MA
 

537 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:40:36 ID:pWPTB+qh
 

538 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:40:42 ID:Q9rZi0ES
移動出来る道が限られている都市部、障害物が一切無い平原などと違って、線路際というのは車両にとって移動しやすい地形ではない。
まぁ……唯一あの乗り物を除いての話ではあるが。
圧倒的な車両速度を誇るアレが後ろから突然走って来でもすれば、全く反応できずに轢き殺されてしまう可能性は高い。
通常当たり前のように生きている中で相対する事はまず無いであろう、あの乗り物。
もしも真正面からアレと向き合うような展開になったとしたら――?

思わず首を左右にブンブンと振ってそんな想像をデリートする。
ある訳が無い。
そもそもこの線路は廃線なのだから、まともな機能を持ったアレが残っているはずが無い。
線路の状態も劣悪。走っていたらいつ脱線しても可笑しくない。
そして運転手がいない。
例えば大型特殊車両を運転できるスーパー女子高生といえど、さすがにアレは無理だろう。常識的に考えて。
この島に呼び寄せられた参加者の中にそんな技能を持った人間がいる可能性も低い。
だからコレは杞憂。ほんの小さな臆病心が生み出した有り得ない仮定。


「はぁ……はぁ……こんなに走るのは……生まれて、初めてなの……」
「力だ!力があってこそすべてを制するんだ!」

思考が落ち着けば落ち着くほど、身体に圧し掛かる疲労と少女の声が身体に響く。
不安点としてはそれほど大きな問題では無い、と切り捨てた自分の体力的な事情がどんどん不安になって来る私だった。



【E-4 学校へ向かう道/1日目 夜】

【一ノ瀬ことみ@CLANNAD】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:肉体的疲労極大、腹部に軽い打撲、精神的疲労小、後頭部に痛み、深い悲しみ】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない

539 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:41:29 ID:Q9rZi0ES
0:とにかく逃げる(現在の目標は学校で名雪をまいて、図書館方面へ逃走)
2:今後必要な物を集める為に商店街へ向かう
3:身体を休ませる
4:神社から離れる
5:工場あるいは倉庫に向かい爆弾の材料を入手する(但し知人の居場所に関する情報が手に入った場合は、この限りでない)
6:鷹野の居場所を突き止める
7:ネリネとハクオロを強く警戒
8:ハクオロに微妙な罪悪感

※ハクオロが四葉を殺害したと思っています。
※首輪の盗聴に気付いています。
※魔法についての分析を始めました。
※あゆは亜沙とっては危険ではない人物と判断。自分にとっては危険人物。良美に不信感。
※良美のNGワードが『汚い』であると推測



540 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:41:52 ID:pWPTB+qh
 

541 :一ノ瀬コトミの激走 ◆tu4bghlMIw :2007/09/07(金) 00:42:12 ID:Q9rZi0ES
【水瀬名雪@kanon】
【装備:槍 手術用メス 学校指定制服(若干の汚れと血の雫)けろぴーに搭乗(パワーショベルカー、運転席のガラスは全て防弾仕様)】
【所持品:支給品一式 破邪の巫女さんセット(弓矢のみ(10/10本))@D.C.P.S.、乙女と大石のメモ、乙女のデイパック】
【状態:疲労小、右目破裂(頭に包帯を巻いています)、頭蓋骨にひび、発狂】
【思考・行動】
0:目の前のカトンボを叩き潰す
1:全参加者の殺害
2:月宮あゆをこれ以上ないくらい惨いやり方で殺す

【備考】
※名雪が持っている槍は、何の変哲もないただの槍で、振り回すのは困難です(長さは約二メートル)
※古手梨花・赤坂衛の情報を得ました(名前のみ)
※ハクオロという人物を警戒(詳細は聞いていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ)
※乙女と大石のメモは目を通していません。
※自分以外の全ての人間を殺し合いに乗った人物だと思っています。
※パワーショベルの最高速度は55km。夜間なのでライトを点灯させています。
 またショベルには拡声器が積まれており、搭乗者の声が辺りに聞こえた可能性があります。
※放送はまるで聞いていません。


542 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:44:12 ID:04PSD9MA
 

543 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 00:49:02 ID:LfIWP441

 「誰もいませんね……」
 「ん……」

 時刻は間もなく夕刻といったところ。二人の美女が公園に立ち尽くす。
 蒼宝玉の瞳と群青の長い髪、無骨な鎧を小柄な肢体に着込んだ少女の名をアセリア。
 美しく長い髪と柔和そうな印象を与える、血塗れの制服姿を羽織った美女。その名は宮小路瑞穂。
 二人の目的……それはある危険人物の捜索にあった。

 国崎往人。
 あの男だけは許さない、とアセリアは溜まった疲労を癒すこともせず、ただこの場に倒すべき敵がいないことに憤る。
 公園に設置されていたゴミ箱を、鉄パイプで殴りつける。完全な八つ当たりなのだが、それほどアセリアには余裕がなかった。


 (ユート……ハクオロ……見損なった、ひどい)


 悔しかった。ただ、悔しかった。

 悠人はエトランジェとして共に戦った仲だ。
 最初こそまともに戦えなかったが、今では自分以上の実力だって持っているのに。『求め』を持った彼は竜すら葬り去るほどの強者だったのに。
 国崎往人のような殺人者に戦友を、エスペリアを殺された。誰よりも憤るのは自分よりも悠人だと漠然と思っていた。
 ファンタズマゴリアで近しい戦友はエスペリアとオルファ、そして悠人。あの時には何の価値も見出せなかったが、今ではそれが暖かなものだったと確信している。


 ハクオロはアルルゥの父親だった。アセリアには家族という概念こそ実感できないが、きっと自分たちとエスペリアのようなものなのだろう。
 カルラはそんなハクオロを主と認めていた。自分を倒したあの強者を従えるほどの男……それだけに期待も大きかった。
 自分が認めていた二人に大切に思われていた存在。心を取り戻したアセリアは、まるで遠足前の子供のように期待を膨らませていた。

544 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:49:23 ID:pWPTB+qh
   

545 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:51:22 ID:kCmTryUL


546 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:51:47 ID:04PSD9MA
 

547 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:51:48 ID:X/VjSQpq
.

548 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 00:51:56 ID:LfIWP441


失望した。がっかりだった。臆病風に吹かれた彼らが情けなかった。
きっと彼らは往人が怖くて逃げ出したのだ。その話題のとき、煮え切らない彼らの態度がそれを証明していた。
隣で柔らかに宥めようとする瑞穂の声も、ほとんど頭に入らない。どうしようもなく腹立たしい。
アルルゥが、カルラが、エスペリアが……可哀想だ。アセリアは拳を強く握りながら、まっすぐに東の方向を目指していた。

「あ、アセリアさん……? どこに行くの?」
「クニサキユキトを追う……直感だけど東へ。そこに敵がいる、気がする」
「………………」

無言で、しかも足早に駆けていくアセリアを見て、瑞穂は不安に陥っていた。
アセリアはアルルゥたちでおかげで、感情を手に入れた。それはとても良いことだと思う。瑞穂は素直にそう思う。
傀儡のアセリアはもうそこにはいない。空虚だった心には自我と考える力が宿り、今の彼女は普通の人間と遜色ないと断言できるだろう。


だけど、感情とは諸刃の刃。
仲間の無事を喜べる喜、敵を憎しみ非道に憤る怒、死者を弔い悲しむ哀、皆と共に歩きたいと思う楽。
今のアセリアは初めて手に入れた感情を持て余しつつある。
悠人とハクオロに対する憤りと、国崎往人に対する怒りが混ぜ混ぜになって、復讐の権化となりつつあるのだ。
瑞穂はそんなアセリアを憂いていた。自分だって厳島貴子を殺した相手が現れたら、どうなるか。それが分からないのだ。

「ん……急ぐ、ミズホ!」
「……はい」

アセリアの戦士としての勘は正しかった。
この先、公園から東の方向に往人はいる。もちろんそれは偶然なのだが、過去に戻ることなどできない以上は必然であるかも知れない。
アセリアが往人に追いつくのは、時間の問題だった。



549 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:53:22 ID:X/VjSQpq
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550 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:53:33 ID:pWPTB+qh
 

551 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 00:53:39 ID:LfIWP441

     ◇     ◇     ◇     ◇



「…………大丈夫か?」
「………………ええ、気にしないで」

一方の往人と瑛理子は、なかなか足が前に進まなかった。
往人はこれまでの激戦で重傷を負っている。これまで戦ってきた強者を思い出しながら、往人は全身の傷を改めて確認する。
ハクオロには右手の甲を掠るように銃で撃たれて水脹れに。
エスペリアには木刀で手痛く右腕と左膝を打ち据えられた。
そして……青い瞳の女騎士と美しい女性。アセリアと瑞穂……左腕の複雑骨折や全身打撲など、もっとも致命的な一撃を与えられた相手。

「…………国崎往人、貴方こそ大丈夫なの?」
「………………俺は、自業自得だ。気にすることはない」
「……そう」

微妙な雰囲気だった。一応、形ばかり互いを気遣うが、あまり意味を為さない。
何しろ往人は殺人鬼で、瑛理子にとっては親友の仇である。往人は二人きりになった後、何らかの報復行為も覚悟していた。
最悪、命を差し出すことも受け入れるつもりだった。だが、未だ瑛理子は目的のために私情を捨てて行動している。
強い奴だと往人は思った。逆の立場なら……もし観鈴が同席している相手に殺されたとなれば、必ずその相手を殺すだろうから。
瑛理子の長い髪をまとめるリボン……観鈴の形見を見ながら、往人は静かに語りかけた。

(俺の身体はもうボロボロだよ……なあ、観鈴)

左腕はもう死んでいる。痛みは断続的に襲ってくるし、折れているためほとんど動かない。
でも、まだ右腕がある。両足だって生きている。全身が悲鳴を上げるが、そんなことは大した問題じゃない。
かつて、この右腕で参加者を全員、殺すと誓った。そして今は愛した少女のおかげで、こうして人を護るために右腕を振るうことができる。
もう、仮面を被る必要はない。観鈴が救ってくれた。殺人鬼の仮面を、無力だったはずの少女が外してくれたのだ。

552 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:55:31 ID:X/VjSQpq
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553 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:55:38 ID:pWPTB+qh
 

554 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 00:56:01 ID:LfIWP441

「…………なに?」
「いや……何でもない」

二見瑛理子は往人の視線を訝しげに思い、そして静かに思考を巡らす。
考えること、考えなければならないこと……図書館を調べ、港を経由して病院へと向かうこと。
優秀な仲間を集める手段。殺し合いに乗った相手と出遭ったときの対処法。首輪解除のために必要なこと。それをブレーンたる彼女は考えなければならない。

(考えなくちゃ……いけないのに)

思考にノイズが混じる。理論に感情の波が押し寄せてくる。
自分の右手には、いつでも襲撃者に対応できるように武器が握られている。トカレフTT33、銃という名の凶器が。
これを持ったまま、仇である国崎往人と二人っきり。少しでも激情に押し流されてしまえば、殺してしまうかもしれない。


あの時はハクオロがいた。その後、悠人や衛や千影が現れ、少しは沈静化していた復讐心。
それが再び、燻り始めている。やっと出来た友達を殺した男……それがその気になれば確実に殺すことが出来る。
もう、誰も止める人はいない。誰も自分が殺しただなんて思わない。そして誰も……喜ばない。

(ああ、もう……急がないと行けないのにっ……)

捻挫した左足首がさっきからジクジクと痛む。
往人も全身が痛むようで、たまに漏れる苦しそうな息遣いが進行速度を遅くしてしまっている。
だが、二人ともが互いを急かそうとはしない。相手を気遣う意味もあるが、会話が成立しづらいのだ。心情的に。


とはいえ、このままではジリ貧かもしれない。
処置済みとはいえ、痛みがぶり返してきたということは腫れてきたのだろう。もう一度、改めて処置したほうがいいだろうか。
医療品はないが、水で冷やしたほうがいいかもしれない。滲むような痛みが続いては、不測の事態にも対応できない。



555 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:56:11 ID:04PSD9MA
 

556 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:56:24 ID:pWPTB+qh
  

557 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:56:42 ID:bGvxdFyP
 

558 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:56:58 ID:X/VjSQpq
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559 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:57:20 ID:bGvxdFyP
 

560 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:57:27 ID:04PSD9MA
 

561 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 00:57:40 ID:LfIWP441
「……ここで少し休息しましょう。国崎往人はランタンをそこにおいて……水を取り出して」
「おい……急がなくていいのか? 俺を気遣う必要はないんだぞ」
「誰が貴方を気遣うものですか。私が誰かさんのせいで痛めた足を処置するのよ」
「………………」

険しくなる往人の顔。
謝罪をしようと開いた口を、瑛理子は感情のこもらない冷たい口調で押しとどめさせた。

「それに、そろそろ放送が始まるわ。禁止エリアも書き込まなくちゃいけないし、いい機会よ。
 いいから、貴方も休息をとりなさい。支給品一式、二つ持ってたわよね。水を貸して……あとは自分用のメモと、参加者名簿」
「……ああ」

ついつい言葉がきつくなったが、こうでもしないとお互い休もうとしない。往人はこのチームで大切な戦力なのだから。
辺りはそろそろ暗くなってきた。まだ太陽は出ているが、それでもそろそろランタンを取り出さなければならない時期だろう。
火をつけ、処置を施す。やっぱり腫れていたが、水をかけてもう一度包帯を巻く。瞬間は痛みが走ったが、冷やした後は気持ちよかった。



     ◇     ◇     ◇     ◇



私はアセリアさんに追従するように東へと向かっていた。
時刻は間もなく、18時を指そうとしていた。その旨を伝えてもアセリアさんは足を止めようとはしない。
怒りで我を失っている、とまではいかない。けれど頭に血が上ってしまっているのは確かだった。

「アセリアさん、少し休みましょう? 疲れがまったく取れていないでしょう?」
「ん……大丈夫」
「いいえ、大丈夫ではないわ。以前、疲れも取れないうちに戦って危なくなったのは憶えているでしょう?」
「…………ん」


562 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:58:01 ID:pWPTB+qh
 

563 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:58:43 ID:bGvxdFyP
 

564 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:59:16 ID:bGvxdFyP
 

565 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 00:59:16 ID:LfIWP441
ようやく、その足が止まった。少し不満そうにこちらを見やるが、黙ってデイパックを開く。
恐らくアセリアさんの不満の原因は国崎往人という人物についてだろう。さっきから宥めようとしている私に辟易しているのかもしれない。
犠牲者と禁止エリアを書き込むために名簿とメモ、筆記用具を取り出しながら再度アセリアさんを説得する。

「ねえ、アセリアさん。どうしてハクオロさんたちの話を聞かなかったの? もっと詳しいことが分かったかも知れないのに」
「……いい、必要ない」
「…………」

やっぱり、アセリアさんは往人という人物を許すつもりはないらしい。
もちろん、それは私も同じ。私は銃を向けられ、そして私を庇ったアルルゥちゃんを殺された。それを許すことなんて出来ない。
たぶん、ハクオロさんたちの反応から考えるに、往人という人物は殺し合いを放棄したのだろう。
それでも『はい、そうですか』とはいかなかった。
たとえ、往人という人が殺し合いを止めたとしても。どうこうの理由があったから殺し、今は止めましたと言われても気持ちが追いつかない。


だけど、一度殺し合いに乗った私も同罪に等しい。
そのせいで茜さんが死んだ……要するに今の私は往人という人とまったく同じ立場に立っている。
確かに直接人を殺した国崎往人とは違う。でも、根本的な問題……一度殺し合いに乗り、そして今は止めたという点はまったく同じだ。
本来なら私もアセリアさんに許してもらえるような存在じゃない……と、そこまで思考を巡らせたそのときだった。


 『参加者の皆さん、定時放送の時間が来たわ』


午後18時ジャスト。
悪魔の放送が流れる時間となった。



     ◇     ◇     ◇     ◇



566 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 00:59:43 ID:pWPTB+qh
  

567 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:00:16 ID:X/VjSQpq
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568 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:00:42 ID:LfIWP441

『貴方達に神の祝福がありますように……』


「7人……」


口にして、ぐらりと目の前が揺れた。
第一回放送、第二回放送よりも少なくなっているとはいえ、それは参加者が少なくなっているだけで惨劇は止まっていない。
そのうち、二人は目の前で死んでいった。アルルゥちゃんの言葉を思い出させ、私を救ってくれた茜さん。
そして私とは違って誰にも助けてもらえず、夢の世界に逃げ込むことしか出来なかった犠牲者……私がこの手で殺した、鳴海孝之さん。


さらには国崎往人という人物が大切な人、と言っていた相手である神尾観鈴。
今の彼はどのような気分なのだろう。自分が貴子を失ったときのような衝撃を受けているに違いない。
名簿に線を入れていく。もうだいぶ大勢の人たちが死んでしまった。すでに半分、30名以上の人たちがこの島で命を落としたのだ。

「ん……瑞穂、大丈夫か?」
「……ええ、大丈夫。私は大丈夫です」

しっかりしなければ。
惨劇は終わっていない。だけどまだ遅くない。
もうこんな悲しい物語は終わらせるんだ。アルルゥちゃん、茜さん……貴子さん。どうか、見守っていてください。
武さんも春原さんもまだ無事だ。確かに微妙な感情を二人には抱いているけど、それでも無事でいてほしい。

「……あ」
「どうした?」
「いえ……少し。アセリアさん、少し先に行っててもらえませんか? それともここで待ってますか?」
「……? なら、先に進む。ミズホ、すぐに来るか?」
「ええ、もちろん」



569 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:00:51 ID:pWPTB+qh
 

570 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:01:06 ID:X/VjSQpq
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571 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:01:26 ID:kCmTryUL


572 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:02:13 ID:X/VjSQpq
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573 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:02:33 ID:bGvxdFyP
 

574 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:02:39 ID:LfIWP441
怪訝そうな顔をされたが、仕方がない。
せっかく千影さんから替えの制服をもらったのだから、着替えておこう。こんな血塗れの制服では相手を警戒させてしまうかもしれない。
アセリアさんには別に私が……いや、僕が実は男だと明かしても良かったのだけど、それは結局止めることにした。
今の私は鏑木瑞穂ではない。エルダーシスター、宮小路瑞穂なんだ。そう演じると決めた以上、私は女性であることを演じ続ける。

先に進んでいくアセリアさんから隠れるようにして、僕はデイパックから着替えを取り出した。
千影さんから貰った替えの制服を取り出しながら漠然と思う。
アセリアさんを先に行かせたのは正解だったのだろうか。もしかしたらとんでもない間違いを犯してしまったのではないか。


「……っ……」


そんな思いが私の着替えをいつもよりも早くさせた。
すぐに追いつけば何でもないことなのだから。大丈夫、何の問題もなかったのだと心に留めて。
しかし不安はどんどん大きくなる。もしも、もしもだ……アセリアさんの直感の通り、往人という人物がその先にいるのだとしたら。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「………………」
「………………っ」

二人は沈痛な面持ちのまま、参加者の名前にひとつひとつ線を入れていった。
涼宮茜……『アカネ』とアルルゥに呼ばれていたあの少女も死んだ。その後も鳴海孝之、土見稟と名前欄に線を引いていって。

575 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:02:48 ID:kCmTryUL


576 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:02:51 ID:X/VjSQpq
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577 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:03:27 ID:kCmTryUL


578 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:03:31 ID:pWPTB+qh
 

579 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:03:35 ID:X/VjSQpq
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580 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:03:59 ID:bGvxdFyP
 

581 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:04:15 ID:LfIWP441
やがて、最後に二人は二人は震えるような筆記で。
名前はとっくに呼ばれたけど、最後の最後まで線を引かなかった名前を。
聞き逃していたとしても、忘れられなかった犠牲者の名前を。
往人と瑛理子は悔恨と後悔が織り交ぜになったかのような感情を抑えたまま、神尾観鈴の名前に線を引いた。


(美凪も……月宮あゆも、まだ生きている)
(これで残りは半分弱……いよいよ……っ……急がないといけなくなったわね)


悲愴な思いと使命感を胸に、二人は言葉もなく示し合わせたわけもなく、まったくの同時に立ち上がる。
胸に抱くは贖罪。もしくは悲痛な叫びを隠して告げる宣告か。
いずれにせよ、急がなければならないという思いでデイパックを抱き上げ……


「クニサキユキト……っ!!!!」


空気を切り裂く怒号に二人は身を凍らせた。
因果律はこうして正しく機能し、歯車は噛み合って車輪のように廻り続ける。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「お前はっ……!」
「イヤァァアアッ!!!!」


ようやく見つけた、アルルゥの仇。

582 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:04:37 ID:X/VjSQpq
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583 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:04:47 ID:pWPTB+qh
   

584 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:04:48 ID:kCmTryUL


585 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:05:21 ID:LfIWP441
クニサキユキトは私の登場に驚き、同時に懐に手をやる。多分、銃を取り出そうとしているのだろう。
だが、やがて躊躇うように顔を歪め、デイパックから木刀を取り出した。
そんな態度に違和感を覚えたけど、関係ない。敵は倒すだけ。そちらが銃を使わないのなら好都合というもの。

隣には見覚えのないポニーテールの女。同じく私を見て目を見開いているが、彼女には意識を割けない。
きっとクニサキユキトの次の標的に違いない。私の到着が少しでも遅れれば、アルルゥと同じように骸になっていたのかもしれない。
仲間、ということは有り得ない。クニサキユキトが殺し合いを肯定したのなら、仲間を作るなんて有り得ない。
クニサキユキトの姿を見ただけで、アルルゥを殺されたときの破壊衝動が蘇る。永遠神剣に求められたときよりも遥かに上の殺意。

「ぐっ……おおおおっ!!!」

鉄パイプと木刀がぶつかり合う。
あの時は得物が違った。あの時は体調が違った。どれかひとつが対等ならば討ち果たせたはずだった。
今度は違う。得物は鉄パイプと木刀……私にでもこの武器は振り辛いが、これなら互角以上の戦いができる。
今度は倒せる。体調は私が少々の疲労困憊、クニサキユキトは満身創痍でボロボロ……これを見ても互角以上の戦いを為せる。

今度こそ、アルルゥの仇が取れる。
種族が違う。私は戦うために生まれたスピリット、ブルーアセリア。相手はただの人間だ。
何ひとつ負けてなどいないのだから、こちらの勝利は約束されたものと言える。


「ちいっ……!!!」
「……っ」


586 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:05:26 ID:pWPTB+qh
 

587 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:05:34 ID:X/VjSQpq
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588 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:06:08 ID:bGvxdFyP
 

589 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:06:29 ID:X/VjSQpq
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590 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:06:46 ID:bGvxdFyP
 

591 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:07:19 ID:LfIWP441
一合、二合と打ち合う。クニサキユキトは剣の扱いが慣れていないのか、その太刀筋は甘すぎる。
こちらが一方的に攻め、相手がそれを辛うじて受け流し、避けることで致命傷を負わないようにしている。
だけど、こちらの勝利は動かない。
もうクニサキユキトの体は限界だ。何か行動をするたびに、悲鳴を上げているのがはたから見ても分かるのだから。

「アセリアさん、駄目っ……!!」

勝てる、と思ったそのとき……私の背後から糾弾するような叫び声があがった。
それは新しい服に身を包んだ、仲間……ミズホの声だと悟った瞬間、苦い顔をするしかなかった。



     ◇     ◇     ◇     ◇



どうしてこんなことになったのだろう。
私、二見瑛理子はすぐに答えの出るだろう問題への回答を用意できず、ただ佇むだけだった。


「アセリアさん、駄目っ……!!」


混乱する私をよそに、新たに現れる参入者。
どうやらこの戦いを止めようとしているらしい。私は動けなかった。どういうわけか動こうとしなかった。


「ミズホ、止めるなっ……!! こいつはアルルゥを殺したっ……!!」
「お願い、待ってっ……話を聞いてアセリアさん!」



592 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:07:31 ID:bGvxdFyP
 

593 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:08:05 ID:X/VjSQpq
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594 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:08:06 ID:pWPTB+qh
  

595 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:08:08 ID:bGvxdFyP
 

596 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:08:38 ID:LfIWP441
青い髪の女性をアセリア、彼女を必死に止めようとしているのがミズホというらしい。
彼女は私と目を合わせると、一瞬だけ驚いたような顔をして……ようやくそこで私の金縛りは解けた。


「ねえっ、貴女……さっきまで彼と一緒だったでしょうっ!? 彼が何者か知ってる!?」
「ええ、知ってるわ! 何人もの参加者を殺した男……名前は国崎往人。今は主催者に歯向かおうとしている私たちの仲間!」

状況証拠から推測するに、彼女たちは国崎往人がマーダーだった頃、アルルゥという仲間を殺された人たちで間違いない。
その話は聞いていたし、蒼い女騎士と髪の長い女子高生、短い女子高生の話も聞いている。
だから国崎往人を救うために必要な情報は二つ。
私たちは対主催として仲間を集めており、そして国崎往人は殺し合いを止めたということだ。ついでに私たちが彼の罪を知っていることも必須。
仲間を殺されて憤るような人間に、優勝の意思なんてない。ようするに私たちは全員、同じ目的のために動けるはずだ。

「……聞いたでしょう、アセリアさん! 武器をおろし……!」

これで何とかなると思った。
幸い、瑞穂という人物は冷静に戦いを止めてくれようとしている。これならアセリアと言う女騎士も剣を収めてくれるだろう、と。

甘かった。

2m以上もの鉄パイプは下ろされることなく、国崎往人の命を狩るために轟音を立てて振るわれる。
一撃、二撃と迫ってくる凶器。国崎往人は為す術もなく、木刀で受け止めることすら出来ずに押されていく。


「ぐっ、うおっ……!!」

597 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:08:55 ID:bGvxdFyP
 

598 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:09:13 ID:pWPTB+qh
 

599 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:09:30 ID:bGvxdFyP
 

600 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:09:34 ID:X/VjSQpq
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601 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:09:37 ID:LfIWP441

予測ではあるが、国崎往人がここまで持ちこたえているのも奇跡だ。
リーチの長い鉄パイプと木刀。傷だらけの身体は以前につけられた罰の刻印。これでまだ国崎往人が倒されないのは奇跡だろう。
おそらく、以前戦ったときの経験と、アセリアの疲労がだんだん溜まってくることに原因はある。
国崎往人は胸に銃をしまったまま。アセリアが警戒しているのは木刀を圧し折った隙に、銃で狙われることを警戒している。それが踏み込みに二の足を踏ませる。
また、長い鉄パイプを少女が手足のように動かせるはずがない。普通に武器として使用としているのは驚きだが、それでも疲れは溜まってくる。

「ぐあっ……!」
「はぁぁぁあっ!!!」

だが、その全ての理論を青い妖精は一蹴した。
鉄塊は轟々と唸り声を上げながら、国崎往人を追い詰める。一撃、二撃……辛うじて避けた彼の体が軋んでいく。
細かい要素など無意味。どこをどう頑張っても、国崎往人と木刀では体力に先に尽きるのは間違いなく。


「あ……」


目の前で国崎往人が押されている。
当然だ、アセリアと言う名の少女は人間離れした身体能力で鉄パイプを振るい、国崎往人は満身創痍で満足に動けない。
勝てるはずがない。勝算なんて1%もない。これは戦いという名を冠した一方的な断罪だ。

602 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:10:07 ID:pWPTB+qh
   

603 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:10:39 ID:bGvxdFyP
 

604 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:10:42 ID:LfIWP441


国崎往人は見る見るうちに消耗していく。瞳の色は濁り、膝は何度も折れかけ、木刀を振るう腕の力が抜けていく。
表情に宿っている感情は、諦観。
私でなくとも、実際に戦っている国崎往人が一番分かっている筈だ。この戦い、自分に勝機などないということが。

「アセリアさん……話を聞いて。その人は……!」
「殺し合いをやめた……だからどうした!」

慟哭のようなアセリアという少女の叫び。
低い声色のはずなのに、それは確かな悲しい音色となって私たちの耳に響く悲痛な歌声へと変わっていく。


「殺し合いをやめればアルルゥは帰ってくるのか……? 皆、帰ってくるか?
 違う……帰ってこない……死んだ人間は生き返らない……アルルゥも、カルラも、アカネも、エスペリアも……誰も!」


その言葉に胸が痛む。私もまったく同じ気持ち……たとえ国崎往人が人殺しをやめたとしても、観鈴が帰ってくるわけじゃない。
たった一言、慟哭のような叫び。それだけで瑞穂は悔しそうに俯いてしまった。
もはや瑞穂にもアセリアは止められない。それが分かったのか、もはや瑞穂は何も言おうとはしなかった。
この人にしても国崎往人は仲間の仇。この戦いに加勢する理由はあっても、助けようとする義理など一切存在しない。



605 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:10:51 ID:X/VjSQpq
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606 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:11:05 ID:pWPTB+qh
   

607 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:11:53 ID:LfIWP441
「…………っ……く」

アセリアの叫びは国崎往人の顔を悲しみに歪ませる。

エスペリア……国崎往人が殺した五人の少女の内の一人。アルルゥだけではない、さらにもう一人知り合いを殺されていることになる。
アセリアがそのことを知っているかは知らない。だけど、もし知っているのなら……もしくは知ってしまったら、もうこの戦いは止まらない。
因果応報という言葉がある。善悪のふたつで考えられる四文字熟語。
それが国崎往人に突き刺さろうとしていた。犯した罪の報いを受けよ、と。豪腕が操る鉄の凶器は絶え間なく国崎往人を打ち据えようと唸り声を上げる。


「クニサキユキトッ……お前はこの手で切り伏せる……!」
「………………っ」


言葉を言霊に変えて振るわれた一撃。
今までで一番速く、一番鋭く、一番力のこもった一撃。それほどの膂力、2mもの鉄パイプはもはや鉄塊と変わらない。
それを木刀などという装備で受け止められるはずもなく。まして、国崎往人の身体では受け止める力も避ける力もなかった。


ボキリ、と鈍く嫌な音が響いて。
ここに勝敗は国崎往人の敗北で決しようとしていた。



     ◇     ◇     ◇     ◇


608 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:11:55 ID:bGvxdFyP
 

609 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:12:04 ID:X/VjSQpq
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610 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:12:31 ID:pWPTB+qh
 

611 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:13:04 ID:LfIWP441


「が――――はっ、ぐぁ……ごほ」


盾にした木刀は完膚なきまでに破壊され、その威力に俺は地面に這いつくばった。
一撃で吹き飛ばされ、ごろごろと転がったらしい。アセリアというらしい女は少し離れたところに立っていた。

「ごほ、ごほ……ぐっ、は……はは」

やっぱりダメだった。
最初から勝てる相手じゃなかった。万全に近い状態でも勝てなかったのに、こんな身体で退けようだなんて虫が良すぎたらしい。
しかも愛銃のコルトM1917は懐にしまったまま。人殺しはもうしたくない、それを思うと殺人鬼の象徴だったこれはもう使えなかった。
だけど、笑いが零れてくる。まるで麻薬のような高揚感……否、これはむしろ安堵感というものだろうか。
敗れ去った俺の心を占めているのは、たったひとつ。


(これで、死ねるのか……)


結局、どんなに美辞麗句を背負ったところで、俺にはもう罪を償う資格すら存在しなかったのだ。
あまりにも人を殺しすぎた。あまりにも償いきれない罪を犯しすぎた。
目の前の青い妖精が断罪を宣言した。つまり、生きる価値はもはやない、と。罪を償うことすらも許されないのだ、と。
終わったんだ、何もかも。
俺ができることはもう、ひとつしかない。この罪を完全に清算すること。知りえないまま、架空の仇をこの少女が捜しに往かないように。



612 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:13:15 ID:bGvxdFyP
 

613 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:13:42 ID:X/VjSQpq
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614 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:14:04 ID:pWPTB+qh
   

615 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:14:18 ID:bGvxdFyP
 

616 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:14:21 ID:X/VjSQpq
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617 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:14:27 ID:LfIWP441
「お前はこれから、どうするんだ……?」
「……これから?」
「俺を殺した後だ。そこの女も殺すのか?」
「……殺さない。お前とエスペリアを殺した相手は切るけど、それ以外は」
「…………なら、いい」

もう、青い妖精は真上に迫っていた。蒼穹の死神はゆっくりと鉄パイプを振り上げる。
俺がこれから吐く言葉によって、それは確実に振り下ろされるだろう。
多くの少女を殺してきた因果が、こんなところで果たされることになるとは思わなかった。罪には罰、それが正しい摂理ならば。


「知ってるか? エスペリアも俺が殺した。アルルゥの姉も俺が殺した」
「っ――――――!」


絶対的優位に立ち、少しは収まっていた殺意が急激に膨れ上がるのを感じた。
これで王手。アセリアは瞳孔が開いたまま、無表情の中に僅かな怒りを混ぜながら両手に力を込めた。
一秒後の死。俺はすべての罪悪を背負うような心境で瞳を瞑り、断罪を受け入れた。



その直前。
一発の銃声が鼓膜を震わせた。



     ◇     ◇     ◇     ◇


618 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:14:50 ID:bGvxdFyP
 

619 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:15:06 ID:X/VjSQpq
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620 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:15:40 ID:LfIWP441

勝敗は決した。
国崎往人は下馬評を覆すことはできず、傷だらけの身体をさらに傷つけられながら倒れ伏す。
アセリアという人物は強い。きっと参加者の中でも最強クラスの一人だろう……その戦闘力は実践を経験しないと得られないほどの。
全員の視線は国崎往人に向かっていた。アセリアも、瑞穂も、そして私も。


「………………」


国崎往人の懺悔の言葉に、心臓が裏返るほどの強い何かが走った。
アセリアの瞳が憎悪に揺れる。それよりも早く。
そして私の心もまた醜くなっていく。この窮地、その状況において全てを諦めてしまったのか。


もう一度、自分の心に自問する。アセリアが怒りで鉄パイプを振り上げる姿がとてもゆっくりだ。
私は国崎往人をどう思っているのか。
考えるまでもない。誰よりも何よりも憎むべき存在だ。許さない、私の友達を殺した。
今なら間違いなく、私が手を汚すことなく消えてくれる。でも私にはそれすら許容できないことに思えた。
どうせ死ぬなら自分の手で殺したい。今ならハクオロも悠人さんも……誰も私を止めようとはしない。これが最初で最後のラストチャンス。


「……あは」



621 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:15:53 ID:pWPTB+qh
 

622 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:16:00 ID:X/VjSQpq
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623 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:16:13 ID:bGvxdFyP
 

624 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:16:50 ID:LfIWP441

そんな考えは全て無意味だった。
だってアセリアが怒りを露にするよりも、国崎往人が罪を懺悔するよりも、そう、圧倒的に早く。この右手には銃が握られていたのだから。
考えることなんてない。だって思考よりも先に行動、だなんて私らしくないスタイルで銃を構えているのだから。
ああ、テンションとやらに身を任せるのも悪くない。黒い心、醜い心が溢れ出しそうでしょうがない。今の私に冷静な判断なんて出来ない。
乾いた笑いに瑞穂さんが気づき、驚いた。止めようとしているが間に合わない。そう、アセリアが武器を振り下ろすよりも早く私は引き金を引けばいい。


「やっぱり私、許せないわ」


言葉に可能な限りの憎悪を乗せて。この毒々しい思いを届けるかのように。
誰も止めない、止めることの出来ない状況下の中、私はトカレフの撃鉄をハンマーで叩くような勢いで撃った。



ダァンッ!!!



「……なんの、つもり?」



鉄パイプは振り下ろされることなく、そのまま力なく降ろされる。
アセリアは忌々しげに群青色の瞳を私に向けている。私は硝煙の匂いに顔をしかめながら、その眼光を受け流していた。

625 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:17:26 ID:X/VjSQpq
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626 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:17:40 ID:pWPTB+qh
 

627 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:18:18 ID:X/VjSQpq
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628 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:18:22 ID:bGvxdFyP
 

629 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:19:13 ID:X/VjSQpq
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630 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:19:14 ID:LfIWP441
私はトカレフを構え、発砲していた。アセリアと国崎往人の間に、銃弾を割り込ませるように。
初めて撃った銃の感触は重く、うまく撃つことができるかは不安だったけど、結果として鉛弾は二人の仲介をするように通過していった。


「許せないのよ、私は」


アセリアは邪魔をした私を今にも殺してしまいそうなほど、睨んでいる。彼女にすれば狙われたのは自分なのだから当たり前だ。
困惑する瑞穂も、アセリアも無視して私はあの男に語りかける。


「こんなところで死ぬなんて許せない、このまま殺されることで罪をなかったことにされるなんて許せない」


この中で一番驚いた顔をしているのは、間違いなく私に糾弾されているあの男。
私の思考は感情で埋め尽くされている。そう、私は今……暴力的な感覚に身を任せてしまったいるのだ。


「立ち上がりなさい、国崎往人っ!!! こんなところで死んでっ……勝手に自分の罪を清算しようとするなんて許せないっ!!」


絶対に許してなんかやらない。
観鈴が何のために命を懸けたのか、分からなくなってしまう。何のために私の友達が死んでしまったのか、わからなくなる。
自分勝手に許されようとする根性が気に食わない。観鈴が自分の命を代償にして改心したのなら、このまま何も為さずに死ぬなんて許されない。
忘れたというなら、思い出させてあげよう。私らしくもない絶叫、観鈴の願い事をここに。



631 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:19:27 ID:pWPTB+qh
 

632 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:20:09 ID:kCmTryUL


633 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:20:11 ID:X/VjSQpq
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634 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:20:50 ID:LfIWP441

「観鈴が最期に貴方に求めたのは何だったのか、思い出しなさいっ!!!!」



私らしくもない言葉を、全身全霊で叫んでいた。



     ◇     ◇     ◇     ◇



『観鈴が最期に貴方に求めたのは何だったのか、思い出しなさいっ!!!!』


がつーん、と頭をハンマーで殴られたような衝撃に、俺は眩暈がした。
アセリアと呼ばれた女は振り上げた鉄パイプを下ろし、二見を警戒するように睨み付ける。二見は同じくアセリアを睨み付けた。
しばらくの睨み合いが、俺に僅かな猶予を与えた。状態を冷静に、瞬時に把握する。
今の突きで肋骨が骨がまた一本、折れたような気がする。全身が動かせないほどの激痛で、情けなく地面に転がっていた。


(観鈴が、俺に求めたこと……ああ、そうだった)


思い至った瞬間、身体に力が沸いてきた。比喩ではなく、本当に。まるで誰かに応援されているような気分だった。
掌を握り、開く。左手はまったく動かないが、右手は俺の思い通りにまだ動く。
途端に、可笑しくなってしまった。歪む口元が押さえられない。近くにいるアセリアに気づかれないように心の中で俺は笑っていた。



635 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:21:00 ID:X/VjSQpq
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636 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:21:05 ID:bGvxdFyP
 

637 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:21:53 ID:pWPTB+qh
  

638 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:21:53 ID:kCmTryUL


639 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:21:57 ID:X/VjSQpq
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640 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:22:02 ID:LfIWP441

(なんだ)


観鈴が求めた願い、最期に指切りをしたときの誓い、涙を流したまま愛した人の前で俺は約束した。
今まで頑張ってきた観鈴の代わりに困ってる人を助ける。人殺しはもう絶対にしない。
だってあいつが願ったから。大好きな神尾観鈴が死の間際に儚く笑いながら言ったんだから。
罪を償って、と。幸せにずっとずっと笑って生きて、と。自分を撃った大莫迦野郎に恨み言のひとつも言わず、観鈴はただ俺の幸せだけを願っていた……!


(俺は、莫迦だ)


左腕は死んでいる? ――まだ右腕が残っているだろう。以前もそうやって戦っていただろう。
全身打撲で動けない? ――我慢できないことじゃない。動けないなんて甘えは許されない。
こんな満身創痍では目の前の少女には敵わない? ――そんな弱気なら最初から勝てるはずがない!



(まだ、この身体は動くじゃないか――――!!)


立ち上がれ、国崎往人。銃なら懐に入っている。
今まで何人もの少女がこの凶器によって、この俺の手によって命を奪われた。最初期から俺と共にあった武装。
だが、今度こそ俺は人を救う。この銃も人を救う道具となる。人殺しの仮面は剥がれたんだ。

641 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:22:31 ID:kCmTryUL


642 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:22:41 ID:pWPTB+qh
 

643 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:22:44 ID:X/VjSQpq
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644 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:23:23 ID:bGvxdFyP
 

645 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:23:24 ID:LfIWP441
激痛が全身を襲うが、そんなことはどうでもいい。痛みを感じられるのなら……まだこの身体は動いてくれる。
人殺しのためには全力で動けた身体だ。だったら、人助けでも全力で動かなければ割に合わない。そうでなければならない。


俺は、いつの間にか銃を握ったまま立ち上がっていた。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「っ……!!」


アセリアは驚愕した。目の前の青年に目を見開いた。
本当に酷い状態だ。左腕は不自然に折り曲がり、もう動くことはないだろう。己の血と殺してきた者の返り血に染まった彼は修羅にすら見える。
だが、瑞穂にはそうは見えなかった。数時間前に戦った往人は、紛うことない羅刹の者だったはずだ。

それが今はどうだ。血だらけで戦うその姿には恐怖するし、困惑する。それは変わらないのに……どうしてその姿が尊いなどと思ったのだろう。


「立ち上がるのなら……また、倒すだけっ……!!」
「……来いっ!」


再び戦いが始まった。往人は銃を構え、アセリアは鉄パイプを振るっている。
二見瑛理子は自分にできることを模索する。銃に慣れていない者がトカレフで援護するなんて自殺行為だと理解している。

646 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:23:50 ID:X/VjSQpq
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647 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:24:01 ID:kCmTryUL


648 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:24:09 ID:pWPTB+qh
 

649 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:24:47 ID:LfIWP441
ならば、自分ができることなどひとつしかない。それまで往人には持ちこたえてもらわなければ。


「私の名前は瑛理子、二見瑛理子よ。瑞穂、でよかったかしら?」
「……はい。瑛理子さん、貴女は」

若干、警戒している様子の瑞穂に向かって、瑛理子は自分の唯一の武装である銃を放り投げた。

「は……?」
「抵抗する気なんてないわよ。殺し合いに乗っていないもの同士で殺しあうなんて、馬鹿馬鹿しいでしょ?」


両手を軽く挙げながら、瑛理子は薄く笑う。
その言葉は展開次第ではこれから戦おうとしていた瑞穂を嗜めたのか、それとも未だ憎しみに囚われているアセリアへ向けたものか。
強い、意志のある瞳を瑞穂は覗き込む。瑛理子はポニーテールを風に流しながら。


「だから協力して。こんな馬鹿げた茶番劇は終わらせるわよ」


不敵な表情で、そんな言葉を口にした。



     ◇     ◇     ◇     ◇



650 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:24:57 ID:pWPTB+qh
  

651 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:25:07 ID:X/VjSQpq
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652 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:25:10 ID:kCmTryUL


653 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:25:29 ID:bGvxdFyP
 

654 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:25:38 ID:LfIWP441

(こいつが……この男が……!)


アルルゥだけじゃない。
エスペリアもアルルゥの姉も殺していた。それだけの悲しみを振り撒いていた。
もう一切の躊躇もしない。辞世の句とやらを残す暇すら与えない。アルルゥたちが味わった痛みを少しでも味わわせてやる。


(くっ……体が思うように、動かない……)


またもや疲労は溜まる一方だ。
クニサキユキトが構えた銃。軌道も見えるし、十分に避けられる。間違いなく、以前に戦ったときよりも弱い。
それでも仕留め切れないのはこの疲労という名の蛇のせいか。ミズホの言うとおり、体力の回復はしておくべきだったのかもしれない。
だけど、目の前には明確な敵がいる。退く理由はない。一撃で、一撃で決めてやる。
でも、武器が重い。一振りが遅いからクニサキユキトも避け続けられる。こんなとき、『存在』があればこの程度の敵―――!



     ◇     ◇     ◇     ◇




655 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:26:00 ID:pWPTB+qh
  

656 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:26:03 ID:X/VjSQpq
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657 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:26:05 ID:kCmTryUL


658 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:26:30 ID:bGvxdFyP
 

659 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:26:35 ID:LfIWP441

(俺はもう、立ち止まらない)


右手に構えた相棒、コルトM1917の引き金を引く。
多くの人間がこうすることで死んでいった。エルルゥ、佐祐理、エスペリア、アルルゥ、そして―――観鈴。
彼女たちにどう償えばいいのだろう。そんな疑問と罪悪感が常に胸を軋ませた。
きっと俺を恨むだろう。天国というところがあるのなら、きっと俺は地獄行きだ。死んで詫びることすえ出来ないだろう。


今、ようやく思い知った。俺はどうして人殺しを肯定したのかを。
俺は観鈴のため、という大義名分の下に罪を重ねた。つまり譲れない物、護りたい者、俺なんか蚊帳の外におけるような大切なもののために。
だから殺してきた少女たちの再三の説得にも応じなかった。そうして人殺しを続け、そんな無様な人形劇をあいつは止めてくれた。
罪を償うために、観鈴の最期の願いを果たすために……そう心に言い聞かせてきたはずだ。
だけど、心の何処かで俺はきっと終わっていたのだ。どうしようもない無力感と押し潰されそうな罪の意識。それが俺から生きる気力を失わせていた。



『立ち上がりなさい、国崎往人っ!!! こんなところで死んでっ……勝手に自分の罪を清算しようとするなんて許せないっ!!』



それを、あいつが吹き飛ばしてくれた。
まるで脳天に鉛弾を受けたかのような衝撃。俺のあり方、その存在全てを叱咤する叫び。
今更ながらようやく、自分は莫迦だったのだ、と思い知った。

660 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:26:43 ID:pWPTB+qh
 

661 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:27:09 ID:X/VjSQpq
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662 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:27:50 ID:bGvxdFyP
 

663 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:27:53 ID:LfIWP441
さっきまでの俺、倒れて全てを諦めていた国崎往人に問おう。
観鈴の最期の求めは、お前にとってその程度だったのか? 命を捨ててまで目を覚まさせてくれたあいつの言葉はそれだけしか響かなかったのか?

エルルゥ、アルルゥと家族同然だったハクオロは逢って一日も経っていない観鈴の言葉を受け入れた。
本当は殺してやりたいほど憎んでいるのに。
エスペリアと戦友だった国崎往人は、そんなハクオロの決意を無駄にしないために鉄拳だけで俺を許した。
それだけで済ませたくはないだろうに。
佐祐理の知り合いにはまだ逢っていない。謝罪しなければならない。こんなにやることがあるのなら、心を空虚にしている暇なんてないはずだ。


「イャァァァアアアッ!!!!」
「うぉぉおおおおおっ!!!」


観鈴、お前には謝らないといけない。また約束を破ろうとした。もうそんなことはしない。
二見、お前には感謝をしてもしたりない。俺は見捨てられても文句は言えなかった。それなのに助けてくれて、大切なことを思い出させてくれた。
俺は死ねない。ゲームの参加者を一人でも多く助けるまでは死なない。
罪は償う。多くの人たち、困っている人たちを助ける。主催者を打倒する、どんな甘言も受け入れない。
そうして全てが終わった後、俺はお前の母親に謝りに行く。もしそれでもまだ生きていたなら……今度は困っている人を助けるための旅を始めるよ。


「ぐあっ……ぁ、まだだぁぁああああっ!!!」
「っ……しつこい……イャァァアアッ!!!!」


だからどんなにボロボロになろうとも、俺は生き残る。もちろん優勝という形ではなくて、仲間と脱出という形で。
見ていてくれよ、観鈴。最期の願いだけは必ず聞き届ける。
だからここで命を謙譲してやるわけにはいかない。
俺はアセリアから距離をとるためにコルトM1917を構え、引き金に指の力を入れて発砲。警戒したアセリアは再三に渡る距離を――――

664 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:28:09 ID:X/VjSQpq
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665 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:28:31 ID:kCmTryUL


666 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:28:41 ID:bGvxdFyP
 

667 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:28:57 ID:X/VjSQpq
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668 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:28:58 ID:pWPTB+qh
 

669 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:29:30 ID:LfIWP441

「っ……ヤァァァアアアッ!!!」
「莫迦なっ……!?」


取らなかった。距離を一気に詰められ、2mもの巨大な鉄パイプが宙を舞う。
莫迦な、唯一の武器を放り出すなんて。そんな驚愕、その隙をアセリアが見逃すわけがない。
コルトM1917を構える。このままでは殺されるという判断で、アセリアの胴体部分に狙いをつけようとして……止めてしまった。
以前の俺のように率先して殺して回る奴ならともかく、こいつは正しき怒りを胸に俺の命を奪おうとしている。その一瞬の停滞が勝敗を分けた。


アセリアの腕が銃を掴んでいた俺の右手を掴み、そのまま捻りあげられる。
からん、と敗北を告げる音。銃を取りこぼし、そのまま俺は地面に倒される。アセリアも俺も共に武器はない。
だが、現実は残酷で俺の予測は間違いだらけで、そしてどうにも上手くいかない。せっかくの誓いがこうして崩されようとしている。

アセリアの服に仕込まれていたのは、短い鉄串。以前酷使したことで折れた鉄串よりも短い……ただのナイフよりも使えない支給品。
それが今はどんな凶器よりも危険なモノに見える。
どんなに脆弱な武器だろうが、アセリアの膂力で首に突き刺されてはどうしようもない。
そして往人にはそれを防ぐ手段はなかった。押し倒されたまま、唯一動く右腕を封じられ……そのままトドメの一撃を享受する。


両腕が使えないが―――――まだ両足が残っているだろう!


咄嗟の判断で右足をアセリアの腰にぶつける。僅かに体勢が揺れ、鉄串は僅かに右に逸れて頬を削ぐ。
次は頭だ。右腕に込められた力が緩むの同時に振り払い、アセリアの青い瞳めがけて頭突きを食らわせた。
低い悲鳴、脳震盪を起こした刹那のタイミングでアセリアのわき腹に拳を叩きつけた。空気を吐くような呼吸と共にぐらりとアセリアが横に吹き飛ぶ。

670 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:30:13 ID:pWPTB+qh
 

671 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:30:15 ID:X/VjSQpq
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672 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:30:22 ID:kCmTryUL


673 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:31:02 ID:X/VjSQpq
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674 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:31:30 ID:LfIWP441

「悪あがき……っ!!」
「届けっ……!!!」


馬乗り状態になっていたアセリアを退かし、地面に落ちた愛銃コルトM1917に手を伸ばす。
それを許すアセリアではなかった。弾き飛ばされた反動で後退し、そのまま一度は放棄した鉄パイプを拾うと、それで銃に手をやる俺を牽制した。
動けなかった。銃はもう間に合わない、だったらあの鉄パイプを回避する方法を模索しなければ―――――



そこでようやく、この戦いは終わりを告げた。



時間切れ、タイムリミットだ。俺が最後まで信じた、アセリアに唯一勝てる最期の賭け。
アセリアの鉄パイプは髪の長い女子高生―――瑞穂と言ったか―――が構えた斧によって受け止められ。
そしてアセリアの背後には、トカレフをアセリアの後頭部に突きつけた二見の姿があった。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「ミズホ……? どうして……?」
「アセリアさん……私の誓いは殺し合いを、こんな悲しい出来事を終わらせること、です……」
「だからっ……今こうしてクニサキユキトをっ……ユートやハクオロが臆病風に吹かれて、こいつを殺さないならっ……!」


唯一の味方にさえ邪魔をされて、アセリアは親に食って掛かる子供のように喚いた。
その言葉、数々の尊い決意。私情を捨てて願いを取った彼らを侮辱するような言葉に、とうとう彼女は切れた。

675 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:31:36 ID:bGvxdFyP
 

676 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:32:04 ID:X/VjSQpq
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677 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:32:17 ID:kCmTryUL


678 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:32:23 ID:pWPTB+qh
   

679 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:32:28 ID:bGvxdFyP
 

680 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:32:33 ID:LfIWP441

「まずは貴女からね」


バチン。
右の頬を何の脈絡もなく殴られた。


「次に……往人、貴方」
「ぐふあっ!!?」


文句を言おうとアセリアは瑛理子に振り向くが、そこでは敵対している往人が同じように殴られていた。
若干、威力が自分よりも高い。パーじゃなくてグーだった。味方じゃないのか、などと様々な疑問に思考が硬直した。
その隙を狙ったのか、はたまた偶然か。瑛理子はもう一度アセリアのほうへと歩み寄って。


「そして、もう一度、貴女よ」
「っ……つっ!」


右の頬を叩いたのなら左の頬も叩いておかなくては。
そう言わんばかりにもう一撃、平手打ちを左頬に食らって、さらに混乱するアセリアに追い討ちをかけた
瑛理子はアセリアの青い瞳を真っ直ぐに見据えながら、言葉を選んでゆっくりと語りかけた。

681 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:33:01 ID:X/VjSQpq
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682 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:33:08 ID:kCmTryUL


683 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:33:21 ID:pWPTB+qh
 

684 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:33:27 ID:bGvxdFyP
 

685 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:33:28 ID:LfIWP441


「……ねえ貴女、アセリアって言ったかしら。貴女はどんな気持ちで私が往人と一緒にいると思う……?
 貴女、言ってたわよね? 仲間をこいつに殺されたって。私もよ。私は数時間前、ここで出逢った仲間で、大切な友達だった人を往人に殺された。
 第三回放送、聴いたでしょ?神尾観鈴……いつも笑顔で、明るくて……私たちのチームの太陽のような存在だった……」



息が詰まる思いだった。
瑛理子の言葉には残酷な現実と事実だけを真摯に伝えようとする感情。
どれほど観鈴という人物を大切に思っていたのか、それが痛いほどに伝わってきてアセリアは一歩、後退していた。



「ねえ、貴女はどう……?往人に殺された人は、大切な人だった?」

「エスペリアは……私の戦友だった。スピリットだから、戦って死ぬことも当たり前だったけど……それでも殺した奴が、憎い。
 アルルゥは私に、戦い以外のことを教えてくれた……空虚だった私に、感情を教えてくれた。
 殺されていいはずがなかった。まだ子供で、私たちスピリットとは違って人間で、これからの未来があったのに……クニサキユキトはそれを奪ったっ……」



それはきっと宝物だった。
カルラに諭されて戦い以外のモノの存在を示唆されてから、探していたそれをアルルゥは教えてくれた。
あの蜂蜜の味は格別だった。エスペリアが甲斐甲斐しく作ってくれたシチューと同じ、暖かい何かがそこにあったのだ。
なんと言う皮肉か。あれほど関心を見せなかった日常が、こんなにも大切な宝物になろうとは。

686 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:33:54 ID:pWPTB+qh
   

687 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:34:04 ID:bGvxdFyP
 

688 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:34:26 ID:X/VjSQpq
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689 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:34:44 ID:bGvxdFyP
 

690 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:35:09 ID:LfIWP441


「話は変わるけれど。神尾観鈴はね、国崎往人が命を捨ててでも護りたい人だった。この意味がわかるかしら?」


この言葉には驚くしかなかった。
アセリアは往人が殺し合いをする理由を知らなかった。知る必要がないと思っていた。敵なら、倒すだけなのだから。
命を捨ててでも護りたかった、つまり観鈴を優勝させようとした……なのに、その彼女を往人が殺す理由といえば。

「土壇場で自分の命が、惜しくなったのか……」
「違う……」

往人がそればかりは違う、と否定する。
確かに馬鹿馬鹿しい愚かな選択だったが、それでもそれを冒涜されることは殺してきた少女たちにも失礼だと思った。
何より、その答えだけは勘違いさせるわけにはいかなかった。それだけは絶対に違うと否定しなければならなかった。

「違わない、きっとそうだ……優勝させたいなら、何でそのミスズを殺す……こいつは結局自分が一番可愛くてっ……!」
「「違うっ!!!」」


今度はもっと強い否定。それが二人分、一喝するようにアセリアに言葉の波をぶつけた。
それだけは言わせてはならない。
どんな汚名を引き受けても、どんな罪状を被ろうとも、それだけは真っ向から否定しなければならないことだ、と思った。
往人と瑛理子、二人分の拒絶にアセリアの体が小さく震えた。




691 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:35:14 ID:X/VjSQpq
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692 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:35:16 ID:bGvxdFyP
 

693 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:35:20 ID:kCmTryUL


694 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:35:26 ID:pWPTB+qh
 

695 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:36:01 ID:X/VjSQpq
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696 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:36:27 ID:LfIWP441

「観鈴はね……自分の命を懸けて、往人を改心させたのっ……私の仲間を庇って銃の前に飛び出して、そのまま」
「……!」


それはアルルゥの死に際とまったく同じ。今度はアセリアだけでなく瑞穂までが震えた。
瑛理子は畳み掛けるように、切々と言葉に感情を乗せないように。語りかけるように、問いかけるように言霊を紡いでいく。


「そのとき、自分を撃った相手を見ながら、観鈴は何て言ったと思う? 往人に対する恨み言を言ったんだと思う?
 違うわ……『これからも笑ってください……ずっとずっと幸せに……笑顔で……生きてください』……そう言ってた。

 自分を撃った恨み言もなく、ただ往人に殺し合いをやめさせるために。最期の間際で指きりをして、もう人殺しなんてしないって。
 この願いを、死んでしまう直前で残した求めを……アセリア、貴女に否定する権利があるとでもいうの?

 いいえ。貴女に往人を殺す理由があったとしても、観鈴の最期の願いを殺す権限なんて存在しない。
 あったとしても、そんなことは私が許さない。往人には罪を償ってもらう、何人もの人を殺した罪悪感でボロボロになっても、生きていてもらうわ」


それが観鈴の亡き骸の前で、葬るときに誓った瑛理子の決意。
往人を生かしきる。死んでも、殺されても恨み言ひとつ漏らさないで『笑ってください』と言った観鈴の願いを生かしきる。
それを殺す存在なんて赦さない。それが観鈴のために、親友のために何ひとつできなかった瑛理子が決めたこと。


「だがっ……クニサキユキトは、アルルゥとエスペリアの仇っ……許すことなんてできない!」
「私だって許さない。簡単に許してなんかやらない。貴女も私と同じように、彼を永遠に許さなければいいわ」


吐き捨てるように言い放って、瑛理子は往人のほうへと視線を向けた。
手を差し伸べて立ち上がらせながら、瑛理子は短く言葉を投げかける。これだけで十分だろうという信用のもとに。

697 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:36:50 ID:pWPTB+qh
 

698 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:37:32 ID:bGvxdFyP
 

699 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:37:48 ID:kCmTryUL


700 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:37:51 ID:X/VjSQpq
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701 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:38:25 ID:LfIWP441


「往人。今、ぶたれたことに関して文句はある?」
「いや……ない。助かった」


あの言葉がなければ、瑛理子の助けがなければ、今頃間違えたまま殺されていた。
これでは観鈴にも、殺してきた少女たちにも怒られてしまうだろう。
中途半端な覚悟。そんなもので他人を救おうなどという呆れ果てた偽善。瑛理子は弱音を吐いた心を律してくれたのだ。


「じゃあ、殴られた理由はわかる?」
「ああ。俺はまた、逃げようとしていた……分かっている、今のは俺が何もかも悪い」


まったく莫迦な話だった、と独白する。結局のところ折れた心のまま戦っていたのだから。
それを強引にでも戻してくれた瑛理子に感謝しながら、今度こそ国崎往人としてこの言葉を宣誓する。
正真正銘、それが国崎往人の誓い。


「生きて、生きて、生きて。笑って幸せに生きる。観鈴との約束を護り続ける。今度こそ、絶対だ」


その瞳を覗き込み、何の不純物もない決意に満ちた表情に瑛理子は満足そうに頷いた。


「待て……幸せに生きるなんて、それも私は許したくない……
 アルルゥの幸せを奪っておいて、未来を奪っておいて、お前が幸せに生きるなんて私は認めたくない!」



702 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:38:52 ID:bGvxdFyP
 

703 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:39:10 ID:pWPTB+qh
   

704 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:39:10 ID:X/VjSQpq
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705 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:39:24 ID:mA4tpTNQ



706 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:39:35 ID:LfIWP441

だが、その誓いをアセリアは認めない。それを認めてはならない、と感情が氾濫するように訴えている。
だって幸せに生きる権利なら、皆が持っていた。
アルルゥもその姉も、自分やエスペリアと違って無限の可能性と未来があった。幸せに生きていいはずだった。
それを奪った往人が幸せに生きるなんて、アセリアは感情的に赦したくなかった。それがこの場において、間違っていると直感しながら。


「アセリアさん。どうして、貴女だけが二度も平手打ちを受けたか、分かるかしら?」
「…………?」


だが、それを窘めたのは他でもない、仲間の瑞穂の言葉。
予想外の方向から来た反論と、不可解な行動に対する問いかけにアセリアは首を傾げるしかなかった。



「アセリアさんは、話を聴かなかったでしょう? ハクオロさんの話も悠人さんの制止も、憎しみに押し潰されていて聴こうとしなかった」
「ん……」
「今なら私も冷静に考えられるわ。ねえ、アセリアさん……私たちはアルルゥちゃんが殺されて、悔しい。それは当然ね?」

もちろん、と言わんばかりに首肯する。
今更、確認する必要もない。そもそも悔しくなければここまで往人を目の仇にはしない。
瑞穂もそれを分かっているからこそ、感情を前提にした説得を展開する。




707 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:39:46 ID:kCmTryUL


708 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:39:47 ID:bGvxdFyP
 

709 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:39:56 ID:X/VjSQpq
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710 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:40:00 ID:mA4tpTNQ



711 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:40:26 ID:bGvxdFyP
 

712 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:40:52 ID:X/VjSQpq
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713 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:41:02 ID:bGvxdFyP
 

714 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:41:05 ID:LfIWP441
「この島で初めて出逢った私たちでさえ、これなの。娘のように思っていたアルルゥちゃんを殺されて、ハクオロさんはどんな気持ちだったかしら?」
「それは……」


アセリアには分からない。否、以前なら分からなかった。
それはきっとエスペリアを殺されたときの気持ち……もしくはそれよりも遥かに上を行くほどの憎悪だったはず。
空虚な心にたくさん蓄積した善悪の感情が、濁流のように唸ってアセリアの心を散り散りにしていく。


「観鈴を誤射で殺してしまって、往人はそのことに絶望して自殺しようとした。それをハクオロが止めたわ。
 ハクオロはね、アルルゥって娘だけじゃなくて……家族同然だったエルルゥも殺されてるの。当然、恨みなんていう言葉じゃ言い表せないほどに憎いわよね。
 それでも、その憎悪すべてを飲み込んで、彼は決断した。観鈴の最期の願いを取るって……この経験、アセリアにはないのかしら?」

「っ―――!」


ある。
戦いだけしかない、という考えをすべて放棄して、アルルゥの最期の言葉を受け入れた自分がいた。
それと同じように、ハクオロは仲間の最期の願いを受け取って、その憎しみを飲み込んだのだとしたら。


「悠人さんは思いっきり殴り飛ばしたわ。それこそ、睨むだけで人を殺せそうなほどな怒りの表情だった。
 それでチャラ。たとえ往人を殺してもエスペリアは生き返らないって。
 ハクオロが自分の本心を押し殺しているのだから、自分が好き勝手することはできないんだって」

「あ……」

715 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:41:39 ID:bGvxdFyP
 

716 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:41:42 ID:mA4tpTNQ




717 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:42:08 ID:pWPTB+qh
 

718 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:42:24 ID:bGvxdFyP
 

719 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:42:38 ID:LfIWP441
そして悠人はその心を汲み、この抑えがたい怒りを飲み込んで国崎往人を許したのだと言うのなら。
つまり、誰の言葉も受け入れようとしなかった自分だけが愚かだっただけの話。
ただ、持て余した感情を何かを恨むことで発散させようとしていた。考えようとはしなかった。それが楽だったからだ。
目の前でアルルゥを殺した国崎往人という、明確な悪を前にして。昔の戦いだけの心に身を委ねようとしていた。それが間違いだと気づかずに。


「貴女はどうするの、アセリアさん。それでも往人を殺そうとする?
 何の意味もない殺し合いをまた、するというなら……今度は私も戦うわよ? もちろん、殺し合いを止めるために動く瑞穂も同じ」

「アセリアさん……もう一度、アルルゥちゃんの言葉を思い出してほしいの。
 彼女が最期に何を望んだのか……私のせいで、その願いを叶えて上げられなかった茜さんのことも。約束を護るという尊さを」



アセっちが戦うのは嫌――――どういうわけか心を惹かれた森の娘の最期の遺言。
泥水を啜ってでも生き延びてやる、と。そう誓ったのに約束を護れなかった茜を見て、酷くアセリアは悲しんだ。
無念だっただろう。茜を殺したあの鳴海という男と同じようなことを、自分はしているのだとしたら。
愚かだったのは自分で、約束を破ろうとして、悠人やハクオロに酷い言葉を投げつけて。そうして一人で無心に踊っているだけだったのか。


「皆……ずるい」


からん、と乾いた音と共に鉄パイプがアセリアの腕から離れ、自然法則に従って地面に転がる。

720 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:42:45 ID:X/VjSQpq
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721 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:42:57 ID:bGvxdFyP
 

722 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:43:02 ID:kCmTryUL


723 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:43:14 ID:mA4tpTNQ




724 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:43:23 ID:pWPTB+qh
 

725 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:43:41 ID:X/VjSQpq
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726 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:44:02 ID:mA4tpTNQ




727 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:44:05 ID:LfIWP441


「アルルゥとアカネのこと、引き合いに出されたら……っ……私は、何もっ……できなくなる」


約束を破ったときの苦痛。その痛みを、悲しみを、アセリアはこの島の一日で理解した。
だからこの中で誰よりも瑞穂には分かっている。彼らの気持ちがきっと汲み取れるはずだ、と。
それを諭さなければならないと、そんな使命感が瑞穂にあった。
かつて、茜が自分の目を覚ましてくれたときのように。罪深い鏑木瑞穂を許してくれたアセリアを、今度は自分が諭してあげるのだ、と。

「ユートに謝らないと……私は、心無い言葉で、ユートを傷つけた……ハクオロにもだ……」
「そう、そうね。その気持ちがあれば、いいの」

憎しみに囚われてしまうのはアセリアらしくない。
この少女の本質は純朴で無垢なのだから。感情を手に入れ始めた彼女は、歩き始めた子供にも通じるのだから。
これが仲間だ。一人が道を間違えそうになったら、他の皆でその道を修正してやればいい。
瑞穂はアルルゥと茜に救われ、アセリアに赦された。同じようにアセリアが間違えたなら、今度は自分が助けてやらないと。

「クニサキユキト」

ふらり、と無手のままアセリアは往人に近づいていく。
そしてそのまま、地面を蹴って勢いを増し、右手の拳を握って往人の顔を殴りつけた。

「ぐあっ……!!」
「ユートと同じように、私もこれだけにしておく。けれど、許したわけじゃないから」

その一撃は悠人の鉄拳と同じぐらいの重みがあった。
赦されたわけじゃない。だけど、赦されないほうがいい。罪を全員が許してしまったら……きっとその人はダメになってしまうのだから。

だから何人かはその罪を永遠に憶えておこう。瑛理子が、アセリアが、瑞穂が……往人の過ちを常に示し続けるのなら。

728 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:44:47 ID:X/VjSQpq
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729 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:45:02 ID:LfIWP441


「っ……ああ、分かってる……俺は一生、これを抱えていく」


きっともう、往人は間違えない。
これがこの戦いの終結。誰一人の死者を出すこともなく、それぞれに得るモノがあった。

憎悪と悔恨による因果によって生じた争い。この戦いに勝敗はない。
だが、強いてあげるのなら。
誰一人死なずに大切なことを見出せた四人全員が勝者で、対主催が潰しあうという好機で誰一人亡き者に出来なかった主催者が敗者なのだろう。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「これからどうするのかしら?」


全てが終わり、瑛理子は往人の手当てをしている瑞穂に問いかける。
アセリアはやはり往人に対して微妙な感情を抱いているのか、ソッポを向いたままだ。まるで拗ねた子供のようだ、と苦笑する。
こうして目論見どおり、対主催の仲間を集めることに成功した。これは大きな前進なのだ、と思う。


「……ユートが何処に行ったか、分かるか?」
「ええ、一緒に来れば逢わせてあげられるわよ」

『悠人さんなら……神社から中央部を経由して、第四回放送のときに病院で集合することになってるわ』

730 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:45:31 ID:kCmTryUL


731 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:45:35 ID:bGvxdFyP
 

732 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:45:46 ID:mA4tpTNQ




733 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:45:51 ID:X/VjSQpq
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734 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:46:11 ID:LfIWP441


地図で指差し、メモを見せながら、悠人の進路を説明していく。
彼女らがハクオロから大体の話を聞いていたため、説明は楽だった。病院が目的地であることも瑞穂は知っていた。
アセリアは少し思いつめたかのような表情のまま、瑛理子たちに懺悔するように独白する。

「私は、ユートとハクオロに謝らないといけない……」
「なら、悠人さんを追う? ちょっと今から追うのは難しいと思うわよ?」
「そうですね……それに」


往人の手当てを終えた瑞穂が、その傷口に目をやりながら考えを口にする。


「国崎さんはそろそろ限界かも知れません。このまま瑛理子さんたちと別れたとして、正真正銘にゲームに乗った人間の相手はできないでしょう」
「悔しいが……ここで意地を張って二見を危険に晒すわけにはいかない。一緒に……来てほしい」
「ん……」


不満そうなアセリアだったが、反論の言葉は思いつかないようだ。
往人と一緒にはあまりいたくないし、悠人たちを追いたい気持ちもあるのだろう。だが、さっきまで酷いことをした手前、強く出られない。


「大丈夫よ、アセリア。次の放送までには二人に逢えるわ。二人とも、強いもの」


ハクオロは一緒に行動していたからこそ、分かる。きっと、仲間を集めて病院まで来てくれるだろう。
悠人などは殺し合いに乗った参加者を撃退しているほどの猛者、恐らく仲間の中で一番の戦闘力を誇る人物だ。
次の第四回放送までに病院に行けば、必ず逢える。そしてそこで首輪を解除してこそ、反撃の狼煙が上がるのだ。
 

735 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:46:35 ID:X/VjSQpq
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736 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:46:47 ID:bGvxdFyP
 

737 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:47:19 ID:LfIWP441

「……ん、わかった」
「決まりね。なら行くわよ、まずは図書館に」
「図書館、ですか?」
「ちょっと興味があるの……往人、動ける?」


座り込んでいた往人に手を差し伸べるが、往人は何か考え込んでいる様子。
不審に思って、もう一度瑛理子は呼びかけた。


「……往人?」
「それだ」
「え……?」
「何か違和感があるな、と思ったが……二見、お前いつの間に俺のことを呼び捨てで呼ぶようになったんだ?」


あ、と瑛理子は今更気づいたかのように声を上げる。
別に深い意味はなくて、ただフルネームで毎回呼ぶのもどうかと思って……などと、脈絡のない言い訳が頭の中で反芻するが。


「べ、別にどうでもいいでしょ! ほら、さっさと立ちなさい、往人!」
「痛っ……わ、わかったから腕を引っ張るなっ……!」

738 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:47:33 ID:kCmTryUL


739 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:47:38 ID:X/VjSQpq
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740 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:48:12 ID:LfIWP441


やっと戻ってきた穏やかな話に、誰かの口元が自然と綻んだ。
目的地は図書館、そして港。
いつの間にか月が昇っていた。真っ黒な闇夜の中に、きらきらと星が輝いている。
夜の闇がこの島で、その中を懸命に輝く星たちは自分たちかも知れない。夜空を見上げた誰かがそんな言葉を口にする。

主催者の打倒を目的として、四人の挑戦者は歩き出した。




【F-2 街道(マップ中央)/1日目 夜】
【女子三人+最高】
1:このまま南下し、図書館・港を経由して病院へ



【国崎往人@AIR】
【装備:コルトM1917(残り6/6発)】
【所持品:支給品一式×2、コルトM1917の予備弾32、たいやき(3/3)@KANNON、大石のノート】
【状態:強い決意、深い罪悪感、肉体的疲労極大、精神的疲労中、右腕と左膝を打撲、
     右手の甲に水脹れ、左腕上腕部粉砕骨折、左肩軽傷、脇腹に亀裂骨折一本、全身の至る所に打撲】
【思考・行動】基本:観鈴との約束を守る、人殺しには絶対乗らない
0:図書館・港を経由して病院へ
1:もう人殺しには絶対乗らない
2:瑛理子たちを護る
3:困ってる人を助ける
4:あゆ、美凪を探す
5:エスペリアの仲間に謝る。
6:倉田佐祐理の仲間に謝る
7:最終的には仲間と共に脱出し、観鈴の母親に謝りに行く

741 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:49:11 ID:X/VjSQpq
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742 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:49:16 ID:mA4tpTNQ




743 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:49:52 ID:LfIWP441



【備考】
※大石のノートを途中までしか読んでいません。
 先には大石なりの更なる考察が書かれています
※エスペリアのデイパック(ランダム支給品x2)はD-3雑木林に放置。


【二見瑛理子@キミキス】
【装備:トカレフTT33 7/8+1】
【所持品:支給品一式、ブロッコリー&カリフラワー@ひぐらしのなく頃に祭、空鍋&おたまセット@SHUFFLE! ON THE STAGE
     エスペリアの首輪、映画館にあったメモ、家庭用工具セット】
【状態:強い決意、左足首捻挫(処置済み)】
【思考・行動】
基本:殺し合いに乗らず、首輪解除とタカノの情報を集める。
1:図書館・港を経由して病院へ
2:瑞穂、アセリアの参入を歓迎
3:往人に対する微妙な感情?
4:孝之や陽平のように錯乱している者や、足手まといになりそうな者とは出来れば行動したくない
5:孝之と陽平には出来れば二度と出会いたくない。



【備考】
※往人を信頼していますが、罪は赦してません。
※パソコンで挙がっていた人物は、この殺し合いで有益な力を持っているのでは? と考えています。
※首輪が爆発しなかった理由について、
1:監視体制は完全ではない
2:筆談も監視されている(方法は不明)
のどちらかだと思っています。

744 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:49:59 ID:bGvxdFyP
 

745 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:50:16 ID:kCmTryUL


746 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:50:31 ID:bGvxdFyP
 

747 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:50:54 ID:LfIWP441
※電話についても盗聴されている可能性を考えています。
※家庭用工具セットについて
観鈴が衛から受け取った日用品の一つです。
ドライバー、ニッパー、ペンチ、ピンセットなどの基本的な工具の詰め合わせである。
なお全体的に小型なので武器には向いていないと思われます。



【アセリア@永遠のアセリア】
【装備:鉄パイプ(頑丈だがかなり重い、長さ二メートル程、太さは手で握れるくらい)】
【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、ひぐらし@ひぐらしのなく頃に、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-】
【状態:怒りは沈静化、肉体的疲労中、右耳損失(応急手当済み)、頬に掠り傷、ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
0:図書館まで移動
1:仲間を守る
2:無闇に人を殺さない(但し、殺し合いに乗った襲撃者は殺す)
3:強者と戦う
4:永遠神剣を探す
5:もっと使い勝手の良い武器を手に入れる
6:悠人とハクオロに謝りたい
7:川澄舞を強く警戒
8:国崎往人に対する微妙な感情



【宮小路瑞穂@乙女はお姉さまに恋してる】
【装備:ベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15+)】

748 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:51:03 ID:bGvxdFyP
 

749 :求め、誓い、空虚、因果 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/07(金) 01:51:23 ID:LfIWP441
【所持品:支給品一式×3、フカヒレのギャルゲー@つよきす-Mighty Heart-、
 多機能ボイスレコーダー(ラジオ付き)、斧、レザーソー、投げナイフ3本、
 フック付きワイヤーロープ(5メートル型、10メートル型各1本)、国崎最高ボタン、茜手製の廃坑内部の地図(全体の2〜3割ほど完成)、予備マガジンx3、バーベナ学園の制服@SHUFFLE! ON THE

STAGE 】
【状態:悲しみ、決意】
【思考・行動】
0:瑛理子たちと共に図書館へ
1:エルダー・シスターとして、悲しみの連鎖を終わらせる(殺し合いを止める)
2:アセリアと瑛理子を守る
3:国崎往人に対する微妙な感情
4:川澄舞を警戒
【備考】
※陽平には男であることを隠し続けることにしました。
※蟹沢きぬにも男性であることは話していません。
※参加者全員に性別のことは隠し続けることにしました。



※フカヒレのギャルゲー@つよきす について
プラスチックケースと中のディスクでセットです。
ケースの外側に鮫菅新一と名前が油性ペンで記してあります。
ディスクの内容は不明です。



【備考】
※往人に対して罪を赦すつもりはないが、殺意は霧散。
※悠人、ハクオロ、衛、千影、瑛理子を信頼。
※悠人からベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15)、予備マガジンx3、千影からバーベナ学園の制服@SHUFFLE! ON THE STAGEを受け取っています。
※現在、バーベナ学園の制服を着用。以前の血塗れの制服はE-2地点に放置。

750 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/07(金) 01:51:35 ID:bGvxdFyP
 

751 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:18:50 ID:7SZn+94l



「ひっ・・・ひぃ・・・ひあっ・・・!」


まもなく時刻は夕刻になろうとしていた。
黄昏が辺りを橙色に染め上げ、木々は日の光の加護から遠ざかって黒く染まり始めている。
そんな森林を、疾走・・・否、飛翔する存在があった。

扇動マーダー、土永さん。
オウムならではの声真似、そして主催者の名を騙って殺人肯定者を作り出す悪魔の凶鳥。
未だ誰一人として手を下してはいないが、間接的に多くの参加者の命を奪った存在。間違いなく惨劇を加速させる絶対悪だ。


相沢祐一と霧夜エリカは、彼の術中に嵌まり・・・悲しい誤解の連鎖によって殺された。
赤坂衛は主催者と偽った彼の言葉に騙された、川澄舞によって殺害された。
涼宮茜は彼の詐術によって殺し合いを肯定してしまった宮小路瑞穂と仲違いし、最終的には同じく手駒だった鳴海孝之によって生涯を終えた。


もはやこの島で殺し合いに乗った参加者は少ない。
ある者は力及ばずに他者によって制され、ある者は愛する者の願いによって改心し、ある者は謎の奇病により自害して果てた。
だが、何も正面切って戦うだけが能ではない。
絶対的に力不足・・・そもそも人間ですらない彼には、こんな方法しか思いつかなかった。

752 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:19:21 ID:qfKlQj0H
 

753 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:20:09 ID:7SZn+94l


(殺されるっ・・・殺される・・・!)


その土永さんが、何も考えられずにただ逃げ回るのは無様としか言いようがなかった。
羽を一心不乱に動かし、ただ南進する。
一刻も早くここから逃げ出したい。ここにいてはいけない。殺される、まだ死にたくないと散り散りになった心が感情を奏でる。


恐怖が後から後から追ってくる。
初めて恐ろしいと思った。今まで日常を平和に暮らしていた彼は、心の底から恐怖したくなる者に出遭ってしまった。
少女から向けられた言葉が、土永さんの耳にいつまでも木霊する。


『許さないから! 佐祐理を傷付けたら……絶対に許さないから……っ!!』


絶対零度の殺気。
凄まじい、など生温い。明らかな殺意のまま叫んだ想い、川澄舞という少女の存在を懸けたと言ってもいい叫び。
当てられた感情に、死んだと直感した。動物としての本能が、その一言だけで彼の精神を一度殺し尽くしたのだ。
一度、破壊しつくされた精神は二度と戻らない。絶対的な死の恐怖に、土永さんは我を忘れて羽ばたいていた。


(何だというのだっ・・・どいつも、こいつもっ・・・)


鳴海孝之はその人外とも言える耐久力と残虐さを買って、手駒としたというのに。
川澄舞には期待もしてなかった。このまま自殺されるよりは、参加者を屠っていってもらおうと考えた。
宮小路瑞穂は本当に便利な手駒になるだろうと思った。だからこそ口先三寸で殺し合いを肯定させてやろうと考えたのだ。


754 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:20:40 ID:qfKlQj0H
 

755 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:21:06 ID:Hf1L0b8x



756 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:21:17 ID:7SZn+94l

手駒が全員、一同に会し・・・そしてその結果、茜と呼ばれた少女が孝之に殺された。
これはしてやった、と歓喜した。自分の扇動は問題なく機能し、また一人犠牲者を生み出すことに成功したのだ。
あと、一押しだった。それでまた新たな手駒を作り出せるとほくそえんでいたというのに。

それがどうだ、この様は。

手駒を全て失い、支給品も全て失い、そして殺し合いに勝ち抜けようとした気概すら滅茶苦茶にされた。
第二回放送時の盛況だったかつての自分はもういない。
何もかもなくしたのだ。今の彼はただ死にたくないという一心で羽を広げた、哀れな道化師に過ぎない。


(我輩は死ねないっ・・・死ねないのだっ!!)


帰りたい。
あの日常に帰りたい。
そのために知人すら殺すよう仕向けたのだから。
生きて帰りたい。祈のいるあの輝かしい日々にもう一度舞い戻りたい。




757 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:22:05 ID:qfKlQj0H
 

758 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:22:12 ID:BTy/zWRz
 

759 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:23:08 ID:7SZn+94l

     ◇     ◇     ◇     ◇






『参加者の皆さん、定時放送の時間が来たわ』


恐怖に震えていた我輩の思考が停止する。
いつの間にやら朝焼けの空、太陽は本日も正しく機能し、その締めとして落日の時間を迎えている。
時刻は午後18時、第三回放送の時間だった。


『この時間まで生き残れた人は今日という日の夕日をしっかりと目に焼き付けておくことをお勧めするわ。
 明日のこの時間まで生きていられる保証なんてないのだから。
 今日は100点満点をつけたくなるような素晴らしい夕日よ。 冥土の土産には丁度良いんじゃないかしら?』


莫迦なことを言うな。素晴らしいだと?
確かにこの黄昏は美しい。我輩の心まで洗われるような、そんな眩しいもの。一枚の風景画に残しておきたいほどだ。
我輩とて、こんな殺し合いに巻き込まれなければ・・・お前たちがこんなことをしなければ、素直に鑑賞していたものを。
見ろ、お前たちがこんな馬鹿げたことを計画したせいで、夕日の美しさに胸を打たれることもできない。
まるで嘆いているようではないか。この太陽が昇っている間に、何人があの夕日と共に沈んでいくと思っているのだ。

760 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:23:20 ID:BTy/zWRz
 

761 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:24:21 ID:qfKlQj0H
 

762 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:24:25 ID:7SZn+94l


我輩は好きでこんなことをしているわけではない。
生き残るために仕方なく、なのだ。本当はこんなことなど、したくはないし・・・したくは・・・


「莫迦は我輩か・・・何を、愚かなことを」


今、あの一瞬、我輩は何を考えようとした?
主催者に対する怒り、思い通りにならない現実への怒り。それを偽善に変えてぶちまけようとしたのか。
人殺しを肯定し、多くの人間を騙してきた我輩が?
何を弱気になっているのか。さっきまでの自分を思い出せ、絶頂期で口元を歪めていた我輩を取り戻せ。


第二回放送で鉄乙女、霧夜エリカ、伊達スバルの三人が死んだとき、我輩は何をした?
うまく言った、死んでくれた、と歓喜に震えていたではないか。
乙女に至っては我輩が求婚しようと思っていた女性だというのに、死んだと聞いて喜んだのだ。
そこまで染まっていた我輩は何処に行った。悪魔になれ、死神になりきれ。今更・・・何をどうしようともう、遅いのだ。


『神尾観鈴―――――鳴海孝之―――――』


そうか、あの愚かな男は死んだか。
まあ当然だな。あの傷でこれ以上戦えないと思っていたのだ。一人、殺したのだからよくやったと褒めておいてやる。
川澄舞はまだ生きているか。せいぜい、多くの参加者を道連れにして死んでくれ。
全ての参加者、愚かな哺乳類は地を這え。我輩は貴様らの殺し合いを高みに見物する。我輩は飛ぶのだ。


763 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:24:42 ID:BTy/zWRz
  

764 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:25:38 ID:7SZn+94l


そうだ、これこそが今の我輩だ。
祈のもとに帰るために悪鬼となった。さっきまでの弱気は何もかもがうまく行かなくて、つい口にした弱音だ。
まったく、ふざけた考えだった。主催者に怒りをぶつける暇があれば、生き残る術を模索しなければならないのに。


『それじゃあ、次の放送は六時間後よ。
 この六時間を生き残れば貴方達はめでたくこのゲームが始まって24時間生き抜いたことになるわ。
 貴方達に神の祝福がありますように……』


神の祝福なんてものに縋る暇などない。
放送は終わった。この六時間で犠牲者は七人・・・ペースは明らかに落ちている。
思い通りにならない。こんな島は一日も早く逃げ出したい。鷹野の言葉どおり、明日には我輩の優勝で終わってほしいものだ。
今回、我輩の知人・・・佐藤良美と蟹沢きぬの名前は挙がらなかった。
ここまで知人を優先的に排除することを基本方針としていたが、奴らがこのまま粘ってくるとするならば意味がないのかもしれない。


佐藤良美。
あの気弱で優しい女がここまで残るとは・・・などと、そんな甘いことは思わない。
対馬レオと霧夜エリカが死んだ時点で、佐藤の精神状態は危ういかもしれない。ここまで残るということは、危険人物として認識する必要がある。
何しろあの乙女やエリカまでが生き残れなかった参加者半数の壁。知り合いの多くが飲まれたというのに、奴は未だ存在し続ける。


765 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:25:45 ID:BTy/zWRz
   

766 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:26:06 ID:qfKlQj0H
 

767 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:26:50 ID:7SZn+94l

蟹沢きぬ。
こいつはどうやって生き残っているというのか。
すばしっこいという印象はあったが、既に対馬ファミリーはこいつを除いて全滅している。それでも残っている。
恐らくは強力な参加者と手を結んでいるのだろう。ともあれ18時間、この二人は生き残った。


いい加減、我輩の正体についても他の参加者に流布されている可能性を考えねばならない。
まあ、初耳の人間にはオウムが参加者と聞いてもピンと来ないだろうが。
それでも我輩の有利、特筆すべきことは『鳥が参加者』・・・ひいては『人間しか参加者はいない』という先入観に付け入ることである。
そしてこの羽翼。人間などには決してない、大空を舞える最高の移動手段だ。


(さて・・・まずは情報を整理するとするか)


まず、殺し合いに乗った参加者。言うなれば我輩の手足となってくれる存在だ。
川澄舞、現状はこの女だけということになる。
あまりにも少ない。もっと多くの人間に殺し合いに乗ってもらわないといけない。そのために必要な餌といえば。


(やはり、参加者への褒美か)


莫大な財産か、それとも不老不死とやらか。人間が望む定番というのはこんなものだろう。
死者蘇生というのもいい。言うだけならタダだ、それが正しい必要はない。要するに参加者が人を殺してでも叶えたい願いを提示すれば。
人間は弱い。宮小路瑞穂のように仲間を殺してでも、叶えたい願いがいくらでもあるだろう。

768 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:27:06 ID:BTy/zWRz
 

769 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:27:48 ID:qfKlQj0H
 

770 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:28:16 ID:7SZn+94l

例えば佐藤良美や蟹沢きぬ。
対馬レオ、霧夜エリカ、伊達スバル、鮫氷新一・・・彼らを生き返らせてやる、といえばやる気も出るだろう。
我輩が戦う必要はない。要は愚かな人間同士が殺しあってくれればいいのだ。


(問題は対主催の奴らだな・・・)


我輩の言葉を跳ね除けた宮小路瑞穂や、アセリアという名の青い髪の女。
それに孝之と戦ったあの女・・・川澄舞に劣るとはいえ、凄まじい殺気を放ったあの阿修羅。奴も殺し合い否定派だろう。
銀髪の髪が印象的だったか。あの憎悪は使える、うまく誘導すれば奴ら同士で殺しあってくれるかもしれんな。
今度、この声真似を使って接近してみよう。なに、今まで扇動を失敗したことはない。
宮小路瑞穂の件にしても完全な失敗ではないのだ。一瞬でも殺し合いを肯定したため、茜とかいう人間を始末することができた。
同じことをすればいい。憎悪の理由はわからんが、何でも願い事が叶うというならきっとうまくいく。


大体、主催者は何をやっているのか。
対主催、自分たちに歯向かおうとする奴らなど首輪を爆破してしまえばいいのだ。
そのほうが我輩も楽でいい。対主催は全員死に、殺人肯定者たちだけで殺し合う。我輩は物陰から高みの見物。
まさに最高のシナリオなのだが、実行しないということはどんな理由が挙げられるか。
どんな相手であろうと、首輪だけに一任しないでゲーム破壊を目的とする手段も用意しているというのだろうか。

1、対主催が想像以上に多く、全員殺してはゲームが成立しない。
2、たとえ参加者が反旗を翻しても、全員返り討ちにしてやる自信がある。
3、そもそも面白くない。

どれも否定できないのが恐ろしい。
まあ、我輩には関係のない話だった。我輩は主催者の言うとおりにゲームを円滑に進めてやっているのだから。

771 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:28:30 ID:BTy/zWRz
   

772 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:29:28 ID:7SZn+94l


「そうだ、もうひとつ忘れてはいけないことが・・・」


この島には乙女やエリカを倒せるほどの猛者がいる可能性。
素で彼女らを打ち倒したというのなら、それは我輩がどうにかできる相手ではない。
せめて手駒をぶつけて弱らせ、その隙に我輩でも扱える武器を持って殺さなければいけない。
そもそも、殺し合いを制した者は我輩が始末しなければならないのだ。爆弾や毒など、都合のいいものを探してきたが今のところなし。

いい加減、考えなければならないのだが。
そろそろ、限界のようだ。無理やりな速度で飛行したものだから、疲労困憊。その上、太陽が沈んで夜になりつつある。
鳥目な我輩ではそろそろ活動停止の時刻。これ以上を動き回るのは危険だ。


(支給品一式すら、ないからな・・・)

ランタンはおろか、食料も確保できない。
仕方ないので適当な木に止まり、安堵の息を吐いて休憩することにした。
今後のことを考えているうちに、川澄舞に対する恐怖は一応の収まりを見せたようだ。
つい、無警戒にうとうとと舟を漕いでしまった。安息をもたらす優しい世界に、精神は吸い込まれていくのだった。




     ◇     ◇     ◇     ◇




夢、夢を見ている。

773 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:29:55 ID:BTy/zWRz
   

774 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:30:33 ID:7SZn+94l

さっきまで我輩は地獄の中にいたのだ。これはきっと夢、そうに決まってる。
かつて楽しかった竜鳴館での生活の日々。天然で面倒くさがりな祈の代わりに家事をする我輩。
縁日でタダ同然に売られていた。まさかアイスキャンデーよりも安い値で取引されるとは思わなかったが・・・それでも心安らかだった。

『レオ、お前ももっと色気を出さねえと、俺のルートになっちまうぞ』
『マジで洒落にならん話はやめてくれよ、スバル・・・』
『ピーチクパーチク喋るのもそこまでだ、坊主ども。ちなみに祈は寝坊して遅刻している。我輩だけ先に飛んできた』
『遅刻多いぞ、祈ちゃん』
『まあまあ、そこまでだ。今日はありがたい話を聞かせてやろう』

騒がしい生徒会メンバーとの、本当にくだらない日常。
そして我輩が自分が生き残るために切り捨てた絆。もう思い出したくない幸せな光景。

『よし、我輩も漢だ。言うぞ、乙女・・・我輩のものになれ』
『私に鳥類を愛でる趣味はない』
『今、ここでひとつの恋が終わったぁぁぁあ』

やめてほしい。今更、そんな幻想を見せないでくれ。
そんな楽しい昔話は遠い過去に捨ててきたのだ。祈のもとに帰りたいから悪鬼の類になると誓ったのだ。
そんな、もう帰ってこない日常を、頼むから見せないでくれ。

775 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:30:54 ID:wW3PEp/u
 

776 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:31:16 ID:BTy/zWRz
 

777 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:32:03 ID:7SZn+94l


『安心しろ。お前が死んだ暁には、私たちで孝之に次ぐ制裁のオンパレードにしてやるからな』
『まずは私と相沢くんよね。ふっふっふ・・・オウムの分際でこの私に恥を掻かせたこと、後悔させてやるわ・・・ねえ、相沢くん』
『ああ。孝之〜、もしあの鳥がこっちに来たら用意しておいてくれ。ササミ味で不味いだろうけど、生でな』


・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
今、まったく関係のない異次元を夢幻してしまったような気がするのだが。
おかしいな、乙女とエリカはともかくとして・・・以前、対エリカ用にボイスレコーダーをくれてやった男が、爽やかな笑顔を見せている。
しかも何故、死んだ孝之の名前を? 理由はわからないが鳥肌が立った。


『あ〜〜〜〜ん・・・』


次の瞬間、孝之に喰われる我輩の姿を夢に見てしまった。
夢です、これは夢です。現実ではありません。そう自分自身に必死に言い聞かせるしかなかった。
というか、だな。このシーンはまるまるカットして問題ない場面であるべきなのだ。我輩は今の光景を忘れることにした。


『土永さ〜ん・・・洗濯物を取り込んでくださーい』
『祈、自分で行動しようとは思わんのか?』
『まったく、思いませんわ〜』
『ええい、まったく・・・仕方のない奴だ。ていっ、ていっ』


最後に夢想したのは、我輩が帰るべき居場所。
そうだ、あの日常だ。今まで怠惰に幸せを享受している夢の中の自分が羨ましい。



778 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:32:30 ID:BTy/zWRz
  

779 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:33:32 ID:7SZn+94l

『テストを返却しま〜す。鮫氷さーん』
『はいはい、フカヒレと点数の勝負がしたい奴はここに並んで並んで』
『まったく・・・フカヒレ、こういうときだけ大人気だ。人数整理をするこっちの身にもなれよ』
『全然嬉しくないんだけど』
『こらこら、坊主ども。まだ祈の話は終わってないぞ、ちゃんと聞かんかぁ』


―――――帰りたい。


楽しかった。
なんて贅沢な日々だったのだろう。失って痛感する。それは今の我輩にはどんなに願っても届かない。
我輩が生き残るためには生徒会メンバーを含めた全員の殺害を実行に移さなければならない。


『えーと、えーと・・・今日、私の部屋に来ない?』
『うーん、よっぴーの告白はなんかエロっぽいわねぇ』
『え、え? そ、そうかな・・・?』
『てえい、てえい。このエロス村から来たエロス娘め。ていっ、てい』
『あいた、いた、痛いよぉ』
『平和ですわね〜』


―――――帰りたい。


生きて祈・・・お前の元に戻りたい。そのためならば何をしてもいい。
人間どもが何人犠牲になろうと知ったことか。乙女も、エリカも、誰もを切り捨ててでもそれを願った。
でも、もし願えるのなら。生徒会メンバーとの日常ごと帰りたかった。
夢の中で偉そうに、当然のように日々を過ごしている自分の姿が憎かった。こんなにも遠いものをお前は持っているのか。

780 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:34:17 ID:BTy/zWRz
   

781 : ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:34:58 ID:7SZn+94l



『土永さん、今日も宜しくお願いしますわ〜』



―――――我輩は、あの日に帰りたいのだ。





     ◇     ◇     ◇     ◇



「・・・はっ」

ようやく、我輩は覚醒した。
どうやら相当に疲れが溜まっていたようだ。あんな、もう届かない平和を幻視してしまうとは。
起きたとき、すでに辺りは真っ暗だった。鳥目な我輩にはもうよく見えない、無理をすれば飛行できるぐらいだ。
ランタンすらない状態での移動は自殺行為だろう。幸いにもこのままなら、しばらくを身を隠せるはずだ。


だが、敢えて我輩は進むことを決めた。


このまま静観を決め込むのはまだ早い。我輩はこの翼と声真似で、もっと殺人肯定者を増やさなければならないのだから。
焦りがあった。このままもう一度眠ってしまえば、決意を鈍らせる夢をまた見てしまう。
死にたくない、生きて帰る。どんな手を使ってもだ。
その妄執的な生への渇望を忘れるな。甘えは捨ててしまえ、川澄舞によって作り出された恐怖という隙間から漏れ出たつまらない感傷だ。

782 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:35:06 ID:BTy/zWRz
 

783 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:35:09 ID:qfKlQj0H
 

784 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:35:21 ID:LFiErx4D


785 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:36:51 ID:LFiErx4D


786 :桃源の夢 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:38:09 ID:7SZn+94l


(ただ、それでも)


自分が口先で騙し言葉を弄したとき、我ながら会心の出来だと思った。
あの不可思議な力、ワープさせた力を背景に死者蘇生の可能さを説いた。これはマーダーを作り出せる大きな嘘だ。
だけど、本当に嘘なのか。我輩が言っておいてなんだが、すごく説得力のある言葉ではないか。
自分自身すら騙しとおせる嘘。もしも、優勝者がひとつだけ願い事を叶えることが出来るのなら。本当に、そんな奇跡を主催者が起こせるのなら。


(あの日常を、もう一度――――?)


もし真実なら、優勝したいと言う気持ちが俄然、高まってくる。
祈たちの日常に帰れるのなら、我輩は主催者の言いなりになってでも、どんな卑劣な手を使ってでも勝ち残りたい。
いや、もともとそのつもりだったのだ。今回のこれは、我輩のやる気を取り戻させてくれる大きな願いとなる。


「・・・行くか」

夜間のタイミングで出撃するのは、とても危険なことだ。
だが、我輩はその願いのために羽ばたき続けると決めた。それならば、多少の危険で怯んでなどいられるものか。
もちろん、基本方針は変わらない。銃火器を持った相手には近寄らないし、姿を現すことだってするつもりはない。
我輩は生き残らなければならない。つまり、保身が絶対の条件。参加者相手には警戒の上に警戒を重ねよう。ただ少し無理をするだけだ。




787 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:38:42 ID:BTy/zWRz
   

788 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:39:34 ID:LFiErx4D


789 :桃源の夢 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:39:43 ID:7SZn+94l
まずはあの銀髪の女。あの人間をこの声真似を使って操り人形に仕立てる。
あの憎悪を逆手にとれば、きっと思い通りの人形になるだろう。誰を憎んでいるのかは知らんが、有り難いことだ。
他にもまともな操り人形がほしいな。さらに欲を言うのなら、手榴弾あたりを確保したい。倉庫に行けばあるだろうか。


我輩は少し思考を重ね、そして目的地を決めて羽ばたいた。


このひと時は唯一、この地獄において夢に浸れた尊い刹那。
出来れば夢で終わらせたくない。そんな無謀とも無意味とも取れる決意を胸に、我輩は行動を開始した。



【C-6 森/1日目 夜】



【土永さん@つよきす−Mighty Heart−】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:健康、軽い疲労】
【思考・行動】
基本:最後まで生き残り、祈の元へ帰る
0:自分の保身を絶対の第一に考える
1:もっとまともな操り人形を探す。争いの種をまく。
2:自分でも扱える優秀な武器が欲しい、爆弾とか少量で効果を発揮する猛毒とか。
3:少し冒険してでも参加者たちを扇動したい
4:基本的に銃器を持った相手には近づかない
5:川澄舞を強く警戒、出来ればもう会いたくはない

790 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:40:26 ID:BTy/zWRz
   

791 :桃源の夢 ◆TFNAWZdzjA :2007/09/08(土) 00:41:02 ID:7SZn+94l
6:もしも予測が真実なら、生徒会メンバーを生き返らせて日常に帰りたい
【備考】
土永さんの生徒会メンバー警戒順位は以下の通り
よっぴー>>>>(越えられない壁)>カニ
倉庫に向かい、手軽な装備を探すか、それとも銀髪の少女(智代)を捜すためにもう一度北進するかどうかは、他の書き手さんに任せます


792 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 00:42:09 ID:Hf1L0b8x



793 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:33:48 ID:J3rHnBYS
夕凪近くの微風に、木立がざわざわと葉擦れの音を奏でている。
影法師達は長く伸び、深く重い静寂が辺りを支配していた。
千影と合流すべく神社を目指していたトウカ達だったが、先程の口論で時間を浪費してしまった所為で、第三回放送までに到着出来なかった。
そして第三回放送により告げられた、新たな死者達の名前。
あの屈強な赤坂衛が死んだ事は、トウカや智代にとって驚くべき事実だろう。
だが今の二人には、赤坂の死に気を取られている余裕など無かった。

――神尾観鈴の死。
それが何を意味するかなど、春原陽平も、坂上智代も、そして勿論トウカも、十分過ぎる程に分かっていた。
ハクオロが観鈴を殺した可能性が、非常に高くなってしまったのだ。

「……やっぱり、僕の言ってた事は正しかったんだ」

ぼそりと、陽平が呟いた。
弱々しく肩を震わせるトウカに構わず、陽平は続ける。

「ほら見ろ、僕の言った通りじゃないか! やっぱりハクオロが観鈴を殺したんだよ!
 首輪が欲しいっていう、ただそれだけの理由でさあぁぁぁぁッッ!!」
「お、おい春原……未だ決まった訳じゃだろ?」
「……なんだよ智代、お前何時まで寝惚けてるつもりだよ?
 僕が起きた時にはもう観鈴はいなかった……。つまり、襲撃があったとしたら僕が気絶してる最中だよな?」

陽平は顔を赤黒く怒張させ、自身の推論が正しかったと声高に主張する。
そんな彼を智代が諌めようとしたものの、極限まで膨らんだ疑念はもう止まらない。

「じゃあ何だ? ハクオロは襲撃者を殺して、それで首輪を手に入れたとでも云うつもりかよ?
 気絶した僕を運びながら? ふ〜ん、凄い強いだね」
「あ、ああ……そうだ。その可能性もあるかも知れないじゃないか。
 トウカさんの話によれば、ハクオロは優れた実力を持った男なんだからな」
「……で、そのお強いハクオロさんと一緒にいたのに、なんで観鈴だけ死んじゃったんだ?」
「う…………」

794 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:33:56 ID:BTy/zWRz
 

795 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:35:46 ID:J3rHnBYS

呆れ顔で言葉を投げ掛けてくる陽平に対し、智代は何も言い返せなかった。
陽平の云う通り、ハクオロと一緒に居た観鈴『だけ』が死んだのは、どう考えても可笑しいのだ。
ハクオロですら仲間を守り切れぬ程の強敵が現れたのなら、確実に激しい戦闘となるだろう。
そしてそんな緊急状態ならば、足手纏いである陽平を叩き起こすか、若しくは見捨てる筈。
だというのに陽平は眠ったままで事無きを得、観鈴だけが死んでしまったと云うのは、明らかに有り得ない話だった。

「ハクオロ……アイツは本当に酷い奴だ! 観鈴みたいな女の子を、平然と殺してのけるんだからさ!
 偽善者の仮面を被った卑怯者なんだよ!!」

智代からの反論が収まるや否や、陽平は次々と罵倒の言葉を口にしてゆく。
それは最早主張などでは無く、ただドス黒い感情を吐き出しているに過ぎぬ。
大した意味も無い、見苦しい行為。
そしてそんな陽平の行動を、トウカが黙って見過ごす筈も無い。

「貴様、いい加減にしろ!」
「ひ、ひぃぃぃぃっ!?」

醜悪極まりない悲鳴。
トウカの振るう冷たい白刃が、陽平の目前に突き付けられる。

「某の前で何度も聖上を侮辱するとは……余程命が惜しくないと見える」

オボロの例もあるし、状況証拠もかなり出揃ってしまったが――それでも、トウカのハクオロに対する信頼は絶大だ。
未だトウカは、ハクオロを殺人者と断じる事は出来ていなかった。
それも仕方の無い事だろう。
嘗て勘違いから大罪を犯してしまったトウカを、ハクオロは救ってくれた。
罪の意識を感じているならば、死ぬよりも生きて償えと、そう云った。
部下を何人も斬り殺されたにも関わらず、過去の遺恨を捨てて、正しい道を示してくれたのだ。
トウカにとって、ハクオロは理想の君主。
そのハクオロを完全に殺人者扱いし、事もあろうに誹謗中傷の数々まで浴びせた陽平は、許し難い存在。
だが怒りに震えるトウカを宥めるように、横から智代が口を挟んだ。

796 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:35:56 ID:BTy/zWRz
   

797 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:37:08 ID:J3rHnBYS

「待つんだトウカさん、さっき云っただろう? 放送で観鈴さんの名前が呼ばれたら、ハクオロ達に会いに行くって。
 そしてハクオロの居場所に心当たりがあるのは春原だけだ」
「む……」
「トウカさんとしても、早く主人の無実を証明したいだろ? だったら此処は落ち着いてくれ」

そう云われては、トウカも怒りの矛を収めるしか無かった。
陽平の暴言は決して見過ごせるものでは無かったが、今はハクオロの無実を確認するのが先だろう。
勿論ハクオロが悪道に走ったとは思わないが、オボロの例もある。
考えたくも無い事だが、万が一の場合には――臣下である自分こそが、ハクオロを討たなければならないのだ。
ならば今は激情を抑えるべきだし、神社で合流するという千影との約束も放棄せざるを得なかった。
トウカが落ち着いたのを確認してから、智代は陽平へと視線を向けた。

「じゃあ春原、早速ハクオロ達と別れた場所に案内してくれ。
 余り時間が経ち過ぎると入れ違いになってしまうかも知れないし、早歩きで頼む」
「お、おい、正気かよ!? あんな危ない奴にまた会えってのか? ふざけんな、行きたいならお前達だけで行けよ!!」
「でもお前、武器も持ってないんだろ? 此処で私達と別れる方が余程危険だと思うぞ?」
「うぐっ…………わ、分かったよ……」

陽平は声を大にして意を唱えたが、最早自分を守ってくれるのは智代だけ。
自分は智代程の身体能力も勇気も持ち合わせていないし、荷物だって無くしてしまったのだ。
そんな自分が此処で智代達と別れるのは、自殺行為と云わざるを得ない。
結局陽平は首を縦に振り、云われた通り早足で移動を開始した。


    ◇     ◇     ◇     ◇


夕暮れ時の薄闇は、深い漆黒へと変貌を遂げている。
歩く事2時間近く、一行はようやく目的地である公園(D-2西部)に辿り着いた。
公園は予想以上の大きさであり、視界が悪化してしまった事もあり、周囲全てを見通す事は到底叶わない。
ならば歩き回ってハクオロ達を探すべきだ――そう考えて、捜索活動を続けていたのだが。

798 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:37:23 ID:BTy/zWRz
  

799 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:38:55 ID:J3rHnBYS
「くそっ、見つからないな……」

額に浮かんだ汗を拭い取り、智代は苛立ち気味に呟いた。
先程から必死に探しているにも関わらず、人影一つすらも見当たらない。
重い疲労だけが確実に蓄積してゆく。

「智代殿、これ以上探し回っても無駄でござる」
「トウカさん?」
「辺りから人の気配は感じられぬ。それに――」

トウカは首を動かし、冷たい目で陽平を一瞥した。
その視線は同行者に向けられた物というよりも寧ろ、罪人を軽蔑するような眼差しだった。

「この男は性根から腐り切った嘘吐き。聖上と会ったという事自体が虚言であろう。
 某はこの男に騙された事があるし、芙蓉楓という女子も騙されたと云っていたのだ」

一度は怒りの矛を収めたものの、誘導に従ったにも関わらずハクオロが見つからなかった事で、陽平への疑念が再燃した。
トウカは一度陽平に騙されて、その所為でアルルゥと合流を果たせなくなってしまった――永久に。
陽平の嘘が無ければ、芙蓉楓もあそこまで極端な排他的思考には陥らなかったかも知れない。
これまでトウカが陥った苦難には、少なからず陽平が絡んでいるのだ。
そのような経緯を踏まえれば、トウカが陽平の話全てを作り話だと判断するのも、至極当然だろう。

だが陽平からすれば、嘘吐き呼ばわりされるのは心外極まりない。
少なくとも、自分が嘘を吐いたのはアルルゥの一件だけだ。
芙蓉楓などという人間とは出会ってすらいないし、ハクオロとの話も実体験に基づいたものだ。
濡れ衣を晴らすべく、陽平は捲くし立てるように口を開く。

「おいてめえ、ちょっと待てよ! 僕が嘘を吐いたのはお前に襲われた時だけだ! あの時はああしなきゃ殺されてたんだ、仕方ないだろ!?
 芙蓉楓なんて奴とは会ってもないし、ハクオロとの話だって嘘なんかじゃねえよ」
「貴様、まだ嘘を吐くか! ならば聖上がどのようなお顔をしておられるか、答えてみよ!」
「何だよソレ、分かる訳ないじゃんか。変な仮面を被ってんだから、顔は見えねえだろ?」
「む……」

800 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:39:34 ID:BTy/zWRz
  

801 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:40:16 ID:J3rHnBYS

陽平の嘘を看破しようとしたトウカだったが、予想に反して真っ当な答えが返ってきた為、言葉に詰まる。
常日頃より仮面を被っている人間など滅多に居ないし、人違いだという可能性は殆ど無い。
少なくとも、ハクオロと会ったという事自体は真実なのだろう。
ならばと、トウカは情報を収集すべく問い掛ける。

「……それなら聖上と会った時の事を、もっと詳しく話してみるが良い。
 聖上の護衛役を務めてきた某なら、本当にあの方が観鈴を殺したのか判断出来るかも知れぬ」
「そうだな、私も賛成だ。終わりの無い水掛論を続けるよりも、その方が効率的だろう」

トウカの提案に、智代もあっさりと同調する。
そして早く水掛論を終わらせたいのは、陽平も同じ。
何時までも醜い論争を続けて、智代の心象まで悪くする訳には行かないのだ。
だから陽平は全てを話した。
今度こそ、一切の嘘を交えずに。
公園で目覚めた時の事を、そして――アルルゥ達を見捨てて逃げ出した事も、錯乱してハクオロに襲い掛かった事も。
云われるがままに、全てを話してしまった。

話を聞き終えた智代が、半ば呆れ顔で口を開いた。

「これはあくまで私見だけどな……お前の話を聞く限り、ハクオロが観鈴さんを殺したとは思えないぞ」
「え、何でだよ!?」
「ハクオロが本当に悪人なら、お前を返り討ちにした時点で、そのままトドメを刺す筈だ。
 錯乱した襲撃者を仕方無く殺害する――首輪を手に入れるには、最高の口実だと思わないか?」

ハクオロは尊敬すべき人格者――それが智代の結論だった。
首輪を手に入れるのが目的ならば、襲撃者と化した陽平をその場で殺してしまえば良かったのだ。
正体を偽ったまま首輪を入手する、絶好の機会。
善意の同行者を騙まし討ちするより、余程リスクが低い。
だがハクオロはそうしなかった。
アルルゥを見捨てられた恨みもあっただろうに、それでも陽平を殺さなかったのだ。
そんな人間が悪道に手を染めるとは、とても思えなかった。

802 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:40:39 ID:BTy/zWRz
   

803 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:41:32 ID:J3rHnBYS

「じゃ……じゃあ何で観鈴は死んじゃったんだよ!? さっきの放送、お前だって聞いてただろ!?
 それに僕は確かに見たんだッ! ハクオロが恐ろしい笑みを浮かべて……」
「――もう良い。貴様はこれ以上喋るな」

反論しようとした陽平の言葉は、突然聞こえてきた声によって遮られた。
地獄の底から聞こえてくるような、そんな声だった。
陽平が声のした方へ首を向けると、トウカが――絶対の殺気を以って、鞘から西洋剣を引き抜いていた。
その表情は寒気を催す程に冷たく、まるで般若の仮面を被っているかのようだった。
トウカに剣を向けられるのはこれで三回目だが、今までとは明らかに違う。
今のトウカから感じ取れるのは、怒りなどという生温い感情では無く、明確な殺意のみ。
博物館で襲撃してきた国崎往人すらも凌駕する、溢れ出さんばかりの純然たる殺気。

絶対的な恐怖に、陽平の喉から形を成さない悲鳴が絞り出される。

「ひ……ひぅ……ぁぁ…………」
「聖上が観鈴殿を殺したという話、やはり下らぬ妄言であったようだな。聖上の寛大なお心を、このような形で裏切るとは……。
 それに――」

トウカから放たれる殺気が膨れ上がる。
公園の至る所に立ち並んだ木々が、落ち着き無く揺れる。

「貴様はアルルゥ殿を見殺しにした! 聖上に刃を向けた! その罪、死を以って償うが良い!!」

瞬間、トウカの姿が掻き消えた。
鍛えに鍛え抜かれた脚力を駆使して、疾風の如き速度で陽平に斬り掛かる。

「うわ……うわあああああああっ!!」

唸りを上げる白刃が、恐怖に顔を歪ませる陽平の首へと吸い込まれてゆく。
だが陽平の首が切り裂かれる寸前、一際大きな金属音が響き渡った。
智代が永遠神剣第七位『存在』――銃の代償として渡されていた大剣――を使って、トウカの振るう剣を受け止めたのだ。

804 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:42:34 ID:BTy/zWRz
 

805 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:42:55 ID:J3rHnBYS

「と、智代殿っ!?」
「止めるんだトウカさん! 幾らなんでも殺す事は無いだろう!?」
「ク――――」

トウカは苛立たしげに舌打ちした後、一旦後方へと飛び退いた。
西洋剣を深く構え直して、眼前に立ち塞がる智代を睨み付ける。

「智代殿、そこを退かれよ! 某は聖上の臣下として、エヴェンクルガの武士として、そこの悪漢を成敗せねばならん。
 邪魔立てするつもりならば、いかな智代殿と云えども容赦せぬぞ!」
「――そうか。だが私も退く訳には行かないな。少々悪事を働いたようだが、コイツは本来悪い奴じゃないんだ」

歴戦の武人の圧倒的迫力を前にして尚、智代は引き下がろうとしない。
智代からすれば、殺し合いに乗っていない知人を見殺しにするなど、有り得ない話だった。
そしてトウカからすれば、アルルゥを見殺しにし、ハクオロにも様々な害を為す陽平は、自らの手で仕留めなければならない敵。
此処で見逃してしまっては、またハクオロの悪評を吹聴されてしまうかも知れないのだ。
譲れぬ理由を持っている二人――最早、対決は避けれそうに無かった。

「……分かり申した。ならばこれ以上の会話など無意味。
 エヴェンクルガのトウカ、参る――――!」

トウカが地を蹴る。
制限によって身体能力が低下しているにも関わらず、恐るべき速度で智代に斬り掛かる。
トウカの手にした西洋剣――元は川澄舞の物――が、横一文字に振るわれる。
それとほぼ同時に、智代も永遠神剣『存在』を奔らせる。
数多のスピリット達を斬り伏せし魔剣と、西洋剣が交差する。
本来ならば、『存在』の圧勝で終わる筈の一合。
だが魔力を持たぬ智代では、永遠神剣の力を引き出す事は出来ない。
故に、今この場に限って云えば、剣の性能は互角。
ならば、勝負の優劣を決する要素は何なのか。

806 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:43:06 ID:BTy/zWRz
   

807 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:44:17 ID:J3rHnBYS

「っ…………!」

飛散する火花。
得物越しに伝わる衝撃に、智代は大きく顔を歪める。
トウカの攻撃を防ぐ事には成功したものの、衝撃までは抑え切れなかった。
右肩の傷口に激痛が奔り、脳髄まで痺れてしまったかのような錯覚に襲われる。
そして智代が立ち直るのを待たずして、第二、第三の剣戟が放たれる。

「くっ、そ……この――――」

智代は痛みを無理矢理抑え込んで、脇腹に迫る一撃を払いのけた。
続いて斜め後ろに跳躍する事で、振り下ろされた剣から逃れる。
タタンとテンポ良く地面を蹴り飛ばして、態勢を崩さぬままに後退してゆく。
右肩に深い傷を負っているにも関わらず、その一連の動作には淀みが無い。
常人離れした身体能力を持つ智代ならば、多少負傷していようとも、そう簡単にはやられない。
だがそれも、相手が通常の人間であればの話だ。
今の智代の敵はトウカ――怪物じみた実力を誇る、トゥスクル屈指の名将。
両者の間合いが10メートル程開いた時、トウカの足元が爆ぜた。

「……遅い」
「――――な!?」

正しく刹那の出来事。
後退を続ける智代の懐に、僅か一秒足らずでトウカが潜り込む。
智代の顔が、瞬く間に狼狽の色に染まる。
智代は咄嗟の判断で足を止めて、思い切り剣を振り下ろした。
だがそれは苦し紛れの一撃であり、何の技巧も工夫も感じさせぬもの。
そんな駄剣が、歴戦の名将に通じる筈も無い。
トウカは横に軽くステップを踏んで、智代の剣戟をいとも容易く躱した。
そして次の瞬間、トウカの握り締めた西洋剣が、綺麗な弧の軌道を描いた。


808 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:44:28 ID:qfKlQj0H
 

809 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:45:09 ID:BTy/zWRz
 

810 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:45:38 ID:VgjVUOiL


811 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:45:45 ID:J3rHnBYS

「づあっ……ああ、あああ……っ!!」

飛び散る鮮血、響き渡る苦悶の声。
トウカの振るった西洋剣が、智代の左耳朶を根こそぎ斬り落としていた。
かつてない激痛に襲われている智代に対し、トウカは容赦無く追撃を仕掛ける。

「――――セッ!!」

大きく息を吐き出しながら、前方へと踏み込む。
そのまま左肩を前に向かって突き出し、所謂ショルダータックルを放った。
渾身の一撃は、的確に智代の胸部へと吸い込まれてゆく。

「がああああああっ!!」

強烈な衝撃を受けた智代は、自身の意志とは無関係に後方へ弾き飛ばされた。
碌に受身も取れず、背中から地面に叩き付けられる。

「う――――は、あ――――」

上手く呼吸が出来ない。
胸部を強打された所為で、肺の機能が一時的に低下してしまっている。
切り裂かれた左耳には、今も想像を絶する激痛が奔っている。
倒れたまま二重苦に悶える智代を、トウカが冷え切った目で見下ろした。

「これで分かったであろう……智代殿では、剣を抜いた某に勝つなど不可能。
 潔く退かれるが良い」

そう云って、トウカは視線を陽平へと移した。
見れば陽平は腰を抜かしてしまったのか、力無く地面に座り込んでいた。
恐怖に顔を歪めた陽平が、必死の思いで掠れた声を絞り出す。

812 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:46:10 ID:BTy/zWRz
 

813 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:46:27 ID:qfKlQj0H
 

814 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:46:42 ID:VgjVUOiL


815 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:46:48 ID:J3rHnBYS
「お、お前おかしいよ……。智代とは仲間だったんだろ? なのに何で、そんな平気で傷付けられるんだよ!?」

平和な日常生活を歩んできた陽平からすれば、今のトウカは気が触れているようにしか見えなかった。
それまで同行していた仲間が相手だというのに、トウカの攻撃には全く容赦が感じられない。
――少なくとも陽平の目には、躊躇も情けも無いように映った。
陽平の言葉を受けたトウカが、心底呆れ気味に声を洩らす。

「――アルルゥ殿を見捨てた貴様に、そんな事を云う資格があるとでも思っているのか?」

それに、と続ける。

「某は聖上の臣下であり、エヴェンクルガの武士だ。聖上に害を為す悪漢は、何としてでも排除せねばならん。
 そして悪漢に組する者は、某にとって等しく敵だ」

トウカが生きてきた世界は、戦乱の世と云っても差し支えない程の厳しい環境。
戦争ともなれば不特定多数と戦う羽目になるのが常なのだから、奇麗事など云ってはいられない。
戦場に於いては、僅かな躊躇も即命取りとなる。
自身の信念を貫く為には、目の前に立ち塞がる敵全てを――悪人であるかどうかなど関係無く、斬り捨てねばならぬのだ。
ならばこの状況下でやるべき事など、一つしか有り得ない。
トウカが一歩前に足を踏み出すと、陽平の喉奥から濁った悲鳴が零れ落ちた。

「ひっ……た、助けてくれ智代……!!」

陽平は座り込んだ態勢のまま、唯只救いを懇願した。
自分自身では決して戦おうとせずに、満身創痍の少女に助けを求めた。
それは自身の保身だけに重点を置いた、最低最悪の行為。
余りにも見苦しい行為。
正視に耐えがたい光景を終わらせるべく、トウカは足を進めてゆく。
だがそこで陽平の前に駆け付ける、一つの影。

「……智代殿、未だその悪漢を庇われるおつもりか」
「――――く、ハア――――フ、……私は退かない、と云っただろう」

816 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:47:06 ID:qfKlQj0H
 

817 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:48:02 ID:J3rHnBYS

明らかにボロボロといった風体を晒しながら、それでも智代は戦意を失っていなかった。
限界を訴える両膝に力を込めて、大地をしっかりと踏み締める。
陽平を庇うような位置取りで、永遠神剣『存在』を構える。

「……何故だ。何故そこまでその男に肩入れする――女子に戦わせようとする、愚劣な外道に」
「私は恐怖に負けて過ちを犯してしまった。それは春原も同じ……ただ怯えているだけなんだ。
 それなのに、見捨てられる訳無いじゃないか」

智代は一度、決して取り返しの付かぬ過ちを犯してしまっている。
何者かに踊らされていただけの相沢祐一を、殺してしまっている。
そんな彼女だからこそ、理解する事が出来る。
陽平は故意に悪意を振りまいている訳では無い――ただ『生きたい』という、当然の欲求に従っているだけなのだと。
己の生存欲求に従うのは、生物ならば仕方の無い事。
そんな陽平を見捨てるなど、智代には不可能な相談だった。

「――良かろう。まずはお主から倒れよ、智代殿」

トウカの剣が上がる。
全てを飲み込むかのような重圧が、公園内部に充満する。
僅かに残る甘い感情を噛み殺して、エヴェンクルガの武士は動き出した。
賢しい小細工など不要――超高速で地面を疾駆して、標的へと襲い掛かる。
その速度、その迫力は、大空に君臨する流星を連想させる程。

「っ…………」

対する智代は足を止めたまま、迫り来る流星を迎え撃つ。
眼前で放たれる神速の一撃は、並の人間では視認する事すら困難だ。
しかし智代は、それをどうにか受け止めた。
攻撃を放棄し、防御に全神経を注ぎ込んで、それでも限界ぎりぎりのタイミングだった。
受け止めた両腕の筋肉が、ぎしぎしと悲鳴を上げる。
ハンマーで叩かれたかのような衝撃に、剣を取り落としそうになる。

818 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:48:03 ID:BTy/zWRz
  

819 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:48:14 ID:VgjVUOiL


820 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:49:23 ID:J3rHnBYS

「う――――あああっ……!」

智代は歯を食い縛って耐え、左肩に向けて繰り出された突きを弾く。
限界を越えた回避動作の所為で、加速度的に疲労が蓄積してゆく。
だが息を吐く暇など無い――間髪置かずに、トウカの次なる連撃が放たれる。

「………………ッ!!」

間断無く金属音が鳴り響く。
懸命に直撃だけは避けたものの、一撃一撃を防ぐ事に体力を削られてゆく。
呼吸は激しく乱れ、視界は白く霞み始めている。
戦いと呼ぶ事すら憚れる、余りにも一方的な展開。
とても攻撃にまで手が回らない。
このまま戦っても、勝ち目など有りはしない。
本気を出したトウカは、昼間戦った時とは比べ物にならぬ強さだった。
腕力も、俊敏性も、剣の腕も、全てに於いて自分は劣っている。
実力差は明白――故に智代はもう、正面からの斬り合いに固執しなかった。
大きく頭を下げて、素早く大地を蹴り飛ばす。

「ッ――――――!?」

この戦いで初めて、トウカの剣が空転する。
智代はスライディングの要領で地面に滑り込み、トウカの射程範囲から離脱したのだ。
続けて大きく振りかぶり、何の躊躇いも無く永遠神剣『存在』を投げ付ける。
最高に近いタイミングで放たれた、意表を突く投擲攻撃。
だがトウカにとって剣は、最強の武器であると同時に、強力な盾でもある。

「――甘い」


821 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:49:44 ID:qfKlQj0H
 

822 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:50:15 ID:qfKlQj0H
 

823 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:50:41 ID:J3rHnBYS

一閃。
トウカの振るう西洋剣が、余りにもあっさりと『存在』を叩き落す。
数多の弓矢が飛び交う戦場を、トウカは一握りの剣のみで生き抜いてきた。
少々トリッキーな攻撃をされた所で、防ぐのは容易に過ぎる。

だがそれは智代の予想通り――分かり切っていた結果。
一撃で仕留める必要など無い。
第一の矢で貫けぬのなら、第二、第三の矢を放てば良いだけの事……!

「っ――――、このぉおぉぉ!!」

智代はサバイバルナイフを取り出し、先程と同じように投擲。
それと同時に立ち上がって、一直線にトウカ目指して疾駆する。
走る最中、ポケットに隠していた切り札へと手を伸ばす。

「――――――――!?」

ナイフを弾いていた所為で、トウカは若干ながら反応が遅れてしまっていた。
それでも一瞬の判断で、握り締めた西洋剣を盾のように構える。
打撃でも、剣戟でも、銃撃でも防げるであろう、汎用性の高い防御。
だがその防御を以ってしても、智代の次の一手は防ぎ切れなかった。
トウカの視界を、突如白色の霧が覆い尽くす。

「こ、これはっ――――あがぁぁぁぁぁぁ……!?」

智代が放った気体状の物質――催涙スプレーが、トウカの顔面へと襲い掛かる。
霧の大半は刀身に遮られたものの、完全に遮断する事は不可能だ。
トウカは眼球の機能を一時的に奪われて、苦しげに声を洩らした。
何とか直撃は避けられた為、苦悶は一時的なものに過ぎぬだろう。
しかしそれで十分。
こと戦闘に於いて、数秒の硬直は余りにも致命的過ぎる隙。

824 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:51:00 ID:qfKlQj0H
 

825 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:51:23 ID:BTy/zWRz
 

826 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:52:17 ID:J3rHnBYS

「捕まえ、たぞ……!」
「ぐっ……!? お、おのれ……!」

智代は形振り構わずトウカに組み付いた。
トウカの両脇に腕を絡めて、所謂羽交い絞めの態勢に移行する。
抵抗するトウカを懸命に押さえ込みながら、叫んだ。

「春原、スタンガンだ! そこに落ちてる私の鞄から、スタンガンを取り出すんだっ!」
「え……あ……、わ、分かった!」

一瞬固まっていた陽平だったが、すぐに火急の事態であると気付き、弾かれたように動き出した。
智代の鞄に駆け寄って、中にあったスタンガンを掴み取る。

「オッケー、あったぞ! けど、これでどうするんだ?」
「決まってるだろ。それを使って、トウカさんを気絶させてくれ!」
「…………へ?」

智代の言葉を聞くや否や、陽平の動きがピタリと停止した。
陽平は恐る恐る首を動かして、前方のトウカを眺め見た。
トウカは羽交い締めにされたまま、絶対零度の眼差しで、こちらを思い切り睨み付けている。
その迫力は、筆舌に尽くし難いものがある。

「ひっ……そんなの無理に決まってるだろ!? 殺されちまうじゃないか!」
「大丈夫だ、私がトウカさんを押さえている!」
「嫌だ嫌だ嫌だっ! 僕は絶対やらないぞ!」

ぶんぶんと首を横に振り、全力で拒否の意を伝える陽平。
陽平にとって今のトウカは、近付く事すら憚られる恐怖の象徴。
生物に備えられた本能が、今すぐこの場から逃げ出せと訴え掛けてくる。
だが――

827 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:53:10 ID:BTy/zWRz
  

828 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:53:54 ID:J3rHnBYS

「……春原。お前はそうやって何時までも逃げ続けるつもりか? 本当にそれで道が開けると思っているのか?」
「っ…………!」

智代の問い掛けに、陽平は答えられなかった。
アルルゥ達を見捨てて逃げ出した所為で、自分は苦境に立たされてしまった。
瑞穂達の信頼を損ねた上に、トウカやハクオロの怒りを買ってしまったのだ。
今此処で逃げ出せば、唯一の味方である智代すらも失ってしまうだろう。

「お前の気持ちも分かる……いきなりこんな殺し合いに放り込まれて、怯えるのは当たり前。私だって戦うのは凄く恐いさ。
 でも逃げてるだけじゃ何も変わらない……未来を切り開くのは、自分自身の意思!」
「うっ……ううっ……」

未だ恐怖に震える陽平に、智代が真摯な言葉を投げ掛ける。
自分も陽平も、一度は恐怖に負けて、決して償い切れぬ罪を犯してしまった。
だけど、信じているから。
確かに春原陽平は小心者だが、性根まで腐り切った男という訳では無い。
自分が再び立ち上がれたように、陽平もこの非日常の世界に立ち向かってゆけると、信じているから。
智代は心の奥底から叫んだ。

「――戦え春原陽平! 恐怖に打ち勝って、自分の手で未来を掴み取れえぇぇぇっ!!」
「う……ああ……アアアアアァァァァァッ!!」

そして、智代の言葉は確かに陽平へと届いた。
陽平は恐怖を吹き飛ばすように絶叫して、スタンガン片手に疾走する。
そうだ――此処は退くべき場面じゃない。
目の前の現実から尻尾を巻いて逃げた所で、状況は悪化していくだけだ。
何よりも、あれ程ボロボロになってまで庇ってくれた智代を、見捨てて良い筈が無い。
今度こそ自分自身の意思で、戦い抜いて見せる――!!


829 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:54:26 ID:BTy/zWRz
   

830 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:55:14 ID:J3rHnBYS


「…………っ!!!」

智代は残る全ての力を振り絞って、トウカの身体を押さえ込んだ。
大丈夫、思ったよりも抵抗の力が弱い。
もう陽平は目前まで迫っている、このまま羽交い絞めの態勢を維持すれば倒せる筈だ。
スタンガンなら、余計な怪我を負わせてしまう事もあるまい。

そして勝負が決する、その寸前――



「……愚かな。この程度で某を止められると思ったのか」
「え――――」



冷たく告げる声。
今まで大人しく捕まっていたのは、単に敵を引き付ける為。
トウカの力が爆発的に膨れ上がり、あっさりと拘束が外される。

そして、全てを切り裂く一陣の烈風が吹いた。



「――さらばだ春原陽平。己の身しか省みぬ、醜き罪人よ」


トウカの手にした西洋剣が、真紅に染まる。
どさりと、何かが地面に倒れ込む音。


831 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:55:27 ID:BTy/zWRz
 

832 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:56:00 ID:qfKlQj0H
 

833 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:56:51 ID:J3rHnBYS


「すの、はら…………?」

瞳に映る光景に、智代が呆けた声を洩らす。
立ち尽くす智代の足元で、血塗れになった陽平が倒れていた。
その腹部は無惨にも切り裂かれており、内部には赤黒いモノが見え隠れしている。

「は……は……。駄目…………だった、ね…………」

陽平は視線を幾分か彷徨わせた後、夜空に広がる漆黒の闇を眺め見た。
口から漏れ出たのは、酷く自嘲的な笑いだった。
ありったけの勇気を振り絞った行動は、最悪の結果に終わった。
しかし焚きつけた智代に対して、恨み言を吐くつもりなど毛頭無い。
全ては自業自得、元はと云えば、己の保身のみを優先してきた自分が悪いのだ。
此処で戦わずに逃げた所で、全ての仲間を失って、人間の尊厳すらも失ったまま、惨めに死ぬだけだっただろう。
死ぬのは怖いが、立ち向かったのが間違いだとは思わない。
ただ一つ、悔やむ事があるとすれば――

「ちくしょ、う……どうせ、死ぬなら……あの時……アルルゥちゃん達を……。守ってあげれば……良かっ、……」

それで終わりだった。
懺悔の時間すらも、陽平には与えられなかった。
引き裂かれた腹部の傷は、いとも簡単に陽平の命を奪い尽くした。
大きく目を剥いたまま、春原陽平の意識は闇に溶けていった。


「――春原っ!」


834 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:57:14 ID:BTy/zWRz
   

835 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 19:58:18 ID:J3rHnBYS

遅まきながらに智代が動き出し、陽平の上半身を抱き起こす。
間近に迫った陽平の瞳は、もう何の光も映していなかった。
それでも諦め切れない智代は、意識を呼び起こすべく、ガクガクと乱暴に陽平の身体を揺らした。
反動で、陽平の内臓が地面に零れ落ちてゆく。

「春原……すのはらっ……すのはらぁぁぁぁっ!!」

呼び掛ける声は、虚しく夜闇に吸い込まれてゆく。
何をやっても、もう陽平の口から言葉が紡がれる事は無い。
全てはもう、終わってしまったのだ。


「…………」

陽平の亡骸に縋り付く智代を、トウカは複雑な顔で眺め見ていた。
自分が取った行動は、エヴェンクルガの武士として、正しいもの。
陽平が犯した罪の数々は、決して許せるものでは無い。
それに陽平をこのまま放って置けば、ハクオロの悪評を際限無く吹聴されてしまう可能性があった。
あれだけ醜態を晒した陽平が、この先態度を急変させる保障など無い。
此処で殺しておかねば、更なる厄災を招く恐れが高かったのだ。

戦場で対峙した敵兵だって、殺してしまえば悲しむ者が居ただろう。
それでも躊躇無く斬り捨ててきた。
自分はいつも通り、己の役目を果たしただけの筈だ。
だというのに、胸を締め付けるようなこの痛みは何なのか。

836 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 19:58:52 ID:qfKlQj0H
 

837 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 20:00:06 ID:J3rHnBYS


「……何故殺した」

呟く智代の声は小さいものだったが、重苦しい憎悪に満ちていた。

「何故殺したッ!! 春原は恐怖に打ち勝った……やり直せた筈なのに……正しい道を歩めた筈なのにッ……!!」

叩き付けられた言葉は、トウカの心に深々と突き刺さった。
トウカの身体を覆っていた脱力感が、急激に膨らんでゆく。
間違った事をしたつもりは無い――それでも自分が、智代の友人を殺めたという事実は変わらない。
自分の手で、智代を深い憎しみの底に突き落としてしまったのだ。

「……すまぬ」

トウカは何とかそれだけ口にすると、くるりと背中を向けた。
最早関係の修復は絶望的、これ以上智代と共に動くのは不可能だろう。
逃げるように足を進め、静かにその場を離れてゆく。
その最中、一度も後ろを振り返る事は出来なかった。



「…………」

――トウカが立ち去ってから、十分後。
陽平の死体の傍で座り込んでいた智代だったが、やがて行動を開始した。
痛む右肩を酷使して、冷たくなった陽平の身体を持ち上げる。
碌な道具も無い為に埋める事は出来ないが、せめて風雨に晒され辛い場所で眠らせてあげたかった。
手近な位置にあった茂みを掻き分けて、その奥へと侵入していく。

838 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 20:01:47 ID:J3rHnBYS

だがそこで突如、足元に違和感を覚えた。
下を見てみると、地面が不自然に膨らんでいた。
膨らんでいる部分の色だけが、周りの土に比べて明るく、誰かが人為的に何かを埋めたのは明らかだった。

「何だ…………?」

智代は陽平の死体を降ろし、地面に埋まっているモノを確かめるべく、『存在』の刃先を動かした。
一箇所に狙いを絞って、積み重ねられた土を無造作に払いのけてゆく。
その動作を続けていると、やがて中に埋まっているモノの一部が露となった。

「な――――これはっ……!?」

智代の手元から『存在』が零れ落ちる。
現われたのは、女性のものと思われる足の先端だった。
血色を失われた肌の色から推測するに、足の主が死亡しているのは明らかだ。
つまり、この場所には死体が埋めてあるのだ。

死体を掘り起こすなど、死者への冒涜にも等しい最悪の行為。
智代はすぐに掘削を中断し、死体へと土を被せ直した。
比較的早くに掘るのを止めたお陰で、作業は数分足らずで完了した。
だが事を終えた智代の頭には、大きな疑問が残っていた。

「どうして……?」

陽平は、ハクオロ達とこの公園で別れたと云っていた。
ならばこの死体は、神尾観鈴という少女のものだろう。
それが何故、こんな所に埋めてあるのだ?

839 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 20:01:58 ID:BTy/zWRz
  

840 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 20:02:48 ID:qfKlQj0H
 

841 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 20:03:30 ID:qfKlQj0H
  

842 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 20:03:57 ID:J3rHnBYS

ハクオロ達はこの公園で襲撃を受けて、その際に神尾観鈴が死亡してしまい、仲間を弔うべく埋葬した。
勿論、その可能性も考えられる。
だが人が収まり切る程の巨大な穴を完成させるのは、かなりの重労働である筈だ。
仲間を守り切れぬ程の強敵と戦った後に、そんな余力が残っているものだろうか?
有り得ない話では無いが――もっと分かりやすい説明がある。

即ち、証拠の隠滅。
陽平の推測通り、ハクオロは観鈴を殺害し、彼女の首輪を奪い取ったのだ。
そして、恐らくは懐柔して利用するつもりだったのだろう――ハクオロは陽平を拘束しなかった。
仮にも男である陽平の利用価値は、無力な少女如きよりは高い筈。
だがその判断が裏目に出て、陽平を逃がしてしまった。
逃げ延びた陽平がハクオロの悪評を吹聴して回るのは、火を見るより明らかだ。
もし万一、首輪の無い観鈴の死体が見つかってしまえば、言い逃れはほぼ不可能になる。
だからこそハクオロは観鈴の死体を埋めて、証拠を隠滅した。
そう考えるのが、一番自然だった。


そうだ――ハクオロは、目的の為ならば手段を選ばぬ冷徹な男だったのだ。
首輪を解除する為に、無力な少女すらも殺してのけたのだ。
……その行動が完全に誤りであると、断じる事は出来ない。
主催者を打倒する為には、首輪の解除は殆ど必須条件だ。
首輪を外さなければ殺し合いは止められないし、主催者の云いなりになるしか無いだろう。
たった一人の犠牲で皆が救われるのならば、非道に走る事も必要――
成る程、国の指導者らしい合理的な行動だ。
トウカ程の実力者を心酔させているハクオロならば、この島でも多くの仲間を集められるだろう。
本当に首輪を解除して、主催者を倒せるかも知れない。
だが、しかし。

843 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 20:04:04 ID:BTy/zWRz
   

844 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 20:04:33 ID:qfKlQj0H
 

845 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 20:05:19 ID:J3rHnBYS

「……してやる」

怨嗟の声は、驚く程自然に漏れ出た。
自分と朋也と陽平、三人で過ごす時間は本当に楽しかった。
だが自分の恋人である朋也は、もう死んでしまった。

「殺してやる……っ!!」

朋也の、そして自身の友人である春原陽平も死んでしまった。
あの幸せだった日常は、もう永久に帰って来ない。
そして少なくとも、陽平はハクオロの所為で死んでしまったのだ。

「殺してやる殺してやる殺してやるっ……!!」

正しい主張をした陽平は死んで、偽善者の仮面を被ったハクオロだけが生き延びる――冗談では無い。
ハクオロは絶対に、何としてでも殺す。
生きてきたのを後悔するぐらい、無惨に殺し尽くしてやる。
そしてそれはトウカも同じだ。
ハクオロの臣下であるトウカは、容赦無く陽平を殺した。
報復として命を奪い返すのは、至極当然の事だろう。
ハクオロもトウカも殺す。
だが、それでもまだ足りない。
ハクオロは人を意のままに操る達人。
出会う人間を悉く懐柔し、自分の味方に付ける筈。

有能な技術者を放置しておけば、ハクオロの首輪を外されてしまうかも知れない。
戦いに秀でた者を放置しておけば、ハクオロを殺す際に障害となるだろう。
故に、全て殺す。
ハクオロに組し得る者を、この島に棲む全ての人間を殺してやる。
それがどれだけの大罪であろうと、構いはしない――どうせもう、自分の大切な人間は残っていないのだから。

846 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 20:05:47 ID:BTy/zWRz
   

847 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 20:06:17 ID:J3rHnBYS

「脱出などさせるものか……殺してやるぞ、皆っ……!!」

吐き出された言葉は、何処までも昏く、重い。
深い憎しみに飲み込まれた智代の顔に、かつての面影はもう無い。

こうしてトウカと智代の道は完全に隔たれた。
致命的な誤解を抱え込み、嘗て正義を志した少女は修羅へと落ちた。






【春原陽平@CLANNAD 死亡】


848 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 20:06:46 ID:BTy/zWRz
 

849 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 20:07:12 ID:J3rHnBYS


【D-2 西部 公園内/1日目 夜中】

【坂上智代@CLANNAD】
【装備:永遠神剣第七位『存在』@永遠のアセリア−この大地の果てで−】
【所持品:支給品一式×3、サバイバルナイフ、トランシーバー×2、多機能ボイスレコーダー(ラジオ付き)、十徳工具@うたわれるもの、スタンガン、
 催涙スプレー(残り2分の1)、ホログラムペンダント@Ever17 -the out of infinity-】
【状態:疲労大、血塗れ、重度の精神的疲労、左胸に軽度の打撲、右肩刺し傷(動かすと激しく痛む・応急処置済み)、両腕共に筋肉痛、
 左耳朶損失、全ての参加者に対する強い殺意】
【思考・行動】
基本方針:全ての参加者を殺害する。
1:何としてでもハクオロを殺害する。
2:トウカも殺害する。
3:ハクオロに組し得る者、即ち全ての参加者を殺害する。
【備考】
※ネリネと舞を危険人物として認識しています。
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※トウカからトゥスクルとハクオロの人となりについてを聞いています。
※永遠神剣第七位"存在"
 アセリア・ブルースピリットが元の持ち主。両刃の大剣。
 魔力を持つ者は水の力を行使できる。
 ウォーターシールド…水の壁を作り出し、敵の攻撃を受け止める。
 フローズンアーマー…周囲の温度を急激に低下させ、水分を凍結させ鎧とする。
 他のスキルの運用については不明。

850 :憎しみの果てに ◆guAWf4RW62 :2007/09/08(土) 20:08:07 ID:J3rHnBYS



【D-2 新市街/1日目 夜中】

【トウカ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
【装備:舞の剣@Kanon(少々の刃こぼれ有り)】
【所持品:支給品一式】
【状態:全身に軽い打撲、胸に中度の打撲、右脇腹軽傷(応急処置済み)、精神的疲労大、中度の肉体的疲労、若干視力低下中(催涙スプレーの影響)】
【思考・行動】
基本方針:殺し合いはしないが、襲ってくる者は容赦せず斬る。
0:今後どうするかは、次の書き手さん任せ。
1:ハクオロと千影、千影の姉妹達を探し出して守る。
2:ネリネを討つ。
3:次に蟹沢きぬと出会ったら真偽を問いただす。
【備考】
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※蟹沢きぬが殺し合いに乗っていると疑っていますが、疑惑は薄れています。
※ハクオロは無実だと判断しました。

851 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 20:08:09 ID:BTy/zWRz
 

852 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:21:07 ID:fMjQoUlm
純一達が旅立った後百貨店に留まった北川達が何をしていたかというと―――

「3マス進むと……やった、ボーナスです!」
「4っと……げっ! またフリーターに逆戻りかよ!」


何故か人生ゲームをしていた。
それは風子がやりたいとせがんでいたからだ。
潤も梨花も難色を示したが結局風子に意見を押し通される事になった。
最初は風子が自分で作った人生ゲームでやりたいと言ったがゲームとして成り立っていなかったので百貨店においてあるものでやる事になった。
なんだかんだ言って3人とも楽しんでいた。



「まさかこんな所でゲームをやるとはね……あ、子供生まれたわ」
梨花は自分の車の駒に子供を追加しながら潤の方を向き

「しかし……ゲームとはいえ、悲惨な人生送ってるわね。潤」
「……畜生、なんで俺だけこんなに不運なんだ……」

そう、潤の結果は悲惨な物である。
風子や梨花が順調に資金を増やしてくのに比べ潤はいきなり借金を背負うはめになった。
それでもなんとか借金を払い終わったのだが、その後すぐ借金を背負い、もう返す事は出来ずそのまま芋ズル式に借金は増えていった。
もちろん結婚も出来ず、フリーターのまま。
かなり悲惨な人生である。
もっともゲームの中だけであるのだが。


853 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:21:16 ID:BTy/zWRz
 

854 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:22:01 ID:fMjQoUlm

そんな潤に追い討ちをかけるように風子が
「でも北川さん、実際もこんな人生おくりそうですね」
「そんな訳あるか! もっとましな人生送るわ!」

潤はすぐ反論するが、頭に浮かぶのは
ぼろっちいアパートで借金取りに怯えながら生きている自分だった。
潤はあまりにも簡単に想像ができてしまい

「うわああああああああ!! そんな人生嫌だあああああああ!!」

頭を抑え叫んでしまった。
そんな潤を2人は哀れんだ目で見て
「なんか……哀れですね……」
「ええ……哀れね……」
「うるせぇ……畜生、こうなったら絶対儲けて、モテモテになってやる!」

潤の言葉に2人は
「無理でしょう」
「無理ね」
きっぱりと言い放った。
潤はがっくりと

「そこ、きっぱりと言い切るか!? 俺をこんなにいじめて楽しいか!?」

だが2人はさらにきっぱりと
「事実を言っただけです」
「ええ」
言い放った。

855 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:22:47 ID:BTy/zWRz
  

856 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:23:53 ID:fMjQoUlm

潤は頭を抑え

「……畜生ーーーー!! どうせ俺はモテねーよ!! 畜生、お前ら、童貞いじめて楽しいか!」

潤はいってはいけない事を言ってしまった。
それは

「北川さん……童貞だったんですか?」
「ああ、やっぱり童貞だったのね」
「……ああああああああああ!! なんで、俺カミングアウトしてんだああああああああ!!」

潤は自分が言ったことに激しく後悔した。
女子2人の視線がものすごく痛い。

潤は開き直り
「ああ、どうせ、俺は経験ないですよ……」
そんな潤を汚いものでも見るように
「なんか……痛いですね」
「仕方ないわ、潤だもの」
言った。

そんな二人の態度にカチッときた潤は
「ふん、童貞の何が悪い! どうせお前らだって経験ないだろうが!」
また自ら墓穴を掘ってしまった。
どうしてこの男は自らドつぼにはまるのだろうか?

857 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:24:19 ID:BTy/zWRz
   

858 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:24:29 ID:fMjQoUlm

(あれ? 梨花ちゃん滅茶苦茶怒ってる?)
潤が気付いた時はもう遅かった。
目の前に烈火のごとく怒った梨花が立っていた。

「潤……女の子にそんな事言うな! 反省しなさい!」

「ちょ、やめ、ぐあああああああああああああああああああ!」

容赦なく蹴り飛ばした。
当然の報いだった。



そんな時だった。

「参加者の皆さん、定時放送の時間が来たわ―――」

放送が始まったのは。






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







859 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:24:52 ID:BTy/zWRz
 

860 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:26:18 ID:fMjQoUlm
(そんな……赤坂……貴方まで逝ったのね……)

放送が始まり潤のお仕置きを止めた梨花はある名が呼ばれてショックを受けていた。
その名は赤坂衛。
覚悟はしていたはずだった。
大石が死んだ時から解っていた筈だった。
どんな高い能力を持っていたとしてもこの島では簡単に命を失ってしまう。
でもいざその名を呼ばれた途端、ショック受けてしまった。
結局また仲間を助けられなかったのだ。
悔しかった。
悲しかった

「梨花ちゃん……大丈夫か?」
潤が心配そうに話しかける。

そうだ、後悔している暇は無い。
(私は潤、風子を守らなきゃ……ここで止まれない)
そう思い潤の方を向き
「ええ……大丈夫……私は大丈夫……それでA−3って事は……」
「ああ、ここが入ってる」

そうなのだ。放送でもう一つ重要な事が言われた。
それは今自分達が居る所が禁止エリアに指定されたのだ。

861 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:26:38 ID:BTy/zWRz
  

862 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:26:56 ID:fMjQoUlm
そうなのだ。放送でもう一つ重要な事が言われた。
それは今自分達が居る所が禁止エリアに指定されたのだ・

「……篭城はさせないって事ね」
「その可能性は高いな。とりあえず出る準備をしよう」
「ええ、純一たちに言った通り、ホテルに向かいましょう……彼らと連絡がとりたいわね」
「ああ、ホテルに行こう。後はここで役に立つものを集めよう。まだ時間がある。少しでも有効なものが欲しい」
「まかせてください。風子がいいもの持ってきます」
風子が元気にそういった

潤が呆れたように
「……お前、変なもの持ってくんじゃねーぞ」
「大丈夫です! ヒトデしか持ってきません!」
「十分変だろーが!」

そして3人は一旦分かれて何か役に立つものを探し始めた。






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








863 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:27:59 ID:BTy/zWRz
    

864 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:28:09 ID:fMjQoUlm
(さすが百貨店だけあって結構色々あったな)

百貨店の探索を終えた潤は第二守衛室を戻ってきた。
風子や梨花はまだ来てない様だった。
潤が見つけたのは出刃包丁、草刈り鎌、食料品、ドライバーやペンチなどの工具、など他にも色々だ。

(ちょっと片付けるか……ん? これは?)
手に入れたものを仕舞おうとするとする潤の目に映ったものがあった。
それはノートパソコンだった。
(これはあの時の……調べてみるか)
そう思い電源を入れると



≪18時間生存オメデトウ!≫
このメッセージを読んでいるという事は、君はまだ生きているのだな。
素晴らしい、実に素晴らしい! もっと楽しませてくれ!
そんな君に、またまた、僕からのささやかなプレゼントだ。受け取りたまえ。
今回の追加機能はある所で録音されたメッセージを聞く事ができるようになるのだ。
なお新たに録音された場合も追加される。
今までのに比べると劣るかもしれないが十分に使ってくれ。
情報は力だからね
有効に使ってくれる事を期待しているよ。



                       差出人:「&@;」。#



865 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:29:14 ID:BTy/zWRz
 

866 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:30:02 ID:fMjQoUlm
読み終えた瞬間、一つのフォルダが現れた。開いてみると確かに「メッセージ」と書かれたファイルがあった。
(メッセージか、聞いてみるか)
潤はクリックをすると

「ピー……さ、佐藤さんの……せいだ! 佐藤さん、がッ……全部……全部悪いんだ!」

(っ!? なんか必死だ……何が起こったんだ、録音があった場所で)

二つ目をクリックすると

「ピー……殺されるものか! 俺達は絶対殺されないからなぁ!」

(これも必死だ……だから何が起きたんだよ!?)

潤は録音された時間を調べるとほとんど同時だった。
(まだ状況把握してないが、たぶんゲームに乗った奴に襲われた。おそらく佐藤って名前の人に)
潤はため息ついた。
録音されてた声が誰か分からない以上無事かどうかも分からない。

(なんかやるせないな……この二つは時間がはなれてる)

「あーあー。よし、おらよガガピーおめぇよガガビーせに何か悪いことしてんのか〜! 本当ならボク怒るぞ〜」

(ん? なんて言ってるんだ? 聞き取れないな)


867 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:30:21 ID:BTy/zWRz
   

868 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:30:47 ID:fMjQoUlm
そして4つ目をクリックすると


「ボクは、ボクや土見のように大切な人を失ってなく奴を、これ以上ださねぇ!
 だからボクは何があろうが絶対死なない! そういう奴を絶対に死なせないぞゴラァ!
 生きて生きて生きて生き抜いて、このふざけたゲームをぶっ潰す!!
 止められるなら止めてみやがれやこのダボがぁっ!! まとめて相手にすんぞオラァ!」

(っ!? 声がでけぇ……これは、宣戦布告みたいだな、こいつはゲームに乗ってないのか? 兎も角名前がわからなきゃ判断できん)



あまり収穫はなかった。
そう思いフォルダを閉じようとするが潤は隅っこにもうひとつみつけた。
(もう一つある。何だこれ? 録音時間が書いてない)
恐る恐る開くとある声が聞こえた

それは忌むべき声。
そう

「ふふ……。殺し合いを楽しんでる? 鷹野よ」
「鷹野っ!」

そう鷹野三四だった。

「これから貴方に面白い事を教えてあげるわ。きっと役に立つわよ。ふふ……焦らなくていいわ。ちゃんと教えてあげるわ
 教えてあげるのはある一人の参加者の事よ。その人は実はこのゲームの前に同じような殺し合いゲーム参加していたのよ」

(前にゲームに参加してた!? そんな人いたのか!?)
潤の顔が驚きに変わる中、メッセージが続く。

869 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:31:32 ID:BTy/zWRz
 

870 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:32:15 ID:qfKlQj0H
 

871 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:32:22 ID:fMjQoUlm
「中々狡猾な人よ。その人は対主催のグループで違和感なく溶け込み日常を演じてきた。そして役に立たない人間から殺していった。
 無論、無害そうなその人を疑う人なんか居なかったわ。そしてどんどんいろんなチームを渡り歩いたわ。そして人を殺していった。
 そして最後に残った対主催のグループが有ったわ。脱出の糸口を掴んでいたわ。でも結局脱出は不可能だった。
 それが解った瞬間残りグループの人間を全員殺したわ。そして優勝。無垢な笑顔してその実態は鬼のその者だったわ」

(そんな人間がこの島に?)

驚いた潤を驚愕させた事があった
それは―――


「その人の名は、伊吹風子よ」




(……え? 今なんて言った? 風子? え? え?)

信じられなかった。
風子がゲームに前参加していた?
そこで人を殺した?
違う!
そんなわけない!


「嘘だぁ!!!」


風子がそんな事する訳がない。
でも。
待てよ?


872 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:33:01 ID:BTy/zWRz
 

873 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:33:04 ID:fMjQoUlm

日常を演じてきたといった。
無害そうによそおっていたと言った。

風子と出会ってから俺はあいつと何やっていた?
そう
ふだんと変わらない日常過ごしてた。
漫才したり
ゲームしたりと。

そんな、あいつはゲームに乗っている?
役に立たなくなったら俺を殺すのか?


「違う!!!」


風子はそんな人間じゃない。
鷹野が嘘をついてるに決まっている。


「この事実を真実か嘘かを見極めるのは貴方よ。全部嘘かもしれない。だから貴方が正しいと思う方を信じなさい。
 でも考える前に彼女に騙されて殺されるかもしれない。気を付けて。彼女はいつでも隙を狙ってるわ。じゃあさようなら……ふふ」


そこでメッセージは終わった。

874 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:33:55 ID:BTy/zWRz
 

875 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:34:01 ID:fMjQoUlm


そうだ鷹野が嘘をついてるんだ。
風子はそんな人間でない。
そう言い聞かせた。

でも

対主催のグループで違和感なく溶け込み日常を演じてきた。
無垢な笑顔してその実態は鬼その者。
彼女に騙されて殺されるかもしれない。気を付けて。彼女はいつでも隙を狙ってるわ。

そんな言葉がずっと頭をよぎっている。

(違う!! 嘘だ!! 違う!!)
頭がパンクしそうだった。
そんな時



「北川さん見てください!! でっかいヒトデの人形です!!」
「それは星じゃないの?」
「違います梨花ちゃん。ヒトデです!」
「そう……他のものも回収したのかしら?」

風子と梨花が戻ってきた。2人とも色々回収してきたようだった。
潤はうろたえ
「ああ……お帰り」


876 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:34:27 ID:BTy/zWRz
  

877 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:36:16 ID:fMjQoUlm
そんな潤を風子は不審に思い
「北川さん……? どうしたんですか?」
「…………いや、大丈夫だ、なんでもない」
(そうさ、風子は何も変わらない。そんな訳ないさ……)

「きっと、自分が童貞だと暴露してショック受けてるだけよ」
梨花が茶々を入れた。潤が反応し
「あああ!! それ忘れてくれぇ!」

そんな潤に風子が
「大丈夫です、北川さん。北川さんは童貞である事を誇りに思うべきですよ」
「てめぇ……意味解ってねぇだろ……誇りに思いたくもねぇよ」
(ほら、もう元通りだ。COOLになれ、北川潤! 風子はそんなんじゃ……)
そう思った途端あの言葉が思い出される



 対主催のグループで違和感なく溶け込み日常を演じてきた。
 彼女はいつでも隙を狙ってるわ。

 
その言葉が潤の頭の中でリピートされる。
潤は堪らなくなり

「違うっ!!! 嘘だぁ!!!」

叫んだ。
すさまじい大声で。


878 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:36:50 ID:BTy/zWRz
 

879 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:38:17 ID:fMjQoUlm
そんな潤に風子は
「北川さん、何があったかわかりませんが落ち着いてください」
「風子……? お前……? 何を……?」
そっと抱きしめた。
風子が言葉はつむぐ。
「何があったかは聞きません。ですが落ち着いてください。焦ったらダメです。絶対ダメです」
そんな風子の言葉はたしかに潤を落ち着かせた。
「…………なあ、風子? お前はお前だよな? 何にも無いよな?」
潤の疑問に
「はい、風子は風子です。ここに居るのは何にも変わらない伊吹風子です」
風子は笑顔でいった。

潤は完全に自分を取り戻し
「そうか……そうだよな、風子の事は今まで傍にいて大丈夫なのは俺が知ってる。そうさ、自分を信じればいい」
「風子、ありがとうな。もう大丈夫だ」

梨花は心配そうに
「本当に大丈夫?」
潤は元気そうに
「ああ、大丈夫だ。そろそろ行こうか」
「……ええ、解ったわ。」
そうして3人は準備を始めた。

880 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:38:49 ID:BTy/zWRz
   

881 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:38:51 ID:1O8BxZck
 

882 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:39:03 ID:fMjQoUlm
(そうだ、俺は自分を信じればいいんだ。風子は変わらない。なあ? 大丈夫だよな。風子?)
とりあえずはこの場は収まった。
それでもまだ潤の頭にこの言葉が響き続ける。




対主催のグループで違和感なく溶け込み日常を演じてきた。
無垢な笑顔してその実態は鬼その者。
彼女に騙されて殺されるかもしれない。気を付けて。彼女はいつでも隙を狙ってるわ。



潤はこのまま風子を信じてられるのだろうか?
それとも疑心暗鬼に完璧に陥るのだろうか?

それはまだだれも解らない。



【A-3 百貨店二階第二守衛室/1日目 夜】




883 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:39:45 ID:1O8BxZck
 

884 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:40:11 ID:BTy/zWRz
 

885 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:40:20 ID:fMjQoUlm

【北川潤@Kanon】
【装備】:コルトパイソン(.357マグナム弾6/6)、首輪探知レーダー、車の鍵
【所持品】:支給品一式×2(地図は風子に奪われまたまま)、チンゲラーメン(約3日分)、ゲルルンジュース(スチール缶入り750ml×3本)
     ノートパソコン(六時間/六時間)、 ハリセン、バッテリー×8、電動式チェーンソー×7、出刃包丁、
     草刈り鎌、食料品、ドライバーやペンチなどの工具、他百貨店で見つけたもの
【状態:健康 軽い疑心暗鬼】
【思考・行動】
基本:殺し合いには乗らない。というかもう乗れねーつーの!
0:風子、大丈夫だよな?
1:ホテルに向かう
2:純一たちと連絡取りたい
3:風子と梨花を守る
4:水瀬名雪や信用できそうな人物を捜索したいんだけど、二人(風子達)をわざわざ危険に晒すわけにもいかないからなぁ
5:ちょっとシリアスはいったんだから『童貞男』シリーズ終わってくれよ

886 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:40:37 ID:qfKlQj0H
 

887 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:41:25 ID:1O8BxZck
 

888 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:41:29 ID:fMjQoUlm
【備考】
※チンゲラーメンの具がアレかどうかは不明。
※チンゲラーメンを1個消費しました。
※風子を信用してます?
※梨花をかなり信用しました。 純一、つぐみも信用しています。
※ネリネと鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。
※パソコンの新機能「微粒電磁波」は、3時間に一回で効果は3分です。一度使用すると自動的に充電タイマー発動します。
 また、6時間使用しなかったからと言って、2回連続で使えるわけではありません。それと死人にも使用できます。
※チェーンソのバッテリーは、エンジンをかけっ放しで2時間は持ちます。
※首輪探知レーダーが人間そのものを探知するのか、首輪を探知するのかまだ判断がついてません。
※車は百貨店の出入り口の前に駐車してあります。(万一すぐに移動できるようにドアにロックはかけていません)
※車は外車で左ハンドル、燃料はガソリン。
※一連の戦闘で車の助手席側窓ガラスは割れ、右側面及び天井が酷く傷ついています。
※電線が張られていない事に気付きました。
※『廃坑』にまだ入り口があるのではないかと考えています。
※禁止エリアは、何かをカモフラージュする為と考えています。
※ノートパソコンの二回目の新機能は確認していません。
※幼女に目覚めました
※百貨店のある場所が禁止エリアに指定された場合、拠点をホテル、教会、学校の優先順位で変える。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※ノートパソコンの3つ目の機能は留守番メッセージを聞く事ができます。
 たまに鷹野のメッセージが増える事もあります。
 風子に関しての情報はどこまで本当かは次の書き手様しだいです。
※童貞である事をカミングアウトしました。

889 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:42:25 ID:fMjQoUlm




【伊吹風子@CLANNAD】
【装備】:大きいヒトデの人形
【所持品】:支給品一式、猫耳&シッポ@ひぐらしのなく頃に祭、赤いハチマキ(結構長い)、風子特製人生ゲーム 百貨店で見つけたもの
【状態】:健康
【思考・行動】
0:北川さん? 大丈夫ですか?
1:今まで通り『伊吹風子』を演じる(受動的)
2:北川と梨花と、行動を共にする
3:北川さんは風子がいないと本当に駄目ですね。やれやれです
4:もし殺し合いが止めれそうに無かったら、その時は……?
【備考】
※状況を理解していないように装っています
※トラップと銃火器に関して、かなり高度な知識を持ち合わせています。
※他にどれだけの知識や経験があるかは、後の書き手さんにお任せします
※北川をかなり信用。梨花、つぐみ、純一も信用しています。
※盗聴されている事に気付きました
※潤が童貞である事を知りました






890 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 22:42:31 ID:BTy/zWRz
 

891 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:43:41 ID:fMjQoUlm

【古手梨花@ひぐらしのなく頃に祭】
【装備:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に 祭  暗号文が書いてあるメモの写し
     ヒムカミの指輪(残り2回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 】
【所持品:支給品一式、百貨店で見つけたもの、紫和泉子の宇宙服@D.C.P.S.】
【状態:頭にこぶ二つ】
【思考・行動】
基本:潤と風子を守る。そのために出来る事をする。
0:潤? 大丈夫?
1:ホテルに行く
2:純一たちと連絡取りたい
3:潤達と一緒に居る
4:死にたくない(優勝以外の生き残る方法を見付けたい)
【備考】
※皆殺し編終了直後の転生。鷹野に殺されたという記憶はありません。(詳細はギャルゲ・ロワイアル感想雑談スレ2>>609参照)
※ネリネと鳴海孝之(名前は知らない)をマーダーとして警戒しています。
※探したい人間の優先順位は圭一→赤坂の順番です。
※北川、風子をかなり信用しています。つぐみと純一の事も信用しました。
※電線が張られていない事に気付きました。
※『廃坑』にまだ入り口があるのではないかと考えています。
※禁止エリアは、何かをカモフラージュする為と考えています。
※百貨店のある場所が禁止エリアに指定された場合、拠点をホテル、教会、学校の優先順位で変える。
※盗聴されている事に気付きました
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※ヒムカミの指輪について
ヒムカミの力が宿った指輪。近距離の敵単体に炎を放てる。
ビジュアルは赤い宝玉の付いた指輪で、宝玉の中では小さな炎が燃えています。
原作では戦闘中三回まで使用可能ですが、ロワ制限で戦闘関係無しに使用回数が3回までとなっています。

892 : ◆UcWYhusQhw :2007/09/08(土) 22:45:11 ID:fMjQoUlm
※紫和泉子の宇宙服について
紫和泉子が普段から着用している着ぐるみ。
ピンク色をしたテディベアがD.C.の制服を着ているというビジュアル。
水に濡れると故障する危険性が高いです。
イメージコンバータを起動させると周囲の人間には普通の少女(偽装体)のように見えます。
朝倉純一にはイメージコンバータが効かず、熊のままで見えます。
またイメージコンバータは人間以外には効果が無いようなので、土永さんにも熊に見えると思われます。
(うたわれの亜人などの種族が人間では無いキャラクターに関して効果があるかは、後続の書き手さんにお任せします)



宇宙服データ
身長:170cm
体重:不明
3サイズ:110/92/123



偽装体データ
スレンダーで黒髪が美しく長い美人
身長:158cm
体重:不明
3サイズ:79/54/80


※潤が童貞である事を知りました


893 :炎の魔法少女 ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:13:02 ID:SMkLR+dV
三回目の定時放送は彼女に何ら影響を与えなかった。
だから、彼女は目的地に向けて歩き続けた――

(千影はきっと神社にいる……)

川澄舞にとっての定時放送は、死者の数や名前よりもブローニングの予備弾を持っている筈の千影が
まだ生きているか否かという事と禁止エリアを確認する以外の意味を持たなかった。

咲耶――千影の姉妹――が死んだという事実もまた、彼女の神社に到る歩みを止めることはなかった。

それより、今の舞にとっての気がかりは神社が禁止エリアに指定されたということだろう。
まだ時間に余裕があるものの、間違いなく放送を聞いているだろう千影がこれにより神社にいない可能性がでてきた。

だが、舞はそれでも神社へ向かう事をやめようとはしない。
理由は先ほどの放送内容にあった。

鷹野は、神社が禁止エリアにするのは「人が集まり過ぎるから」と言っていた。
要するに今の神社にはここまで生き残っている人間の大半――恐らくは殺し合いに乗ってない人間――が集まるのだろう。
これは、時間にさえ注意すればまとめて他の参加者を殺せるまたとないチャンスと言える。

多くの人間が集まるのならば、そこに千影がいなくても他に強力な武器を持った人間がまだいるはずだ。
リスクは大きいかもしれないがブローニングの予備弾が入手できないならそれも一つの手だろう。

どうであれ、佐祐理以外の生存者は皆殺しにするだけでしかない。
それに、神社がもう目前に迫っている以上は行くしかないのだ。

だが、舞は思う。

千影がいたとしても予備弾を他の誰かに奪われていたら?
強力な他の参加者に保護されていたならば?

894 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:13:26 ID:BTy/zWRz
 

895 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:13:43 ID:SMkLR+dV
その時は――

(殺してでも、奪い取る……)

そう、結局のところは殺すのだからこれ以外の選択肢は他に無いのだ。
惨たらしくか、或いは苦痛を感じさせないように殺すかの違いはあれど。

しかし舞は知らない。
千影がこの時点で神社に到着してはいないことを。
自らがC-3からD-4へと斜めに東へ移動したため、西へ斜めに移動した千影のルートと交差するように
互いの距離が生じた事も。


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


三回目の定時放送は彼女の心に打撃を与えた。
しかし、彼女は泣き喚く事も倒れる事もなく決意を新たにした――

(稟さま、遂に逝かれたのですね……)

放送により土見稟の死を知ったネリネは衝撃を受けながらも泣き崩れる事なく冷静にその事実を受け止め、B-5を北へと歩き続けていた。

悲しくない、何も感じないと言えば嘘になる。
だが、ネリネは既に心の準備をしていたし、稟が死亡した時は彼の遺体を持ち帰り埋葬する為にも優勝を狙うという事を
心に決めていた。

何よりここに到るまで、見せしめにシアが殺されたのを始めとして楓も亜沙も命を落とした。
だからこそ、いつしか稟の名前がいつ呼ばれてもおかしくないとネリネは考えるようになっていた。

それ故に、ネリネは放送で稟の名が呼ばれた時もそれをすんなりと――当の本人ですら驚くほど早く――受け入れ、乗り越えられたのだ。
そして彼女は稟が死んだ今、これから自分はどうすればいいのかとすぐ今度の新たな方針を頭の中に思い描く。

896 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:14:29 ID:BTy/zWRz
   

897 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:14:44 ID:J3rHnBYS
 

898 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:14:49 ID:SMkLR+dV
(簡単な事、優勝し帰還するだけです――)

これしかなかった。

確かに優勝するというのは稟を保護し、守り抜いて最後に自害するのと違い自分のことだけを考えればいいわけだから
一見すると最初の行動方針よりまだ容易に思える。

だが、ネリネにとっての優勝と日常への帰還は単なるそれとは違う。
今の彼女にとってのそれは自らの帰還と共に稟の遺体を持ち帰り、楓や亜沙にシアの最後を忘れない為のものであり、
また自分がここまで殺しこれからも殺す他の参加者の死に様を覚えておく為のものだ。

ネリネは思う。

これから殺す者全てに対し、楓や亜沙の時みたく敬意を払い哀悼することはないだろう。
弔うこともあるまい。
今までどおり容赦する事も無い。

しかし、これから殺していく者達にも自分がそうだったように守るべき人がいてその為に理不尽な殺し合いに乗った者がいるのだ。

あの音夢やオボロの様に――

ならば、せめて彼等の最後を、その死に様を心に焼き付け覚えておくことが今の自分に出来る最低限の礼儀であろう。

ネリネは夕闇に染まりつつある空を見上げ心の中で呟く。

(稟さま、楓さん、時雨先輩、見守っていて下さいますよね……。そして誓いましょう。
優勝し帰り着くその時までどんな事があっても私は立ち止まらないと。その為にはどこまでも冷酷に、非情になってみせると……)


899 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:15:13 ID:BTy/zWRz
 

900 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:16:06 ID:SMkLR+dV

とっくの前にゲームへ乗ったのにこの様な誓いに意味があるとは思えない。
それでもこの誓いは、稟の死を乗り越える為今のネリネには必要なものだったのだから。

そしてネリネは再び歩き出す。
自分が感じ取った永遠神剣の気配がある先へ向けて。


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


三回目の定時放送は二人の心を叩きのめした。
その直後、二人は目的地へ向けて歩く事をやめた――

(咲耶くん……君が死ぬなんて……)
(また助けられなかったのか……。衛と千影の姉妹を……)

悠人と千影が定時放送を聞いたのは二人が本来の目的地から西に外れ、C-4のエリアに入り更に西へ向かっていた時だった。
そろそろ神社に到着してもおかしくなかったにも関わらず、神社の鳥居すら見えてこない事に悠人が疑問を抱いた丁度
その時に放送が始まったのだ。

放送を聞いた二人の反応は神社への足が止まった事でも理解できる。
新しい7人の死者の中に咲耶の名前があったのを知った直後、千影は糸の切れた人形の様に崩れ落ちてその場へ膝をつき、
悠人はディパックを取り落としてしまった。



901 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:16:26 ID:BTy/zWRz
 

902 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:17:35 ID:SMkLR+dV
(死者の数は減った。だけど、その中に二人の姉妹の名前があったなんて……。いや、それもあるが……次の禁止エリアが)

だが、悠人はまだ千影より冷静に物事を考える事が出来た。
死亡した咲耶と直接の面識がなかった事もあるが、次の禁止エリアに神社が含まれていた事に注目した為、いくらか冷静さを保つ事が
出来たのである。

もっとも、悠人は現在自分達のいる場所が禁止エリアに指定されてないなど思ってもいないのだが。

(まずいな……まだ、時間があるとはいえ、ここが禁止エリアに指定されるとなるともう神社を調べてなどいられなくなる……。
一刻も早くここから南に向かわないといけない……でも、千影が……)

隣でまだ呆然としている千影を見やり、悠人は困惑する。
姉妹の死を前に衝撃を受けている彼女を無理に立たせてでも此処を離れるべきか否か。
だが、今の彼女にそんな余裕などあるのかどうか。

(これがもし衛だったなら、どう声をかけてやれば分かるものだけど、千影にはどんな言葉をかけてやればいいのか)

この馬鹿げた殺人遊戯の開始からほぼ半日を共に過ごしてきた良きパートナーの事を思い出した悠人は、この時ばかりは
あの様な組み合わせをした瑛理子を少しだけ恨めしく思った。



(咲耶くん……私は君ともう一度会って話したかったよ……。でもそれももうかなわない……。もしかして私が感じたあの予感は
このことだったのかい……咲耶くん……)

さて、一方の千影はというと、正直なところ悠人がどんな言葉をかけても耳に入らない状態であった。
それもそうだろう、覚悟も心の準備もしてなかったところへ自分の身内が死んだと知らされれば誰だって
茫然自失となるし心を閉ざしたくもなる。

903 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:17:49 ID:BTy/zWRz
   

904 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:17:58 ID:J3rHnBYS
 

905 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:18:20 ID:SMkLR+dV

(私も、鷹野が接触してくるなら……瑞穂くんが言ったように「願いを一つかなえてやる」と言うならそれに乗るしかないのかい? だとしたら……)

押し寄せる悲しみと心の奥底にあった暗い欲望、衛の身を案じる思いがごたまぜになっているのが今の千影だった。

(だとしたら……私は、このゲームに乗るよ……。僅かな可能性だけど、それで四葉くんと咲耶くんが生き返るなら……
いや他の参加者も全員生き返らせるのならね……。でも……)

千影の脳裏によぎる衛の顔。この島で唯一再会できた姉妹の事を思う。
そういえば、衛はどうしているだろうか?
やはり自分同様、咲耶の死を前にして悲しみに打ちひしがれて嘆いているのだろうか?

再会した衛は既に四葉が死んだのを知っていたにも関わらず、決して錯乱する事も悲しみに沈むだけでもなかった。
日常の中にいるいつもの衛と変わらなかった。
そのことは千影を安心させたし、映画館から公園までの間で自分と衛や悠人と一緒に過ごした僅かな時間は、この島で一瞬だけだが安らぎすら得られた。

もし、自分が僅かな可能性に賭けて優勝を狙うなら衛も殺す事になる。
明るさを失ってなかった、いつもの彼女だった自分の姉妹まで手にかけられるだろうか?

(私に……そんな事できるわけが……ない。 衛くんはきっと咲耶くんの死を、悲しみを前にしてもきっと自分を見失わない……。
私が殺し合いに乗ればきっと衛くんは私を止めるだろうね。そう、身を挺してでも……。だからまだ私が魂を暗黒に染める時は来ていないんだ……)
「千影……」

衛はまだ生きている、その事が今の千影をゲームに乗るという選択肢を前にして踏みとどまらせる。
そう、衛の存在は今の彼女にとって理性を保つ唯一の細糸の如き「最後の希望」なのだから。

そして、そんな千影に対しようやく悠人が声をかけた。

906 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:19:19 ID:BTy/zWRz
  

907 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:19:57 ID:qfKlQj0H
 

908 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:20:00 ID:J3rHnBYS
 

909 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:20:00 ID:SMkLR+dV
「悠人くん……」
「その……千影、こういう言い方をしていいわけではないだろうけど、咲耶さんが亡くなって悲しいのは君や衛だけじゃなく俺だって同じだ。
だけど、今は皆と病院で合流するのが大事だ。 先を急ごう、ここが禁止エリアになるまで時間はあるけどできる事なら早くここを抜けよう」

悠人には、まだ千影に対してどのようにして慰めればいいのかという戸惑いもあったが、やはりこのままに
しておいていいはずが無いと思ったのも確かだった。
だからこそ声をかけたのだが、少なくとも彼の言葉は千影を現実へ引き戻すには十分だった様だ。

(ああ、そうだ……悠人くんはまだ知らないんだったね。ここが本来私達の目指す神社のあるエリアから西へずれているという事に)

「それは分かっているよ悠人くん……でも、今しばらくはこうさせてくれないか。少しばかり休みたいんだ……」
「わかった、俺も少しばかり考えたい事があるから一旦休もう。でも、禁止エリアの時間が来たらすぐに移動するからそれだけは忘れないでくれ」

悠人の言葉で我に返った千影の言葉に偽りはなかった。
自分たちのいる場所が禁止エリアに指定されない事も神社のエリアの隣にいる事も口には出さなかったし、その点については悠人に嘘を
ついているのだが、精神的な衝撃から立ち直り咲耶を悼むためにも今暫し時間が必要なのは事実であり、悠人も異を唱えなかった。

千影の方を横目で見ながら悠人は彼女の隣に座り、地図を広げる。
先ほどの放送で幾つか引っかかる事があったのだ。

(新しい禁止エリアはD-4とA-3……20時にはここが先に指定されるからとどまっていられるのもあと少し……。
だけど、あの時の鷹野の言葉、気になるな……)

3回目の定時放送が流れた時、鷹野の言った言葉を思い出す。

910 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:20:36 ID:01jFE0l3


911 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:20:58 ID:SMkLR+dV
――『ごめんなさいね、私達も主要な建物のあるエリアはあまり禁止にしたくないの』
――『けれど、恥ずかしがりやなウサギさんたちが隠れたままでいる事が出来ないように今回の処置に踏み切らせてもらったわ』
――『それに、あまり一箇所に人が集まられても困るしね』
――『楽しくないじゃない? そんなの』
――『血で血を洗うのがこのゲームの本質なのよ』

死者の名前が呼ばれるのに先立って流れた次の禁止エリアにはそれぞれ悠人たちが向かっている「神社」の他に「百貨店」が存在する。
鷹野が言う「主要なエリア」というのはこれらでほぼ間違いないだろう。
それよりも引っかかったのはその後の言葉だ。

「恥ずかしがりやなウサギ〜」というのは多分百貨店の事だろう。
百貨店の規模がどれぐらいかは知らないが、それなりの大きさと考えていいだろう。
大きな建物は身を隠すのにはもってこいの場所だ。

そして「あまり一箇所に人が集まられても困る〜」というのは神社の事とみていい。
逆の可能性――神社に隠れている参加者がいる――もあるだろうが、神社という場所にあって人間が身を隠せそうなところは
せいぜい社殿ぐらいしか思い浮かばないからこの可能性は低い。
そうなると、あの放送どおりなら神社にはかなりの参加者が集まっているということになる。

(それも、大部分が殺し合いに乗ってない人間なんだろう……最後のあの一言からすると)

最後の「血を血で洗うのがこのゲームの本質」というのが参加者に対する警告というのは理解できる。
だが、そこへ先ほどの禁止エリアに関する言葉を重ねると、神社には殺し合いに乗ってない人間が集まっている可能性があった。
悠人にすればここで他の参加者と協力関係を得られるかもしれない絶好のチャンスに思えた。


912 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:21:04 ID:BTy/zWRz
 

913 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:22:04 ID:01jFE0l3


914 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:22:07 ID:SMkLR+dV
(だが、指定時間からすると他の参加者と会うのは無理だろうな)

神社にいる人間は今頃、蜘蛛の子を散らすように他のエリアに移動していることだろう。
それなら千影が回復するのを待って移動しても神社はもぬけの殻という可能性が極めて高い。

(神社は素通りしてそのまま南へ、ホテルを目指すしかないな……)

千影を置いて、自分だけが先に神社へ向かうという選択肢は悠人の中になかった。
彼女を一人にしている間に彼女が他の参加者の手で殺害される可能性も十分あり、もし万一そうなれば衛に合わせる顔が無い。
そう考えたとき、悠人は自然と「自分だけが神社へ先行する」という選択肢を最初から排除していた。

だが、この時彼は大きな過ちを犯していた。
「千影の側にあって彼女を守る」という事そのものは間違いではない。
しかし、この場で暫くとどまるという選択をしたことはあまりにも軽率だった。
もしこの時点で彼が強引に千影の手を引いて移動していればこれから起きる悲劇も回避できたかもしれない。

その選択肢を採らず、千影の回復を待つためここ――C-4エリアの南側――にとどまった事がよりによって最悪の敵の一人と
遭遇するきっかけとなったのだから。


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


915 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:22:39 ID:qfKlQj0H
 

916 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:23:26 ID:1O8BxZck
 

917 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:23:41 ID:SMkLR+dV


(あれは……千影さんですね……。そしてもう一人、隣にいる男性の方は……)

森の中で休息している二人の姿を発見したのはネリネだった。
彼女は放送後も止まることなくB-5エリアを北に歩き続け、そこから北東に進みC-4へ入ったところだった。
途中、森の中に放置されていた支給品の一部と散弾銃――残念ながら弾はなかった――を拾った以外は誰かと遭遇することも
なかった為、事の外早くこのエリアに入れたのだ。

そこで一旦、双眼鏡を取り出し周囲を見回したネリネは森の中を照らす二つの灯りを見つけた。
大方ランタンの灯りであろうと考えたネリネはそこまで近づき、二人の姿を確認したのである。

ホテルで入手した道具の一つがこんなに早く役立つとはと思いながらネリネはあの二人をどうしてやろうかと考える。
千影を殺せば間違いなく魔力は回復できる、そしてこちらに向かっていた永遠神剣の気配も彼女の持つそれとみてまず間違いない。
上手くいけば魔力の回復と、自分が警戒するべき永遠神剣の入手両方が達成できるという事だ。

その為には、あの男が邪魔だ――

もし自分の記憶に間違いなければ、あの男は博物館で自分を地下室に閉じ込めた男女の一人だ。
要するにそれだけ、機転がきき頭も回ると人間と考えて間違いない。

あの時見た少女が何処に行ったのか、そしてどのような成り行きで今千影と行動を共にしているのかはわからないが、
魔力の回復ということを考えればこれはチャンスといえる。

そこでネリネは再び双眼鏡で周囲を見渡す。
隣のエリアが禁止エリアに指定されているが、神社の方向から誰かが来る様子はまだ無い。
誰かが来るというのなら二人の居場所を素通りして北を目指すべきかも知れないが、誰も来ないというのなら好都合だ。

918 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:23:53 ID:BTy/zWRz
 

919 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:23:59 ID:J3rHnBYS
 

920 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:25:03 ID:SMkLR+dV
その時、ネリネの頭にある作戦が閃く。
少々仕上げが派手になるが、二人に与える精神的な衝撃はとびっきりのものになる作戦を。

(ならば、すぐにでも準備に取り掛かりましょうか……)

ネリネは二人の方を一瞥したあと、閃いた作戦の下準備のため一旦そこを離れることにした。

そして、それから暫くして同じ場所へ戻ったネリネは、二人があれから移動していないのを確認するや第一撃を仕掛ける事とした。
既に準備は整っているが、時間をかけすぎてもいけない。
ならばこそ今仕掛けるしかないのだ。

愛する者への奉仕から、自らが優勝することに方針を変えた少女はデザートイーグルを手にし、銃口を空へ向けて引き金を引く。
直後、銃声が森に響いた。


それほど遠くないところで響いた銃声は、悠人と千影の不意を突くには十分だった。
悠人はすぐさま千影を地面に伏せさせる。

「今のは……近いぞ……」
「私たちを狙ったものなのかい……?」
「分からない。ただ、近くの木や地面に命中したときの音がしなかった。こちらを狙ったとは言い切れないな」
「どうするんだい、悠人くん?」
「……危険かもしれないが、様子を見てくる……」

先ほどまで自分が考えていた事のまるで逆を口にする悠人。
本来ならここで千影を置いて様子を見に行くのはリスクが大きい。
だが、状況が状況だ。


921 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:25:21 ID:BTy/zWRz
   

922 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:25:28 ID:J3rHnBYS
 

923 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:25:59 ID:SMkLR+dV
自分たちが狙われていると確定したわけではないが、もし近くで戦闘が起こっているのだとしてもここは危険すぎる。
とりあえずは、状況を見極めなければ次の手は打てない。
それに、治療済みとはいえ千影の怪我は酷い。

その為、移動を除けば無理な行動はとらせたくないという気持ちが悠人にはある。
なにより衛の残された唯一人の姉妹である彼女を守ってやりたいという気持ちが彼の中で強くなっていた。

「それならこれを……」

千影は悠人に“時詠”を差し出す。
しかし、悠人はやはりまだ“時詠”への恐怖感もあり、受け取ろうとはしなかった。

「いや、大丈夫だ。それは千影が護身用に持っていてくれ。それに様子を見てすぐ帰ってくるから。それから……」
「なんだい?」
「もし俺が19時半までに戻らなかったら先に南へ、ホテルに向かってくれ。そこで落ち合おう」
「分かったよ。それまで私はここで待っていたらいいんだね……」
「ああ、頼んだ。それじゃあ」

そう言って、悠人は銃声のした方向へと向かいはじめた。


(男性の方が動いた……。まずは予定通り……)

ネリネは悠人が千影から離れていくその様子も双眼鏡でずっと見ていた。
ここに来るまで日没前からランタンを灯さず月と星の光だけを頼りに歩いていたので、この暗闇でもその動きははっきりと
とらえることが出来る。

924 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:27:00 ID:J3rHnBYS
 

925 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:27:26 ID:01jFE0l3


926 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:27:50 ID:SMkLR+dV
ネリネは悠人が千影から離れていくその様子も双眼鏡でずっと見ていた。
ここに来るまで日没前からランタンを灯さず月と星の光だけを頼りに歩いていたので、この暗闇でもその動きははっきりと
とらえることが出来る。

一方で悠人と千影はランタンを灯して移動していた。
つまり、暗闇での戦いは自分の方に分があるということだ。

ネリネはデザートイーグルの残弾を確認すると、すぐに悠人のあとを追い始めた。


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


悠人は銃声の鳴った方へ向かって木々に身を隠しつつ移動していた。

(どこだ……どこで誰が撃ったんだ……)

最初の銃声の後、銃声は響いてこない。
そのことが悠人に疑問を抱かせていた。

そもそも、最初の銃声からして戦闘により生じたのかすら分からないのだ。
もしかしたら、他の参加者を追い払うための威嚇射撃だったのかもしれないし、あれは戦闘後にとどめをさせる
「最後の一発」だったのかもしれない。

(やはり、千影の元へ戻るか……)

そう思い、足を元来た方向へ向けようとしたその時、銃声と共に一発の弾丸が悠人の横を通り過ぎ、近くの木に命中した。


927 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:29:27 ID:J3rHnBYS
 

928 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:29:40 ID:qfKlQj0H
 

929 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:29:45 ID:BTy/zWRz
 

930 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:30:31 ID:SMkLR+dV
「何っ!」

その一撃に思わず、悠人は近くの茂みに飛び込み身を隠す。
自分の歩いてきた方向から銃弾が、それも自分目掛けて飛んでいたのだ。
予想外の方向から攻撃を受ければ誰だって驚くのは当たり前だろう。

(俺が来た方向から弾が飛んできた?もしかして知らない間に撃った奴のいたところを通り過ぎたのか?それとも……)

とにかく、弾の飛んできた方向から考えて襲撃者が自分より千影に近い場所にいるとなったら危険を冒してでも戻る必要がある。
相手が千影に気付いているか否かはわからないが、もしそっちに行かれたら厄介だ。
そこまで考え、悠人が千影の元へ戻ろうとした時、銃声と共に先程より正確な一撃が放たれ、悠人の隠れていた木の幹に命中する。
弾丸は木の幹を貫通こそしなかったが、着弾の衝撃で爆発したかのように木片を撒き散らしてみせた。

(さっきより位置が正確になっている……ッ!もしかして、相手の狙いはこの俺なのか!?)

そうだとしたら話は早い。
こっちは襲ってくる相手には割り切って容赦しないと決めていた。
それに今の襲撃者が千影ではなく自分に標的を定めているなら、こっちは出来る限り襲撃者を千影から引き離すだけだ。

(ならば、逃げるのは西だ!)

次の瞬間、悠人は脱兎の如く駆け出し西へと向かう。
このエリアが封鎖されるまでの時間を考えれば逃げる先は西の方いい。
それに人が大勢いるという神社から離れることで襲撃者との戦闘に集中できる。

(あとは、撃ってきた奴が食いついてくれるかだ)


931 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:30:51 ID:BTy/zWRz
 

932 : ◆/P.KoBaieg :2007/09/08(土) 23:31:29 ID:SMkLR+dV
悠人は思わず心の中でそう呟く。
あとはどこか拓けた場所へ誘導して自分に有利なポジションを確保し、反撃すればいい。

だが、悠人は知らない。
姿を見せぬ襲撃者――ネリネ――が彼と全く同じ言葉を呟いていたことに。

(食いつきましたね。あとは「あの場所」に誘導するだけ……)

後方から悠人を追い立てるネリネは悠人が自分の策に嵌まったことを確認し、心の中でガッツポーズを作ってみせる。
もし南に逃げるか、強引に千影の元へ戻ろうとするなら準備した「あれ」も無意味に終わったが、自分が最初このエリアへ入った場所に
向かって逃げてくれたのは幸いだった。

あとは、あの場所へうまく誘導してやり派手な仕上げで倒すだけだ。
いや、何も殺す必要は無い、殺し損じても次の機会で確実に殺せるだけの手傷を負わせる事ができればいいのだから。

(では、狐狩りの始まりと参りましょうか)

ネリネはデザートイーグルの残弾をもう一度確認し、再び悠人を追い立て始める。
銃声を聞いた他の参加者が来るまでにこちらの作戦を全て終わらせる必要があるのだから。



933 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:31:51 ID:BTy/zWRz
   

934 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:33:20 ID:J3rHnBYS
 

935 :名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/08(土) 23:39:01 ID:qfKlQj0H
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